結論
インテグリスは、半導体を作る工場に研磨剤、成膜用材料、超高純度フィルター、ウエハー容器を供給する会社である。製造装置そのものより、工場が稼働するたびに使う材料と汚染防止の仕組みで稼ぐ。事業の必要性は高いが、筆者の結論は割高である。現在の時価総額は、買収によって膨らんだ負債と利益率の回復を考慮しても、長期のオーナー利益に対して高すぎる。
競争力の源は、微量の異物が半導体の不良を生むため、顧客が認定済みの材料やフィルターを容易に替えられないことだ。会社説明によれば売上の約75%はウエハーの処理量に連動し、残り約25%が設備・工場投資に左右される。2026年6月四半期の売上は8.83億ドル、GAAP営業利益率は18.6%に回復した。次の四半期の会社予想も売上9.05〜9.35億ドルと強い。ただし回復の出発点は、2025年の営業利益率15.5%と純負債34.5億ドルである。
2036年には世界のウエハー需要の実質増加と材料の値上がりから、売上が約71億ドルまで伸びる可能性を中立と見る。買収無形資産の償却負担が減れば、利益の伸びは売上を上回る。ただし中国の材料国産化、大口顧客の交渉力、再投資と債務返済が株主の取り分を抑える。悲観では、研磨剤の特許優位が薄れ、工場の新設が止まると利益は急減する。
5つの筋書きを加重し、9%の資本コストで10年後の価値と正味の還元を割り引くと、今の適正な会社価値は約66億ドルとなる。2026年10月23日の約205億ドルと比べて約68%低い。技術的に優れた会社を長く持つことと、その会社にいくら払ってよいかは、分けて考えるべきである。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「失って初めて価値がわかる製品」を売っている。歩留まりを左右する薬液やフィルターは、半導体が高価になるほど変更の危険が増す。顧客が一度認定すれば継続注文が見込め、数十年先も半導体の製造が続く限り必要な仕事である。AIの利用が増えることは半導体の需要を押し上げても、同社の材料そのものをAIエージェントが代替することにはならない。この点は長期保有にふさわしい。
しかし株主が買うのは技術の評判ではなく、その技術が生む将来の現金である。2025年はフリーキャッシュフローが約4億ドルあっても、純利益は2.4億ドルにとどまった。買収で計上したのれんは自己資本とほぼ同じ規模で、会社が明日清算された場合の安全な担保にはならない。しかも稼ぎの一部は負債の返済、設備投資、開発費に向かい、株式報酬も差し引く必要がある。
10年後には買収償却が減って利益率が改善し、研究開発の成果が出る可能性を十分認める。それでも買収に使った資本を含む自己資本に対し、どれほどの利益を残せるかを重視する。成熟した事業に成長初期の高い値付けを永久に与えることはできない。危ういのは事業の消滅より、事業が成長しても株主の支払った値段を正当化できないことである。事業への敬意と投資の安全域は別物と判断する。
何で稼ぐ会社か
収益は、材料ソリューション(MS)と先端純度ソリューション(APS)の2つの報告セグメントから生まれる。MSは、ウエハー表面を平らにするCMP研磨剤とパッド、成膜の原料となる前駆体、選択エッチング液、洗浄液、特殊ガスを売る。2025年の売上は14.07億ドル、セグメント利益は2.77億ドルである。サムスン電子、SKハイニックス、マイクロン、TSMCなどが工程ごとに材料を認定し、稼働量と加工の複雑さに応じて繰り返し購入する。モリブデン配線や先端メモリの積層は新しい材料を採用する機会となる。
APSは、薬液とガスから微粒子を取り除くフィルター、超高純度のバルブや配管、薬液容器、FOUPと呼ぶウエハー搬送容器を供給する。2025年の売上17.99億ドル、セグメント利益4.26億ドルで、MSより利益率が高い。フィルター交換は稼働に伴う消耗品だが、FOUPや工場の薬液供給設備は新設投資にも左右される。この違いを捉えるため、APSのうち消耗・交換品を約10億ドル、容器・配管など設備連動品を約8億ドルに分析上分けた。会社はこの内訳を直接開示しておらず、全社売上の75%が処理量連動という経営陣の説明と製品用途から推定したものである。
両部門は別々の製品を売って終わらない。あるCMP材料を採用すると、その材料に合うフィルター、洗浄液、容器にも改善の余地が生まれ、顧客の歩留まり管理に深く入り込む。1つの製品群が全社売上の3%を超えないほど分散しており、特定の装置1機種への依存は小さい。一方、顧客上位10社で売上の半分、TSMCだけで16%を占め、契約は長期購入数量を保証しない。AIエージェントが人の作業や席課金を代替する事業には当たらない。物理的な材料の純度と工場での認定が対価の源だからである。
優良さと弱いところ
堀、つまり競争相手が簡単には奪えない強みは、製造工程への組み込みにある。最先端の半導体では微粒子1つや洗浄の不具合が高価なウエハーの歩留まりを落とす。新しいフィルターや研磨剤に替えるには工程の再認定と長期の信頼性確認が要り、購入価格が少し安いだけでは替えにくい。2025年の報告書は、顧客の工程に合わせた製品と切り替えによる歩留まりリスクを明示している。約4400件の有効特許と顧客近接の開発拠点も、この強みを補強する。
強みが実績を伴う例もある。CMCマテリアルズを取り込んだCMPでは、2026年8月に台湾と中国でコロイダルシリカ研磨剤の特許が維持された。汚染制御はダナハー傘下のポールや中国のコベターと競うが、技術だけでなく薬液全体の品質保証が採用を支える。もっとも、何年も継続して物価を上回る値上げを通した定量的証拠は乏しく、独占的な価格決定力までは認めない。中立の価格は物価並みが妥当である。
弱点は買収後の資本効率だ。2021年のROEは23.9%だったが、2025年は6.0%に低下した。2022年の大型買収で自己資本に多額ののれんが入り、借金も増えたためだ。2025年の自己資本39.5億ドルに対し、のれんは約39.5億ドルもあり、帳簿の厚みをそのまま清算価値と見なせない。技術力は強いが、買収に投じた資本の収益性がまだ十分でない。株主にとっての堀が価値を生むには、利益率の回復と債務の圧縮が欠かせない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
需要の中心は製造装置の発注額ではなく、半導体工場が何枚のウエハーを加工するかである。SEMIによると、2025年のシリコンウエハー出荷面積は1万2973百万平方インチで、2026年は1万4420、2029年は1万7034へ伸びる見通しだ。出荷面積は製造工程の延べ処理枚数と同じではないが、材料の実需を捉える公開指標として有効である。2025年の世界の半導体材料市場は732億ドル、うち前工程の材料は458億ドルだった。後工程の先端パッケージも成長している。
市場は細かく分かれる。MSが関わるCMP、特殊ガス、薬液、その他の前工程材料の2025年の市場見通しを合計すると約186億ドルである。MSの売上との単純な比は約7.6%だが、競争対象でない用途や周辺事業も混じるため、正式な世界シェアではない。CMPでは米国のキューニティー、フジミ、レゾナック、中国の安集微電子が競う。安集のスラリーシェアは外部調査で世界の1割強と推計される。APSのフィルターはポールとコベター、搬送容器は信越ポリマーと台湾の家登精密が主要競合である。APS全体について比較可能な市場規模と個別シェアの公表はない。類似領域の長期試算ではキューニティーの連結営業利益率が約26%、アプライド・マテリアルズが約30%である。製品の違いは大きいが、同社のMS単独がそれらを恒常的に上回る前提は置かない。
2026年はAI向けのHBM、先端ロジック、工場増設が同時に伸びる局面にある。業界ノートの装置市場は2028年ごろに山を付け、2036年には名目2650億ドルへ拡大する想定だ。ただし装置売上に直接連動するのは全社の約1割で、さらに約15%が工場建設関連である。装置メーカーのラムリサーチやアプライド・マテリアルズより売上の循環は穏やかだが、半導体全体の需給から逃れられるわけではない。
10年先の分かれ目は、工程が複雑になるほど材料の採用額が増えるか、それとも中国の国産化と顧客の内製化で単価とシェアが削られるかにある。量産向け薬液は地産地消の圧力を受ける。TSMCへの依存が増した現在、台湾海峡の混乱は需要と供給の両面に効く。先端材料の量産認定を維持できるなら市場並み以上に伸びるが、競争の勝利を当然とはしない。
資本政策と M&A
資本配分を評価する鍵は2022年のCMCマテリアルズ買収である。買収総額は約57億ドルで、現金の支払いと新株発行によってCMP材料の品ぞろえを広げた。しかし純有利子負債は2021年の約6億ドルから2022年に53億ドルへ跳ね上がり、ROEも下がった。2023〜2025年には非中核事業を売却し、純負債を34.5億ドルへ減らした。製品の相乗効果はあるが、支払った買収価格に見合う利益をまだ証明できていない。
2018〜2021年には自社株買いを行い、2019年には株数を約4%減らした。しかし2022年の買収では新株を約1290万株発行し、その利益を薄める効果も生じた。2025年の現金配当は約0.6億ドルだった一方、株式報酬は約0.7億ドルで、同年は公表済みの自社株買い計画がなく、実際の自社株買いもなかった。したがって配当の全額を株主への正味の還元とは数えられない。2026年上期は借入金を2.5億ドル返済し、経営陣は年末の純負債倍率を3倍未満にする方針を示した。2026年の設備投資計画は約2.5億ドルで、研究開発と増産を優先する。
2036年までの還元は、まず負債を減らし、その後に自社株買いが再開する場合を含めた条件付きの見通しである。確定した長期の自社株買い枠や総還元額の数値約束はない。新たな大型買収を基準の筋書きには含めない。支配株主や特別議決権株が少数株主を直接圧迫する構造は見当たらないが、株式報酬による希薄化と買収判断の失敗は株主の負担になる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
最先端半導体の工程は、単なる微細化から新材料を組み合わせる時代に入った。GAA、裏面給電、モリブデン配線、HBMの多層化が重なり、成膜材料、CMP研磨剤、洗浄液、フィルターの組み合わせが一段と複雑になる。インテグリスは単一の薬液ではなく、工程をまたぐ製品群を持ち、CMCマテリアルズを買収した意味がここで生きる。2026年の特許維持の判断も、量産まで積み上げた知的財産が簡単には崩れない証拠だ。
すでに2026年6月四半期のAPS売上は前年同期比約17%増で、セグメント利益も大きく回復した。会社は先端ロジック、メモリ、先端実装で20件を超す増産案件を把握している。設備を新設する時は薬液配管と搬送容器が売れ、操業が始まれば消耗品が繰り返し売れる。装置の販売で終わる会社より、好況の果実を長く受け取りやすい。
SEMIの2029年までのウエハー出荷見通しが実現し、その後も先端製造が世界へ広がれば、2036年には出荷面積が2025年より7割以上多くなり得る。新材料の採用率も上がれば、MSは世界市場で存在感を強め、APSはフィルターと配管の両方で製品を増やせる。製品価格に品質保証の対価が乗り、工場の歩留まり改善から高い利益率が続く。借金の圧縮が終われば資金の使い道は還元に移り、2022年の買収もようやく価値を生む。
慎重な見方
一番の問題は、優れた材料と優れた投資が同じではないことだ。CMCマテリアルズの買収で製品の幅は広がったが、2025年のROEは6%で、買収前の実績から大きく落ちている。のれんの規模は自己資本にほぼ等しく、現金の裏付けが薄い。市場が弱くなれば、帳簿の資産を守れないだけでなく、多額の借金が残る。2026年上期の返済だけで過去の資本配分の評価を覆すことはできない。
顧客は技術変更を嫌うが、同時に高い交渉力を持つ。TSMCだけで売上の16%、上位10社では50%である。顧客が薬液メーカーの二重調達を進め、中国工場で国内の安集微電子やコベターを採用すれば、独占に見えた工程も段階的に開かれる。信越ポリマーや家登精密との搬送容器競争、キューニティーやフジミとの研磨剤競争も続く。特許を守れても、工程自体が別の薬液に移れば値上げの力は弱まる。
半導体の設備投資は既にAIとメモリへの期待が濃い。生産能力が余れば工場の新設が止まり、まずAPSの容器・配管が落ち、続いて稼働率の低下が消耗品にも波及する。大型の固定費はすぐには下がらず、資本コストが高い環境で負債の借り換えも重い。業績が伸びても買収償却前の調整後利益で株を評価すると、株式報酬と取得した無形資産の費用が見落とされる。10年先に材料メーカーの地位が残っても、今の投資価値が守られる保証はない。
どちらに重みを置いたか
工程認定による切り替えの難しさは本物で、材料を繰り返し購入する収益の質も認める。だが、その堀が株主に十分な利益を生んでいるかとなると、買収後の低ROEと純負債が反証になる。強気側には28%、中立に35%、やや悲観と悲観には合計37%の確率を配した。これは機械的な左右対称ではなく、先端材料の量的成長より、資本配分の失敗が再発した時の損失が大きいという判断である。成熟後の利益に基づく価値では、2026年の株価に安全域が乏しい。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 85.20 ドル130 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 11.70 ドル18 億ドル)。 今の値に割り戻すと 43.59 ドル66 億ドル、今との差 −71.8%、 期待の年率 −4.8%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 196.62 ドル299 億ドル | 29.57 ドル45 億ドル | +46.5% | +4.2% | 20.36 ドル31 億ドル |
| やや楽観 | 19% | 141.79 ドル216 億ドル | 19.71 ドル30 億ドル | +4.6% | +0.5% | 30.68 ドル47 億ドル |
| 中立 | 35% | 97.69 ドル149 億ドル | 13.14 ドル20 億ドル | −28.2% | −3.4% | 38.79 ドル59 億ドル |
| やや悲観 | 25% | 24.28 ドル37 億ドル | 2.63 ドル4 億ドル | −82.6% | −16.5% | 6.73 ドル10 億ドル |
| 悲観 | 12% | 2.53 ドル4 億ドル | 0.33 ドル1 億ドル | −98.1% | −33.6% | 0.34 ドル1 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 85.20 ドル130 億ドル | 11.70 ドル18 億ドル | −37.2% | −4.8% | 96.90 ドル147 億ドル |
今の株価時価総額 154.39 ドル235 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 新材料と先端工場の増設を両取りする 利益 21 億ドル · PER 14.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 196.62 ドル299 億ドル
2036年には世界のウエハー出荷面積が約2万3000 MSIへ広がる。MSはモリブデンの成膜前駆体、CMP研磨剤、選択洗浄液の量産認定を増やし、実質の採用量が2025年の1.9倍となる。キューニティーとフジミを高付加価値の工程で上回り、価格にも物価を超す品質対価が乗る。APSではポールやコベターとの競争に勝ち、EUV周辺の超高純度フィルターを拡販する。新設工場向けの容器と配管も大きく増える。
売上は約98億ドル、営業利益は約30億ドルとなる。設備効率が上がり、買収無形資産の償却負担が減るため、GAAP純利益は21億ドルへ伸びる。大型買収はせず、10年間の純利益累計は135億ドル、配当と自社株買いから株式報酬約10億ドルを引いた正味還元は45億ドルとなる。自己資本は約129.5億ドルに積み上がる。高い採用率と債務の圧縮が両立し、競争優位は今より強まるが、顧客の集中は残る。
- 材料ソリューション(MS:CMP・成膜・洗浄材料):数量 190(2025年の世界シリコンウエハー出荷面積12973百万平方インチを基準に、対象材料市場の実効シェアを掛けた実質採用量指数(2025=100))× 価格 21.8%(実質採用量指数1あたり売上(億ドル)。工程あたり単価の名目変化で、シェア変化は数量に含む)→ 売上 41 億ドル・営業利益 12 億ドル。ウエハー面積約23000 MSI×工程採用シェアの上昇。価格は2025年比1.55倍。
- 先端純度ソリューションの稼働連動品(APS・分析上の区分):数量 184(世界ウエハー出荷面積とフィルター採用工程数から作る実質消耗・交換量指数(2025=100))× 価格 0.16(フィルター・交換部品の量指数1あたり売上(億ドル)。品質に応じた名目価格)→ 売上 29 億ドル・営業利益 10 億ドル。認定フィルターの採用品目増で数量1.84倍、単価1.55倍。
- 先端純度ソリューションの設備連動品(APS・分析上の区分):数量 232(ウエハー製造装置導入と新工場の薬液供給能力を合成した実質設備需要指数(2025=100))× 価格 0.12(設備需要指数1あたり売上(億ドル)。容器・配管の名目価格)→ 売上 29 億ドル・営業利益 9 億ドル。先端ファブ建設とFOUP導入の採用能力2.32倍、価格1.54倍。
倍率:k9.0%、2036年ROE=21.0÷129.5=16.2%、strongの残存率2/3からRONIC13.81%。2036年以後のg4.5%(ウエハー実質成長約1%+名目価格3.5%、シェア維持)なら翌年利益基準の正当化PERは14.98倍、2036年利益に直す1.045倍を掛けた上限は15.66倍。14.25倍はその約91%。新材料の強い採用でも需要の循環と顧客の集中が残る。GAAP純利益を使い、SBCと買収償却の足し戻しはしない。純現金の別建て加算はない。
確率:先端工程の増加に加えてCMP・純度管理の採用比率まで高める必要がある。顧客の寡占と半導体投資の循環を考え、最良の状態が長く続く確率は9%とする。
やや楽観 19% 先端工程で勝ち、負債を着実に減らす 利益 17 億ドル · PER 13.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 141.79 ドル216 億ドル
2036年の世界ウエハー出荷面積は約2万2000 MSIに達する。MSはCMPやモリブデン系材料の認定を獲得し、採用量が2025年の1.74倍へ増す。キューニティー、フジミと一部の品種では競り合うものの、複数工程を束ねる強みで顧客の取引を深める。APSの消耗品は稼働量とともに増え、FOUP・薬液配管は工場増設の恩恵を受ける。
売上は約85億ドルとなり、APSでの製造効率改善と償却減少で営業利益は約23億ドルに達する。GAAP純利益は16.6億ドルで、10年間の累計は105億ドルとする。経営は負債返済を優先した後に自社株買いを増やし、株式報酬控除後の正味還元は30億ドルとなる。自己資本は約114.5億ドルに増える。技術の堀は保たれるが、中国の代替材料が部分的に成長を奪い、利益率は最良の筋書きに届かない。
- 材料ソリューション(MS:CMP・成膜・洗浄材料):数量 174(2025年の世界シリコンウエハー出荷面積12973百万平方インチを基準に、対象材料市場の実効シェアを掛けた実質採用量指数(2025=100))× 価格 21.1%(実質採用量指数1あたり売上(億ドル)。工程あたり単価の名目変化で、シェア変化は数量に含む)→ 売上 37 億ドル・営業利益 10 億ドル。市場のウエハー面積増と材料採用率の微増、価格は約1.50倍。
- 先端純度ソリューションの稼働連動品(APS・分析上の区分):数量 170(世界ウエハー出荷面積とフィルター採用工程数から作る実質消耗・交換量指数(2025=100))× 価格 0.15(フィルター・交換部品の量指数1あたり売上(億ドル)。品質に応じた名目価格)→ 売上 25 億ドル・営業利益 8 億ドル。洗浄と濾過の採用量1.70倍、価格は物価をやや上回る。
- 先端純度ソリューションの設備連動品(APS・分析上の区分):数量 195(ウエハー製造装置導入と新工場の薬液供給能力を合成した実質設備需要指数(2025=100))× 価格 0.12(設備需要指数1あたり売上(億ドル)。容器・配管の名目価格)→ 売上 23 億ドル・営業利益 6 億ドル。新工場の設備需要と採用シェアで1.95倍。
倍率:k9.0%、ROE=16.6÷114.5=14.50%、strongの残存率2/3からRONIC12.67%。gは製造面積の実質成長約1%と名目価格3.5%を合わせた4.5%で、シェアは大幅には増えない。翌年利益に対する式を2036年利益へ直すと正当化PERは14.97倍であり、その約87%の13.0倍。顧客の二重調達と対中競争により利益の質を一段割り引く。GAAP純利益を使用。
確率:2026年の増産案件と材料・高純度部材の共同開発は追い風だが、顧客の調達先分散で成長は最良の筋書きより鈍る。先端製品の採用が予定通り進む確率を19%とする。
中立 35% 稼働量は伸びるが、材料の堀は穏やかに収益化する 利益 13 億ドル · PER 11.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 97.69 ドル149 億ドル
2036年の世界ウエハー出荷面積は約2万 MSIまで増える。MSは工程数の増加で使われる研磨剤と前駆体の量が増えるが、キューニティー、フジミ、安集微電子との競争で世界の参考シェアはほぼ横ばいとなる。APSのフィルターは工程の純度要求の厳格化を取り込み、稼働量を少し上回って伸びる。FOUPや配管は装置投資と工場建設の山と谷を経験した後、成熟した生産能力に見合う需要へ戻る。
売上は約71億ドル、営業利益は約17.8億ドルへ増える。連結営業利益率は約25%で、材料競合キューニティーの長期試算と近い。無形資産の償却負担は減るが、開発費と製造設備の維持費は残り、GAAP純利益は12.6億ドルとなる。10年間の純利益累計は80億ドルで、配当と買い戻しから株式報酬を差し引く正味還元は20億ドル。自己資本は99.5億ドルとなり、ROEは約12.7%へ回復する。大型買収は行わず、先に借金を減らしてから還元する。歩留まりを守る堀は保つが、物価を大きく上回る値上げは見込まない。
- 材料ソリューション(MS:CMP・成膜・洗浄材料):数量 154(2025年の世界シリコンウエハー出荷面積12973百万平方インチを基準に、対象材料市場の実効シェアを掛けた実質採用量指数(2025=100))× 価格 19.8%(実質採用量指数1あたり売上(億ドル)。工程あたり単価の名目変化で、シェア変化は数量に含む)→ 売上 30 億ドル・営業利益 8 億ドル。世界ウエハー面積12973→約20000 MSI、対象品目シェア横ばい、単価は約1.41倍。
- 先端純度ソリューションの稼働連動品(APS・分析上の区分):数量 158(世界ウエハー出荷面積とフィルター採用工程数から作る実質消耗・交換量指数(2025=100))× 価格 0.14(フィルター・交換部品の量指数1あたり売上(億ドル)。品質に応じた名目価格)→ 売上 22 億ドル・営業利益 7 億ドル。濾過工程の実質数量約1.58倍、価格1.41倍。
- 先端純度ソリューションの設備連動品(APS・分析上の区分):数量 164(ウエハー製造装置導入と新工場の薬液供給能力を合成した実質設備需要指数(2025=100))× 価格 0.11(設備需要指数1あたり売上(億ドル)。容器・配管の名目価格)→ 売上 19 億ドル・営業利益 5 億ドル。装置・工場の実質需要1.64倍、価格1.41倍。
倍率:k9.0%、2036年ROE=12.6÷99.5=12.66%、strongの残存率2/3よりRONIC11.44%。2036年より先のg4.5%はウエハー処理量の実質約1%増、シェアほぼ不変、名目材料価格+3.5%から出す。式の翌年PER13.48倍を2036年利益へ換算すると正当化PER14.09倍となる。その84%の11.8倍を使い、設備投資の循環、利益率の変動、買収後の低い増分資本収益率を反映する。SBCと買収償却を戻さないGAAP純利益で測る。
確率:SEMIの2029年までのウエハー数量成長を土台にし、以降は年2〜3%程度の実質成長へ鈍化する。シェアは概ね維持し、利益率は2026年回復の延長という最も自然な道筋のため35%を配す。
やや悲観 25% 中国でシェアを失い、増設の波も弱まる 利益 4 億ドル · PER 8.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 24.28 ドル37 億ドル
2036年のウエハー面積は約1万7500 MSIと、市場全体はわずかに育つ。しかし中国の安集微電子が研磨剤で、コベターがフィルターで採用を広げ、MSの参考シェアは2025年から1割近く失われる。TSMCなどは供給途絶を避けるため二重調達を強め、値上げを受け入れない。APSのFOUPと薬液配管は工場建設の停滞で設備需要が伸びず、信越ポリマーと家登精密の価格競争にさらされる。
売上は約51億ドルにとどまり、工場稼働率が下がって営業利益は約8億ドルとなる。借り換え負担が残り、GAAP純利益は4.4億ドルである。10年間の累計利益は35億ドル、株式報酬を引いた正味の還元は4億ドルに縮み、自己資本は70.5億ドルとなる。買収によるのれんはまだ帳簿に残るが、ROEは資本コストを割り込む。顧客認定の強みは一部残っても、追加の設備投資に高い利回りを期待できなくなる。
- 材料ソリューション(MS:CMP・成膜・洗浄材料):数量 124(2025年の世界シリコンウエハー出荷面積12973百万平方インチを基準に、対象材料市場の実効シェアを掛けた実質採用量指数(2025=100))× 価格 18.3%(実質採用量指数1あたり売上(億ドル)。工程あたり単価の名目変化で、シェア変化は数量に含む)→ 売上 23 億ドル・営業利益 4 億ドル。ウエハー面積増を中国のシェア喪失で相殺。単価は2025年比1.30倍にとどまる。
- 先端純度ソリューションの稼働連動品(APS・分析上の区分):数量 128(世界ウエハー出荷面積とフィルター採用工程数から作る実質消耗・交換量指数(2025=100))× 価格 0.13(フィルター・交換部品の量指数1あたり売上(億ドル)。品質に応じた名目価格)→ 売上 16 億ドル・営業利益 4 億ドル。交換需要は残るが採用率が下がり、価格も物価負け。
- 先端純度ソリューションの設備連動品(APS・分析上の区分):数量 114(ウエハー製造装置導入と新工場の薬液供給能力を合成した実質設備需要指数(2025=100))× 価格 0.10(設備需要指数1あたり売上(億ドル)。容器・配管の名目価格)→ 売上 12 億ドル・営業利益 2 億ドル。建設需要の低迷で設備量1.14倍、値上げは約1.30倍だけ。
倍率:ROE=4.4÷70.5=6.24%とk9.0%を下回る。競争で成熟後のgは市場数量+0.5%、シェア−1.5%、価格+3.0%の約2%へ低下する。strongの残存率2/3でもRONIC7.16%、式を2036年利益へ直した正当化PERは約10.5倍、ROEがk以下の絶対上限1/k=11.11倍をともに下回る8.4倍。稼ぐ力の床は純利益4.4÷0.09=48.9億ドルで、時価総額37.0億ドルはこれ以下。簿価のPBR底からは出していない。
確率:中国のCMP・濾過材料の国産化は進んでおり、TSMCなど少数顧客への依存と2022年買収負債が下振れを増幅する。事業が残っても資本コストを稼げない確率を25%とする。
悲観 12% 材料の競争優位が崩れ、買収の傷が表面化する 利益 1 億ドル · PER 7.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2.53 ドル4 億ドル
2036年のウエハー面積は約1万5000 MSIと2025年を少し上回るが、MSの製品採用量は逆に減少する。安集微電子やキューニティーがCMPの主要品種で勝ち、材料の価格は物価上昇に追いつかない。APSもポール、コベター、信越ポリマーへの切り替えで認定案件を失う。工場の建設が止まり、容器・薬液配管の設備量は2025年より小さくなる。量産拠点を維持する固定費を十分に回収できず、材料の堀は大きく削られる。
売上は約30億ドル、営業利益は約2.2億ドルに沈み、借り換え金利を払った後のGAAP純利益は0.5億ドルにとどまる。2028〜2031年にのれん等を計25億ドル程度減損し、他の期間の純利益を合計13億ドル得ても10年の累計純利益はマイナス12億ドルとなる。資本保全を優先して配当と買い戻しは停止に近く、株式報酬控除後の正味還元は0.5億ドルだけである。自己資本は27億ドルになるが、売却可能な資産の税後価値は借金にほぼ食われる。残る価値はわずかな稼ぐ力であり、2025年の帳簿自己資本をそのまま床にしない。
- 材料ソリューション(MS:CMP・成膜・洗浄材料):数量 87.0(2025年の世界シリコンウエハー出荷面積12973百万平方インチを基準に、対象材料市場の実効シェアを掛けた実質採用量指数(2025=100))× 価格 15.9%(実質採用量指数1あたり売上(億ドル)。工程あたり単価の名目変化で、シェア変化は数量に含む)→ 売上 14 億ドル・営業利益 1 億ドル。世界面積は伸びても中国・先端CMPで負け、採用量0.87倍、単価1.13倍。
- 先端純度ソリューションの稼働連動品(APS・分析上の区分):数量 92.0(世界ウエハー出荷面積とフィルター採用工程数から作る実質消耗・交換量指数(2025=100))× 価格 0.11(フィルター・交換部品の量指数1あたり売上(億ドル)。品質に応じた名目価格)→ 売上 10 億ドル・営業利益 2 億ドル。フィルターの他社への切り替えと契約単価下落が重なる。
- 先端純度ソリューションの設備連動品(APS・分析上の区分):数量 68.0(ウエハー製造装置導入と新工場の薬液供給能力を合成した実質設備需要指数(2025=100))× 価格 0.08(設備需要指数1あたり売上(億ドル)。容器・配管の名目価格)→ 売上 6 億ドル・営業利益 0 億ドル。工場建設が止まり、搬送容器・配管の需要は実質32%減。
倍率:利益は低いが最終年は黒字なのでPERで測る。2036年ROEは0.5÷27=1.85%でk9.0%に大きく届かず、永続成長gは数量停滞・シェア縮小・値上げ不能で0%。通常の事業価値の上限は1/k=11.11倍であり、7.7倍と厳しく割り引く。時価総額3.85億ドルは利益÷kの5.56億ドル以下で、税後換金資産の床0.5億ドル以上でもある。のれんを床に使わず、GAAP純利益に過去減損を再度上乗せしない。
確率:中国の国産化、顧客の内製化、AI設備投資の停滞が重なり、特許を守っても代替工程でシェアを失う構造的敗北を想定する。実現頻度は低くても負債との組み合わせが重いため12%とする。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
材料ソリューション(MS:CMP・成膜・洗浄材料)
CMP研磨剤とパッド、成膜前駆体、特殊ガス、エッチング・洗浄薬液を販売する。稼働ウエハー量と採用工程の増減が主な数量要因。
| 数量2025年の世界シリコンウエハー出荷面積12973百万平方インチを基準に、対象材料市場の実効シェアを掛けた実質採用量指数(2025=100) | 価格実質採用量指数1あたり売上(億ドル)。工程あたり単価の名目変化で、シェア変化は数量に含む | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 100 | 14.1% | 14 | 3 |
| 10 年後 中立 | 154 | 19.8% | 30 | 8 |
取り方:2025年10-KのMS売上14.067億ドル、セグメント利益2.766億ドル。SEMIの2025年ウエハー面積12973 MSIを物理数量の基準にした。SEMIの2025年予測でCMP材料35億ドル、特殊ガス64億ドル、湿式薬液37億ドル、その他の新材料50億ドル、計186億ドルが周辺市場の近似で、MS売上÷186は約7.6%。この比は非対象用途が混じる参考シェアで厳密な商品別市場シェアではない。個別製品の販売量・単価は未開示なので、MSの工程採用量を2025年100、単価を14.067÷100とした。将来の数量はSEMI出荷面積×シェア・採用工程数で動かし、物価は価格にだけ反映する。
先端純度ソリューションの稼働連動品(APS・分析上の区分)
高純度の液体・ガスフィルター、定期交換する浄化部材、薬液用消耗容器など。APS報告セグメント内の推定内訳。
| 数量世界ウエハー出荷面積とフィルター採用工程数から作る実質消耗・交換量指数(2025=100) | 価格フィルター・交換部品の量指数1あたり売上(億ドル)。品質に応じた名目価格 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 100 | 0.10 | 10 | 3 |
| 10 年後 中立 | 158 | 0.14 | 22 | 7 |
取り方:2025年APS報告売上17.991億ドル、利益4.264億ドル。2026年Q2説明会で全社の75%がウエハーの処理量連動、25%が設備投資連動と公表された。全社32億ドルの約75%=24億ドルから、ほぼ稼働連動のMS14.067億ドルを差し引いてAPS消耗品を約10億ドルと推定。市場にはポール・インテグリス・コベターの大手3社があり、液体用フィルターでは合計シェア約87%という外部調査があるが、個社シェアは検証できず固定しない。APS利益のうち2.75億ドルを稼働品に配分するのは製品の反復性による推定で会社開示値ではない。数量はウエハー面積×採用シェア、価格はその消耗品単価。
先端純度ソリューションの設備連動品(APS・分析上の区分)
FOUP・搬送容器、薬液配管、バルブ、工場新設時に採用される供給システム。工場建設と装置導入の量に敏感。
| 数量ウエハー製造装置導入と新工場の薬液供給能力を合成した実質設備需要指数(2025=100) | 価格設備需要指数1あたり売上(億ドル)。容器・配管の名目価格 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 100 | 0.08 | 8 | 2 |
| 10 年後 中立 | 164 | 0.11 | 19 | 5 |
取り方:2025年APS売上17.991億ドルから稼働連動品の推定10億ドルを差し引き、設備連動を7.991億ドルとした。会社の2026年Q2説明では全社売上の約10%がWFE、約15%がファブ建設に連動する。SEMIのWFEは2026年1439億ドルで、2025年は前年比から逆算して約1169億ドル。FOUPの市場は外部調査で2025年約10億ドル、インテグリスと信越ポリマーが標準品で合計75%超という推計があるが、個別のシェアは不明である。数量は新設能力×採用率、価格は設備1単位あたり。APS利益の残り1.514億ドルは推定である。
リスクと懸念
買収負債と見かけの自己資本
CMC買収後の純負債は2025年末で34.5億ドルとEBITDAの約3.9倍に当たる。2026年に返済は進んでいるが、2028〜2030年の社債償還・借り換えには金利負担が残る。自己資本39.5億ドルにはほぼ同額ののれんが含まれ、需要が変われば減損と資本効率低下が同時に起きる。
中国の国産化と輸出管理
CMP材料の安集微電子、フィルターのコベター、搬送容器の地場企業が中国の認定工程を取れば、売上数量と値上げ力の両方を失う。米中の輸出管理や半導体工場の現地調達条件が変わると、技術的に優れていても採用されない。短期の規制緩和を10年間の競争力と混同しない。
TSMCと上位顧客への集中
2025年はTSMCだけで全社売上の16%、上位10社で50%を占めた。先端ラインの品質認定が取引を守る一方、顧客が共同調達や二重供給を求めれば、価格交渉は一方的になりやすい。台湾海峡の緊張が生産拠点と顧客の双方に影響すれば、受注だけでなく供給そのものが揺らぐ。
装置投資の山と遅れて来る需要減
売上の約4分の1は装置の導入と工場建設に連動する。工場建設から売上計上には時間差があり、2027年までは好調でも、その後にAI設備投資の採算が疑われれば新設案件が突然止まり得る。稼働枚数に連動する消耗品も、在庫調整と稼働率低下が続けば影響を受ける。
技術転換と特許の有効範囲
モリブデン配線、HBMの多層化、EUVなどは機会であると同時に材料切り替えの危険でもある。2026年のCMP特許維持は強みだが、競合が別の薬液・工程を認定させれば特許に触れずに置き換えられる。従来品の地位を保つには毎年の研究開発と顧客共同実験が必要である。
利益の質と株式報酬
調整後利益は買収無形資産の償却を加算した数字で、GAAP利益とは違う。2025年の配当約0.6億ドルに対し株式報酬は約0.7億ドルであり、自社株買いがないままでは正味の株主還元は小さい。買収で得た資産に十分な利回りが出ない時、株主は成長した売上ほど豊かにならない。
材料製造の安全・環境・供給リスク
高純度薬液、危険ガス、フッ素樹脂などを扱うため、化学物質規制、環境対応、原料供給の途絶が利益率を左右する。特定の認定材料を別の工場で直ちに代替生産できるとは限らない。新しい製造設備と品質保証への投資は堀を維持する必要経費で、全利益を株主に返せるわけではない。
今後の分かれ目
- SEMIの2029年ウエハー出荷見通し1万7034 MSIに対し実績が大幅に下振れる
- MS・APS消耗品の実質数量を中立より下げる。装置新設と独立した数量指標が弱るため、やや悲観の確率を高める。
- 2027年に先端ファブ建設が予定どおり進み、APS設備連動品が2年以上2桁成長する
- 容器・配管の採用量を上方修正する。ただし工場が稼働して消耗品へ受注が移るまで、長期価値の増額は限定する。
- MSのセグメント利益率が4四半期続けて25%を超え、競合のCMP量産認定を上回る
- 新材料の追加価値を製品単価と採用率へ反映し、やや楽観の確率を引き上げる。会計上の償却減だけの改善なら反映しない。
- 中国の安集微電子やコベターが先端ロジックの主要認定を獲得し、同社のMSやAPSが市場成長に劣後する
- シェアを数量側で引き下げる。値下げが伴う場合は価格にも反映し、やや悲観から悲観へ確率を移す。
- 純負債÷EBITDAが2027年末に2.5倍以下となり、翌年も新たな大型買収をしない
- 利払いの重荷が小さくなるため中立の純利益と正味還元の見通しを引き上げる。資本コストの借金項目も再点検する。
- 配当と自社株買いの合計が株式報酬を継続的に上回り、発行済み株数が減少へ転じる
- 正味還元を増額する。買い戻しが本質価値より高い場合は、そのまま株主に有利とは評価しない。
- 2026年10月29日の四半期決算または11月9日の投資家説明会で長期目標・還元方針が大きく変わる
- 確定したガイダンスを確認し、数量・利益率・債務返済の前提を見直す。発表予定の内容を現時点の事実として先取りしない。
見ておくもの
- SEMIのウエハー出荷面積:2026年予測1万4420 MSI、2029年予測1万7034 MSIと2030年以降の実績
- 2026年10月29日の第3四半期決算:売上会社予想9.05〜9.35億ドル、GAAP営業利益率19.2〜20.2%の達成
- MS・APSそれぞれの売上成長率とセグメント利益率。APSの稼働連動品と設備連動品の説明
- CMP材料のモリブデン・先端洗浄での採用事例、特許紛争、安集微電子の量産認定
- TSMC向け売上比率16%の変化と台湾・韓国・中国の工場増設計画
- 純負債÷EBITDAの3.4倍(2026年6月時点)からの減少と借換条件
- 株式報酬約0.7億ドルと配当・買い戻しを相殺した正味の還元額
- 2026年11月9日の投資家説明会で示される長期の需要・設備投資・還元方針
倍率と資本コストの決め方
事業を材料MS、APSの稼働連動と設備連動に分け、SEMIのウエハー面積・製造装置投資と、認定シェアの変化から数量を作った。価格は物価3.5%の10年累積約1.41倍を中立とした。今の時価総額約205億ドルや過去のPER・PBRは売上・利益・倍率の入力に使っていない。kは基本8%と品質調整1%の9%で、堀は製造ラインの認定による強い切り替え費用と判断した。中立ROE12.7%、g4.5%、RONIC11.44%から出した正当化PER14.09倍の84%を採用する。2025年の自己資本39.5億ドルのほとんどがのれんであり、悲観で簿価を無条件の床には使わない。余剰現金の別加算は、純負債34.5億ドルがあるため行わない。AIエージェント代替の対象ではない。10年価値は現時点の株価に寄せず、割高という結果を受け入れた。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。米国株の基本8.0%に、循環+0.5%、価格−0.5%、負債+1.0%、寿命0.0%の合計1.0%を足して9.0%。βは使わない。債務の存在だけで存続が危うい状況ではないためextraは0。個別の中国規制や買収失敗は確率と利益率で示す。