結論
KLA(ケーエルエー)は、半導体のウエハーやマスクの上にある欠陥を見つける「検査」と、膜の厚さ・線幅・層の重なりのずれを測る「計測」の装置を作る会社で、この「プロセス管理」市場の約 6 割を握る(第三者の要約。会社の表現は「2 番手の 6 倍の規模」)。2026 年 6 月期の売上は 135.8 億ドル(前年比 +12%)、営業利益は約 57 億ドル(利益率 約 42%)、純利益は 48.3 億ドル。9 月四半期の売上見通しは 40 億ドル(年換算 160 億ドル)、粗利益率は 62.5% で、ウエハー製造装置(WFE)市場は 2026 暦年に 1,500 億ドル台前半、2027 年は約 1,900 億ドルとの見方が出ている。
売上は、「WFE 市場(実質)× プロセス管理装置のシェア × 装置の価格」、「稼働中の装置の規模 × サービスの値段」、「特殊半導体・プリント基板の検査装置」の 3 つで積んだ。10 年後の中立は、WFE が実質 1.4 倍・装置の価格 1.41 倍、シェア 8.4% で、売上 318 億ドル・営業利益率 42.5% と見る。
バリュー投資の観点では、事業の質は装置の中で最上級である(粗利益率 6 割超・ROE 7〜8 割・実質は純現金に近く、フリーキャッシュフローの 9 割超を返す)。資本コストは、基本の 8% に設備投資の循環の分と値決めの強さを差し引いた 8.25% で割り引く。倍率は利益ベースの正当化 PER(のれん込みの帳簿 ROE 37%・堀は強い・g 4.5%)の 8.5 割に抑え、10 年後の中立は純現金込みで PER 19 倍前後になる。今の PER 45 倍・PBR 34 倍は、山の利益が長く続く前提を織り込んでおり、確率で加重した本質価値は今の時価総額を 3 割台半ば下回る。優れた会社だが、値段が先に行きすぎている。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず「10 年後もこの事業は存在し、今より強いか」を問う。半導体が微細化・積層を続ける限り、工程が増え、検査・計測の回数も増えるため、事業は 10 年後も存在し、今より重要になる可能性が高い。「欠陥を見つけて歩留まりを上げる」という価値は顧客が必ず払うもので、検査の知識の蓄積と切り替えの費用は、装置の中で最も深い堀である。ただし、アプライド・マテリアルズ(AMAT)と ASML が両方から参入を図り、中国は国産化を進めるので、堀が今のまま広がり続けると決め込まない。
次にオーナー利益。軽い設備で営業利益の多くが現金になり、株式報酬は数億ドルと小さい。今期の純利益 48.3 億ドルを今の時価総額 2,187 億ドルで割ると 2.2%。10 年国債 5% の世界では、その差を成長で埋める部分があまりに大きく、しかも今の利益は循環の山に向かう途中にある。
資本配分は、利益の約 7 割を返し、買収に手を出さず、増配を 17 年続けている点で評価できる。ただし、ROE が 7〜8 割に見えるのは自己資本が自社株買いで薄いためで、同じ値は事業の質の高さの尺度としては割り引いて見る。安全域は、悲観の筋書き(WFE が山から 4 割減)でも、サービス収入と検査の必要性で営業利益率 27% を保つ点にあるが、それでも時価総額は今の 2 割にとどまる。
結論として、事業の質は優れ、予測の確実性は中程度(顧客の設備投資の持続に依存)で、資本コストは基本の 8% に循環の分と値決めの強さを加えた 8.25% に置く。値段が先に行きすぎている時は、買わずに待つのが正しい。
何で稼ぐ会社か
事業は 3 つに分かれる。第 1 が半導体プロセス管理(2026 年 6 月期の売上 122.4 億ドル、全社の約 9 割。サービスを含む)で、パターン付き・パターン無しウエハーの欠陥検査(光学式と電子ビーム式)、膜厚・線幅・層の重なりを測る計測、露光用マスク(レチクル)の検査、これらのデータから工程の異常を見つける解析ソフトを持つ。顧客は TSMC・サムスン電子・SK ハイニックス・マイクロン・インテル・キオクシアなどで、新しい工場を立ち上げる時にまず入る装置の 1 つである。
第 2 が「サービス」(全社で 31.3 億ドル、約 23%)で、納入済みの装置の保守契約・部品・改造を売る。約 8 割が契約で、第 4 四半期は前年比 +17%、会社は年 13〜15% の成長を目標にする。装置の台数が積み上がるほど、この収入も積み上がる。第 3 が、特殊半導体プロセス(5.8 億ドル。化合物半導体・MEMS 向けの装置)とプリント基板・部品検査(7.5 億ドル。2019 年に約 34 億ドルで買収したオーボテック(Orbotech)が中心)の 2 つで、合わせて売上の約 1 割。
売上は、プロセス管理装置では「その年の WFE 市場の金額 × KLA の WFE 比(今は 7% 台)」で決まり、WFE の 1 ドルあたり何ドルを検査・計測に使うか(プロセス管理の比率)が上がるほど有利になる。微細化・積層(GAA、裏面給電、DRAM への EUV、HBM、ハイブリッド接合)で工程が増え、1 工程ごとの検査が増えるためである。自社の工場で組み立てる装置会社で、ウエハーの加工工場は持たないので、設備投資は軽く、営業利益の多くが現金になる。直近の中国は売上の 30%(2024 年 43%、2025 年 33%)で、会社は 2026 暦年に 20% 台半ばを見込む。
優良さと弱いところ
堀は 4 層ある。第 1 は検査・計測の知識の蓄積で、欠陥の画像と工程の履歴を顧客の工場ごとに何十年も溜めており、新しい工程が立ち上がる時に「どの欠陥が歩留まり(良品率)に効くか」を教えられるのは同社だけだという位置にある。第 2 は切り替えの費用で、検査の手順(レシピ)と歩留まり管理が顧客の工程に埋め込まれ、乗り換えると工場の立ち上がりが遅れるリスクを顧客が負う。第 3 は規模で、9 月四半期の営業費用の見通しは約 7 億ドル、2 番手の約 6 倍の売上があり、同じ研究開発の額を出せる競合が限られる。第 4 はサービスで、売上の約 23%(その約 8 割が契約)が積み上がり、設備投資が止まる年も下がりにくい。
結果として、営業利益率は 2015 年の 24.5% から 2026 年 6 月期は 41.3% まで上がり、第 4 四半期は非 GAAP で 43.7%。粗利益率 6 割超は装置会社で突出している(アプライド・マテリアルズ(AMAT)の営業利益率は 32% 台、ラムリサーチ(LRCX)は 35〜40%)。ROE が 7〜8 割と極端に高いのは、事業の稼ぐ力に加えて、自社株買いを重ねて自己資本が 64 億ドルと薄いためで、純有利子負債は 12 億ドル(現金等 49 億ドル・借入 59 億ドル)と軽い。
弱点は 3 つ。第 1 に、利益が設備投資の循環に連動する点(2023〜24 年は売上が 7% 減ったが、2009 年の谷は赤字だった)。第 2 に、中国が売上の 3 割で、輸出規制の変更(2026 年 11 月に停止が切れる米商務省の関連会社規則など)と国産化に揺さぶられる点。第 3 に、電子ビーム・光学の両方でアプライド・マテリアルズが参入を宣言していて、「首位が価格を決める」状態がいつまで続くか分からない点である。メモリ各社の値引き要求も、粗利益率に 1 ポイント超の逆風になっている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
WFE は、SEMI の見通しで 2026 年に前年比 +23% の約 1,440 億ドル、2027 年に +22%、2028 年に +14% で約 2,000 億ドル。KLA は 2026 暦年の WFE を「1,500 億ドル台前半」へ引き上げ、2027 年の市場予想は約 1,900 億ドルで、会社は「大きな成長」「年を通じた前期比の伸び」を見込む。主因は AI データセンター向けの先端ロジックと DRAM(HBM)、先端パッケージである。
プロセス管理にとっての構造の変化は 3 つある。第 1 に、GAA トランジスタ・裏面給電・DRAM への EUV の導入・HBM の積層で、工程数が増え、欠陥 1 つあたりの損失が大きくなる。会社は「WFE のうちプロセス管理に使う比率」が 2025 年の 7.4% から 2030 年に約 9% へ上がるとする(第三者の要約)。第 2 に、先端パッケージの検査(ハイブリッド接合など)が新しい市場として立ち上がり、会社の同分野の売上は 2026 暦年に約 11 億ドル(+70% 超)。第 3 に、中国は規制で伸びにくい一方、競合が KLA の入れない中国の工場に出荷している(会社の言及)。
循環の位置は「山へ向かう途中」。WFE は 2028 年ごろまで伸び、2029 年に調整が入るのが中立で、過去の谷は 2009 年(WFE −46%)・2019 年・2023 年(メモリ −40%)。ただし検査・計測は、工程が複雑になるほど減らしにくい支出で、2023〜24 年は WFE が弱くても売上の落ち込みは 1 桁にとどまった。
競合は、電子ビーム検査・光学検査へ参入を狙うアプライド・マテリアルズ(電子ビーム 2026 年に約 20 億ドル規模)、電子ビームのエーエスエムエル(ASML・HMI)、計測のオントー・イノベーション(Onto Innovation)・ノヴァ(Nova)、日立ハイテク、マスク検査のレーザーテック、中国の国産勢である。同領域の会社では、AMAT・LRCX と同じ「WFE の山と谷」を共有するが、KLA は検査・計測という「減らしにくい支出」を持つ点で谷が浅い。
資本政策と M&A
還元は厚い。2026 年 6 月期は配当 10.6 億ドルと自社株買い 22.9 億ドルで合計 33.5 億ドル(純利益の約 7 割、フリーキャッシュフロー 37.7 億ドルの約 9 割)。2026 年 3 月の投資家説明会で、新たに 70 億ドルの買い戻し枠と四半期配当の 21% 増(17 年連続の増配)を決め、方針を「フリーキャッシュフローの 90% 超を返す」へ引き上げた。買い戻し枠の残りは 2026 年 3 月末で約 103 億ドル。株数は直近 12 年のほとんどの年に 1〜7% ずつ減ってきた。株式報酬は年に数億ドルあり、正味の還元はその分だけ表の額より小さい。
借入は 59 億ドルで、現金・有価証券 49 億ドルを引いた純負債は 12 億ドルと軽い。借り換えによる利払いの変化は、下調べの推定でほぼ 0(純現金に近いため)。
買収は、2019 年のオーボテック(約 34 億ドル。プリント基板・ディスプレイ検査)が最近の大型で、2015 年に発表したラムリサーチとの経営統合は規制当局の承認の見通しが立たず 2016 年に白紙になった。以後は小粒の補強が中心である。時価総額が 2,000 億ドルを超えるため、買収や TOB の対象になる可能性はほぼ無い。割高な水準での自社株買いは、バリュー投資家には価値の効率が悪い。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
検査・計測は、微細化が進むほど「減らせない支出」になる。GAA・裏面給電・DRAM への EUV・HBM の積層が重なり、1 工程ごとの欠陥のコストが上がり、WFE のうちプロセス管理に使う比率は 2025 年の 7.4% から 2030 年に約 9% へ上がる。会社は 2030 暦年に売上 260 億ドル(±25 億)・営業利益率 45〜47% の財務モデルを示し、第 4 四半期の電話会議でもこれを見直さないとした。先端パッケージのプロセス管理は 2026 暦年に約 11 億ドル(+70% 超)と、WFE の伸びの 2 倍以上で育っている。
サービスは年 13〜15% で伸び、約 8 割が契約のため、設備投資が止まる年でも売上が下がりにくい。2026 年 6 月期は営業利益率 42% に達し、第 4 四半期は非 GAAP で 43.7%。9 月四半期の売上見通しは 40 億ドル、受注残は年度末に約 125 億ドルと、成長の見通しが先まで見える。2027 年の WFE は約 1,900 億ドルと市場は見る。
10 年後、WFE が実質で 1.76 倍・名目 3,400 億ドルまで育ち、プロセス管理装置の WFE 比が 9.6% まで上がれば、売上は 450 億ドル超、営業利益は 210 億ドル、純利益は 180 億ドルに届く。AMAT の電子ビーム・光学への参入が、先行投資に見合う成果を出せず、首位の約 6 割のシェアが保たれるなら、価格を決める力も保たれる。年 1〜3% の自社株買いと増配が、株主の取り分を積み上げる。
慎重な見方
今の利益は循環の山に向かう途中にある。WFE は 2026 年に +23%、2027 年に +22% と 2 年続けて急増しており、メモリ投資が止まった 2019 年・2023 年や 2009 年(WFE −46%、KLA は赤字)のような谷が来れば、売上は山から 3 割前後落ちる。今の PER 45 倍・PBR 34 倍は、山の利益が続き、倍率も下がらないと見ている。資本コスト 8.25% と、成熟後の倍率(利益ベースで PER 19 倍前後)を掛けると、利益が 10 年で今の 2.4 倍(中立)になっても、時価総額は今と同じ水準にとどまる。還元を足しても、年の見返りは 3% に届かない。
競合も本物である。アプライド・マテリアルズ(AMAT)は電子ビーム検査を 2026 年に約 20 億ドル規模まで育て、約 70 億ドルの光学検査市場にも参入すると宣言した。AMAT は成膜・エッチングの装置とまとめて売れるので、顧客が検査もまとめて発注する動きが出ると、KLA の約 6 割のシェアは崩れうる。ASML も電子ビームを持つ。シェア 1 ポイントは、10 年後の売上で約 26 億ドル・営業利益で約 12 億ドルに当たる。
中国は売上の 3 割で、規制の変更と国産化に揺さぶられる。2026 年 11 月に米商務省の関連会社規則の停止が切れ、さらに規制が強まれば、売上の 3〜3.5 億ドルが吹き飛ぶ。メモリ各社の値引き要求は粗利益率に 1 ポイント超の逆風で、2027 年も続く。最後に、ROE の高さは自己資本の薄さのせいで、谷では自己資本の PBR が高く見える一方、利益は大きく崩れる。
どちらに重みを置いたか
強気の言う「検査は減らせない支出で、工程が増えるほど比率が上がる」は 2028 年ごろまでは正しいと見て、楽観・やや楽観・中立に 68% を厚くした。倍率は利益ベースの正当化 PER(k 8.25%・g 4.5%・堀は強い)の 8.5 割、19 倍前後に置いた。それでも中立の時価総額は今と同じ水準で、還元を足しても今の値段を割り引いた価値には届かない。慎重な見方の勝ち所は、倍率の縮み(成熟後 PER 19 倍前後)と、AMAT・ASML の参入、中国の規制である。10 年後はやや悲観と悲観に 32% を置き、谷の深さは、検査・計測が設備投資の谷でも下がりにくいことを反映して、AMAT・LRCX より浅く置いた(確率は同じ 12/23/33/20/12 に揃えた)。確率は事業の見通しではなく、成熟後の倍率に効く。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/12 期)
確率で加重した株価時価総額 165.51 ドル2,184 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 47.86 ドル632 億ドル)。 今の値に割り戻すと 107.11 ドル1,413 億ドル、今との差 −27.5%、 期待の年率 +3.7%(資本コスト 8.3%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 300.22 ドル3,962 億ドル | 61.53 ドル812 億ドル | +144.7% | +9.4% | 43.41 ドル573 億ドル |
| やや楽観 | 23% | 228.96 ドル3,021 億ドル | 54.71 ドル722 億ドル | +91.9% | +6.7% | 65.24 ドル861 億ドル |
| 中立 | 33% | 165.28 ドル2,181 億ドル | 48.04 ドル634 億ドル | +44.3% | +3.7% | 70.40 ドル929 億ドル |
| やや悲観 | 20% | 92.17 ドル1,216 億ドル | 39.63 ドル523 億ドル | −10.8% | −1.1% | 26.36 ドル348 億ドル |
| 悲観 | 12% | 32.06 ドル423 億ドル | 34.25 ドル452 億ドル | −55.1% | −7.7% | 7.96 ドル105 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 165.51 ドル2,184 億ドル | 47.86 ドル632 億ドル | +44.3% | +3.7% | 213.37 ドル2,816 億ドル |
今の株価時価総額 147.83 ドル1,951 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 12% 新構造が 10 年続き、WFE は 3,400 億ドル。比は 9.6% へ 利益 180 億ドル · PER 22.0 倍 · 株価時価総額 300.22 ドル3,962 億ドル
2036 年 6 月期の WFE は名目 3,400 億ドル(実質 2,345 億ドル、2026 年の 1.76 倍)。GAA の次の世代・3D DRAM・先端パッケージの検査が広がり、プロセス管理装置の WFE 比は 9.6% へ上がる(会社の 2030 年の目標を超え、電子ビーム・光学の競合の参入を退ける)。プロセス管理装置は 326 億ドル、サービスは稼働装置が実質 2.3 倍になり 104 億ドル、その他 21 億ドル、合計 452 億ドル。営業利益率は 47%(会社の 2030 年目標 45〜47% を保つ)。AMAT・LRCX の楽観は 35〜38% が上限で、検査・計測の独走が利益率の差になる。10 年間の正味の還元は約 812 億ドル。
- プロセス管理装置(検査・計測の新規販売):数量 225(当社のプロセス管理装置の出荷(実質の億ドル)= WFE 市場(2026 年 6 月期の値段で測った実質の億ドル)× プロセス管理装置の比)× 価格 145(装置の価格の水準(2026 年 6 月期=100。中立は物価並みで 10 年 141))→ 売上 326 億ドル・営業利益 160 億ドル。WFE 実質 2,345 億ドル(名目 3,400)× プロセス管理装置の比 9.6%・価格 145・営業利益率 49.0%
- サービス(部品・保守契約・改造):数量 230(稼働中の装置の規模の指数(2026 年 6 月期=100))× 価格 0.45(指数 1 あたりの売上(億ドル。部品・保守の値段で、中立は物価並みに上がる))→ 売上 104 億ドル・営業利益 50 億ドル。稼働装置の規模 230(実質)× 値段 1.45 倍・営業利益率 48.0%
- 特殊半導体・プリント基板・部品検査の装置:数量 150(出荷規模の指数(2026 年 6 月期=100))× 価格 0.14(指数 1 あたりの売上(億ドル。値段は物価並みが中立))→ 売上 21 億ドル・営業利益 6 億ドル。特殊半導体・PCB 装置の規模 150(実質)× 値段 1.45 倍・営業利益率 30.0%
倍率:正当化 PER は 23.2 倍(g 4.5%、RONIC 34.3%。RONIC は k 8.25% に、事業の ROE 47.4% が k を超える分の 0.67 を足した値。moat は strong)。これに対し 22.0 倍(9.5 割)に置いた。検査の比率が 9% 近くまで上がり、堀も保たれる最良の筋書き。それでも設備投資の循環と中国の規制は残る。上限の 9.5 割に置く。 g の内訳:検査・計測の需要は、工程が増えるほど WFE より速く増える。10 年後以降も実質で年 1% ほど伸びる × シェアの増減 ほぼ 0(約 6 割を保つ)× 価格は物価並みの +3.5% で、名目の長期 g は 4.5%(structural。k 8.25% − 4.5% ≧ 3.5%)。 純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:業界ノートの楽観(2036 年に WFE 3,500 億ドル)に相当し、プロセス管理の比が 9.6% まで上がり、電子ビーム・光学の競合の参入を退ける筋書き。12% に留める。
やや楽観 23% WFE は 3,000 億ドル、比は会社の目標 約 9% 利益 147 億ドル · PER 20.5 倍 · 株価時価総額 228.96 ドル3,021 億ドル
2036 年 6 月期の WFE は名目 3,000 億ドル(実質 2,100 億ドル)。先端ロジック・DRAM・先端パッケージの検査が増え、比は会社の目標 約 9% に届く。AMAT の電子ビームは先端ロジックで一部を取るが、首位の約 6 割は保たれる。プロセス管理装置は 270 億ドル、サービスは 94 億ドル(年 11% 台の伸び)、その他 18 億ドル、合計 383 億ドルで、営業利益率は 45%。会社の 2030 年目標(45〜47%)にほぼ届く水準で、LRCX の 36% 前後を 9 ポイント上回る。10 年間の正味の還元は約 722 億ドル。
- プロセス管理装置(検査・計測の新規販売):数量 189(当社のプロセス管理装置の出荷(実質の億ドル)= WFE 市場(2026 年 6 月期の値段で測った実質の億ドル)× プロセス管理装置の比)× 価格 143(装置の価格の水準(2026 年 6 月期=100。中立は物価並みで 10 年 141))→ 売上 270 億ドル・営業利益 128 億ドル。WFE 実質 2,100 億ドル(名目 3,000)× プロセス管理装置の比 9.0%・価格 143・営業利益率 47.5%
- サービス(部品・保守契約・改造):数量 210(稼働中の装置の規模の指数(2026 年 6 月期=100))× 価格 0.45(指数 1 あたりの売上(億ドル。部品・保守の値段で、中立は物価並みに上がる))→ 売上 94 億ドル・営業利益 44 億ドル。稼働装置の規模 210(実質)× 値段 1.43 倍・営業利益率 47.0%
- 特殊半導体・プリント基板・部品検査の装置:数量 135(出荷規模の指数(2026 年 6 月期=100))× 価格 0.14(指数 1 あたりの売上(億ドル。値段は物価並みが中立))→ 売上 18 億ドル・営業利益 5 億ドル。特殊半導体・PCB 装置の規模 135(実質)× 値段 1.43 倍・営業利益率 27.0%
倍率:正当化 PER は 22.8 倍(g 4.5%、RONIC 31.2%。RONIC は k 8.25% に、事業の ROE 42.6% が k を超える分の 0.67 を足した値。moat は strong)。これに対し 20.5 倍(9 割)に置いた。工程の複雑化で比率が上がる筋書き。AMAT などの参入が一部を削る。上限の 9 割に置く。 g の内訳:検査・計測の需要は、工程が増えるほど WFE より速く増える。10 年後以降も実質で年 1% ほど伸びる × シェアの増減 ほぼ 0(約 6 割を保つ)× 価格は物価並みの +3.5% で、名目の長期 g は 4.5%(structural。k 8.25% − 4.5% ≧ 3.5%)。 純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:業界ノートの中立と楽観の間(2036 年に WFE 約 3,000 億ドル)で、会社の目標(比 約 9%・営業利益率 45% 台)がほぼ達成される筋書き。
中立 33% 市場は 1.8 倍に育つが、比は 8.4% で競合に一部を削られる 利益 115 億ドル · PER 19.0 倍 · 株価時価総額 165.28 ドル2,181 億ドル
2036 年 6 月期の WFE は名目 2,600 億ドル(実質 1,844 億ドル、2026 年から実質で年 3.3% の伸び。装置の値段は物価並みの 141)。プロセス管理装置の WFE 比は 8.4%(目標 約 9% の手前。AMAT・ASML・中国勢に一部を削られる)で、プロセス管理装置は 218 億ドル。サービスは稼働装置が実質 1.9 倍になり 84 億ドル、その他 16 億ドル、合計 318 億ドル。営業利益率は 42.5%(装置 45%、サービス 45%)に収れんする。堀は残り、検査・計測の首位であり続けるが、競合の参入で価格を決める力が少し弱まる。参考に、同じ領域の AMAT・LRCX の中立は 30% 台前半の利益率で、KLA は 8〜12 ポイント上を保つ。シェア 1 ポイントの差は売上 約 26 億ドル・営業利益 約 12 億ドル。10 年間の正味の還元は約 634 億ドル。
- プロセス管理装置(検査・計測の新規販売):数量 155(当社のプロセス管理装置の出荷(実質の億ドル)= WFE 市場(2026 年 6 月期の値段で測った実質の億ドル)× プロセス管理装置の比)× 価格 141(装置の価格の水準(2026 年 6 月期=100。中立は物価並みで 10 年 141))→ 売上 218 億ドル・営業利益 98 億ドル。WFE 実質 1,844 億ドル(名目 2,600)× プロセス管理装置の比 8.4%・価格 141・営業利益率 45.0%
- サービス(部品・保守契約・改造):数量 190(稼働中の装置の規模の指数(2026 年 6 月期=100))× 価格 0.44(指数 1 あたりの売上(億ドル。部品・保守の値段で、中立は物価並みに上がる))→ 売上 84 億ドル・営業利益 38 億ドル。稼働装置の規模 190(実質)× 値段 1.41 倍・営業利益率 45.0%
- 特殊半導体・プリント基板・部品検査の装置:数量 120(出荷規模の指数(2026 年 6 月期=100))× 価格 0.13(指数 1 あたりの売上(億ドル。値段は物価並みが中立))→ 売上 16 億ドル・営業利益 4 億ドル。特殊半導体・PCB 装置の規模 120(実質)× 値段 1.41 倍・営業利益率 24.0%
倍率:正当化 PER は 22.3 倍(g 4.5%、RONIC 27.4%。RONIC は k 8.25% に、事業の ROE 37.0% が k を超える分の 0.67 を足した値。moat は strong)。これに対し 18.9 倍(8.5 割)に置いた。比率は 8.4% で競合に一部を削られる。堀は強いが WFE の山と谷の振れは残る。中立は上限の 8.5 割に置く。 g の内訳:検査・計測の需要は、工程が増えるほど WFE より速く増える。10 年後以降も実質で年 1% ほど伸びる × シェアの増減 ほぼ 0(約 6 割を保つ)× 価格は物価並みの +3.5% で、名目の長期 g は 4.5%(structural。k 8.25% − 4.5% ≧ 3.5%)。 純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:業界ノートの中立(WFE 2,650 億ドルに近い 2,600 億ドル)。比は目標 9% に届かず 8.4% で、競合・中国で一部を削られる落としどころ。強気と慎重の中間で最も厚くした。
やや悲観 20% AMAT・ASML・中国勢が参入し、比は 7.2% にとどまる 利益 73 億ドル · PER 16.7 倍 · 株価時価総額 92.17 ドル1,216 億ドル
アプライド・マテリアルズ・ASML の電子ビーム・光学が成果を出し、中国の国産勢が検査・計測にも広がり、2036 年 6 月期の WFE は名目 2,200 億ドル(実質 1,692 億ドル)に鈍る。プロセス管理装置の WFE 比は 7.2%(今の 7.1% とほぼ同じ。工程が増えて上がる分を、競合に取られる分が打ち消す)。装置の値段は 132 と物価に負け、プロセス管理装置は 161 億ドル、サービスは稼働装置が実質 1.65 倍で 70 億ドル、その他 13 億ドル、合計 243 億ドル。営業利益率は 35%(装置 37%)。AMAT 型の値引き競争に巻き込まれた姿で、LRCX の同じ筋書き(31.5%)より 4 ポイント上にとどまる。中国向けは国産装置に置き換わる。10 年間の正味の還元は約 523 億ドル。
- プロセス管理装置(検査・計測の新規販売):数量 122(当社のプロセス管理装置の出荷(実質の億ドル)= WFE 市場(2026 年 6 月期の値段で測った実質の億ドル)× プロセス管理装置の比)× 価格 132(装置の価格の水準(2026 年 6 月期=100。中立は物価並みで 10 年 141))→ 売上 161 億ドル・営業利益 60 億ドル。WFE 実質 1,692 億ドル(名目 2,200)× プロセス管理装置の比 7.2%・価格 132・営業利益率 37.0%
- サービス(部品・保守契約・改造):数量 165(稼働中の装置の規模の指数(2026 年 6 月期=100))× 価格 0.42(指数 1 あたりの売上(億ドル。部品・保守の値段で、中立は物価並みに上がる))→ 売上 70 億ドル・営業利益 29 億ドル。稼働装置の規模 165(実質)× 値段 1.35 倍・営業利益率 41.0%
- 特殊半導体・プリント基板・部品検査の装置:数量 100(出荷規模の指数(2026 年 6 月期=100))× 価格 0.13(指数 1 あたりの売上(億ドル。値段は物価並みが中立))→ 売上 13 億ドル・営業利益 2 億ドル。特殊半導体・PCB 装置の規模 100(実質)× 値段 1.35 倍・営業利益率 15.0%
倍率:正当化 PER は 20.9 倍(g 4.5%、RONIC 20.8%。RONIC は k 8.25% に、事業の ROE 27.1% が k を超える分の 0.67 を足した値。moat は strong)。これに対し 16.7 倍(8 割)に置いた。AMAT・ASML の参入と中国の規制で利益率が落ち、新しく投じる資本の稼ぎが薄れる筋書き。上限の 8 割に置く。 g の内訳:検査・計測の需要は、工程が増えるほど WFE より速く増える。10 年後以降も実質で年 1% ほど伸びる × シェアの増減 ほぼ 0(約 6 割を保つ)× 価格は物価並みの +3.5% で、名目の長期 g は 4.5%(structural。k 8.25% − 4.5% ≧ 3.5%)。 純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:アプライド・マテリアルズ・ASML の電子ビーム・光学の参入が成果を出し、中国の国産化が検査・計測にも及ぶ筋書き。装置会社は 10 年に 2〜3 回の調整を経験し、競合の構造的な参入は 2 割程度の確率で見るのが妥当。
悲観 12% 構造的な敗北。検査の標準化と競合で、もう優良ではない 利益 29 億ドル · PER 14.4 倍 · 株価時価総額 32.06 ドル423 億ドル
構造的に負ける。微細化が止まって工程が増えず、検査・計測の標準化が進み、AMAT・ASML・中国勢が価格競争を仕掛けて、2036 年 6 月期の WFE は名目 1,700 億ドル(実質 1,478 億ドル)。プロセス管理装置の WFE 比は 6.0%(今より 1.1 ポイント低い)、装置の値段は 115 と物価に大きく負け、プロセス管理装置は 102 億ドル。サービスは稼働装置の置き換えが進まず 51 億ドル、その他 8 億ドル、合計 161 億ドル。営業利益率は 22%。もう「価格を決める優良企業」ではない。LRCX の同じ筋書き(20%)と並ぶ。それでも純有利子負債は軽く、サービス収入と純利益が床になり、10 年間の純利益の合計は約 566 億ドル、還元は約 452 億ドルと見る。谷の年は利益ベースの上限(PER 18.0 倍)の 8 割、PER 14.4 倍で測る(自己資本 177 億ドルの約 2.4 倍)。
- プロセス管理装置(検査・計測の新規販売):数量 88.7(当社のプロセス管理装置の出荷(実質の億ドル)= WFE 市場(2026 年 6 月期の値段で測った実質の億ドル)× プロセス管理装置の比)× 価格 115(装置の価格の水準(2026 年 6 月期=100。中立は物価並みで 10 年 141))→ 売上 102 億ドル・営業利益 22 億ドル。WFE 実質 1,478 億ドル(名目 1,700)× プロセス管理装置の比 6.0%・価格 115・営業利益率 22.0%
- サービス(部品・保守契約・改造):数量 130(稼働中の装置の規模の指数(2026 年 6 月期=100))× 価格 0.39(指数 1 あたりの売上(億ドル。部品・保守の値段で、中立は物価並みに上がる))→ 売上 51 億ドル・営業利益 17 億ドル。稼働装置の規模 130(実質)× 値段 1.25 倍・営業利益率 33.0%
- 特殊半導体・プリント基板・部品検査の装置:数量 70.0(出荷規模の指数(2026 年 6 月期=100))× 価格 0.12(指数 1 あたりの売上(億ドル。値段は物価並みが中立))→ 売上 8 億ドル・営業利益 0 億ドル。特殊半導体・PCB 装置の規模 70(実質)× 値段 1.25 倍・営業利益率 0.0%
倍率:正当化 PER は 18.0 倍(g 4.5%、RONIC 13.8%。RONIC は k 8.25% に、事業の ROE 16.6% が k を超える分の 0.67 を足した値。moat は strong)。これに対し 14.4 倍(8 割)に置いた。WFE が山から 4 割減る谷でも検査・計測は下がりにくく、サービス収入で営業利益率 27% を保つ筋書き。上限の 8 割に置く。 g の内訳:検査・計測の需要は、工程が増えるほど WFE より速く増える。10 年後以降も実質で年 1% ほど伸びる × シェアの増減 ほぼ 0(約 6 割を保つ)× 価格は物価並みの +3.5% で、名目の長期 g は 4.5%(structural。k 8.25% − 4.5% ≧ 3.5%)。 純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:構造的に負ける筋書き(微細化の停滞・検査の標準化・競合と中国の国産化)。KLA は価格を決める力を失う。ただし 10 年で首位が崩れる確率は低いので、LRCX・AMAT と同じ 12% に留める。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
プロセス管理装置(検査・計測の新規販売)
ウエハー・マスクの欠陥検査(光学式・電子ビーム式)と、膜厚・線幅・層の重なりの計測。サービスを除く新規装置の売上。
| 数量当社のプロセス管理装置の出荷(実質の億ドル)= WFE 市場(2026 年 6 月期の値段で測った実質の億ドル)× プロセス管理装置の比 | 価格装置の価格の水準(2026 年 6 月期=100。中立は物価並みで 10 年 141) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 94.9 | 100 | 95 | 43 |
| 10 年後 中立 | 155 | 141 | 218 | 98 |
取り方:2026 年 6 月期の半導体プロセス管理は 122.4 億ドル(サービスを含む)。全社のサービス 31.3 億ドルのうち半導体プロセス管理に属する分を約 27.5 億ドルと推定し、差の 94.9 億ドルを新規装置の売上とした。WFE は LRCX と同じ(2025 年 約 1,200 億ドル・2026 年 1,439 億ドル。6 月期に合わせ 約 1,330 億ドル)で、比は 94.9 ÷ 1,330 で約 7.1%(会社の言う 7.4% は定義が違う)。KLA は検査・計測で約 5〜6 割、ASML・アプライド・マテリアルズ・日立ハイテク・Onto・Nova が残りを分け合う。数量は「WFE 実質 × 比」、価格は装置の価格の水準(rev_factor 0.01)。営業利益は事業別に開示されないため、全社の営業利益 約 56.6 億ドル(粗利益率 61.3% から営業費用を引いた推定)を、装置 45%・サービス 45%・その他 25%・調整に分けた推定。
サービス(部品・保守契約・改造)
納入済み装置の保守契約・部品・改造。約 8 割が契約。
| 数量稼働中の装置の規模の指数(2026 年 6 月期=100) | 価格指数 1 あたりの売上(億ドル。部品・保守の値段で、中立は物価並みに上がる) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 100 | 0.31 | 31 | 14 |
| 10 年後 中立 | 190 | 0.44 | 84 | 38 |
取り方:2026 年 6 月期のサービス売上 31.3 億ドル(開示。第 4 四半期は 8.2 億ドルで前年比 +17%)。数量は稼働装置の規模の指数(2026 年=100)、1 あたり 0.313 億ドル。部品・保守の値段は物価並みに上がるのが中立(10 年 1.41 倍)。会社は長期に年 13〜15% を目標にするが、足元は下端。営業利益率は粗利益率の高さ(約 6 割)から約 45% と推定。
特殊半導体・プリント基板・部品検査の装置
化合物半導体・MEMS 向けの装置(特殊半導体プロセス)と、プリント基板・部品の検査装置(オーボテック系)の新規販売。
| 数量出荷規模の指数(2026 年 6 月期=100) | 価格指数 1 あたりの売上(億ドル。値段は物価並みが中立) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 100 | 0.10 | 10 | 2 |
| 10 年後 中立 | 120 | 0.13 | 16 | 4 |
取り方:特殊半導体プロセス 5.84 億ドルとプリント基板・部品検査 7.50 億ドルの合計 13.3 億ドルから、それぞれに含まれるサービス(推定 3.8 億ドル)を引いた 9.5 億ドル。営業利益率は約 25% と推定(事業が小さく、利益全体への影響は 5% 程度)。
リスクと懸念
設備投資の急停止(WFE の山と谷)
WFE は 2026 年 +23%、2027 年 +22% と 2 年続けて急増している。AI の設備投資の効率が疑われる、メモリ価格が崩れるなどで増設が止まれば、2009 年(WFE −46%、KLA は赤字)・2019 年・2023 年(メモリ −40%)の再来となり、売上は山から 3 割前後落ちる。サービスと検査の必需性で下げは浅いが、倍率は同時に縮む。
アプライド・マテリアルズ・ASML の参入
アプライド・マテリアルズ(AMAT)は電子ビーム検査を 2026 年に約 20 億ドル規模まで育て、約 70 億ドルの光学検査市場にも参入すると宣言した。成膜・エッチングとまとめて売れるため、顧客の一括発注で KLA のシェアが削られうる。ASML も電子ビームを持つ。シェア 1 ポイントは 10 年後で売上 約 26 億ドル、営業利益 約 12 億ドル。
中国の規制と国産化
中国は 2026 年 6 月期で売上の 30%(2024 年は 43%)。会社は 2026 暦年に 20% 台半ばを見込み、規制で 3〜3.5 億ドルの減収を織り込む。2026 年 11 月に米商務省の関連会社規則の停止が切れる点が次の波乱で、さらに中国の国産勢が KLA の入れない工場に出荷している。
メモリの値引きと粗利益率
メモリ各社の値引き要求は粗利益率に 1 ポイント超の逆風で、会社は 2027 年も続くと見る。粗利益率 6 割台前半を保つには、ロジック・先端パッケージの比重が上がり続ける必要がある。粗利益率の長期レンジは 60〜65% で、下限に近づくと営業利益率 45% の目標に届かない。
顧客の集中
売上の多くが TSMC・サムスン電子・SK ハイニックス・マイクロン・インテルなど少数の顧客から来る。1 社が増設を止める・内製化・競合に切り替えると、その年の受注が大きく振れる。顧客は規模が大きく価格交渉力も強い。
倍率の縮みと自己資本の薄さ
今の PER 45 倍・PBR 34 倍は、山の利益が続くことを織り込む。成熟後の倍率は PER 19 倍前後(利益ベースの正当化 PER 22.3 倍の 8.5 割。帳簿の ROE 37%・g 4.5%・k 8.25%・純現金込み)で、利益が倍になっても倍率の縮みで打ち消される。ROE の高さは自社株買いで自己資本が薄い結果で、谷では利益が崩れる一方、PBR は高いままに見える。
AI の設備投資の減価償却と巻き戻し
大手の 2026 年の設備投資は約 7,300〜8,050 億ドル、2027 年は 1 兆ドル前後の見方がある。減価償却の負担が 2028 年以降に重くなり、投資効率が疑われると、半導体・メモリ・装置が同時に崩れる。KLA はその最後の受け手の 1 つである。
今後の分かれ目
- AMAT の電子ビーム・光学検査が、TSMC・サムスン・SK ハイニックスの量産ラインで採用される
- KLA のプロセス管理装置の WFE 比が 7% 台から下がり始める。シェア 1 ポイントの喪失は 10 年後で売上 約 26 億ドル・営業利益 約 12 億ドル。慎重な筋書き(やや悲観)の確率が上がる。
- WFE が 2027 年に約 1,900 億ドル、2028 年に 2,000 億ドル超と見通しを超えて伸びる
- サービスと装置の売上が前倒しで伸び、楽観・やや楽観が現実になる。ただし倍率(PER 19〜22 倍)が先に縮むため、時価総額の上振れは限られる。
- 米国が中国向けの規制を強め、2026 年 11 月の関連会社規則の停止が切れる
- 中国の売上比 30% が 20% を割り、売上の 3〜3.5 億ドル以上が消える。KLA は中国向けの比重が AMAT・LRCX と同程度のため、同じ領域の会社と同じ方向に動く。
- メモリ価格が急落し、サムスン・SK ハイニックス・マイクロンが増設を止める
- WFE が山から 2〜4 割減り、KLA の売上も 3 割前後落ちる。検査・サービスの必需性で営業利益率は 27〜37% を保つが、倍率の縮みで時価総額は今の 2〜6 割になる。
- 会社が 2030 暦年の財務モデル(売上 260 億ドル・営業利益率 45〜47%)を引き下げる
- 第 4 四半期の電話会議では見直さないとしたが、WFE の見通しが崩れれば引き下げ。中立の利益率 43% 前後を正当化する根拠が弱まり、確率が慎重な筋書きへ動く。
- プロセス管理の WFE 比が 2027〜28 年に 8% を超える
- 会社の 2030 年の約 9% が現実になる兆しで、10 年の楽観・やや楽観の確率を厚くする根拠になる。
見ておくもの
- SEMI の WFE 見通し(四半期ごと)と、TSMC・サムスン・SK ハイニックス・マイクロンの設備投資
- KLA の受注残(2026 年 6 月期末の約 125 億ドル)と、サービス売上の前年比(目標 13〜15%)
- プロセス管理の WFE 比(会社の目標 7.4% → 約 9%)と、AMAT の電子ビーム・光学検査の採用の発表
- 粗利益率(長期レンジ 60〜65%)と、メモリの値引きの影響
- 中国の売上比率(2026 年 6 月期 30%、2026 暦年は 20% 台半ばの見通し)と、米商務省の規制(2026 年 11 月の関連会社規則)
- NAND・DRAM の契約価格(設備投資の先行指標)と、先端パッケージのプロセス管理売上(2026 暦年に約 11 億ドル)
倍率と資本コストの決め方
先に事業ごとに数量 × 価格で 10 年の売上と営業利益を積み、次に ROE・g・k から倍率を決め、今の株価と比べたのは最後。倍率は利益ベースの正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) の 7〜10 割。k = 8.25%(基本 8% + 循環 0.75% − 値決め 0.5%)、g は 4.5%(structural:工程が増え検査・計測の必要が WFE より速く増える)、RONIC = k + 2/3 ×(帳簿の ROE − k)、堀は強い(検査・計測で約 6 割・2 番手の約 6 倍・切り替えの難しさ)。10 年後の中立は ROE 37% で正当化 PER 22.3 倍、その 8.5 割の 19.0 倍(純現金込みの実効)。今の PER 45 倍・PBR 34 倍をそのまま持ち込んでいない。結果は今の時価総額を 3 割台半ば下回り、同じ領域の会社と同じ方向(割高)に出ており、KLA の質の高さは谷の浅さと利益率の高さで筋書きに入れ済み。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 5% + β 1.31 × 5%。k = 基本 8.0% + quality +0.25% = 8.25%。設備投資の循環を k に +0.75% 入れ、値決めの強さを −0.5% で相殺して +0.25%。堀(強い)を残る割合の側で使っているので、k の下げは −0.5% までに留めた。個別のリスク(競合の参入・中国の規制・循環の山と谷)は k に足さず、筋書きの数量・利益率と確率で表した。存続は危うくないので上乗せ 0。