結論
ゼブラ・テクノロジーズは、倉庫・小売・物流・医療・製造の現場で使う業務用のモバイル端末、バーコード読取機、ラベルプリンターで世界首位級の会社である。2025 年の売上は 54.0 億ドル、GAAP の営業利益 7.0 億ドル、純利益 4.2 億ドル。2025 年 9 月に小売向けの POS・タッチ画面の Elo を 13 億ドルで買い、2026 年上期は売上 +17%(既存分 +6.8%)、メモリ高騰を値上げと関税の還付で吸収し、通期の見通しを引き上げた。
売上は、端末、Elo、プリンター・スキャナー、機械視覚・RFID、ソフト・保守の 5 つについて、数量 × 価格で積んだ。10 年後の中立は売上 約 92 億ドル(年 +5.5%)、セグメント営業利益率 22%、純利益 約 11.6 億ドル。成長は市場の実質 1% と物価 3.5% から年 4.4% と置き、ROE から出していない。資本コストは基本 8.0% に quality 0.75% を足した 8.75%。倍率は利益ベースの正当化 PER(帳簿の ROE 21%、堀は普通、g 4.0%)の上限 15.5 倍の 8.5 割で、10 年後の中立は 13.2 倍、時価総額は約 153 億ドルになる。
今の PER は GAAP で 42 倍、2026 年の見込みでも 26 倍前後で、株価は第 2 四半期の発表で約 28% 上がった。スマホと AI 画像認識に専用端末が置き換わる筋書き、中国勢の安値、借金(純負債 26 億ドル)とのれん(47 億ドル)の重さを悲観に厚く入れると、確率で加重した本質価値は今の時価総額を約 43% 下回る。バリュー投資の観点では、事業は強いが値段に安全域が無い、というのが結論である。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ゼブラは「10 年後も存在する」と言える事業だが、「今より強くなるか」は条件付きである。倉庫・店舗・病院の現場でバーコードと端末が使われ続ける限り、専用端末の需要は残り、現場への組み込みという切り替えの費用が堀になる。ハネウェルの撤退は追い風である。一方、利益の質は安定していない。営業利益率は景気で 5% から 18% まで動き、2023 年のように在庫調整で売上が 2 割落ちる。2026 年の利益は、メモリ高騰を上回る値上げ、関税の還付(一回限り)、入れ替え需要が重なった山である。
オーナー利益(純利益から株式報酬と成長に要る再投資を引いたもの)は、純利益の 7〜8 割と見る。資本配分は、買収で伸びる方針が当たりもすれば外れもする(フェッチは撤退)。借金を抱えたまま自社株買いを増やしており、不況時には身動きが取りにくい。
安全域では、成熟後の妥当な PER は利益ベースで 13 倍ほど(中立)、最良の筋書きでも 16 倍弱で、今の 42 倍(2026 年の見込みでも 26 倍前後)は 10 年後の楽観を超える成長を先取りしている。株価は第 2 四半期の発表で約 28% 上がった直後で、良い会社を高い値段で買う局面にあたる。スマホ・AI による置き換えの予測が難しく、確信度にも限りがある。バリュー投資の観点では、事業は評価できるが、買ってよい値段は別の問いで、答えは今は「待つ」である。
何で稼ぐ会社か
売上の構成(2025 年)は、CF(Connected Frontline)が 29.6 億ドル、AVA(Asset Visibility & Automation)が 24.4 億ドル。2025 年第 4 四半期から、旧 EVM・AIT の区分をこの 2 つに組み替えた。CF は業務用のモバイル端末(ハンドヘルド、車載、タブレット)、2025 年 9 月 30 日に買った Elo(POS、セルフレジ、タッチ画面)、現場向けのソフト。AVA はラベル・カード・リストバンドのプリンター、バーコード読取機、ラベルとリボンなどの消耗品、機械視覚(マトロックス、アダプティブ・ビジョン、2025 年 2 月に買った 3D のフォトニオ)、RFID と位置把握である。
売上の 8 割強は端末・印刷機・消耗品などの現物で、ソフト・サービスは約 1 割台後半(9.8 億ドル)。顧客は倉庫・物流、小売・EC、製造、医療、外食、公共で、販売は流通業者経由が多く、上位 3 社の流通業者で売上の約 6 割に達する(29%・15%・15%)。地域は北米 約 5 割、EMEA 約 3 割。研究開発は年 5.9 億ドル(売上の 11%)を使う。
端末は、バーコードの読み取り精度、落としても壊れない耐久性、現場の管理ソフト(端末の一括設定・更新)が強みで、民生のスマホより高い値段でも買われる。端末が倉庫・店舗・病院にどれだけ入っているかが、保守・ソフトの収入の土台になる。2026 年は半導体メモリの価格が急騰し、ゼブラは 3 月に値上げに踏み切って費用増を上回る価格を取った。ロボット事業(フェッチ)は 2025 年末に撤退を決め、76 百万ドルの再編費を出した。
優良さと弱いところ
優良さは 3 点で見る。第 1 に、現場への組み込み。倉庫や店舗の業務システム、ラベルの様式、端末の管理ソフトが、ゼブラの端末・印刷機を前提に作られており、乗り換えには検証と再教育の費用がかかる。この切り替えの費用が堀の中心で、競合のハネウェルがモバイル端末と印刷の事業(PSS)をブレイディに売却するのも、この分野で規模を持つ側が強いことを示す。第 2 に、価格を決める力。2026 年のメモリ高騰で、値上げが費用増を上回って粗利益率は 2025 年第 2 四半期の 47.6% から 2026 年第 2 四半期は 53.0% に上がった(関税の還付 0.73 億ドルを含む)。第 3 に、利益の安定性は高くない。営業利益率は 2015〜16 年に 5〜8%、2023 年に 13%、2025 年に 15% で、景気と在庫調整(2023 年は売上 −19%)の影響を強く受ける。
経営は、2014 年のモトローラ事業の買収(約 34 億ドル)以降、買収で伸びてきた。ロボットのフェッチ(2021 年に 2.9 億ドル)は撤退に終わり、買収の当たり外れがある。ROE は 2025 年に 11.7%、2018〜21 年は 24〜31% で、借金とのれんを抱えた資本構成を考えると、この数字は事業の力よりも資本構成の影響を受ける。弱点は、借金(総額 約 28 億ドル)、のれんの重さ(47 億ドル)、流通業者への依存(上位 3 社で約 6 割)、スマホや AI による専用端末の置き換えの可能性である。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
領域「ハードウェア・受託製造・電子部品・計測」のうち、ゼブラが属するのは部品・計測の塊の中でも、現場の端末・自動認識の事業である。調査会社の推計では、業務用モバイルコンピューターの市場は 2026 年に 約 72 億ドル(年 +6.8%)、バーコード読取機を含む自動認識全体は更に広い。RFID は 約 190〜200 億ドル(年 +9〜13%)、機械視覚は 約 147 億ドル(年 +8.5%)と、成長は端末より RFID・機械視覚が速い。業界ノートの部品・計測の置き方(売上 年 +7%、利益率 22〜28%)は、端末・印刷では高めで、ゼブラの中立は年 +5.5% とした。
競争の形は、端末ではデータロジック、パナソニック、サムスンの業務用機、中国のウロボやニューランドが追う。ハネウェルは PSS(年商 約 11 億ドル)をブレイディに 14 億ドルで売ることを 2026 年 4 月に発表し、完了は 2026 年下期の予定。新しい持ち主が投資を続けるかによって、ゼブラのシェアは動く。印刷はサトー、東芝テック、TSC、エイブリィ・デニソン、機械視覚はコグネックス、キーエンス、SICK、RFID はインピンジとチェインウェイ、POS・キオスクはディーボルト・ニクスドルフ、HP、ベリフォンと競る。
循環の位置としては、2026 年は小売・医療・製造の入れ替えと値上げ、関税還付で利益が膨らんだ山の手前から山にある。メモリ価格は 2027 年にかけて高止まりが見込まれ、供給の不足が販売を一部で制約している。AI は両刃で、現場向けの AI ソフトや AI カメラは端末と機械視覚の需要を押し上げる一方、カメラ付きのスマホと AI の画像認識が単純な読み取り用途を置き換えれば、専用端末の台数が減る。
資本政策と M&A
資本政策の中心は自社株買いと借金の返済である。2025 年の自社株買いは 5.9 億ドル(2022 年は 7.5 億ドル)、2026 年上期は 5.7 億ドルと増やし、2026 年 2 月に新たに 10 億ドルの枠が承認された。配当は無い。2026 年のフリーキャッシュフローは 10 億ドル超の見通し。借金は 27.8 億ドル(2026 年 7 月)で、2025 年の Elo の買収資金を借入で賄ったため、純負債は 26 億ドルと時価総額の約 15%。借り換えで金利は約 5.75% になり、利払いの増加は小さい(純利益の中立に反映済み)。
M&A は、2014 年のモトローラのエンタープライズ事業(約 34 億ドル)、2021 年のフェッチ(2.9 億ドル)、2025 年のフォトニオ(0.6 億ドル)と Eloと、買収で成長する会社である。この会社は買収で伸びてきたので、ROE の計算にのれんを入れたままにし、倍率を引き上げる材料にしない。今後も自動認識・機械視覚の補完的な買収が続く可能性があるが、成立していない買収は筋書きに入れていない。株式報酬は年 1.6 億ドルで、自社株買いの一部はこれを打ち消す役割に回るため、還元は株式報酬を引いた正味で見る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ゼブラは現場の自動化という大きな流れの中心にいる。小売はセルフレジと在庫の見える化で 2 桁成長、医療は看護師の端末と追跡で最も速く伸び、製造は機械視覚が好調で、2026 年第 2 四半期は既存分だけで +9.2% 伸びた。メモリ高騰は値上げで吸収済みで、粗利益率は 53% に上がり、通期の調整後 EPS の見通しは当初から約 2 割引き上がった。
ハネウェルが端末と印刷(PSS)をブレイディに売り、WWS も売却に動く中、現場の標準としてのゼブラの地位は強まる。Elo の取り込みで小売の売り場まで手が届き、端末・プリンター・Elo・ソフトを束ねて売れる。RFID は端末への内蔵が進み、機械視覚は AI の検査で伸びる。ソフトと保守は 1 台あたりの課金が AI で上がる。
営業利益率は 2018〜21 年の 15〜18% から、2026 年は GAAP で 17% 台になり、規模とソフトの比重で 20% 近くまで上がる余地がある。自社株買いは年 6 億ドル台で株数を減らし、借金も 10 億ドルのフリーキャッシュフローで返せる。
慎重な見方
2026 年の利益は一回限りの要因で膨らんでいる。関税の還付 0.73 億ドルは繰り返さず、値上げは費用増を先に上回ったが、競合が追随すれば縮む。2026 年のメモリ価格の高騰は 2027 年も続く見込みで、値上げを重ねるほど顧客は入れ替えを先送りする。株価は発表で 28% 上がり、2026 年の見込みの PER が 26 倍前後と、安定した成長ではなく、一時的な山を評価している。
構造では、スマホと AI の画像認識が、バーコード読取機と軽い用途の端末を置き換える。ウロボ、ニューランド、チェインウェイなど中国勢は性能が追いつき、スキャナーや RFID は安値で入ってくる。ゼブラの販売の約 6 割は 3 社の流通業者に頼り、交渉力は流通側にある。
さらに、利益の質が弱い。営業利益率は 2015〜16 年に 5〜8%、2023 年に 13% と大きく振れ、売上は 2023 年に 19% 落ちた。ROE の 12% は、借金とのれん 47 億ドルを抱えた資本構成の割に低く、買収で伸びる戦略は、フェッチのように外れれば減損と再編費が出る。借金は 28 億ドルで金利は上がっており、不況期に自社株買いと返済の両方を続けるのは難しい。
どちらに重みを置いたか
事業の強さと 2026 年の勢いでは強気の見方が正しく、中立でも売上は年 +5.5%、セグメント営業利益率は 22% と、2025 年より高く置いた。しかし、値段と利益の質では慎重な見方が強い。利益ベースで置いた成熟後の PER は中立で 13 倍ほど、楽観でも 16 倍弱で、今の PER 42 倍は楽観すら上回る。確率は、景気と置き換えへの弱さ、借金を踏まえ、悲観を 13% と厚くし、やや悲観を 26% に置いた(中立 33%、やや楽観 20%、楽観 8%)。強気の見方が正しい部分も大きいが、確率で加重した本質価値は今の時価総額を約 43% 下回る。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 285.49 ドル136 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 135.06 ドル64 億ドル)。 今の値に割り戻すと 212.19 ドル101 億ドル、今との差 −44.8%、 期待の年率 +0.9%(資本コスト 8.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 652.59 ドル311 億ドル | 218.58 ドル104 億ドル | +126.8% | +8.5% | 69.69 ドル33 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 453.30 ドル216 億ドル | 181.07 ドル86 億ドル | +65.1% | +5.1% | 126.87 ドル61 億ドル |
| 中立 | 33% | 320.01 ドル153 億ドル | 150.05 ドル72 億ドル | +22.4% | +2.0% | 155.12 ドル74 億ドル |
| やや悲観 | 26% | 120.50 ドル58 億ドル | 97.45 ドル47 億ドル | −43.3% | −5.5% | 56.67 ドル27 億ドル |
| 悲観 | 13% | 43.80 ドル21 億ドル | 50.09 ドル24 億ドル | −75.6% | −13.1% | 12.21 ドル6 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 285.49 ドル136 億ドル | 135.06 ドル64 億ドル | +9.5% | +0.9% | 420.56 ドル201 億ドル |
今の株価時価総額 384.16 ドル183 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:現場の自動化と AI で端末・RFID・機械視覚の網が広がり、利益率が上がる 利益 20 億ドル · PER 15.6 倍 · 株価時価総額 652.59 ドル311 億ドル
医療・小売・物流・製造の現場で、端末・RFID・機械視覚・ソフトを組み合わせた自動化が進み、現場向けの AI ソフトが端末の入れ替えを促す。ハネウェルが端末事業を手放し、ゼブラの標準としての地位が強まる。端末は台数 年 +2.8%・価格 年 +4.0%(物価より 0.5 ポイント高い。AI 機能と医療用の高付加価値機)、RFID・機械視覚は年 +14% で売上 17 億ドル、Elo は 9.6 億ドル。売上は 120.2 億ドル(年 +8.4%)、セグメント営業利益率 25.6%、GAAP の営業利益は 25.4 億ドル。自社株買いで株数は減るが、買収で伸びてきた会社らしく、返済と買収の枠は残す。成長は年 5.0%(市場の実質 1.5% + 価格 3.5%、シェアと価格は中立)で上限。 成熟後の倍率は、g 4.0% の正当化 PER の上限 17.3 倍の 9 割(15.6 倍)を事業の純利益に掛けて時価総額 311 億ドル。
- モバイル端末(ハンドヘルド・車載・タブレット):数量 3.1(モバイル端末の出荷台数(百万台))× 価格 1,330(平均販売価格(米ドル))→ 売上 41 億ドル・営業利益 8 億ドル。営業利益率 20.0%
- Elo(POS・キオスク・タッチ画面):数量 1.3(出荷台数(百万台。2025 年は 3 か月分))× 価格 740(平均販売価格(米ドル))→ 売上 10 億ドル・営業利益 2 億ドル。営業利益率 21.0%
- プリンター・バーコードスキャナー・消耗品:数量 6.9(出荷台数相当(百万台。消耗品を台数に換算))× 価格 455(1 台あたり売上(米ドル。本体と消耗品))→ 売上 31 億ドル・営業利益 8 億ドル。営業利益率 25.0%
- 機械視覚・RFID・センサー:数量 2.3(出荷台数相当(百万台))× 価格 740(1 台あたり売上(米ドル))→ 売上 17 億ドル・営業利益 5 億ドル。営業利益率 27.0%
- ソフトウェア・保守サービス:数量 22.0(稼働中の接続機器(百万台))× 価格 98(1 台あたり年間課金(米ドル))→ 売上 22 億ドル・営業利益 8 億ドル。営業利益率 38.0%
倍率:買収で伸びる会社なので、のれんは除かない)。専用端末の置き換えが進まず、RFID・機械視覚も伸びる最良の筋書きでも、のれんと借金を抱え、景気で振れる。上限から少し下げて置いた。 正当化 PER の上限は 17.3 倍(g 4.0%、RONIC 22.7%。RONIC = k 8.8% + 1/2 ×(事業の ROE 36.7% − k)。堀は普通)。その 9 割の 15.6 倍に置いた。時価総額 = 事業の純利益 19.9 × 15.6 = 311 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:端末の網が広がり、RFID・機械視覚が年 +10% 超で 10 年続き、価格を決める力も保たれる。ハネウェルの端末事業の売却でシェアを取る面もあるが、全部が揃う必要があり 8%。
やや楽観 20% やや楽観:堀が保たれ、成長領域の比重が増えて売上が年 +7% で伸びる 利益 15 億ドル · PER 14.0 倍 · 株価時価総額 453.30 ドル216 億ドル
堀(端末・プリンターの販売網、ソフトとの一体、流通業者との関係)が保たれ、成長領域の RFID・機械視覚と Elo の比重が増える。端末は台数 年 +2.2%・価格 年 +3.8%、RFID・機械視覚は年 +11.5% で 13 億ドル、ソフトは AI 機能で課金が上がる。売上は 105.2 億ドル(年 +6.9%)、セグメント営業利益率 23.8%。M&A は小粒で、純負債は 7 億ドルまで減る。自社株買いは年 5〜6 億ドルを保つ。成長は年 4.7%(市場の実質 1.2% + 価格 3.5%)。 成熟後の倍率は、g 4.0% の正当化 PER の上限 16.5 倍の 8.5 割(14.0 倍)を事業の純利益に掛けて時価総額 216 億ドル。
- モバイル端末(ハンドヘルド・車載・タブレット):数量 2.9(モバイル端末の出荷台数(百万台))× 価格 1,300(平均販売価格(米ドル))→ 売上 37 億ドル・営業利益 7 億ドル。営業利益率 18.5%
- Elo(POS・キオスク・タッチ画面):数量 1.2(出荷台数(百万台。2025 年は 3 か月分))× 価格 720(平均販売価格(米ドル))→ 売上 8 億ドル・営業利益 2 億ドル。営業利益率 19.5%
- プリンター・バーコードスキャナー・消耗品:数量 6.5(出荷台数相当(百万台。消耗品を台数に換算))× 価格 440(1 台あたり売上(米ドル。本体と消耗品))→ 売上 29 億ドル・営業利益 7 億ドル。営業利益率 23.5%
- 機械視覚・RFID・センサー:数量 1.9(出荷台数相当(百万台))× 価格 720(1 台あたり売上(米ドル))→ 売上 13 億ドル・営業利益 3 億ドル。営業利益率 25.0%
- ソフトウェア・保守サービス:数量 20.0(稼働中の接続機器(百万台))× 価格 90(1 台あたり年間課金(米ドル))→ 売上 18 億ドル・営業利益 6 億ドル。営業利益率 36.0%
倍率:買収で伸びる会社なので、のれんは除かない)。現場への組み込みで価格を決める力は保たれるが、買収の履歴があり景気に振れる。上限から一段下げて置いた。 正当化 PER の上限は 16.5 倍(g 4.0%、RONIC 18.4%。RONIC = k 8.8% + 1/2 ×(事業の ROE 28.1% − k)。堀は普通)。その 8.5 割の 14.0 倍に置いた。時価総額 = 事業の純利益 15.4 × 14.0 = 216 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:堀が保たれ、成長領域(RFID・機械視覚・医療)の比重が増える。2 割。
中立 33% 中立:専用端末の地位は保たれ、売上は年 +5.5%、利益率は 22% 前後で安定 利益 12 億ドル · PER 13.2 倍 · 株価時価総額 320.01 ドル153 億ドル
端末は台数 年 +1.3%・価格は物価並みで 1,263 米ドル、Elo は 7.1 億ドル、プリンター・スキャナーは台数がほぼ横ばいで価格は物価をやや下回る。RFID・機械視覚は年 +8.7% で 10.4 億ドル、ソフトは 15.2 億ドル。売上は 91.7 億ドル(年 +5.5%)、セグメント営業利益率は 22.0%(2025 年は 20.4%)、GAAP の営業利益は 15.0 億ドル。ハネウェルの端末事業はブレイディのもとで残るが、ゼブラは上位を保つ。スマホ型の端末が一部の用途を取るが、専用端末の耐久性・スキャン性能・管理ソフトの優位は残る。成長は年 4.4%(市場の実質 1.0% + 価格 3.5%、置き換えによるシェアの目減り −0.1%)。 成熟後の倍率は、g 4.0% の正当化 PER の上限 15.5 倍の 8.5 割(13.2 倍)を事業の純利益に掛けて時価総額 153 億ドル。
- モバイル端末(ハンドヘルド・車載・タブレット):数量 2.6(モバイル端末の出荷台数(百万台))× 価格 1,263(平均販売価格(米ドル))→ 売上 33 億ドル・営業利益 6 億ドル。営業利益率 17.0%
- Elo(POS・キオスク・タッチ画面):数量 1.0(出荷台数(百万台。2025 年は 3 か月分))× 価格 705(平均販売価格(米ドル))→ 売上 7 億ドル・営業利益 1 億ドル。営業利益率 18.0%
- プリンター・バーコードスキャナー・消耗品:数量 6.2(出荷台数相当(百万台。消耗品を台数に換算))× 価格 423(1 台あたり売上(米ドル。本体と消耗品))→ 売上 26 億ドル・営業利益 6 億ドル。営業利益率 22.0%
- 機械視覚・RFID・センサー:数量 1.5(出荷台数相当(百万台))× 価格 705(1 台あたり売上(米ドル))→ 売上 10 億ドル・営業利益 2 億ドル。営業利益率 23.0%
- ソフトウェア・保守サービス:数量 18.2(稼働中の接続機器(百万台))× 価格 84(1 台あたり年間課金(米ドル))→ 売上 15 億ドル・営業利益 5 億ドル。営業利益率 34.0%
倍率:買収で伸びる会社なので、のれんは除かない)。切り替えの費用による堀はあるが、スマホ・AI 画像認識による置き換えと中国勢の安値の懸念が残り、利益率は景気で振れる。上限から一段下げて置いた。 正当化 PER の上限は 15.5 倍(g 4.0%、RONIC 15.1%。RONIC = k 8.8% + 1/2 ×(事業の ROE 21.5% − k)。堀は普通)。その 8.5 割の 13.2 倍に置いた。時価総額 = 事業の純利益 11.6 × 13.2 = 153 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:上下の筋書きの間で、堀は保たれるが価格は物価並みにとどまる中心の筋書き。
やや悲観 26% やや悲観:スマホと安値の中国勢に価格を削られ、売上が物価並みにも届かない 利益 6 億ドル · PER 10.1 倍 · 株価時価総額 120.50 ドル58 億ドル
スマホ・汎用タブレットが軽い用途の専用端末を置き換え、中国のウロボ・ニューランド・チェインウェイが安値で入ってくる。端末は台数が年 −0.4%、価格は物価より 年 1 ポイント低い。プリンター・スキャナーは価格が伸びない。売上は 70.6 億ドル(年 +2.7%)、セグメント営業利益率は 17.8%、GAAP の営業利益は 7.7 億ドル。Elo は小売の競争が強く伸びが鈍る。堀は残るが、価格を決める力が弱まる。成長は年 3.5%(市場の実質 0.5%、価格は物価より低い、シェアは減る)。借金の利払いが重く、自社株買いは年 3〜4 億ドルに縮む。 成熟後の倍率は、g 4.0% の正当化 PER の上限 12.6 倍の 8 割(10.1 倍)を事業の純利益に掛けて時価総額 58 億ドル。
- モバイル端末(ハンドヘルド・車載・タブレット):数量 2.2(モバイル端末の出荷台数(百万台))× 価格 1,150(平均販売価格(米ドル))→ 売上 25 億ドル・営業利益 3 億ドル。営業利益率 13.5%
- Elo(POS・キオスク・タッチ画面):数量 0.9(出荷台数(百万台。2025 年は 3 か月分))× 価格 640(平均販売価格(米ドル))→ 売上 5 億ドル・営業利益 1 億ドル。営業利益率 14.0%
- プリンター・バーコードスキャナー・消耗品:数量 5.4(出荷台数相当(百万台。消耗品を台数に換算))× 価格 385(1 台あたり売上(米ドル。本体と消耗品))→ 売上 21 億ドル・営業利益 4 億ドル。営業利益率 17.0%
- 機械視覚・RFID・センサー:数量 1.2(出荷台数相当(百万台))× 価格 620(1 台あたり売上(米ドル))→ 売上 7 億ドル・営業利益 1 億ドル。営業利益率 18.0%
- ソフトウェア・保守サービス:数量 16.2(稼働中の接続機器(百万台))× 価格 72(1 台あたり年間課金(米ドル))→ 売上 12 億ドル・営業利益 4 億ドル。営業利益率 30.0%
倍率:買収で伸びる会社なので、のれんは除かない)。置き換えと価格競争で利益の質が落ちる筋書き。上限から下げて低めに置いた。 正当化 PER の上限は 12.6 倍(g 4.0%、RONIC 9.9%。RONIC = k 8.8% + 1/2 ×(事業の ROE 11.1% − k)。堀は普通)。その 8 割の 10.1 倍に置いた。時価総額 = 事業の純利益 5.7 × 10.1 = 58 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:スマホ・汎用端末と中国勢の安値で価格と台数が少しずつ削られる、最も実現しやすい下振れ。2 割台の半ば。
悲観 13% 悲観:構造的に負ける。スマホと AI 画像認識に端末・読取機が置き換わる 利益 2 億ドル · PER 8.6 倍 · 株価時価総額 43.80 ドル21 億ドル
AI カメラ付きのスマホとクラウドの画像認識が、バーコード読取機と軽い用途の専用端末を置き換える。RFID はインピンジとチェインウェイに価格で追われ、機械視覚はコグネックスとキーエンスの AI 検査に押される。端末は台数が 2025 年比 −30%、売上は 46.8 億ドル(2025 年比 年 −1.4%)、セグメント営業利益率は 15% まで落ち、GAAP の営業利益は 3.6 億ドル。買収で積み上がったのれん(2026 年 6 月末で 47 億ドル)は減損の恐れが強く、自己資本の見かけの厚さは当てにならない。事業は存続するが、もう優良企業ではなく、成長 2%・ROE 5% の普通のハード会社として評価される。 成熟後の倍率は、ROE が k 以下なので上限は 1÷k の 11.4 倍で、その 7.5 割(8.6 倍)を事業の純利益に掛けて時価総額 21 億ドル。
- モバイル端末(ハンドヘルド・車載・タブレット):数量 1.6(モバイル端末の出荷台数(百万台))× 価格 1,000(平均販売価格(米ドル))→ 売上 16 億ドル・営業利益 2 億ドル。営業利益率 11.0%
- Elo(POS・キオスク・タッチ画面):数量 0.6(出荷台数(百万台。2025 年は 3 か月分))× 価格 560(平均販売価格(米ドル))→ 売上 3 億ドル・営業利益 0 億ドル。営業利益率 10.0%
- プリンター・バーコードスキャナー・消耗品:数量 4.3(出荷台数相当(百万台。消耗品を台数に換算))× 価格 340(1 台あたり売上(米ドル。本体と消耗品))→ 売上 15 億ドル・営業利益 2 億ドル。営業利益率 14.0%
- 機械視覚・RFID・センサー:数量 0.9(出荷台数相当(百万台))× 価格 560(1 台あたり売上(米ドル))→ 売上 5 億ドル・営業利益 1 億ドル。営業利益率 14.0%
- ソフトウェア・保守サービス:数量 13.0(稼働中の接続機器(百万台))× 価格 60(1 台あたり年間課金(米ドル))→ 売上 8 億ドル・営業利益 2 億ドル。営業利益率 28.0%
倍率:堀が壊れる側なので最も低く置いた。 事業の ROE 4.7% が k 8.8% 以下なので、正当化 PER の上限は 1÷k = 11.4 倍。その 7.5 割の 8.6 倍に置いた。時価総額 = 事業の純利益 2.4 × 8.6 = 21 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:10 年の悲観は景気ではなく構造負け。専用端末・読取機が AI カメラ付きのスマホとクラウドの画像認識に置き換わり、借金とのれんが重くなる。買収で伸びてきた会社は、成長が止まると資本の重さが残るため、1 割強。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
モバイル端末(ハンドヘルド・車載・タブレット)
CF の主力。倉庫・小売・物流・医療の現場で使う業務用の携帯端末・車載端末・タブレット。
| 数量モバイル端末の出荷台数(百万台) | 価格平均販売価格(米ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2.3 | 896 | 21 | 3 |
| 10 年後 中立 | 2.6 | 1,263 | 33 | 6 |
取り方:2025 年の CF の端末売上(Elo を除く)約 20.6 億ドルを、出荷 約 230 万台 × 平均 約 900 米ドルと推定(ゼブラは台数を開示しない。調査会社の市場推計 約 68 億ドル(2025 年)× ゼブラのシェア 約 3 割から逆算)。ゼブラは業務用モバイル端末で世界首位級で、競合はハネウェル(この事業はブレイディへの売却が決まった)、データロジック、パナソニック、サムスンの業務用機、中国のウロボなど。中立は台数が年 +1〜1.5%(市場の実質成長 1% 前後)、価格は物価並みに加えて 2026 年のメモリ値上げが戻らず残る分を上乗せと置いた。営業利益率は 2025 年の CF 全体 19.8% から、ソフトの高い利益率の分を除いて約 14.5% と推定。
Elo(POS・キオスク・タッチ画面)
2025 年 9 月 30 日に買収した小売・外食向けの POS・セルフレジ・タッチ画面(CF に入る)。2025 年は第 4 四半期の約 3 か月分だけが入っている。
| 数量出荷台数(百万台。2025 年は 3 か月分) | 価格平均販売価格(米ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.2 | 500 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1.0 | 705 | 7 | 1 |
取り方:Elo は年商 約 4 億ドル(買収発表時)。2025 年は買収後の第 4 四半期だけが入り、売上 約 0.95 億ドル(CF の成長への寄与 3.5 ポイントから逆算)。平均単価 約 500 米ドルの POS 端末・セルフレジ・タッチ画面として、約 19 万台(3 か月分)と置いた。通年では 約 80 万台・約 4 億ドル。競合はディーボルト・ニクスドルフ、HP、東芝テック、ベリフォンなど。中立は台数が通年ベースで年 +2%、価格は物価並み。営業利益率は 2025 年の CF の端末の水準(約 16%)と推定。
プリンター・バーコードスキャナー・消耗品
AVA の主力。ラベル・カード・リストバンドのプリンター、バーコード読取機、ラベル・リボンなどの消耗品。
| 数量出荷台数相当(百万台。消耗品を台数に換算) | 価格1 台あたり売上(米ドル。本体と消耗品) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 6.0 | 302 | 18 | 4 |
| 10 年後 中立 | 6.2 | 423 | 26 | 6 |
取り方:AVA の売上 24.4 億ドルのうち、機械視覚・RFID を除くプリンター・スキャナー・消耗品を 約 18.1 億ドルと推定(プリンター 約 100 万台 × 約 700 米ドル、スキャナー 約 400 万台 × 約 150 米ドル、ラベル・リボンなど消耗品 約 3.5 億ドルの合算を、約 600 万台相当・1 台あたり 約 300 米ドルに換算。開示はなく推定)。競合はサトー、東芝テック、TSC、エイブリィ・デニソン、データロジック、ハネウェル(売却予定)、ニューランドなど。成熟した市場で、中立は台数が年 +0.2%、価格は物価をやや下回る(スキャナーに中国勢の安値圧力。10 年で 1.40 倍)。営業利益率は 20%(2025 年の AVA 21.1% から、ソフト・保守の高い分を除いた推定)。
機械視覚・RFID・センサー
AVA の成長領域。工場の検査・読み取りに使う固定式の画像装置(マトロックス、アダプティブ・ビジョン、2025 年 2 月に買収したフォトニオの 3D)と、RFID の読取機・タグ・位置把握。
| 数量出荷台数相当(百万台) | 価格1 台あたり売上(米ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.9 | 500 | 5 | 1 |
| 10 年後 中立 | 1.5 | 705 | 10 | 2 |
取り方:AVA の中の機械視覚(マトロックス、アダプティブ・ビジョン、フォトニオ)と RFID(読取機・タグ・位置把握)・センサーを約 4.5 億ドルと推定(開示なし。AVA の売上から上のプリンター等を引いた残り)。機械視覚は市場 約 147 億ドル・年 +8.5%、RFID は約 190〜200 億ドル・年 +9〜13%(調査会社の推計で、定義の幅が大きい)。ゼブラのシェアは機械視覚で 2% 台、RFID の読取機で 1 割に届かない水準と推定し、競合はコグネックス、キーエンス、SICK、インピンジ、チェインウェイなど。中立は台数が年 +5%(市場より低く、シェアは小さく増える程度)、価格は物価並み。営業利益率 20.7%。
ソフトウェア・保守サービス
両部門のソフト(ワークフロー・モバイル管理・AI)と保守契約(Zebra OneCare など)。端末の稼働台数に連動する。
| 数量稼働中の接続機器(百万台) | 価格1 台あたり年間課金(米ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 15.0 | 65 | 10 | 3 |
| 10 年後 中立 | 18.2 | 84 | 15 | 5 |
取り方:CF・AVA のソフト・サービスの合計 9.78 億ドル(2025 年の 10-K。CF 8.0 億ドル、AVA 1.7 億ドル)。稼働中の接続機器 約 1,500 万台 × 1 台あたり年間 約 65 米ドルと推定(端末の保守契約が大半で、ソフトは小さい)。2023〜25 年は年 +3% で横ばいに近い。中立は稼働台数が年 +1.5%、1 台あたりの課金が年 +2.9%(ソフトの AI 機能で上がるが、保守は端末価格に連動するため物価をやや下回る。10 年で 1.28 倍)。営業利益率は 33.7%(高い粗利益率に営業費を配分した推定)。
リスクと懸念
スマホと AI 画像認識による専用端末の置き換え
カメラ付きのスマホとクラウドの画像認識がバーコード読み取りの用途を取り、軽い現場の専用端末と読取機の台数が減る。ゼブラの売上の約 8 割は端末・印刷機などの現物で、置き換えは台数を直接削る。ただし倉庫や冷凍庫、医療のような過酷な環境では専用機の優位が残る。10 年の悲観に、台数 −30%・価格が物価を下回る筋書きを置いた。
メモリ高騰の反動と 2026 年の利益の山
2026 年の利益は、メモリ高騰を上回る値上げ、関税の還付 0.73 億ドル(一回限り)、入れ替え需要で膨らんだ山である。メモリが 2027 年も高止まりすれば顧客は購入を先送りし、価格が下がれば競合が値下げで追う。2028 年の利益が山より下がる筋書きを、やや悲観に厚く置いた。
借金とのれんの重さ
借金は 28 億ドル、純負債は時価総額の約 15%、のれんは 47 億ドルである。不況で営業利益が落ちると、利払い(借り換えで約 5.75%)が利益を削り、自社株買いを続けられない。のれんに減損が出れば自己資本が薄くなる。悲観では返済を優先して還元を絞る。
流通業者への依存
売上の約 6 割が上位 3 社の流通業者向け(29%・15%・15%)で、2025 年は最大の取引先の比重が 21% から 29% に上がった。流通側の在庫調整が出荷を直撃し(2023 年は売上 −19%)、取引条件の交渉力も流通側にある。1 社が取引を絞る・他社製品に切り替える場合の影響は大きく、売上の見通しが読みにくくなる。
中国勢と競合の値下げ
ウロボ、ニューランド、チェインウェイなどの中国勢が性能を上げて安値で入り、スキャナー・RFID・端末の価格が下がる。ハネウェルの端末事業を買うブレイディが投資を増やせば、シェア争いも激しくなる。価格が物価並みに上がらなければ、利益率の改善も止まる。
買収の統合と資本配分
買収で伸びる会社で、Elo(13 億ドル、年商 約 4 億ドル)の統合、クロスセルの実現が課題である。フェッチは 2.9 億ドルで買い、2025 年末に撤退を決めた。大型買収が成立すれば、借金と統合のリスクが増す(成立前は筋書きに入れていない)。
関税と供給網
端末は中国・アジアでの委託生産に頼り、関税の変更は費用に直撃する。2026 年は関税 IEEPA の還付が利益を押し上げたが、これは一回限りで、新しい関税や通商政策の変更が次の逆風になりうる。値上げで転嫁できる範囲を超えれば利益率が下がる。
今後の分かれ目
- メモリ価格が 2027 年に反落し、ゼブラが値上げを維持できたら
- 粗利益率が 50% 台前半で定着し、セグメント営業利益率が 24% 台になる。やや楽観・楽観の確率を上げる。値下げで競争が起きれば、やや悲観の確率を上げる。
- 2027 年にメモリが高止まりし、顧客が入れ替えを先送りして出荷が減ったら
- 端末の台数が年 −1% 台、セグメント営業利益率は 19% 前後に下がる。やや悲観の確率を上げ、倍率が縮む。
- ブレイディがハネウェルの端末事業に投資を増やし、値下げで攻めたら
- 端末・プリンターの価格が物価を下回り、シェアも減る。やや悲観の筋書きに近づく。逆にブレイディが投資を絞ればゼブラが顧客を取り込み、楽観側に寄る。
- 機械視覚・RFID が年 +12% 超で伸び、売上比が 15% を超えたら
- 成長領域の比重が増え、中立の g と利益率を上げてよい。やや楽観に近づく。
- 世界景気が悪化し、倉庫・小売の設備投資が 2 割落ちたら
- 2023 年のように売上が 2 割落ち、借金の重さが目立つ。
- PER が 14 倍前後(2026 年の見込みの利益に対して)まで下がったら
- 事業の強さと値段が釣り合い始める水準。安全域を再評価できる。
見ておくもの
- CF・AVA の既存分の売上成長率とセグメント営業利益率(四半期)
- 粗利益率(53% の維持)とメモリ価格・値上げの効果
- 関税の還付の残りと新しい関税
- 機械視覚・RFID・Elo の売上の開示
- ブレイディによるハネウェル PSS の統合(2026 年下期の完了後)
- 上位 3 社の流通業者の比重と在庫
- 借金の返済(純負債の推移)と自社株買いの規模
- スマホ・AI 画像認識による専用端末の置き換えの兆し(台数・価格)
倍率と資本コストの決め方
今の PER・PBR や過去の倍率には寄せていない。10 年後の倍率は、利益ベースの正当化 PER = (1−g/RONIC)/(k−g)(k 8.75%、g 4.0%、RONIC = k + 残る割合 ×(事業の ROE − k)、堀は普通)の上限に対し、楽観 9 割・やや楽観 8.5 割・中立 8.5 割・やや悲観 8 割・悲観 7.5 割 で置いた。中立は上限 15.5 倍の 8.5 割で、事業の純利益に 13.2 倍。総合は今の時価総額に対し -42.5% で、割高。結論は計算の結果で、先に決めたものではない。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 5% + β 1.41 × 5%。k = 基本 8.0% + quality 0.75% = 8.75%。β は使わない。景気と在庫調整の循環(+0.5)、純負債とのれんの重さ(+0.25)、専用端末の置き換えの恐れ(+0.25)を足し、値上げで費用増を転嫁できる値決め力(−0.25)を引いた。堀は強いと言い切らず普通とした。中国勢の安値や買収の当たり外れは筋書きと確率(10 年のやや悲観・悲観 39%)で表し、k には二重に足していない。extra は置かない。