結論
エベレスト・グループ(Everest Group)はバミューダに本社を置く再保険・特殊損害保険の会社である。2025 年の総保険料は 177 億ドル、純利益 15.9 億ドル(純利益 ROE 10.5%)、グループの複合損害率は 98.6% だった。2026 年 4〜6 月は純利益 5.59 億ドル(ROE 14.2%)、グループの複合損害率は 92.0%、再保険の約定とグローバル卸売・特殊を合わせたコアは 90.0% まで戻っている。
事業は、再保険の約定(財物大災害と賠償責任が中心)と、卸売・特殊保険に絞り、小口(商業リテール)はエイグ(AIG)へ更新権を売って撤退中である。米国賠償責任の準備金は 2024 年末に 17 億ドル積み増し、2025 年秋に 12 億ドルの逆行発展カバーを買い、2026 年 4〜6 月にも北米賠償責任再保険で 2 億ドル弱を積み増した。準備金の問題は一度きりでなく繰り返してきたと判断し、中立の筋書きにも毎年約 2 ポイントの不利な動きを織り込んだ。
財物大災害の料率は市場で 15〜20% 下がり(同社は約 10% 減)、賠償責任の再保険は自ら 2 割前後絞っている。バリュー投資の観点では、10 年後も事業は残り、運用益(年 21 億ドルの記録)と資本の返し(自社株買い 15 億ドル)は堅いが、料率の山は越え、準備金への信頼の回復には時間がかかる。ROE 約 13%・g 3.0%・資本コスト 9%(基本 8.0% + quality +1%)から正当化 PER 12.6 倍を出し、中立はその 9 割の 11.4 倍に置いた。今の PER には寄せていない。悲観とやや悲観を 10 年で 48% と、同じ領域で最も厚く置いた。確率で加重した 10 年後の価値は 223 億ドルで、今の時価総額 151 億ドルに対し +47%(総合で「割安」)。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、再保険は「預かった保険料を費用のかからない資金として運用し、引受益が出るなら上積み」という事業で、本質は 2 点で決まる。第一に、複合損害率が 100% を下回り続けるか。第二に、準備金が正しく積まれているか。エベレストは、運用資産 454 億ドルから年 21 億ドルを稼ぐ一方、2024〜26 年に準備金を繰り返し積み増しており、第二の点の確信度が低い。
オーナー利益は純利益から伸びに要る自己資本を引いたもので、保険料が年 3% 伸びるなら自己資本も同じだけ増やせばよく、純利益の 7 割強が株主のものになる。資本配分は、2025 年から自社株買い 15 億ドルと筋のよい方向だが、簿価 1 倍前後(今の PBR は 0.98 倍)で買っているので、価値を壊す水準ではない。ここは評価できる。
10 年後もこの事業は存在するが、堀は広がらない(周期の外には出られず、価格を決める力が小さい)。安全域は倍率でなく、悲観とやや悲観の確率 48%(10 年)と悲観の深さ(還元を合わせて今の時価総額の 85%)で取った。今の 9.5 倍は、準備金の信頼が戻らないと見る市場の値付けであり、戻れば大きく割安、戻らなければ妥当近辺という非対称がある。確信度は中くらい以下。
何で稼ぐ会社か
エベレストの稼ぎは 3 つの源から出る。第一は再保険の約定(トリーティ)で、他の保険会社から財物(大災害の超過損害、比例)と賠償責任(超過損害、比例)を引き受ける。2025 年の再保険部門の複合損害率は 91.7%、総保険料のおよそ 3 分の 2 を占める(部門別の保険料は非開示で、本書では推定)。2026 年 4〜6 月の約定の総保険料は前年比 −9.1%で、賠償責任の超過損害 −25%、賠償責任の比例 −22.8%、財物の非大災害 −9.2%、財物大災害 −6.8%、財物の比例 +3.4% と、賠償責任から意図して引いている。
第二はグローバル卸売・特殊保険(ロイズ・英国・米国の E&S など)で、2026 年 4〜6 月の複合損害率は 95.2%。成長の狙いはデータセンター・建設・再生可能エネルギーである。第三は小口の商業保険(リテール)で、米国・英国・欧州・アジア太平洋の約 20 億ドルの保険料の更新権を AIG に売り、撤退中。保険全体の 2025 年の複合損害率は 114.6% と悪かったが、これは米国賠償責任の準備金の積み増しの傷が大きく、リテールはやがて利益に効かなくなる。2026 年から再保険の約定と卸売・特殊を「コア」として開示し、コアの総保険料は 4〜6 月に 37 億ドル(−7%)。
運用は保険料と自己資本で 454 億ドルの運用資産(2025 年末)を持ち、純投資収益は 2025 年に 21 億ドルと記録だった。サイドカーは「アナプルナ再保険」(賠償責任・特殊で四半期 2 億ドルを 3 年)を立ち上げ、運用子会社マウント・ローガン(運用資産 34 億ドル)の手数料も入る。借金は約 38 億ドル、現金等 13 億ドル。
優良さと弱いところ
堀は中くらいで、周期の外には出られない。第一に規模と格付:世界の再保険の上位で、更新ごとに塔の位置と大災害の料率を選べる。2026 年 7 月の更新では市場が 15〜20% 下がる中で同社は約 10% の下げにとどめ、フロリダの多くが非同時条件で書かれることを使って、塔の上へ位置を動かし、料率のよいプログラムへ資本を寄せた。第二に運用と資本の返し:2025 年 1 月から自社株買い 15 億ドルを重ね、株数は 10% 超減った。今後も四半期 3 億ドル以上。第三に専門人材と分析で、大災害と賠償責任の引受の精度を上げる体制を整えた。
弱いのは準備金の信頼である。米国賠償責任の準備金は 2024 年末に 17 億ドル積み増し、2025 年にロングテール再保険(ストーンリッジ系)へ 12 億ドルの逆行発展カバーを出して北米保険の 2024 年以前の準備金 54 億ドルを保護し、2026 年 4〜6 月にも北米賠償責任再保険で 2 億ドル弱を積み増した。積み増しは古い事故年にわたって広がっており、年次の長期準備金の見直しは 7〜9 月期に来る。2017・2018・2020・2022 年は ROE が 8% を下回り(5.5%・1.1%・5.3%・7.1%)、大災害や準備金で利益が崩れることを繰り返してきた。経営は前 CEO のアンドラーデ氏が 2026 年 1 月に退任して USAA へ移り、ジム・ウィリアムソン氏が引き継いだ。
資本効率は、純利益 ROE が 12 期の平均で約 10%(最大 19.1%・最小 1.1%)。運用利回りが 5% 近くで再投資できる今は 12〜14% が見込めるが、価格を決める力は小さい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
世界の再保険は、2023〜25 年の硬い市場(料率・条件が損失コストを上回った時期)を終え、2026 年は軟化に入った。財物大災害は 2026 年 1 月に市場で大きく下がり(Howden 推計でリスク調整後 −14.7%)、6 月・7 月の更新でも市場は 15〜20% 下げた。資本は潤沢(再保険会社の自己資本と大災害債・サイドカー)で、1/1/2027 の更新も大きな大災害がなければ競争が続くと見られる(Marsh Re・Gallagher Re)。賠償責任の再保険は、社会的インフレ(訴訟費用・陪審評決の高額化)で損失の伸びが物価より速く、出再会社の手数料と条件が緩めば引き受けないという判断が各社に広がっている。
競合は、スイス再保険・ミュンヘン再保険・ハンノーバー再保険・SCOR などの大手に加え、アーチ(Arch)・レナイサンス再保険(RenaissanceRe)などのバミューダ勢、サイドカー・大災害債の資本。卸売・特殊保険はロイズのシンジケートとアーチ・マーケル(Markel)・AIG などが競う。
数量と価格:再保険の数量は出再会社の保険料の伸びと出再割合(実質で年 +1% ほど)、価格は料率(リスク調整後の料率)と顧客の売上・資産の物価分の合成。財物大災害は 2026〜27 年に下がり、その後は大災害(イアン級・山火事級)で戻る周期。大災害の損失は気候・資産の集中で年 5〜8% 伸び、料率がそれを下回ると複合損害率は悪化する。運用益は金利 5% 前後が続く前提で保険料の 15〜20% に当たる(同社は運用資産が保険料の約 3 倍)。
資本政策と M&A
資本政策は「成長に要る分以外は返す」へ回帰した。2025 年の自社株買いは 7.97 億ドル、2025 年 1 月からの累計は 15 億ドルで、株数は 10% 超減った。2026 年 4〜6 月は 3.95 億ドルを買い、今後は四半期 3 億ドル以上と述べている。配当は小さい(年 約 2.6 億ドル)。
M&A は買う側から売る側へ回った。2025 年秋にリテールの更新権を AIG に売り(約 20 億ドルの保険料、同社は責任と請求処理を保持)、未稼得の純保険料が約 2.5 億ドル残る。レガシーの準備金が減れば 10 億ドル超の資本が出る見込みで、還元に回せる。サイドカー(アナプルナ再保険)は賠償責任・特殊で四半期 2 億ドル、3 年。マウント・ローガン(運用子会社)の運用資産は 34 億ドル。買収で伸びる計画は当面ない。時価総額が 150 億ドル前後で、買われる側の議論は少ない。
借金は約 38 億ドルで自己資本の 25% ほど、現金等 13 億ドルで純有利子負債は時価総額の 16%。借り換えで金利が 5.75% 程度になれば利払いは年 約 2.2 億ドル。大きな負担ではない。 なお、決算期末後に実行済みの自社株買い 7.2 億ドル(10-Q・2026 年 1〜6 月)は、今の株数(時価総額)に反映済みなので、10 年の還元(payout_oku)からは除いてある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
今の利益は料率の山の上にあるが、エベレストは山の下りに備えて動いている。2026 年 4〜6 月のコアの複合損害率は 90.0%(約定 88.5%)で、大災害は 0.94 億ドルと軽かったとはいえ、年間の大災害の想定(約定で 8 ポイント、卸売・特殊で 4 ポイント)を織り込んでも 92〜93% で保てる。賠償責任は 2 割前後引いており(超過損害 −25%、比例 −22.8%)、10 億ドル超の撤退は損失の尾を減らす意思決定である。財物大災害は料率が 10% 下がっても期待収益はしきい値を上回ると同社は述べ、フロリダの非同時条件の位置取りで市場より下げ幅が小さい。
準備金は 2024 年末の 17 億ドルの積み増しと 12 億ドルの逆行発展カバーで、最も古い事故年の尾を切った。2026 年 4〜6 月の 2 億ドル弱は、年次の見直しで確かめる段階の調整にとどまる。リテールを AIG に売ったことで 10 億ドル超の資本が段階的に出て、自社株買いは四半期 3 億ドル以上。株数は 10% 超減り、1 株あたりの価値は上がる。運用は純投資収益 21 億ドル(記録)で、再投資利回りが簿価を上回る限り積み上がる。ROE は 12〜14% で保たれ、利益ベースの上限は PER 14 倍前後で、準備金の信頼が戻れば今の PER を上回る余地がある。
慎重な見方
エベレストは、大災害と準備金で利益が崩れることを繰り返してきた。2017・2018・2020・2022 年の ROE は 5.5%・1.1%・5.3%・7.1%、2025 年は準備金の積み増しで複合損害率 98.6%。2024 年末の 17 億ドル、2025 年秋の 12 億ドルのカバー、2026 年 4〜6 月の 2 億ドル弱と、積み増しは古い事故年にわたって続き、年次の長期見直し(7〜9 月期)でまた出る可能性が高い。社会的インフレで賠償責任の損失トレンドは 5〜7% と見られ、再保険の手数料と条件が緩めばその差は拡がる。2026 年 4〜6 月の賠償責任の保険料 −19〜25% は、規律の証拠でもあるが、競争で押し出されている面もある。
財物大災害は市場で 15〜20% 下がり、資本は潤沢で、大災害がなければ 1/1/2027 も競争が続く。同社自身の下げ幅 10% でも、今の水準は 2023〜25 年の山から 2〜3 割低い。コアの複合損害率 90% は大災害が軽かった結果で、約定の大災害 8 ポイントを丸ごと織り込めば 92〜93% になる。経営は前 CEO の退任でまだ新しい。 k は quality で 9.0% とし、k が 0.5% 上がれば倍率は 1〜2 割下がる。今の PER 9.5 倍・PBR 0.98 倍は、準備金の信頼が戻らないと見る市場の値付けだが、置いた中立の PER は式で出した値で、その値付けとは別である。
どちらに重みを置いたか
事業の質は強気がやや優勢(運用益・資本の返し・コアの利益率・撤退の決断)。一方、準備金の積み増しが 2024 年末から 2026 年まで連続している点と、財物の軟化・賠償責任の損失トレンドは慎重な見方が当たっている。確率は中立に最も寄せつつ(10 年 32%)、やや悲観を 28%、悲観を 20% と、同じ領域で最も悲観側を厚くした(チャブ・トラベラーズのやや悲観は 20%、悲観は 10〜12%)。準備金の尾が長く、大災害と準備金の両方で崩れた年が過去にあるため。倍率は利益ベースの正当化 PER の 9 割で、軟化・準備金は利益率・数量・価格と確率に載せた。結果は 10 年で +47%、総合は「割安」。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 681.12 ドル264 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 421.78 ドル164 億ドル)。 今の値に割り戻すと 561.84 ドル218 億ドル、今との差 +37.9%、 期待の年率 +10.5%(資本コスト 9.0%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 1,552 ドル602 億ドル | 605.15 ドル235 億ドル | +429.3% | +18.1% | 107.86 ドル42 億ドル |
| やや楽観 | 15% | 1,200 ドル466 億ドル | 561.34 ドル218 億ドル | +332.1% | +15.8% | 264.16 ドル102 億ドル |
| 中立 | 32% | 799.23 ドル310 億ドル | 489.18 ドル190 億ドル | +216.1% | +12.2% | 412.29 ドル160 億ドル |
| やや悲観 | 28% | 489.95 ドル190 億ドル | 424.74 ドル165 億ドル | +124.4% | +8.4% | 256.11 ドル99 億ドル |
| 悲観 | 20% | 153.09 ドル59 億ドル | 159.28 ドル62 億ドル | −23.4% | −2.6% | 62.47 ドル24 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 681.12 ドル264 億ドル | 421.78 ドル164 億ドル | +170.6% | +10.5% | 1,103 ドル428 億ドル |
今の株価時価総額 407.56 ドル158 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 5% 楽観:硬い市場が戻り、専門分野で市場を超えて伸びる 利益 44 億ドル · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 1,552 ドル602 億ドル
準備金は積み増し終わり、周期は一度だけ軟化して硬い市場が戻る。再保険の約定は契約限度額 +10%(市場 +10.5%・シェア 0%)・価格 1.42 倍で 156 億ドル、複合損害率 約 90%。卸売・特殊は数量 +34%(市場 +16%・シェア +16%:データセンター・建設・再生可能エネルギー)・価格 1.45 倍で 68 億ドル、複合損害率 約 92%。運用資産 640 億ドル・利回り 5.2% で 33 億ドル。純利益 43.7 億ドル、自己資本 235 億ドル(ROE 約 19%)。サイドカーとマウント・ローガンの手数料も効き、自社株買いで株数は減り続ける。
- 再保険の約定(財物大災害・賠償責任・特殊):数量 1,100(引受の契約限度額(億ドル相当))× 価格 0.14(収入保険料 ÷ 契約限度額(料率))→ 売上 156 億ドル・営業利益 16 億ドル。契約限度額・料率・複合損害率の置き方は story のとおり・複合損害率 約 90.0%
- 卸売・特殊保険(残す保険)と小口の撤退分:数量 470(引受のエクスポージャー(億ドル相当))× 価格 0.15(収入保険料 ÷ エクスポージャー(料率))→ 売上 68 億ドル・営業利益 5 億ドル。同上(リテールの撤退を含む)・複合損害率 約 92.0%
- 運用(預かった保険料と自己資本の運用益):数量 640(運用資産(億ドル))× 価格 0.05(利回り(純投資収益 ÷ 運用資産))→ 売上 33 億ドル・営業利益 33 億ドル。運用資産 × 利回り(純投資収益)
倍率:利益ベースの正当化 PER:k 9.00%(基本 8.0% + quality +1.00%)・g 4.0%(上限の内側。市場 +1.0%・シェア 0%・価格は料率の遅れで物価より低い 3.0%(中立)で、4% を超えない)・事業の ROE 19%(帳簿の自己資本 ROE:純利益 43.7 ÷ 自己資本 235.0 億ドル)・moat=普通(残る割合 0.50)。RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 13.8%、正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g) = 14.2 倍(上限 = 純利益 43.7 億ドル × これ = 621 億ドル)。これの 1.0 割(13.8 倍)に置いた。楽観:利益の質が最も良く出る筋書きなので上限に最も近く置いた。
確率:大きな大災害(または賠償責任の再保険の損失の露見)で硬い市場が再び来て、資本を持つ同社が選別して伸ばす筋書き。準備金の追加の積み増しがない前提で、同社の歴史では稀と見て 5%。
やや楽観 15% やや楽観:軟化は一度で浅く、ROE 16% が続く 利益 36 億ドル · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 1,200 ドル466 億ドル
再保険の約定は数量 +3%(市場 +10.5%・シェア −6.8%)・価格 1.39 倍で 143 億ドル、複合損害率 約 92%。卸売・特殊は数量 +26%・価格 1.42 倍で 62.5 億ドル、複合損害率 約 94%。運用資産 600 億ドル・利回り 5.1% で 30.6 億ドル。純利益 36.2 億ドル、自己資本 222 億ドル(ROE 約 16%)。準備金の不利な動きは年 1 ポイント以下に収まる。競合のチャブ・アーチと並ぶ位置を取り戻し、自社株買いで株数は 10 年で 2 割減る。
- 再保険の約定(財物大災害・賠償責任・特殊):数量 1,030(引受の契約限度額(億ドル相当))× 価格 0.14(収入保険料 ÷ 契約限度額(料率))→ 売上 143 億ドル・営業利益 12 億ドル。契約限度額・料率・複合損害率の置き方は story のとおり・複合損害率 約 92.0%
- 卸売・特殊保険(残す保険)と小口の撤退分:数量 440(引受のエクスポージャー(億ドル相当))× 価格 0.14(収入保険料 ÷ エクスポージャー(料率))→ 売上 63 億ドル・営業利益 4 億ドル。同上(リテールの撤退を含む)・複合損害率 約 94.0%
- 運用(預かった保険料と自己資本の運用益):数量 600(運用資産(億ドル))× 価格 0.05(利回り(純投資収益 ÷ 運用資産))→ 売上 31 億ドル・営業利益 31 億ドル。運用資産 × 利回り(純投資収益)
倍率:利益ベースの正当化 PER:k 9.00%(基本 8.0% + quality +1.00%)・g 4.0%(上限の内側。市場 +1.0%・シェア 0%・価格は料率の遅れで物価より低い 3.0%(中立)で、4% を超えない)・事業の ROE 16%(帳簿の自己資本 ROE:純利益 36.2 ÷ 自己資本 222.0 億ドル)・moat=普通(残る割合 0.50)。RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 12.7%、正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g) = 13.7 倍(上限 = 純利益 36.2 億ドル × これ = 495 億ドル)。これの 0.9 割(12.9 倍)に置いた。やや楽観:楽観より伸びと利益率が控えめなので一段下。
確率:準備金の動きが小さくなり、周期が一度で済む筋書き。2025〜26 年の対応(撤退・カバー・サイドカー)が効いた姿。
中立 32% 中立:周期は一度回り、準備金の動きは年 2 ポイント。ROE 約 13%、純利益は年 約 3% 利益 27 億ドル · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 799.23 ドル310 億ドル
再保険の約定は契約限度額 −4%(市場 +10.5%・シェア −13%:賠償責任からの撤退が先に出る)・価格 1.36 倍(物価 1.41 倍に料率が約 4% の遅れ)で 130.6 億ドル、複合損害率 94.5%(大災害 8 ポイント、準備金の不利な動き 2 ポイントを含む)。卸売・特殊は数量 +20%(市場 +16%・シェア +4%)・価格 1.38 倍で 58 億ドル、複合損害率 98%(リテールは消える)。運用資産 560 億ドル・利回り 4.9% で 27.4 億ドル。純利益 27.3 億ドル(2025 年比で年 約 5.5%)、自己資本 215 億ドル(ROE 約 12.7%)。株主還元は 10 年で約 190 億ドル(純利益の 7 割強)。周期の谷の年に複合損害率が 100% を超える年を挟む。
- 再保険の約定(財物大災害・賠償責任・特殊):数量 960(引受の契約限度額(億ドル相当))× 価格 0.14(収入保険料 ÷ 契約限度額(料率))→ 売上 131 億ドル・営業利益 7 億ドル。契約限度額・料率・複合損害率の置き方は story のとおり・複合損害率 約 94.5%
- 卸売・特殊保険(残す保険)と小口の撤退分:数量 420(引受のエクスポージャー(億ドル相当))× 価格 0.14(収入保険料 ÷ エクスポージャー(料率))→ 売上 58 億ドル・営業利益 1 億ドル。同上(リテールの撤退を含む)・複合損害率 約 98.0%
- 運用(預かった保険料と自己資本の運用益):数量 560(運用資産(億ドル))× 価格 0.05(利回り(純投資収益 ÷ 運用資産))→ 売上 27 億ドル・営業利益 27 億ドル。運用資産 × 利回り(純投資収益)
倍率:利益ベースの正当化 PER:k 9.00%(基本 8.0% + quality +1.00%)・g 4.0%(上限の内側。市場 +1.0%・シェア 0%・価格は料率の遅れで物価より低い 3.0%(中立)で、4% を超えない)・事業の ROE 13%(帳簿の自己資本 ROE:純利益 27.3 ÷ 自己資本 215.0 億ドル)・moat=普通(残る割合 0.50)。RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 10.8%、正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g) = 12.6 倍(上限 = 純利益 27.3 億ドル × これ = 345 億ドル)。これの 0.9 割(11.4 倍)に置いた。中立:再保険の周期と準備金の積み増しの繰り返しで利益の質が低いため、上限の 9 割にとどめた
確率:議論の落としどころ。ソフト化が 10 年に一度の周期として 1 回来て、準備金の不利な動きが年 2 ポイントほど続く(繰り返してきた実績に合わせた)。
やや悲観 28% やや悲観:長いソフト市場が定着し、準備金の積み増しが続く 利益 20 億ドル · PER 9.5 倍 · 株価時価総額 489.95 ドル190 億ドル
財物と賠償責任の料率が長く低迷し、ここ数年と同じ準備金の積み増しが続く。再保険の約定は数量 −10%(市場 +10.5%・シェア −18%)・価格 1.28 倍で 115 億ドル、複合損害率 97.5%。卸売・特殊は数量 −24%(リテール撤退と競争)・価格 1.30 倍で 49 億ドル、複合損害率 100%。運用資産 520 億ドル・利回り 4.8% で 25 億ドル。純利益 20.1 億ドル、自己資本 190 億ドル(ROE 約 10.6%)。自社株買いは四半期 2 億ドル前後に縮む。競合のアーチ・チャブが同じ周期の中で複合損害率を 90% 台前半で保つため、エベレストは数量と料率の両方で後れを取り、ROE は 12 期の平均(約 10%)に戻るだけで、周期の山の高い倍率は付かない。
- 再保険の約定(財物大災害・賠償責任・特殊):数量 900(引受の契約限度額(億ドル相当))× 価格 0.13(収入保険料 ÷ 契約限度額(料率))→ 売上 115 億ドル・営業利益 3 億ドル。契約限度額・料率・複合損害率の置き方は story のとおり・複合損害率 約 97.5%
- 卸売・特殊保険(残す保険)と小口の撤退分:数量 380(引受のエクスポージャー(億ドル相当))× 価格 0.13(収入保険料 ÷ エクスポージャー(料率))→ 売上 49 億ドル・営業利益 0 億ドル。同上(リテールの撤退を含む)・複合損害率 約 100.0%
- 運用(預かった保険料と自己資本の運用益):数量 520(運用資産(億ドル))× 価格 0.05(利回り(純投資収益 ÷ 運用資産))→ 売上 25 億ドル・営業利益 25 億ドル。運用資産 × 利回り(純投資収益)
倍率:利益ベースの正当化 PER:k 9.00%(基本 8.0% + quality +1.00%)・g 4.0%(上限の内側。市場 +1.0%・シェア 0%・価格は料率の遅れで物価より低い 3.0%(中立)で、4% を超えない)・事業の ROE 11%(帳簿の自己資本 ROE:純利益 20.1 ÷ 自己資本 190.0 億ドル)・moat=普通(残る割合 0.50)。RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 9.8%、正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g) = 11.8 倍(上限 = 純利益 20.1 億ドル × これ = 238 億ドル)。これの 0.8 割(9.5 倍)に置いた。やや悲観:伸びが落ち堀が削れた会社として中立より下。
確率:2015〜17 年のような長いソフト市場に、準備金の積み増しが毎年 3 ポイント加わる筋書き。ROE は 10%(12 期の平均)に戻るだけ。
悲観 20% 悲観:準備金の追加の積み増しと大災害で、構造的に優良ではなくなる 利益 5 億ドル · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 153.09 ドル59 億ドル
構造的に負ける。賠償責任の古い事故年から追加の積み増しが 30 億ドル規模で数年続き、再保険の約定は数量 −25%(市場 +10.5%・シェア −32%)・価格 1.15 倍で 86 億ドル、複合損害率 104%。卸売・特殊は数量 −40%・価格 1.15 倍で 34.5 億ドル、複合損害率 108%。運用資産 430 億ドル・利回り 4.3% で 18.5 億ドル。純利益 5.4 億ドル、自己資本 135 億ドル(ROE 約 4.0%)。10 年目の利益は谷に近く、ならした利益でなく自己資本で測る。自社株買いは止まり、株主還元は 10 年で 61.8 億ドルにとどまる(初めの 3 年に集中)。
- 再保険の約定(財物大災害・賠償責任・特殊):数量 750(引受の契約限度額(億ドル相当))× 価格 0.12(収入保険料 ÷ 契約限度額(料率))→ 売上 86 億ドル・営業利益 −3 億ドル。契約限度額・料率・複合損害率の置き方は story のとおり・複合損害率 約 104.0%
- 卸売・特殊保険(残す保険)と小口の撤退分:数量 300(引受のエクスポージャー(億ドル相当))× 価格 0.12(収入保険料 ÷ エクスポージャー(料率))→ 売上 35 億ドル・営業利益 −3 億ドル。同上(リテールの撤退を含む)・複合損害率 約 108.0%
- 運用(預かった保険料と自己資本の運用益):数量 430(運用資産(億ドル))× 価格 0.04(利回り(純投資収益 ÷ 運用資産))→ 売上 19 億ドル・営業利益 19 億ドル。運用資産 × 利回り(純投資収益)
倍率:構造的に負けた筋書き。10 年目の純利益 5.4 億ドルは自己資本 135 億ドルに対し ROE 4% で k 9.0% を下回るので、PBR の目安は ROE÷k = 0.44 倍。稼ぐ力は純利益 5.4 億ドル ÷ k = 約 60 億ドルで、価値はその内側の 59 億ドル(自己資本 135 億ドル × 0.44)に置いた。ならした利益では見ない。市場の値付けや過去の底からは置いていない。
確率:年次の見直しで積み増しが繰り返され、再保険の信頼を損ね、数量・料率を失う筋書きを 2 割と置いた。同社は 2024〜26 年の連続した積み増しと、過去の ROE 1%・5% 台の年を持つ。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
再保険の約定(財物大災害・賠償責任・特殊)
他の保険会社から財物(大災害の超過損害・比例)と賠償責任・特殊の再保険を引き受ける。
| 数量引受の契約限度額(億ドル相当) | 価格収入保険料 ÷ 契約限度額(料率) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,000 | 0.10 | 100 | 8 |
| 10 年後 中立 | 960 | 0.14 | 131 | 7 |
取り方:2025 年の再保険部門の複合損害率 91.7% から、収入保険料を約 100 億ドル(グループの収入保険料は約 150 億ドルと推定:2025 年第 4 四半期の引受益 0.6 億ドルが複合損害率 98.4% に当たる点から逆算)と置き、引受益 8.3 億ドルとした。契約限度額は非開示のため約 1,000 億ドル相当 × 料率 10% の推定。市場は世界の再保険(財物大災害は 2026 年 1 月に −14.7%、6・7 月に市場で −15〜20%)で、シェアは大手の一角。競合はスイス再保険・ミュンヘン再保険・ハンノーバー再保険・アーチ・レナイサンス再保険。数量 = 市場(出再会社の保険料の実質増・年 +1%)× シェア。価格 = 料率 × 顧客の売上の物価分(年 3.5%)。物価だけなら 3 年 1.11 倍・10 年 1.41 倍で、そこに料率の下げ上げを重ねる。
卸売・特殊保険(残す保険)と小口の撤退分
ロイズ・英国・米国の E&S などで特殊保険を引き受ける。小口(商業リテール)は AIG へ更新権を売って撤退中。
| 数量引受のエクスポージャー(億ドル相当) | 価格収入保険料 ÷ エクスポージャー(料率) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 500 | 0.10 | 50 | −7 |
| 10 年後 中立 | 420 | 0.14 | 58 | 1 |
取り方:2025 年の保険部門の複合損害率 114.6%(米国賠償責任の準備金の積み増しの傷を含む)から、収入保険料を約 50 億ドル(うちリテール約 15 億ドルは撤退中、卸売・特殊が約 35 億ドル)と置き、引受損 7.3 億ドルとした(部門別の保険料は非開示で推定)。エクスポージャーは 500 億ドル相当 × 料率 10% の推定。2026 年 4〜6 月の卸売・特殊の複合損害率は 95.2%。市場は米国の E&S とロイズの特殊(年 数千億ドル規模の推定)で、成長の狙いはデータセンター・建設・再生可能エネルギー。競合はアーチ・マーケル・AIG・ロイズのシンジケート。数量 = 市場の実質 +1.5% × シェア(リテール撤退で当面は縮む)。価格 = 料率(財物は軟化、賠償責任は硬め)× 物価分。
運用(預かった保険料と自己資本の運用益)
債券・短期を中心とした純投資収益(税引前)。
| 数量運用資産(億ドル) | 価格利回り(純投資収益 ÷ 運用資産) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 437 | 0.05 | 21 | 21 |
| 10 年後 中立 | 560 | 0.05 | 27 | 27 |
取り方:2025 年の純投資収益 21 億ドル(記録)を、期中の平均の運用資産 約 437 億ドル(期末 454 億ドル)× 利回り 約 4.8% に置いた。金利が 5% 前後で続く前提で利回りは 4.9〜5.0%。実現・未実現の損益は運用益に入れず調整に入れた。
リスクと懸念
準備金の追加の積み増し
米国賠償責任の準備金は 2024 年末に 17 億ドル、2026 年 4〜6 月に北米賠償責任再保険で 2 億ドル弱を積み増した。古い事故年にわたって広がっており、年次の長期見直し(7〜9 月期)でまた出る恐れがある。数億ドルの積み増しは 1〜2 四半期の利益を消し、数十億ドルなら自己資本 155 億ドルの 1 割を超える。
財物大災害の軟化と大災害の損失
財物大災害の料率は 2026 年 1 月に市場で −14.7%(リスク調整後)、6〜7 月に市場で −15〜20%(同社は約 −10%)。資本が潤沢で 1/1/2027 も大きな大災害がなければ競争が続く。約定で 8 ポイントの大災害の想定を超える年(イアン級・山火事級)が来れば、複合損害率は 100% 近くへ上がる。2025 年の大災害は 7.57 億ドル。
賠償責任の社会的インフレ
訴訟費用・陪審評決の高額化で、賠償責任の損失トレンドは物価より速い(5〜7% と推定)。同社は 2026 年 4〜6 月に賠償責任の再保険の保険料を −19〜25% 絞り、10 億ドル超から撤退したが、残る保険と再保険の準備金に尾が残る。不法行為法の改革を理由にした準備金の取り崩しはしていない。
運用の評価損と信用
運用資産 454 億ドルの質は高いが、不況で信用スプレッドが開くと評価損が出る。純投資収益 21 億ドルは利益の主な支えで、短期金利が 3.5% を下回れば減る。運用子会社マウント・ローガン(運用資産 34 億ドル)は信用に近く、変動が大きい。
経営の交代と実行
前 CEO のアンドラーデ氏が 2026 年 1 月に退任し、ウィリアムソン氏が率いる。リテール撤退・カバー・サイドカー・組織の再編と、同時に動かしており、実行を誤ると保険料の縮みが費用率を悪化させる。コアの総保険料は 4〜6 月に −7%。
リテール撤退後の未稼得と費用
AIG に移した分で未稼得の純保険料が約 2.5 億ドル残り、更新権の売却後も責任と請求処理は同社に残る(2025 年の保険部門の複合損害率 114.6%)。費用の削減が保険料の縮みに追いつかないと、コアの利益率の改善が止まる。
資本コストの前提への敏感さ
k は quality で +1.0% 上げて 9.0% とした。k が 0.5% 上がれば倍率は約 1〜2 割下がる。価値の大半は 10 年後の倍率に依存するので、悲観・やや悲観の確率を合わせて 10 年で 48% 置いた。
今後の分かれ目
- 7〜9 月期の年次の長期準備金の見直しで、追加の積み増しが 5 億ドルを超える
- 準備金の不足が一度きりでないことが確かになり、中立の準備金 2 ポイントの置き方でも足りなくなる。悲観・やや悲観の確率を上げ、倍率の前提(ROE 12〜13%)も下げる。
- 追加の積み増しがなく、準備金の動きが中立または有利になる
- 準備金への疑いが薄れ、複合損害率はコアで 90〜92% に収まる。楽観・やや楽観の確率を上げられる。
- 1/1/2027 の更新で財物大災害の料率がさらに 10% 以上下がる
- 約定の複合損害率が 95% 台へ上がり、純利益は 20 億ドルを下回る。やや悲観が中心になる。
- 大きな大災害(600 億ドル級)が起き、1/1/2028 に料率が 15% 以上戻る
- 損失は 1 年の利益を消すが、硬い市場が戻り、同社は選別して伸ばせる。楽観の確率を上げ、運用益の上積みで ROE は 15% 台へ。
- 米国の失業が 7% 台へ上がり、信用スプレッドが開く
- 運用の評価損と、顧客の売上の縮みによる保険料の減少が重なる。自己資本は 1〜2 割減り、自社株買いは止まる。3 年の悲観の筋書き。
- 10 年国債・短期金利が 3% 台へ下がる
- 運用益の押し上げが止まり、純利益は 10 年で 1 割ほど少なくなる(運用益は利益の主な支え)。割引率も下がり、価値の差は小さい。
見ておくもの
- 年次の長期準備金の見直し(7〜9 月期)と、北米賠償責任再保険・保険の準備金の動き(今は 4〜6 月に 2 億ドル弱の積み増し)
- コアの複合損害率(今は 90.0%、約定 88.5%・卸売・特殊 95.2%)と大災害の損失(今は 0.94 億ドル)
- 1/1・4/1・6/1・7/1 の更新での財物大災害の料率(今は市場で −15〜20%、同社は約 −10%)と賠償責任の再保険の保険料(今は −19〜25%)
- コアの総保険料(今は 37 億ドル、−7%)と、卸売・特殊の成長(データセンター・建設・再生可能エネルギー)
- 純投資収益(今は年 21 億ドルの記録)と運用資産の利回り、マウント・ローガンの運用資産(34 億ドル)
- 自社株買い(四半期 3 億ドル以上)と簿価倍率(今は PBR 0.98 倍)、レガシー準備金の減少による資本の放出
倍率と資本コストの決め方
今の PER 9.5 倍・PBR 0.98 倍を先に見ず、事業ごとに数量 × 価格で 10 年の利益を積み、その時点の ROE・g から式で倍率を出した。k = 基本 8.0% + quality +1.0% = 9%、g は市場 +1.0%・シェア 0%・価格は料率の遅れで物価より低い 3.0% で 4% を超えない。PER は (1 − g/RONIC)/(k − g) を来年の利益に対して出し、資本コストを超える分は新しく投じるお金では半分に薄れる形で使った。中立の 10 年は正当化 PER 12.6 倍の 9 割 = 11.4 倍で、ROE(準備金の不利な動きを毎年 2 ポイント、中立の複合損害率 94〜95%)・g・確率で再保険の振れを表した。悲観・やや悲観を 10 年で 48% と、同じ領域で最も厚く置き、悲観は稼ぐ力(純利益 ÷ k)の内側の PBR(約 0.4 倍)で測った。過去の PER や PBR には寄せていない。総合は +47% で「割安」。前提(資本コストと準備金への信頼)への敏感さは別に注意を要する。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality +1% = 9%(β は使わない。決まり v2。内訳は quality_parts と quality_why)。再保険の料率の山谷と大災害で利益が大きく振れ、価格を決める力も小さいので quality を厚めに見た。金融なので負債の補正は quality の debt で見る。準備金の信頼・経営交代・運用損のような個別のリスクは k に足さず、筋書きの利益率と悲観の確率・深さで表した。長期の g は 4.0% まで、k − g ≥ 3.5% を守る。