結論
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は、サーバー向け CPU のエピック(EPYC)、AI 向け GPU のインスティンクト(Instinct)とラック製品ヘリオス(Helios)、パソコン向けのライゼン(Ryzen)、ゲーム機向けの特注チップと組込み(旧ザイリンクス)を持つ、工場を持たない半導体会社である。2026 年 6 月期(第 2 四半期)は売上 115 億ドル(前年比 +50%)、データセンターが 67 億ドル(+107%)で全体の 58%、第 3 四半期は 130 億ドルを見込む。オープン AI・メタ・アンソロピックが次世代 GPU の MI450 を導入する契約を結び、会社は 2027 年のデータセンターが 2 倍超になると言う。
売上は、AI をエヌビディア・ブロードコムと同じ AI 演算チップ市場のシェア(10 年で約 10%)で、CPU などを「市場(実質)× シェア × 物価並みの価格」で積んだ。10 年後(2035 年 12 月期)の中立は、顧客の自前チップとエヌビディアの次世代に挟まれて AI の営業利益率が 3 割に下がり、売上約 1,790 億ドル・純利益約 430 億ドル。オープン AI とメタに渡す最大 3.2 億株のワラントは、会社全体の価値は変えず、確定すれば既存株主の持ち分が薄まる形で効く。
バリュー投資の観点では、サーバー CPU の復活と AI の 2 番手という位置は、10 年後も存在し今より強い可能性が高い。ただし資本コスト 9.25%(基本 8% + 半導体の循環 0.75%・値決め 0.25%・寿命 0.25%)で、倍率を利益ベースの正当化 PER(余った現金を除いた事業の ROE・堀は普通・g は半導体の数量の伸びを見て 4.5%)の 8 割に置くと、10 年後の中立は純現金込みで PER 13.4 倍にとどまる。今の時価総額(PER 約 200 倍)は 10 年の楽観の筋書きでも年率 6% で資本コストに届かず、確率で加重した本質価値は今の値段を 6 割強下回る。事業の質より値段が先に行きすぎている。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず「10 年後もこの事業は存在し、今より強いか」を問う。サーバー CPU は、AI のエージェントが CPU の呼び出しを増やす中で需要が続き、AMD はインテルとの 2 社体制で売上の約 4〜5 割を持つ。AI の GPU は 2 番手として残る可能性が高いが、顧客が自前チップとエヌビディアに分散するため、堀が広がるとは言い切れず、価格を決める力は顧客にある。
次にオーナー利益。2025 年 12 月期の純利益 43 億ドルは税の戻り(準備金の取り崩し)と営業外益を含み、営業利益 37 億ドルが稼ぐ力に近い。株式報酬(年約 20 億ドル)と買収の償却(年約 20 億ドル)を費用として見れば、時価総額 8,650 億ドルに対するオーナー利益の利回りは 1% にも届かない。10 年国債の 5% を、利益が 10 倍になっても下回る水準である。
資本配分は、ザイリンクスの全額株式の買収(株数 +29%)で ROE が下がり、今回は将来の発注と引き換えに株の約 2 割を渡す契約を結んだ。需要を確保する手段としては合理的で、確定が導入量と株価に連動するため、発注が出なければ株も渡らない点が救いである。
安全域:事業は理解でき、サーバー CPU の復活は本物である。しかし成熟後の倍率は、利益ベースの正当化 PER の 8 割(純現金込みで 13.4 倍)にとどまり、AI の営業利益率が 3 割に落ちる中立では、10 年後の時価総額は約 5,800 億ドルと今の 7 割弱で、9.25% で割り引くと 3 割弱にしかならない。払う理由は見当たらない。確信度は AI の設備投資と顧客の資金力に左右されるので、慎重に置く。
何で稼ぐ会社か
売上は 4 つに分かれる。1 つ目はデータセンター(2025 年 12 月期で売上の約半分、2026 年 6 月期は 58%)で、中身は EPYC(サーバー CPU)と Instinct(AI GPU とラック製品ヘリオス)。EPYC はクラウド大手と企業向けサーバーに納め、台数シェアは約 35%、売上シェアは x86 サーバーで 4〜5 割に達した。Instinct は MI300・MI350 の世代で 2025 年は約 65 億ドル(推定)にとどまり、MI450 とヘリオス(72 個の GPU を 1 ラックにまとめ、ネットワークや電源まで含めて売る)で 2026 年後半から桁が変わる。
2 つ目はクライアント(ライゼン)で売上の約 3 割。インテルから少しずつシェアを取るが、メモリ高騰でパソコンの出荷は弱い。3 つ目はゲーム(ソニー・マイクロソフトのゲーム機向け特注チップとラデオン)で、ゲーム機の世代末期のため前年比 −31%。4 つ目が組込み(ザイリンクス買収の FPGA など)で、産業・通信・車載の在庫調整から戻りつつある。
製造は TSMC、HBM はメモリ大手 3 社から調達する設計専業である。2025 年にラックの設計会社 ZT システムズを買収し、ヘリオスの設計に使っている。売上の式は「出荷個数 × 1 個あたり売上」で、ラック納入になると HBM・ネットワーク・電源の分が売上に入るため、売上は増えるが粗利益率は薄まる。
優良さと弱いところ
堀は 3 つある。1 つ目は、チップレット(小さな回路を組み合わせる設計)と TSMC の先端工程を最初に使う設計力で、EPYC は世代ごとに性能と電力効率でインテルを上回り、クラウド大手が選ぶ流れが定着した。2 つ目は x86 の互換で、インテルとの 2 社でサーバー・パソコンを分け合う構図そのものが堀になる。3 つ目はザイリンクス買収で得た FPGA と適応型チップで、通信・産業向けに切り替えの費用が高い。
資本効率は水準が低い。2025 年 12 月期の営業利益率は 10.8%(買収の償却と株式報酬を含む GAAP)、ROE は 6.9%で、ザイリンクスの買収価格(約 490 億ドルの株式交換)が自己資本に乗ってのれんと無形資産が厚いためである。償却と株式報酬を除いた利益率は 2026 年 6 月期で 27%。経営はリサ・スー CEO が 2014 年から続け、赤字続きだった会社(2012 年の営業利益率 −17%、2015 年 −8%)を立て直した実績がある。
弱い所は 3 つ。第一に、AI の主戦場でエヌビディアの CUDA に比べ ROCm のソフトが遅れ、大口顧客が価格を決める立場にある。ワラントは、その顧客に株を渡して発注を買う構造である。第二に、AI の営業利益率はエヌビディア(約 6 割)やブロードコムの半分近くにとどまる見込みで、ラック納入でさらに薄まる。第三に、長期の安定した利益を出した年が少なく、利益の質を示す実績が浅い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
AI データセンター向けアクセラレータの世界の売上は 2026 年に約 4,500 億ドル(GPU 約 3,700 億・ASIC 約 800 億)と推定され、大手 5 社の設備投資は 2026 年で約 7,300〜8,050 億ドル、2027 年は 1 兆ドル前後の見方がある。AMD の AI は 2026 年でも約 140 億ドルと推定され、シェアは 3% 前後と小さい。エヌビディアが CUDA・NVLink・ネットワークの束売りで寡占し、AMD は 2 番手、ブロードコムとマーベルが顧客専用の ASIC を受託する。
構造の変化は 3 つ。第 1 に、ラック単位の競争への移行で、エヌビディアのベラ・ルービンに MI450 のヘリオスが挑む。HBM4・TSMC の先端工程・先端パッケージの確保が出荷を決める。第 2 に、サーバー CPU の見直しで、AI のエージェントが CPU の呼び出しを増やし、AMD の EPYC の売上は 2027 年に 7 割超増えるという見通しが出ている。一方、アマゾンのグラビトン、グーグルのアクシオン、エヌビディアのベラなどアーム系が約 13% まで伸び、インテルも自社工場の新世代で反撃する。第 3 に、メモリの供給不足で、サーバーには追い風だがパソコンには逆風(IDC は 2026 年のパソコン出荷が最大 −9%)となる。
循環のどこにいるかは「山へ向かう上り坂」である。2027 年までは顧客の導入計画(合計で 14 ギガワットの意向)が見通しを支えるが、2028〜29 年は電力・データセンターの建設の遅れと減価償却の重さで、設備投資が踊り場に入る恐れがある。契約の多くは「最大」であり、確約の注文は最初の 1 ギガワットに限るとの指摘もあり、オープン AI などの資金調達が前提になる。
資本政策と M&A
還元は小さい。配当は無く、自社株買いは 2022 年に 37 億ドル、その後は年 10 億ドル前後で、2026 年は上半期で 2 億ドルにとどまる。株式報酬による株数の増加を打ち消す程度で、正味の還元はほぼ無い。現金は 131 億ドル、負債は 32 億ドルの純現金で、フリーキャッシュフローは AI の在庫(HBM など)の運転資金に回る。
買収は大きく 3 つ。ザイリンクス(2022 年・約 490 億ドル・全額株式で株数が約 3 割増え、のれんが厚い)、ペンサンド(2022 年・ネットワーク部品)、ZT システムズ(2025 年・ラック設計)。いずれも事業の幅を広げたが、ザイリンクスの買収以降は ROE が 1〜7% に低迷している。今後は、アンソロピックへの最大 50 億ドルの出資(報道)のように、顧客に資金を渡して需要を作る動きが増える。
最大の資本政策はワラントで、オープン AI とメタに最大 1.6 億株ずつ(合計 3.2 億株)を、導入量と株価の条件を満たした分だけ、ほぼ無償で渡す。全部が確定すれば既存株主の持ち分は約 16% 薄まる。買われる側になる可能性は、時価総額が 8,650 億ドルあるためほぼ無い。借入は少なく、利払いの変化は実質ゼロ(純現金は現状も 3.5〜4% で回る)。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
まだ入口である。2026 年第 2 四半期のデータセンターは 67 億ドル(前年比 +107%)、第 3 四半期の全社の見通しは 130 億ドル。会社は 2027 年のデータセンターが 2 倍超、サーバー CPU が +70% 超、AI は「100% をはるかに超える」と言う。オープン AI・メタ(各最大 6 ギガワット)、アンソロピック(最大 2 ギガワット)、マイクロソフト・オラクルまで、世界の大手が MI450 とヘリオスを選んだ。1 ギガワットあたり 150〜200 億ドルとすれば、合計 14 ギガワットを 5 年で導入するだけで AI の売上は年平均 500 億ドル近くになる。
サーバー CPU は、売上シェアが 4〜5 割と過去最高で、AI のエージェントが CPU の呼び出しを増やす追い風がある。アームが増えても、x86 の互換とクラウド顧客の実績がある EPYC の優位は続く。2025 年の投資家説明会で示した目標(全社の売上 年 +35%、データセンター AI 年 +80%、営業利益率 35% 超)は、すでに足元の実績が追い越し始めている。
エヌビディアが約 6 割の営業利益率を取る市場で、AMD が 2 番手として 1 割のシェアを取れば、売上は 2035 年に 2,800 億ドル級になる。ワラントは顧客が自分で需要を作る約束で、発注が確定した分だけ株が出るため、需要が伸びる世界では希薄化を上回る価値が生まれる。
慎重な見方
売上の伸びの大半が、2026 年後半に立ち上がる MI450 とヘリオスという 1 つの新製品に乗っている。契約の多くは「最大」で、確約の注文は最初の 1 ギガワットに限るという指摘もあり、オープン AI は赤字の会社で資金調達が前提になる。HBM4・TSMC の 2nm・先端パッケージの確保で出荷が遅れれば、数四半期の売上がずれる。AI 設備投資が 1 年止まれば、2022 年の GPU の在庫調整が再来する。
価格を決めるのは顧客である。ワラントは、メタとオープン AI に合計 3.2 億株(現株数の約 2 割)をほぼ無償で渡し、その分を売上の値引きとして処理する。つまり AI の売上は、株を渡して買った売上の面がある。ラック納入では HBM・ネットワークの部品代が売上に入り、粗利益率は薄まる。AI の営業利益率が 35% を保てる前提は、エヌビディアの次世代(ルービン)と顧客の自前チップに挟まれて崩れやすい。
値段の面では、2025 年 12 月期の純利益 43 億ドルに対し時価総額が 8,650 億ドル(PER 約 200 倍)。10 年国債が 5% の世界で、利益が 10 倍になっても、成熟後の PER は純現金込みで 15 倍台にとどまり、時価総額は今の 8 割弱にしかならない。サーバー CPU は事業として強いが、それだけで今の値段は説明できない。
どちらに重みを置いたか
強気の言う「大手の導入契約で 2027 年までは伸びが見える」は認め、10 年の楽観・やや楽観・中立を合わせて 65% とした。それでも資本コスト 9.25% と、利益ベースの正当化 PER の 7.5〜9 割に置いた倍率(純現金込みで 10 年 12〜16 倍)を当てはめると、10 年後は楽観でも今の時価総額の 1.5 倍、中立は 7 割弱にとどまる。慎重な見方の勝ち所は、AI で 2 番手にとどまり価格を決められない点と、顧客の資金の持続性で、10 年はやや悲観・悲観に 35% を置いた。結論は事業の見通しより、倍率で決まる。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 354.62 ドル5,802 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 90.65 ドル1,483 億ドル)。 今の値に割り戻すと 204.64 ドル3,348 億ドル、今との差 −59.7%、 期待の年率 −1.3%(資本コスト 9.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 11% | 776.67 ドル1.27 兆ドル | 183.37 ドル3,000 億ドル | +89.0% | +6.6% | 105.60 ドル1,728 億ドル |
| やや楽観 | 21% | 528.88 ドル8,652 億ドル | 134.47 ドル2,200 億ドル | +30.6% | +2.7% | 139.30 ドル2,279 億ドル |
| 中立 | 33% | 354.17 ドル5,794 億ドル | 91.69 ドル1,500 億ドル | −12.2% | −1.3% | 147.13 ドル2,407 億ドル |
| やや悲観 | 21% | 170.71 ドル2,793 億ドル | 48.90 ドル800 億ドル | −56.8% | −8.0% | 46.12 ドル754 億ドル |
| 悲観 | 14% | 38.51 ドル630 億ドル | 12.22 ドル200 億ドル | −90.0% | −20.6% | 7.10 ドル116 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 354.62 ドル5,802 億ドル | 90.65 ドル1,483 億ドル | −12.3% | −1.3% | 445.26 ドル7,285 億ドル |
今の株価時価総額 507.93 ドル8,310 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.3% を下回るほど割高。
楽観 11% AI の 2 大陣営の 1 つになり、AI だけで 1,900 億ドル 利益 815 億ドル · PER 15.6 倍 · 株価時価総額 776.67 ドル1.27 兆ドル
2035 年 12 月期の AI は GPU 350 万個・1 個あたり 5.42 万ドル(物価並みの値上げ)で約 1,900 億ドル。AI 演算チップ市場(名目 1.5 兆ドル)でのシェアは 12.5% で、エヌビディア 62%・ブロードコム 20% と並ぶ 3 強になる。営業利益率は 36%(償却・株式報酬の前)。サーバー CPU はシェア 43% で約 650 億ドル、クライアント・ゲーム・組込みで約 290 億ドル。営業利益は約 930 億ドル、純利益は約 815 億ドル。ワラントはほぼ全部(3.2 億株)確定し、既存株主の持ち分は約 16% 薄まる。10 年の還元は配当と自社株買いから株式報酬の分を引いて約 3,000 億ドル。
- データセンター AI(インスティンクト GPU・ヘリオス):数量 350(GPU の出荷個数(万個。ラック分の内容を高性能換算))× 価格 5.42(GPU 1 個あたり売上(ラック・HBM 込み・万ドル。中立は 3 年後から物価並みに上がる))→ 売上 1,897 億ドル・営業利益 683 億ドル。AI 演算チップ市場(エヌビディアと同じ物差し)のシェア 12.5%・GPU 350 万個 × 5.42 万ドル・営業利益率 36%(償却・株式報酬の前)
- データセンター CPU(EPYC):数量 445(当社の出荷(実質の億ドル)= サーバー CPU 市場(2025 年 12 月期の値段で測った実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 145(価格の水準(2025 年 12 月期=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141))→ 売上 645 億ドル・営業利益 277 億ドル。市場 実質 1,034 億ドル × シェア 43%・価格 145・営業利益率 43%(償却・株式報酬の前)
- クライアント(ライゼン):数量 116(当社の出荷(実質の億ドル)= パソコン向けプロセッサ市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 145(価格の水準(2025 年 12 月期=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141))→ 売上 168 億ドル・営業利益 35 億ドル。市場 実質 414 億ドル × シェア 28%・価格 145・営業利益率 21%(償却・株式報酬の前)
- ゲーム・組込み:数量 86.9(当社の出荷(実質の億ドル)= ゲーム機向け特注チップ・FPGA・組込みの市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 145(価格の水準(2025 年 12 月期=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141))→ 売上 126 億ドル・営業利益 34 億ドル。市場 実質 828 億ドル × シェア 10.5%・価格 145・営業利益率 27%(償却・株式報酬の前)
倍率:正当化 PER は 17.2 倍(g 4.5%、RONIC 24.5%。RONIC は k 9.25% に、事業の ROE 39.7% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 15.5 倍(9 割)に置いた。データセンター向けの GPU と CPU が伸び、利益率も上がる筋書きだが、エヌビディアとの差と顧客の自社設計が残るので 9 割に留めた。 g の内訳:半導体の数量は 10 年より先も実質で伸びるので、長期の g は structural の 4.5%(k − g ≥ 3.5% も守る)。 純現金 2439 億ドルは戻り方 0.5 を掛けて数え、時価総額 =(純利益 815 − 受取利息の税引き後 72)× 15.5 + 2439 × 0.5 = 12706 億ドル(純利益に対する見かけの PER は 15.6 倍)。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:業界ノートの楽観(数量 年 +10%・単価横ばい・市場 1.2 兆ドル)に当たる。MI450 以降の世代でも顧客が AMD を採用し続け、ROCm が CUDA の差を詰める筋。エヌビディア・顧客の自前チップとの競争があるので 11% に留める。
やや楽観 21% AI の 2 番手を保ち、サーバー CPU も 4 割強を維持する 利益 593 億ドル · PER 14.6 倍 · 株価時価総額 528.88 ドル8,652 億ドル
2035 年 12 月期の AI は GPU 267 万個・1 個あたり 5.25 万ドルで約 1,400 億ドル(AI 演算チップ市場のシェア 10.9%)、営業利益率 33%。ASIC の比率が上がっても GPU の 2 番手で売上が伸びる。サーバー CPU はシェア 41% で約 570 億ドル。営業利益は約 680 億ドル、純利益は約 595 億ドル。ワラントの約 8 割が確定し、既存株主の持ち分は約 14% 薄まる。10 年の還元は約 2,200 億ドル。堀は残るが、顧客の価格交渉は年を追って厳しくなり、広がりはしない。ヘリオスの後継世代でも顧客を保つが、利益率を決めるのはエヌビディア側という構図は変わらない。
- データセンター AI(インスティンクト GPU・ヘリオス):数量 267(GPU の出荷個数(万個。ラック分の内容を高性能換算))× 価格 5.25(GPU 1 個あたり売上(ラック・HBM 込み・万ドル。中立は 3 年後から物価並みに上がる))→ 売上 1,402 億ドル・営業利益 463 億ドル。AI 演算チップ市場(エヌビディアと同じ物差し)のシェア 10.9%・GPU 267 万個 × 5.25 万ドル・営業利益率 33%(償却・株式報酬の前)
- データセンター CPU(EPYC):数量 396(当社の出荷(実質の億ドル)= サーバー CPU 市場(2025 年 12 月期の値段で測った実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 143(価格の水準(2025 年 12 月期=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141))→ 売上 566 億ドル・営業利益 232 億ドル。市場 実質 965 億ドル × シェア 41%・価格 143・営業利益率 41%(償却・株式報酬の前)
- クライアント(ライゼン):数量 110(当社の出荷(実質の億ドル)= パソコン向けプロセッサ市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 143(価格の水準(2025 年 12 月期=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141))→ 売上 157 億ドル・営業利益 31 億ドル。市場 実質 407 億ドル × シェア 27%・価格 143・営業利益率 20%(償却・株式報酬の前)
- ゲーム・組込み:数量 80.4(当社の出荷(実質の億ドル)= ゲーム機向け特注チップ・FPGA・組込みの市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 143(価格の水準(2025 年 12 月期=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141))→ 売上 115 億ドル・営業利益 29 億ドル。市場 実質 804 億ドル × シェア 10%・価格 143・営業利益率 25%(償却・株式報酬の前)
倍率:正当化 PER は 16.9 倍(g 4.5%、RONIC 22.7%。RONIC は k 9.25% に、事業の ROE 36.2% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 14.3 倍(8.5 割)に置いた。データセンター向けが伸びるが、利益率の上昇は鈍い筋書きで 8.5 割。 g の内訳:半導体の数量は 10 年より先も実質で伸びるので、長期の g は structural の 4.5%(k − g ≥ 3.5% も守る)。 純現金 1979 億ドルは戻り方 0.5 を掛けて数え、時価総額 =(純利益 593 − 受取利息の税引き後 59)× 14.3 + 1979 × 0.5 = 8652 億ドル(純利益に対する見かけの PER は 14.6 倍)。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:業界ノートの中立〜楽観の中間。ASIC の比率が上がっても GPU の 2 番手で売上が伸びる筋。強気の見方が一定の根拠を持つので 21% を置く。
中立 33% 市場は伸びるが、AI の価格と利益率は顧客とエヌビディアに押される 利益 433 億ドル · PER 13.4 倍 · 株価時価総額 354.17 ドル5,794 億ドル
2035 年 12 月期の AI は GPU 205 万個・1 個あたり 5.08 万ドル(3 年後の 4.0 万ドルから物価並みに上がる)で約 1,040 億ドル。AI 演算チップ市場(名目 1 兆 600 億ドル)でのシェアは約 10% で、エヌビディア 55%・ブロードコム 16% に次ぐ。営業利益率は 30%(償却・株式報酬の前)。サーバー CPU はシェア 38%(アーム系が増える)で約 490 億ドル。営業利益は約 490 億ドル、純利益は約 430 億ドル。ワラントの約 7 割が確定し、既存株主の持ち分は約 12% 薄まる。10 年の還元は約 1,500 億ドル。AMD は「CPU と GPU の 2 番手」として存続するが、「利益率を決める会社」ではなくなる。
- データセンター AI(インスティンクト GPU・ヘリオス):数量 205(GPU の出荷個数(万個。ラック分の内容を高性能換算))× 価格 5.08(GPU 1 個あたり売上(ラック・HBM 込み・万ドル。中立は 3 年後から物価並みに上がる))→ 売上 1,041 億ドル・営業利益 312 億ドル。AI 演算チップ市場(エヌビディアと同じ物差し)のシェア 9.8%・GPU 205 万個 × 5.08 万ドル・営業利益率 30%(償却・株式報酬の前)
- データセンター CPU(EPYC):数量 345(当社の出荷(実質の億ドル)= サーバー CPU 市場(2025 年 12 月期の値段で測った実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 141(価格の水準(2025 年 12 月期=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141))→ 売上 486 億ドル・営業利益 185 億ドル。市場 実質 907 億ドル × シェア 38%・価格 141・営業利益率 38%(償却・株式報酬の前)
- クライアント(ライゼン):数量 105(当社の出荷(実質の億ドル)= パソコン向けプロセッサ市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 141(価格の水準(2025 年 12 月期=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141))→ 売上 148 億ドル・営業利益 27 億ドル。市場 実質 404 億ドル × シェア 26%・価格 141・営業利益率 18%(償却・株式報酬の前)
- ゲーム・組込み:数量 80.9(当社の出荷(実質の億ドル)= ゲーム機向け特注チップ・FPGA・組込みの市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 141(価格の水準(2025 年 12 月期=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141))→ 売上 114 億ドル・営業利益 27 億ドル。市場 実質 809 億ドル × シェア 10%・価格 141・営業利益率 24%(償却・株式報酬の前)
倍率:正当化 PER は 16.2 倍(g 4.5%、RONIC 19.4%。RONIC は k 9.25% に、事業の ROE 29.6% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 12.9 倍(8 割)に置いた。CPU のシェア回復は進むが、GPU はエヌビディアの CUDA に阻まれ、パソコンは景気に左右されるので、中立は 8 割に置いた。 g の内訳:半導体の数量は 10 年より先も実質で伸びるので、長期の g は structural の 4.5%(k − g ≥ 3.5% も守る)。 純現金 1599 億ドルは戻り方 0.5 を掛けて数え、時価総額 =(純利益 433 − 受取利息の税引き後 47)× 12.9 + 1599 × 0.5 = 5794 億ドル(純利益に対する見かけの PER は 13.4 倍)。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:業界ノートの中立(市場 1.8 倍・ASIC の比率 3〜4 割・単価 年 −1%)に AMD を当てはめた最も確からしい筋。ただし AMD は 2 番手で、約 11% のシェアで置いた。
やや悲観 21% 顧客が自前チップとエヌビディアに分散し、AI の単価が下がる 利益 238 億ドル · PER 11.7 倍 · 株価時価総額 170.71 ドル2,793 億ドル
顧客の内製化(メタの MTIA・オープン AI の自社チップ)とエヌビディアの値下げで、2035 年 12 月期の AI は GPU 156 万個・1 個あたり 4.5 万ドルで約 700 億ドル(シェア 9.3%)、営業利益率 22%。サーバー CPU はアーム系が 2 割を超え、シェア 33%、価格の水準は 125 と物価に負けて約 360 億ドル。クライアントは約 120 億ドルで頭打ち。営業利益は約 265 億ドル、純利益は約 240 億ドル。ワラントの約 4 割が確定する。10 年の還元は約 800 億ドル。大型 M&A で補うのは規模と規制から難しい。10 年後も事業は存在するが、堀は「インテルとの 2 社体制」だけに縮む。
- データセンター AI(インスティンクト GPU・ヘリオス):数量 156(GPU の出荷個数(万個。ラック分の内容を高性能換算))× 価格 4.50(GPU 1 個あたり売上(ラック・HBM 込み・万ドル。中立は 3 年後から物価並みに上がる))→ 売上 702 億ドル・営業利益 154 億ドル。AI 演算チップ市場(エヌビディアと同じ物差し)のシェア 9.3%・GPU 156 万個 × 4.50 万ドル・営業利益率 22%(償却・株式報酬の前)
- データセンター CPU(EPYC):数量 290(当社の出荷(実質の億ドル)= サーバー CPU 市場(2025 年 12 月期の値段で測った実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 125(価格の水準(2025 年 12 月期=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141))→ 売上 363 億ドル・営業利益 120 億ドル。市場 実質 880 億ドル × シェア 33%・価格 125・営業利益率 33%(償却・株式報酬の前)
- クライアント(ライゼン):数量 96.0(当社の出荷(実質の億ドル)= パソコン向けプロセッサ市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 125(価格の水準(2025 年 12 月期=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141))→ 売上 120 億ドル・営業利益 18 億ドル。市場 実質 400 億ドル × シェア 24%・価格 125・営業利益率 15%(償却・株式報酬の前)
- ゲーム・組込み:数量 72.0(当社の出荷(実質の億ドル)= ゲーム機向け特注チップ・FPGA・組込みの市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 125(価格の水準(2025 年 12 月期=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141))→ 売上 90 億ドル・営業利益 18 億ドル。市場 実質 800 億ドル × シェア 9%・価格 125・営業利益率 20%(償却・株式報酬の前)
倍率:正当化 PER は 14.5 倍(g 4.5%、RONIC 14.4%。RONIC は k 9.25% に、事業の ROE 19.6% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 10.9 倍(7.5 割)に置いた。GPU の値下がりと顧客の自社設計で利益率が伸びない筋書きで 7.5 割。 g の内訳:半導体の数量は 10 年より先も実質で伸びるので、長期の g は structural の 4.5%(k − g ≥ 3.5% も守る)。 純現金 1129 億ドルは戻り方 0.5 を掛けて数え、時価総額 =(純利益 238 − 受取利息の税引き後 33)× 10.9 + 1129 × 0.5 = 2793 億ドル(純利益に対する見かけの PER は 11.7 倍)。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:顧客の内製化(メタの MTIA・オープン AI の自社チップ)とエヌビディアの値下げで、AMD の GPU が価格競争に入る筋。サーバー CPU もアームに押される。慎重な見方の中心として 21% を置く。
悲観 14% 構造的な敗北:AI で置いていかれ、サーバー CPU もアームに奪われる 利益 66 億ドル · PBR 1.0 倍 · 株価時価総額 38.51 ドル630 億ドル
AI の収益が設備投資に追いつかず、AMD は ROCm と供給で CUDA の差を埋められない。2035 年 12 月期の AI は GPU 71 万個・1 個あたり 3.5 万ドルで約 250 億ドル(シェア 6.8%、営業利益率 8%)。サーバー CPU はアーム系が 3 割を超え、価格の水準 105 で約 250 億ドル。売上は約 650 億ドルで営業利益は約 70 億ドル。ザイリンクスののれんなどの減損で自己資本は約 1,100 億ドルにとどまり、ワラントは 15% ほど(約 0.5 億株)しか確定しない。株式報酬と買収の償却で、利益はほとんど残らない。もう優良企業ではない。
- データセンター AI(インスティンクト GPU・ヘリオス):数量 71.0(GPU の出荷個数(万個。ラック分の内容を高性能換算))× 価格 3.50(GPU 1 個あたり売上(ラック・HBM 込み・万ドル。中立は 3 年後から物価並みに上がる))→ 売上 248 億ドル・営業利益 20 億ドル。AI 演算チップ市場(エヌビディアと同じ物差し)のシェア 6.8%・GPU 71 万個 × 3.50 万ドル・営業利益率 8%(償却・株式報酬の前)
- データセンター CPU(EPYC):数量 240(当社の出荷(実質の億ドル)= サーバー CPU 市場(2025 年 12 月期の値段で測った実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 105(価格の水準(2025 年 12 月期=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141))→ 売上 252 億ドル・営業利益 68 億ドル。市場 実質 857 億ドル × シェア 28%・価格 105・営業利益率 27%(償却・株式報酬の前)
- クライアント(ライゼン):数量 85.7(当社の出荷(実質の億ドル)= パソコン向けプロセッサ市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 105(価格の水準(2025 年 12 月期=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141))→ 売上 90 億ドル・営業利益 7 億ドル。市場 実質 428 億ドル × シェア 20%・価格 105・営業利益率 8%(償却・株式報酬の前)
- ゲーム・組込み:数量 61.0(当社の出荷(実質の億ドル)= ゲーム機向け特注チップ・FPGA・組込みの市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 105(価格の水準(2025 年 12 月期=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141))→ 売上 64 億ドル・営業利益 8 億ドル。市場 実質 763 億ドル × シェア 8%・価格 105・営業利益率 12%(償却・株式報酬の前)
倍率:谷の純利益は小さく(66 億ドル)、事業の ROE(7.2%)は k 9.25% 以下で、伸びても価値が増えないので事業の PER は 1÷k = 10.8 倍が上限。上限は 事業の純利益 × 10.8 倍 + 余った現金の戻り方込み = 790 億ドル。これに対し、今の自己資本 630 億ドルに PBR 1.00 倍(利益ベースの値が付くやや悲観の PBR 1.84 倍の 8 割以下)を掛けて 630 億ドルに置いた(ザイリンクスののれんなどの減損で自己資本が減る谷)。
確率:AI の収益が設備投資に追いつかず設備投資が半減する、または AMD が ROCm と供給で CUDA の差を埋められず、顧客が自前チップに移る筋。顧客が少数で、1 社の離脱の影響が大きいので 14% を置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
データセンター AI(インスティンクト GPU・ヘリオス)
AI 学習・推論用の GPU(MI300・MI350・MI450)と、72 個を 1 ラックにまとめたヘリオス。ネットワーク・電源・HBM まで含めて売る。
| 数量GPU の出荷個数(万個。ラック分の内容を高性能換算) | 価格GPU 1 個あたり売上(ラック・HBM 込み・万ドル。中立は 3 年後から物価並みに上がる) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 43.0 | 1.50 | 64 | 10 |
| 10 年後 中立 | 205 | 5.08 | 1,041 | 312 |
取り方:2025 年の Instinct 売上は約 65 億ドル(推定。開示はデータセンター全体の約 166 億ドルのみ)。MI300・MI350 を約 43 万個・1 個あたり約 1.5 万ドルと置いた(万個 × 万ドル = 億ドル)。中国向け MI308 の在庫評価損を含み営業利益率は低め(償却・株式報酬の前で 15%)。
データセンター CPU(EPYC)
クラウド大手と企業のサーバー向け CPU。インテル・アーム系と競合。
| 数量当社の出荷(実質の億ドル)= サーバー CPU 市場(2025 年 12 月期の値段で測った実質の億ドル)× 当社シェア | 価格価格の水準(2025 年 12 月期=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 101 | 100 | 101 | 33 |
| 10 年後 中立 | 345 | 141 | 486 | 185 |
取り方:2025 年の EPYC 売上は約 101 億ドル(推定。データセンター 166 億から Instinct を引いた)。サーバー CPU 市場(x86 とアーム系の合計)を約 300 億ドルと推定し、売上シェアを約 34%(インテル 約 5 割強、アーム系〔グラビトン・グレース・アクシオン〕が残り)と置いた。数量は「市場(2025 年 12 月期の値段で測った実質の億ドル)× シェア」=当社の出荷、価格は価格の水準(2025 年 12 月期=100、rev_factor 0.01。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141)。営業利益率は 33%(償却・株式報酬の前)。
クライアント(ライゼン)
パソコン向けのプロセッサ。インテルと 2 社で x86 を分け合う。
| 数量当社の出荷(実質の億ドル)= パソコン向けプロセッサ市場(実質の億ドル)× 当社シェア | 価格価格の水準(2025 年 12 月期=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 100 | 100 | 100 | 17 |
| 10 年後 中立 | 105 | 141 | 148 | 27 |
取り方:2025 年のクライアント売上は約 100 億ドル(推定)。x86 のパソコン向けプロセッサ市場を約 420 億ドルと推定し、売上シェア 24%(インテルが残りの大半、クアルコムのアーム系が少し)。数量は市場(実質)× シェア、価格は価格の水準(2025 年 12 月期=100)。営業利益率 17%(償却・株式報酬の前)。
ゲーム・組込み
ゲーム機向けの特注チップ(セミカスタム)・ラデオンと、旧ザイリンクスの FPGA・組込み。
| 数量当社の出荷(実質の億ドル)= ゲーム機向け特注チップ・FPGA・組込みの市場(実質の億ドル)× 当社シェア | 価格価格の水準(2025 年 12 月期=100。中立は物価並みで 3 年 111・10 年 141) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 80.0 | 100 | 80 | 22 |
| 10 年後 中立 | 80.9 | 141 | 114 | 27 |
取り方:2025 年のゲーム(約 44 億ドル)と組込み(約 36 億ドル)の合計約 80 億ドル(推定)。ゲーム機向け特注チップ・ラデオン・FPGA・組込みの対象市場を約 800 億ドルと推定し、シェア 10%(FPGA はアルテラ・ラティス、組込みはインテル・NXP などが競合)。数量は市場(実質)× シェア、価格は価格の水準(2025 年 12 月期=100)。営業利益率 27.5%(償却・株式報酬の前)。
リスクと懸念
MI450・ヘリオスの立ち上がりへの一点集中
2026 年後半からの売上の伸びの大半が、新製品の MI450 と初めてのラック製品ヘリオスに乗っている。HBM4・TSMC の 2nm・先端パッケージの確保や、ラック単位の品質問題で数四半期ずれれば、AI の売上の置き方が 1〜2 割動く。ラック製品の量産は AMD にとって初めての経験である。
契約の多くは「最大」で、確約は薄く、顧客の資金に依存する
オープン AI(最大 6 ギガワット)・メタ・アンソロピックの契約は「最大」であり、確約の注文は最初の 1 ギガワットに限るという指摘がある。オープン AI とアンソロピックは赤字の会社で、資金調達が止まれば受注の一部が売上にならない。AMD 自身が顧客に出資する動きもあり、循環的な資金の流れという懸念が出やすい。
ワラント 3.2 億株による希薄化
オープン AI とメタに最大 3.2 億株(現株数の約 2 割)をほぼ無償で渡す。確定は導入量と株価の条件に連動するが、需要が強い世界ほど希薄化が大きくなる。売上の値引きとして処理されるため、会計上の売上と営業利益は見かけより小さくなり、1 株あたりの利益が伸びにくい。
エヌビディアの次世代と顧客の自前チップに挟まれる
エヌビディアのベラ・ルービンは CUDA・NVLink・ネットワークの束売りを続け、メタやオープン AI、グーグルは自前のチップをブロードコムなどと設計している。AMD は 2 番手のため、価格を下げて採用を取りに行く局面で営業利益率が 3 割を保てるかが分かれ目になる。ROCm のソフトの差も縮まっていない。
サーバー CPU でのアーム系とインテルの反撃
アマゾンのグラビトン、グーグルのアクシオン、マイクロソフトのコバルト、エヌビディアのベラなど、クラウド大手が自前のアーム系 CPU を増やし、約 13% まで伸びた。インテルも新世代の製品で反撃する。AMD の売上シェアは 4〜5 割と過去最高で、これ以上は伸びにくく、守る局面に入る。
AI 設備投資の山と谷、そして値段
大手 5 社の設備投資は 2027 年に 1 兆ドル前後と見られるが、AI アプリの課金収入が追いつかなければ減速する。2022 年の利上げ局面で株価は −62%、2007〜08 年のリーマンで −85% 落ちた。時価総額 8,650 億ドルは、PER 約 200 倍で、倍率の縮みだけで価値が大きく動く。
台湾・輸出規制・パソコンの需要減
製造を TSMC に頼るため台湾の地政学リスクがある。中国向けの MI308 は輸出規制で売上を失い、在庫評価損を出した。パソコンはメモリ高騰で 2026 年の出荷が最大 −9%(IDC)と弱く、クライアントの利益率を圧迫する。
今後の分かれ目
- 大手 5 社のうち 2 社以上が翌年の設備投資を減らす
- 3 年・10 年とも慎重な筋書きの確率を引き上げる。オープン AI・メタ・アンソロピックの導入計画が「最大」のまま縮むかを見る。
- MI450・ヘリオスの出荷が 2 四半期以上遅れる
- 3 年の AI の数量を下げ、やや悲観の確率を上げる。HBM4 と先端パッケージの供給のどちらが律速かを確認する。
- オープン AI の資金調達が細り、最初の 1 ギガワットの後の発注が出ない
- ワラントが確定せず希薄化は小さくなるが、AI の売上が大きく縮む。悲観の確率を上げ、悲観の床(谷の PBR)を点検する。
- AI の粗利益率が 50% を割る(ラック納入の部品の通し払いと値下げ)
- AI の営業利益率の置き方(中立 33%)を下げる。会社が示す「営業利益率 35% 超」の目標が成り立つかを確認する。
- サーバー CPU の売上シェアが 4 割を割る、またはアーム系が 2 割を超える
- サーバー CPU の中立(市場 × シェア 4 割強)を下げる。AI の落ち込みを CPU が支える前提が崩れる。
- AI アプリの課金収入が設備投資の半分を超えて伸びる
- 楽観へ確率を寄せる。設備投資の持続性が高まり、倍率が縮む速度も遅くなる。
見ておくもの
- 大手 5 社の設備投資の改定と AI アプリの課金収入(四半期ごと)
- MI450・ヘリオスの出荷開始の時期と、データセンターの売上(第 3・第 4 四半期の 130 億ドル前後の達成)
- AI の粗利益率と営業利益率(ラック納入の比率)、非 GAAP の営業利益率 35% 超の目標の達成
- ワラントの権利確定の状況(導入量・株価の条件)と希薄化後の株数
- サーバー CPU の売上シェア(マーキュリー・リサーチ)とアーム系の比率、インテルの新世代
- オープン AI・アンソロピックの資金調達と、確約の注文の追加
倍率と資本コストの決め方
売上は AI・サーバー CPU・クライアント・ゲームと組込みの 4 事業で、AI はエヌビディア・ブロードコムと同じ AI 演算チップ市場のシェアとして GPU の個数 × 単価に直し、ほかは「市場(実質)× シェア × 価格の水準」で積んだ。倍率は今の株価ではなく、利益ベースの正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)、RONIC = k + 残る割合 ×(事業の ROE − k)で置いた。k = 9.25%、残る割合は普通の 1/2、g は structural の 4.5%、置く倍率は上限の 7.5〜9 割(中立は 8 割で事業 12.9 倍、純現金込みで見かけ 13.4 倍)。ROE は検査と同じく帳簿の自己資本から余った現金(440 億ドル)を除いて取り、期末の純現金は戻り方 0.5 を掛けて足した。10 年の悲観(赤字に近い)は今の自己資本に PBR 1.0 倍を掛けた。今の PER 約 200 倍・PBR 約 9 倍には寄せていない。純利益は GAAP(株式報酬と買収の償却は費用)。事業の見通し(数量・価格・確率)は倍率の置き直しでは変えていない。
資本コスト 9.3% = 無リスク金利 5% + β 1.80 × 5%。k = 基本 8.0% + quality +1.25% = 9.25%。循環 +0.75%・値決め +0.25%・寿命 +0.25% で quality は +1.25%(前は β 1.80 から上限 9% に収めた k 9.0%)。顧客集中・ワラント・実行の遅れは k に足さず、やや悲観・悲観の確率(10 年で 35%)と悲観の深さで表した。純現金で存続は危うくないので上乗せ 0。