結論
シエナ(Ciena)は、通信事業者とクラウド事業者向けの光ネットワーク(都市間・長距離の波長多重、データセンター同士をつなぐ DCI、コヒーレント光モジュール)を作る会社である。2025 年 10 月期の売上は 48 億ドルで GAAP の純利益は 1.2 億ドルと薄かったが、AI データセンターの増設で 2026 年 10 月期は売上 64 億ドル(+35%)、GAAP 純利益は約 9 億ドルへ跳ね、2027 年度は売上 83〜84 億ドル(+30% 以上)、調整後営業利益率 25〜27% が会社の見通しである。受注残は 85 億ドルで、期末に 100 億ドルを超える見込み。
利益率が上がったのは、レーザー(インジウムリン)などの供給が足りず売り手が強い局面だからで、粗利益率は 45% 前後と、アリスタ・ネットワークスの 60% 台には届かない。ファーウェイ・ノキア(インフィネラを買収)・シスコ(アキャシア)・マーベルと競り、顧客は 10% 超が 2 社(2025 年で売上の 28%)。
市場(実質)× シェア × 物価で 10 年を積み上げた。中立の 10 年後は売上 135 億ドル・営業利益率 18%・純利益 21 億ドル。利益ベースの正当化 PER の上限は 14.1 倍(g 4.0%・RONIC 15.4%)で、その 8.5 割の 12.0 倍を事業の純利益に掛け、余った現金(戻り方込み)60 億ドルを足して時価総額は約 306 億ドルと、今の 483 億ドルに届かない。資本コスト 9.25% で割り引いた本質価値は今を約 7 割下回り、バリュー投資の観点では安全域が無い。事業は 10 年後も残り今より強いが、利益の山を先に値段へ織り込みすぎている。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず「10 年後もこの事業は存在し今より強いか」を問う。光伝送は通信量が増える限り需要が続くインフラで、シエナは設計力のあるコヒーレント DSP と長年の顧客を持ち、事業は 10 年後も残る。ただし堀は広がるとは言い切れない。コヒーレントがプラグ型の部品に標準化され、シスコ・マーベル・ノキアとの差が縮む方向に動いている。
次にオーナー利益:GAAP の純利益から、伸びに要る在庫・購入契約・売上債権への再投資を引くと、2026〜28 年度は純利益の大半が運転資本に消え、純現金はほとんど増えない。市場が見ているのは 2027 年度の GAAP 純利益 14 億ドル前後に対して、今の時価総額 483 億ドル(約 35 倍)という値段で、その後 10 年の伸びが年 +4〜5% に落ち着く事業にしては高い。
資本配分は、転換社債の調達と供給確保に積極的で、今の高い株価での自社株買いは評価が分かれる。安全域は、楽観の筋書きでも正当化 PER の 9 割の倍率でも今の時価総額に届かないことから、見えない。分かりにくい点は受注残が 2028 年以降の需要まで見通せないことなので、確信度は低め。事業は良いが、今の値段で払う価値は無い、というのがバリュー投資の見方である。
何で稼ぐ会社か
売上は 5 つの開示区分に分かれる(2025 年 10 月期)。光ネットワーク 68%(WaveLogic の光伝送装置、RLS という光ラインシステム、Waveserver、コヒーレントのプラグ型光モジュール)、ルーティング・スイッチング 9%、プラットフォームソフト 8%、Blue Planet(運用自動化ソフト)2%、グローバルサービス 13%(保守・導入・助言)。2027 年度からはこれを光システム・インターコネクト・サービス・ルーティングほかの 4 区分で報告する。
顧客は大きく 2 つ。通信事業者(売上の約半分)は、長年投資を絞ってきたが、AI の通信量増加で都市間・長距離網の更新に戻っている。クラウド事業者(直接の顧客で 2025 年第 4 四半期に売上の約 4 割、2026 年は前年比 +80%)は、データセンター同士をつなぐ DCI と、AI の学習用に複数の拠点をつなぐ「スケールアクロス」で買い、WaveLogic 6 を載せた 1.6T の光モジュール(WaveLogic 6 Nano)はデータセンター内外の短距離にも広がる。2025 年にはデータセンター内の光接続の新興企業ヌビス(Nubis)を約 2.7 億ドルで買い、「スケールアップ・スケールアウト・スケールアクロス」の全距離を狙う。
事業ごとの売上は粗くしか開示されないため、クラウド・AI 向けの光、通信事業者向けの光、ルーティング・ソフト、サービスの 4 つに分け、光は Dell'Oro の市場規模(2026 年に 180 億ドル超)を基に市場 × シェアで推定した。サービスは設置基盤に料率を掛けた形で置く。
優良さと弱いところ
堀は、自社設計のコヒーレント DSP(WaveLogic)による伝送距離と電力効率、光ライン(RLS)から運用ソフトまで一式で納められること、通信事業者とクラウド事業者に長年入っている信頼、の 3 つである。Dell'Oro の 2026 年の集計でもファーウェイに次ぐ世界 2 位級で、ディスアグリゲート光ラインシステムは首位(ノキアと並ぶ)。2025 年にはノキアとともにシェアを 1 ポイント以上伸ばした。
弱い所も多い。第 1 に利益の質:営業利益率は 2025 年度で 4〜6%(GAAP は約 4%)、過去 12 期でも 1〜15%(2019〜21 年は 10〜15%)の範囲で、今の 18% は供給不足の値付けと数量の急増に支えられた山である。第 2 に価格を決める力:コヒーレントはプラグ型へ移り、シスコ(アキャシア)やマーベルが同じ性能を部品として売るので、装置の差別化が薄れる。第 3 に顧客集中:10% 超の 2 社で売上の 28%。第 4 に資本効率:在庫・購入契約・売上債権で運転資本が膨らみ、2026 年度に純現金が薄くなった。
経営は、2026 年に 28.75 億ドルの転換社債(0%・2031 年満期)を出し供給確保と自社株買いに充てるなど資本の使い方に積極的だが、受注残が大きいぶん在庫の評価損と購入契約の重さが次の景気後退で出る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
光伝送装置の市場は Dell'Oro の推計で 2025 年に約 155 億ドル、2026 年に +16% で 180 億ドル超。伸びの中心はデータセンター間接続(DCI)で、ディスアグリゲート光ラインは +80%。AI 学習が 1 つの建物に収まらず、複数拠点を長距離でつなぐスケールアクロスが新しい需要になった。一方、中国を含むアジア太平洋は通信から計算基盤へ投資が移り縮んでいる。
競争:上位はファーウェイ(中国中心)・シエナ・ノキア(インフィネラ買収後)・シスコ(アキャシア)・ZTE。2023 年の推計シェアはファーウェイ 30%・ノキアとインフィネラ 20%・シエナ 19%。プラグ型の ZR/ZR+ ではマーベルとシスコが先行し、DSP とレーザーを持つ部品会社(ルメンタム・コヒレント)が装置会社の領域に入る。供給面では InP レーザーの需要が 2025 年に供給を約 3 割上回り、リードタイムの長期化が売り手の強さを生んでいる。
循環:光部品・装置は 2001 年に売上が 7 割落ち、2023 年にはシスコとシエナの受注が急減した在庫調整があった。今回は受注残 85 億ドルが 2027 年度の売上をほぼ裏付けるが、会社自身が需給の不均衡は 2028 年まで続くと見る一方、その先は AI 設備投資の持続次第である。
資本政策と M&A
資本政策は、2026 年 6 月の転換社債 28.75 億ドル(利息 0%・2031 年 9 月満期。転換価格は今の株価の約 2.2 倍で、時価総額に直すと約 1,085 億ドル、ヘッジとワラントを含めた実質は約 1,450 億ドル。元本は現金で返し、超える分だけ株)が目立つ。株の希薄化は行使価格が遠くヘッジもあるので数えず、元本を負債として 1 度だけ数える(現金が同額増えるので純現金は変わらない)。自社株買いは 10 億ドルの枠で 2026 年度に 9 か月で純 3.4 億ドル。配当は無い。
M&A は、2015 年のサイアン(Cyan。Blue Planet の元)など小型が中心で、2025 年にヌビスを約 2.7 億ドルで買った。大型の合併で価値を壊した過去はなく、買収より自社開発とサプライヤーとの長期契約に資金を使う。ノキアがインフィネラを 23 億ドルで買い、光ネットワークの規模を 75% 増やしたので、業界の再編はノキア側で先に進んだ。シエナ自身が買われる可能性は時価総額の大きさから低い。
株式報酬は 2025 年度に 1.85 億ドル(売上の約 4%)で、GAAP の純利益から差し引いた値で見ている。正味の還元は自社株買いから株式報酬で増えた株を引いた値で置く。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
AI は通信網を変える。GPU の学習は 1 つの建物に収まらず、電力の制約から複数のデータセンターを長距離でつなぐスケールアクロスが主流になり、そこで光伝送が足りなくなる。シエナの WaveLogic 6 は 1.6T を 1 本で運べる世代で、クラウド事業者の直接売上は 2026 年に +80%、データセンター内外の売上は年初から 4 倍。受注残は 85 億ドルから年末に 100 億ドル超になり、2027 年度は 83〜84 億ドル(+30% 以上)で調整後営業利益率 25〜27% を見込む。Nubis で短距離の光にも入り、通信事業者の更新(ノキア・インフィネラ統合の混乱によるシェア移動)も続く。市場がクラウド・AI 向けの光で 2028 年に実質 175 億ドルまで伸び、シエナのシェアが 31% に上がれば、売上は 112 億ドル、営業利益率 22%、純利益 19 億ドルに達する。
10 年後も共同パッケージ光学(CPO)と scale-across の拡大でクラウド向けが 255 億ドル規模に伸び、成熟後に正当化 PER の 9 割の約 15 倍が付く。
慎重な見方
利益の山は供給不足の値付けで、続かない。InP レーザーや DSP の増産が進めば、売り手が強い局面は終わり、価格は下がる。コヒーレントはプラグ型に標準化され、シスコ(アキャシア)やマーベルが同じ性能を安い部品で売るので、装置の粗利益率は 45% から下がる。ファーウェイは中国を出て新興国を取り、ノキアはインフィネラの技術で DCI に入る。
顧客は 2 社で売上の 28%。AI 設備投資が 2027〜28 年に止まれば、2001 年の光通信(ルーセント・JDSU)や 2023 年のシスコ・シエナの受注急減が再び起き、受注残は取り消しと繰り延べで縮む。購入契約と在庫で運転資本が膨らんでいるので、売上が 4 割落ちると評価損と固定費の重さが利益を直撃し、営業利益率は一桁に落ちる。
値段は 2027 年度の純利益に対して約 35 倍、2025 年の GAAP では 400 倍。成熟した光伝送装置会社(正当化 PER で 12〜16 倍)に戻れば、利益が 10 倍になっても今の時価総額は割り引くと取り戻せない。10 年では、クラウド事業者の内製・ホワイトボックス化と CPO で光の単価と台数が減り、シェアを半分失う筋書きを 16% に置いた。
どちらに重みを置いたか
受注残と会社の見通しは 2027 年度までを裏付けるが、10 年は構造的に負ける筋書きと景気後退を厚く(悲観・やや悲観で 42%)した。最も確率が高いのは中立だが、どの筋書きでも正当化 PER の 8〜9 割の倍率では今の値段に届かず、強気の見方が勝っても割高の結論は変わらない。確率の寄せ方は結論の向きを変えず、割高の程度(総合で約 7 割の差)だけを動かす。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 187.54 ドル272 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 22.39 ドル33 億ドル)。 今の値に割り戻すと 91.81 ドル133 億ドル、今との差 −71.5%、 期待の年率 −4.2%(資本コスト 9.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 392.85 ドル571 億ドル | 38.00 ドル55 億ドル | +33.5% | +2.9% | 30.16 ドル44 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 285.37 ドル415 億ドル | 30.57 ドル44 億ドル | −2.1% | −0.2% | 63.19 ドル92 億ドル |
| 中立 | 31% | 210.81 ドル306 億ドル | 25.06 ドル36 億ドル | −26.9% | −3.1% | 73.12 ドル106 億ドル |
| やや悲観 | 26% | 116.97 ドル170 億ドル | 16.94 ドル25 億ドル | −58.5% | −8.4% | 34.82 ドル51 億ドル |
| 悲観 | 16% | 45.03 ドル65 億ドル | 9.02 ドル13 億ドル | −83.2% | −16.4% | 8.65 ドル13 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 187.54 ドル272 億ドル | 22.39 ドル33 億ドル | −34.9% | −4.2% | 209.93 ドル305 億ドル |
今の株価時価総額 322.64 ドル469 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.3% を下回るほど割高。
楽観 7% 楽観:CPO とスケールアクロスの拡大で売上 200 億ドル 利益 37 億ドル · PER 15.3 倍 · 株価時価総額 392.85 ドル571 億ドル
10 年後(2035 年 10 月期)、共同パッケージ光学(CPO)とスケールアクロス、GPU クラスターの巨大化で、クラウド・AI 向けの光は市場が実質 255 億ドル相当(2025 年の 4.3 倍)に伸び、シエナは WaveLogic の世代更新で DSP の優位を守ってシェア 31%、売上 112 億ドル。通信事業者向けは 39 億ドル(シェア 20.5%)、ルーティング・ソフト 21 億ドル、サービス 29 億ドルで、売上は 200 億ドル、営業利益率 22%、純利益は 37 億ドル(2025 年度の 30 倍)。成熟後の倍率は、g 4.0% の正当化 PER の上限 14.7 倍の 9.5 割(14.0 倍)を事業の純利益に掛け、余った現金(戻り方込み)60 億ドルを足して時価総額 571 億ドル。10 年で貯まる純現金 112 億ドルを足して時価総額は 627 億ドル。
- クラウド・AI 向け光(DCI・スケールアクロス・コヒーレントプラグ):数量 7.9(クラウド・AI 向け光の実質市場(2025 年価格の億ドル)× シェア(単位は 10 億ドル相当))× 価格 14(物価指数(2025 年 = 10 とした指数。Gbps あたり単価の下落は実質の市場額の伸びに入れる))→ 売上 112 億ドル・営業利益 29 億ドル。市場 255 億ドル相当(実質)× シェア 31.0%、価格指数 1.41(2025 年 = 1.00)
- 通信事業者向け光(長距離・メトロ・海底・企業):数量 2.8(通信事業者向け光の実質市場(2025 年価格の億ドル)× シェア(単位は 10 億ドル相当))× 価格 14(物価指数(2025 年 = 10 とした指数))→ 売上 39 億ドル・営業利益 6 億ドル。市場 135 億ドル相当(実質)× シェア 20.5%、価格指数 1.41(2025 年 = 1.00)
- ルーティング・スイッチング・ソフト:数量 1.5(対象市場(2025 年価格の億ドル)× シェア(単位は 10 億ドル相当))× 価格 14(物価指数(2025 年 = 10 とした指数))→ 売上 21 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場 275 億ドル相当(実質)× シェア 5.5%、価格指数 1.41(2025 年 = 1.00)
- グローバルサービス(保守・導入・助言):数量 2.0(設置基盤(直近 5 年の実質売上の累計、2025 年価格の億ドル)× 年間のサービス料率)× 価格 14(物価指数(2025 年 = 10 とした指数))→ 売上 29 億ドル・営業利益 6 億ドル。設置基盤(直近 5 年の実質売上の累計)× 料率 3.1%、価格指数 1.41
倍率:AI の増設が長く続き、コヒーレント光で首位級を保つ筋書き。ただしレーザーの供給不足という売り手の局面が薄れれば利益率は戻りにくいので、上限に近く置く。 正当化 PER の上限は 14.7 倍(g 4.0%、RONIC 17.5%。RONIC = k 9.2% + 1/2 ×(事業の ROE 25.8% − k)。堀は普通)。その 9.5 割の 14.0 倍に置いた。g の内訳(この筋書き 4.0%):市場 +2%・シェア ±0・価格 +3.5% で 5.5% のところ、倍率に使う g は 4.0% で打ち切る。時価総額 = 事業の純利益 36.6 × 14.0 + 余った現金(戻り方込み)60 = 571 億ドル(純利益に対する見かけの PER は 15.3 倍)。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:CPO とスケールアクロスが大きく広がり、シェアも上がる必要がある。プラグ型の標準化と競合の追い上げを考えると 1 割未満。
やや楽観 20% やや楽観:DSP の優位が残り売上 166 億ドル 利益 28 億ドル · PER 14.7 倍 · 株価時価総額 285.37 ドル415 億ドル
10 年後、クラウド・AI 向けの光は市場が実質 220 億ドル相当(2025 年の 3.7 倍)、シエナはシェア 28.5% で売上 88 億ドル。通信事業者向けは 35 億ドル、ルーティング・ソフト 19 億ドル、サービス 24 億ドル。売上は 166 億ドル、営業利益率 20%、純利益 28 億ドル。DSP の世代優位が続くが、プラグ型の標準化で粗利益率はやや下がる。成熟後の倍率は、g 4.0% の正当化 PER の上限 14.4 倍の 9 割(13.0 倍)を事業の純利益に掛け、余った現金(戻り方込み)60 億ドルを足して時価総額 414 億ドル。
- クラウド・AI 向け光(DCI・スケールアクロス・コヒーレントプラグ):数量 6.3(クラウド・AI 向け光の実質市場(2025 年価格の億ドル)× シェア(単位は 10 億ドル相当))× 価格 14(物価指数(2025 年 = 10 とした指数。Gbps あたり単価の下落は実質の市場額の伸びに入れる))→ 売上 88 億ドル・営業利益 20 億ドル。市場 220 億ドル相当(実質)× シェア 28.5%、価格指数 1.41(2025 年 = 1.00)
- 通信事業者向け光(長距離・メトロ・海底・企業):数量 2.5(通信事業者向け光の実質市場(2025 年価格の億ドル)× シェア(単位は 10 億ドル相当))× 価格 14(物価指数(2025 年 = 10 とした指数))→ 売上 35 億ドル・営業利益 5 億ドル。市場 130 億ドル相当(実質)× シェア 19.0%、価格指数 1.41(2025 年 = 1.00)
- ルーティング・スイッチング・ソフト:数量 1.3(対象市場(2025 年価格の億ドル)× シェア(単位は 10 億ドル相当))× 価格 14(物価指数(2025 年 = 10 とした指数))→ 売上 19 億ドル・営業利益 3 億ドル。市場 262 億ドル相当(実質)× シェア 5.1%、価格指数 1.41(2025 年 = 1.00)
- グローバルサービス(保守・導入・助言):数量 1.7(設置基盤(直近 5 年の実質売上の累計、2025 年価格の億ドル)× 年間のサービス料率)× 価格 14(物価指数(2025 年 = 10 とした指数))→ 売上 24 億ドル・営業利益 5 億ドル。設置基盤(直近 5 年の実質売上の累計)× 料率 3.1%、価格指数 1.41
倍率:AI の増設が 10 年かけて通常の水準に落ち着き、シェアを守る筋書き。上限から少し下げて置く。 正当化 PER の上限は 14.4 倍(g 4.0%、RONIC 16.4%。RONIC = k 9.2% + 1/2 ×(事業の ROE 23.5% − k)。堀は普通)。その 9 割の 13.0 倍に置いた。g の内訳(この筋書き 4.0%):市場 +1.5%・シェア −0.5%・価格 +3.5% で 4.0%。時価総額 = 事業の純利益 27.4 × 13.0 + 余った現金(戻り方込み)60 = 414 億ドル(純利益に対する見かけの PER は 14.7 倍)。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:DSP の世代優位が続き、クラウド向けが想定より広がる筋書き。2 割に置いた。
中立 31% 中立:優良な光伝送会社として残るが、プラグ型の標準化で成長は物価並み 利益 21 億ドル · PER 14.3 倍 · 株価時価総額 210.81 ドル306 億ドル
10 年後、クラウド・AI 向けの光は市場が実質 190 億ドル相当(2025 年の 3.2 倍。2029 年以降は年 +3.6%)で、シエナのシェアは 25.5%(プラグ型の標準化でシスコ・マーベル・ノキアに削られる)、売上 68 億ドル。通信事業者向けは 31 億ドル(シェア 17.5%)、ルーティング・ソフト 17 億ドル、サービス 19 億ドルで、売上は 135 億ドル(10 年の年平均 +11%、物価 3.5% の上)。営業利益率は 18%、純利益 21.4 億ドル(2025 年度の 17 倍)。成熟後の倍率は、g 4.0% の正当化 PER の上限 14.1 倍の 8.5 割(12.0 倍)を事業の純利益に掛け、余った現金(戻り方込み)60 億ドルを足して時価総額 306 億ドル。
- クラウド・AI 向け光(DCI・スケールアクロス・コヒーレントプラグ):数量 4.8(クラウド・AI 向け光の実質市場(2025 年価格の億ドル)× シェア(単位は 10 億ドル相当))× 価格 14(物価指数(2025 年 = 10 とした指数。Gbps あたり単価の下落は実質の市場額の伸びに入れる))→ 売上 68 億ドル・営業利益 14 億ドル。市場 190 億ドル相当(実質)× シェア 25.5%、価格指数 1.41(2025 年 = 1.00)
- 通信事業者向け光(長距離・メトロ・海底・企業):数量 2.2(通信事業者向け光の実質市場(2025 年価格の億ドル)× シェア(単位は 10 億ドル相当))× 価格 14(物価指数(2025 年 = 10 とした指数))→ 売上 31 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場 125 億ドル相当(実質)× シェア 17.5%、価格指数 1.41(2025 年 = 1.00)
- ルーティング・スイッチング・ソフト:数量 1.2(対象市場(2025 年価格の億ドル)× シェア(単位は 10 億ドル相当))× 価格 14(物価指数(2025 年 = 10 とした指数))→ 売上 17 億ドル・営業利益 3 億ドル。市場 250 億ドル相当(実質)× シェア 4.8%、価格指数 1.41(2025 年 = 1.00)
- グローバルサービス(保守・導入・助言):数量 1.3(設置基盤(直近 5 年の実質売上の累計、2025 年価格の億ドル)× 年間のサービス料率)× 価格 14(物価指数(2025 年 = 10 とした指数))→ 売上 19 億ドル・営業利益 4 億ドル。設置基盤(直近 5 年の実質売上の累計)× 料率 3.0%、価格指数 1.41
倍率:光伝送は通信量が増える限り需要が続くが、コヒーレントがプラグ型の部品に標準化され、ノキア・シスコ・マーベルとの差が縮む。堀は普通と見て、上限から一段下げて置く。 正当化 PER の上限は 14.1 倍(g 4.0%、RONIC 15.4%。RONIC = k 9.2% + 1/2 ×(事業の ROE 21.5% − k)。堀は普通)。その 8.5 割の 12.0 倍に置いた。g の内訳(この筋書き 4.0%):市場 +1.5%・シェア −1.0%・価格 +3.5% で 4.0%。時価総額 = 事業の純利益 20.6 × 12.0 + 余った現金(戻り方込み)60 = 306 億ドル(純利益に対する見かけの PER は 14.3 倍)。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:AI の波が長期の成長に変わる途中で、競争がシェアと利益率を削る。ネットワーク機器の過去の姿に近い。議論の落としどころ。
やや悲観 26% やや悲観:シェアを失い売上 100 億ドル・営業利益率 14% 利益 13 億ドル · PER 13.2 倍 · 株価時価総額 116.97 ドル170 億ドル
10 年後、プラグ型コヒーレントの標準化でクラウド向けの装置のシェアが 21% に下がり(市場は実質 160 億ドル相当)、売上 47 億ドル。通信事業者向けはファーウェイ・ノキアに押されてシェア 15.5%、25 億ドル、ルーティング・ソフト 15 億ドル、サービス 13 億ドル。売上は 100 億ドル、営業利益率は 14%(過去の 10〜15% に近づく)、純利益 12.9 億ドル。成熟後の倍率は、g 4.0% の正当化 PER の上限 12.7 倍の 8 割(10.2 倍)を事業の純利益に掛け、余った現金(戻り方込み)45 億ドルを足して時価総額 170 億ドル。
- クラウド・AI 向け光(DCI・スケールアクロス・コヒーレントプラグ):数量 3.4(クラウド・AI 向け光の実質市場(2025 年価格の億ドル)× シェア(単位は 10 億ドル相当))× 価格 14(物価指数(2025 年 = 10 とした指数。Gbps あたり単価の下落は実質の市場額の伸びに入れる))→ 売上 47 億ドル・営業利益 8 億ドル。市場 160 億ドル相当(実質)× シェア 21.0%、価格指数 1.41(2025 年 = 1.00)
- 通信事業者向け光(長距離・メトロ・海底・企業):数量 1.8(通信事業者向け光の実質市場(2025 年価格の億ドル)× シェア(単位は 10 億ドル相当))× 価格 14(物価指数(2025 年 = 10 とした指数))→ 売上 25 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場 115 億ドル相当(実質)× シェア 15.5%、価格指数 1.41(2025 年 = 1.00)
- ルーティング・スイッチング・ソフト:数量 1.0(対象市場(2025 年価格の億ドル)× シェア(単位は 10 億ドル相当))× 価格 14(物価指数(2025 年 = 10 とした指数))→ 売上 15 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場 235 億ドル相当(実質)× シェア 4.4%、価格指数 1.41(2025 年 = 1.00)
- グローバルサービス(保守・導入・助言):数量 1.0(設置基盤(直近 5 年の実質売上の累計、2025 年価格の億ドル)× 年間のサービス料率)× 価格 14(物価指数(2025 年 = 10 とした指数))→ 売上 13 億ドル・営業利益 2 億ドル。設置基盤(直近 5 年の実質売上の累計)× 料率 2.9%、価格指数 1.41
倍率:AI 投資の山が引き、シェアも落ちて利益率が戻る筋書き。低めに置く。 正当化 PER の上限は 12.7 倍(g 4.0%、RONIC 12.1%。RONIC = k 9.2% + 1/2 ×(事業の ROE 14.9% − k)。堀は普通)。その 8 割の 10.2 倍に置いた。g の内訳(この筋書き 3.5%):市場 +1.0%・シェア −1.0%・価格 +3.5% で 3.5%。時価総額 = 事業の純利益 12.3 × 10.2 + 余った現金(戻り方込み)45 = 170 億ドル(純利益に対する見かけの PER は 13.2 倍)。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:プラグ型の標準化とシスコ・マーベル・ノキアの追い上げでシェアと利益率が下がる。過去の光部品の姿に近く、中立に次ぐ 26%。
悲観 16% 悲観:構造的に負け、光伝送は一般的な装置事業に戻る 利益 5 億ドル · PER 12.8 倍 · 株価時価総額 45.03 ドル65 億ドル
10 年後、クラウド事業者の内製とホワイトボックス化、CPO とプラグ型の標準化でシエナの光伝送は一般的な装置事業に戻る。クラウド向けのシェアは 13%(市場 実質 130 億ドル相当)で売上 24 億ドル、通信事業者向けは 11% で 16 億ドル、ルーティング・ソフト 10 億ドル、サービス 7 億ドル。売上は 57 億ドル(今の 1.2 倍で、物価分を引くと実質は縮小)、営業利益率 8%、純利益は受取利息を含めて 5.1 億ドル。成熟後の倍率は、g 0.0% の正当化 PER の上限 10.8 倍の 7 割(7.6 倍)を事業の純利益に掛け、余った現金(戻り方込み)30 億ドルを足して時価総額 65 億ドル。事業は残るが堀は狭まっている。
- クラウド・AI 向け光(DCI・スケールアクロス・コヒーレントプラグ):数量 1.7(クラウド・AI 向け光の実質市場(2025 年価格の億ドル)× シェア(単位は 10 億ドル相当))× 価格 14(物価指数(2025 年 = 10 とした指数。Gbps あたり単価の下落は実質の市場額の伸びに入れる))→ 売上 24 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場 130 億ドル相当(実質)× シェア 13.0%、価格指数 1.41(2025 年 = 1.00)
- 通信事業者向け光(長距離・メトロ・海底・企業):数量 1.1(通信事業者向け光の実質市場(2025 年価格の億ドル)× シェア(単位は 10 億ドル相当))× 価格 14(物価指数(2025 年 = 10 とした指数))→ 売上 16 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 100 億ドル相当(実質)× シェア 11.0%、価格指数 1.41(2025 年 = 1.00)
- ルーティング・スイッチング・ソフト:数量 0.7(対象市場(2025 年価格の億ドル)× シェア(単位は 10 億ドル相当))× 価格 14(物価指数(2025 年 = 10 とした指数))→ 売上 10 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 200 億ドル相当(実質)× シェア 3.6%、価格指数 1.41(2025 年 = 1.00)
- グローバルサービス(保守・導入・助言):数量 0.5(設置基盤(直近 5 年の実質売上の累計、2025 年価格の億ドル)× 年間のサービス料率)× 価格 14(物価指数(2025 年 = 10 とした指数))→ 売上 7 億ドル・営業利益 1 億ドル。設置基盤(直近 5 年の実質売上の累計)× 料率 2.8%、価格指数 1.41
倍率:構造的に競争に負け、利益が薄くなる筋書き。堀が壊れる側なので最も低く置く。 事業の ROE 7.0% が k 9.2% 以下なので PER の上限は 1÷k = 10.8 倍。その 7 割の 7.6 倍に置いた。g の内訳(この筋書き 0.0%):市場 +0.5%・シェア −0.5%・価格 +0.0% で 0.0%。時価総額 = 事業の純利益 4.7 × 7.6 + 余った現金(戻り方込み)30 = 65 億ドル(純利益に対する見かけの PER は 12.8 倍)。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。 事業の ROE 7.0% が k 9.2% 以下なので PER の上限は 1÷k = 10.8 倍。その 7 割の 7.6 倍に置いた。g の内訳(この筋書き 0.0%):市場 +0.5%・シェア −0.5%・価格 +0.0% で 0.0%。時価総額 = 事業の純利益 4.7 × 7.6 + 余った現金(戻り方込み)30 = 65 億ドル(純利益に対する見かけの PER は 12.8 倍)。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。 事業の ROE 7.0% が k 9.2% 以下なので PER の上限は 1÷k = 10.8 倍。その 7 割の 7.6 倍に置いた。g の内訳(この筋書き 0.0%):市場 +0.5%・シェア −0.5%・価格 +0.0% で 0.0%。時価総額 = 事業の純利益 4.7 × 7.6 + 余った現金(戻り方込み)30 = 65 億ドル(純利益に対する見かけの PER は 12.8 倍)。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。 事業の ROE 7.0% が k 9.2% 以下なので PER の上限は 1÷k = 10.8 倍。その 7 割の 7.6 倍に置いた。g の内訳(この筋書き 0.0%):市場 +0.5%・シェア −0.5%・価格 +0.0% で 0.0%。時価総額 = 事業の純利益 4.7 × 7.6 + 余った現金(戻り方込み)30 = 65 億ドル(純利益に対する見かけの PER は 12.8 倍)。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:クラウド事業者の内製・ホワイトボックス化と CPO で光の単価と台数が減り、シェアも半分を失う。10 年では 6 社に 1 社程度ありうると見て 16%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
クラウド・AI 向け光(DCI・スケールアクロス・コヒーレントプラグ)
クラウド事業者・AI 事業者のデータセンター間接続(DCI)、AI 学習の拠点間をつなぐスケールアクロス、データセンター内外のコヒーレント光モジュール(WaveLogic 6 Nano)。
| 数量クラウド・AI 向け光の実質市場(2025 年価格の億ドル)× シェア(単位は 10 億ドル相当) | 価格物価指数(2025 年 = 10 とした指数。Gbps あたり単価の下落は実質の市場額の伸びに入れる) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1.6 | 10 | 16 | 1 |
| 10 年後 中立 | 4.8 | 14 | 68 | 14 |
取り方:2025 年度の光ネットワーク売上 32.5 億ドルのうち、直接クラウド事業者向け(第 4 四半期で売上の約 42%、年間では約 38% と置く)の光を約 15.5 億ドルと推定。市場は DCI とデータセンター内外のコヒーレントを合わせて実質 60 億ドル、シェア 25.8%(Dell'Oro の光伝送全体 155 億ドルのシエナのシェアは約 21%)。営業利益率は全社の GAAP 4% から、規模の大きいクラウド向けを 6% と推定(株式報酬・償却を各区分に配分)。数量はドル建ての実質額で表し、価格は物価並み。Gbps あたり単価の下落は市場額の伸びに入れる。
通信事業者向け光(長距離・メトロ・海底・企業)
通信事業者・企業・政府向けの波長多重伝送装置と光ライン(RLS・WaveLogic)。クラウド事業者以外の光。
| 数量通信事業者向け光の実質市場(2025 年価格の億ドル)× シェア(単位は 10 億ドル相当) | 価格物価指数(2025 年 = 10 とした指数) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1.7 | 10 | 17 | 0 |
| 10 年後 中立 | 2.2 | 14 | 31 | 4 |
取り方:光ネットワーク 32.5 億ドルからクラウド向け 15.5 億ドルを引いた約 17 億ドル。市場は光伝送全体 155 億ドルから DCI 周辺を除いた約 109 億ドル(中国のファーウェイ・ZTE を含む)、シェア 15.6%(2023 年の全体シェアはファーウェイ 30%・ノキアとインフィネラ 20%・シエナ 19%)。営業利益率は 2〜3% と推定。価格は物価並み。
ルーティング・スイッチング・ソフト
ルーティング・スイッチング(4.3 億ドル)、プラットフォームソフト(3.6)、Blue Planet 運用自動化ソフト(1.2)。
| 数量対象市場(2025 年価格の億ドル)× シェア(単位は 10 億ドル相当) | 価格物価指数(2025 年 = 10 とした指数) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.9 | 10 | 9 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1.2 | 14 | 17 | 3 |
取り方:開示の 3 区分の合計 9.1 億ドル。対象市場を 200 億ドル(通信事業者のエッジ・メトロのルーティングと運用ソフト)、シェア 4.55% と置いた。営業利益率は 3% と推定(ソフトは高いがルーティングの規模が小さい)。価格は物価並み。
グローバルサービス(保守・導入・助言)
保守・サポート・教育(3.2 億ドル)、導入(2.5)、助言(0.5)。設置基盤が増えるほど積み上がる。
| 数量設置基盤(直近 5 年の実質売上の累計、2025 年価格の億ドル)× 年間のサービス料率 | 価格物価指数(2025 年 = 10 とした指数) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.6 | 10 | 6 | 1 |
| 10 年後 中立 | 1.3 | 14 | 19 | 4 |
取り方:2025 年度の売上 6.14 億ドル。設置基盤を 2021〜2025 年度の売上の累計約 204 億ドル、料率 3.0% と置いて約 6.1 億ドル。営業利益率は 8% と推定。価格は物価並み(人件費とともに上がる)。
リスクと懸念
AI 設備投資の循環の山と谷(受注残の取り消し)
売上の約 4〜5 割がクラウド事業者で、その設備投資は 2027 年に 1 兆ドル前後へ向かうが、投資効率が疑われると同時に止まる。2001 年の光通信(ルーセント・JDSU の売上 −70〜80%)と 2023 年のシスコ・シエナの受注急減が前例で、受注残 85 億ドルも取り消しと繰り延べで縮みうる。
利益率の山(供給不足が解けると価格が戻る)
調整後営業利益率 25〜27% は、InP レーザーなどの不足で売り手が強いから。会社自身が需給の不均衡は 2028 年までと見ており、その後は供給増と競争で粗利益率 45% 前後から下がる。過去 12 期の営業利益率は 1〜15% の範囲だった。
コヒーレントのプラグ型化と競合の追い上げ
シスコ(アキャシア)とマーベルが ZR/ZR+ のプラグ型で先行し、ルメンタム・コヒレントも部品側から入る。装置の差別化が薄れ、クラウド事業者が部品を直接買って自分で組む形が広がると、シエナの装置の単価とシェアが下がる。ノキアはインフィネラの買収で DCI に入った。
顧客集中(10% 超が 2 社)
2025 年度は 10% を超える顧客が 2 社(クラウド 1 社・通信事業者 1 社)で売上の 28.4%。1 社が調達を絞る・方針を変えると数割の単位で売上が動く。クラウド事業者の内製と調達方針は、シエナが決められない。
運転資本と購入契約(在庫・転換社債)
受注残に合わせた在庫と購入契約で運転資本が膨らみ、2026 年度は純利益が 9 億ドルに跳ねても純現金は薄いまま。2026 年 6 月に 28.75 億ドル(0%・2031 年満期)の転換社債を出した。需要が止まると在庫の評価損と契約の重さが出る。
値段が高すぎること(倍率の縮み)
2025 年度の GAAP の PER は 400 倍、2027 年度の GAAP 純利益に対しても約 35 倍。成熟した光伝送装置会社の正当化 PER は 12〜16 倍で、利益が 10 倍になっても倍率が戻れば今の値段に届かない。
今後の分かれ目
- 2027 年度の売上が 83 億ドルを下回る、または受注残が 100 億ドルを下回って減り始めたら
- 受注残が山を越えた合図。
- クラウド事業者のスケールアクロス・データセンター内のコヒーレントで、シエナが複数の大型採用を 2027 年度に追加で獲得したら
- クラウド向けのシェアを 1〜2 ポイント上方へ。楽観・やや楽観の確率を上げる。ただし倍率は成熟後の 12〜15 倍に戻る。
- 調整後の粗利益率が 44% を下回り、営業利益率が 23% 台へ下がったら
- 供給不足の値付けが解け、競合の値引きが効いている。やや悲観の確率を上げ、倍率を 1〜2 倍下げる。
- マーベル・シスコのプラグ型の ZR/ZR+ がクラウド事業者の大型案件を取り、シエナの Nano のシェアが伸びなかったら
- コヒーレントの部品化が進んだ合図。10 年のシェアを 3〜5 ポイント下げ、10 年の悲観の確率を 5 ポイント上げる。
- ノキアがインフィネラ統合を終え、通信事業者で大型更新を連続で取ったら
- 通信事業者向けのシェアを下方へ。ただしシエナの 2026 年のシェア増と受注残の確認が先で、1 年は様子を見る。
見ておくもの
- 受注残(85 億ドル→年末 100 億ドル超)と 2027 年度の売上見通し(83〜84 億ドル)
- 調整後の粗利益率(45〜46%)と営業利益率(25〜27%)、GAAP の営業利益率
- 直接クラウド事業者の売上比率(4 割前後)と 10% 超の顧客の動向
- Dell'Oro の光伝送のシェア(ファーウェイ・ノキア・シスコ)とコヒーレントのプラグ型の出荷
- InP レーザーなどの供給とリードタイム、大手 5 社の 2027 年の設備投資の計画
倍率と資本コストの決め方
今の PER・PBR や過去の倍率には寄せていない。10 年後の倍率は、利益ベースの正当化 PER = (1−g/RONIC)/(k−g)(k 9.25%、g 4.0%、RONIC = k + 残る割合 ×(事業の ROE − k)、堀は普通)の上限に対し、楽観 9.5 割・やや楽観 9 割・中立 8.5 割・やや悲観 8 割・悲観 7 割 で置いた。中立は上限 14.1 倍の 8.5 割で、事業の純利益に 12.0 倍(余った現金を足した見かけは 14.3 倍)。余った現金は戻り方 1.0 を掛けて足す。総合は今の時価総額に対し -72.4% で、割高。結論は計算の結果で、先に決めたものではない。
資本コスト 9.3% = 無リスク金利 5% + β 1.21 × 5%。k = 基本 8.0% + quality 1.25% = 9.25%。β は使わない。通信・AI 設備投資の循環(+0.5)、入札中心で値決めが弱いこと(+0.25)、コヒーレント光の標準化で差が縮むこと(+0.5)を quality で見た。純負債は時価総額の 1% 未満で借金の上乗せは無し。顧客集中・競争・供給の懸念は悲観側の確率(10 年 42%)で表し、k には二重に足していない。
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読んだ資料
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