結論
テレダイン・テクノロジーズは、赤外線カメラのテレダイン FLIR、計測機器、防衛・宇宙の電子部品、ミサイル推進や原子力のシステムを、買収を重ねて束ねてきた会社である。2025 年 12 月期の売上は 61.2 億ドル、GAAP の営業利益率は 18.8%、GAAP の純利益は 8.95 億ドルで、2026 年は売上 65 億ドル超・純利益 約 10 億ドルを見込む。受注が売上を 11 四半期続けて上回り(受注残 約 50 億ドル)、防衛が売上の 3〜4 割、残りが産業・医療・計測の民需という二本立てが強みである。
積み上げは 4 つのセグメントごとに「市場(実質)× シェア × 価格」で行った。中立の 10 年後は売上 124 億ドル(年 +7.3%、うち買収分は 2025 年価格で約 8 億ドル)、GAAP の純利益 20.5 億ドル。価格は物価並み(10 年 1.41 倍)、市場は実質で年 2.5〜3%(防衛・宇宙・無人機が先導)、GAAP の営業利益率は FLIR の買収無形資産の償却が減って 20% 強へ上がる。資本コストは基本 8.0% に quality −0.5%(防衛で景気に崩れにくい・ニッチで価格を決められる)を足した 7.5%。利益ベースの PER は、帳簿の ROE 10.3%・堀は強いとして上限 16.3 倍の 8.5 割、13.9 倍に置いた。
今の GAAP の PER は約 33 倍。利益ベースで置いた倍率は 14 倍ほどなので、事業が中立どおりに進んでも 10 年後の時価総額は 284 億ドル(今とほぼ同じ。還元を足しても年率 1% 台)にとどまり、資本コスト 7.5% に届かない。確率で加重した本質価値は今の時価総額を総合で約 41% 下回る。堀の厚い優良企業だが、バリュー投資の観点では今の値段に安全域は無い、というのが結論である。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず 10 年後もこの事業が存在し今より強いかを問う。赤外線の技術・軍用の認証・ニッチな特定用途という堀は 10 年後も残る確度が高く、防衛・宇宙・無人機という構造的な需要の追い風もある。ここは合格である。
次に、株主のものになる利益、つまり稼いだ利益から成長に要る再投資を引いた利益を見る。テレダインは GAAP の純利益 9 億ドルに対し、買収と運転資本・設備に毎年それ以上を使い、純利益のうち株主に回る分は限られる。しかも買収の過去の値段が高く、GAAP の事業 ROE は約 7% と資本コスト 7.5% を下回る。買収で伸ばす型は、買収の値段を守る限りは価値を生むが、割高な入札が続くと価値を壊す。経営が入札から降りる姿勢を持つ点は評価できる。
最後に安全域。利益ベースで置いた 10 年後の PER は、中立で 14 倍ほど、楽観でも 16 倍ほどにとどまる。今の約 33 倍はそれを大きく上回り、事業が思い通りに進んでも高い倍率が縮む分で、年率の期待は資本コストに届かない。確率で加重した本質価値は今を総合で約 41% 下回る。優れた会社だが、安全域のある値段ではない。
何で稼ぐ会社か
2025 年の売上 61.2 億ドルの内訳は、デジタル画像 31.6 億ドル(約 52%)、計測機器 14.6 億ドル、航空宇宙・防衛電子 10.6 億ドル、工学システム 4.4 億ドル。GAAP のセグメント利益率は順に 16.7%・27.5%・24.8%・10.7% で、本社費が営業利益を 0.9 億ドル減らす。
デジタル画像の中心は 2021 年に約 80 億ドルで買収した FLIR で、非冷却型の赤外線カメラ・センサーでは世界首位級。軍の暗視・照準、無人機(ドローン)・無人艇、国境警備、対無人機システムが伸び、宇宙向けの赤外線検出器は 2026 年に 4 億ドル超へ向かう。無人システム向けは 2025 年に約 5 億ドル、2026 年に約 5.75 億ドルの見通し。ほかに産業用ビジョン(カメラ・センサー)と医療・科学用の検出器があり、こちらは景気と半導体・自動車の設備投資に左右される短サイクルの事業である。
計測機器は海洋(ソナー・水中の接続部品)、環境(ガス・炎の検知、分析)、電子計測(レクロイのオシロスコープとプロトコルアナライザー)。航空宇宙・防衛電子は、2025 年に買収したキオプティック(光学)を取り込んで前年比 36% 増となり、防衛・宇宙向けの高信頼の電子部品とマイクロ波を持つ。工学システムはミサイル・ロケットの推進と原子力・エネルギーで、固定価格契約が多いため利益率は低い。
会社全体では防衛が売上の 3〜4 割、民需が 6〜7 割。経営は「買収した事業を高い利益率の自社に磨く」ことを 25 年続け、今の利益の約 9 割は過去 25 年の買収に由来すると説明している。
優良さと弱いところ
堀は 3 つある。第 1 に、赤外線の検出器・光学・信号処理・用途ソフトを一貫して持つ技術の厚さ。軍用の認証と実績が必要な市場で、新規参入が難しい。第 2 に、ニッチな分野(宇宙の赤外線、水中の接続部品、高帯域オシロスコープ)で価格を決められる位置にいること。第 3 に、買収した事業を磨く運営の実績。割高な入札には降りる姿勢(競合が 30〜33% 高く入れたら降りる)を明言しており、買収で価値を壊しにくい。
資本効率は GAAP で測ると低い。自己資本利益率は 8.5% で、事業の ROE(純現金を除く)は約 7% にとどまる。FLIR などの買収で、のれんと無形資産が自己資本 105 億ドルの大半を占めるためで、この点は SCHEMA の決まりどおり除かずに数える。GAAP の営業利益率 18.8% は、償却を戻した調整後の 22.6% より 3.8 ポイント低く、償却が減る今後 10 年で GAAP の利益率が上がる余地がある。
競合と比べると、利益率は競合の水準より下にある。アメテックは 2026 年 4〜6 月期に営業利益率 26.6%(調整後。GAAP でも約 26%)、キーサイトは非 GAAP の営業利益率 33%(AI 設備投資の追い風)、L3 ハリスはセグメントの利益率 16.0%(全体では 11.1%)。テレダインはアメテックより低く L3 ハリスより高い中間にいて、成長は買収頼みの部分が大きい。弱みはゲルマニウムと希土類磁石に売上 10 億ドル超が依存する原料のリスクである。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
この会社が競う市場は 4 つに分かれ、動きも違う。デジタル画像のうち赤外線は、世界の市場が 2025 年に約 86 億ドル、2030 年に約 117 億ドル(年 6.2%・名目)と見られる。需要の先頭は防衛と無人機で、米国の 2027 会計年度の国防予算の要求は 1.5 兆ドル規模(前年比 +42%)、無人機と対無人機に 700 億ドル超が向かう。対無人機では、AeroVironment の対無人機システム向けに FLIR が大型の受注を得たと報じられている(金額は未確認)。一方、商用の赤外線ではハイクビジョン・アイレイなど中国勢が低価格で追い、価格が物価に追いつかない恐れがある。
計測機器は、電子計測が半導体と AI データセンターの設計投資に連動する。キーサイトが AI で売上 +37% と伸びる一方、テレダインのプロトコルアナライザーは 2026 年前半に半導体メーカーの遅れで鈍かった。海洋は防衛向けの水中機器が約 20% 伸び、環境は買収した DD-Scientific が効く。航空宇宙・防衛電子は、国防予算の追い風と宇宙向けの光学・電子部品の需要で年 7% 台の伸びを見込む。工学システムは原子力(新設・延命)とミサイル防衛が牽引する。
業界ノートの④部品・計測は、売上年 +7%・利益率 22〜28% を中立としている。テレダインの 2026 年の見通し(売上 +7%、デジタル画像 +7.5%・計測 +5.7%・航空宇宙電子 +7.2%・工学 +5.6%)はこの水準に近い。循環のなかでは、民需の短サイクル事業は底から回復中、防衛は上昇の途中にある。
資本政策と M&A
テレダインは配当を出さず、フリーキャッシュフロー(2025 年 10.7 億ドル)を買収と自社株買いに回す。2025 年は買収に 8.2 億ドル(キオプティックなど)、自社株買いに 約 4 億ドルを使い、2026 年は DD-Scientific を 1 月に買収し、借入を返して純負債を 17 億ドルに減らし、年末には約 10 億ドルを見込む。純負債の対 EBITDA は 1.1 倍と 6 年で最低で、買収余力は約 40 億ドルと説明されている。
借入の平均金利は約 2.5% と低く、借り換えの時期が来ると金利が上がる。この分は純利益から引いた(借り換えで約 5.75%)。買収は小型を毎年、中型(10 億ドル前後)を数年に 1 件という型で、未成立の案件は筋書きに入れていない。筋書きでは買収に 4 倍の売上の値段を払う前提で、買収の支出は還元から引いた。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
テレダインは防衛・宇宙・無人機という予算の優先度が最も高い分野に、赤外線の技術という代えのきかない部品を握っている。FY2027 の国防予算の要求は 1.5 兆ドル規模、無人機と対無人機だけで 700 億ドル超で、足元でも防衛の受注は売上を 11 四半期連続で上回り、受注残は約 50 億ドル。FLIR は 2026 年に 9% 超伸びる。
利益率は上がる余地が大きい。GAAP の営業利益率 18.8% と調整後の 22.6% の差は、主に FLIR などの無形資産の償却で、償却は年を追って減り、GAAP の利益が増えていく。デジタル画像のセグメント利益率は 2026 年 4〜6 月期に非 GAAP で 25% まで上がった。民需の計測も、AI データセンターのオシロスコープの需要で回復する。
買収の実績も強い。25 年の買収で今の利益の約 9 割が生まれ、割高な入札には降りる規律もある。買収余力は約 40 億ドルあり、防衛・宇宙の優良な企業を買い続けられる。純利益は 10 年で 2 倍強、楽観ならそれ以上に伸びる。
慎重な見方
事業は強いが、値段と資本効率が問題である。GAAP で測ると、買収ののれんと無形資産が自己資本の大半を占め、事業の ROE は約 7% で資本コストを下回る。利益ベースで倍率を置くと、10 年後の中立でも PER 14 倍ほどで、今の約 33 倍は 10 年の高成長を前提にしている。
成長の質にも弱みがある。有機成長は年 3〜5% で、一部は買収で買っており、買収には毎年多額の現金と高い値段がいる。入札する競合が増え、値段が上がれば成長が資本を食う。商用の赤外線では中国のハイクビジョン・アイレイが低価格で追い、無人機の部品が汎用品になれば価格は物価に追いつかない。防衛予算は議会が決め、1.5 兆ドルの要求が全額通る保証はない。
ゲルマニウムと希土類磁石に売上 10 億ドル超が依存し、供給が絞られれば費用が増える。民需の半分近くは景気で振れる半導体・産業向けで、計測のプロトコルアナライザーは 2026 年前半に伸び悩んだ。優良な事業でも、倍率の縮みだけで時価総額は伸びない。
どちらに重みを置いたか
事業の強さと防衛の追い風については強気の見方が正しく、中立の 10 年でも売上年 +7.3%・GAAP の利益率 20% 強まで置いた。しかし値段については慎重な見方が強い。利益ベースで置いた倍率(中立 14 倍ほど)に対し、今の PER は約 33 倍で、中立の時価総額は 10 年で今とほぼ同じにとどまり、年率では資本コストに届かない。確率は、防衛の追い風と買収の規律を反映して悲観を 10% にとどめ、中立 36%・やや楽観 24%・楽観 10% と楽観側に厚く置いた。それでも確率で加重した価値は今の時価総額を総合で約 41% 下回る。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 596.66 ドル283 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 105.10 ドル50 億ドル)。 今の値に割り戻すと 362.70 ドル172 億ドル、今との差 −41.5%、 期待の年率 +1.2%(資本コスト 7.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 964.14 ドル457 億ドル | 112.66 ドル53 億ドル | +73.5% | +5.7% | 107.68 ドル51 億ドル |
| やや楽観 | 24% | 770.25 ドル365 億ドル | 107.59 ドル51 億ドル | +41.5% | +3.5% | 210.68 ドル100 億ドル |
| 中立 | 36% | 599.58 ドル284 億ドル | 107.17 ドル51 億ドル | +13.9% | +1.3% | 254.43 ドル121 億ドル |
| やや悲観 | 20% | 396.20 ドル188 億ドル | 104.43 ドル50 億ドル | −19.3% | −2.1% | 100.13 ドル47 億ドル |
| 悲観 | 10% | 202.95 ドル96 億ドル | 85.44 ドル41 億ドル | −53.5% | −7.4% | 28.84 ドル14 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 596.66 ドル283 億ドル | 105.10 ドル50 億ドル | +13.1% | +1.2% | 701.76 ドル333 億ドル |
今の株価時価総額 620.47 ドル294 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 10% 楽観:防衛・無人機・宇宙の追い風が長く続き、買収も当たる 利益 28 億ドル · PER 16.1 倍 · 株価時価総額 964.14 ドル457 億ドル
防衛予算の大幅増(2027 会計年度の要求は 1.5 兆ドル規模で、無人機と対無人機だけで 700 億ドル超)と無人機・対無人機・宇宙センサーの需要が、10 年を通じて民需の弱さを補う。赤外線は軍用に加え国境警備・産業の用途が広がり、デジタル画像の市場は実質で年 4% 超、テレダイン FLIR は宇宙向け・誘導兵器向けの高付加価値品でシェアを取る。計測は AI データセンターの高速化で高帯域オシロスコープが伸びる。買収は小型から 10 億ドル級まで当たり、取り込んだ売上は 2025 年価格で約 18.0 億ドル、取り込み分の GAAP 利益率は 16%。価格は防衛・宇宙の希少な品の値上げで物価をやや上回る(10 年 1.43 倍)。
10 年後(2035 年 12 月期)の売上は 164 億ドル(年 10.4%)で、デジタル画像 83.3 億ドル(利益率 21.7%)、計測機器 36.8 億ドル(利益率 26.5%)、航空宇宙・防衛電子 32.8 億ドル(利益率 25.0%)、工学システム 10.9 億ドル(利益率 14.3%)。デジタル画像 は市場 405 億ドル × シェア 14.4%、計測機器 は市場 221 億ドル × シェア 11.6%、航空宇宙・防衛電子 は市場 352 億ドル × シェア 6.5%、工学システム は市場 102 億ドル × シェア 7.5%。営業利益 35.2 億ドル(GAAP の利益率 21.5%)、純利益 28.4 億ドル。株式報酬を引いた正味の還元は 10 年で 53.4 億ドル、買収に 87.5 億ドルを使う。 成熟後の倍率は、g 4.0% の正当化 PER の上限 17.9 倍の 9 割(16.1 倍)を事業の純利益に掛けて時価総額 457 億ドル。
- デジタル画像:数量 58.3(対象市場(赤外線・産業ビジョン・医療/宇宙センサー、実質億ドル)× シェア)× 価格 143(価格指数(2025 年 = 100。物価 3.5% で 10 年 141))→ 売上 83 億ドル・営業利益 18 億ドル。市場 405 × シェア 14.4%
- 計測機器:数量 25.7(対象市場(海洋・環境・電子計測、実質億ドル)× シェア)× 価格 143(価格指数(2025 年 = 100。物価 3.5% で 10 年 141))→ 売上 37 億ドル・営業利益 10 億ドル。市場 221 × シェア 11.6%
- 航空宇宙・防衛電子:数量 23.0(対象市場(防衛・宇宙・航空の電子部品と光学、実質億ドル)× シェア)× 価格 143(価格指数(2025 年 = 100。物価 3.5% で 10 年 141))→ 売上 33 億ドル・営業利益 8 億ドル。市場 352 × シェア 6.5%
- 工学システム:数量 7.6(対象市場(推進・原子力・防衛システム、実質億ドル)× シェア)× 価格 143(価格指数(2025 年 = 100。物価 3.5% で 10 年 141))→ 売上 11 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場 102 × シェア 7.5%
倍率:伸びに買収が要るので、のれん・買収の無形資産は除かない)。防衛の追い風と買収が最も効く筋書きだが、のれんが厚く民需は景気に振れる。上限から少し下げて置いた。 正当化 PER の上限は 17.9 倍(g 4.0%、RONIC 10.7%。RONIC = k 7.5% + 2/3 ×(事業の ROE 12.3% − k)。堀は強い)。その 9 割の 16.1 倍に置いた。時価総額 = 事業の純利益 28.4 × 16.1 = 457 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:10 年の楽観は、構造的に需要が強い分野(防衛・宇宙・無人機)に会社が寄っていく筋書き。確率は 1 割。防衛予算の増額は議会の承認を要し、中国の低価格品との価格競争も続くため、これ以上は置かない。
やや楽観 24% やや楽観:防衛が民需の弱さを補い、利益率が上がる 利益 24 億ドル · PER 15.4 倍 · 株価時価総額 770.25 ドル365 億ドル
防衛・宇宙は年 5% 前後の実質成長、民需(産業ビジョン・医療・計測)は景気並みで、会社全体の市場は実質で年 3% 台。価格は物価並みに通り、FLIR の買収無形資産の償却が減ることと固定費の吸収で GAAP の営業利益率は 21% 弱まで上がる。買収は年 数千万〜数億ドル級を続け、取り込んだ売上は 2025 年価格で約 12.5 億ドル。
10 年後(2035 年 12 月期)の売上は 140 億ドル(年 8.6%)で、デジタル画像 71.4 億ドル(利益率 20.9%)、計測機器 32.3 億ドル(利益率 26.4%)、航空宇宙・防衛電子 27.2 億ドル(利益率 24.4%)、工学システム 9.0 億ドル(利益率 13.2%)。デジタル画像 は市場 378 億ドル × シェア 13.4%、計測機器 は市場 211 億ドル × シェア 10.9%、航空宇宙・防衛電子 は市場 319 億ドル × シェア 6.1%、工学システム は市場 94 億ドル × シェア 6.8%。営業利益 29.3 億ドル(GAAP の利益率 20.9%)、純利益 23.8 億ドル。株式報酬を引いた正味の還元は 10 年で 51.0 億ドル、買収に 60.2 億ドルを使う。 成熟後の倍率は、g 4.0% の正当化 PER の上限 17.1 倍の 9 割(15.4 倍)を事業の純利益に掛けて時価総額 365 億ドル。
- デジタル画像:数量 50.6(対象市場(赤外線・産業ビジョン・医療/宇宙センサー、実質億ドル)× シェア)× 価格 141(価格指数(2025 年 = 100。物価 3.5% で 10 年 141))→ 売上 71 億ドル・営業利益 15 億ドル。市場 378 × シェア 13.4%
- 計測機器:数量 22.9(対象市場(海洋・環境・電子計測、実質億ドル)× シェア)× 価格 141(価格指数(2025 年 = 100。物価 3.5% で 10 年 141))→ 売上 32 億ドル・営業利益 9 億ドル。市場 211 × シェア 10.9%
- 航空宇宙・防衛電子:数量 19.3(対象市場(防衛・宇宙・航空の電子部品と光学、実質億ドル)× シェア)× 価格 141(価格指数(2025 年 = 100。物価 3.5% で 10 年 141))→ 売上 27 億ドル・営業利益 7 億ドル。市場 319 × シェア 6.1%
- 工学システム:数量 6.4(対象市場(推進・原子力・防衛システム、実質億ドル)× シェア)× 価格 141(価格指数(2025 年 = 100。物価 3.5% で 10 年 141))→ 売上 9 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 94 × シェア 6.8%
倍率:伸びに買収が要るので、のれん・買収の無形資産は除かない)。上限から少し下げて置いた。 正当化 PER の上限は 17.1 倍(g 4.0%、RONIC 9.9%。RONIC = k 7.5% + 2/3 ×(事業の ROE 11.1% − k)。堀は強い)。その 9 割の 15.4 倍に置いた。時価総額 = 事業の純利益 23.8 × 15.4 = 365 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:防衛の追い風が続く確度は高く、買収の実績(過去 25 年の買収で今の利益の約 9 割が生まれたと経営陣は説明)もあるため、中立より楽観側に厚く置く。
中立 36% 中立:市場並みに伸び、買収を足し、利益率は少しずつ上がる 利益 20 億ドル · PER 13.9 倍 · 株価時価総額 599.58 ドル284 億ドル
売上は実質の市場成長(デジタル画像 年 2.9%・計測 2.5%・航空宇宙電子 3.0%・工学システム 2.5%)と物価並みの価格(10 年 1.41 倍)で伸びる。デジタル画像は商用の赤外線で中国勢の低価格に押され、有機分のシェアは相対で 1% 下がるが、防衛・宇宙の伸びがそれを補う。買収は取り込み売上で 2025 年価格の約 8.0 億ドル(小〜中型を毎年 1 件ほど。取り込み分の GAAP 利益率は 14%)。GAAP の営業利益率は 18.8% から 20% 強へ緩やかに上がる。
10 年後(2035 年 12 月期)の売上は 124 億ドル(年 7.4%)で、デジタル画像 63.0 億ドル(利益率 19.6%)、計測機器 29.8 億ドル(利益率 26.4%)、航空宇宙・防衛電子 23.7 億ドル(利益率 23.8%)、工学システム 7.9 億ドル(利益率 12.0%)。デジタル画像 は市場 359 億ドル × シェア 12.4%、計測機器 は市場 205 億ドル × シェア 10.3%、航空宇宙・防衛電子 は市場 297 億ドル × シェア 5.7%、工学システム は市場 90 億ドル × シェア 6.2%。営業利益 25.0 億ドル(GAAP の利益率 20.1%)、純利益 20.5 億ドル。株式報酬を引いた正味の還元は 10 年で 50.8 億ドル、買収に 38.6 億ドルを使う。 成熟後の倍率は、g 4.0% の正当化 PER の上限 16.3 倍の 8.5 割(13.9 倍)を事業の純利益に掛けて時価総額 284 億ドル。
- デジタル画像:数量 44.7(対象市場(赤外線・産業ビジョン・医療/宇宙センサー、実質億ドル)× シェア)× 価格 141(価格指数(2025 年 = 100。物価 3.5% で 10 年 141))→ 売上 63 億ドル・営業利益 12 億ドル。市場 359 × シェア 12.4%
- 計測機器:数量 21.2(対象市場(海洋・環境・電子計測、実質億ドル)× シェア)× 価格 141(価格指数(2025 年 = 100。物価 3.5% で 10 年 141))→ 売上 30 億ドル・営業利益 8 億ドル。市場 205 × シェア 10.3%
- 航空宇宙・防衛電子:数量 16.8(対象市場(防衛・宇宙・航空の電子部品と光学、実質億ドル)× シェア)× 価格 141(価格指数(2025 年 = 100。物価 3.5% で 10 年 141))→ 売上 24 億ドル・営業利益 6 億ドル。市場 297 × シェア 5.7%
- 工学システム:数量 5.6(対象市場(推進・原子力・防衛システム、実質億ドル)× シェア)× 価格 141(価格指数(2025 年 = 100。物価 3.5% で 10 年 141))→ 売上 8 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 90 × シェア 6.2%
倍率:伸びに買収が要るので、のれん・買収の無形資産は除かない)。上限から一段下げて置いた。 正当化 PER の上限は 16.3 倍(g 4.0%、RONIC 9.3%。RONIC = k 7.5% + 2/3 ×(事業の ROE 10.3% − k)。堀は強い)。その 8.5 割の 13.9 倍に置いた。時価総額 = 事業の純利益 20.5 × 13.9 = 284 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:業界ノートの④部品・計測の中立(数量 年 +4%・単価 +3%・売上年 +7%)に対し、テレダインは短サイクルの民需が重く(ここ数年の有機成長は年 3〜5%)、数量をやや低めの年 +2.7% に置いた。買収を足した売上年 +7.3% は業界ノートの +7% と同水準になる。最大の確率を置く。
やや悲観 20% やや悲観:民需が弱く、商用赤外線で価格が下がり、買収は小さい 利益 16 億ドル · PER 11.9 倍 · 株価時価総額 396.20 ドル188 億ドル
半導体・産業の景気が数年低調で民需の計測・画像が伸びず、中国勢の低価格品で商用の赤外線の価格が物価に追いつかない(価格 10 年 1.38 倍)。防衛は伸びても調達の遅れ・予算の据え置きで加速しない。買収は割高な入札に降りて小型にとどまり、取り込み売上は約 5.0 億ドル。GAAP の営業利益率は 18% 台にとどまる。
10 年後(2035 年 12 月期)の売上は 105 億ドル(年 5.6%)で、デジタル画像 53.4 億ドル(利益率 17.2%)、計測機器 25.1 億ドル(利益率 24.8%)、航空宇宙・防衛電子 20.0 億ドル(利益率 22.8%)、工学システム 7.0 億ドル(利益率 10.0%)。デジタル画像 は市場 329 億ドル × シェア 11.7%、計測機器 は市場 189 億ドル × シェア 9.6%、航空宇宙・防衛電子 は市場 275 億ドル × シェア 5.3%、工学システム は市場 84 億ドル × シェア 6.0%。営業利益 19.2 億ドル(GAAP の利益率 18.2%)、純利益 15.8 億ドル。株式報酬を引いた正味の還元は 10 年で 49.5 億ドル、買収に 23.8 億ドルを使う。 成熟後の倍率は、g 4.0% の正当化 PER の上限 14.9 倍の 8 割(11.9 倍)を事業の純利益に掛けて時価総額 188 億ドル。
- デジタル画像:数量 38.7(対象市場(赤外線・産業ビジョン・医療/宇宙センサー、実質億ドル)× シェア)× 価格 138(価格指数(2025 年 = 100。物価 3.5% で 10 年 141))→ 売上 53 億ドル・営業利益 9 億ドル。市場 329 × シェア 11.7%
- 計測機器:数量 18.2(対象市場(海洋・環境・電子計測、実質億ドル)× シェア)× 価格 138(価格指数(2025 年 = 100。物価 3.5% で 10 年 141))→ 売上 25 億ドル・営業利益 6 億ドル。市場 189 × シェア 9.6%
- 航空宇宙・防衛電子:数量 14.5(対象市場(防衛・宇宙・航空の電子部品と光学、実質億ドル)× シェア)× 価格 138(価格指数(2025 年 = 100。物価 3.5% で 10 年 141))→ 売上 20 億ドル・営業利益 5 億ドル。市場 275 × シェア 5.3%
- 工学システム:数量 5.1(対象市場(推進・原子力・防衛システム、実質億ドル)× シェア)× 価格 138(価格指数(2025 年 = 100。物価 3.5% で 10 年 141))→ 売上 7 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 84 × シェア 6.0%
倍率:伸びに買収が要るので、のれん・買収の無形資産は除かない)。民需の弱さと中国勢の値下げで利益の質が落ちる筋書き。上限から下げて低めに置いた。 正当化 PER の上限は 14.9 倍(g 4.0%、RONIC 8.4%。RONIC = k 7.5% + 2/3 ×(事業の ROE 8.8% − k)。堀は強い)。その 8 割の 11.9 倍に置いた。時価総額 = 事業の純利益 15.8 × 11.9 = 188 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:テレダインは「割高な入札には降りる」と述べており買収の失敗は起きにくいが、民需の弱さと中国勢の値下げは現実的なので、悲観側に 2 割を置く。
悲観 10% 悲観:構造的に負ける。赤外線が汎用品になり、防衛の追い風が止まる 利益 9 億ドル · PER 10.7 倍 · 株価時価総額 202.95 ドル96 億ドル
2028 年前後に防衛予算が頭打ちになり、無人機・対無人機の調達が安価な民生部品を使う新興勢に流れる。赤外線は低価格の汎用品になり価格は物価に追いつかない(10 年で 1.30 倍)、シェアは 11% に低下する。計測は電子計測の大手と半導体試験の需要減で伸びず、ゲルマニウムなど原料の供給制約が費用を押し上げる。割高な買収(支出 約 23.0 億ドル、取り込み売上 5.0 億ドル)を行ったが利益に結びつかず、GAAP の営業利益率は 14% 弱まで下がる。もう優良とは言えない普通の部品メーカーになる。
10 年後(2035 年 12 月期)の売上は 81 億ドル(年 2.8%)で、デジタル画像 41.7 億ドル(利益率 12.1%)、計測機器 19.6 億ドル(利益率 21.1%)、航空宇宙・防衛電子 14.6 億ドル(利益率 18.9%)、工学システム 5.1 億ドル(利益率 7.0%)。デジタル画像 は市場 292 億ドル × シェア 11.0%、計測機器 は市場 168 億ドル × シェア 9.0%、航空宇宙・防衛電子 は市場 231 億ドル × シェア 4.9%、工学システム は市場 70 億ドル × シェア 5.6%。営業利益 11.1 億ドル(GAAP の利益率 13.7%)、純利益 9.0 億ドル。株式報酬を引いた正味の還元は 10 年で 40.5 億ドル、買収に 23.0 億ドルを使う。 成熟後の倍率は、ROE が k 以下なので上限は 1÷k の 13.3 倍で、その 8 割(10.7 倍)を事業の純利益に掛けて時価総額 96 億ドル。
- デジタル画像:数量 32.1(対象市場(赤外線・産業ビジョン・医療/宇宙センサー、実質億ドル)× シェア)× 価格 130(価格指数(2025 年 = 100。物価 3.5% で 10 年 141))→ 売上 42 億ドル・営業利益 5 億ドル。市場 292 × シェア 11.0%
- 計測機器:数量 15.1(対象市場(海洋・環境・電子計測、実質億ドル)× シェア)× 価格 130(価格指数(2025 年 = 100。物価 3.5% で 10 年 141))→ 売上 20 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場 168 × シェア 9.0%
- 航空宇宙・防衛電子:数量 11.2(対象市場(防衛・宇宙・航空の電子部品と光学、実質億ドル)× シェア)× 価格 130(価格指数(2025 年 = 100。物価 3.5% で 10 年 141))→ 売上 15 億ドル・営業利益 3 億ドル。市場 231 × シェア 4.9%
- 工学システム:数量 3.9(対象市場(推進・原子力・防衛システム、実質億ドル)× シェア)× 価格 130(価格指数(2025 年 = 100。物価 3.5% で 10 年 141))→ 売上 5 億ドル・営業利益 0 億ドル。市場 70 × シェア 5.6%
倍率:防衛の追い風が消え、民需も弱い筋書き。上限から下げて低めに置いた。 事業の ROE 5.8% が k 7.5% 以下なので、正当化 PER の上限は 1÷k = 13.3 倍。その 8 割の 10.7 倍に置いた。時価総額 = 事業の純利益 9.0 × 10.7 = 96 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:10 年の悲観は景気ではなく構造負け。テレダインは 2009 年にも利益率を保った会社なので、確率は 1 割にとどめる(5% 未満ではない)。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
デジタル画像
赤外線カメラ・センサー(テレダイン FLIR)、産業用ビジョン、医療・科学用の画像センサー、宇宙向け赤外線検出器。売上の約 52%。
| 数量対象市場(赤外線・産業ビジョン・医療/宇宙センサー、実質億ドル)× シェア | 価格価格指数(2025 年 = 100。物価 3.5% で 10 年 141) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 31.6 | 100 | 32 | 5 |
| 10 年後 中立 | 44.7 | 141 | 63 | 12 |
取り方:2025 年の売上 31.64 億ドル。対象市場は赤外線画像(市場調査会社の推定で 2025 年 86 億ドル、名目年 6.2% 成長)、産業用ビジョンのカメラ・センサー、医療・科学向け検出器、宇宙向け検出器の合計を約 270 億ドルと推定し、シェアは約 11.7%。赤外線の非冷却型ではテレダイン FLIR は世界の首位級で、中国のハイクビジョン(Hikvision)・アイレイ(IRay)が低価格帯で追う。営業利益は GAAP のセグメント利益 5.28 億ドル(16.7%。FLIR の買収無形資産の償却を含むので、償却を除いた利益率 22〜25% より低い)。価格指数は 2025 年を 100 とし、中立は物価並みと置く。
計測機器
海洋・環境の計測、電子計測(オシロスコープ・プロトコルアナライザー)、試験・検査装置。売上の約 24%。
| 数量対象市場(海洋・環境・電子計測、実質億ドル)× シェア | 価格価格指数(2025 年 = 100。物価 3.5% で 10 年 141) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 14.6 | 100 | 15 | 4 |
| 10 年後 中立 | 21.2 | 141 | 30 | 8 |
取り方:2025 年の売上 14.57 億ドル。海洋(ソナー・水中コネクター)、環境(ガス・炎の検知、分析)、電子計測(レクロイのオシロスコープ・プロトコルアナライザー)の合計市場を約 160 億ドルと推定し、シェアは約 9.1%。電子計測の首位キーサイト(Keysight)は桁が違う大手で、テレダインは高帯域オシロスコープなど特定分野で戦う。GAAP のセグメント利益 4.00 億ドル(27.5%)。価格は物価並み。
航空宇宙・防衛電子
防衛・宇宙・航空向けの電子部品(マイクロ波、高信頼の半導体、コネクター)、光学のキオプティック(Qioptiq)、データ記録・通信。売上の約 17%。
| 数量対象市場(防衛・宇宙・航空の電子部品と光学、実質億ドル)× シェア | 価格価格指数(2025 年 = 100。物価 3.5% で 10 年 141) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 10.6 | 100 | 11 | 3 |
| 10 年後 中立 | 16.8 | 141 | 24 | 6 |
取り方:2025 年の売上 10.59 億ドル(買収で前年から 36% 増)。防衛・宇宙・航空の電子部品と光学の市場を約 220 億ドルと推定し、シェアは約 4.8%。主要な競合は L3 ハリス(L3Harris)・レオナルド DRS・コブハムなど。GAAP のセグメント利益 2.62 億ドル(24.8%)。価格は物価並み。
工学システム
ミサイル・ロケットの推進、原子力・エネルギー、宇宙・防衛システムの受託開発。売上の約 7%。
| 数量対象市場(推進・原子力・防衛システム、実質億ドル)× シェア | 価格価格指数(2025 年 = 100。物価 3.5% で 10 年 141) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 4.4 | 100 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 5.6 | 141 | 8 | 1 |
取り方:2025 年の売上 4.36 億ドル。ミサイル推進、原子力・エネルギー、宇宙・防衛システムの受託開発の市場を約 70 億ドルと推定し、シェアは約 6.2%。固定価格契約が多く利益率が低く、GAAP のセグメント利益 0.47 億ドル(10.7%)。価格は物価並み。
リスクと懸念
防衛予算の変動と調達の遅れ
防衛は売上の 3〜4 割で、成長の先頭にある。2027 会計年度の要求は 1.5 兆ドルだが、議会の承認・継続費・政権交代で変わり、調達の遅れは工学システムのように四半期の売上を 10% 近く動かす。予算が頭打ちになれば、デジタル画像と航空宇宙電子の伸びが鈍る。
中国勢の低価格競争と赤外線の汎用品化
商用の赤外線では、ハイクビジョン・アイレイなどが低価格のカメラ・センサーで追う。軍用の認証が守る領域は安全だが、無人機・自動車・産業向けの部品が汎用化すると、価格は物価に追いつかず、利益率が下がる。悲観の筋書きでは 10 年で価格 1.30 倍と置いた。
ゲルマニウム・希土類磁石の供給
赤外線の光学に使うゲルマニウムと、モーター・アクチュエーターの希土類磁石に、売上 10 億ドル超が依存する。中国が輸出を絞れば、調達費が上がり、出荷が遅れる。ゲルマニウムの加工で出る屑の損失も大きく、社内で回収の体制を作っている。
買収の値段と統合
成長の約 2 割を買収が占め、過去に FLIR を約 80 億ドルで買った。競合が高値で入札する局面が続けば、買収の収益性(GAAP で事業 ROE 約 7%)が下がる。経営は入札から降りる姿勢を持つが、降り続ければ成長が鈍る。大型案件(10 億ドル以上)が失敗すれば、のれんの減損の恐れがある。
民需の景気循環(半導体・産業・医療)
売上の 6〜7 割は民需で、産業用ビジョン・半導体の試験・医療用検出器・環境計測が含まれる。半導体メーカーの設備投資の遅れで、プロトコルアナライザーは 2026 年前半に伸び悩んだ。リーマン級の不況では 2009 年に売上が 13% 減った。
関税・為替・一過性の押し上げ
2026 年 4〜6 月期のデジタル画像の利益率には約 0.1 億ドルの関税還付が含まれた。関税の方針が変われば、部品の調達費と販売価格が動き、還付のような一過性の押し上げは続かない。海外売上も大きく、為替の変動は筋書きでは動かしていないので、実際の円高・ドル高の影響は別に見る必要がある。
倍率の縮み(今の PER 約 33 倍)
事業が計画どおりでも、成長が名目の経済成長に近づくにつれて倍率が利益ベースの水準(中立 14 倍ほど)へ縮めば、時価総額は伸びない。GAAP で測る今の倍率は、償却が減る将来の利益の増加を一部先取りしているが、それを織り込んでも利益ベースの水準との差は大きい。防衛の追い風が続く間は高い倍率が保たれるが、逆風に変わると縮みが速い。
今後の分かれ目
- 国防予算が要求どおり大幅に増え、無人機・対無人機・宇宙の調達が前倒しされたら
- デジタル画像と航空宇宙電子の売上が中立を上回り、楽観・やや楽観の確率を上げてよい。ただし利益ベースの倍率(楽観で 16 倍ほど)は変わらず、割高の判断は動きにくい。
- 中国勢の低価格の赤外線が、軍用の周辺(無人機・国境警備)にまで広がったら
- デジタル画像の価格が物価に追いつかず、シェアも下がる。やや悲観・悲観の確率を上げ、デジタル画像の利益率の見通しを下げる。
- ゲルマニウムや希土類磁石の供給が数四半期止まったら
- 出荷が遅れ、費用が増える。航空宇宙電子とデジタル画像の利益率が 1〜2 ポイント下がる想定で、やや悲観に近づく。
- 10 億ドル級の大型買収を、競合より高い値段で行ったら
- 買収の支出が増え、GAAP の事業 ROE がさらに下がる。上限の倍率と本質価値が下がる。逆に入札から降り続ければ成長は買収なしの水準にとどまる。
- 半導体メーカーの設備投資が AI 向けに広がり、プロトコルアナライザーとオシロスコープが急回復したら
- 計測機器の売上がやや楽観に近づく。民需の底打ちが確認できる。
- 世界不況で民需が落ち込んだら
- 2009 年並みなら売上 13% 減、営業利益率は小幅の低下にとどまる。
見ておくもの
- 防衛の受注と受注残(受注が売上を上回る四半期の数、約 50 億ドルの受注残)
- デジタル画像のセグメント利益率と、FLIR の無形資産の償却の減り方
- 国防予算の議会での承認(無人機・対無人機・宇宙の費目)
- ゲルマニウム・希土類磁石の調達状況と中国の輸出規制
- 買収の規模と値段(入札から降りた回数、のれんの増減)
- 半導体メーカーの設備投資とプロトコルアナライザーの回復
倍率と資本コストの決め方
今の PER・PBR や過去の倍率には寄せていない。10 年後の倍率は、利益ベースの正当化 PER = (1−g/RONIC)/(k−g)(k 7.50%、g 4.0%、RONIC = k + 残る割合 ×(事業の ROE − k)、堀は強い)の上限に対し、楽観 9 割・やや楽観 9 割・中立 8.5 割・やや悲観 8 割・悲観 8 割 で置いた。中立は上限 16.3 倍の 8.5 割で、事業の純利益に 13.9 倍。伸びに買収が要るのでのれんは除かず、ROE が低く出る。総合は今の時価総額に対し -41.4% で、割高。結論は計算の結果で、先に決めたものではない。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 5% + β 0.93 × 5%。k = 基本 8.0% + quality −0.5% = 7.5%。β は使わない。防衛の安定した需要で景気に崩れにくいこと(−0.25)と、ニッチで価格を決められること(−0.25)を下げた。強い堀なので下げ幅は −0.5% で止めた。純負債は軽く debt は足さない。買収が要る成長や中国勢の低価格は筋書きと確率で表し、k には二重に足していない。extra は置かない。
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読んだ資料
- Teledyne 2025 年 12 月期 決算(SEC 8-K)
- Teledyne 2026 年 4〜6 月期 決算の電話会議の要約(Motley Fool 系)
- Teledyne Q2 2026 決算の主要点(MarketBeat・VectorShift の要約)
- Defense News:米国防総省の 2027 会計年度の予算要求
- MarketsandMarkets:赤外線画像の市場
- AMETEK 2026 年 4〜6 月期 決算(SEC 8-K)
- Keysight 2026 年 5〜7 月期 決算(SEC 8-K)
- L3Harris 2026 年 4〜6 月期 決算
- 時価総額(companiesmarketcap)