結論
PTC は、製造業が製品を設計し(CAD:Creo・Onshape)、設計データと変更を管理し(PLM:Windchill)、ソフト開発(Codebeamer)と出荷後の保守(ServiceMax)・品質(Arena)まで一貫して扱う会社。FY26(2026 年 9 月期)の売上見通しは 26.9〜27.5 億ドル。2026 年 10 月にシュナイダーエレクトリックが全額現金で会社全体約 226 億ドルの買収に合意したが、完了は 2027 年第 3 四半期の見込みで、成立していないので PTC 単体で書き、買収価格には寄せていない。筆者の結論は割高。
Windchill(PLM)は製品の部品表・変更履歴・規制対応の記録の正本で、乗り換えに数年の移行が要る。開示の証拠は、部品表と変更管理が実務に埋め込まれていること、規制業界(医療・航空)の追跡要件の 2 つ。ここは記録の正本として数量1.05倍、価格1.20倍(物価に届かない)とし、g をこの部分の利益比で0.5%だけ認めた。Creo(機械 CAD)は設計者の席と設計資産の混合で数量0.95倍、Onshape と Codebeamer・ServiceMax は席課金の面が強く、AI が設計・コード・保守作業を肩代わりして席が圧縮される側として扱った(Codebeamer 系は数量0.88倍)。AI を単体の売り物にして売上が出る開示は確かめられなかったので、楽観でも数量は上限を抑えた。
中立の売上は今の1.17倍の30.8億ドル、純利益は8.6億ドル。k は基本 8.0% に景気と寿命の上乗せ+0.75%で8.75%、倍率は11.7倍。やや悲観と悲観の確率は合わせて35%。本質価値は 72.0億ドル、買収の提示額が入った今の時価総額 221億ドル に対して-67%で、評価は割高。シュナイダーが払う額は、単体価値に統合効果を上乗せした値と読める。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、Windchill の部品表・変更管理は製品の記録の正本で、規制業界の追跡要件もあり、10 年後も存在する確信は高い。この部分だけ長く続く値上げを認める。
しかし CAD と開発ツールは席で売る商売で、AI が設計や開発を肩代わりすれば席が減る。買収の償却を含めても GAAP の営業利益率は 33% と高いが、これは Kepware 売却後の水準で、自社株買いは約 16 億ドル実行済み、その分は自己資本から引いた。
本質価値は 72.0億ドル で、シュナイダーの買収提示額が入った今の時価総額 221億ドル に対して-67%。提示額は統合効果を含む値で、単体では払えない。堀の部分には払うが、席の面には払わない。10 年後の利益への確信は中程度で、安全域は薄い。株式報酬は費用として引いた GAAP の純利益で数えている。
何で稼ぐ会社か
PTC の売上は大きく CAD と PLM に分かれる。CAD(FY26 第 3 四半期末の ARR 10.0 億ドル、定率 +8%)は、Creo(機械設計の 3 次元 CAD。長年の基幹で、大手の製造業が使う)と Onshape(クラウドだけで動く CAD と製品データ管理。2019 年に買収)。PLM(ARR 14.5 億ドル、+10%)は、Windchill(製品の構成・変更・工程のデータを管理する PLM)が中心で、Codebeamer(ソフトの要件と試験の管理=ALM)、ServiceMax(出荷後の保守と現場サービス)、Arena(クラウドの PLM と品質管理)が加わる。PTC は ARR の製品別の内訳を開示しないので、本稿の製品別の売上は推定である。
顧客は自動車・航空・機械・電機・医療機器などの設計と製造の企業で、顧客数は 3 万社超。Creo と Windchill の標準化は一度入ると変えにくく、更新率が高い。販売は直販が ARR の約 6 割で、チャネル経由の ARR の伸び(+12.6%)が直販(+7.8%)を上回る。地域はアメリカ 約 4 割・欧州 約 3 割強・アジア 約 2 割半。
会計の仕組みに注意が要る。Creo や Windchill は期間契約の使用許諾で、契約の開始時に使用許諾の売上の大半が計上される(ASC 606)。ARR(年間の契約額)と GAAP の売上は期間がずれ、FY26 第 3 四半期は大型契約の期間が短くなって売上が見通しの中央を下回った。売上 9 か月分の内訳は使用許諾 8.4 億ドル・サポートとクラウド 11.5 億ドル・サービス 0.7 億ドル。FY25 は売上 27.4 億ドル、GAAP 営業利益率 36.8%、純利益 7.3 億ドル。FY26 は売却事業を除くと売上は 26 億ドル台前半、GAAP 営業利益率は 33% 前後と見る。
優良さと弱いところ
堀は 4 つある。第一は切り替えの費用で、Windchill は部品表・変更・図面の履歴を持つ企業の基幹で、移すには数年かかる。更新率は高く、第 3 四半期は競合の乗り換え金額が前年比で約 2 倍になったと会社は述べる。第二は CAD の資産で、Creo の設計データと設計者の習熟がある。第三は CAD と PLM の一体提供(デジタルスレッド)。第四は費用の規律で、非 GAAP の営業利益率は第 3 四半期 41.4% と、ダッソー・システムズ(非 IFRS 32.0%・2025 年)やオートデスク(第 4 四半期 38%)より高い。
弱みも明確である。規模では PLM でシーメンス(Teamcenter)とダッソー・システムズ(ENOVIA・3DEXPERIENCE)の 2 社が大きく、CAD でもソリッドワークス・NX・インベンターと競る 3 番手以下。オートデスクの製造業向けは FY26 に 13.8 億ドル(+16%)と伸びが速い。Onshape は ARR が小さく、GAAP では利益がほとんど出ていない(推定)。ARR は伸びても GAAP の売上が期間のずれで遅れる点も、数字の読みにくさになる。
資本効率は高い。帳簿の ROE は FY25 に 19%、自己資本は大きな自社株買いで縮み続けている。純有利子負債は 11 億ドル(Debt/EBITDA 1.0 倍)で時価総額の 5%。のれんと買収の無形資産(ServiceMax・Arena・Codebeamer)が大きく、買収で伸びを買った分は ROE から除かない。株式報酬は年 2.5 億ドル前後で売上の約 9% と重く、GAAP の純利益から引かれている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
製造業向けの設計・製品管理ソフトは、CAD(機械設計)が 120 億ドル前後、PLM が 140 億ドル前後、ソフト開発・保守・品質(ALM・SLM・QMS)が 80 億ドル前後と推定する(調査会社の PLM 市場 366 億ドルはサービスを含む広い定義で、ソフトだけを抜いた推定)。実質で年 2% 前後(CAD 1.5%・PLM 3%)伸び、価格は物価並みに上がるのが標準で、名目では年 5〜6% の市場になる。
競合の位置を見る。ダッソー・システムズは 2025 年の売上 62.4 億ユーロ・非 IFRS 営業利益率 32.0%・2026 年の増収見通し 3〜5% と、PLM と CAD の両方に大きな基盤を持つが、伸びは PTC の ARR(9%)より遅い。シーメンスは Teamcenter と NX で PLM の最大手、オートデスクは Fusion と製造業向けで中堅に強い。PTC の ARR の伸びは、乗り換えと Windchill・Codebeamer の拡張で大手より速い。
構造の変化は 3 つ。第一に生成 AI で、設計の自動化が座席を減らすかどうかが数量を決める。PTC は設計・変更・保守の「統制されたデータ」が AI の土台になると主張し、ServiceMax の AI で現場の準備時間を 50% 減らせた事例を挙げる。第二にクラウド化で、Onshape の API 呼び出しは AI 新興企業から 3 倍になったという。第三にシュナイダーエレクトリック(AVEVA)による買収で、産業ソフトの設計から運用までの一体化が進む可能性がある。循環の面では、製造業の設備投資の鈍り(関税など)で大型契約の期間が短くなる影響が出始めている。
【AIエージェント代替】設計・開発ソフトの席課金は AI の影響を受ける。10 年の中立は売上が今の1.17倍になると置き、市場全体の穏やかな成長は個別評価では採らない。
資本政策と M&A
還元は自社株買いが中心で、配当はない。FY26 の自社株買いは約 16.25 億ドルと当初の見通し(12.3〜13.3 億ドル)を上回り、第 3 四半期だけで 5.25 億ドルを「株価が圧縮された」ことを理由に買った。希薄化後株数は FY25 の 121 百万株から FY26 の約 116 百万株へ減る。ただし株式報酬が年 2.5 億ドル前後あり、自社株買いの一部はこれを打ち消すだけなので、正味の還元は自社株買いから株式報酬を引いて見る。
買収は ServiceMax(2023 年・約 15 億ドル)、Arena(2024 年・約 7 億ドル)と積み、2026 年 3 月に Kepware と ThingWorx を約 5.2 億ドルで売却(売却益 4.6 億ドル)した。この売却益は GAAP の純利益(9 か月 8.8 億ドル)に一度だけ入っており、本稿は売却事業を除いた継続の利益で測る。今後は小さな補完買収に絞る方針。借金は 14.2 億ドル・現金 3.5 億ドルで、借り換えは約 5.75% で織り込んだ。
最大の資本政策の話は、シュナイダーエレクトリックによる買収である(2026 年 10 月 4 日合意)。会社全体で約 226 億ドル・企業価値 約 237 億ドルの全額現金で、PTC 側の解約金は 7 億ドル、ノーショップ(競合の買収提案を探さない)で、より良い提案が出た場合だけ例外がある。シュナイダーは年 2.5 億ユーロの費用の効果と約 8 億ユーロの売上の効果を見込む。成立しない場合や、より高い提案が出る場合は、PTC は単体の会社に戻る。
決算期末後〜最新四半期にすでに実行した自社株買い 13.3 億ドル(10-Q のキャッシュフロー)は、今の株数(時価総額)に反映済みなので、10 年の還元には数えず、自己資本の起点(直近期末 38.3 億ドル)からも外した。
【還元の置き方】10 年の還元は純利益の累計の約 85% と置いた(自社株買いが中心。残り15%は小型買収)。残らない分は、伸びが止まる中立の筋書きでは成長に回す元手が要らないため返す。株式報酬は GAAP の純利益ですでに費用として引いている。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
PTC は ARR の伸びが 9% 台に加速し、売却事業を除く ARR は 24.5 億ドル、FY26 の純増は 2.1 億ドルを超える。繰延 ARR(契約したが ARR に入っていない分)は翌年に前年の約 2 倍へ変わる見込みで、売上は ARR に遅れて追いつく。乗り換えの金額は前年比で約 2 倍、更新率と営業の生産性も改善している。Winnebago の Onshape 採用は同社最大の案件で、API の呼び出しは AI 新興企業から 3 倍。
利益率は上がる。非 GAAP の営業利益率は 41.4%(会社は費用を ARR の伸びの半分で増やす方針)で、ダッソー・システムズやオートデスクを上回る。GAAP でも 9 か月で 33%、第 3 四半期は 27.7% と費用の一時分(売却関連)を除けば 30% 台半ば。FCF は FY26 に約 8.5 億ドル(売却の税 1 億ドル・費用 0.5 億ドルを含み、継続では 9 億ドルを超える)。
AI は PTC の味方でもある。AI の導入は「統制されたデータ」を持つ企業から進み、Windchill・Codebeamer・ServiceMax がその土台になる。ServiceMax の AI 案件は最大規模(7 桁ドル近く)で、技術者の準備時間が半分に減った。クラウド CAD に移る中堅企業は Onshape に集まる。そして今、シュナイダーエレクトリックが 226 億ドルで買うと決めた事実が、PTC の資産価値の高さを示す。
慎重な見方
売上と ARR は別物で、ARR が伸びても GAAP の売上は FY26 に売却事業を除いて 3% 前後しか伸びていない。第 3 四半期の売上は 6.0 億ドルと前年より減り、大型契約の期間が短くなっただけで見通しの中央を下回った。会計の期間のずれは、ARR の伸びを割り引いて読む理由になる。ARR の純増も第 3 四半期は 0.60 億ドルと、年の目標(2.14 億ドル)に対し第 4 四半期の 0.79〜0.92 億ドルに頼る形。
競争は不利な側にいる。PLM ではシーメンスとダッソー・システムズが規模で勝り、CAD ではソリッドワークスの顧客基盤とオートデスクの Fusion が中堅を押さえる。大手 2 社は CAD・PLM・シミュレーションの一括値引きで攻められる。Onshape は ARR が小さく GAAP でほとんど利益が出ていない。AI は設計の座席を減らす前線にあり、設計者 1 人あたりの生産性が上がれば、同じ仕事に必要な座席が減る。
利益の質にも疑問がある。株式報酬は年 2.5 億ドル、買収の無形資産の償却も続き、非 GAAP の利益率 41% と GAAP の 27〜33% には大きな差がある。FY26 の GAAP 純利益には売却益 4.6 億ドルが入っており、継続の利益は 6.6 億ドル前後にとどまる。PER 34 倍(継続の利益)は、買収の提示額が織り込まれた値で、単体の価値ではない。2016 年のように営業利益率が 4% まで崩れた先例も PTC にはある。 席課金が AI に圧縮され、PLM でも値下げが入れば、強い堀を前提にした倍率の根拠が崩れる。
どちらに重みを置いたか
強気は PLM の堀とシュナイダーの買収価格の裏付けを言い、慎重は席課金の AI による圧縮と買収価格が統合効果込みである点を言う。Windchill にだけ g を認め、他の席型は数量と価格を抑えた。やや悲観と悲観を合わせて35%。AI 代替は数量・価格に主に入れ、k・g では重ねていない。結論は割高。買収が成立しない場合の下落も、単体の価値との差として見る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/12 期)
確率で加重した株価時価総額 79.76 ドル91 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 43.05 ドル49 億ドル)。 今の値に割り戻すと 62.78 ドル72 億ドル、今との差 −67.6%、 期待の年率 −4.5%(資本コスト 8.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 99.93 ドル115 億ドル | 51.45 ドル59 億ドル | −22.0% | −2.5% | 10.60 ドル12 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 93.39 ドル107 億ドル | 49.70 ドル57 億ドル | −26.2% | −3.0% | 28.62 ドル33 億ドル |
| 中立 | 38% | 87.46 ドル100 億ドル | 47.09 ドル54 億ドル | −30.6% | −3.6% | 51.13 ドル59 億ドル |
| やや悲観 | 23% | 71.51 ドル82 億ドル | 41.86 ドル48 億ドル | −41.6% | −5.2% | 26.07 ドル30 億ドル |
| 悲観 | 12% | 36.71 ドル42 億ドル | 16.57 ドル19 億ドル | −72.5% | −12.1% | 6.39 ドル7 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 79.76 ドル91 億ドル | 43.05 ドル49 億ドル | −36.7% | −4.5% | 122.81 ドル141 億ドル |
今の株価時価総額 194.00 ドル222 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 7% PLM の堀が効き、席の減りが小さく単価も上がる 利益 10 億ドル · PER 11.7 倍 · 株価時価総額 99.93 ドル115 億ドル
Windchill の堀が効き、Creo も設計席が減らない最良の筋書き。AI を売り物にした売上の金額開示は確かめられないので、Creo の数量は今の1.00倍が上限、Onshape はクラウド移行で1.25倍。売上は33.7億ドル、純利益は9.8億ドル。 内訳はCreo=数量1.00倍・価格1.25倍・利益率45.8%、Onshape=数量1.25倍・価格1.15倍・利益率7.1%、Windchill=数量1.05倍・価格1.28倍・利益率39.1%、ALM・サービス・品質=数量1.00倍・価格1.15倍・利益率12.4%。 この筋書きの確率は7%。結果は、売上が今の1.28倍の33.7億ドル、営業利益13.2億ドル、純利益9.8億ドル、自己資本51.0億ドル、10年の正味の還元59.0億ドル、時価総額115億ドル(PER11.7倍)。
- Creo(機械 CAD):数量 120(対象市場の実質規模(億ドル・FY26 価格))× 価格 9.4%(1 億ドルの市場あたりの PTC 売上(億ドル)= シェア × 価格の倍率)→ 売上 11 億ドル・営業利益 5 億ドル。数量1.00倍・価格1.25倍・営業利益率45.8%(人月と記録の正本の混合)
- Onshape(クラウド CAD):数量 25.0(対象市場の実質規模(億ドル・FY26 価格))× 価格 11.8%(1 億ドルの市場あたりの PTC 売上(億ドル)= シェア × 価格の倍率)→ 売上 3 億ドル・営業利益 0 億ドル。数量1.25倍・価格1.15倍・営業利益率7.0%(席課金型)
- Windchill(PLM):数量 147(対象市場の実質規模(億ドル・FY26 価格))× 価格 9.2%(1 億ドルの市場あたりの PTC 売上(億ドル)= シェア × 価格の倍率)→ 売上 13 億ドル・営業利益 5 億ドル。数量1.05倍・価格1.28倍・営業利益率39.1%(記録の正本型)
- ALM・サービス・品質(Codebeamer・ServiceMax・Arena):数量 80.0(対象市場の実質規模(億ドル・FY26 価格))× 価格 7.5%(1 億ドルの市場あたりの PTC 売上(億ドル)= シェア × 価格の倍率)→ 売上 6 億ドル・営業利益 1 億ドル。数量1.00倍・価格1.15倍・営業利益率12.4%(席課金型)
倍率:10年より先の名目の伸びg=0.50%(記録の正本の部分だけ物価並みの値上げが続く。利益の加重)の正当化PER:事業のROE19.0%、RONIC=k+0.67×(ROE−k)=15.6%、(1−g÷RONIC)÷(k−g)=11.7倍。純利益はGAAP(株式報酬は費用)。AIエージェント代替はgと別に数量・k・確率へ入れ済みで、PERの上に割引は重ねない。
確率:AI を売り物にした金額開示がなく、楽観でも数量は上限を抑えた。7%。
やや楽観 20% Windchill が伸び、設計席は横ばい 利益 9 億ドル · PER 11.7 倍 · 株価時価総額 93.39 ドル107 億ドル
Windchill 1.05倍・1.24倍、Creo 0.97倍。Codebeamer 系は0.94倍。売上は32.4億ドル、純利益は9.1億ドル。 内訳はCreo=数量0.97倍・価格1.24倍・利益率44.5%、Onshape=数量1.25倍・価格1.15倍・利益率6.8%、Windchill=数量1.05倍・価格1.24倍・利益率38.0%、ALM・サービス・品質=数量0.94倍・価格1.13倍・利益率12.1%。 この筋書きの確率は20%。結果は、売上が今の1.23倍の32.4億ドル、営業利益12.3億ドル、純利益9.1億ドル、自己資本50.0億ドル、10年の正味の還元57.0億ドル、時価総額107億ドル(PER11.7倍)。
- Creo(機械 CAD):数量 117(対象市場の実質規模(億ドル・FY26 価格))× 価格 9.3%(1 億ドルの市場あたりの PTC 売上(億ドル)= シェア × 価格の倍率)→ 売上 11 億ドル・営業利益 5 億ドル。数量0.97倍・価格1.24倍・営業利益率44.5%(人月と記録の正本の混合)
- Onshape(クラウド CAD):数量 25.0(対象市場の実質規模(億ドル・FY26 価格))× 価格 11.8%(1 億ドルの市場あたりの PTC 売上(億ドル)= シェア × 価格の倍率)→ 売上 3 億ドル・営業利益 0 億ドル。数量1.25倍・価格1.15倍・営業利益率6.8%(席課金型)
- Windchill(PLM):数量 147(対象市場の実質規模(億ドル・FY26 価格))× 価格 8.8%(1 億ドルの市場あたりの PTC 売上(億ドル)= シェア × 価格の倍率)→ 売上 13 億ドル・営業利益 5 億ドル。数量1.05倍・価格1.24倍・営業利益率38.0%(記録の正本型)
- ALM・サービス・品質(Codebeamer・ServiceMax・Arena):数量 75.2(対象市場の実質規模(億ドル・FY26 価格))× 価格 7.4%(1 億ドルの市場あたりの PTC 売上(億ドル)= シェア × 価格の倍率)→ 売上 6 億ドル・営業利益 1 億ドル。数量0.94倍・価格1.13倍・営業利益率12.1%(席課金型)
倍率:10年より先の名目の伸びg=0.50%(記録の正本の部分だけ物価並みの値上げが続く。利益の加重)の正当化PER:事業のROE18.2%、RONIC=k+0.67×(ROE−k)=15.1%、(1−g÷RONIC)÷(k−g)=11.7倍。純利益はGAAP(株式報酬は費用)。AIエージェント代替はgと別に数量・k・確率へ入れ済みで、PERの上に割引は重ねない。
確率:PLM の堀が効く筋書き。20%。
中立 38% PLM は残るが、設計・開発席が AI で圧縮される 利益 9 億ドル · PER 11.7 倍 · 株価時価総額 87.46 ドル100 億ドル
Windchill は記録の正本として数量1.05倍・価格1.20倍で伸びるが、Creo は0.95倍、Codebeamer・ServiceMax は AI が開発・保守を肩代わりして0.88倍・1.10倍。Onshape は1.25倍。売上は30.8億ドル、営業利益は11.6億ドル、純利益は8.6億ドル。 内訳はCreo=数量0.95倍・価格1.20倍・利益率43.6%、Onshape=数量1.25倍・価格1.12倍・利益率6.6%、Windchill=数量1.05倍・価格1.20倍・利益率37.2%、ALM・サービス・品質=数量0.88倍・価格1.10倍・利益率11.9%。 この筋書きの確率は38%。結果は、売上が今の1.17倍の30.8億ドル、営業利益11.6億ドル、純利益8.6億ドル、自己資本50.0億ドル、10年の正味の還元54.0億ドル、時価総額100億ドル(PER11.7倍)。
- Creo(機械 CAD):数量 114(対象市場の実質規模(億ドル・FY26 価格))× 価格 9.0%(1 億ドルの市場あたりの PTC 売上(億ドル)= シェア × 価格の倍率)→ 売上 10 億ドル・営業利益 5 億ドル。数量0.95倍・価格1.20倍・営業利益率43.6%(人月と記録の正本の混合)
- Onshape(クラウド CAD):数量 25.0(対象市場の実質規模(億ドル・FY26 価格))× 価格 11.5%(1 億ドルの市場あたりの PTC 売上(億ドル)= シェア × 価格の倍率)→ 売上 3 億ドル・営業利益 0 億ドル。数量1.25倍・価格1.12倍・営業利益率6.6%(席課金型)
- Windchill(PLM):数量 147(対象市場の実質規模(億ドル・FY26 価格))× 価格 8.6%(1 億ドルの市場あたりの PTC 売上(億ドル)= シェア × 価格の倍率)→ 売上 13 億ドル・営業利益 5 億ドル。数量1.05倍・価格1.20倍・営業利益率37.2%(記録の正本型)
- ALM・サービス・品質(Codebeamer・ServiceMax・Arena):数量 70.4(対象市場の実質規模(億ドル・FY26 価格))× 価格 7.1%(1 億ドルの市場あたりの PTC 売上(億ドル)= シェア × 価格の倍率)→ 売上 5 億ドル・営業利益 1 億ドル。数量0.88倍・価格1.10倍・営業利益率11.9%(席課金型)
倍率:10年より先の名目の伸びg=0.50%(記録の正本の部分だけ物価並みの値上げが続く。利益の加重)の正当化PER:事業のROE17.0%、RONIC=k+0.67×(ROE−k)=14.3%、(1−g÷RONIC)÷(k−g)=11.7倍。純利益はGAAP(株式報酬は費用)。AIエージェント代替はgと別に数量・k・確率へ入れ済みで、PERの上に割引は重ねない。
確率:設計・開発席が圧縮される中心の筋書き。38%。
やや悲観 23% AI 設計ツールと大手の値引きで席と単価が下がる 利益 7 億ドル · PER 11.6 倍 · 株価時価総額 71.51 ドル82 億ドル
AI 設計ツールが設計者の作業を圧縮し、ダッソー・シーメンスの値引きが入る。Creo 0.87倍・1.16倍、Codebeamer 系0.81倍。売上は27.5億ドル、純利益は7.0億ドル。 内訳はCreo=数量0.87倍・価格1.16倍・利益率39.2%、Onshape=数量1.15倍・価格1.09倍・利益率5.9%、Windchill=数量0.97倍・価格1.16倍・利益率33.5%、ALM・サービス・品質=数量0.81倍・価格1.07倍・利益率10.7%。 この筋書きの確率は23%。結果は、売上が今の1.05倍の27.5億ドル、営業利益9.5億ドル、純利益7.0億ドル、自己資本49.0億ドル、10年の正味の還元48.0億ドル、時価総額82.0億ドル(PER11.6倍)。 10年の純利益の累計は71.6億ドル(起点の純利益から最終年へ、毎年ほぼ一定の率または幅で動く道筋で積んだ)で、自己資本は今に累計を足して還元を引いた。
- Creo(機械 CAD):数量 105(対象市場の実質規模(億ドル・FY26 価格))× 価格 8.8%(1 億ドルの市場あたりの PTC 売上(億ドル)= シェア × 価格の倍率)→ 売上 9 億ドル・営業利益 4 億ドル。数量0.87倍・価格1.16倍・営業利益率39.3%(人月と記録の正本の混合)
- Onshape(クラウド CAD):数量 23.0(対象市場の実質規模(億ドル・FY26 価格))× 価格 11.1%(1 億ドルの市場あたりの PTC 売上(億ドル)= シェア × 価格の倍率)→ 売上 3 億ドル・営業利益 0 億ドル。数量1.15倍・価格1.09倍・営業利益率6.0%(席課金型)
- Windchill(PLM):数量 135(対象市場の実質規模(億ドル・FY26 価格))× 価格 8.3%(1 億ドルの市場あたりの PTC 売上(億ドル)= シェア × 価格の倍率)→ 売上 11 億ドル・営業利益 4 億ドル。数量0.97倍・価格1.16倍・営業利益率33.5%(記録の正本型)
- ALM・サービス・品質(Codebeamer・ServiceMax・Arena):数量 64.8(対象市場の実質規模(億ドル・FY26 価格))× 価格 6.9%(1 億ドルの市場あたりの PTC 売上(億ドル)= シェア × 価格の倍率)→ 売上 4 億ドル・営業利益 0 億ドル。数量0.81倍・価格1.07倍・営業利益率10.7%(席課金型)
倍率:10年より先の名目の伸びg=0.50%(記録の正本の部分だけ物価並みの値上げが続く。利益の加重)の正当化PER:事業のROE14.5%、RONIC=k+0.67×(ROE−k)=12.6%、(1−g÷RONIC)÷(k−g)=11.6倍。純利益はGAAP(株式報酬は費用)。AIエージェント代替はgと別に数量・k・確率へ入れ済みで、PERの上に割引は重ねない。
確率:競合の AI 機能で席と単価が下がる筋書き。23%。
悲観 12% 生成設計とクラウド CAD の競争で席課金が崩れる 利益 4 億ドル · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 36.71 ドル42 億ドル
生成設計とクラウド CAD の競争で席課金が崩れ、PLM でも値下げ。Creo 0.68倍、Codebeamer 系0.63倍、利益率は26.2%(Creo)まで落ちる。売上は20.0億ドル、純利益は3.7億ドル。 内訳はCreo=数量0.68倍・価格1.08倍・利益率26.2%、Onshape=数量0.90倍・価格1.01倍・利益率3.8%、Windchill=数量0.76倍・価格1.08倍・利益率22.3%、ALM・サービス・品質=数量0.63倍・価格0.99倍・利益率7.1%。 この筋書きの確率は12%。結果は、売上が今の0.76倍の20.0億ドル、営業利益5.0億ドル、純利益3.7億ドル、自己資本57.0億ドル、10年の正味の還元19.0億ドル、時価総額42.1億ドル(PER11.4倍)。 10年の純利益の累計は51.1億ドル(起点の純利益から最終年へ、毎年ほぼ一定の率または幅で動く道筋で積んだ)で、自己資本は今に累計を足して還元を引いた。
- Creo(機械 CAD):数量 82.1(対象市場の実質規模(億ドル・FY26 価格))× 価格 8.1%(1 億ドルの市場あたりの PTC 売上(億ドル)= シェア × 価格の倍率)→ 売上 7 億ドル・営業利益 2 億ドル。数量0.68倍・価格1.08倍・営業利益率26.2%(人月と記録の正本の混合)
- Onshape(クラウド CAD):数量 18.0(対象市場の実質規模(億ドル・FY26 価格))× 価格 10.3%(1 億ドルの市場あたりの PTC 売上(億ドル)= シェア × 価格の倍率)→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。数量0.90倍・価格1.01倍・営業利益率4.0%(席課金型)
- Windchill(PLM):数量 106(対象市場の実質規模(億ドル・FY26 価格))× 価格 7.7%(1 億ドルの市場あたりの PTC 売上(億ドル)= シェア × 価格の倍率)→ 売上 8 億ドル・営業利益 2 億ドル。数量0.76倍・価格1.08倍・営業利益率22.3%(記録の正本型)
- ALM・サービス・品質(Codebeamer・ServiceMax・Arena):数量 50.7(対象市場の実質規模(億ドル・FY26 価格))× 価格 6.4%(1 億ドルの市場あたりの PTC 売上(億ドル)= シェア × 価格の倍率)→ 売上 3 億ドル・営業利益 0 億ドル。数量0.63倍・価格0.99倍・営業利益率7.1%(席課金型)
倍率:10年より先の名目の伸びg=0.00%(人月・席の型は0%以下。実質の縮みは10年の数量に入れ済み)で、利益を全部株主に分ける形の正当化PER=1÷(k−g)=1÷(8.8%+-0.00%)=11.4倍(事業のROE6.5%)。純利益はGAAP(株式報酬は費用)。AIエージェント代替はgと別に数量・k・確率へ入れ済みで、PERの上に割引は重ねない。
確率:席課金が崩れる筋書き。12%で、やや悲観と合わせて35%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
Creo(機械 CAD)
製造業向けの 3 次元機械設計 CAD。長年の基幹で、大手の自動車・航空・機械が使う。期間契約。
| 数量対象市場の実質規模(億ドル・FY26 価格) | 価格1 億ドルの市場あたりの PTC 売上(億ドル)= シェア × 価格の倍率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 120 | 7.5% | 9 | 4 |
| 10 年後 中立 | 114 | 9.0% | 10 | 5 |
取り方:FY26(2026 年 9 月期)の Creo の売上を 9.05 億ドルと推定(PTC は製品別を開示しない。CAD 全体の ARR は 10.03 億ドル・定率 +8%、売上は期間契約で ARR を上回る:売上÷ARR を 1.13 倍と置いた)。対象市場は製造業向けの機械 CAD(Creo・ソリッドワークス・NX・インベンター・Solid Edge など)で約 120 億ドルと推定、シェアは約 7.5%。価格は中立で物価並み(3 年 1.11 倍・10 年 1.41 倍)。利益率は継続の GAAP 営業利益率 33.1%(売上 26.3 億ドル・営業利益 8.7 億ドル)に合わせ、Creo 45%・Onshape 8%・Windchill 38%・ALM 等 13% と推定。競合はダッソー・システムズ(ソリッドワークス・CATIA)・シーメンス(NX・Solid Edge)・オートデスク(インベンター・Fusion)。 【AIエージェント代替の見直し】Creo は設計者の席に課金する CAD で、設計資産(既存モデル)が乗り換えの壁にもなる混合。AI が設計補助を担えば席は減りうる。数量0.95倍、価格1.20倍。売上は PTC が製品別に開示せず 9.05 億ドルと推定(CAD の ARR 10 億ドルの売上÷ARR 1.13 倍)。
Onshape(クラウド CAD)
クラウドだけで動く CAD と製品データ管理(2019 年買収)。サブスクリプション。
| 数量対象市場の実質規模(億ドル・FY26 価格) | 価格1 億ドルの市場あたりの PTC 売上(億ドル)= シェア × 価格の倍率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 20.0 | 10.3% | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 25.0 | 11.5% | 3 | 0 |
取り方:Onshape の売上を 2.05 億ドルと推定(売上 ≒ ARR の 2 億ドル前後。PTC は開示しない)。対象市場はクラウド型の CAD・製品データ管理で約 20 億ドルと推定(シェア約 10%)。Winnebago が最大の案件、API 呼び出しは AI 新興企業から 3 倍。価格は中立で物価並み。利益率は 8% と推定(サーバー費用と投資負担で GAAP の利益が小さい)。競合はオートデスク(Fusion)・ダッソー・システムズ(クラウド版ソリッドワークス・3DEXPERIENCE)・シーメンス(Solid Edge のクラウド版)。 【AIエージェント代替の見直し】Onshape はクラウド CAD で、席課金。クラウド移行でシェアを伸ばす余地がある一方、AI で席が圧縮される。小さな規模(約 2 億ドル)から数量1.25倍、価格1.12倍、利益率は低い。
Windchill(PLM)
製品の構成・変更・工程のデータを管理する PLM。大手製造業の基幹。期間契約とクラウド(Windchill+)。
| 数量対象市場の実質規模(億ドル・FY26 価格) | 価格1 億ドルの市場あたりの PTC 売上(億ドル)= シェア × 価格の倍率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 140 | 7.1% | 10 | 4 |
| 10 年後 中立 | 147 | 8.6% | 13 | 5 |
取り方:Windchill(と FlexPLM など)の売上を 10.0 億ドルと推定(PLM 全体の ARR は 14.45 億ドル・+10%。Windchill はその約 6 割、売上÷ARR を 1.14 倍と置いた)。対象市場は製造業向けの PLM ソフト(サービスを除く)約 140 億ドルと推定、シェア約 7.1%(シーメンスの Teamcenter とダッソー・システムズの ENOVIA・3DEXPERIENCE が上位、SAP・オラクル・アラスなどが続く)。価格は中立で物価並み。利益率は 38% と推定。 【AIエージェント代替の見直し】Windchill(PLM)は部品表・変更履歴・規制対応の記録の正本で、乗り換えに数年かかる。開示の証拠は部品表と変更管理の実務への埋め込み、規制業界の追跡要件の 2 つなので堀として認める。数量1.05倍、価格1.20倍(物価に届かない)。g はこの部分の利益比で+0.5%。
ALM・サービス・品質(Codebeamer・ServiceMax・Arena)
ソフト開発の要件と試験の管理(Codebeamer)、出荷後の保守・現場サービス(ServiceMax)、クラウド PLM と品質管理(Arena)。
| 数量対象市場の実質規模(億ドル・FY26 価格) | 価格1 億ドルの市場あたりの PTC 売上(億ドル)= シェア × 価格の倍率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 80.0 | 6.5% | 5 | 1 |
| 10 年後 中立 | 70.4 | 7.1% | 5 | 1 |
取り方:これらの売上を 5.2 億ドルと推定(PLM の ARR のうち Windchill 以外の約 4 割弱が ARR 5.7 億ドル前後、クラウドの ServiceMax・Arena は売上 ≒ ARR で、売上÷ARR を 0.92 倍と置いた。ServiceMax・Arena の買収の無形資産の償却を費用に含む)。対象市場はソフト開発の ALM・現場サービス管理(SLM)・品質管理(QMS)で約 80 億ドルと推定、シェア約 6.5%。価格は中立で物価並み。利益率は買収の償却を含めて 13% と推定。競合はアトラシアン(Jira)・IBM・シーメンス(Polarion)・サービスナウ・セールスフォース・オラクルなど。 【AIエージェント代替の見直し】Codebeamer・ServiceMax・Arena は開発者・保守担当者の席で売る面が強く、AI が開発・保守作業を直接こなせば席が圧縮される。数量0.88倍、価格1.10倍。買収の償却を含む低い利益率を前提に置いた。
リスクと懸念
AI エージェント代替(設計・開発席の圧縮)
PTC は CAD・ALM の席課金が売上の相当部分を占め、AI が設計補助・コード生成・保守作業を担えば席が減る。PLM は記録の正本として残るが、中立の売上は今の1.17倍、悲観では0.76倍と置いた。
大手 2 社との規模の差と値引き
シーメンスとダッソー・システムズは PLM と CAD の両方で大きく、シミュレーションまで含めた一括提供で値引きを仕掛けられる。オートデスクは製造業向けが FY26 に 13.8 億ドル(+16%)と速く伸びる。PTC は 3 番手以下で、価格決定力に限りがある。
ARR と GAAP の売上のずれ
期間契約の使用許諾は開始時に売上の大半が立つので、契約の期間が短くなる・更新が遅れるだけで売上が見通しを下回る(FY26 第 3 四半期に実際に起きた)。ARR が伸びても売上が遅れる状態が続くと、利益の読みが外れやすい。
買収の統合と減損
ServiceMax(約 15 億ドル)・Arena(約 7 億ドル)・Codebeamer は伸びに頼る買収で、ARR が計画に届かなければのれんの減損が出る。買収無形資産の償却も GAAP の利益を押し下げる。
株式報酬と自社株買いの質
株式報酬は年 2.5 億ドル前後で売上の約 9%、GAAP の利益から引かれる。FY26 の自社株買いは約 16 億ドルで、借金(14.2 億ドル)も使った。株価が割高な局面での買い戻しは、株主の価値を壊しうる。
シュナイダーの買収の不確実性
成立は 2027 年第 3 四半期の見込みで、株主の過半数・米国の独禁(HSR)・CFIUS・各国の承認が条件。未成立の間は、成否によって PTC の株価が今の織り込みから大きく動く。解約金 7 億ドルはより良い提案が出た場合の例外にとどまる。
製造業の循環と関税
製造業の設備投資が鈍ると、大型契約の期間が短くなり、新規の座席の追加も止まる。関税や景気の波で自動車・機械が投資を絞ると影響が大きい。2008〜09 年(FY2009 に売上約 12% 減・営業利益は 3 分の 1)の例があり、2016 年にも営業利益率が 4% まで崩れた。
今後の分かれ目
- シュナイダーとの合意が株主投票・独禁・CFIUS をすべて通過し、完了したら
- 株主は現金を受け取って終わる。単体の本質価値より低くても高くても、成立の条件は提示額で決まる。単体の本質価値が提示額より低いなら、成立は株主にとって有利と読む。
- 承認が下りない、または他社がより高い提案を出したら
- 解約金 7 億ドルとノーショップの例外の動き方を見る。単体に戻る場合は、本稿の単体の本質価値(5 つの筋書きの加重)が出発点で、慎重な見方の確率を上げる。
- 売却事業を除く ARR の伸びが 9% を割り、Q4 の純増が 0.79 億ドルを下回ったら
- 加速の筋書きが崩れた合図。10 年の楽観・やや楽観の確率を下げ、やや悲観を上げる。
- 売上が 2 四半期続けて ARR の伸びを大きく下回ったら
- 会計のずれでなく大型契約の期間短縮や更新の遅れが構造化している合図。利益率と 10 年の中立の売上を見直す。
- オートデスク・ダッソー・システムズ・シーメンスの製造業向けの伸びが PTC を 2 年続けて上回ったら
- シェアの流出が始まった合図。Creo と Windchill のシェアを下げ、やや悲観の確率を上げる。
- ServiceMax・Arena・Codebeamer で ARR が計画に届かず減損が出たら
- 買収の資本配分に疑い。ALM・サービス・品質の伸びと利益率を引き下げる。
- AI 機能が単体の売上として開示され、席数が減っても売上が伸びたら
- 席に依存しない課金への移行が成功している合図。席型の数量を上方に見直す。
- Windchill の更新率や ARR の伸びが 2 年続けて鈍ったら
- 記録の正本の堀の前提が崩れる合図。g を外し、PLM を席型へ移す。
見ておくもの
- ARR(売却事業を除く・定率)と純増、繰延 ARR の変換、更新率
- GAAP の営業利益率(売却関連を除く継続)と株式報酬の額
- CAD・PLM の製品別 ARR の伸び(Creo・Onshape・Windchill・Codebeamer・ServiceMax)
- 競合の乗り換え金額、オートデスク・ダッソー・システムズ・シーメンスの製造業向けの伸び
- 自社株買いの額・株数、純負債と Debt/EBITDA
- シュナイダー買収の株主投票・HSR・CFIUS・各国の承認の進み方
- AI 機能の売上開示と、CAD・ALM の席数・ARR の動き
倍率と資本コストの決め方
今の時価総額 221億ドル(買収提示額を織り込み済み)は見ずに、4 領域を型で分けて数量と価格を置いた。倍率は正当化 PER で、k は基本 8.0% + 景気 0.25 + 寿命 0.5 = 8.75%、g は Windchill の利益比で0.5%、ROE は 30% を使った。AI 代替は数量・価格に主に入れ、k・確率(悲観側35%)・g に重ねていない。純利益は GAAP。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 5% + β 0.98 × 5%。k = 基本 8.0% + quality 0.75% = 8.75%(β は使わない)。景気 +0.25(設計ソフトは製造業の設備投資に連動)、値決め・借金は 0、寿命 +0.5%(PLM の記録の正本と席型の混合)。個別のリスクは k に足さず筋書きと確率で表した。