結論
ガートナーは IT・事業の意思決定者に調査と助言を年間契約で売る世界最大の調査会社で、2025 年の売上は 65 億ドル(調査 78%、会議 10%、コンサル 9%)。契約価値は 51.6 億ドルで、2025 年は +1% と 10 年続いた年 12% の伸びが止まった。筆者の結論は割高で、調査を席課金型として AI の回答による置き換えを数量と価格に直接入れた。
顧客維持率は 85% で、解約率 5% 未満という堀の証拠には届かず、wallet retention(既存顧客の契約価値の維持率)も 2024 年末の 102〜106% から 97〜98% に落ちた。同業のフォレスターは契約価値 −6%・赤字に陥っている。そこで調査(売上の 78%)は席型として、数量を今の0.80倍、価格を物価に届かない1.10倍とした。会議は対面の現場で AI の影響が小さく0.95倍、コンサルは人月型で0.70倍。AskGartner など自社の AI 製品の売上の金額開示は確かめられなかったので、楽観でも数量は今を超えない。
中立の売上は今の0.91倍の56.8億ドル、純利益は6.2億ドル。費用の半分を占める本社・技術・償却は固定的で、売上が縮むと利益が増幅して落ちる。k は基本 8.0% に景気・借金・寿命の上乗せ+1.50%で9.50%、g は 0% で倍率は10.5倍。やや悲観と悲観の確率は合わせて37%。本質価値は 50.7億ドル、今の時価総額 137億ドル に対して-63%で、評価は割高。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、経営幹部の判断の保険として買われる調査は、10 年後も存在する可能性は高い。しかし顧客維持率は 85%、wallet retention は 97〜98% で、乗り換えが難しい記録の正本とは言えない。AI が助言を複製する世界で、堀はブランドと分析者の層にとどまり、同業のフォレスターの縮小が、堀が一様に強くない例になっている。
オーナー利益は純利益 7.3 億ドルだが、これは自社株買いで自己資本を削り、借入で補ってきた結果と合わせて見る必要がある。2026 年上期にすでに実行した 10.8 億ドルの自社株買いは自己資本の起点から引いた。費用の半分は固定的で、売上が縮むと利益は増幅して落ちる。
本質価値は 50.7億ドル で、今の時価総額 137億ドル に対して-63%。10 年後の利益への確信は低く、安全域は見込めない。
何で稼ぐ会社か
売上は 3 つに分かれる。調査(Insights・2025 年の売上 50.7 億ドル・粗貢献率 77%)は、CIO・事業部門の責任者に年間契約で調査・助言・同業比較(ベンチマーク)を売る。買い手は経営幹部とその 1〜3 階層下で、契約は企業単位、77% が複数年。契約価値は技術部門向け(GTS)39.1 億ドルと事業部門向け(GBS)12.5 億ドル。顧客は 90 か国の 1.3 万社超で、1 社あたりの契約価値は約 39 万ドル。席数は開示されておらず、この分析では 22 席/社と推定した。
会議(2025 年の売上 6.4 億ドル・粗貢献率 50%)は、IT 責任者向けのシンポジウムなど対面の会議で、出展料とスポンサー、参加費で稼ぐ。2025 年は 53 会議・参加者 8.3 万人で、2026 年は同一会議の伸びが +9〜12%、第 2 四半期の粗貢献率は 59.5%。コンサル(5.5 億ドル・粗貢献率 34%)は調査の知見を使った個別の助言で、約 920 人。2026 年は売上が第 1 四半期 −15%、第 2 四半期 −8.8% と縮んだが、受注残は 1 年超ぶりに増えた。
このほか Digital Markets(ソフトの比較サイト。売上 2.3 億ドル)は 2025 年に 1.5 億ドルののれんを減損し、2026 年 2 月に約 1.1 億ドルで売却した。費用の構造は、調査の粗貢献(分析者・営業の費用を除いた後)が 39 億ドルあるのに対し、本社・技術・償却・株式報酬などの費用が約 32 億ドルあるため、売上の 1% が動くと営業利益は約 4% 動く。営業利益の振れを決めるのは、席と価格と固定費の組み合わせである。
優良さと弱いところ
堀は 3 つある。第一はブランドと分析者の層で、「ガートナーが推奨した」ことが購買の稟議の根拠になるため、顧客は経営幹部の判断の保険として買う。第二は契約の積み上げで、複数年が 77%、顧客維持率は 85%、10 年で契約価値が年 12% 伸びた実績がある。第三は営業網で、約 90 か国で 51 万回超の顧客との接触を持つ。調査の粗貢献率が 77% に達するのは、一度作った分析を多くの顧客に売れる規模の経済による。
ただし堀は切り替えの費用ほどは固くない。調査は解約が年 1 回しか来ず、顧客は予算の逼迫で席を絞れる。2025 年に wallet retention(既存顧客の契約価値の維持率)が 102〜106% から 97.5% に落ちた事実は、新規が入っても既存の席が削られたことを示す。同業のフォレスターは 2025 年に契約価値 −6%・売上 −8%・赤字(減損を含む)に陥り、2026 年も売上 −9〜13% の見通しで、AI 時代に調査会社の堀が一様に強いとは限らない例になっている。ガートナーは 2025 年に AI の調査検索ツール(AskGartner)を始めたが、これが席を増やすのか席を代替するのかはまだ読めない。
資本効率は見かけが極端に高い。自己資本は 3.2 億ドル、帳簿の ROE は 228%、ROIC(2025 年は税引き後営業利益 約 8 億ドル ÷ 資本 19.5 億ドル)は 4 割台。これは前受の契約代金(繰延収益)が運転資金を賄うためで、実際に事業が少ない元手で回る証拠だが、自社株買いで自己資本を削った結果でもある。弱点は、固定費が重いために売上が動くと利益が増幅して動くこと、米連邦(契約価値 約 1.25 億ドル)への依存、買い戻しが借入に頼っていることである。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ガートナーの市場は、企業の IT・事業の意思決定に対する調査と助言で、世界の IT 支出(ガートナー自身は 2026 年に 10.8% 増と予測)に比べて小さく、調査だけで契約価値 50 億ドル台。競合は同業のフォレスター(契約価値 2.83 億ドル・2026 年第 2 四半期は −3%)、IDC(非上場)、アクセンチュアなどのコンサル会社が無償または別課金で出す調査、そして近年は AI(大規模言語モデル)が加わった。会社の説明では AI は「顧客需要の最大の源」で、顧客は IT 予算を AI へ移し、ガートナーはその一部を取る立場にある。
循環のどこにいるか。2025 年は米連邦の支出削減(DOGE)と関税による裁量支出の抑制で、契約価値が +1% に落ちた。連邦分は 2025 年の売上で約 0.58 億ドル減り、2026 年第 2 四半期に連邦の CV は約 1.25 億ドルまで縮み、除くと +3.3% に戻った。新規は GTS が +2%、GBS が −5% と、事業部門向けがまだ弱い。第 2 四半期の顧客維持率は 85.2%(前年 84.6%)、wallet retention は 98.2%(前期 97.7%、前年 101.3%)で、底打ちに入ったが、2024 年末の 102〜106% には遠い。
構造の変化は、席数課金のソフトと同じ問題を調査も抱える点にある。AI が調査の回答を安く出せば、席ごとの契約より使用量や成果の契約へ寄る。経営陣は、買い手が経営幹部とその直下で、人員削減の対象になりにくいと説明するが、顧客が席を減らす圧力は残る。会議は AI と無縁で、対面の人の集まりとして +10% 台で伸びており、コンサルは縮んでいる。分かれ目は、AI が調査の「検索」を安くしても、経営幹部が購買の稟議の根拠として使う「推奨」の価値は残るかどうかである。
【AIエージェント代替】調査・助言の席課金は、AI が助言を複製できるほど置き換えられやすい。10 年の中立は売上が今の0.91倍になると置き、世界の IT 支出の成長は個別評価では採らない。
資本政策と M&A
資本政策は買い戻し主体で、配当は出していない。2025 年は 7.0 百万株を 20 億ドルで買い戻して株数が 8% 減り、2026 年は第 1 四半期 5.35 億ドル、第 2 四半期 5.47 億ドルと続けている(7 月に買い戻しの枠を 5 億ドル追加)。純利益 7.3 億ドルの約 2.7 倍にあたる額で、足りない分は借入と手元の現金で賄うため、自己資本は 3.2 億ドルまで小さくなった。株式報酬は年 1.6 億ドルで、株数の増加を打ち消す分は還元から引いて見る。
借金は 30 億ドルの社債(満期は 2028〜2035 年の 5 本。初の投資適格債を 2025 年に発行)で、現金 17.2 億ドル、純負債 16.3 億ドル、純利息は年 0.6 億ドル。EBITDA(16.1 億ドル)の約 1.0 倍と軽いが、買い戻しを利益以上に続けると純負債は増える。借り換えは新しい金利(約 5.75%)で織り込み、中立の 10 年で純負債は約 38 億ドル(EBITDA の約 1.7 倍)まで増える見込み。M&A は小さく、2026 年 2 月に Digital Markets を売却して事業を絞った。会社は 3 年の調整後 EPS の年 12% 超の成長を目標にし、買い戻しがその大半を担う。ガートナー自身が買われる可能性は、130 億ドルの規模から小さいと見る。
2026 年に決算期末後すでに実行した自社株買い 10.8 億ドル(10-Q・2026 年 1〜6 月)は、今の株数(時価総額)に反映済みなので、10 年の還元には数えず、自己資本の起点(-7.6 億ドル)からも外した。
【還元の置き方】10 年の還元は純利益の累計の約 90% と置いた(自社株買いが中心。残り10%は小型買収と借金の返済)。残らない分は、伸びが止まる中立の筋書きでは成長に回す元手が要らないため返す。株式報酬は GAAP の純利益ですでに費用として引いている。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
底は打った。契約価値は 2026 年第 1 四半期の +1% から第 2 四半期の +1.7% へ、米連邦を除くと +3.3% に加速し、wallet retention は 97.7% から 98.2%、顧客維持率は 85.2% と過去の高値圏にある。新規の GTS は +2%、受注残の増えたコンサルと同一会議が +12% の会議が加わり、会社は調整後 EBITDA・EPS・FCF の見通しを 2 期続けて引き上げた。AI は「顧客需要の最大の源」で、顧客が IT 予算を AI へ移す中、ガートナーは AI 導入の助言という新しい需要を取れる。
調査の粗貢献率は 77% と高く、席が 1% 戻るだけで営業利益が約 4% 増える。米連邦の落ち込み(契約価値 約 1.25 億ドル)が一巡すれば、数字の上で全体の伸びが 1 ポイント以上上がる。買い戻しは 2025 年に株数を 8% 減らし、2026 年第 2 四半期だけで 5% 超減らした。調整後 EPS を年 12% 超伸ばす経営目標は、売上が 3% 伸びれば買い戻しだけでほぼ届く。今の PER 約 19 倍は過去の中央値 37 倍の半分で、AI の懸念が過剰に織り込まれている。
同業を見れば違いは明らかで、フォレスターは契約価値 −6%・赤字、ガートナーは契約価値の増加・粗貢献率 77%・EBITDA 率 25% と別の会社。ブランドと分析者の層に規模の経済が効くため、調査会社の中でガートナーだけが AI 時代の「推奨」の役を担える。
慎重な見方
AI が調査の「検索」を置き換える最初の標的がガートナーだ。経営幹部の質問の多くは、AI が公開情報とガートナーの過去の調査を合わせて答えられる。顧客は更新時に席を絞り、価格の値上げを拒む。実際に wallet retention は 2024 年末の 102〜106% から 2025 年に 97.5%、2026 年第 2 四半期も 98.2% と 100% を下回り続け、既存の顧客の契約が毎年縮んでいる。新規の GBS は −5% で、事業部門向けは新しい顧客を取れていない。
改善は見かけだ。第 2 四半期の CV の加速には米連邦の「数字の上の」反転が効いており、米連邦除きの +3.3% は 2025 年の +4% より低い。調整後 EPS の伸びは買い戻しで作ったもので、純利益そのものは 2025 年に 42% 減り、2026 年の純利益も 2024 年の 12.5 億ドル(税の特別の恩恵を含む)に届かない。純利益の 2.7 倍の買い戻しを借入で賄い、自己資本は 3.2 億ドル、第 2 四半期の末にはさらに薄い。固定費が重いので、売上が 5% 縮めば営業利益は 2 割以上縮む。
同業のフォレスターが 2026 年も売上 −9〜13% の見通しという事実は、調査会社が AI の下で縮む先例になっている。10 年の悲観では、顧客企業が 3 割減り、席が 4 割減り、売上が半分になり、優良な会社でなくなる。 AI の回答が調査を置き換えれば、費用の半分を占める固定費の重さで利益が増幅して落ちる。
どちらに重みを置いたか
強気は 2026 年第 2 四半期の契約価値の加速と粗貢献率 77%、フォレスターとの違いを言い、慎重は維持率 85% と wallet retention の低下、AI による席の削減、固定費の重さによる利益の増幅を言う。堀の証拠が揃わないので g は 0% とし、調査は席型の数量と価格で引いた。やや悲観と悲観を合わせて37%。AI 代替は数量・価格に主に入れ、k では寿命の上乗せ(1.0%)にとどめた。結論は割高。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 85.94 ドル57 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 65.44 ドル44 億ドル)。 今の値に割り戻すと 76.25 ドル51 億ドル、今との差 −65.3%、 期待の年率 −3.7%(資本コスト 9.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 126.61 ドル84 億ドル | 87.22 ドル58 億ドル | −2.6% | −0.3% | 14.97 ドル10 億ドル |
| やや楽観 | 19% | 112.18 ドル75 億ドル | 81.20 ドル54 億ドル | −11.9% | −1.3% | 36.74 ドル24 億ドル |
| 中立 | 37% | 97.44 ドル65 億ドル | 73.68 ドル49 億ドル | −22.1% | −2.5% | 63.32 ドル42 億ドル |
| やや悲観 | 24% | 65.26 ドル43 億ドル | 57.14 ドル38 億ドル | −44.3% | −5.7% | 29.38 ドル20 億ドル |
| 悲観 | 13% | 31.13 ドル21 億ドル | 22.56 ドル15 億ドル | −75.6% | −13.1% | 6.98 ドル5 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 85.94 ドル57 億ドル | 65.44 ドル44 億ドル | −31.1% | −3.7% | 151.38 ドル101 億ドル |
今の株価時価総額 219.57 ドル146 億ドル(2026-10-21)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.5% を下回るほど割高。
楽観 7% AI を取り込み、席が減らず契約価値が戻る 利益 8 億ドル · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 126.61 ドル84 億ドル
AskGartner など AI を組み込んだ調査が席を保ち、契約価値が戻る最良の筋書き。AI の売上の金額開示は確かめられないので、調査の数量は今の0.92倍が上限。売上は67.4億ドル、純利益は8.0億ドル。 内訳は調査=数量0.92倍・価格1.15倍・利益率76.7%、会議=数量1.00倍・価格1.30倍・利益率51.0%、コンサルティング=数量0.81倍・価格1.20倍・利益率33.5%。 この筋書きの確率は7%。結果は、売上が今の1.08倍の67.4億ドル、営業利益12.0億ドル、純利益8.0億ドル、自己資本11.0億ドル、10年の正味の還元58.0億ドル、時価総額84.2億ドル(PER10.5倍)。
- 調査(Insights):数量 269(席数(千席)= 顧客企業数 × 1 社あたり席数)× 価格 0.20(1 千席あたりの年間売上(億ドル)= 席単価)→ 売上 54 億ドル・営業利益 41 億ドル。数量0.92倍・価格1.15倍・営業利益率76.7%(席課金型)
- 会議(Conferences):数量 83.0(参加者数(千人))× 価格 0.10(1 千人あたりの売上(億ドル))→ 売上 8 億ドル・営業利益 4 億ドル。数量1.00倍・価格1.30倍・営業利益率51.0%(現場・運用益など(AI の影響が小さい))
- コンサルティング:数量 741(コンサルタント数(人))× 価格 0.01(1 人あたり売上(億ドル))→ 売上 5 億ドル・営業利益 2 億ドル。数量0.80倍・価格1.20倍・営業利益率33.5%(人月型)
倍率:10年より先の名目の伸びg=0.00%(人月・席の型は0%以下。実質の縮みは10年の数量に入れ済み)で、利益を全部株主に分ける形の正当化PER=1÷(k−g)=1÷(9.5%+-0.00%)=10.5倍(事業のROE73.6%)。純利益はGAAP(株式報酬は費用)。AIエージェント代替はgと別に数量・k・確率へ入れ済みで、PERの上に割引は重ねない。
確率:AI の売上の金額開示がなく、楽観でも数量は上限を抑えた。7%。
やや楽観 19% 米連邦の落ち込みが一巡し、席の減りが緩やか 利益 7 億ドル · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 112.18 ドル75 億ドル
米連邦の予算の落ち込みが一巡し、調査の契約価値が底打ちする筋書き。調査は数量0.86倍・価格1.13倍と席の減りが緩やかで、会議は0.97倍まで戻る。AI の回答が助言を置き換える動きは続くが、更新の見送りは中立より少ない。売上は62.4億ドル、営業利益は10.7億ドル、純利益は7.1億ドル。 内訳は調査=数量0.86倍・価格1.13倍・利益率75.9%、会議=数量0.97倍・価格1.29倍・利益率50.6%、コンサルティング=数量0.75倍・価格1.18倍・利益率33.1%。 この筋書きの確率は19%。結果は、売上が今の1.00倍の62.4億ドル、営業利益10.7億ドル、純利益7.1億ドル、自己資本10.0億ドル、10年の正味の還元54.0億ドル、時価総額74.6億ドル(PER10.5倍)。
- 調査(Insights):数量 252(席数(千席)= 顧客企業数 × 1 社あたり席数)× 価格 0.20(1 千席あたりの年間売上(億ドル)= 席単価)→ 売上 49 億ドル・営業利益 38 億ドル。数量0.86倍・価格1.13倍・営業利益率75.9%(席課金型)
- 会議(Conferences):数量 80.9(参加者数(千人))× 価格 0.10(1 千人あたりの売上(億ドル))→ 売上 8 億ドル・営業利益 4 億ドル。数量0.97倍・価格1.29倍・営業利益率50.5%(現場・運用益など(AI の影響が小さい))
- コンサルティング:数量 692(コンサルタント数(人))× 価格 0.01(1 人あたり売上(億ドル))→ 売上 5 億ドル・営業利益 2 億ドル。数量0.75倍・価格1.18倍・営業利益率33.1%(人月型)
倍率:10年より先の名目の伸びg=0.00%(人月・席の型は0%以下。実質の縮みは10年の数量に入れ済み)で、利益を全部株主に分ける形の正当化PER=1÷(k−g)=1÷(9.5%+-0.00%)=10.5倍(事業のROE68.6%)。純利益はGAAP(株式報酬は費用)。AIエージェント代替はgと別に数量・k・確率へ入れ済みで、PERの上に割引は重ねない。
確率:底打ちが続く筋書き。2026 年第 2 四半期の契約価値は加速した。19%。
中立 37% 席が静かに減り、価格も物価に届かない 利益 6 億ドル · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 97.44 ドル65 億ドル
AI の回答が調査の一部を置き換え、調査は数量0.80倍・価格1.10倍、会議は0.95倍、コンサルは0.70倍。固定費の重さで利益率は下がる。売上は56.8億ドル、営業利益は9.2億ドル、純利益は6.2億ドル。 内訳は調査=数量0.80倍・価格1.10倍・利益率75.2%、会議=数量0.95倍・価格1.25倍・利益率50.0%、コンサルティング=数量0.70倍・価格1.15倍・利益率32.8%。 この筋書きの確率は37%。結果は、売上が今の0.91倍の56.8億ドル、営業利益9.2億ドル、純利益6.2億ドル、自己資本10.0億ドル、10年の正味の還元49.0億ドル、時価総額64.8億ドル(PER10.5倍)。 10年の純利益の累計は66.5億ドル(起点の純利益から最終年へ、毎年ほぼ一定の率または幅で動く道筋で積んだ)で、自己資本は今に累計を足して還元を引いた。
- 調査(Insights):数量 234(席数(千席)= 顧客企業数 × 1 社あたり席数)× 価格 0.19(1 千席あたりの年間売上(億ドル)= 席単価)→ 売上 45 億ドル・営業利益 34 億ドル。数量0.80倍・価格1.10倍・営業利益率75.2%(席課金型)
- 会議(Conferences):数量 78.9(参加者数(千人))× 価格 0.10(1 千人あたりの売上(億ドル))→ 売上 8 億ドル・営業利益 4 億ドル。数量0.95倍・価格1.25倍・営業利益率50.0%(現場・運用益など(AI の影響が小さい))
- コンサルティング:数量 644(コンサルタント数(人))× 価格 0.01(1 人あたり売上(億ドル))→ 売上 4 億ドル・営業利益 1 億ドル。数量0.70倍・価格1.15倍・営業利益率32.8%(人月型)
倍率:10年より先の名目の伸びg=0.00%(人月・席の型は0%以下。実質の縮みは10年の数量に入れ済み)で、利益を全部株主に分ける形の正当化PER=1÷(k−g)=1÷(9.5%+-0.00%)=10.5倍(事業のROE62.0%)。純利益はGAAP(株式報酬は費用)。AIエージェント代替はgと別に数量・k・確率へ入れ済みで、PERの上に割引は重ねない。
確率:席が静かに減る中心の筋書き。37%。
やや悲観 24% AI の回答が調査を置き換え、中堅企業が更新をやめる 利益 4 億ドル · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 65.26 ドル43 億ドル
AI の回答が調査を置き換え、中堅企業が更新をやめる。調査は数量0.70倍・価格1.07倍。固定費の重さで利益は大きく減る。売上は48.4億ドル、純利益は4.1億ドル。 内訳は調査=数量0.70倍・価格1.07倍・利益率71.4%、会議=数量0.84倍・価格1.21倍・利益率47.4%、コンサルティング=数量0.62倍・価格1.12倍・利益率31.1%。 この筋書きの確率は24%。結果は、売上が今の0.77倍の48.4億ドル、営業利益6.2億ドル、純利益4.1億ドル、自己資本8.0億ドル、10年の正味の還元38.0億ドル、時価総額43.4億ドル(PER10.5倍)。 10年の純利益の累計は54.1億ドル(起点の純利益から最終年へ、毎年ほぼ一定の率または幅で動く道筋で積んだ)で、自己資本は今に累計を足して還元を引いた。
- 調査(Insights):数量 206(席数(千席)= 顧客企業数 × 1 社あたり席数)× 価格 0.18(1 千席あたりの年間売上(億ドル)= 席単価)→ 売上 38 億ドル・営業利益 27 億ドル。数量0.70倍・価格1.07倍・営業利益率71.4%(席課金型)
- 会議(Conferences):数量 69.4(参加者数(千人))× 価格 0.09(1 千人あたりの売上(億ドル))→ 売上 7 億ドル・営業利益 3 億ドル。数量0.84倍・価格1.21倍・営業利益率47.5%(現場・運用益など(AI の影響が小さい))
- コンサルティング:数量 567(コンサルタント数(人))× 価格 0.01(1 人あたり売上(億ドル))→ 売上 4 億ドル・営業利益 1 億ドル。数量0.62倍・価格1.12倍・営業利益率31.2%(人月型)
倍率:10年より先の名目の伸びg=0.00%(人月・席の型は0%以下。実質の縮みは10年の数量に入れ済み)で、利益を全部株主に分ける形の正当化PER=1÷(k−g)=1÷(9.5%+-0.00%)=10.5倍(事業のROE48.8%)。純利益はGAAP(株式報酬は費用)。AIエージェント代替はgと別に数量・k・確率へ入れ済みで、PERの上に割引は重ねない。
確率:AI の回答が調査を置き換える筋書き。維持率 85% と wallet retention の低下を見て厚く 24%。
悲観 13% 調査の席課金が崩れ、固定費の重さで利益が急減する 利益 2 億ドル · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 31.13 ドル21 億ドル
調査の席課金が崩れ、フォレスターと同じ道に入る。調査0.58倍・0.99倍、利益率は66.2%(調査の粗貢献)。固定費が重く純利益は小さくなる。売上は36.8億ドル、純利益は2.0億ドル。 内訳は調査=数量0.58倍・価格0.99倍・利益率66.2%、会議=数量0.68倍・価格1.12倍・利益率44.0%、コンサルティング=数量0.50倍・価格1.04倍・利益率28.8%。 この筋書きの確率は13%。結果は、売上が今の0.59倍の36.8億ドル、営業利益3.0億ドル、純利益2.0億ドル、自己資本15.0億ドル、10年の正味の還元15.0億ドル、時価総額20.7億ドル(PER10.5倍)。 10年の純利益の累計は38.0億ドル(起点の純利益から最終年へ、毎年ほぼ一定の率または幅で動く道筋で積んだ)で、自己資本は今に累計を足して還元を引いた。
- 調査(Insights):数量 169(席数(千席)= 顧客企業数 × 1 社あたり席数)× 価格 0.17(1 千席あたりの年間売上(億ドル)= 席単価)→ 売上 29 億ドル・営業利益 19 億ドル。数量0.58倍・価格0.99倍・営業利益率66.2%(席課金型)
- 会議(Conferences):数量 56.8(参加者数(千人))× 価格 0.09(1 千人あたりの売上(億ドル))→ 売上 5 億ドル・営業利益 2 億ドル。数量0.68倍・価格1.12倍・営業利益率44.0%(現場・運用益など(AI の影響が小さい))
- コンサルティング:数量 464(コンサルタント数(人))× 価格 0.01(1 人あたり売上(億ドル))→ 売上 3 億ドル・営業利益 1 億ドル。数量0.50倍・価格1.03倍・営業利益率28.9%(人月型)
倍率:10年より先の名目の伸びg=0.00%(人月・席の型は0%以下。実質の縮みは10年の数量に入れ済み)で、利益を全部株主に分ける形の正当化PER=1÷(k−g)=1÷(9.5%+-0.00%)=10.5倍(事業のROE12.7%)。純利益はGAAP(株式報酬は費用)。AIエージェント代替はgと別に数量・k・確率へ入れ済みで、PERの上に割引は重ねない。
確率:調査の席課金が崩れる筋書き。同業の縮小という実例があり 13%、やや悲観と合わせて37%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
調査(Insights)
企業・官公庁の経営幹部と部門責任者に、調査と助言を年間契約(77% が複数年)で売る。契約価値 51.55 億ドル。
| 数量席数(千席)= 顧客企業数 × 1 社あたり席数 | 価格1 千席あたりの年間売上(億ドル)= 席単価 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 293 | 0.17 | 51 | 39 |
| 10 年後 中立 | 234 | 0.19 | 45 | 34 |
取り方:FY2025 の Insights(調査)売上 50.73 億ドル(+5%)、粗貢献 38.90 億ドル(77%)。数量 = 顧客企業数 × 1 社あたり席数 = 約 13.3 千社(10-K は「1.3 万社超」、第三者の集計は 13,279 社)× 22 席 = 292.6 千席。席数は非開示のため推定(10-K の説明では買い手は経営幹部と 1〜3 階層下で、契約は企業単位)。価格 = 席単価(売上 ÷ 席)約 1.73 万ドルを逆算(契約価値 51.55 億ドルを企業数で割ると 1 社 約 39 万ドル)。価格の指数は物価(3 年 1.11 倍・10 年 1.41 倍)が基本。競合はフォレスター(契約価値 −6%・赤字)、IDC、コンサル会社の無償の調査。 【AIエージェント代替の見直し】調査(Insights)は企業の経営幹部と部門責任者向けの年間契約で、席(利用者)単位の見積りが基本の席課金型。顧客維持率 85%・wallet retention 97〜98% は堀の証拠に届かない。AI の回答が調査の一部を置き換える。数量0.80倍、価格1.10倍(席型の 1.00〜1.15 倍の上寄り)。
会議(Conferences)
IT・業種別の対面会議(シンポジウム・Xpo)。出展料とスポンサー、参加費。
| 数量参加者数(千人) | 価格1 千人あたりの売上(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 83.0 | 0.08 | 6 | 3 |
| 10 年後 中立 | 78.9 | 0.10 | 8 | 4 |
取り方:FY2025 の Conferences 売上 6.45 億ドル(+11%)、粗貢献 3.23 億ドル(50%)。数量 = 対面会議の参加者 8.3 万人(53 会議。10-K)、価格 = 1 人あたり売上(出展・スポンサーを含む)約 7.8 万ドル。2026 年は同一会議が +9〜12%、第 2 四半期の粗貢献率は 59.5%(季節で高い)。 【AIエージェント代替の見直し】会議は対面の参加者に売る現場の事業で、AI の影響が小さい。数量0.95倍、価格1.25倍。景気で振れる。
コンサルティング
調査の知見を使う個別助言・契約の最適化(約 920 人)。人員 × 稼働で売る。
| 数量コンサルタント数(人) | 価格1 人あたり売上(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 920 | 0.01 | 6 | 2 |
| 10 年後 中立 | 644 | 0.01 | 4 | 1 |
取り方:FY2025 の Consulting 売上 5.53 億ドル(−1%)、粗貢献 1.86 億ドル(34%)。数量 = コンサルタント 920 人(10-K)、価格 = 1 人あたり売上 約 60 万ドル。2026 年は売上が第 1 四半期 −15%・第 2 四半期 −8.8% と縮むが、受注残は 1 年超ぶりに増えた。調整(adjust)は本社・技術・償却・株式報酬の費用 約 32.2 億ドルと Digital Markets(売却済み)ののれん減損 1.5 億ドルを含む。 【AIエージェント代替の見直し】コンサルティングは人月型で、AI が分析作業を減らす。数量0.70倍、価格1.15倍。2026 年も売上は前年を下回る。
リスクと懸念
AI エージェント代替(調査の席課金の置き換え)
ガートナーの売上の 78% は調査で、席単位の年間契約。AI が助言を複製できれば、顧客は席を絞って更新し、価格交渉でも優位に立つ。維持率は 85%、wallet retention は 97〜98% と、すでに席の削減が始まっている。同業のフォレスターは赤字に陥った。中立の売上は今の0.91倍、悲観では0.59倍と置いた。
AI による調査の置き換え
AI が公開情報とガートナーの過去の調査から経営幹部の質問に答えられるようになると、顧客は席を絞り、更新時の値上げを拒む。wallet retention は 2025 年に 97.5% と 100% を下回り、すでに既存の顧客の契約が縮んでいる。調査は粗貢献率が 77% あるので、席の減りは利益に増幅して効く。
固定費の重さと利益の振れ
粗貢献(約 44 億ドル)に対して本社・技術・償却・株式報酬などの費用が約 32 億ドルあり、営業利益 10 億ドル台に対して売上の 1% が動くと営業利益は約 4% 動く。売上が横ばいでも、物価で費用が増えれば利益は 2〜3 割縮む。費用の削減が遅れれば、悲観の利益は式より深く落ちる。
米連邦と景気への依存
米連邦の契約価値は 2024 年末の約 2.75 億ドルから 2026 年第 2 四半期に約 1.25 億ドルへ半減し、2025 年の売上を約 0.58 億ドル押し下げた。関税の影響を受ける業種が契約価値の 35〜40% を占めるとの説明もあり、景気後退では顧客が調査・会議・コンサルを一斉に絞る(リーマン期に売上は 2008 年から 2009 年に 11% 減)。
買い戻しの借入依存と割高買い
2025 年に純利益の 2.7 倍にあたる 20 億ドルを買い戻し、自己資本は 3.2 億ドルまで縮んだ。2026 年第 1・第 2 四半期だけで 10.8 億ドルを使い、純負債は増えている。借り換えが 5.75% 前後になれば純利息が増え、2025 年の買い戻しのように今より高い株価で買えば価値を壊す。
同業の縮小に伴う価格競争
フォレスターは 2025 年に契約価値が 6% 減り、減損を含めて赤字になった。2026 年も売上 −9〜13% の見通しで、生き残りの値下げを仕掛ければ、ガートナーの更新の価格交渉にも影響する。コンサル会社が無償で出す調査や、AI に調査を組み込む大手 IT ベンダーとの競争も続く。
コンサルの縮小と事業の絞り込み
コンサルは 2026 年第 1 四半期に −15%、第 2 四半期に −8.8% と縮み、粗貢献率は 31〜38% と調査より低い。Digital Markets の売却で売上は 2.3 億ドル減った。受注残は増えたが、縮小が続けば全社の固定費の負担率が上がる。
今後の分かれ目
- wallet retention が 2 四半期続けて 100% を超えたら
- 席の減りが止まり、新規より既存の拡大に戻った合図。10 年の楽観・やや楽観の確率を上げ、席数を増やして見直す。
- wallet retention が 97% を割り、米連邦を除く契約価値の伸びが 2% を下回ったら
- AI による席の削減が本格化した合図。やや悲観・悲観の確率を上げ、席数と席単価を引き下げる。
- AskGartner など AI 製品が単独の契約や席の追加の売上として開示されたら
- AI が調査の代替でなく上乗せになる証拠。席単価の倍率を上げ、10 年の g の内訳(席)を増やす。
- 契約価値の伸びが 4% を超え、顧客維持率が 86% を超えたら
- 2024 年までの高い伸びに近づく。中立の 10 年を上げ、買い戻しの原資の増えを織り込む。
- 買い戻しが純利益の 2 倍を超えて続き、純負債が EBITDA の 2 倍を超えたら
- 借入依存が資本配分の弱点になる合図。還元を絞った筋書きと純利息の増加を見直す。
- 景気が後退し、契約価値が前年比で 2 四半期続けて減ったら
- 10 年の悲観の筋書きに近づく。悲観の確率を上げ、ならした利益で見直す。
- AskGartner など AI 製品の売上が金額で開示され、wallet retention が 100% を超えたら
- AI が調査の代替でなく上乗せになる証拠。調査の数量の上限を今の 1.0 倍より上で見直す。
- wallet retention が 97% を割り、米連邦を除く契約価値の伸びが 2% を下回ったら
- AI による席の削減が本格化した合図。調査の数量を中立の{ins_base_vm:.2f}倍より下げ、悲観の確率を上げる。
見ておくもの
- 契約価値(GTS・GBS)の伸びと、米連邦を除く伸び
- wallet retention・顧客維持率・新規の契約価値
- 顧客企業の数と 1 社あたりの契約価値(席の動き)
- Insights の粗貢献率、会社全体の調整後 EBITDA 率
- AskGartner など AI 製品の開示と顧客の反応
- 買い戻しの額・平均の取得単価・純負債と EBITDA の比
- フォレスターなど同業の契約価値と、コンサルの受注残
- AI 製品の売上開示と、wallet retention・顧客維持率
倍率と資本コストの決め方
今の時価総額 137億ドル や PER 約 19 倍は見ずに、3 部門を型で分けて数量と価格を置いた。倍率は g=0% の 1÷(k−g)、k は基本 8.0% + 景気 0.25 + 借金 0.25 + 寿命 1.0 = 9.50%。AI 代替は数量・価格に主に入れ、k の寿命・確率(悲観側37%)・g に重ねていない。固定費は売上の半分が付いてくる形で差し引いた。
資本コスト 9.5% = 無リスク金利 5% + β 0.97 × 5%。k = 基本 8.0% + quality 1.50% = 9.50%(β は使わない)。景気 +0.25(米連邦と企業の予算で契約価値が振れる)、借金 +0.25(買い戻しを借入で補う)、値決めは AI による値下げを価格の置き方に入れたため 0、寿命 +1.0%(席型の下限)。個別のリスクは k に足さず筋書きと確率で表した。