結論
インテルは、パソコン向けの CPU(Core・Core Ultra)とサーバー向けの CPU(Xeon)を設計して売る会社であり、同時に自社の工場を持ち、その工場を他社にも貸す「ファウンドリ」事業を再建している。2026 年第 2 四半期の売上は 161 億ドル(前年比 +25%、15 年超で最大の伸び)で、サーバー向け(DCAI)は +59% の 63 億ドル、クライアント向け(CCPG)は 89 億ドル。AI のエージェントが CPU を使う量を増やし、サーバー CPU は供給が足りない状態にある。一方でファウンドリは 10 四半期連続の営業赤字(第 2 四半期 21 億ドル)で、2026 年の設備投資は 200 億ドルを超え、2027 年はさらに増える。
10 年後(2035 年)の中立は、売上 約 1,160 億ドル・純利益 約 195 億ドルで、ファウンドリがようやく黒字になるが、AMD とアーム系にシェアを削られた姿である。外部顧客(マイクロソフト・テスラなどの Terafab・アップルの予備合意)が 14A に確約して初めて、楽観の筋書きが現実味を帯びる。
バリュー投資の観点では、自己資本が 1,100 億ドル超と厚い一方で、それを使った稼ぐ力(ROE)が 10 年後の中立でも 10% 弱にとどまる。資本コスト 10%(基本 8% + 循環 0.75%・値決め 0.25%・借金 0.5%・寿命 0.5%。ファウンドリの赤字と外部資金への依存を織り込んだ)で割り引くと、成熟後の倍率は利益ベースの正当化 PER(帳簿の ROE 10〜18%・堀は弱い・g 4.0%)の 8〜8.5 割で PER 9〜10 倍にしかならず(ROE が資本コスト以下の中立は 1÷k の 10 倍)、今の時価総額(約 4,070 億ドル・PBR 3.6 倍)は 10 年後の楽観でようやく並ぶだけである。事業は立ち直っているが、値段が工場の成功までを先に払っている会社と見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず 10 年後もこの事業が存在し、今より強いかを問う。CPU の需要は 10 年後も残る。ただし x86 の独占は崩れ、AMD とアーム系に分け合う世界になる。インテルの堀は「他社より安く作れる」ではなく「顧客に代わりの選択肢がまだ少ない」という弱いもので、広がるより狭まる向きに動く。ファウンドリが成功すれば堀は新しく生まれるが、外部の大型顧客はまだ確約していない。
次に株主のものになる利益。2025 年は純損益が −3 億ドル、フリーキャッシュフローは −80 億ドルで、オーナー利益は負である。2026 年は営業利益が改善するものの、設備投資が 200 億ドルを超え、工場への投資が稼ぎを生むまで 5〜7 年かかる。自己資本は 1,143 億ドルと厚いが、それを使った稼ぐ力(ROE)は 10 年後の中立でも 10% 弱で、資本コストの 10% を上回れない。つまり自己資本のかなりの部分が、資本コストを下回る投下資本である。
資本配分は、高値での自社株買いと配当の減額、そして株を外部に出して資金を得る道を選んだ。株主への配慮が弱く、政府・NVIDIA・ソフトバンクの出資は「救済」の面がある。安全域の面では、事業が立ち直っていても、今の PBR 3.6 倍は自己資本の厚さを割増で評価し、成功を前提にした価格である。わからない要素(14A の顧客確約・18A の利益率・AMD との競争)が大きいため、確信度は低く置き、確率を慎重側に寄せた。
何で稼ぐ会社か
売上は大きく 4 つに分かれる。1 つ目はクライアント向け(CCPG)で、ノートパソコンとデスクトップ向けの CPU を、デル・HP・レノボなどの PC メーカーへ売る。2025 年の売上は約 322 億ドルで、最新の Panther Lake(Intel 18A 製)が 2026 年から量産に入った。AI 機能を積んだ「AI PC」と、メモリ価格の高騰による PC 出荷の減少(IDC は 2026 年に最大 −9%)が綱引きをしている。2 つ目はサーバー向け(DCAI)で、Xeon を AWS・マイクロソフト・グーグルなどのクラウド事業者と、デル・HPE などのサーバーメーカーへ売る。2025 年の売上は約 169 億ドルで、2026 年は第 2 四半期だけで 62.6 億ドルに達した。AI のエージェントが CPU を多く使うため、GPU 対 CPU の比が 8 対 1 から 4 対 1 へ変わり始めていると会社は説明する。
3 つ目がインテルファウンドリで、自社の CPU を作る工場と、他社の半導体を受託製造・先端パッケージする事業を合わせた部門。売上の大半は社内向けの付け替えで、外部への売上は 2025 年で約 12 億ドルと小さい。この部門が 2025 年に約 103 億ドルの営業赤字を出した。4 つ目が、モービルアイ(自動運転用チップ)・アルテラ(FPGA。2025 年に 51% を売却)・NEX(通信向け)などの「その他」で、約 25 億ドルである。
売上の計算は、クライアントが「CPU の個数 × 平均単価」、サーバーも「CPU の個数 × 単価(コア数が増えるほど単価が上がる)」で決まる。ファウンドリは、外部の顧客からの発注を「先端ファウンドリ・パッケージの市場 × シェア」で置く。インテルは設計と製造を両方持つので、利益が出るかどうかは、工場の稼働率と、先端工程(18A・14A)の歩留まりに強く左右される。
優良さと弱いところ
堀は、他社と同じ強さではない。1 つ目は x86 の命令セットを長年握ってきたことによる、ソフトの互換性と、PC メーカー・クラウドとの太い取引である。サーバー CPU の個数シェアは 2026 年の第 2 四半期でも約 65% を保ち、AMD が追い上げても、需要が供給を上回る間は価格を上げられる。2 つ目は、米国内に先端の工場と先端パッケージ(Foveros・EMIB)を持つこと。米国政府が CHIPS 法の資金の株式転換(エスクロー株)で株主になっており、国家の安全保障上「必要な会社」として扱われる。これは堀というより下支えである。
弱い所は 4 つある。第 1 に、資本効率の低さ。2018〜2021 年は営業利益率 27〜33%・ROE 14〜28% だったが、2022 年から崩れ、2024 年は営業利益率 −8.9%、2025 年も 2.7% である。工場への投資が稼ぎを生むまでの時間が長く、フリーキャッシュフローは 2022 年から 4 年連続で赤字(2025 年は −80 億ドル)。第 2 に、製造の遅れで一度 TSMC に先を行かれ、先端の外部顧客がほぼいない。18A は歩留まりが 85% まで上がったが、TSMC の N2 にはまだ届かない。第 3 に、AMD に x86 の個数シェアを奪われ(全体で 70% 割れは 1995 年以来)、価格を決める力が弱まった。第 4 に、アーム系(アップル・クアルコム)が PC に広がっている。
経営は、2025 年 3 月に就任したリップブー・タン CEO が、人員を減らし、政府・NVIDIA・ソフトバンクから出資を受け、アルテラの持ち分を整理して立て直してきた。資本配分は、過去の自社株買いが高値で、配当も 2023 年に半減、2024 年に停止と、株主の取り分を守れなかった。事業の質は「底を打って上り坂」であり、優良企業に戻ったとは、まだ言えない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
CPU の世界は、AI の設備投資の波の「GPU の外側」で需要が広がっている。2026 年は大手 5 社の設備投資が約 7,300〜8,050 億ドルで、推論とエージェントが増えるほどサーバー CPU の台数が増える。第 1 四半期に会社が説明した、GPU 対 CPU の比が 8 対 1 から 4 対 1、エージェントの処理では対等に近づくという話が本当なら、CPU の出荷個数と単価はともに上がる。ただし AMD の EPYC(サーバー個数シェアは約 34.5%)、アーム系のグラビトン(AWS)・アクシオン(グーグル)・コバルト(マイクロソフト)が、顧客の自社設計で CPU を置き換える流れも同じ速さで進む。クラウド事業者は自社の CPU を持ち、価格を決める力を握っている。
クライアントは、メモリの供給不足で PC の価格が上がり、2026 年の出荷は最大 −9%(IDC)と減る。デスクトップは前年比 −20% 超。AMD のクライアントの個数シェアは 30.3%(初めて 30% 超)、インテルは 69.7%。AI PC の更新需要は 2027 年以降に戻るが、アップルの M シリーズとクアルコムの Snapdragon X が、ノート PC の一部を取る。
ファウンドリは、先端ロジックの外部委託市場が TSMC の寡占(売上 約 1,200 億ドル)で、サムスンが 2 番手、インテルは第 3 の選択肢を目指す。顧客は、2026 年 4 月に主要提携を発表した Terafab(テスラ・スペース X・xAI の 250 億ドル構想)、マイクロソフトの 18A、AWS、そしてアップルの予備合意(WSJ 報道)。ただし 14A は外部の大型顧客が確約しない限り「中止もありうる」と会社が認める。循環のどこにいるかは「需要の山の入口」だが、ファウンドリは「投資の最も重い時期」にあり、この 2 つの時間がずれている。
資本政策と M&A
還元は 2024 年から止まっており、配当も自社株買いも無い。2022 年に 60 億ドルあった配当は、2023 年に 31 億、2024 年に 16 億と減り、停止した。2026 年の設備投資は 200 億ドルを超え、2027 年はさらに増える見通しで、営業キャッシュフローだけでは足りず、外部資金に頼る。
資本政策の特徴は、投資の資金を外から集めたこと。2024 年にブルックフィールド(アリゾナ)とアポロ(アイルランド)が工場の出資者になり、2025 年に米国政府が約 10% の株主となった(CHIPS 法の資金を株式に転換。エスクロー株)。NVIDIA とソフトバンクも出資し、アルテラの 51% をシルバーレイクへ売却した。2026 年の第 2 四半期は、出資者への分配が約 122 億ドルとなり、調整後フリーキャッシュフローが大きく赤字になった。発行済みの株は約 51.0 億株(2026 年 4〜6 月期)まで増えた。basis の株数は年次の 45.3 億株から直近四半期の 51.04 億株に直した。既存の株主の取り分は薄まっている。
今後は、外部顧客の 14A への確約が次の分かれ目。確約が取れなければ 14A を縮小するという考えを会社が示している。買収される可能性は規模から低く、再編としては、ファウンドリの切り離しや外部資本のさらなる導入がありうる。借金 約 505 億ドルは借り換えで金利が約 5.75% に上がるが、現金 約 297 億ドルが利息を一部相殺する(brief の推定は純利益を 3 年で 1 億、10 年で 2 億ドル減らす程度)。純利益から非支配持分の取り分も引いた。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
需要が供給を上回る状態は、数四半期ではなく数年続く。エージェントの処理が増えるほど CPU の台数が増え、GPU 対 CPU の比が 8 対 1 から 4 対 1、さらに対等に近づけば、サーバー CPU の市場は今の数倍になる。インテルは Xeon 6+(18A)をはじめ、コア数の多い高単価の製品へ移り、2026 年の DCAI の +59% が 2027 年以降も続く。DCAI の営業利益率は第 2 四半期で 39.5% まで戻り、クライアントも 26% を保つ。製品部門の営業利益は四半期で 48 億ドルに達した。
ファウンドリは、18A の歩留まりが 65% から 85% へ急改善し、Panther Lake が量産に入り、14A は 2028 年の量産に全力と決めた。マイクロソフトの 18A、Terafab の主要提携、アップルの予備合意で、外部売上が 2027 年から立ち上がる。外部顧客が 14A に確約すれば、赤字は工場の稼働率の上昇で急速に縮み、2028 年には損益の均衡に近づく。米国政府・NVIDIA・ソフトバンクという株主が、資金の不安を消した。10 年後には、TSMC に次ぐ米国唯一の先端ファウンドリになり、売上 1,850 億ドル級・営業利益 500 億ドルという姿も十分にありうる。
慎重な見方
売上の伸びは、需要の逼迫という一時的な要因の上にある。サーバー CPU は AMD がすでに 34.5% の個数シェアを持ち、AWS・グーグル・マイクロソフトは自社のアーム CPU への置き換えを進める。供給が追いつけば、価格を決める力は顧客へ移る。クライアントは、メモリ価格の高騰で PC の出荷が最大 −9% 落ち、AMD が 30.3% のシェアを取り、アップルとクアルコムのアーム系が広がる。製品部門の高い利益率は、ファウンドリの赤字(第 2 四半期 −21 億ドル)に消されて、全社の営業利益率は 11% にとどまる。
ファウンドリは、10 四半期連続の赤字を続けている。14A に外部顧客の確約は無く、会社自身が「確約が無ければ中止もありうる」と認めている。18A の歩留まり 85% は、TSMC の N2 より低く、外部顧客が求める水準に届いていない。アップルとの話は WSJ の報道で、確定していない。設備投資は 2026 年に 200 億ドルを超え、2027 年はさらに増える。減価償却は先に増え、利益はあとで来る。フリーキャッシュフローは赤字で、資金は政府・NVIDIA・ソフトバンク・工場出資者という外部に頼り、株は 50.4 億株まで増えた。
値段の面では、今の時価総額 約 4,070 億ドル(実際の発行済み株数では約 4,530 億ドル)は、2025 年の純損益 −3 億ドルに対し PBR 3.6 倍。ROE が資本コストと同じ 9% なら PBR は 1 倍が適正で、3.6 倍は成功の筋書きを先に払っている。株価は 2025 年末から 2.4 倍になっており、成功の期待がすでに値段に入っている。
どちらに重みを置いたか
強気の見方の「需要の逼迫と 18A の改善」は事実で強く、10 年後は楽観・やや楽観・中立を合わせて 56% の確率とした。しかし、成熟後の事業の ROE が 10〜18% で資本コスト 10% を上回れないか少し上回る程度に落ち着くため、10 年後の倍率は PER 9〜10 倍、PBR で中立 1.0 倍(楽観でも 1.7 倍)にとどまり、10% で割り引くと、楽観の筋書きでも今の時価総額の 4 割弱にしかならない。慎重な見方の「ファウンドリの赤字と顧客の確約がまだ無いこと」も強く、10 年後はやや悲観・悲観で 44% と、悲観側を厚く置いた。結論は事業の見通しの差ではなく、自己資本に対する稼ぐ力の低さと、価格の先行が決めている。 点検(2026-10-19):basis の株数が年次の古い 45.3 億株で今の時価総額が 4070 億ドルと過小だったので、brief の写す値(直近四半期の 51.04 億株)に直した(4586 億ドル)。配当・自社株買いは停止中で、還元との二重はない。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 31.01 ドル1,583 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 7.97 ドル407 億ドル)。 今の値に割り戻すと 16.91 ドル863 億ドル、今との差 −80.2%、 期待の年率 −7.6%(資本コスト 10.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 79.57 ドル4,061 億ドル | 27.43 ドル1,400 億ドル | +25.2% | +2.3% | 7.49 ドル382 億ドル |
| やや楽観 | 16% | 49.09 ドル2,505 億ドル | 17.63 ドル900 億ドル | −22.0% | −2.4% | 10.68 ドル545 億ドル |
| 中立 | 33% | 38.21 ドル1,950 億ドル | 8.82 ドル450 億ドル | −45.0% | −5.8% | 15.52 ドル792 億ドル |
| やや悲観 | 27% | 13.21 ドル674 億ドル | 1.18 ドル60 億ドル | −83.2% | −16.3% | 3.88 ドル198 億ドル |
| 悲観 | 17% | 8.33 ドル425 億ドル | 0.00 ドル0 億ドル | −90.3% | −20.8% | 1.42 ドル72 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 31.01 ドル1,583 億ドル | 7.97 ドル407 億ドル | −54.4% | −7.6% | 38.98 ドル1,990 億ドル |
今の株価時価総額 85.49 ドル4,363 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 10.0% を下回るほど割高。
楽観 7% ファウンドリが TSMC に次ぐ第 2 の先端工場になり、CPU も伸びる 利益 420 億ドル · PER 9.7 倍 · 株価時価総額 79.57 ドル4,061 億ドル
外部委託の先端ファウンドリ・パッケージ市場は約 7,000 億ドルまで伸び(名目)、インテルはそのシェア 7.5% を取って外部売上が約 525 億ドル、営業損益は +110 億ドルの黒字。DCAI は 3,600 万個・1 個 0.205 万ドルで約 738 億ドル、営業利益率 38%、クライアントは約 542 億ドル、営業利益率 30%。営業利益は約 502 億ドル、純利益は約 420 億ドル。売上は約 1,850 億ドルで、TSMC に次ぐ米国唯一の先端ファウンドリになる。自己資本が大きく膨らむため帳簿の ROE は 15% で、PER 11 倍強(上限の 8.5 割)。10 年の還元は株式報酬を引いて約 1,400 億ドル。
- クライアント向け CPU(CCPG):数量 19,000(CPU 出荷個数(万個))× 価格 0.03(1 個あたり平均売上(万ドル))→ 売上 542 億ドル・営業利益 163 億ドル。営業利益率 30%
- サーバー向け CPU・AI(DCAI):数量 3,600(サーバー CPU 出荷個数(万個))× 価格 0.21(1 個あたり平均売上(万ドル))→ 売上 738 億ドル・営業利益 280 億ドル。営業利益率 38%
- ファウンドリ(外部顧客向けの製造・先端パッケージ):数量 362(当社の外部受託(実質の億ドル)= 外部委託の先端ファウンドリ・パッケージ市場(2025 年 12 月期の値段で測った実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 145(価格の水準(2025 年 12 月期=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141))→ 売上 525 億ドル・営業利益 110 億ドル。黒字化・価格 145(物価並みが中立)
- その他(モービルアイ・アルテラ・NEX など):数量 31.0(当社の出荷(実質の億ドル)= 運転支援・FPGA・通信向けの市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 145(価格の水準(2025 年 12 月期=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141))→ 売上 45 億ドル・営業利益 24 億ドル。価格 145(物価並みが中立)
倍率:正当化 PER は 11.4 倍(g 4.0%、RONIC 12.6%。RONIC は k 10.00% に、事業の ROE 17.8% が k を超える分の 0.33 を足した値。moat は weak)。これに対し 9.7 倍(8.5 割)に置いた。製造の受託が軌道に乗り、パソコン向けの失地も戻す筋書きだが、設備投資の重さが残るので 8.5 割に留めた。 g の内訳:物価 3.5% に実質 1% を足した 4.5% は上限の 4.0% に打ち止め(k − g ≥ 3.5% も守る)。 純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:14A・その次の工程に大型顧客が複数確約し、歩留まりが TSMC に並び、サーバー CPU でも AMD を押し返す、という両方が要る。インテルはこれまでも製造の計画を何度か遅らせており、7% に抑えた。
やや楽観 16% ファウンドリは黒字になり、サーバー CPU も大きく伸びる 利益 292 億ドル · PER 8.6 倍 · 株価時価総額 49.09 ドル2,505 億ドル
外部委託の先端市場は約 6,800 億ドルで、インテルのシェア 5% は外部売上 約 340 億ドル、営業損益は +50 億ドル。DCAI は 3,100 万個・1 個 0.19 万ドルで約 589 億ドル、営業利益率 36%(AMD とアーム系にシェアを分けるが、市場が大きく伸びる)。クライアントは約 500 億ドル、営業利益率 28%。営業利益は約 355 億ドル、純利益は約 292 億ドル、売上は約 1,470 億ドル。帳簿の ROE 12%・g 4.5% で、上限の 8 割の PER 約 10 倍。10 年の還元は約 900 億ドル。TSMC の第 2 の選択肢として定着するが、利益率は TSMC に及ばない。
- クライアント向け CPU(CCPG):数量 18,500(CPU 出荷個数(万個))× 価格 0.03(1 個あたり平均売上(万ドル))→ 売上 500 億ドル・営業利益 140 億ドル。営業利益率 28%
- サーバー向け CPU・AI(DCAI):数量 3,100(サーバー CPU 出荷個数(万個))× 価格 0.19(1 個あたり平均売上(万ドル))→ 売上 589 億ドル・営業利益 212 億ドル。営業利益率 36%
- ファウンドリ(外部顧客向けの製造・先端パッケージ):数量 238(当社の外部受託(実質の億ドル)= 外部委託の先端ファウンドリ・パッケージ市場(2025 年 12 月期の値段で測った実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 143(価格の水準(2025 年 12 月期=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141))→ 売上 340 億ドル・営業利益 50 億ドル。黒字化・価格 143(物価並みが中立)
- その他(モービルアイ・アルテラ・NEX など):数量 29.4(当社の出荷(実質の億ドル)= 運転支援・FPGA・通信向けの市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 143(価格の水準(2025 年 12 月期=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141))→ 売上 42 億ドル・営業利益 21 億ドル。価格 143(物価並みが中立)
倍率:正当化 PER は 10.7 倍(g 4.0%、RONIC 11.2%。RONIC は k 10.00% に、事業の ROE 13.7% が k を超える分の 0.33 を足した値。moat は weak)。これに対し 8.6 倍(8 割)に置いた。製造の受託が一部で立ち上がる筋書きで 8 割。 g の内訳:物価 3.5% に実質 1% を足した 4.5% は上限の 4.0% に打ち止め(k − g ≥ 3.5% も守る)。 純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:14A に外部顧客が確約して計画どおり進み、サーバー CPU も市場の拡大に乗る筋。会社の見通しに最も近い上振れとして 16% を置く。
中立 33% ファウンドリは小さな黒字、CPU は AMD・アーム系と分け合う 利益 195 億ドル · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 38.21 ドル1,950 億ドル
DCAI は 2,600 万個・1 個 0.175 万ドル(名目の物価上昇 1.41 倍にほぼ並ぶ)で約 455 億ドル、営業利益率 33%。クライアントは 1.75 億個・1 個 0.0252 万ドルで約 441 億ドル、営業利益率 26%。ファウンドリは外部売上 約 228 億ドル(市場の 3.5%)で営業損益 +16 億ドルと、ようやく小さな黒字になる。営業利益は約 239 億ドル、純利益は約 195 億ドル、売上は約 1,160 億ドル。AMD とアーム系にシェアを分け、ROE は 9% と資本コストを下回る。10 年の還元は約 450 億ドル。10 年後も事業は存在するが、堀は広がらず、ROE が k に届かないので PER は 1÷k の 11.1 倍と評価される。
- クライアント向け CPU(CCPG):数量 17,500(CPU 出荷個数(万個))× 価格 0.03(1 個あたり平均売上(万ドル))→ 売上 441 億ドル・営業利益 115 億ドル。営業利益率 26%
- サーバー向け CPU・AI(DCAI):数量 2,600(サーバー CPU 出荷個数(万個))× 価格 0.18(1 個あたり平均売上(万ドル))→ 売上 455 億ドル・営業利益 150 億ドル。営業利益率 33%
- ファウンドリ(外部顧客向けの製造・先端パッケージ):数量 162(当社の外部受託(実質の億ドル)= 外部委託の先端ファウンドリ・パッケージ市場(2025 年 12 月期の値段で測った実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 141(価格の水準(2025 年 12 月期=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141))→ 売上 228 億ドル・営業利益 16 億ドル。小さな黒字・価格 141(物価並みが中立)
- その他(モービルアイ・アルテラ・NEX など):数量 27.0(当社の出荷(実質の億ドル)= 運転支援・FPGA・通信向けの市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 141(価格の水準(2025 年 12 月期=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141))→ 売上 38 億ドル・営業利益 18 億ドル。価格 141(物価並みが中立)
倍率:事業の ROE 9.6% が k 10.00% 以下なので、PER は 1÷k = 10.0 倍が上限(ためた利益は額面未満の価値)。これに対し 10.0 倍(10 割)に置いた。ROE が k に届かない時期が長いので 1÷k の下には置かない。 純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:業界ノートの中立(演算半導体の市場が約 1.8 倍)と、2026 年の実績(ファウンドリ赤字・DCAI の急伸)を結んだ、最も確からしい筋。最大の確率を置いた。
やや悲観 27% 外部顧客が集まらず、ファウンドリの赤字が続く 利益 30 億ドル · PBR 0.6 倍 · 株価時価総額 13.21 ドル674 億ドル
14A の外部顧客が 1 社止まりで、ファウンドリの外部売上は約 72 億ドル、営業損益は −60 億ドルの赤字が続く。DCAI は AMD とアーム系に押されて 2,000 万個・1 個 0.155 万ドルで約 310 億ドル、営業利益率 26%。クライアントは約 364 億ドル、営業利益率 20%。営業利益は約 51 億ドル、純利益は約 30 億ドル。売上は約 780 億ドルだが利益が薄い。ならした利益を約 100 億ドルと見ても、事業の ROE は約 8% で資本コストを下回り、式の PER 約 10 倍で約 1,060 億ドル(自己資本約 1,500 億ドルの 0.7 倍)。10 年の還元は約 60 億ドル。
- クライアント向け CPU(CCPG):数量 15,500(CPU 出荷個数(万個))× 価格 0.02(1 個あたり平均売上(万ドル))→ 売上 364 億ドル・営業利益 73 億ドル。営業利益率 20%
- サーバー向け CPU・AI(DCAI):数量 2,000(サーバー CPU 出荷個数(万個))× 価格 0.16(1 個あたり平均売上(万ドル))→ 売上 310 億ドル・営業利益 81 億ドル。営業利益率 26%
- ファウンドリ(外部顧客向けの製造・先端パッケージ):数量 57.6(当社の外部受託(実質の億ドル)= 外部委託の先端ファウンドリ・パッケージ市場(2025 年 12 月期の値段で測った実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 125(価格の水準(2025 年 12 月期=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141))→ 売上 72 億ドル・営業利益 −60 億ドル。赤字が続く・価格 125(物価並みが中立)
- その他(モービルアイ・アルテラ・NEX など):数量 25.6(当社の出荷(実質の億ドル)= 運転支援・FPGA・通信向けの市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 125(価格の水準(2025 年 12 月期=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141))→ 売上 32 億ドル・営業利益 12 億ドル。価格 125(物価並みが中立)
倍率:ならした利益は小さく(この年の純利益 30 億ドル、事業の ROE 約 2%)、k 10.0% を大きく下回るので、稼ぐ力(純利益 ÷ k)では 300 億ドル台にしかならない。そこで悲観の床は純現金と売れる資産の税後で測る:期末の純現金 52 億ドル + 事業の資産 1,248 億ドルの 5 割(工場・設備は帳簿どおりには売れない)= 約 676 億ドル。これを今の自己資本 1143 億ドルに対する PBR 0.59 倍として置いた。時価総額 = 1143 × 0.59 倍 = 674 億ドル。
確率:14A に確約が足りず、規模が出ないままファウンドリの赤字が続く筋。10 四半期連続の赤字と、会社自身が中止もありうると述べていることから、27% と厚めに置く。
悲観 17% 構造的な敗北:ファウンドリは失敗し、CPU もシェアを失う 利益 −46 億ドル · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 8.33 ドル425 億ドル
14A を中止し、外部売上は約 30 億ドル、ファウンドリの営業損益は −45 億ドル。DCAI は 1,400 万個・1 個 0.13 万ドルで約 182 億ドル(営業利益率 15%)、クライアントは 1.25 億個・1 個 0.021 万ドルで約 262 億ドル(営業利益率 10%)まで縮む。営業利益は約 −35 億ドル、純損失は約 −46 億ドル。ブランドは残るが、もう優良な会社ではない。自己資本は工場の減損で約 850 億ドルに減り、PBR 0.5 倍で測る。10 年の還元は無い。グーグル・アマゾン・マイクロソフトの自社アーム CPU が DCAI を、アップルとクアルコムが PC を、AMD が残りの x86 を取り、TSMC は先端の顧客をインテルへ移さない。政府の関与は残るが、株主の取り分は薄まったままで、新たな増資や出資の受け入れも筋書きに含む。
- クライアント向け CPU(CCPG):数量 12,500(CPU 出荷個数(万個))× 価格 0.02(1 個あたり平均売上(万ドル))→ 売上 262 億ドル・営業利益 26 億ドル。営業利益率 10%
- サーバー向け CPU・AI(DCAI):数量 1,400(サーバー CPU 出荷個数(万個))× 価格 0.13(1 個あたり平均売上(万ドル))→ 売上 182 億ドル・営業利益 27 億ドル。営業利益率 15%
- ファウンドリ(外部顧客向けの製造・先端パッケージ):数量 28.6(当社の外部受託(実質の億ドル)= 外部委託の先端ファウンドリ・パッケージ市場(2025 年 12 月期の値段で測った実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 105(価格の水準(2025 年 12 月期=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141))→ 売上 30 億ドル・営業利益 −45 億ドル。14A 中止・価格 105(物価並みが中立)
- その他(モービルアイ・アルテラ・NEX など):数量 23.8(当社の出荷(実質の億ドル)= 運転支援・FPGA・通信向けの市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 105(価格の水準(2025 年 12 月期=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141))→ 売上 25 億ドル・営業利益 5 億ドル。価格 105(物価並みが中立)
倍率:構造的な敗北で、14A を中止して工場の減損も大きい(自己資本は約 850 億ドルに減る)。簿価の工場は帳簿どおりには売れず、回収は簿価の 5 割と置いた(やや悲観と同じ置き方)。時価総額 = 自己資本 850 億ドル × PBR 0.5 倍 = 約 425 億ドル(赤字なので PER は使わない)。
確率:14A を中止し、製造は自社向けだけに縮み、サーバー・クライアントの両方で AMD・アーム系に置き換えられる筋。インテルは 2022 年から営業利益率が 0〜3% に落ちた実績があり、17% を置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
クライアント向け CPU(CCPG)
ノート・デスクトップ向けの Core・Core Ultra と、周辺チップ。PC メーカーへ売る。
| 数量CPU 出荷個数(万個) | 価格1 個あたり平均売上(万ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 18,000 | 0.02 | 322 | 90 |
| 10 年後 中立 | 17,500 | 0.03 | 441 | 115 |
取り方:2025 年の CCPG の売上は約 322 億ドル(開示を元にした概算)。PC 出荷 約 2.6 億台のうち、インテルを約 7 割として 約 1.8 億個、1 個 約 180 ドル(万ドルで 0.0179)と置いた(万個 × 万ドル = 億ドル)。営業利益率は 28% と置いた(2026 年第 2 四半期は 26%)。
サーバー向け CPU・AI(DCAI)
クラウド事業者・サーバーメーカー向けの Xeon と、周辺のネットワーク・AI アクセラレータ。
| 数量サーバー CPU 出荷個数(万個) | 価格1 個あたり平均売上(万ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,500 | 0.11 | 169 | 42 |
| 10 年後 中立 | 2,600 | 0.18 | 455 | 150 |
取り方:2025 年の DCAI の売上は約 169 億ドル(概算)。サーバー CPU 全体を約 2,300 万個とし、インテルの個数シェア 約 65% で 約 1,500 万個、平均単価 約 1,130 ドル(0.1127 万ドル)と置いた。営業利益率は 25%。2026 年は第 2 四半期だけで 62.6 億ドル・営業利益率 39.5% まで上がっている。
ファウンドリ(外部顧客向けの製造・先端パッケージ)
他社の半導体を 18A・14A などで受託製造・先端パッケージする事業。営業損益は、社内向けの製造の赤字を含めた事業部全体。
| 数量当社の外部受託(実質の億ドル)= 外部委託の先端ファウンドリ・パッケージ市場(2025 年 12 月期の値段で測った実質の億ドル)× 当社シェア | 価格価格の水準(2025 年 12 月期=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 12.0 | 100 | 12 | −103 |
| 10 年後 中立 | 162 | 141 | 228 | 16 |
取り方:外部顧客向けの売上は 2025 年で約 12 億ドル(概算)。外部委託の先端ファウンドリ・パッケージ市場を約 1,700 億ドルと推定(TSMC 約 1,200・サムスン・その他)し、シェア 0.7% で置いた。数量は「市場(実質)× シェア」=当社の受託、価格は価格の水準(2025 年 12 月期=100、rev_factor 0.01。中立は物価並み)。営業損益は事業部全体で約 −103 億ドル(会社の開示)。社内向けの売上は付け替えで、全社の売上には数えない。
その他(モービルアイ・アルテラ・NEX など)
自動運転用チップのモービルアイ、FPGA のアルテラ(49% 持ち分)、通信向けの NEX など。
| 数量当社の出荷(実質の億ドル)= 運転支援・FPGA・通信向けの市場(実質の億ドル)× 当社シェア | 価格価格の水準(2025 年 12 月期=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 25.0 | 100 | 25 | 13 |
| 10 年後 中立 | 27.0 | 141 | 38 | 18 |
取り方:全社の売上 528 億ドルから、CCPG・DCAI・外部ファウンドリを引いた残りが約 25 億ドル(概算)。対象の市場(運転支援・FPGA・通信向け)を約 600 億ドルと推定し、シェア 4.2% で置いた。数量は「市場(実質)× シェア」=当社の出荷、価格は価格の水準(2025 年 12 月期=100)。営業利益は約 13 億ドル。全社共通の費用(約 −28 億ドル)を adjust に置くと、全社の営業利益 14 億ドルに合う。
リスクと懸念
ファウンドリの赤字と外部資金への依存
外部売上は約 12 億ドルなのに、事業部の営業赤字は 2025 年で約 103 億ドル、第 2 四半期も 21 億ドルで 10 四半期連続。設備投資は 2026 年に 200 億ドルを超え、フリーキャッシュフローは赤字が続く。政府・NVIDIA・ソフトバンク・工場出資者の資金が細れば、投資を続けられない。
14A の外部顧客が決まらない
会社は、外部の大型顧客が確約しなければ 14A を縮小・中止しうると認めている。Terafab とアップルの話は提携発表と報道の段階で、量・価格・時期が確定していない。決定は 2026 年後半〜2027 年前半。確約が出なければ、ファウンドリの成功の筋書きが崩れる。
AMD とアーム系による x86 シェアの低下
AMD はクライアントで 30.3%、サーバーで 34.5% の個数シェアに達し、インテルの x86 全体は 1995 年以来初めて 70% を割った。AWS・グーグル・マイクロソフトの自社アーム CPU と、アップル・クアルコムのアーム PC が、価格を決める力を削る。需要の逼迫が終わると表に出る。
AI 設備投資の山と谷、メモリ高騰による PC の減少
サーバー CPU の需要は大手 5 社の設備投資に乗っており、投資が止まれば同じ向きに崩れる。一方でメモリ高騰により PC の出荷が最大 −9%(IDC)、デスクトップは −20% 超と減り、クライアントは数量で伸びない。2 つの需要が別の向きに動く。
株の希薄化と政府の関与
発行済みの株は約 50.4 億株まで増え、米国政府・NVIDIA・ソフトバンクへの出資で既存の株主の取り分が薄まった。政府のエスクロー株の時価評価で、第 2 四半期は GAAP で 110 億ドルの純損失が出た。政府の関与は下支えだが、経営の自由度と配当・自社株買いの再開を縛る。
製造の技術・歩留まりと地政学
18A の歩留まりは 85% まで上がったが、TSMC の N2 には届かず、14A は High-NA EUV の習熟に頼る。計画が遅れた歴史があり、2028 年の量産が遅れれば顧客が離れる。台湾への依存は TSMC の側で、インテルにとっては追い風にも下振れ(TSMC の価格の下げ)にもなる。
今後の分かれ目
- 14A に外部の大型顧客(アップル・NVIDIA・テスラなど)が量と時期つきで確約する
- 3 年・10 年とも楽観・やや楽観の確率を引き上げ、ファウンドリの赤字の縮小を早める。確約が名目だけか、前払いや設備投資の分担がついているかを見る。
- 2026 年後半〜2027 年前半に 14A の確約が出ず、会社が 14A の縮小を発表する
- 10 年のやや悲観・悲観の確率を引き上げる。設備投資は減り赤字は縮むが、外部売上の伸びと「第 3 の選択肢」という物語が消える。
- サーバー CPU の供給が追いつき、AMD の個数シェアが 40% に近づく、またはクラウド大手の自社アーム CPU が加速する
- DCAI の単価と営業利益率の置き方を下げる。価格を決める力が顧客へ移った証拠になる。
- DCAI の営業利益率が 40% を保ち、ファウンドリの赤字が四半期 10 億ドル台へ縮む
- 3 年の中立を楽観寄りへ動かす。製品部門の稼ぎがファウンドリの損失を上回ることを意味する。
- 政府や出資者が追加で株式の出資・保証を出す、または工場の持ち分を再び外部へ売る
- 資金の不安は減るが、株の希薄化と非支配持分の増加を純利益と株主の取り分に織り込む。
- AI の設備投資が大手 5 社で 1 年止まる
- 3 年・10 年の悲観の確率を引き上げる。DCAI の急伸が止まり、ファウンドリの固定費が重くなる。
見ておくもの
- ファウンドリの営業損益(四半期の赤字額)と外部売上、14A の顧客確約の発表(2026 年後半〜2027 年前半)
- DCAI の売上の伸びと営業利益率(第 3 四半期の見通し:売上 158〜168 億ドル)
- Mercury Research の x86 シェア(AMD のサーバー・クライアントの個数シェア)
- 18A・18A-P の歩留まりと、14A の PDK・リスク生産の日程
- 設備投資(2026 年 200 億ドル超・2027 年の増額)とフリーキャッシュフロー、出資者への分配
- 政府のエスクロー株の放出と発行済み株数、配当・自社株買いの再開
倍率と資本コストの決め方
売上は CCPG・DCAI・外部ファウンドリ・その他の 4 事業を、個数(万個)× 単価(万ドル)と、市場 × シェアで積み上げ、今の株価ではなく利益ベースの正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)、RONIC = k + 残る割合 ×(事業の ROE − k)で倍率を置いた。k = 10%(基本 8% + 循環 0.75%・値決め 0.25%・借金 0.5%・寿命 0.5%)、ROE は検査と同じ帳簿の自己資本に対する純利益(のれん込み。10 年中立で約 10%)、残る割合は弱い堀の 1/3、g は 4.0%。ROE が k 以下の中立は、伸びても価値が増えないので PER を 1÷k の 10 倍に置いた。ROE が k を超える楽観・やや楽観は上限の 8〜8.5 割。やや悲観は、稼ぐ力では 300 億ドル台にしかならないので、純現金と売れる資産の税後(約 676 億ドル)で置き、悲観は工場を簿価の 5 割で回収する PBR 0.5 倍で測った。今の PER は赤字で、PBR 3.6 倍には寄せていない。事業の見通し(数量・価格・確率)は倍率の置き直しでは変えていない。ファウンドリの失敗は上乗せでなく、悲観の確率(10 年 44%)と深さで表した。
資本コスト 10.0% = 無リスク金利 5% + β 1.80 × 5%。k = 基本 8.0% + quality +2.00% = 10.00%。循環 +0.75%・値決め +0.25%・借金 +0.5%・寿命 +0.5% で quality は +2.0%(k 10.0%。前は β 1.80 を枠の上限 9% に収めた値で、メモでは上乗せ 1% の 10%)。14A の中止・政府や出資者の資金が細る展開は、やや悲観・悲観の確率(10 年で 44%)と悲観の深さ(工場の減損)でも表した。存続は危うくないので上乗せ 0。