結論
アップラビン(AppLovin)は、スマホアプリ(主にゲーム)の広告主と、広告枠を持つアプリ開発者をつなぐ広告配信の基盤を持つ会社である。自社の配信 AI(Axon)が「どの利用者にどの広告を見せれば購入やインストールにつながるか」を当て、広告主の集客を代行し、アプリ側の広告収益化(MAX)も受け持つ。2025 年にアプリ(ゲーム制作)事業をトリプルデイ(Tripledot)へ売り、広告専業になった。2025 年 12 月期(継続事業)の売上は 54.8 億ドル、営業利益率は 76%、純利益は 34 億ドル。2026 年 4〜6 月は売上 19.2 億ドル(前年比 +53%)、調整後 EBITDA 率 84%。
次の柱は、ゲーム以外のネット通販など消費者向けの広告主を取ることで、2026 年 6 月にセルフサーブの管理画面を一般公開した。一方でゲームの伸びは 1 桁に鈍り、4〜6 月の売上は会社予想をわずかに下回り、株価は高値から 6 割以上下がった。時価総額は約 889 億ドルで、2026 年の純利益(約 52 億ドルと推定)に対する PER は約 17 倍。
部門ごとに数量(市場の実質規模)× 価格(シェア × 取り分 × 物価)で積み上げた。倍率は利益ベースの正当化 PER で置く。k 9.5%、ROE は 100% で打ち止め(自社株買いで自己資本が薄い)、堀は弱い(アップルとグーグルの規約に依存)として RONIC 40%、g 4.0% で 16.3 倍。その 7.5 割の 12.3 倍を 10 年後の中立に置いた。中立の時価総額は 10 年後に約 1,699 億ドル(還元の合計 880 億ドルを足すと約 2,579 億ドル)。10 年はやや悲観と悲観を合計 54% と重く置き、プラットフォームによる遮断や規制という構造のリスクを織り込んだ。確率で加重した本質価値は今の時価総額の 97%(差 -3%)で、結論は「適正」。ただし事業の中身に読み切れない点が多く、確信度は中程度とする。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず「10 年後もこの事業はあるか」を問う。スマホアプリとウェブの広告は 10 年後も続くが、アップラビンの稼ぎはプラットフォーム(アップル・グーグル・メタ)の規約と識別子の扱いに左右され、そこが強い堀の下の弱い床になっている。広告配信の AI の優位は実在するが、メタ・グーグルは同じ領域に巨額を投じており、今の営業利益率 76% が 10 年続くとは置かない。
オーナー利益は、2025 年の純利益 34 億ドルがほぼそのまま株主のものになる(株式報酬は費用に入っている)。2026 年は約 52 億ドルで、今の時価総額 889 億ドルに対し約 6%、国債 5% を上回るうえに、伸びがある。成長が止まっても、このまま利益が横ばいなら国債並みに近い。伸びを買う値段でなく、利益を買う値段に近い点が安全域になる。
資本配分は、アプリ事業の売却で広告に集中し、自社株買いを続けた点は評価できる。ただし株価が高い局面(2025 年)に大きく買っており、今の安値ではむしろ減速している。10 年後の利益への確信は低め、事業の質への確信は中程度。倍率は利益ベースの正当化 PER の 7〜8.5 割に置き、構造のリスクは悲観とやや悲観の確率(10 年で 54%)と悲観の深さ(今の時価総額の 2 割未満まで)で表した。予測しにくい事業なので、確信度は下げて受け止める。
何で稼ぐ会社か
売上は 2 つの部門に分けて見る(部門別は開示がなく推定)。第一はゲームで、2025 年は約 46 億ドル(全体の 84%)。ゲーム会社は広告主として、AI が選んだ利用者に広告を出してもらい新しい遊び手を集める(アプリ集客)。広告枠を持つアプリ開発者は MAX という仕組みで複数の広告網を競わせ、広告収益を最大にする。広告主と枠の持ち主の両方が同じ基盤にいるため、反応のデータが集まるほど AI の当て方が良くなる循環がある。売上は広告主の支出から枠の持ち主への支払いを引いた純額で、そのため営業利益率が 76% と極端に高い。
第二は消費者向け(ネット通販・サービス)で、2025 年は約 9 億ドルと推定。ゲームで鍛えた AI をウェブの広告主に使う。2026 年 6 月にセルフサーブの管理画面(AppLovin Ads Manager)を一般公開し、まず中堅を、のちに小規模を狙う。トリプル・ホエール(Triple Whale)などの分析会社と組んで広告主を集める。2026 年 4〜6 月の消費者向けの広告主の支出は 12.8 億ドルで、2025 年 10〜12 月より 28% 多く、少数の広告主に集中している。映像広告の制作が弱点で、会社自身が「質の高い 30〜60 秒の動画はまだ作れない」と述べた。
費用の中心は AI の学習・推論の計算資源、人件費、株式報酬。2026 年 4〜6 月は、売上が増えた分の約 1 割が計算資源に回り、調整後 EBITDA の増え方(流入率)は前期比 70% に下がった。2026 年 7〜9 月の見通しは売上 20.55〜20.85 億ドル(+46〜48%)、調整後 EBITDA 率 83%。会社は中期に年 30% 前後の伸びと EBITDA 率 80% 台前半を見込む。
優良さと弱いところ
堀は 3 つある。第一はデータの循環で、アプリ集客と広告収益化の両側を持つため、誰が何を見て何をしたかの反応が集まり、配信 AI の精度で競合を引き離す。2026 年 1〜3 月は、1 インストールあたりの収益が 93% 上がり、インストール数が 18% 減りながら売上が 59% 増えた。同じ集客で稼ぐ額を AI が押し上げている。第二は iOS での位置で、調査会社テンジン(Tenjin)では 2026 年 4〜6 月の iOS の広告収益の取り分が 44%(前期 39%)で、ミンテグラル 16%・ユニティ 14% を引き離す。第三は資本効率で、設備も在庫も要らず、純利益の大半を株主に返せる(ROIC は約 114%)。
弱いのは 4 点。第一に配信に使う識別子(広告 ID)をアップルやグーグル、メタなどのプラットフォームの規約の中で使えていることが前提で、空売り各社は規約に反する抽出があると主張している(会社は否定。米国の証券当局の任意の照会は措置の勧告なしで終了と決算説明で述べた)。第二にゲームの伸びが 1 桁に鈍り、Android ではグーグルのアドモブ(25%)が首位で、アップラビン(23%)は迫る立場にすぎない。第三に消費者向けは少数の広告主に偏り、メタ・グーグルのような巨大な広告網と正面から競う。第四にモデルの改善の時期で四半期の売上が振れ、2026 年 4〜6 月に予想を割った。株価も 2022 年の利上げ局面で 89% 下がっており、倍率の振れが極端に大きい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ゲームの広告は、ゲームのアプリ集客に使われる世界の広告費が約 250 億ドル(AppsFlyer、2025 年)、ゲーム側の広告収益が約 120 億ドル(Sensor Tower)という規模で、数量は実質で年 3% ほど伸びると置いた(本分析では広告主の支出 250 億ドルを市場の物差しにした)。アップルの追跡制限(ATT)以降、少ない手がかりで当てる AI の力が差になり、アップラビンが iOS で首位に立った。競合は、広告収益化と集客の両方を持つユニティ(Unity、新配信 Vector)、中国系のミンテグラル、集客専業のモロコ(Moloco、年換算売上 10 億ドル超)、Android の枠を握るグーグル。会社も、Android は「グーグル・プレイを持つ巨大企業」が動いて競争が厳しいと述べている。
消費者向けは世界の広告費(約 1.1〜1.3 兆ドル、うちデジタルが約 7 割)のうち、通販など成果で測る広告が相手で、本分析では約 4,500 億ドルと推定した。メタは 2026 年にデジタル広告だけで約 2,400 億ドルを売る見込みで、グーグル、アマゾン、ティックトックも並ぶ。アップラビンの武器は、アプリ集客で鍛えた「反応を当てる AI」と、広告主にとっての成果の分かりやすさ。弱みは、自社の利用者データを持たず、広告主向けの制作支援や知名度が弱い点で、会社自身が知名度の低さを認める。
循環でいえば、広告は景気の谷で絞られる(2008〜09 年、2022 年)。今は、成長が 50% 台から鈍る入口にいて、倍率はすでに大きく縮み、成長の質(ゲーム以外で伸ばせるか)が問われている。
資本政策と M&A
還元は自社株買いが中心で配当はない。2025 年は自社株買い 21.9 億ドル、2026 年 1〜3 月に約 10 億ドル、4〜6 月に 5.5 億ドル(4〜6 月の鈍化は、国際の税と利払いの時期で FCF が小さかったため)。残りの枠は約 18 億ドル。株式報酬は年 2.1 億ドル(売上の 4% 弱)で、オーナー利益は株式報酬を費用として見る。借金は 37 億ドル、現金は 30.5 億ドルで、純負債は EBITDA の 0.1 倍。会社は長期に 1 倍前後まで借りる運営を目標にするが、本分析では純負債を今の水準に保つ前提で書いた(借りて買い戻すのは価値を増やさず金利を払うだけなので、増やした分は織り込まない)。
M&A は、2025 年 6 月にアプリ(ゲーム制作)事業をトリプルデイへ売った(現金約 4.3 億ドルと同社株約 20%、合計 7.2 億ドル)。広告専業に絞り、資本を配信 AI に集める判断で、のれんや買収に頼らない成長の形は評価できる。買う側としての大型買収の話は見当たらない。空売り報告や規制の話題が続く中で、会社の説明が裏付けられ続けるかは、株主が見ておく点である。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
アップラビンの配信 AI は、ゲームで実証された。1 インストールあたりの収益は 2026 年 1〜3 月に前年の 1.9 倍、インストール数が減っても売上は 59% 増えた。同じ AI が、ネット通販の広告主にも効いている。4〜6 月の消費者向けの広告主の支出は 2025 年 10〜12 月より 28% 多く、セルフサーブは 6 月に一般公開された。メタ・グーグルは広告主が自社の中だけで広告を出す前提の大きな囲い込みだが、アップラビンは「広告枠を持つ側(MAX)」と「出す側」の両方の反応が見えるので、ゲームで見えた『反応から次の反応を当てる』力が、通販でも使える。
会社は中期に年 30% 前後の伸びを見込み、EBITDA 率は 80% 台前半を保つ。4〜6 月の予想割れはモデルの改善が期末後にずれ込んだだけで、7〜9 月は +46〜48% の見通しに戻る。iOS の取り分は 39% から 44% に上がり、ゲームでも競合(ユニティ・ミンテグラル)から取っている。
財務は軽く、純負債はほぼ 0、利益のほぼ全部を株主に返せる。今の PER 17 倍(2026 年の純利益)は、成長が 1 桁台に落ちる前提に近い値で、通販向けが 5 年続けて倍々で伸びなくても、10 年で利益が 4 倍(中立の純利益 138 億ドル)になり、倍率が利益ベースの正当化 PER の 7 割台に戻るだけで、10 年後の時価総額は今の 1.9 倍になる。
慎重な見方
稼ぎの中身がプラットフォーム次第である。アップラビンの AI は、アップルやグーグルの規約の中で識別子を使えることが前提で、複数の空売り報告(マディ・ウォーターズなど)は、メタやティックトックなどの識別子を規約に反して取り出していると主張した。会社は否定し、証券当局の照会も措置なしで終わったと説明するが、プラットフォーム側が技術と規約で遮断すれば、利益は一気に落ちる。
ゲームの伸びは 1 桁に鈍り、Android ではグーグルが首位でアップラビンは追う側、会社も Android の競争が厳しいと認めた。消費者向けは少数の広告主への依存が大きく、セルフサーブの映像広告の制作が整っておらず、メタ・グーグル・アマゾンの巨大な網と正面から競う。通販の広告主は成果が悪ければ翌月に予算を動かす。モデルの改善が止まれば、4〜6 月のように予想を割る。
自社株買いは 4〜6 月に 5.5 億ドルへ減速し、売上の高い伸びを前提にした株式報酬も大きい。今の PER 17 倍は『伸びる会社』の値段ではなく、2022 年に株価が 89% 下がった会社が、市場から『消えるかもしれない』と見られている値段である。構造の悲観が実現すれば、利益は今の 2 割まで落ちる。
どちらに重みを置いたか
事業の質(利益率・資本の軽さ・iOS の取り分・直近の実績)は強気の見方が強く、持続性(プラットフォームへの依存・規制・消費者向けで本当に取れるか)は慎重な見方が強い。倍率は利益ベースの正当化 PER の 7〜8.5 割(中立の PER 12.3 倍。k 9.5%・長期の g 4.0%・式の ROE 100%(帳簿は 140%))で、リスクは数量・シェア・価格・利益率の置き方と確率で表した。確率は 10 年でやや悲観と悲観を合計 54%(悲観は 24%)と悲観側に寄せた。この会社は将来の幅が広すぎるので、確信度は中程度とする。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 341.32 ドル1,167 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 190.51 ドル651 億ドル)。 今の値に割り戻すと 258.74 ドル885 億ドル、今との差 −2.1%、 期待の年率 +7.2%(資本コスト 9.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 934.47 ドル3,196 億ドル | 363.48 ドル1,243 億ドル | +391.1% | +17.3% | 64.90 ドル222 億ドル |
| やや楽観 | 14% | 680.73 ドル2,328 億ドル | 299.15 ドル1,023 億ドル | +270.8% | +14.0% | 137.18 ドル469 億ドル |
| 中立 | 27% | 496.71 ドル1,699 億ドル | 257.33 ドル880 億ドル | +185.3% | +11.1% | 203.59 ドル696 億ドル |
| やや悲観 | 30% | 190.02 ドル650 億ドル | 156.45 ドル535 億ドル | +31.1% | +2.7% | 103.94 ドル355 億ドル |
| 悲観 | 24% | 34.07 ドル117 億ドル | 58.48 ドル200 億ドル | −65.0% | −10.0% | 22.21 ドル76 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 341.32 ドル1,167 億ドル | 190.51 ドル651 億ドル | +101.2% | +7.2% | 531.82 ドル1,819 億ドル |
今の株価時価総額 264.28 ドル904 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.5% を下回るほど割高。
楽観 5% 楽観:消費者向けがメタ・グーグルの広告主を取り、営業利益率 76% を保つ 利益 230 億ドル · PER 13.9 倍 · 株価時価総額 934.47 ドル3,196 億ドル
2035 年 12 月期、ゲームは市場が実質 1.40 倍になり、取り分も 1.08 倍に上げて売上 98 億ドル(価格は物価の 1.41 倍並み以上)、利益率 80%。消費者向けは市場が実質 1.52 倍(約 6,840 億ドル)の中で取り分が今の 14 倍(約 2.8%)となり、売上 270 億ドル、利益率 74%。メタ・グーグルの広告主の一部を、成果の分かりやすさと設定の簡単さで取る筋書き。合計の売上は 368 億ドル、営業利益 278 億ドル(76%)、純利益 230 億ドル。この規模はメタの今の売上の 1 割台にすぎないが、勝てば利益は今の 4 倍強になる。10 年のうちに識別子の遮断や規制が起きない前提。
- ゲーム(アプリ集客・広告収益化:AppDiscovery・MAX):数量 350(ゲームのアプリ集客の広告費(億ドル・2025 年価格))× 価格 27.9%(1 億ドルの市場あたりのアップラビン売上(億ドル)= シェア × 取り分 × 物価)→ 売上 98 億ドル・営業利益 78 億ドル。ゲーム広告
- 消費者向け(ネット通販・サービスの広告:AppLovin Ads Manager):数量 6,840(通販・消費者向けの成果連動型ウェブ広告の市場(億ドル・2025 年価格))× 価格 3.9%(1 億ドルの市場あたりのアップラビン売上(億ドル)= シェア × 取り分 × 物価)→ 売上 270 億ドル・営業利益 200 億ドル。消費者向け
倍率:正当化 PER:事業の ROE 100.0%(帳簿の自己資本は小さく帳簿の ROE は 140% 超になるので、式の ROE は 100% で打ち止め)、RONIC = k 9.5% + 1/3 ×(ROE 100.0% − k 9.5%)= 39.7%(moat=弱い)、g = 4.0% で (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 16.3 倍。上限の 8.5 割の 13.9 倍に置いた:広告配信の AI が他のアプリにも広がる上振れでも、アップルとグーグルの規約と他社の追随に左右されるので控える。 時価総額 = 純利益 229.9 × 13.9 倍 = 3196 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:消費者向けでメタ・グーグルの広告主を取り、売上が 2026 年の約 4.6 倍になる必要がある(会社の年 30% 前後を 9 年続ける道の半分以下だが、広告基盤としては前例のない伸び)。確率は 5%。
やや楽観 14% やや楽観:消費者向けが定着し、ゲームも首位を保つ 利益 178 億ドル · PER 13.1 倍 · 株価時価総額 680.73 ドル2,328 億ドル
2035 年 12 月期、消費者向けが定着し、取り分は今の 11 倍(約 2.2%)で売上 209 億ドル、利益率 70%(セルフサーブの営業・サポート費用が増えて 4 ポイント下がる)。ゲームは首位を保ち、取り分は 1.03 倍、売上 91 億ドル、利益率 78%。合計の売上は 301 億ドル(年平均 +18.6%)、営業利益 218 億ドル、純利益 178 億ドル。競合に勝てれば利益は今の 3.4 倍になる。メタ・グーグルが同じ種類の AI を作り込めば、取り分はこの水準で止まる。iOS ではユニティ・ミンテグラルを引き離したまま、Android でもグーグルのアドモブと並ぶ位置を守る前提で、10 年のうちに識別子の遮断や規制の大きな打撃は起きない。
- ゲーム(アプリ集客・広告収益化:AppDiscovery・MAX):数量 343(ゲームのアプリ集客の広告費(億ドル・2025 年価格))× 価格 26.6%(1 億ドルの市場あたりのアップラビン売上(億ドル)= シェア × 取り分 × 物価)→ 売上 91 億ドル・営業利益 71 億ドル。ゲーム広告
- 消費者向け(ネット通販・サービスの広告:AppLovin Ads Manager):数量 6,750(通販・消費者向けの成果連動型ウェブ広告の市場(億ドル・2025 年価格))× 価格 3.1%(1 億ドルの市場あたりのアップラビン売上(億ドル)= シェア × 取り分 × 物価)→ 売上 209 億ドル・営業利益 147 億ドル。消費者向け
倍率:正当化 PER:事業の ROE 100.0%(帳簿の自己資本は小さく帳簿の ROE は 140% 超になるので、式の ROE は 100% で打ち止め)、RONIC = k 9.5% + 1/3 ×(ROE 100.0% − k 9.5%)= 39.7%(moat=弱い)、g = 4.0% で (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 16.3 倍。上限の 8 割の 13.1 倍に置いた:強気寄りだが、配信先のアプリの市場とプラットフォームの規約に依存するので控える。 時価総額 = 純利益 177.7 × 13.1 倍 = 2328 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:消費者向けが定着し、10 年で売上が今の 5.5 倍になる筋書き。ゲームの首位も保つ。実現には規制・遮断が起きないことが条件で 14%。
中立 27% 中立:消費者向けは取り分 1.8% で止まり、ゲームは物価並みに伸びる 利益 138 億ドル · PER 12.3 倍 · 株価時価総額 496.71 ドル1,699 億ドル
2035 年 12 月期、ゲームは市場が実質 1.34 倍、アップラビンの取り分は Android の競争で 5% 下がり、価格は物価の 1.41 倍並みで売上 82 億ドル、利益率 75%。消費者向けは市場が実質 1.48 倍(約 6,660 億ドル)、取り分は今の 9 倍(約 1.8%)で売上 169 億ドル、利益率 65%(成長のための営業・サポート費用と計算資源の費用が重く、ゲームより低い)。合計の売上は 251 億ドル、営業利益 172 億ドル(68%)、純利益 138 億ドル。競合のメタ・グーグルは AI の格差を縮めるが、アップラビンはゲームと消費者向けの両方でそれなりの位置を保つ姿。
- ゲーム(アプリ集客・広告収益化:AppDiscovery・MAX):数量 335(ゲームのアプリ集客の広告費(億ドル・2025 年価格))× 価格 24.5%(1 億ドルの市場あたりのアップラビン売上(億ドル)= シェア × 取り分 × 物価)→ 売上 82 億ドル・営業利益 62 億ドル。ゲーム広告
- 消費者向け(ネット通販・サービスの広告:AppLovin Ads Manager):数量 6,660(通販・消費者向けの成果連動型ウェブ広告の市場(億ドル・2025 年価格))× 価格 2.5%(1 億ドルの市場あたりのアップラビン売上(億ドル)= シェア × 取り分 × 物価)→ 売上 169 億ドル・営業利益 110 億ドル。消費者向け
倍率:正当化 PER:事業の ROE 100.0%(帳簿の自己資本は小さく帳簿の ROE は 140% 超になるので、式の ROE は 100% で打ち止め)、RONIC = k 9.5% + 1/3 ×(ROE 100.0% − k 9.5%)= 39.7%(moat=弱い)、g = 4.0% で (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 16.3 倍。上限の 7.5 割の 12.3 倍に置いた:広告の AI は強いが、配信先のアプリの市場とアップル・グーグルの規約に依存し、堀は弱いとして控える。 時価総額 = 純利益 138.1 × 12.3 倍 = 1699 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:市場の伸び・シェア・価格を素直に置いた落としどころ。消費者向けの取り分が 1.8% で止まり、全体の利益率が 68% に下がる(競合に費用を使わせる)筋書き。27%。
やや悲観 30% やや悲観:競合に取られ、利益が 10 年かけて横ばい 利益 57 億ドル · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 190.02 ドル650 億ドル
2035 年 12 月期、ゲームでユニティ・モロコ・グーグルに取られ、取り分が今の 0.75 倍で売上 61 億ドル、利益率 68%。消費者向けは取り分が 0.7%(今の 3.5 倍)にとどまり、メタ・グーグルのほうが成果が良いと広告主が判断し、売上 62 億ドル、利益率 50%。合計の売上は 123 億ドル、営業利益 72 億ドル、純利益 57 億ドル(2026 年の約 52 億ドルから 10 年でほぼ横ばい、物価を考えると実質では 2 割減)。配信 AI の優位が一時的だった場合の姿で、会社は優良な企業から普通の広告会社に落ち着く。
- ゲーム(アプリ集客・広告収益化:AppDiscovery・MAX):数量 313(ゲームのアプリ集客の広告費(億ドル・2025 年価格))× 価格 19.4%(1 億ドルの市場あたりのアップラビン売上(億ドル)= シェア × 取り分 × 物価)→ 売上 61 億ドル・営業利益 41 億ドル。ゲーム広告
- 消費者向け(ネット通販・サービスの広告:AppLovin Ads Manager):数量 6,300(通販・消費者向けの成果連動型ウェブ広告の市場(億ドル・2025 年価格))× 価格 1.0%(1 億ドルの市場あたりのアップラビン売上(億ドル)= シェア × 取り分 × 物価)→ 売上 62 億ドル・営業利益 31 億ドル。消費者向け
倍率:正当化 PER:事業の ROE 100.0%(帳簿の自己資本は小さく帳簿の ROE は 140% 超になるので、式の ROE は 100% で打ち止め)、RONIC = k 9.5% + 1/3 ×(ROE 100.0% − k 9.5%)= 39.7%(moat=弱い)、g = 4.0% で (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 16.3 倍。上限の 7 割の 11.4 倍に置いた:規約の変更と競合で利益の質が落ちる筋書き。 時価総額 = 純利益 57 × 11.4 倍 = 650 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:競合(メタ・グーグル・ユニティ・モロコ)に取られて利益が 10 年かけて横ばいに近づく筋書き。配信 AI の優位が一時的だったという見方で、確率を最も厚い 30% に置いた。
悲観 24% 悲観:識別子の遮断・規制で、優良な事業ではなくなる 利益 11 億ドル · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 34.07 ドル117 億ドル
2035 年 12 月期、識別子の遮断・罰則・規制のいずれかが起き、配信の優位が失われる。ゲームは取り分が今の 0.35 倍に下がり売上 24 億ドル、利益率 50%。消費者向けは取り分が今の 0.8 倍(0.16%)に縮み、売上 13 億ドル、利益率 25%。合計の売上は 36 億ドル(今の 3 分の 2)、営業利益 15 億ドル、純利益 11 億ドル。空売り各社の主張が事実と認められる場合に近い姿で、もう優良な事業ではなく、時価総額は今の 2 割を割る。2026〜2028 年の高い利益(年 50 億ドル前後)は配当と自社株買いで株主に返し終えており、期間の還元の合計は 2035 年の純利益の 10 倍を超える(現金や資産の売却ではなく、過去の利益から払う)。10 年の純利益の累計は約 201 億ドル(2026 年 約 48、2027 年 約 36、2028 年 約 19 億ドルで 3 年の累計は約 103 億ドル。その後は 18 億ドルから 11 億ドルへ毎年 1〜2 億ドルずつ細る)。減損・売却益は置かない。年ごとの内訳は道筋から仮に置いた。
- ゲーム(アプリ集客・広告収益化:AppDiscovery・MAX):数量 263(ゲームのアプリ集客の広告費(億ドル・2025 年価格))× 価格 9.0%(1 億ドルの市場あたりのアップラビン売上(億ドル)= シェア × 取り分 × 物価)→ 売上 24 億ドル・営業利益 12 億ドル。ゲーム広告
- 消費者向け(ネット通販・サービスの広告:AppLovin Ads Manager):数量 5,625(通販・消費者向けの成果連動型ウェブ広告の市場(億ドル・2025 年価格))× 価格 0.2%(1 億ドルの市場あたりのアップラビン売上(億ドル)= シェア × 取り分 × 物価)→ 売上 13 億ドル・営業利益 3 億ドル。消費者向け
倍率:正当化 PER:事業の ROE 50.5%(帳簿の自己資本に対する純利益)、RONIC = k 9.5% + 1/3 ×(ROE 50.5% − k 9.5%)= 23.2%(moat=弱い)、g = 4.0% で (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 15.0 倍。上限の 7 割の 10.5 倍に置いた:識別子の遮断・規制で優良な事業ではなくなる、構造的に負ける筋書き。 時価総額 = 純利益 11.1 × 10.5 倍 = 117 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:識別子の遮断・罰則・規制で、配信の優位が失われ「もう優良ではなくなる」筋書き。空売り各社の主張が事実と認められる場合を含む。2022 年に株価が 89% 下がった会社で、依存先が少数の巨大企業であることから 24% と厚くした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
ゲーム(アプリ集客・広告収益化:AppDiscovery・MAX)
ゲームのアプリ広告を配信する基盤。広告主のアプリ集客と、アプリ開発者の広告収益化(MAX)の両側を持つ。
| 数量ゲームのアプリ集客の広告費(億ドル・2025 年価格) | 価格1 億ドルの市場あたりのアップラビン売上(億ドル)= シェア × 取り分 × 物価 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 250 | 18.3% | 46 | 36 |
| 10 年後 中立 | 335 | 24.5% | 82 | 62 |
取り方:2025 年の売上 54.8 億ドルのうちゲームを約 45.8 億ドル(84%)と推定(部門別は開示がなく、2026 年 4〜6 月に会社が『ゲームが過半・伸びは 1 桁』と述べたことと、消費者向けの立ち上がりから逆算)。市場はゲームのアプリ集客に使われる世界の広告費 約 250 億ドル(AppsFlyer、2025 年)。シェア × 取り分は売上 ÷ 市場で 0.1832。競合はユニティ・ミンテグラル・モロコ・グーグル(アドモブ)・メタ。営業利益率は 78.5% と推定(全社 76.4%)。
消費者向け(ネット通販・サービスの広告:AppLovin Ads Manager)
ゲーム以外の広告主(通販など)が、ウェブとアプリで成果連動の広告を出すためのセルフサーブの基盤。2026 年 6 月に一般公開。
| 数量通販・消費者向けの成果連動型ウェブ広告の市場(億ドル・2025 年価格) | 価格1 億ドルの市場あたりのアップラビン売上(億ドル)= シェア × 取り分 × 物価 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 4,500 | 0.2% | 9 | 6 |
| 10 年後 中立 | 6,660 | 2.5% | 169 | 110 |
取り方:2025 年の消費者向けを約 9 億ドル(全体の 16%)と推定(開示なし。2025 年半ばに会社が年換算 10 億ドルと述べた立ち上がりから)。市場は世界のデジタル広告(約 7,300〜9,500 億ドル)のうち、通販など成果で測る広告(検索・SNS・マーケットプレイスを含む)を約 4,500 億ドルと推定。取り分は売上 ÷ 市場で 0.2%。競合はメタ・グーグル・アマゾン・ティックトック。営業利益率は 66% と推定(立ち上げ期で営業・サポートの費用が重い)。
リスクと懸念
プラットフォームによる識別子の遮断・規約違反の認定
アップルとグーグル(OS)、メタなどの規約の範囲で広告 ID や反応のデータを使えることが、配信 AI の前提になっている。空売り各社は規約に反する抽出があると主張し(会社は否定)、証券当局の任意の照会は措置なしで終わったと会社は説明した。遮断や罰則が出れば、ゲームも消費者向けも同時に崩れる。10 年の悲観の中心。
ゲームの成熟と Android の競争
ゲームの伸びは 2026 年 4〜6 月に 1 桁へ鈍り、12 四半期で初めてだった。Android ではグーグルのアドモブが首位(25%)、アップラビンは 23%、会社も競争が厳しいと認める。ユニティの新配信やモロコの伸びで、ゲームのシェアの 1 割を失うだけで売上が大きく動く。
消費者向けが想定ほど伸びない
消費者向けの広告主の支出は少数の広告主に集中し、セルフサーブの小規模向けは映像広告の制作が弱点。メタ・グーグル・アマゾン・ティックトックが相手で、広告主は成果が悪ければすぐ予算を動かす。10 年の中立の売上の 7 割がここから来るため、外れると全体の姿が変わる。
モデルの改善の時期と、計算資源の費用
2026 年 4〜6 月はモデルの改善が期末後にずれ込み、予想を割った。会社は「毎四半期に改善がある保証はない」と述べた。学習のための計算資源の費用が増え、調整後 EBITDA の流入率は前期比 70% に下がった。利益率が 8 割台から落ちる方向の要因。
景気後退で広告が絞られる
広告は景気の谷で真っ先に絞られる。アプリの広告主は成果連動で毎日予算を動かすため、後退の影響が早い。2022 年は利上げで株価が 89% 下がった。
株式報酬と自社株買いの質
株式報酬は 2025 年に 2.1 億ドル(売上の 4% 弱)。自社株買いは 2025 年に大きく、2026 年 4〜6 月は 5.5 億ドルに減速した。株価が高い時に多く買い、安い時に買えない運用になれば、株主の価値を壊す。株式報酬は費用として純利益に入れているが、株数の増えた分を打ち消すだけの買い戻しが続くかは見ておく。
今後の分かれ目
- 消費者向けの広告主の支出が 2 四半期続けて前期比 10% 以上伸び、広告主の数が増えたら
- セルフサーブが小規模まで広がっている合図。10 年の楽観・やや楽観の確率を上げ、消費者向けの取り分を 1〜2 割上げて見直す。
- プラットフォーム(アップル・グーグル・メタ)が識別子や規約を締め、アップラビンが配信から外される、または罰則が出たら
- 構造の悲観が現実になる合図。悲観・やや悲観の確率を上げ、ゲームの取り分を 3 割下げて見る。
- ゲームの伸びが 2 年続けて 1 桁で、iOS の取り分が 40% 台から落ち始めたら
- 配信 AI の優位が縮んでいる合図。ゲームの取り分を下げ、やや悲観の確率を上げる。
- 調整後 EBITDA 率が 83% を下回り、計算資源の費用が売上の伸びを超えて増えたら
- AI の優位を保つための費用が重くなっている合図。10 年の営業利益率を 3〜5 ポイント下げて見る。
- 株価が今の水準より下がった局面で、自社株買いを 4〜6 月より増やしたら
- 経営が割安と見ている合図。資本配分の評価を上げる。逆に高値で買い続けるなら評価を下げる。
- 会社の予想を 2 四半期続けて下回ったら
- 需要の問題か、モデルの時期の問題かを見極め、需要なら中立の確率を下げて悲観側に寄せる。
見ておくもの
- 消費者向けの広告主の支出と広告主の数、セルフサーブの開放後の動き
- ゲームの売上の伸び、iOS・Android のシェア(テンジンなど)、ユニティ・モロコの伸び
- 調整後 EBITDA 率と計算資源の費用、四半期ごとの会社予想との差
- アップル・グーグル・メタの規約・識別子の扱いの変更と、証券当局・規制当局の動き
- 自社株買いの額と株数、株式報酬の比率
- 空売り報告への反論と、会社の説明の裏付け
倍率と資本コストの決め方
今の時価総額 889 億ドルや PER 17 倍を見る前に、2 つの部門で数量(市場の実質規模)と価格(シェア × 取り分 × 物価、10 年 1.41 倍)を置き、利益率を積み上げた。倍率は利益ベースの正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)、k 9.5%(基本 8.0% + quality 1.5%)、ROE は 100% 打ち止め(帳簿は 140〜150%)、堀は弱い(RONIC 40%)、g 4.0%。中立は上限 16.3 倍の 7.5 割の 12.3 倍。3 年の値付けは使わず、10 年だけで測った。10 年の悲観は上限の 7 割。総合は -3%(適正)。今の値段に寄せた置き方はしていない。
資本コスト 9.5% = 無リスク金利 5% + β 1.80 × 5%。k = 基本 8.0% + quality 1.5% = 9.5%(β は使わない)。広告の循環(+0.5)、入札で価格が決まる値決め力の弱さ(+0.5)、単一の配信エンジンと配信先の規約に事業が乗る寿命の不安(+0.5)。純負債は時価総額の 1.2% で借金は 0、存続の危機ではないので上乗せは置かない。プラットフォームによる遮断・規制・空売りの主張・消費者向けの実行は、k に重ねず筋書き(数量・シェア・価格・利益率)と確率(やや悲観と悲観を 10 年で 54%)で表した。
同じ業種(情報技術)の AI 分析
読んだ資料
- AppLovin 2026 年 4〜6 月期(第 2 四半期)決算説明の記録(売上・EBITDA・自社株買い・見通し・競争)
- AppLovin 2026 年 4〜6 月の決算説明のハイライト(消費者向けの支出・セルフサーブ・SEC 照会の終了)
- AppLovin 2026 年 1〜3 月期 10-Q(売上 +59%・1 インストールあたり収益 +93%)
- セルフサーブの一般公開(2026 年 6 月)の説明
- アプリ事業のトリプルデイへの売却完了(2025-06-30)
- テンジン:モバイルゲームの広告網のシェア(2026 年 4〜6 月)
- アドモネ:モバイル広告網の 2026 年の状況(モロコ・ユニティ)
- AppsFlyer:ゲームのアプリ集客の支出 約 250 億ドル(2025 年)
- SEC 照会の報道(CNBC、2025-10)と空売り報告(24/7 Wall St、2026-01)