結論
ユニティー・ソフトウェアは、ゲームを作るための開発エンジンと、ゲーム内の広告を配信する基盤を持つ会社である。事業には強みがあるが、長期の株主が受け取る利益から考えると、現在の株価は大幅な割高だと判断する。最大の問題は成長の有無ではなく、その成長が株主のものになる利益へ変わるまでの距離である。
2025年の売上は18.5億ドル、営業損失は4.2億ドルだった。2026年4〜6月期には主力広告事業のStrategic Growが前年同期比63%増え、全社売上は5.46億ドルに達した。GAAP純損失も0.23億ドルまで縮小した。2026年10月にはグーグルとAIゲーム制作基盤で提携し、事業の再生には確かな前進が見られる。ただし、この成長を10年間そのまま延ばすことはできない。
ゲーム開発エンジンには、既存作品の移植や開発者の習熟に伴う乗り換え費用がある。しかし、2023年の料金政策を巡る反発は、顧客が値上げを無条件には受け入れないことを示した。さらにAIエージェントが開発者の作業を減らすため、有料座席の増加は期待しにくい。広告ではUnity Vectorが成果を出しているが、アップラビンとグーグルという強い競争相手がいる。
中立の2035年売上は約37億ドル、GAAP純利益は6.5億ドルと見る。成熟後の利益に対する評価と正味の株主還元を合わせると、確率加重した現在の適正時価総額は約18.2億ドルとなり、基準時点の178.6億ドルを約90%下回る。強気の筋書きでは2035年の時価総額が現在と同程度まで成長するが、10年分の資本コストを埋めるには足りない。
これはゲーム開発基盤が消えるという予想ではない。むしろ基盤は残り、広告の収益性も改善すると見ている。それでも利益の薄さ、広告の競争、長年の株式報酬による持ち分の希薄化を考えると、現在の値段には十分な安全域がない。筆者は、事業再生への期待と株主価値の回復を明確に分けて考えるべきだと見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ユニティーは理解できる部分と理解しにくい部分が同居する会社である。ゲームが動くためのエンジンは、今後10年も必要とされる可能性が高い。開発途中でエンジンを替える負担は大きく、既存作品と開発者の蓄積には価値がある。この部分には長く使われる道具を提供する会社としての魅力がある。
だが、長く使われることと高い利益が残ることは別である。開発者向けの料金では2023年の失敗があり、広告ではアップラビンやグーグルとの競争がある。AIによる開発効率の改善が進むほど、同じ数のゲームを作るために必要な有料開発者は少なくなりうる。技術が普及することだけを理由に、企業の利益が増えるとは考えない。
オーナー利益を測るときは、2025年のフリーキャッシュフロー4.0億ドルをそのまま株主の利益とみなさない。株式報酬が3.85億ドルあり、これは既存株主の持ち分を薄める。買収した無形資産の償却には非現金費用も含まれるが、過去に株式で支払った買収代金が無価値だったことまでなかったことにはできない。GAAP利益を基本とし、成長に必要な再投資と株主への正味還元を分けて見る。
2026年の事業再生は評価する。Unity Vectorによる広告売上の増加と、旧事業からの撤退は経営の方向を改善した。しかし、赤字から黒字へ転じる過程はまだ短く、増分投資の利益率が資本コストを継続的に上回る証拠はそろっていない。将来の利益率が改善しても、現在の時価総額には長年の成功がかなり先払いされている。
長く保有したい会社には、経営が失敗しても価値を支える資産か、顧客が離れにくい高収益の事業が必要だ。ユニティーには後者の芽があるが、まだ完成していない。事業への期待を認めながらも、今の価格で十分な安全域があるとは判断できない。
何で稼ぐ会社か
ユニティーの事業には、ゲームを作るCreate Solutionsと、完成したゲームから広告収入を生むGrow Solutionsという二つの柱がある。2025年の売上はCreateが約6.2億ドル、Growが約12.3億ドルだった。ただし2026年には旧広告網のironSource Adsを終了し、Supersonicのゲーム出版事業を売却した。したがって今後は、残るUnity Adsと開発エンジンの実力を見る必要がある。
Createの中心はUnity Engineである。ゲーム会社がUnity ProやEnterpriseなどを契約し、開発者がエディター、描画、物理演算、アニメーション、複数端末への出力機能を使う。小規模な開発者は無料版を利用できるため、開発者が増えても売上が同じ割合で増えるわけではない。収益源は有料座席の契約料に、企業向けの追加機能、サポート、関連サービスが加わる。会社の公表値では、Unity Editorの月間利用者は130万人を超え、主要モバイルゲームにも広く採用されている。
Growでは、ゲームの中に表示する広告枠をアプリ開発会社から集め、広告主の入札と結びつける。Unityが売上として認識するのは広告取引の総額ではなく、取引を仲介して自社に残る取り分である。広告表示の回数、広告主の獲得単価、入札の精度、プラットフォームの取り分が収益を決める。Unity Vectorは利用者の行動情報を使って広告の成果を予測し、広告主が支払える価格と配信先の組み合わせを改善する。広告配信基盤は開発者向けの席課金とは異なり、人手ではなく広告表示という利用量が収益の基礎になる。
2026年4〜6月期のStrategic Grow売上は3.29億ドルで、前年同期の2.01億ドルから大きく増えた。Strategic Createは1.57億ドル、撤退対象の非戦略事業は0.60億ドルだった。事業の重心は明らかに広告へ移っている。もっとも、ゲームがUnity製だからといって広告も必ずUnityへ出すとは限らない。広告の仲介会社は複数の広告ネットワークを同時に使えるため、開発エンジンの普及率と広告収益のシェアを混同してはいけない。
2025年の数値を将来と比較するため、Create、継続するStrategic Grow、撤退する旧事業の三つに分けた。2025年の戦略事業別年間売上は完全な形で開示されていないため、四半期開示と旧事業の撤退対象から推計した。営業利益の事業別配分も公表されていないので、開発費、広告関連費用、共通費を分けた分析上の推定値としている。
優良さと弱いところ
最大の堀、つまり他社が簡単には奪えない強みは、Unityで作られた作品と開発者の蓄積である。会社の公表では、上位1000本のモバイルゲームの70%超がUnityで作られている。開発途中でエンジンを替えれば、描画や物理演算、画面、プラグインの検証をやり直すことになる。完成したゲームでも更新と保守が続くため、既存顧客は簡単には移れない。
ただし、普及率の高さがそのまま価格決定力を意味するわけではない。2023年に打ち出したインストール数に応じるRuntime Feeは開発者の強い反発を招き、2024年に撤回された。2025年にはProとEnterpriseの価格を引き上げたが、値上げへの反応を見ながら段階的に進める必要がある。競合のアンリアル・エンジンや無料のGodotがあるため、顧客から取れる金額には限界がある。
広告の堀は別の性質を持つ。広告主が増えるほど入札競争が厚くなり、開発会社は広告収入を得やすくなる。開発会社が増えれば広告主が使える枠も広がる。Unity Vectorにはゲーム内の利用者行動を活用できる利点があり、2026年の成長はその効果を示している。しかし広告の成果を最大化する技術はアップラビンやグーグルも磨いており、独占的な資産ではない。
資本効率はまだ合格点に達していない。2025年のROEはマイナス12.4%で、黒字化した後の利益率も十分な実績がない。2025年の株式報酬は3.85億ドルで売上の約21%に相当し、GAAP利益を大きく削っている。フリーキャッシュフローが黒字でも、株式報酬によって発行される株式の価値を無視すれば、株主の取り分を過大評価することになる。
長く残るゲームエンジンの基盤には強みがあるが、広告取引の競争と経営の資本配分を合わせると、全社を強い堀の企業とは評価しない。通常の堀を持つ会社とし、将来の超過利益は競争によって徐々に薄れると判断する。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ゲーム開発エンジンの市場は、長期的にはゲームの数、制作の複雑さ、複数端末への対応需要で伸びる。Global Market Insightsは世界のゲームエンジン市場を2025年に約15億ドル、2035年に約29億ドルと推計し、2025年のUnityのシェアを約41%とする。ただし調査会社によって対象範囲と市場規模には大きな差がある。会社のCreate売上にはゲーム以外の用途や周辺サービスも含まれるため、この比率は厳密な同一市場の売上シェアではない。
競争相手はエピック・ゲームズのアンリアル・エンジン、オープンソースのGodot、大手ゲーム会社の内製エンジンである。アンリアルは大型作品と高品質な3D映像で強く、Godotは無料で利用できる点が小規模開発者に支持される。2026年のゲーム開発者調査でも、Unityとアンリアルが主要な選択肢であり続ける一方、Godotの利用が増えている。Unityはモバイルや中小規模の開発に強いが、新しく始まる作品でのシェアは既存作品ほど守られていない。
広告市場の争いはさらに厳しい。Sensor Towerの調査では、2025年の主要19市場におけるモバイルゲーム内広告収入は120億ドルを超え、年間表示回数は2.4兆回に達した。アップラビンとグーグルのAdMobは、同調査の広告収入の約65%を占める。Unity Adsは有力な参加者だが、広告主と開発会社の双方を囲い込める立場にはない。広告の表示枠が増えても、成果のよいネットワークへ予算が集中するため、売上は数量以上に大きく振れる。
広告の競争は、利用者を獲得する費用と広告から得られる収益の差を巡る争いである。景気が悪化すると広告主は予算を削り、スマートフォンの利用者が増えても広告単価が下がる。逆に配信精度が向上すれば、表示回数が変わらなくても手取りが増える。Unity Vectorの伸びは後者を示すが、競合が機械学習の性能を改善すれば優位性は縮む。
AIには二つの方向がある。開発用の操作画面やプログラミング作業はAIエージェントに置き換わり、有料開発者席数に下押し圧力がかかる。反対に、ゲームを実行するエンジンそのものと大量の広告取引は、AIが普及しても必要とされうる。2026年10月のグーグルとの提携は、自然言語からゲームを作るUnity Sparkの展開を目指すものだが、収益額の開示はまだない。中立ではCreateの座席減少を織り込み、広告基盤の利用増加で全社売上を伸ばす。
資本政策と M&A
資本配分の歴史は厳しく評価する必要がある。2022年に発表したironSourceとの統合は当初約44億ドルの株式交換案件として説明され、ゲーム開発から広告収益化までを結ぶ構想の中心だった。しかし統合後は成長と収益性が期待に届かず、旧広告網の一部は2026年4月に終了した。Supersonicも2026年8月に売却された。2026年上半期には撤退に伴う約2.79億ドルの減損が生じている。
株主還元も十分ではない。2022年に最大25億ドルの自社株買い枠を設けたが、2025年は配当も自社株買いも実施していない。2025年には株式報酬が3.85億ドル発生し、株数は増え続けた。配当については、事業への再投資を優先し当面支払わない方針で、継続的な正味還元額の数値目標はない。
財務面では2025年末の現金が20.6億ドル、有利子負債が23.2億ドルだった。負債は主に転換社債であり、2026年、2027年、2030年に償還期限が到来する。2026年6月末の現金は約23.5億ドルに増えたが、2026年償還分を現金で返済する予定である。金利が高い状態で借り換えれば、低利の旧転換社債と比べて利払いが重くなる。
2026年6月末にはAppsFlyer株式を1億ドル取得する条件付きの義務も開示している。これは既存の広告事業を補完する投資だが、利益を生むまでに時間がかかる。2035年までの筋書きでは、過去の大型買収が再び高い収益をもたらすとは仮定しない。今後の資本配分では、無理な買収よりも負債の返済、株式報酬の抑制、既存広告基盤への投資を優先すべきだと考える。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ユニティーは、ゲームを作る段階と、完成したゲームから収益を得る段階の両方に入り込める数少ない会社である。Unity Engineで作られたゲームは非常に多く、開発者は長年にわたってUnityの操作やプラグインに慣れている。エンジンの切り替えには時間と費用がかかるため、既存顧客の基盤は容易には崩れない。2024年のRuntime Fee撤回によって信頼回復にも取り組み、2025年の料金改定後にはCreateの契約収入が持ち直した。
成長の中心はUnity Vectorである。2026年4〜6月期のStrategic Growは前年同期比63%増え、会社は7〜9月期にも68〜70%の増収を見込んでいる。これは単なる将来のAI構想ではなく、実際の広告収入に表れた改善である。独自の広告取引データとUnityのゲーム利用情報を組み合わせることで、広告主にとっての獲得効率が高まり、ゲーム開発会社にもより多くの広告収益を返せる。広告主と開発会社の双方が集まる好循環が生まれれば、競合からシェアを奪う余地がある。
2026年10月のグーグルとの提携も長期の選択肢を広げる。自然言語からゲームを作るUnity Sparkが広がれば、専門知識のない人でもゲーム制作へ参加できる。作られたゲームがUnityの実行環境を使い、広告によって収益化されるなら、開発者席数が増えなくても基盤全体の利用は広がる。ただし現在は提携の発表段階なので、Sparkの収益を既に確立したものとは扱わない。
最も成功した場合、Unity Adsが広告主の成果でアップラビンやグーグルに近づき、年間広告表示回数と千回あたりの手取りがともに増える。2035年の売上は約72億ドル、GAAP純利益は16.6億ドルに達する。今の赤字が解消し、規模の経済が働けば、営業利益率は30%を超えうる。エンジンの寿命が長く、広告の成長も実現するなら、会社そのものは現在よりはるかに強くなっている。
慎重な見方
ユニティーの最大の弱点は、利用者が多いことと利益を取れることの間に大きな隔たりがある点だ。Unity製ゲームが多くても、開発者が支払う料金は高くない。2023年のRuntime Feeを巡る反発は、既存作品への依存を利用した料金体系が顧客の信頼を壊すことを示した。無料のGodotが改善を続け、アンリアル・エンジンも幅広い作品を獲得するなら、新しく開発されるゲームでUnityが選ばれる割合は下がる。
さらにAIエージェントが開発作業を代替する。ゲームを作るために人が画面を操作する時間が減れば、有料開発者席の必要数は減る。グーグルとの提携は制作の入口を広げるが、その利益がグーグルとUnityのどちらに残るかはまだ分からない。技術の普及と収益性の改善を同一視するのは危険である。
広告にも構造的な競争がある。アップラビンとグーグルは豊富な広告主を持ち、広告配信の成果を高めるための大量のデータを蓄積している。Unity Vectorの成長率が高いのは事実だが、競合が追いつけば、ゲーム会社は最も高い広告収益を返すネットワークに配信先を切り替える。広告の表示回数は残ってもUnityの手取りは下がる。広告主の予算が減る景気後退では、この圧力が強まる。
経営の資本配分も無視できない。2022年のironSource統合は大型の株式交換で実施され、その一部を2026年に撤退させることになった。2025年の株式報酬は売上の約21%で、株数の増加も続いている。フリーキャッシュフローの黒字だけを見れば改善は著しいが、GAAPでは赤字だった。2035年に利益が出るとしても、過去の株式報酬と買収の負担を埋めた後に株主へどれだけ残るかは不透明だ。
2025年末の自己資本32.4億ドルの多くはのれんと無形資産で、清算時に額面で売れる資産ではない。広告と開発エンジンの双方で競争に負けた場合、帳簿の自己資本をそのまま株主価値の床にすることもできない。最悪の筋書きでは、2035年の売上が2025年の約6割に縮み、低収益の会社として残る。
どちらに重みを置いたか
事業の回復力では強い見方にも根拠がある。Unity Vectorの成長は実際の売上で確認でき、ゲームエンジンの基盤も簡単には消えない。しかし、株主の利益と払う値段を考えると慎重な見方が優勢だ。2026年の改善を認めても、成熟後に資本コストを上回る利益を長く出せるかはまだ確かでない。
そのため楽観側の合計を27%、中立を31%、やや悲観と悲観を合わせて42%とした。AIエージェント代替の影響は主にCreateの数量と長期成長率へ織り込み、同じ理由で資本コストや確率を何重にも悪化させていない。悲観側の厚さは、広告市場での競争、過去の資本配分、利益実績の短さによる。2035年には事業が現在より強くなっている可能性を認めつつ、現在の株価は大幅な割高という結論になる。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 14.27 ドル62 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 −2.52 ドル−11 億ドル)。 今の値に割り戻すと 4.16 ドル18 億ドル、今との差 −89.0%、 期待の年率 −10.2%(資本コスト 9.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 40.94 ドル179 億ドル | −1.83 ドル−8 億ドル | +3.8% | +0.4% | 3.91 ドル17 億ドル |
| やや楽観 | 17% | 25.90 ドル113 億ドル | −3.20 ドル−14 億ドル | −39.8% | −4.7% | 3.86 ドル17 億ドル |
| 中立 | 31% | 15.14 ドル66 億ドル | −4.11 ドル−18 億ドル | −70.7% | −10.3% | 3.42 ドル15 億ドル |
| やや悲観 | 27% | 3.38 ドル15 億ドル | −1.60 ドル−7 億ドル | −95.3% | −22.5% | 0.48 ドル2 億ドル |
| 悲観 | 15% | 1.10 ドル5 億ドル | −0.57 ドル−3 億ドル | −98.6% | −30.4% | 0.08 ドル0 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 14.27 ドル62 億ドル | −2.52 ドル−11 億ドル | −68.8% | −10.2% | 11.75 ドル51 億ドル |
今の株価時価総額 37.70 ドル165 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 楽観:広告基盤のシェア拡大とエンジンの定着 利益 17 億ドル · PER 10.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 40.94 ドル179 億ドル
Unity Adsは広告の成果で競合に近づき、2035年には年間1兆2000億回の広告を収益化する。AIによる広告配信精度の改善で、1000表示あたりの手取りは5.3ドルに増える。広告主が増え、入札が厚くなることで収益が伸びる。広告の市場全体も成長するが、それ以上にUnityの取扱シェアが拡大する展開だ。
Createでは、既存ゲームの更新と企業向け開発需要が続く。AIエージェントによって開発時間は減るが、Unity Sparkなどの新しい制作方法はゲームエンジンの利用を支える。ただし現時点でSparkの収益額は確認できないため、有料座席数が2025年を上回るとは仮定しない。20万席を維持し、企業向け契約と機能の高度化によって実効年間収入を4185ドルとする。
旧ironSource広告網とSupersonicは戻さず、事業規模の拡大は継続事業だけから生まれる。広告の営業利益率は36%、Createは34%まで改善し、全社売上は約72億ドル、営業利益は22.55億ドルとなる。株式報酬はなお発生するが、成長したキャッシュフローで一部を買い戻し、10年間の正味の持ち分減少は8億ドルに抑える。
2035年のGAAP純利益は16.6億ドルとなり、自己資本は110.4億ドルに積み上がる。新規大型買収は必要なく、既存のゲームエンジンと広告基盤への再投資で増収を支えられる。2030年代には広告成長率も一桁に落ち着くが、Unityは現在よりはるかに高収益の会社になっている。
- Create Solutions:ゲーム開発エンジン・制作ツール:数量 200,000(有料開発者の年間契約座席換算数(席))× 価格 4,185(有料座席換算1席あたり年間実効売上(ドル))→ 売上 8 億ドル・営業利益 3 億ドル。有料席を維持し企業向け契約が高単価化
- Strategic Grow:Unity Ads・Unity Vector:数量 12,000(戦略広告基盤で収益化する年間広告表示回数(億回))× 価格 5.30(広告1000表示あたりUnityに残る実効手数料(ドル))→ 売上 64 億ドル・営業利益 23 億ドル。Vectorが広告主を集め配信シェア拡大
- 非戦略事業:旧ironSource広告網・Supersonic等:数量 0.0(旧広告表示回数と出版売上を合わせた広告換算年間表示回数(億回))× 価格 2.00(換算広告1000表示あたりの実効売上(ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。終了・売却済みで売上ゼロ
倍率:k9.5%、長期g1.75%、2035年のROE=純利益16.6÷自己資本110.4=15.04%。通常の堀なので超過ROEの残存割合1/2、RONIC=9.5%+1/2×(15.04%−9.5%)=12.27%。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)×(1+g)=約11.26倍。広告事業の成長が成熟へ向かうことを考慮し、その約96%の10.8倍を採用する。2035年のGAAP純利益は株式報酬を費用処理し、買収無形資産の償却を任意に足し戻していない。時価総額=16.6×10.8=179.28億ドル。純現金の別途加算はない。
確率:Unity Vectorの競争優位が持続し、広告主と開発会社が集まる好循環が10年にわたって強まる筋書き。2026年の実際の広告成長が根拠になる一方、アップラビンとグーグルに対して大きくシェアを伸ばす必要があるため、確率は10%に限る。
やや楽観 17% やや楽観:広告の成長が続き着実に黒字を拡大 利益 11 億ドル · PER 10.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 25.90 ドル113 億ドル
Unity Adsは広告主の獲得効率を改善し続け、広告表示回数は2035年に年間9500億回へ増える。1000表示あたりの手取りは4.8ドルとなる。Unityのゲーム利用者データが配信の精度を支えるが、アップラビンやグーグルも広告主への成果を改善するため、料金を一方的に引き上げることはできない。
Createの有料座席はAIエージェントによって減り、19万席となる。ただし企業向けには既存ゲームの運用、クロスプラットフォーム対応、セキュリティ、保守の需要が残る。実効単価は3658ドルまで上がり、座席減少の一部を補う。グーグルとの提携によって開発の入口は広がるが、将来の収益は確認された広告基盤と既存契約の範囲から評価する。
旧広告網を終了した効果で収益構造が単純になり、営業利益率は全社で約28%へ改善する。売上は約52.6億ドル、営業利益は14.59億ドルとなり、GAAP純利益は10.7億ドルへ増える。株式報酬の負担は残るものの、営業キャッシュフローの増加を使って一定の買い戻しを行い、10年間の正味希薄化相当額は14億ドルにとどまる。
2035年の自己資本は91.4億ドルとなり、ROEは約11.7%に達する。借入金の借り換え費用を負担しながらも、増分投資が資本コストを上回る時期が生まれる。広告の利益率が今より高い状態で定着し、ゲームエンジン事業が安定した収益源として残る展開である。
- Create Solutions:ゲーム開発エンジン・制作ツール:数量 190,000(有料開発者の年間契約座席換算数(席))× 価格 3,658(有料座席換算1席あたり年間実効売上(ドル))→ 売上 7 億ドル・営業利益 2 億ドル。有料席は微減だが企業単価は改善
- Strategic Grow:Unity Ads・Unity Vector:数量 9,500(戦略広告基盤で収益化する年間広告表示回数(億回))× 価格 4.80(広告1000表示あたりUnityに残る実効手数料(ドル))→ 売上 46 億ドル・営業利益 16 億ドル。高い広告成果を維持しシェア拡大
- 非戦略事業:旧ironSource広告網・Supersonic等:数量 0.0(旧広告表示回数と出版売上を合わせた広告換算年間表示回数(億回))× 価格 2.00(換算広告1000表示あたりの実効売上(ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。撤退済み
倍率:k9.5%、長期g1.75%、ROE=10.7÷91.4=11.71%。通常の堀の残存割合1/2を使用し、RONIC=10.60%。正当化PER=(1−1.75%÷10.60%)÷(9.5%−1.75%)×1.0175=約10.96倍。広告事業の安定した黒字化を評価し、その約97%の10.6倍とする。GAAP利益は株式報酬込みであり、無形資産償却の倍率による二重加算はしない。時価総額=10.7×10.6=113.42億ドル。
確率:Unity Vectorは競争力を保つが、アップラビンとグーグルも技術を改善するため、広告のシェア拡大は楽観ほど大きくない。2026年の改善を一定程度維持できる可能性を認め17%とした。
中立 31% 中立:広告基盤は成長するが開発者席は減少 利益 7 億ドル · PER 10.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 15.14 ドル66 億ドル
Unity Adsは2026年の勢いを数年間保つが、その後はアップラビンとグーグルとの競争で成長率が落ち着く。2035年の広告表示回数は年間7700億回となり、1000表示あたりの実効手数料は4.1ドルになる。市場全体の広告表示回数の増加に加え、Unity Vectorの改善によって一定のシェアを取り戻すが、競合の優位性を崩すほどではない。
Createの有料座席数は2025年の20万席から17万席へ減る。AIエージェントがエディター操作や簡単なプログラミングを代替し、同じゲーム制作に必要な開発者の数が減るためである。既存の作品や企業向けサポートには需要が残るが、実効単価の上昇は3410ドルにとどまる。座席数は10年で0.85倍、価格は1.10倍となり、開発者向けソフトの売上は名目でもやや減少する。
継続事業の売上は約37.4億ドルに達する。広告の営業利益率は32%、Createは28%まで改善するものの、研究開発と共通費は残る。全社の営業利益は8.82億ドル、GAAP純利益は6.5億ドルになる。2026年の事業整理後は黒字化が進むが、広告の競争が激しく、利益率はアップラビンの高収益水準には届かない。
10年間のGAAP純利益累計は25億ドルとする。初期には2026年の減損を含む赤字が残り、2027年以降に黒字が徐々に積み上がる。株式報酬に対して自社株買いは十分でなく、正味の株主還元はマイナス18億ドルとなる。2035年の自己資本は75.4億ドル、ROEは約8.6%であり、資本コストを十分には上回らない。
- Create Solutions:ゲーム開発エンジン・制作ツール:数量 170,000(有料開発者の年間契約座席換算数(席))× 価格 3,410(有料座席換算1席あたり年間実効売上(ドル))→ 売上 6 億ドル・営業利益 2 億ドル。AI代替で座席0.85倍、単価1.10倍
- Strategic Grow:Unity Ads・Unity Vector:数量 7,700(戦略広告基盤で収益化する年間広告表示回数(億回))× 価格 4.10(広告1000表示あたりUnityに残る実効手数料(ドル))→ 売上 32 億ドル・営業利益 10 億ドル。広告表示と手取り改善で拡大
- 非戦略事業:旧ironSource広告網・Supersonic等:数量 0.0(旧広告表示回数と出版売上を合わせた広告換算年間表示回数(億回))× 価格 2.00(換算広告1000表示あたりの実効売上(ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。終了・売却済み
倍率:k9.5%、長期g1.75%、ROE=6.5÷75.4=8.62%。通常の堀で残存割合1/2とするとRONIC=9.06%。正当化PERの生の計算値は約10.59倍だが、ROEがkを下回るため上限は1÷9.5%=10.53倍となる。その約97%の10.2倍を採用する。gはROEや留保率からではなく、広告表示市場の成長と手数料の低下圧力、Createの席数減少と実効単価から導いた。GAAP純利益に株式報酬を費用計上し、過去の買収償却を別途足し戻さない。時価総額=6.5×10.2=66.30億ドル。
確率:2026年のUnity Vectorの好調を確認した一方、10年先には競争で広告成長が鈍化すると考える。Createの有料席をAIエージェント代替の指定範囲内で減らし、既存エンジンの普及による下支えも考慮して31%とした。
やや悲観 27% やや悲観:広告のシェアが伸びず低収益が続く 利益 2 億ドル · PER 8.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3.38 ドル15 億ドル
Unity Adsは2026年には急成長するが、その後アップラビンとグーグルに広告主の予算を奪われ、取扱広告表示回数が伸び悩む。2035年の年間広告表示回数は5000億回にとどまり、1000表示あたりの手取りは3ドルとなる。名目物価が上がっても広告の成果に応じた価格競争が強く、2026年に獲得した収益力のかなりの部分を失う。
CreateではAIエージェントによる開発効率の向上が進み、有料座席は14.5万席へ減少する。アンリアル・エンジンとGodotへの移行も増え、Unityのエンジンを使う新規作品の比率は下がる。ただし既存作品の更新と企業向けの運用需要は残るため、開発エンジンそのものが消えることはない。実効単価は3255ドルにとどまる。
全社売上は約19.7億ドルで、2025年よりわずかに大きい程度となる。開発投資と広告基盤の固定費を削減しても、営業利益は2.41億ドル、GAAP純利益は1.7億ドルにとどまる。株式報酬は縮小するが、10年間の株式報酬による持ち分減少を買い戻しで完全には解消できない。正味の還元はマイナス7億ドルとなる。
2026年の撤退費用と、その後の収益悪化を含む10年間の純利益累計は3億ドルにとどまり、2035年の自己資本は42.4億ドルとなる。ROEは約4%で、資本コストを大幅に下回る。広告事業にはなお収益力があるが、株主にとって優良な資本効率の会社とは呼べない状態である。
- Create Solutions:ゲーム開発エンジン・制作ツール:数量 145,000(有料開発者の年間契約座席換算数(席))× 価格 3,255(有料座席換算1席あたり年間実効売上(ドル))→ 売上 5 億ドル・営業利益 1 億ドル。AIによる席減少と競合への移行
- Strategic Grow:Unity Ads・Unity Vector:数量 5,000(戦略広告基盤で収益化する年間広告表示回数(億回))× 価格 3.00(広告1000表示あたりUnityに残る実効手数料(ドル))→ 売上 15 億ドル・営業利益 4 億ドル。広告のシェアが伸びず手取りも低下
- 非戦略事業:旧ironSource広告網・Supersonic等:数量 0.0(旧広告表示回数と出版売上を合わせた広告換算年間表示回数(億回))× 価格 2.00(換算広告1000表示あたりの実効売上(ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。撤退済み
倍率:k9.5%、ROE=1.7÷42.4=4.01%、長期g1.75%、通常の堀でRONIC=6.76%。利益ベースの正当化PERは約9.73倍となるが、広告の競争による利益率低下とROEが資本コストを大きく下回るため、8.7倍とする。中立の10.2倍より低い。構造的な競争劣位の筋書きであり、上限の7割へ引き上げるという方法は採らない。時価総額=1.7×8.7=14.79億ドル。事業の稼ぐ力1.7÷9.5%=17.89億ドルと、売れる資産の床6億ドルの大きい方を超えない。
確率:広告の予測技術が競合にも広がり、Unity Vectorの優位性が薄れる展開。開発エンジンは残るが有料席は減る。広告での競争と株式報酬の重さを考慮し、やや悲観を27%とした。
悲観 15% 悲観:ゲーム開発と広告の両方で競争に敗れる 利益 1 億ドル · PER 8.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1.10 ドル5 億ドル
Unityは既存作品の開発エンジンとして残るが、新規作品での採用が大幅に減る。アンリアル・エンジンが大型作品に強く、Godotが小規模作品を獲得する。AIエージェントによって開発者が手作業でエディターを操作する時間も減り、有料座席は9万席まで減少する。価格競争によって実効単価も2790ドルに下がる。
広告ではUnity Vectorの技術的優位性が失われる。ゲーム開発会社がアップラビンやAdMobなどのネットワークへ広告配信を移し、広告主の予算もそちらに集中する。2035年の年間広告表示回数は3500億回、1000表示あたり手取りは2.3ドルとなる。2025年と比べて市場全体は拡大しているが、Unityの相対的な地位は悪化する。
旧事業の売却で一部の負担はなくなったものの、会社は開発費の削減を余儀なくされる。売上は約10.6億ドルへ縮み、営業利益は0.88億ドル、GAAP純利益は0.6億ドルにとどまる。収益力が低いため、外部から資本を調達して積極的に買収する余裕はない。開発者向け事業を縮小し、広告の残存顧客と既存ゲームの更新で会社を維持する。
10年間のGAAP純損益累計はマイナス12億ドルとなる。2026年に発生した約2.79億ドルの減損を含め、2026〜2030年の損失と追加の事業整理を合わせて約13億ドルの赤字、その後の小幅な黒字を約1億ドルとする。株式報酬と買い戻しの差による正味の持ち分減少は2.5億ドルに縮む。2035年の自己資本は22.9億ドルだが、のれんなどを含むためその全額を売れる価値とは考えない。
- Create Solutions:ゲーム開発エンジン・制作ツール:数量 90,000(有料開発者の年間契約座席換算数(席))× 価格 2,790(有料座席換算1席あたり年間実効売上(ドル))→ 売上 3 億ドル・営業利益 0 億ドル。顧客流出とAIエージェントによる席減少
- Strategic Grow:Unity Ads・Unity Vector:数量 3,500(戦略広告基盤で収益化する年間広告表示回数(億回))× 価格 2.30(広告1000表示あたりUnityに残る実効手数料(ドル))→ 売上 8 億ドル・営業利益 2 億ドル。広告主の流出と手数料競争
- 非戦略事業:旧ironSource広告網・Supersonic等:数量 0.0(旧広告表示回数と出版売上を合わせた広告換算年間表示回数(億回))× 価格 2.00(換算広告1000表示あたりの実効売上(ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。売却済み
倍率:k9.5%、ROE=0.6÷22.9=2.62%、長期g1.75%、通常の堀でRONIC=6.06%。利益ベースの正当化PERの参考値は約9.34倍だが、再投資効率が資本コストを下回るため8.0倍で評価する。中立の10.2倍より低い。時価総額=0.6×8.0=4.80億ドル。事業の稼ぐ力0.6÷9.5%=6.32億ドルと、純換金可能資産の床2億ドルの大きい方を超えない。過去の谷のPBRや、将来の帳簿自己資本にPBRを掛ける方法は使わない。
確率:Godotやアンリアルへの移行が進み、広告でもアップラビンとグーグルの優位性が強まる構造的な敗北。旧買収資産の価値低下と再度の損失が重なる可能性を考え15%とした。資金繰りが直ちに破綻するという予想ではない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
Create Solutions:ゲーム開発エンジン・制作ツール
Unity Engine、Unity Pro、Enterprise、関連クラウド機能、開発支援などをゲーム会社と開発者に提供する。2025年の売上の約3分の1を占める。AI代替の分類では、人がエディターを操作する席課金の部分を『席課金・操作画面中心』とする。実際にゲームを動かすランタイムは直接の席代替ではないが、その経済価値も現時点では主として開発契約から回収しているため、数量側に代替圧力を反映する。
| 数量有料開発者の年間契約座席換算数(席) | 価格有料座席換算1席あたり年間実効売上(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 200,000 | 3,100 | 6 | −1 |
| 10 年後 中立 | 170,000 | 3,410 | 6 | 2 |
取り方:2025年の公式Create Solutions売上6.214億ドルを基礎とする。会社は有料座席総数と座席以外の売上を完全には開示していないため、有料座席換算20万席、年3100ドルの実効収入と推定した。Unity Proの年間料金は約2000ドル台で、Enterprise、サポート、サービス収入を含むため実効額は高くなる。これは実際の有料席数の開示値ではない。Unity公表のEditor月間利用者130万人超に対し、支払う開発者は一部である。市場規模の参考はGlobal Market Insightsの2025年約15億ドル、Unityシェア約41.2%で、会社売上との対応もおおむね近い。https://www.gminsights.com/industry-analysis/game-engines-market 。AIエージェント代替の中立数量は20万席から17万席の0.85倍、価格は3100ドルから3410ドルの1.10倍とし、席課金型の指定範囲に収めた。営業利益は未開示のため本社費を除く推定配賦額である。
Strategic Grow:Unity Ads・Unity Vector
ゲーム内広告枠を広告主の入札と結び付ける広告配信基盤。Unity Vectorが予測モデルを使い広告成果を改善する。人月で広告制作を請け負う代理店ではなく、広告表示ごとに収益を得る自社プラットフォームの型とする。広告の運用自動化は既に事業に内包されており、媒体買付人員の削減をそのまま広告表示回数の減少とは扱わない。
| 数量戦略広告基盤で収益化する年間広告表示回数(億回) | 価格広告1000表示あたりUnityに残る実効手数料(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 3,500 | 2.43 | 9 | 0 |
| 10 年後 中立 | 7,700 | 4.10 | 32 | 10 |
取り方:2025年のGrow Solutions全体12.282億ドルから、撤退対象の旧広告網・出版事業の推定額を除き、戦略事業を約8.5億ドルとした。2026年開示の2025年1〜3月期Strategic Grow1.869億ドル、4〜6月期2.013億ドル、2025年10〜12月期にUnity AdsがGrow全体の56%だったという開示を参考に、残る期間を補間した。会社は戦略広告網だけの表示回数を開示していない。Unityの公表する旧広告網込みの月間680億表示という規模と、Sensor Towerの2025年主要19市場の年間2.4兆表示を参照し、戦略広告網の年間3500億表示、1000表示あたり手取り2.43ドルという仮定に分解した。約15%という表示回数の市場占有率は推計であり公式シェアではない。Sensor Towerの市場集計とUnityの配信地域は完全には一致せず、広告総額とUnityの純手取りも直接比較できない。https://sensortower.com/report/gaming-deep-dive-ad-monetization 。AI広告の収益増加は2026年4〜6月期のStrategic Grow前年同期比63%増で確認できる。営業利益は推定配賦額である。
非戦略事業:旧ironSource広告網・Supersonic等
2026年に終了した旧ironSource Ads Networkと、2026年8月に売却を完了したSupersonic出版事業など。2025年の売上は残るが、2035年の事業からは除外する。広告配信と出版の混合事業であり、2025年の表示回数は売上換算の推計である。
| 数量旧広告表示回数と出版売上を合わせた広告換算年間表示回数(億回) | 価格換算広告1000表示あたりの実効売上(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,900 | 2.00 | 4 | −1 |
| 10 年後 中立 | 0.0 | 2.00 | 0 | 0 |
取り方:2025年全社売上18.496億ドルからCreate約6.2億ドルと継続Strategic Grow約8.5億ドルを差し引き、約3.8億ドルを撤退・非戦略事業へ配賦した。2026年1〜3月期の非戦略売上0.758億ドル、4〜6月期の0.601億ドルと、2025年の比較対象を使って推計した。出版事業のゲーム内購入収入も含むため、数量1900億回は実際の広告表示回数でなく、実効単価2ドルを使って共通単位へ換算したもの。独立した実際の件数・単価は未開示であり、推計誤差が大きい。2026年の事業撤退を2035年の数量ゼロとして直接反映する。営業損失は推定配賦である。
リスクと懸念
AIエージェント代替による開発者席の減少
Unity Engineがゲームの実行基盤として残っても、人が開発エディターを操作する仕事はAIエージェントに代替されうる。少ない開発者で同じ本数のゲームを作れるようになれば、席課金の売上は減る。GoogleとのUnity Spark提携は新たな利用者を生む可能性があるが、まだ十分な売上開示がなく、利益がUnityへ帰属する保証もない。中立では有料席を10年で15%減らし、実効価格の伸びも物価以下とした。
広告市場でのアップラビンとグーグルの優位
Unity Vectorの成長は目覚ましいが、広告主が重視するのは広告の成果であり、開発エンジンのブランドではない。Sensor Towerによれば、2025年の対象市場ではアップラビンとAdMobがゲーム内広告収入の約65%を占める。競合の予測技術が改善すれば、Unityの広告手数料は下がりうる。ゲーム会社は複数のネットワークを比較できるため、Unity製ゲームでも広告収益がUnityへ残るとは限らない。
株式報酬による継続的な希薄化
2025年の株式報酬は約3.85億ドルで、売上の2割を超える。2026年上半期も約1.57億ドルが費用計上された。フリーキャッシュフローはこれらの非現金費用によってGAAP純利益より良く見えやすい。株式を報酬として発行し続ければ、会社全体の価値が増えても既存株主の取り分は薄まる。中立の10年間の正味還元はマイナス18億ドルとし、株式報酬を経済的な費用として評価した。
過去の買収と残存するのれん
2022年のironSource統合は、開発と収益化を結びつける大型投資だった。しかし2026年には旧広告網を終了し、出版事業を売却した。追加減損が起きれば帳簿自己資本は減り、過去の買収に投じた資本が十分な利益を生まなかったことが明確になる。2025年の自己資本には多額ののれんと無形資産が含まれ、競争に敗れたときの清算価値は帳簿額を大幅に下回りうる。
広告景気とプラットフォーム規制
広告主が予算を削る景気後退では、広告表示回数が横ばいでも入札単価が落ちる。さらにアップルやグーグルによる広告識別子、個人情報、アプリストアの政策変更は、Unityの配信精度と広告主の投資効率へ影響する。欧州のデータ保護規制や未成年者向け広告の制約も無視できない。AIの精度が改善していても、取得できる利用者データが減れば利益率は下がる。
転換社債の償還と資本配分
2025年末には約23.2億ドルの有利子負債があり、主に2026年、2027年、2030年に償還する転換社債で構成される。2026年6月末の現金は約23.5億ドルで当面の返済は可能と会社は説明しているが、旧社債の低い金利を将来も維持できるとは限らない。借り換え金利が約5.75%となれば利払いが増え、成長投資や買い戻しに使える資金が減る。株式での転換・借り換えが起きる場合にも、既存株主の取り分を注意深く確認する必要がある。
今後の分かれ目
- Strategic Growの増収率が2027年以降も年20%以上を維持し、広告表示回数と1000表示あたり手取りがともに増えたら
- 広告のシェア拡大が実際に続いている証拠となる。やや楽観と楽観の確率を引き上げ、2035年の広告表示回数と営業利益率を見直す。ただし現在の時価総額を正当化するには、売上だけでなくGAAP純利益の継続的な拡大も必要である。
- Unity ProとEnterpriseの有料座席数が増え、更新時の実効単価も物価以上に上がるようになったら
- AIエージェント代替が有料契約数を減らすという中立の前提を緩める。Createの数量と価格の双方を引き上げ、長期の事業成長率も再評価する。実際の座席数の開示がない場合は、契約収入と更新率を代わりの確認材料とする。
- Unity Adsの成長率が一桁に落ち、広告表示回数は増えても売上が伸びなくなったら
- 広告の1000表示あたり手取りが下がっている可能性が高い。アップラビンやAdMobとの競争による構造的な劣位として、やや悲観の確率を引き上げる。営業利益率の低下も同時に評価する。
- GAAP営業利益が黒字で定着し、株式報酬の売上比が10%未満に下がったら
- 報告上のキャッシュフローと株主の利益の差が縮まる。純利益の質と資本効率を見直し、長期の正味還元額を改善できる。株式報酬が減るだけでなく、実際の株数の増加も止まったかを確認する。
- 2030年までの転換社債を追加の大規模増資なしで返済し、純現金が安定して積み上がったら
- 財務面のリスクが下がり、余剰現金を事業価値と分けて評価する余地が生じる。必要な運転資金、広告媒体への支払、リースの約束を差し引いても余る現金が確認できれば、excess_cashの評価を追加する。
- Unity SparkなどのAI制作製品に、独立した有料利用売上と高い継続率が開示されたら
- 制作画面のAI代替を受けるだけでなく、AIを新しい課金製品として売れている証拠になる。Createの収益構造を席課金と利用量課金に分け直し、現在の保守的な数量・価格の前提を更新する。提携の発表だけではこの変更を行わない。
見ておくもの
- Strategic Grow売上の増収率とUnity Vectorの四半期成長
- 広告表示回数と1000表示あたりの実効収益、広告主の投資効率
- Unity Pro・Enterpriseの契約更新、実効単価と有料座席数
- GAAP営業利益率、純利益、株式報酬の売上比率
- 株式数の増減、自社株買いと転換社債の償還
- Unity Sparkの有料収入、Godot・アンリアルへの移行と新規ゲーム採用比率
- アップラビン・AdMobとの広告収益シェアと広告主の配信先変更
- 2026年11月5日発表予定の第3四半期決算とStrategic Growの会社見通し
倍率と資本コストの決め方
現在の株価や市場のPERから10年後の倍率を決めていない。2025年のCreate、継続Strategic Grow、撤退事業を分け、実質数量と名目単価から2035年の売上を組み立てた。Createの中立数量0.85倍、価格1.10倍はAIエージェント代替の指定範囲にある。広告の数量増加は市場成長とUnity Vectorによるシェア拡大で説明し、価格は広告表示1000回あたりの手取りで測った。
倍率はk9.5%、事業のROE、堀の残存割合1/2、長期g1.75%から利益ベースの正当化PERを計算した。中立はROEがkを下回るため1÷kの上限を守っている。2025年のGAAP赤字と2026年の減損を無視せず、株式報酬は純利益の費用と正味還元の双方の定義に従って扱った。過去の買収に伴う償却を倍率で二重に上乗せしていない。
基準時点の時価総額約178.6億ドルに対し、10年後の時価総額と期間の正味還元を資本コストで割り引いた確率加重の現在価値は約18.2億ドルで、差は約マイナス89.8%となる。厳しい差だが、市場価格に合わせるための利益率や倍率の調整は行わない。米国会計基準ではリース負債は既に認識されており、固定的な家賃の負担を悲観の費用に含めた。
資本コスト 9.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。米国株の基本8.0%に、cycle+0.5%、pricing+0.5%、debt+0.5%、life0%を合計し、資本コストを9.5%とする。βと現在の市場評価は使わない。2026年の営業改善と手元流動性から継続企業として直ちに危機的な状態とは判断せず、存続危機による追加上乗せはしない。利益の不確実性は5つの筋書きに反映する。