結論
グローバルファウンドリーズは、他社が設計した半導体を製造する受託メーカーである。10年後も必要な会社だが、現在の時価総額はその事業価値を大きく上回り、割高と判断する。強みは最先端の演算チップではない。スマートフォン向け高周波、車載用の電源・制御、データセンターの光通信など、用途に合わせて工程を作り込む技術だ。
2025年12月期は約230万枚の300ミリ換算ウェハを出荷し、売上68億ドル、営業利益8億ドルを稼いだ。しかしウェハ平均単価は前年比10.4%下落した。顧客が簡単には乗り換えられない工程を持つ一方、値上げを押し通せる会社とは言い切れない。2026年4〜6月期の売上は17.86億ドル、報告ベースの営業利益率は9.7%だった。会社が示す調整後の好調さだけで、将来の利益を測るのは危険だ。
新しい材料は明るい。2026年10月には台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSMC)との先端パッケージ向け複数年契約が公表された。さらに日本資金によるニューヨークの新工場で、技術供与と運営を担う構想が発表された。出資者が工場を保有し、同社は対価を受ける仕組みなら、資本効率は大きく改善する。ただし正式契約前で、政府が投じる最大210億ドルを同社の資産や売上に足せるわけではない。
中立では2035年の売上を132億ドル、純利益を22億ドルほどと考える。光通信と車載の成長は十分に認めたが、過去の赤字、工場の更新負担、大株主の支配を踏まえると、利益の全部が自由な現金にはならない。5つの筋書きの価値を資本コストで現在に戻すと約122億ドルとなり、基準時価総額約248億ドルに対して約51%低い。長期保有で問うべきなのは工場の大きさではなく、追加で投じる資本が持続的に利益を生むかである。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず10年先にも必要なものを作っているかを確かめたい。無線通信、車の安全装置、工場の制御、光ファイバーの接続は、たとえAIが普及しても消えない。同社が高周波と光通信に積み重ねた製造工程は、顧客にとって単なる安い工場以上の意味がある。こうした製品の寿命と再認定の手間は、長期株主にとって魅力だ。
しかし、会社が必要とされることと、株主が豊かになることは別である。工場は注文が少ない年も電力と人件費を使い、需要が戻れば設備更新に現金を使う。2025年のフリーキャッシュフロー約10億ドルをそのまま永久のオーナー利益とみなすのは難しい。2019〜20年の赤字と、2025年の単価下落を見れば、企業価値を支えるのは設備の帳簿額ではなく、設備を埋め続けられる顧客と単価である。
将来の増分投資が資本コストを超えて稼げるかが、最も大きな問いになる。自前で工場を建てれば、シリコンフォトニクスの成長にも巨額の資金が要る。一方、日米政府側の保有工場を技術料と運営料で支える構造が実現すれば、設備の重荷を負わずに利益を得られる。これは同社の経済性を変える可能性がある。ただし未締結の案件を確実な現金と同等には扱えない。
同社は理解できる事業だが、守りの厚さはまだ証明の途中である。長期供給契約、独自技術、複数の生産拠点に価値は認める。それでも短い好況の利益や補助金の受領額に高い値を払わず、毎年必要な設備投資と株式報酬を差し引いた後の利益を見る。現時点で安全域が薄いと考えるのは、将来性を否定するからではなく、その実現に追加でどれだけ資金が要るかを重く見るからだ。
何で稼ぐ会社か
同社はファウンドリーと呼ばれる半導体の受託製造会社で、顧客の回路設計を実際のウェハに焼き付け、検査や一部の後工程まで支える。ニューヨーク、バーモント、ドイツのドレスデン、シンガポールに工場を持つ。2025年末の設備能力は年間約280万枚、出荷は約230万枚、平均稼働率は86%だった。売上の約9割はウェハ販売で、残りは試作設計、マスク、ライセンス、製造工程の認定などから得る。
最大の顧客用途はスマートフォンで、売上27億ドル弱を占める。高周波信号を扱うRF-SOIなどを使い、アンテナから通信回路までの接続を支える。車載は14億ドルで、レーダー、電源、車内ネットワークに広がる。家庭・産業IoTは12億ドル、通信設備とデータセンターは7億ドル強である。後者には光信号を半導体に通すシリコンフォトニクスが含まれ、2025年は成長した。
製造受託の稼ぎは、出荷枚数とウェハ1枚の単価を掛けた額から、工場の人件費、電力、材料、償却費を払った残りである。顧客の設計が同社独自の工程に最適化されるほど長期契約を結びやすい。2025年末に残る長期供給契約の売上約定は約110億ドルだった。ただし、その全額が無条件に実現する保証はなく、発注不足の補償金が収益に入る年もある。
2025年にはMIPSとシノプシスのプロセッサー設計資産を取り込み、設計から製造までの提案範囲を広げた。2026年10月に示された日米事業では、新工場そのものは両政府側の特別目的会社が資金を出し保有する計画だ。同社が受け取る予定の技術料、建設・運営管理料、利益配分は、従来のウェハ売上とは別の収入になる。ここを工場の全面連結と混同すると、成長力を過大評価してしまう。
優良さと弱いところ
堀、つまり競争相手が容易に奪えない強みは、顧客の設計と製造工程が一体になっていることだ。2025年に出荷したウェハの約63%は、同社の技術でしか作れないか、他社へ移すには大幅な再設計が必要な製品だった。車載や産業機器では認定と信頼性試験に時間がかかり、価格だけで委託先を替えにくい。長期供給契約と地域の異なる複数工場も、顧客が供給網を分散する際の売り物になる。
ただし堀は事業全体で一様ではない。RF-SOI、FD-SOI、シリコンゲルマニウム、光集積回路は独自性が高い。一方、汎用の成熟工程では台湾のユナイテッド・マイクロエレクトロニクス(UMC)、中国のSMIC、華虹半導体、タワーセミコンダクターと価格が競り合う。2025年は出荷枚数が10.4%増えたのに、平均単価が同じ10.4%下がった。長期契約があっても、売り手が常に値段を決められるわけではない。
資本効率にはまだ確信を持てない。2022〜23年の営業利益率は15〜16%に届いたが、2019〜20年は巨額の営業赤字だった。2025年の自己資本利益率も7%台で、追加の資本を投じて十分な超過収益が得られた実績は長くない。米国・欧州の補助金や顧客前払いは支えになるが、補助を得た設備にも維持更新費は発生する。
AIエージェント代替の対象となる人月売りのITサービスや席課金ソフトではない。設計作業の一部が自動化されても、半導体の製造、品質認定、歩留まり改善は物理的な工程として残る。むしろAI向けの光通信や電源が需要を作る。ただし設計の自動化が試作サービスの単価を押す可能性はある。堀は有効だが、全社を強い独占とみなすには値決め力と増分資本利益率の証拠が足りない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
半導体の受託製造全体では、微細な先端工程に強いTSMCが圧倒的である。カウンターポイント・リサーチの2026年4〜6月期集計では、世界の外部受託市場の売上シェアはTSMC約73%、サムスン約7%、SMIC約5%、UMC約4%、同社約3%だった。2025年後半の同社のシェアは約4%であり、AI向け最先端ロジックが伸びるほど全体の比率は下がりやすい。ただし全体の売上シェアを、同社が重視する高周波や光通信の技術シェアと混同してはいけない。
スマートフォンは台数が増えにくい。低価格帯は中国製造への移行も進み、通信部品の単価には下押しがある。反対に車は電動化だけでなく、運転支援のレーダーや車内通信が搭載量を増やす。産業機器は長寿命だが更新需要が景気に左右される。データセンターでは光伝送の高速化、シリコンフォトニクス、シリコンゲルマニウム、電力変換が実際の数量を増やす源になる。2026年の会社説明では、光通信関連の需要と新規設計採用が増えている。
比較のため、2025年の各用途に対応する特殊工程の外部製造市場を、スマート端末100億ドル、通信・光関連90億ドル、産業IoT140億ドル、車載160億ドルと暫定推計した。これは業界が公表した用途別の厳密な統計ではなく、全世界のファウンドリー市場と製品工程の範囲から切り出した検証用の仮説だ。これに対する同社の売上シェアは、それぞれ約27%、8%、8%、9%となる。全社シェア約3〜4%より高いのは、先端ロジックを除く狭い対象市場を分母にしたためだ。
2026年10月のTSMCとの約20億ドルの複数年製造契約は、最大の競合が同時に顧客にもなることを示した。同じ月に発表された日米の工場計画は、第一期だけでも年90万枚の新しい能力を見込む。しかし保有者は政府側の事業体で、正式契約の締結もまだ必要である。2035年の伸びを判断する分かれ目は、世界のウェハ需要そのものより、光通信・車載で工程シェアを取れるかと、新たな能力の採算を誰が負担するかにある。
資本政策と M&A
資本配分は、ようやく株主還元へ向かい始めた段階だ。2018〜20年は営業赤字が続き、工場に大きな資金が必要だった。2023年の設備投資は約18億ドル、2025年は約7億ドルへ減り、同年のフリーキャッシュフローは約10億ドルだった。ただし設備の償却が進んだ結果でもあり、維持投資が小さくなったとは言い切れない。2026年5月の投資家説明会では、2025〜30年の売上年率10〜12%、2028年末の調整後営業利益率25%、長期35%、設備投資を売上の約20%とする目標を示した。
2026年2月に最大5億ドルの自社株買い枠を決め、3月にはムバダラから約3億ドルを買い戻し、市場でも追加取得した。5月には初めて四半期配当を決め、年間では約2.7億ドルのペースとなった。会社は投資後の調整後フリーキャッシュフローの最大50%を配当と買い戻しで還元する方針であり、利益全額還元の約束ではない。株式報酬と将来の資本調達を差し引いた正味還元として評価する。
2025年のMIPSとシノプシス関連資産の取得は、2026年以降の設計サービス拡充に利用する。2026年10月の日米新工場案は、最大210億ドルの政府側資金による別法人保有で、同社が同額の工場資産を得る買収ではない。第一期は2029年の稼働を目指し、契約成立後の2027年に約0.5億ドルの収入を見込むとの会社説明があったが、これは将来見通しである。米政府への約4%の持ち分付与も提示されており、既存株主の取り分と条件を確認する必要がある。
筆者が警戒するのは支配株主との利益のずれだ。ムバダラは2026年春の売出し後も約77%を保有する見込みで、取締役選任や重要取引を左右できる。売出しの手取りは基本的に売却株主のもので、会社の成長資金にはならない。少数株主は、政府支援の条件、関連当事者取引、買戻価格、投資効率が十分に開示されているかを見なければならない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
光通信の伸びを従来の成熟半導体の延長として見ると、この会社の変化を見落とす。2025年の通信・データセンター向け売上は前年比29%増えた。光集積回路は2025年に2億ドルを超え、2026年にも大きく伸びるとの会社説明がある。データセンターの光配線は速度だけでなく消費電力を下げる必要があり、シリコンフォトニクスとシリコンゲルマニウムを製造できる工場の価値は高まる。
車載も単なる景気回復ではない。車が電動化し、運転支援と車内ネットワークが複雑になるほど、耐久性のある電源・高周波・制御チップが増える。2025年の車載売上は17%伸びており、長期供給契約と設計採用が出荷量を支えている。高付加価値品の比率が増えれば、同じウェハ枚数でも単価と利益率を引き上げられる。
2026年10月には、先端パッケージの基板部品をTSMC向けに製造する約20億ドルの複数年契約が発表された。最先端の演算チップに正面から挑むのではなく、最大手の工程を補う立場だ。さらに日米政府が工場を保有し同社が技術と運営を提供する構想が成立すれば、工場建設による大きな資本負担なしに、長期間の技術料と利益分配を得られる。第二工場まで進めば収益機会は一段と広がる。
こうした成果が重なれば、2035年の自社工場出荷は年間370万枚を超え、光通信・車載の単価も上昇する。経営陣の2026年投資家説明会の成長目標を長期に延ばす余地があり、会社は成熟した低収益ファウンドリーから、独自工程を持つ技術・製造パートナーへ変わる。成長余地を十分に評価すべきだ。
慎重な見方
値決め力の証拠を見れば、楽観しすぎることはできない。2025年はウェハの出荷量が約1割増えたのに、平均単価は約1割下がった。スマートフォン向けの売上も12%減った。独自工程に囲われた顧客が多くても、二重調達や中国企業の安値が広がれば、価格改定の際に利益を譲らざるを得ない。半導体製造は顧客の切り替え費用と、製造者側の固定費の双方が大きい事業なのだ。
ファウンドリー全体の成長も同社に均等には届かない。TSMCは最先端のAI演算用で市場を広げ、2026年の売上シェアは7割を超える。同社が得意とする成熟工程ではUMC、SMIC、華虹半導体、タワーが競う。製造技術の違いが小さい品目ほど供給過剰になりやすく、値下げで工場を埋めようとすると収益力が落ちる。過去には営業赤字が続き、2024年にも減損で最終赤字となった。
2026年の明るい材料にも条件が付く。TSMC向け契約は複数年で総額約20億ドルであり、単年の利益ではない。日米の新工場は政府側の特別目的会社が所有し、同社が最大210億ドル分の設備を手にするわけではない。契約の正式締結、建設工程、顧客の需要、利益配分の詳細は今後決まる。政府への新たな株式付与も既存株主の利益を薄めうる。
2025年の自己資本利益率は7%台にすぎず、財務の強さが高い再投資利回りを証明してはいない。設備を増やしても顧客を確保できず、海外の既存工場の稼働率が落ちれば、新工場の技術料で補い切れない。配当と自社株買いは始まったばかりで、10年を通じて現金を十分に返した実績もない。帳簿の工場を額面どおり株主の価値に数えるべきではない。
どちらに重みを置いたか
光通信と政府保有工場による資本効率の改善には、従来の半導体受託製造と違う価値がある。しかし、既存の成熟工程での値下げ、過去の赤字、補助に依存する設備投資を考えると、改善がすべて実現する確率は高くない。確率は楽観側31%、中立33%、慎重側36%とし、他の成熟半導体メーカーより下振れを少し厚くした。利益の上昇を認めても、10年先までの必要投資と還元を含めて資本コスト9%で評価すれば、今の価格には十分な安全域が残らない。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 44.16 ドル246 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 5.72 ドル32 億ドル)。 今の値に割り戻すと 22.37 ドル125 億ドル、今との差 −46.6%、 期待の年率 +1.9%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 100.77 ドル562 億ドル | 10.75 ドル60 億ドル | +166.2% | +11.0% | 11.15 ドル62 億ドル |
| やや楽観 | 21% | 62.58 ドル349 億ドル | 8.06 ドル45 億ドル | +68.6% | +5.7% | 14.84 ドル83 億ドル |
| 中立 | 33% | 46.14 ドル257 億ドル | 6.27 ドル35 億ドル | +25.1% | +2.4% | 17.30 ドル97 億ドル |
| やや悲観 | 23% | 18.43 ドル103 億ドル | 3.23 ドル18 億ドル | −48.3% | −6.8% | 4.98 ドル28 億ドル |
| 悲観 | 13% | 11.33 ドル63 億ドル | 1.08 ドル6 億ドル | −70.4% | −11.8% | 1.61 ドル9 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 44.16 ドル246 億ドル | 5.72 ドル32 億ドル | +19.0% | +1.9% | 49.88 ドル278 億ドル |
今の株価時価総額 41.90 ドル234 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 光通信・車載が躍進し、政府保有の2工場が資本負担なしに稼ぐ 利益 43 億ドル · PER 13.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 100.77 ドル562 億ドル
2035年には光通信の高付加価値ウェハが85万枚まで増え、平均単価も6000ドルへ上がる。車載は世界のレーダー・電源需要を取り込み100万枚になる。スマート端末は中国・台湾勢との競争が残るが、RF-SOIの単独採用を守り110万枚を維持する。自社工場のウェハ総出荷は371万枚となり、既存4拠点への更新投資と能力増強が必要だ。
TSMCとの先端パッケージ供給契約が継続し、シリコンフォトニクスの設計採用も広がる。米国と日本が資金を持つニューヨーク新工場は2棟とも稼働し、GFはウェハを保有せずに技術料、運営料、利益分配を得る。資本効率のよいサービス収入が11億ドルに育ち、全社の営業利益率は約29%となる。
10年間の報告ベース純利益累計は約257億ドルである。配当と自社株買いから株式報酬と政府向け持ち分発行などを差し引く正味還元は60億ドルにとどめ、残りは設備と開発へ回す。ムバダラの支配は続くが、還元方針の開示が明確になり、独自工程の堀はやや強くなる。
- スマート端末向けRF・接続半導体ウェハ:数量 110(300ミリ換算ウェハ出荷万枚。市場の実質ウェハ売上×GFの工程シェアを基に概算)× 価格 3,500(1枚当たり平均受取額(米ドル、2025年の製品構成から推計))→ 売上 39 億ドル・営業利益 8 億ドル。2025年の実質RF特殊工程市場100億ドルが約115億ドル、GFシェアを約27%から概ね維持。端末台数横ばいでも高周波搭載量と工程単価が上がる。
- 通信インフラ・データセンター向け光・高周波ウェハ:数量 85.0(300ミリ換算ウェハ出荷万枚。光・通信特殊工程の実質市場×GFの工程シェアから概算)× 価格 6,000(1枚当たり平均受取額(米ドル、高付加価値工程を反映した推計))→ 売上 51 億ドル・営業利益 21 億ドル。光通信・SiGe特殊工程市場が大きく伸び、GFは2025年20万枚から85万枚へ増産。TSMC向けの先端パッケージ供給も成功。
- 家庭・産業IoT・航空防衛向けウェハ:数量 76.0(300ミリ換算ウェハ出荷万枚。産業IoT特殊工程の実質市場×GFの工程シェアから概算)× 価格 3,550(1枚当たり平均受取額(米ドル、2025年工程構成の推計))→ 売上 27 億ドル・営業利益 7 億ドル。産業・防衛の長期認定工程が増える。実質出荷は約1.44倍、価格は製品構成の高度化で約1.58倍。
- 車載レーダー・電源・制御向けウェハ:数量 100(300ミリ換算ウェハ出荷万枚。車載特殊工程の実質市場×GFの工程シェアから概算)× 価格 4,600(1枚当たり平均受取額(米ドル、車載認定工程の推計))→ 売上 46 億ドル・営業利益 15 億ドル。車載特殊市場の実質成長とシェア上昇で出荷は約2倍。レーダーと電源・制御の複雑化を反映。
- 試作設計・マスク・製造関連サービス・IPライセンス:数量 220(収益契約の合成単位(2025年=100)。案件数非開示のため、受注案件束を数量指数化)× 価格 10,000,000(合成契約単位当たり受取額(米ドル。実際の1契約単価ではない))→ 売上 22 億ドル・営業利益 9 億ドル。実案件数未開示につき合成指数が2.2倍。設計IP・マスクと製造認定を含む。
- 日米政府保有工場の技術供与・運営管理・利益分配:数量 2.0(収益対象の稼働工場数。2025年は0、第1工場は2029年稼働計画、第2工場は未決定)× 価格 5.50(工場1施設当たり年間技術・管理・利益配分収入(億ドル、未締結の推計))→ 売上 11 億ドル・営業利益 8 億ドル。政府保有の2工場が正式契約後に稼働。各年90万枚の能力はSPV側のもので、GFの自社ウェハ枚数には含めない。
倍率:資本コストk9.0%。2035年の帳簿ROE=42.6÷316.3=13.5%、事業の成長に必要な設備・無形資産を除かない。普通の堀の残存割合1/2でRONIC=9.0%+(13.5%−9.0%)/2=11.24%。長期gは光接続・車載の実質数量+約1%と価格の物価寄与+3.5%で4.5%。2035年利益用正当化PER上限=[(1−g/RONIC)/(k−g)]×(1+g)=約13.9倍。実現条件が多いためその約95%の13.2倍。IFRS報告利益をベースとし株式報酬を費用に含める。42.6×13.2=562.3億ドル。
確率:光通信が2025年から高成長を続け、TSMC向け案件の量産が進み、日米新工場の第2期まで正式契約が成立する場合。二つの新工場から利益配分を得る点はまだ条件が多く、楽観の10%に限定する。
やや楽観 21% 光接続が伸びて第1政府工場が定着し、車載でも工程採用を増やす 利益 29 億ドル · PER 12.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 62.58 ドル349 億ドル
通信・データセンターのウェハは65万枚まで増え、光通信と先端パッケージ用の部品が利益を押し上げる。車載は92万枚となり、GMなどの調達多様化の動きが追い風になる。スマート端末は2025年とほぼ同じ出荷を維持するが、単価の上昇率は物価を下回る。中国勢との競争は残り、2025年に見られた値下げが完全に終わるわけではない。
日米が資金を出す第1工場は2029年から徐々に動き、技術使用料と管理・利益配分の収入が年6億ドル弱に達する。第2工場は建設しないため、2棟を自社の資産に数えることはない。独自工程の採用が増え、本社の開発費を吸収できるようになり、報告ベース営業利益率は約24%へ改善する。
10年間の純利益累計は190億ドル、正味の株主還元は45億ドルとなる。新しいIPや製造工程を足す小規模な買収は成功するが、利益に比べて設備資産がまだ大きく、堀は既存顧客の切り替え費用で守る形にとどまる。
- スマート端末向けRF・接続半導体ウェハ:数量 105(300ミリ換算ウェハ出荷万枚。市場の実質ウェハ売上×GFの工程シェアを基に概算)× 価格 3,400(1枚当たり平均受取額(米ドル、2025年の製品構成から推計))→ 売上 36 億ドル・営業利益 7 億ドル。通信工程のシェアは大きく動かず、価格は10年で1.36倍。中国品との競争で物価1.41倍には及ばない。
- 通信インフラ・データセンター向け光・高周波ウェハ:数量 65.0(300ミリ換算ウェハ出荷万枚。光・通信特殊工程の実質市場×GFの工程シェアから概算)× 価格 5,900(1枚当たり平均受取額(米ドル、高付加価値工程を反映した推計))→ 売上 38 億ドル・営業利益 14 億ドル。光通信の設計採用とTSMC向け部品で実質出荷が約3.2倍になる。
- 家庭・産業IoT・航空防衛向けウェハ:数量 68.0(300ミリ換算ウェハ出荷万枚。産業IoT特殊工程の実質市場×GFの工程シェアから概算)× 価格 3,300(1枚当たり平均受取額(米ドル、2025年工程構成の推計))→ 売上 22 億ドル・営業利益 5 億ドル。産業設備更新に伴い実質枚数が約29%増える。
- 車載レーダー・電源・制御向けウェハ:数量 92.0(300ミリ換算ウェハ出荷万枚。車載特殊工程の実質市場×GFの工程シェアから概算)× 価格 4,300(1枚当たり平均受取額(米ドル、車載認定工程の推計))→ 売上 40 億ドル・営業利益 12 億ドル。車載半導体の搭載量増と高耐久工程の採用が進む。
- 試作設計・マスク・製造関連サービス・IPライセンス:数量 185(収益契約の合成単位(2025年=100)。案件数非開示のため、受注案件束を数量指数化)× 価格 9,500,000(合成契約単位当たり受取額(米ドル。実際の1契約単価ではない))→ 売上 18 億ドル・営業利益 7 億ドル。設計IPと工程認定の合成案件数が85%増える。
- 日米政府保有工場の技術供与・運営管理・利益分配:数量 1.0(収益対象の稼働工場数。2025年は0、第1工場は2029年稼働計画、第2工場は未決定)× 価格 5.80(工場1施設当たり年間技術・管理・利益配分収入(億ドル、未締結の推計))→ 売上 6 億ドル・営業利益 4 億ドル。第1政府保有工場の技術料と運営・利益配分。第2は計上しない。
倍率:k9.0%、2035年の帳簿ROE=29.1÷264.3=11.0%、普通の堀1/2でRONIC約10.01%。長期g4.3%は実質の光・車載需要約1.2%、成熟RFでのシェア希薄化約-0.4%、実現できる単価上昇約3.5%の合計。翌年利益の正当化PERに(1+g)を掛けると上限約12.65倍。半導体循環と再投資が残るため約95%の12.0倍。純利益はIFRS報告相当でSBCを費用とし、29.1×12.0=349.2億ドル。
確率:2026年時点で光通信の設計採用とTSMCへの供給が進んでおり、成長は裏付けられつつある。ただし同時に高い利益率を維持し続ける必要があるため、成立済みの契約と未成立の政府事業を分けて21%とした。
中立 33% 光通信・車載は伸びるが、汎用工程の価格競争と更新投資が続く 利益 22 億ドル · PER 11.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 46.14 ドル257 億ドル
2035年の自社ウェハ出荷は合計295万枚と2025年から約28%増える。通信・データセンターは55万枚、車載は85万枚に広がるが、スマート端末は95万枚へ減る。端末の高周波ではUMCや中国勢に一部シェアを奪われ、平均単価は2025年の1.28倍と物価上昇に届かない。車載は搭載点数増で認定品を伸ばし、産業IoTは緩やかに成長する。
TSMC向けの先端パッケージ契約は複数年の販売をもたらす。日米政府側の第1工場は稼働するが、GFが受け取るのは技術料・運営料・利益配分であり、政府の建設資金を自社売上へ計上しない。第2工場は不確実なため外す。2026年の経営目標ほど利益率は高くならず、2035年の報告ベース営業利益率は約22%で落ち着く。
10年間の純利益累計は155億ドルとなる。配当と買い戻しから株式報酬や株式発行の影響を控除した正味還元は35億ドルで、残りが設備更新と設計資産へ回る。単独調達契約の優位は残るものの、追加投資の利回りが資本コストを大きく超えるまでには至らない。
- スマート端末向けRF・接続半導体ウェハ:数量 95.0(300ミリ換算ウェハ出荷万枚。市場の実質ウェハ売上×GFの工程シェアを基に概算)× 価格 3,200(1枚当たり平均受取額(米ドル、2025年の製品構成から推計))→ 売上 30 億ドル・営業利益 5 億ドル。スマートRF特殊市場は2025年約100億ドルから実質約90億ドル、シェアは約27%から26%へ。価格は10年で1.28倍。
- 通信インフラ・データセンター向け光・高周波ウェハ:数量 55.0(300ミリ換算ウェハ出荷万枚。光・通信特殊工程の実質市場×GFの工程シェアから概算)× 価格 5,600(1枚当たり平均受取額(米ドル、高付加価値工程を反映した推計))→ 売上 31 億ドル・営業利益 10 億ドル。2025年対象市場90億ドルが実質180億ドルへ拡大し、GFの工程シェアは約8%から約11%へ。
- 家庭・産業IoT・航空防衛向けウェハ:数量 60.0(300ミリ換算ウェハ出荷万枚。産業IoT特殊工程の実質市場×GFの工程シェアから概算)× 価格 3,000(1枚当たり平均受取額(米ドル、2025年工程構成の推計))→ 売上 18 億ドル・営業利益 4 億ドル。2025年対象市場140億ドルが実質175億ドルへ、同社シェアは約8.5%から7.7%へ。成熟工程は中国勢が取る。
- 車載レーダー・電源・制御向けウェハ:数量 85.0(300ミリ換算ウェハ出荷万枚。車載特殊工程の実質市場×GFの工程シェアから概算)× 価格 3,900(1枚当たり平均受取額(米ドル、車載認定工程の推計))→ 売上 33 億ドル・営業利益 9 億ドル。2025年対象市場160億ドルが実質230億ドルへ、GFシェア約8.8%から10.3%へ。単価は物価並みの約1.39倍。
- 試作設計・マスク・製造関連サービス・IPライセンス:数量 155(収益契約の合成単位(2025年=100)。案件数非開示のため、受注案件束を数量指数化)× 価格 9,300,000(合成契約単位当たり受取額(米ドル。実際の1契約単価ではない))→ 売上 14 億ドル・営業利益 5 億ドル。2025年の合成案件束100が155、単位収入が769万ドルから930万ドル。実件数ではない。
- 日米政府保有工場の技術供与・運営管理・利益分配:数量 1.0(収益対象の稼働工場数。2025年は0、第1工場は2029年稼働計画、第2工場は未決定)× 価格 5.00(工場1施設当たり年間技術・管理・利益配分収入(億ドル、未締結の推計))→ 売上 5 億ドル・営業利益 3 億ドル。2029年予定の第1工場だけが成立。資本負担を政府SPVが担い、GFは手数料と利益配分のみ。
倍率:k9.0%。2035年のROE=22.2÷239.3=9.3%。現金や成長に必要な工場・設計IPを安易に分母から除かず、普通の堀の1/2でRONIC=9.14%。長期g4.0%は実質市場数量+約1.0%、特殊工程シェア+約0.3%、価格の名目寄与+約2.7%であり、利益率増を恒久視しない。上限PER=[(1−4.0%÷9.14%)÷(9.0%−4.0%)]×1.04=約11.7倍。長期の値決め力が弱いため上限の97%の11.3倍。IFRSの株式報酬費用控除後の純利益22.2×11.3=250.9億ドル。
確率:会社の2026年投資家説明会の売上成長計画を、そのまま2035年まで伸ばさず、スマートフォンの停滞と成熟工程の値下げを認めた。光通信と政府工場の第1期は成功する想定だが、過去の利益変動を考えて最多の33%とする。
やや悲観 23% 中国・台湾勢の値下げで、自社工場が伸びず政府工場収入も限定的 利益 8 億ドル · PER 10.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 18.43 ドル103 億ドル
スマートフォン向けは中国勢のRF工程とUMCに取られ、出荷が76万枚へ縮む。価格は10年で14%しか上がらず、実質の販売単価は下がる。車載は日本や欧州の自社工場を持つ半導体メーカーに量を奪われ、63万枚にとどまる。光通信は伸びるものの、新しい技術の採用競争に敗れ38万枚にとどまり、TSMC向け契約も延長されない。
ニューヨークの政府保有第1工場は稼働するが、運営・技術料の収入は小さく、固定費を吸収するには不十分である。既存設備の更新を遅らせて現金を守ると、高収益工程の開発にも後れが出る。MIPSなどの設計資産は活用するが、工程認定の顧客数は増えない。全社営業利益は約10億ドルにとどまり、資本コストを下回る利益率になる。
10年間の報告ベース純利益累計は約90億ドルと考える。初期には景気回復で利益が出るが、後半は停滞し、配当は減速する。正味還元は18億ドルで、自己資本は約191億ドルとなる。独自工程の堀は残るものの、儲かる余地は小さくなる。
- スマート端末向けRF・接続半導体ウェハ:数量 76.0(300ミリ換算ウェハ出荷万枚。市場の実質ウェハ売上×GFの工程シェアを基に概算)× 価格 2,850(1枚当たり平均受取額(米ドル、2025年の製品構成から推計))→ 売上 22 億ドル・営業利益 3 億ドル。成熟RF工程のシェア低下。価格は2025年の1.14倍で物価に大きく遅れる。
- 通信インフラ・データセンター向け光・高周波ウェハ:数量 38.0(300ミリ換算ウェハ出荷万枚。光・通信特殊工程の実質市場×GFの工程シェアから概算)× 価格 4,500(1枚当たり平均受取額(米ドル、高付加価値工程を反映した推計))→ 売上 17 億ドル・営業利益 4 億ドル。SiPhの増加は続くが、次世代の工程で競合に一部負ける。
- 家庭・産業IoT・航空防衛向けウェハ:数量 50.0(300ミリ換算ウェハ出荷万枚。産業IoT特殊工程の実質市場×GFの工程シェアから概算)× 価格 2,675(1枚当たり平均受取額(米ドル、2025年工程構成の推計))→ 売上 13 億ドル・営業利益 2 億ドル。産業の工場更新は進むが、汎用品はSMIC・華虹に代替される。
- 車載レーダー・電源・制御向けウェハ:数量 63.0(300ミリ換算ウェハ出荷万枚。車載特殊工程の実質市場×GFの工程シェアから概算)× 価格 3,350(1枚当たり平均受取額(米ドル、車載認定工程の推計))→ 売上 21 億ドル・営業利益 4 億ドル。車載認定の長さは守りになるが、受注の新規獲得が弱まる。
- 試作設計・マスク・製造関連サービス・IPライセンス:数量 125(収益契約の合成単位(2025年=100)。案件数非開示のため、受注案件束を数量指数化)× 価格 8,600,000(合成契約単位当たり受取額(米ドル。実際の1契約単価ではない))→ 売上 11 億ドル・営業利益 3 億ドル。設計IPの案件指数は125まで増えるが、単位収入は物価ほど上がらない。
- 日米政府保有工場の技術供与・運営管理・利益分配:数量 1.0(収益対象の稼働工場数。2025年は0、第1工場は2029年稼働計画、第2工場は未決定)× 価格 2.50(工場1施設当たり年間技術・管理・利益配分収入(億ドル、未締結の推計))→ 売上 3 億ドル・営業利益 1 億ドル。第1工場のみ成立、遅延・利益配分の低下で収益は限定的。
倍率:k9.0%、2035年の帳簿ROE=8.1÷191.3=4.2%で資本コストを下回るため、正当化PERの上限は1/k=11.1倍。中国・台湾勢の価格攻勢と固定費の重みを反映し10.0倍とし、中立11.3倍より低くする。長期gは実質数量マイナスと価格の物価未達を加味して名目2.7%程度だが、ROEがkを下回る以上その成長を価値の上乗せに使わない。8.1×10.0=81.0億ドル。
確率:2025年の平均単価10.4%下落とスマート端末の減収は実際に起きており、独自工程以外での競争が厳しい。政府工場は運営するが利益配分が薄く、稼働率を守る値下げが続く場合として23%を配分した。
悲観 13% 特殊工程の優位を失い、既存工場の減損と赤字が再発する 利益 −3 億ドル · PBR 0.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 11.33 ドル63 億ドル
中国のSMICと華虹、台湾のUMCが成熟工程で値下げを続け、スマート端末の出荷は50万枚へ半減する。車載の高信頼工程も日本・欧州の競合に移り、光通信はTSMCやタワーに技術採用を奪われる。自社ウェハの年間出荷は145万枚と2025年の6割強になり、既存工場に大きな遊休能力が残る。値下げをしても稼働率が戻らない。
TSMC向けの先端パッケージ契約は次期更新につながらず、政府保有工場の正式契約も結ばれない。MIPSなどの設計資産の統合効果も低く、追加の買収は見送る。工場の減損や固定費負担で2035年は営業赤字が約3億ドル、最終赤字も約3億ドルとなる。原価の安い競合に押され、独自工程を強い堀とは呼べなくなる。
10年間の純利益累計は約12億ドルである。2026〜29年には合計20億ドル前後を稼ぐが、その後の赤字と減損が利益を食い、配当を大幅に削って正味還元は6億ドルにとどまる。積み上がる自己資本は125億ドルだが、専用工場を簿価で売れるとは見ない。純現金と換金可能な設備・運転資産から求めた床をわずかに上回る価値しか認めない。
- スマート端末向けRF・接続半導体ウェハ:数量 50.0(300ミリ換算ウェハ出荷万枚。市場の実質ウェハ売上×GFの工程シェアを基に概算)× 価格 2,300(1枚当たり平均受取額(米ドル、2025年の製品構成から推計))→ 売上 12 億ドル・営業利益 0 億ドル。RF特殊工程の市場縮小とシェア喪失。価格も2025年を下回る。
- 通信インフラ・データセンター向け光・高周波ウェハ:数量 20.0(300ミリ換算ウェハ出荷万枚。光・通信特殊工程の実質市場×GFの工程シェアから概算)× 価格 3,600(1枚当たり平均受取額(米ドル、高付加価値工程を反映した推計))→ 売上 7 億ドル・営業利益 1 億ドル。シリコンフォトニクスの次世代技術でシェアを失う。
- 家庭・産業IoT・航空防衛向けウェハ:数量 35.0(300ミリ換算ウェハ出荷万枚。産業IoT特殊工程の実質市場×GFの工程シェアから概算)× 価格 2,200(1枚当たり平均受取額(米ドル、2025年工程構成の推計))→ 売上 8 億ドル・営業利益 0 億ドル。高付加価値の産業顧客を失い、汎用工程で値下げを強いられる。
- 車載レーダー・電源・制御向けウェハ:数量 40.0(300ミリ換算ウェハ出荷万枚。車載特殊工程の実質市場×GFの工程シェアから概算)× 価格 2,600(1枚当たり平均受取額(米ドル、車載認定工程の推計))→ 売上 10 億ドル・営業利益 1 億ドル。車載認定の新規獲得が止まり、価格と数量が両方下がる。
- 試作設計・マスク・製造関連サービス・IPライセンス:数量 75.0(収益契約の合成単位(2025年=100)。案件数非開示のため、受注案件束を数量指数化)× 価格 7,000,000(合成契約単位当たり受取額(米ドル。実際の1契約単価ではない))→ 売上 5 億ドル・営業利益 1 億ドル。試作・IPの新規案件が減り、設計自動化も単価を押す。
- 日米政府保有工場の技術供与・運営管理・利益分配:数量 0.0(収益対象の稼働工場数。2025年は0、第1工場は2029年稼働計画、第2工場は未決定)× 価格 0.00(工場1施設当たり年間技術・管理・利益配分収入(億ドル、未締結の推計))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。政府保有工場の正式契約が成立せず、収入をゼロとする。
倍率:長期赤字でPERを意味のある倍率として使えない。工場の再利用価値を踏まえ、2025年の自己資本119.3億ドルを評価の分母とし、2035年に積み上がる自己資本125.3億ドルには倍率を掛けない。現在の自己資本119.3億ドル×PBR0.53倍=63.2億ドルとなり、独立に推計した純現金と売却可能資産の税後価値60億ドルを上回る。過去のPBRの谷からの逆算ではなく、専用設備の換金性と事業の赤字継続を踏まえた評価である。
確率:スマートRFの競争悪化が光通信・車載にも及び、未締結の日米政府計画が成立しない構造的な敗北。2020年に近い低稼働率と赤字の実績があるため、単なる一時不況とは別に13%を割り当てる。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
スマート端末向けRF・接続半導体ウェハ
スマートフォンや携帯機器の高周波、無線接続、充電、センサー向けウェハ。RF-SOIが中心で、既存顧客の二重調達と中国勢との価格競争もある。
| 数量300ミリ換算ウェハ出荷万枚。市場の実質ウェハ売上×GFの工程シェアを基に概算 | 価格1枚当たり平均受取額(米ドル、2025年の製品構成から推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 107 | 2,500 | 27 | 4 |
| 10 年後 中立 | 95.0 | 3,200 | 30 | 5 |
取り方:出典:GFの2025年Form20-Fで端末向け売上26.78億ドル、全社ウェハ出荷約230万枚、ウェハ売上60.22億ドル。用途別枚数・単価は非開示なので、RF-SOIなどの高周波工程の単価を2500ドル/枚と仮定して107.12万枚と算出。他用途も同じ手順で試算すると合計230.46万枚となり開示の約230万枚と整合する。市場の分母は先端SoCを除いた特殊RF・接続工程の外部製造約100億ドルとの分析用仮説で、同社の2025年シェアは約27%。競合のこの狭い市場での公式シェアは非開示。営業利益3.5億ドルは工程構成と価格競争から試算した割当であり、会社開示の部門利益ではない。
通信インフラ・データセンター向け光・高周波ウェハ
シリコンフォトニクス、シリコンゲルマニウム、光モジュール、基地局・衛星向けの特殊製造工程。AI向け光接続が成長源。
| 数量300ミリ換算ウェハ出荷万枚。光・通信特殊工程の実質市場×GFの工程シェアから概算 | 価格1枚当たり平均受取額(米ドル、高付加価値工程を反映した推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 20.1 | 3,700 | 7 | 1 |
| 10 年後 中立 | 55.0 | 5,600 | 31 | 10 |
取り方:出典:2025年Form20-Fで通信・データセンター用途の売上7.45億ドル、前年比29.1%増。高密度の光・SiGe工程が混じるため1枚3700ドルと仮定し約20.14万枚に換算した。特殊光・通信工程の対象市場は2025年約90億ドルとした分析用推計で、GFの対象シェア約8%。TSMC、タワー、UMCとの競争に加え、2026年10月にはTSMCが同社の顧客として約20億ドルの複数年契約を発表した。世界全ファウンドリーのシェアとは別の分母である。営業利益は工程の高付加価値性を織り込んだ配賦推計。
家庭・産業IoT・航空防衛向けウェハ
制御、センサー、低消費電力の通信・演算と航空防衛向け特殊工程。長寿命だが工場設備投資と在庫循環に左右される。
| 数量300ミリ換算ウェハ出荷万枚。産業IoT特殊工程の実質市場×GFの工程シェアから概算 | 価格1枚当たり平均受取額(米ドル、2025年工程構成の推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 52.8 | 2,250 | 12 | 2 |
| 10 年後 中立 | 60.0 | 3,000 | 18 | 4 |
取り方:出典:2025年Form20-Fの家庭・産業IoT売上11.89億ドル、前年比6.2%減。汎用CMOSと産業特殊工程を混ぜた平均2250ドル/枚を仮定し52.84万枚と試算。対象となる産業・IoT向け外部製造の特殊工程市場を約140億ドルとする暫定仮説ではシェア約8.5%。SMIC、華虹、UMC、タワーが競合し、個別の用途別シェアは公表されない。航空防衛の旧製品終了も数量の変化要因。利益は非開示につき低めに推計した。
車載レーダー・電源・制御向けウェハ
レーダーと高周波、電源変換、制御、車内接続などの車載特殊工程。採用後の認定期間と品質保証が切り替えの壁になる。
| 数量300ミリ換算ウェハ出荷万枚。車載特殊工程の実質市場×GFの工程シェアから概算 | 価格1枚当たり平均受取額(米ドル、車載認定工程の推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 50.4 | 2,800 | 14 | 3 |
| 10 年後 中立 | 85.0 | 3,900 | 33 | 9 |
取り方:出典:2025年Form20-Fの車載売上14.10億ドル、前年比16.9%増。認定工程を考慮した単価2800ドル/枚から出荷を約50.36万枚と推計。車載特殊ウェハ市場約160億ドルを暫定的な対象市場とすればシェア約8.8%。競合はTSMC、UMC、SMIC、タワーと自前工場を持つ車載半導体メーカーで、用途別の各社正確な分母は非開示。2035年中立は実質市場約230億ドルに広がり、当社シェア約10%を獲得するという仮説。
試作設計・マスク・製造関連サービス・IPライセンス
一時的な開発・工程認定、製造マスク、パッケージ支援、MIPSなどの知的財産ライセンスとロイヤルティ。ウェハ販売と異なる収益。
| 数量収益契約の合成単位(2025年=100)。案件数非開示のため、受注案件束を数量指数化 | 価格合成契約単位当たり受取額(米ドル。実際の1契約単価ではない) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 100 | 7,690,000 | 8 | 2 |
| 10 年後 中立 | 155 | 9,300,000 | 14 | 5 |
取り方:出典:2025年Form20-Fの非ウェハ売上7.69億ドル、前年比17.9%増。契約件数と個別の単価は非開示なので、100の合成案件束×769万ドルで事実の収入に合わせた基準指数と明記する。単独の市場規模と会社シェアは比較可能な定義がなく不明であり、でたらめな実契約件数や市場シェアは作らない。2025年買収のMIPS・シノプシスの設計IPと製造支援により、将来は案件指数と案件単価が変わると考える。部門利益は会社非開示のためライセンス比率から推計。2025年の全6区分の推計営業利益計11.1億ドルと全社実績8.0億ドルとの差3.1億ドルは本社・共通研究開発費として調整した。
日米政府保有工場の技術供与・運営管理・利益分配
2026年10月発表のニューヨーク新工場計画。政府側の特別目的会社が工場を保有し、同社は技術・建設・運営管理料と利益配分を得る構想。
| 数量収益対象の稼働工場数。2025年は0、第1工場は2029年稼働計画、第2工場は未決定 | 価格工場1施設当たり年間技術・管理・利益配分収入(億ドル、未締結の推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.0 | 5.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1.0 | 5.00 | 5 | 3 |
取り方:出典:GFの2026年10月14日発表・同日投資家説明会。約210億ドルの投資は政府側SPVが負担し、GFのウェハ売上に全額計上するものではない。第1工場は年90万枚の能力を計画し、2027年収入約0.5億ドル、長期で利益増分を見込むとの経営説明があるが、正式契約締結が前提。2035年の施設当たり年間手数料約5億ドルは、予想利益増分を参考にした分析上の仮定であり会社の収益ガイダンスではない。2025年の売上・数量はゼロ。
リスクと懸念
スマートフォン向けRFウェハの構造的な値下げ
2025年のスマート端末売上は12.1%減り、全社のウェハ平均単価も10.4%下がった。低価格端末の生産移転、顧客の二重調達、中国や台湾の成熟工程の増産が重なると、出荷を維持しても売上は伸びない。固定費を抱える工場では単価下落が営業利益を直接削るため、ここは数量と別に追う必要がある。
光通信の技術変化と限られた大口顧客
シリコンフォトニクスは急成長するが、工程の世代交代も早い。主要な光モジュール企業や大規模データセンターの設計に一度負けると、次の認定まで数年の空白ができうる。TSMC向けの約20億ドルの契約は複数年の製造総額であり、確実な毎年の利益ではない。競合技術の採用や顧客内製化が進めば、期待した高単価ウェハが減る。
政府保有工場の契約未成立と株主持ち分
日米の工場計画は最大210億ドルという規模が大きいが、GFが資金を保有する契約ではない。政府側の特別目的会社が投資し、GFは技術料や管理料を得る構想で、正式契約と顧客の稼働が条件となる。第二工場の建設も未決定だ。米政府への約4%の持ち分付与、料金の算定、利益分配、追加資本負担の有無が少数株主の価値を左右する。
工場の稼働率と減損・更新費
2025年の全社稼働率は86%で、工場は人件費、電力、保守、償却費が固定的にかかる。出荷が減ると利益が急変する構造は、2019〜20年の営業赤字でも確認された。2024年には資産減損が最終損益を痛めた。今の自由現金が大きくても、次世代工程の設備更新を先送りすれば10年先の競争力が落ちる。
ムバダラ支配と還元・株式報酬
ムバダラは2026年春の売出し後も約77%を保有する見通しで、少数株主は重要な資本政策を主導できない。2026年の約3億ドルの大株主からの買い戻しは価格と利益相反の検証が必要だ。自社株買いの額をそのまま株主の取り分とせず、株式報酬と政府向けの新株付与を引いた正味の還元を確認する。
地政学・輸出規制と補助金への依存
米国、ドイツ、シンガポールに工場があることは供給分散の強みだが、政治による投資条件の変更にもさらされる。中国への輸出規制や現地メーカーの国産化は成熟工程の受注を減らす。米国のCHIPS関連支援や日米政府の新工場契約が遅れると、研究開発や生産能力の増強時期も後ずれする。補助金は継続的な価格決定力の代わりにはならない。
今後の分かれ目
- 四半期ウェハ出荷枚数は増えるのに、平均販売単価の前年割れが2年以上続く
- スマート端末と産業向けの価格決定力の弱さが構造的と判断する。中立の価格上昇と工場利益率を下げ、やや悲観・悲観の比率を上げる。
- シリコンフォトニクス売上が2028年に年換算10億ドルを超え、TSMCとの製造契約も予定どおり量産する
- 通信・データセンターの数量とシェア上昇に実績が付くため、やや楽観の確率を引き上げる。ウェハの工程単価と投資額も同時に確かめる。
- 日米政府保有の第1工場の正式契約が成立し、2029年に量産、技術料と利益配分が開示される
- 資本負担のない利益の実在が確認できる。サービス収入の継続性を評価し、同社が実質的に負う建設費や稼働損失の責任も契約から点検する。
- 新工場の第2期まで政府側資金で建設が決定し、追加でGFに大きな資金拠出を求めない
- 年90万枚規模の工場がさらに加わるため、楽観の工場管理収入を現実の見通しに近づける。政府持ち分が既存株主に与える影響も更新する。
- 車載の新規設計採用が減少し、出荷枚数と単価がともに前年割れする
- 最も切り替え費用が高いはずの用途でも堀が弱くなった証拠となる。2035年の車載シェアを下げ、利益率の上限も見直す。
- 投資を控えた後も営業キャッシュフローが続き、自己資本利益率が数年連続で資本コスト9%を超える
- 設備更新後の増分投資が本当に利益を生むと確認できる。長期のRONICと利益の持続性を再点検するが、単年度の減価償却減少や補助収入だけなら変えない。
見ておくもの
- 2026年11月4日予定の2026年7〜9月期決算:売上18.85億ドル前後と報告ベース営業利益率12.7%前後のガイダンス達成
- 四半期ウェハ出荷枚数、平均販売単価、工場稼働率と製品構成の変化
- シリコンフォトニクスとSiGeの売上、TSMC向け先端パッケージ製造契約の量産進捗
- 車載・スマート端末・通信・産業IoTの用途別売上成長率と設計採用件数
- 日米政府側のSPV正式契約、2029年の第1工場立ち上げ、第2工場の意思決定と技術・管理料
- 報告ベース営業利益率と調整後利益率の差、株式報酬、設備投資・FCF
- ムバダラと米政府の持ち分、株式発行の条件、正味の配当・自社株買い
倍率と資本コストの決め方
現在のPERや過去の市場倍率、同業の株価を根拠にしていない。各用途のウェハ枚数と単価、非ウェハの契約指数、政府側工場からの手数料を先に組み立て、2025年の全社約230万枚という物理的な出荷量と照合した。報告ベース純利益は株式報酬と無形資産償却を費用として扱い、調整後利益の上乗せをしない。資本コストは8%+品質1%=9%。中立の長期gは実質数量と工程シェア、名目単価から4%で、RONIC9.14%による正当化PER上限約11.7倍の97%として11.3倍を使う。2025年末の純現金約13億ドルは工場の運転資金や顧客前受金、更新投資で拘束されるため、遊休現金を利益価値に二重加算しない。外部時価総額242.92億ドルと台帳247.7億ドルの差は約1.9%で、株数の基準日が違うことによる。中立時価総額250.9億ドルを10年分割り引き、5筋書きと還元を合算した現在価値は約122.0億ドル、差は約-50.8%で割高となる。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。基本8.0%+quality1.0%=9.0%。βや市場のPERは不使用。財務存続が危ういわけではないためdistress上乗せは0%。同領域のNXP・MPWRの8.5%より工場稼働率と値下げの危険が重く、ON・MCHPの9.5%ほどの借金負担はない。