結論
クアルコム(Qualcomm)は、スマートフォン向けの半導体(Snapdragon)を主力に、携帯電話の特許ライセンスでも稼ぐ会社である。2025 年度(2025 年 9 月期)は売上 443 億ドル(スマホ 278・車載 40・IoT 66・ライセンス 56)、営業利益率 28%。2026 年 7-9 月期は売上 99.5 億ドル(前年比 −4%)で、スマホは −20%(Apple 向けの縮小とメモリ高騰による Android の失速)、車載は +61%、IoT は +9%。10-12 月期は Apple 向けがさらに半減する見通しで、スマホの利益は踊り場から下に入った。
売上は「対象市場(実質)× シェア × 価格の水準(物価並みで 10 年 1.41 倍)」で、スマホ・車載・IoT・データセンター・ライセンスの 5 つに分けて積んだ。10 年後の中立は売上 910 億ドル、純利益 189 億ドル。伸びはスマホではなく、車載・IoT と、Amazon を最初の顧客に始まるデータセンター(経営陣の目標は FY2029 に売上 150 億ドル)から来る。データセンターは実績が無いので、経営陣の目標の 6 割で置いた。
バリュー投資の観点では、スマホが縮む間に新しい事業が穴を埋められるかどうかが評価のほぼ全てである。資本コストは 9.0%(基本 8.0% + quality 1.0%)。利益ベースの正当化 PER は、帳簿の ROE 26%・RONIC 18%・g 4.0% で 15.5 倍になる。10 年後の中立にはその 8 割の 12.4 倍を置いた。確率で加重した本質価値は今の時価総額の 82%(差 18%、やや割高)。データセンターが育つ前提の 10 年後でも、倍率の縮みで今に届きにくい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず「10 年後もこの事業は存在し、今より強いか」を問う。スマホの通信と演算の半導体、ライセンスは 10 年後も存在する可能性が高いが、「今より強い」とは言いにくい。Apple の離脱、MediaTek の台頭、メモリ高騰という 3 つの逆風が同時に来ていて、堀(特許と技術)は削られている。強くなるとすれば、車載・IoT・データセンターという別の事業が育つ場合で、ここは予測の確度が低い。
次にオーナー利益。FY2025 のフリーキャッシュフロー 128 億ドルから株式報酬 約 27 億ドルを引いた約 100 億ドルが目安で、今の時価総額 約 1,875 億ドルに対して 5.3%。10 年国債の 5% とほぼ同じで、利益が伸びなければ割安とは言えない。
資本配分は堅実な面と試される面がある。設備投資が軽く、配当と自社株買いで利益のほぼ全部を返し、買収は小粒に抑えている。一方、データセンターは売上規模が小さいうちに研究開発と生産の確保(TSMC の枠)に先行投資が要り、ハイパースケーラーに値引きの形でワラントを渡す。資本の使い方が試される局面である。
安全域は薄い。10 年後の中立の時価総額は今を上回るが、データセンターが計画の 6 割まで育つ前提に支えられ、倍率は利益ベースの正当化 PER(16.6 倍)の 8 割まで下げて置いた。育たない慎重な見方(確率の 3 割強)では今を大きく下回る。事業の質に対して確信度は高くない。だから「割安」とは言わない。
何で稼ぐ会社か
売上は QCT(半導体)と QTL(特許ライセンス)に分かれる。QCT は 2025 年度で 384 億ドル。ハンドセット 278 億ドルは、Snapdragon のアプリケーションプロセッサ・5G モデム・RF フロントエンド・Wi-Fi/Bluetooth を、Samsung・Xiaomi・Oppo・Vivo・Honor・Apple などに売る事業である。車載 40 億ドルは、デジタルコックピットの Snapdragon Cockpit と運転支援の Snapdragon Ride を、BMW・GM・Mercedes・Toyota などの自動車メーカーに売る。IoT 66 億ドルは、産業機器・ネットワーク機器・ロボット・Snapdragon X の PC・XR・スマートグラス・ウェアラブルの半導体である。QTL は 56 億ドルで、携帯電話の標準必須特許を端末メーカーに貸し、端末の卸売額に料率をかけて受け取る。税引き前の利益率は 7 割前後で、会社全体の利益の約 3 割を占める。
製造は持たず、TSMC と Samsung のファウンドリに任せるファブレスである。設備投資は売上の 2% 前後と軽く、フリーキャッシュフローは純利益に近い。在庫は 2026 年 6 月末で 84 億ドル(2025 年 9 月末は 65 億ドル)と売上の約 2 割に膨らみ、メモリ高騰の下で端末メーカーが調整している様子を映す。
顧客は集中している。Apple・Samsung・Xiaomi が各 10% 超で、中国の顧客が売上の 46%(FY2025)を占める。Apple は 2027 年にかけて自社モデムへ移り、Apple 向けの売上は 10-12 月期に前期比で約半減、FY2027 は 20 億ドル未満の見通しである。
新しい柱は 3 つ。車載は年率 70 億ドルの出口に達し、設計採用は累計 650 億ドル。IoT は産業・ロボットの設計採用が 70 億ドルを超える。データセンターは、接続の Alphawave(約 24 億ドルで買収し 2025 年 12 月に完了)、AI 推論ソフトの Modular(約 31 億ドル)を取り込み、2026 年 9 月に Amazon(AWS)とカスタム推論チップ・光接続で提携した。経営陣の FY2029 目標は、非ハンドセットで 400 億ドル(車載 100・IoT 140 超・データセンター 150 超)で、そのときハンドセットは QCT の約 3 分の 1 になる。
優良さと弱いところ
堀は 3 つある。1 つ目は特許で、5G の標準必須特許を持ち、Apple を含むほぼ全ての端末メーカーが料率を払う。QTL の 7 割の利益率はこの堀によるもので、Apple とは 2027 年 4 月からの更新が発表された(期間・条件は非開示)。2 つ目は技術で、モデムと演算を一体にした電力効率と、端末で AI を動かす処理の強さにより、Samsung の旗艦機の約 7 割に Snapdragon が載る。3 つ目は規模で、研究開発費は年 90 億ドル超(営業費用は四半期で約 27 億ドル)と、MediaTek より桁が大きい。
弱い所は 4 つ。第一に、顧客集中である。Apple は自社モデムに移り、Samsung は自社チップ(Exynos)を併用し、Xiaomi は自社チップを出した。第二に、中価格帯で MediaTek に押されている(2026 年 1-3 月の世界のスマホ向けチップの占有率は MediaTek 32% に対し当社 23%)。第三に、粗利益率が QCT で歴史的な 48〜50% を割り込み、データセンターのカスタムシリコンがさらに 1.5〜2 ポイント押し下げると会社自身が述べている。第四に、株式報酬が年 27 億ドル前後と大きく、非 GAAP の利益は GAAP の利益より約 3 割大きく見える。
資本効率は、帳簿の ROE(2025 年度 26%)は税の一時費用と買収ののれんで低く出るが、税引き後の営業利益を投下資本(自己資本+純負債、現金と過去の買収ののれんを除く)で割った利益率は、今は 5 割前後、データセンターの先行投資と買収を重ねる 10 年後の中立で 44% と見る(ファブレスで固定資産が軽い一方、在庫が重い)。堀の型は、ADI のような「性能と実績で選ばれ、置き換えにくい」型ではなく、ライセンスは契約の更新、チップは性能と電力で毎世代選ばれ直す型で、価格を決める力は ADI や TI より弱い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
スマホ市場は 2026 年に低い 1 割台の縮小(経営陣の見立て。IDC は −12.9%)に入っている。原因はメモリの供給不足による値上がりで、端末メーカーは低価格帯・旧世代のチップへ逃げ、旗艦機の台数も減らしている。Counterpoint によれば、2026 年上期のスマホ向けチップの出荷は Qualcomm と MediaTek がともに 25% 超減り、Apple・Samsung・Google は占有率を上げた。メモリ高騰はサーバーには追い風、スマホ・PC には逆風で、2027 年も続くかが分かれ目になる。中国は 4-6 月期が底で、10-12 月期から前期比で 2 桁の回復を経営陣は見込む。
構造の変化は 5 つ。第 1 に、Apple の自社モデム(C1・C2)で、Apple 向けの半導体は 10-12 月期に半減し、iPhone のモデムの占有率は 20% を大きく下回る。第 2 に、Android の旗艦機は Qualcomm、中価格帯は MediaTek という分担が崩れ、MediaTek が旗艦機にも入り、Samsung が Exynos を戻している。第 3 に、AI 推論のデータセンターで、ハイパースケーラーが自社設計(Amazon の Trainium、アルファベットの TPU)を進め、設計・製造を請け負うブロードコム(Broadcom)・マーベル(Marvell)・アルチップが先行し、エヌビディア(NVIDIA)が圧倒する。第 4 に、車載は、ソフトで定義される車に移り、コックピットと運転支援の半導体が 1 台あたり増える一方、エヌビディア(Thor)・モービルアイ・自動車メーカーの内製が競合になる。第 5 に PC で、Snapdragon X の占有率は約 9% と小さく、エヌビディア・AMD・MediaTek の Arm 型が参入している。
業界ノート(アナログ・モバイル・産業半導体)は、クアルコムの悲観を「Apple のモデム内製化と Android 低価格帯の縮小で売上の 2 割を失う」と置いた。今回は Apple 向けの終了と Android の失速がすでに数字に出始めたので、その縮小を悲観でなく中立(スマホの実質の数量 3 割減)に織り込んだ。市場の見通しそのもの(スマホ向けの対象市場は実質でほぼ横ばい)は業界ノートに沿っている。循環の位置は、スマホは谷の入り口、車載・産業・IoT は上り坂、データセンターは始まったばかりである。
資本政策と M&A
還元は配当(連続増配で年約 38 億ドル)と自社株買いで、FY2026 は直近 9 か月で自社株買い 68 億ドルを実行し、承認枠は 6 月末に 206 億ドル残る。株式報酬で増える株を打ち消すための買い戻しが多く、正味の還元は見かけより 1 割強小さい(payout_oku は正味で書いた)。筋書きは会社全体の時価総額で書き、株数は考えない。
M&A は、2018 年にブロードコムから 1,300 億ドル規模の買収提案を受けて米国政府が阻止し、同年 NXP の買収も中国の承認が下りず断念した(買われる側・買う側とも大型は難しい)。近年は小粒で、Alphawave(約 24 億ドル)、Modular(約 31 億ドル)を現金で買い、データセンターの接続とソフトを足した。今後も接続・AI・車載の小粒の買収が続くとみる。
Amazon との提携では、2026 年 9 月に最大 2,500 万株のワラント(今の株数の約 2.4%。行使価格は発表時点の株価を下回る水準で、375 万株は即時、残りは Amazon からの購入に連動して付与され、10 年で最大 600 億ドル)を発行した。これは売上の値引きに近い。筋書きは会社全体の時価総額で書き、ワラントによる持ち分の薄まりは掛けていない。
借金は約 153 億ドル、現金・有価証券は約 83 億ドルで、純負債は約 70 億ドル(2026 年 6 月末の 10-Q から推定。時価総額の 4%)。借り換えで金利が約 5.75% になり、利払いの変化は 10 年で年 1 億ドル程度にとどまる。2025 年度の GAAP 純利益 55 億ドルは税の一時費用を含み、2026 年に同額程度の戻しがあったため、ならした純利益は約 100 億ドルと置いた。 なお、決算期末後に実行済みの自社株買い 68.1 億ドル(10-Q・2025 年 9 月 29 日〜2026 年 6 月 28 日)は、今の株数(時価総額)に反映済みなので、10 年の還元(payout_oku)からは除いてある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
スマホの落ち込みは、メモリ高騰と Apple という、すでに分かっている 2 つの要因に集中していて、底は近い。Android の QCT 売上は前年比 −20% だが、中国は 4-6 月期が底で 10-12 月期から前期比 2 桁の回復を経営陣は見込み、メモリ価格が落ち着けば端末メーカーは旗艦機へ戻る。Apple 向けは年 20 億ドル未満になるが、売上の 5% 前後にすぎず、特許ライセンスは 2027 年 4 月からの更新が決まった。Samsung の旗艦機の約 7 割は今も Snapdragon である。
新しい柱は数字で立ち上がっている。車載は前年比 +61%、年率 70 億ドルの出口、設計採用は 650 億ドルで、BMW は次世代の運転支援とコックピットの主力に当社を選んだ。IoT は産業の設計採用が 70 億ドルを超える。データセンターは Amazon との提携(10 年で最大 600 億ドルの購入に連動)と、12 月期から売上が立つ 2 社のカスタムシリコンがあり、経営陣は FY2027 に 50 億ドル、FY2029 に 150 億ドルを見込む。非ハンドセットは FY2027 に 6 割超伸び、FY2029 に 400 億ドルで QCT の約 3 分の 2 になる。
設備投資は軽く、純利益はキャッシュに近く、配当と自社株買いで利益のほぼ全部を返せる。非ハンドセットが育って利益が 2 倍になれば、正当化 PER の範囲の倍率でも 10 年後の時価総額は今を大きく上回る(ただし割り引くと今に届きにくい)。
慎重な見方
データセンターは売上がほぼゼロの新しい事業で、先行するエヌビディア・ブロードコム・マーベル・アルチップに対し、顧客のハイパースケーラーは自社設計(Amazon の Trainium、アルファベットの TPU、マイクロソフトの Maia)を広げている。カスタムシリコンは粗利益率が低く(QCT の粗利益率を 1.5〜2 ポイント押し下げると会社自身が言う)、Amazon へのワラントは購入が積み上がれば付与される値引きの形でもある。経営陣の長期目標は、非ハンドセットを従来の 220 億ドルから 400 億ドルへ 1.8 倍に引き上げたばかりで、実績が追いついていない。
スマホは底ではない。2026 年上期の出荷は Qualcomm と MediaTek で 25% 超減り、Apple・Samsung・Google が占有率を上げた。Android の最大手 Samsung は Exynos を戻し、Xiaomi は自社チップを出し、Apple はモデムを内製した。世界の占有率は MediaTek 32% に対し当社 23%。メモリ高騰は端末の値段を押し上げて出荷を減らす構造的な逆風で、2027 年も続くおそれがある。顧客の 46% は中国で、輸出規制と国産化の影響を受ける。Apple のモデム内製が進む 2027 年 4 月以降のライセンス料率は非開示で、更新が有利とは限らない。
粗利益率は歴史的な 48〜50% を割り、株式報酬は年 27 億ドル前後ある。非 GAAP の利益を前提にした「安い」は、費用を引かない見方で、ならした GAAP の純利益 約 100 億ドルに対する今の PER は約 19 倍と、成熟した半導体としては高い。
どちらに重みを置いたか
強気の見方の中で最も固いのは、実績のある売上の伸びがある車載と IoT である。データセンターは実績が無く、経営陣の目標(FY2029 に 150 億ドル)の 6 割で中立に置いた。スマホは Apple 向けの終了と MediaTek への流出を中立でも織り込み、2025 年度から実質で 3 割減とした。
10 年はデータセンターの成否で結果が大きく割れるため、楽観とやや楽観の合計を 32%、やや悲観と悲観の合計も 32% とほぼ対称に置き、中立は 36%。結果は、確率で加重した本質価値が今の時価総額の 82%(やや割高)。利益ベースの正当化 PER で倍率を置くと、10 年後の中立の時価総額は今の 129% と上回るが、10 年分を 9.0% で割り引くと今に届きにくい。データセンターが育たなければ大きく下回る。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 209.86 ドル2,218 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 74.16 ドル784 億ドル)。 今の値に割り戻すと 136.85 ドル1,446 億ドル、今との差 −20.8%、 期待の年率 +5.1%(資本コスト 9.0%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 397.65 ドル4,203 億ドル | 101.69 ドル1,075 億ドル | +188.9% | +11.2% | 49.93 ドル528 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 308.16 ドル3,257 億ドル | 91.29 ドル965 億ドル | +131.1% | +8.7% | 87.88 ドル929 億ドル |
| 中立 | 36% | 221.49 ドル2,341 億ドル | 76.43 ドル808 億ドル | +72.4% | +5.6% | 107.25 ドル1,134 億ドル |
| やや悲観 | 20% | 99.49 ドル1,052 億ドル | 57.32 ドル606 億ドル | −9.3% | −1.0% | 31.36 ドル332 億ドル |
| 悲観 | 12% | 22.23 ドル235 億ドル | 41.06 ドル434 億ドル | −63.4% | −9.6% | 7.60 ドル80 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 209.86 ドル2,218 億ドル | 74.16 ドル784 億ドル | +64.3% | +5.1% | 284.02 ドル3,002 億ドル |
今の株価時価総額 172.83 ドル1,827 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 10% スマホ依存を脱し、データセンターが計画を超えて広がる 利益 298 億ドル · PER 14.1 倍 · 株価時価総額 397.65 ドル4,203 億ドル
10 年後、AI 推論は経営陣の計画を超えて広がり、データセンターは売上 367 億ドル(対象市場 8,000 億ドルの 3%)になる。Amazon 向け(10 年で最大 600 億ドルの購入を見込んだ契約)に、第二・第三の顧客とサーバー向け CPU が加わる。車載は設計採用 650 億ドルが実り 233 億ドル、IoT は産業・ロボット・PC・XR で 261 億ドル。スマホは Apple 向けがほぼ無くなっても、Samsung と中国勢の旗艦機で 282 億ドル、ライセンスは 76 億ドル。売上は 1,218 億ドル、営業利益率 30%、純利益 298 億ドル。エヌビディアやブロードコムと競り合う領域で、スマホ依存を脱して「スマホの会社」から「接続と計算の会社」に変わる。
- スマートフォン向け半導体(QCT ハンドセット):数量 200(スマホ向けの対象市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 141(スマホ向け半導体の価格の水準(2025 年度=100。中立は物価並みで 10 年 141))→ 売上 282 億ドル・営業利益 87 億ドル。市場 実質 980 億ドル × シェア 20.4%・価格 141・営業利益率 31%
- 車載(デジタルコックピット・ADAS・コネクティビティ):数量 165(車載の対象市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 141(車載向けの価格の水準(2025 年度=100))→ 売上 233 億ドル・営業利益 79 億ドル。市場 実質 560 億ドル × シェア 29.5%・価格 141・営業利益率 34%
- IoT(産業・ネットワーク・ロボット・PC・XR・コンシューマー):数量 185(IoT 向けの対象市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 141(IoT 向けの価格の水準(2025 年度=100))→ 売上 261 億ドル・営業利益 73 億ドル。市場 実質 2,500 億ドル × シェア 7.4%・価格 141・営業利益率 28%
- データセンター(カスタムシリコン・AI 推論・サーバー CPU・光接続)ほか:数量 260(AI 推論・カスタム ASIC・サーバー CPU・光接続の対象市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 141(データセンター向けの価格の水準(2025 年度=100))→ 売上 367 億ドル・営業利益 117 億ドル。市場 実質 8,000 億ドル × シェア 3.2%・価格 141・営業利益率 32%
- 特許ライセンス(QTL):数量 54.0(5G・4G 端末の卸売額(実質の億ドル)× 実効料率)× 価格 141(実効料率の水準(2025 年度=100。端末の値段に連動して中立は 3 年 111・10 年 141))→ 売上 76 億ドル・営業利益 56 億ドル。端末卸売額 実質 4,600 億ドル × 実効料率 1.17%・価格 141・営業利益率 74%
倍率:正当化 PER:事業の ROE 27.8%(帳簿の自己資本に対する純利益)、RONIC = k 9.0% + 1/2 ×(ROE 27.8% − k 9.0%)= 18.4%(moat=普通)、g = 4.0% で (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 15.6 倍。上限の 9 割の 14.1 倍に置いた:アップルのモデムの内製化が緩く、車載・IoT・AI の PC が伸びる上振れでも、特許料の堀とチップの競争があるので控える。 時価総額 = 純利益 298.1 × 14.1 倍 = 4203 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:データセンターが経営陣の計画を超えて 10 年で 4 割近い売上の柱になる筋書き。未実績の事業の上振れで、10%。
やや楽観 22% 非ハンドセットが QCT の 6〜7 割になり、データセンターは Amazon を中心に育つ 利益 245 億ドル · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 308.16 ドル3,257 億ドル
データセンターは 275 億ドル(Amazon が主力で、第二のハイパースケーラーは小さく、サーバー CPU は一定の席を取る)、車載 226 億ドル、IoT 254 億ドル、スマホ 254 億ドル、ライセンス 73 億ドル。売上は 1,081 億ドル、営業利益率 28%、純利益 245 億ドル。非ハンドセットが QCT の 6〜7 割になり、経営陣の FY2029 目標の 8 割程度の速さで進み、そのあとも伸びが続く。MediaTek や Samsung にスマホの一部は取られるが、車載とデータセンターが補う。
- スマートフォン向け半導体(QCT ハンドセット):数量 180(スマホ向けの対象市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 141(スマホ向け半導体の価格の水準(2025 年度=100。中立は物価並みで 10 年 141))→ 売上 254 億ドル・営業利益 74 億ドル。市場 実質 950 億ドル × シェア 18.9%・価格 141・営業利益率 29%
- 車載(デジタルコックピット・ADAS・コネクティビティ):数量 160(車載の対象市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 141(車載向けの価格の水準(2025 年度=100))→ 売上 226 億ドル・営業利益 72 億ドル。市場 実質 540 億ドル × シェア 29.6%・価格 141・営業利益率 32%
- IoT(産業・ネットワーク・ロボット・PC・XR・コンシューマー):数量 180(IoT 向けの対象市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 141(IoT 向けの価格の水準(2025 年度=100))→ 売上 254 億ドル・営業利益 66 億ドル。市場 実質 2,400 億ドル × シェア 7.5%・価格 141・営業利益率 26%
- データセンター(カスタムシリコン・AI 推論・サーバー CPU・光接続)ほか:数量 195(AI 推論・カスタム ASIC・サーバー CPU・光接続の対象市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 141(データセンター向けの価格の水準(2025 年度=100))→ 売上 275 億ドル・営業利益 83 億ドル。市場 実質 7,000 億ドル × シェア 2.8%・価格 141・営業利益率 30%
- 特許ライセンス(QTL):数量 52.0(5G・4G 端末の卸売額(実質の億ドル)× 実効料率)× 価格 141(実効料率の水準(2025 年度=100。端末の値段に連動して中立は 3 年 111・10 年 141))→ 売上 73 億ドル・営業利益 53 億ドル。端末卸売額 実質 4,400 億ドル × 実効料率 1.18%・価格 141・営業利益率 72%
倍率:正当化 PER:事業の ROE 27.3%(帳簿の自己資本に対する純利益)、RONIC = k 9.0% + 1/2 ×(ROE 27.3% − k 9.0%)= 18.1%(moat=普通)、g = 4.0% で (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 15.6 倍。上限の 8.5 割の 13.3 倍に置いた:強気寄りだが、データセンターに実績が無いので控える。 時価総額 = 純利益 244.9 × 13.3 倍 = 3257 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:Amazon が主力で第二の顧客が加わり、車載・IoT が計画どおりに実る筋書き。見通しが利く部分が多く、22%。
中立 36% 非ハンドセットが育ち、スマホは小さな柱として残る 利益 189 億ドル · PER 12.4 倍 · 株価時価総額 221.49 ドル2,341 億ドル
非ハンドセットが育ち、スマホは小さな柱として残る。データセンターは 190 億ドル(対象市場 6,000 億ドルの 2.3%)、車載は 205 億ドル(対象市場の 28%)、IoT は 227 億ドル、スマホは 220 億ドル(対象市場の 17%。Apple 向けはほぼ無く、MediaTek と Samsung に取られた分を折りたたみ・XR・スマートグラスなど新しい端末で一部取り戻す)、ライセンスは 68 億ドル。売上は 910 億ドル(2025 年度の 2 倍)、営業利益率は 25%、純利益は 189 億ドル。カスタムシリコンの粗利益率の低さを、車載・IoT・ライセンスで補い、営業利益率は 2025 年度より少し低い。価格は物価並みの 141 で置いた。「スマホの会社」から「接続と計算の会社」へ移る筋書き。
- スマートフォン向け半導体(QCT ハンドセット):数量 156(スマホ向けの対象市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 141(スマホ向け半導体の価格の水準(2025 年度=100。中立は物価並みで 10 年 141))→ 売上 220 億ドル・営業利益 59 億ドル。市場 実質 920 億ドル × シェア 17.0%・価格 141・営業利益率 27%
- 車載(デジタルコックピット・ADAS・コネクティビティ):数量 146(車載の対象市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 141(車載向けの価格の水準(2025 年度=100))→ 売上 205 億ドル・営業利益 62 億ドル。市場 実質 520 億ドル × シェア 28.0%・価格 141・営業利益率 30%
- IoT(産業・ネットワーク・ロボット・PC・XR・コンシューマー):数量 161(IoT 向けの対象市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 141(IoT 向けの価格の水準(2025 年度=100))→ 売上 227 億ドル・営業利益 57 億ドル。市場 実質 2,300 億ドル × シェア 7.0%・価格 141・営業利益率 25%
- データセンター(カスタムシリコン・AI 推論・サーバー CPU・光接続)ほか:数量 135(AI 推論・カスタム ASIC・サーバー CPU・光接続の対象市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 141(データセンター向けの価格の水準(2025 年度=100))→ 売上 190 億ドル・営業利益 51 億ドル。市場 実質 6,000 億ドル × シェア 2.2%・価格 141・営業利益率 27%
- 特許ライセンス(QTL):数量 48.0(5G・4G 端末の卸売額(実質の億ドル)× 実効料率)× 価格 141(実効料率の水準(2025 年度=100。端末の値段に連動して中立は 3 年 111・10 年 141))→ 売上 68 億ドル・営業利益 47 億ドル。端末卸売額 実質 4,200 億ドル × 実効料率 1.14%・価格 141・営業利益率 70%
倍率:正当化 PER:事業の ROE 26.3%(帳簿の自己資本に対する純利益)、RONIC = k 9.0% + 1/2 ×(ROE 26.3% − k 9.0%)= 17.6%(moat=普通)、g = 4.0% で (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 15.5 倍。上限の 8 割の 12.4 倍に置いた:スマホは横ばいで、特許料(堀は強い)とチップ(堀は弱い)が混ざり全体では普通として控える。 時価総額 = 純利益 188.8 × 12.4 倍 = 2341 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:車載・IoT の実績の伸びに、データセンターが計画の 6 割で育つ筋が最もありそうと見て 36%。
やや悲観 20% スマホがさらに縮み、データセンターは Amazon 向けだけにとどまる 利益 96 億ドル · PER 11.0 倍 · 株価時価総額 99.49 ドル1,052 億ドル
スマホは Apple に続き、中国の端末メーカーの自社チップ化で 173 億ドルまで縮む。データセンターは Amazon 向けだけで 87 億ドル。車載 155 億ドル・IoT 163 億ドルは伸びるが、エヌビディア(NVIDIA)のコックピットと運転支援、MediaTek の車載参入で価格が下がり利益率が低い。ライセンスは料率が下がり 59 億ドル。売上は 638 億ドルと今より大きいが、営業利益率は 19% まで下がり、純利益 96 億ドルで今の水準にとどまる。価格は物価並みの 141 で置いたが、シェアと利益率で負ける。
- スマートフォン向け半導体(QCT ハンドセット):数量 123(スマホ向けの対象市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 141(スマホ向け半導体の価格の水準(2025 年度=100。中立は物価並みで 10 年 141))→ 売上 173 億ドル・営業利益 38 億ドル。市場 実質 880 億ドル × シェア 14.0%・価格 141・営業利益率 22%
- 車載(デジタルコックピット・ADAS・コネクティビティ):数量 110(車載の対象市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 141(車載向けの価格の水準(2025 年度=100))→ 売上 155 億ドル・営業利益 39 億ドル。市場 実質 480 億ドル × シェア 22.9%・価格 141・営業利益率 25%
- IoT(産業・ネットワーク・ロボット・PC・XR・コンシューマー):数量 116(IoT 向けの対象市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 141(IoT 向けの価格の水準(2025 年度=100))→ 売上 163 億ドル・営業利益 31 億ドル。市場 実質 2,100 億ドル × シェア 5.5%・価格 141・営業利益率 19%
- データセンター(カスタムシリコン・AI 推論・サーバー CPU・光接続)ほか:数量 62.0(AI 推論・カスタム ASIC・サーバー CPU・光接続の対象市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 141(データセンター向けの価格の水準(2025 年度=100))→ 売上 87 億ドル・営業利益 12 億ドル。市場 実質 5,000 億ドル × シェア 1.2%・価格 141・営業利益率 14%
- 特許ライセンス(QTL):数量 42.0(5G・4G 端末の卸売額(実質の億ドル)× 実効料率)× 価格 141(実効料率の水準(2025 年度=100。端末の値段に連動して中立は 3 年 111・10 年 141))→ 売上 59 億ドル・営業利益 39 億ドル。端末卸売額 実質 4,000 億ドル × 実効料率 1.05%・価格 141・営業利益率 66%
倍率:正当化 PER:事業の ROE 21.3%(帳簿の自己資本に対する純利益)、RONIC = k 9.0% + 1/2 ×(ROE 21.3% − k 9.0%)= 15.2%(moat=普通)、g = 4.0% で (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 14.7 倍。上限の 7.5 割の 11.0 倍に置いた:アップルのモデムの内製化とアンドロイドの低価格帯の縮小で利益の質が落ちる。 時価総額 = 純利益 95.6 × 11.0 倍 = 1052 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:スマホが Apple に続き中国の自社チップ化で縮み、データセンターが Amazon 向けだけにとどまる筋。業界ノートの構造の悲観を一部含み 20%。
悲観 12% 構造的な敗北:スマホが 9% のシェアに縮み、データセンターも実らない 利益 24 億ドル · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 22.23 ドル235 億ドル
構造的な敗北。Apple 向けの終了に続き Samsung の自社チップ・中国メーカーの内製が進み、スマホは対象市場の 9%(90 億ドル)にとどまる。データセンターは Amazon との契約が小さく終わり 20 億ドルで、ワラントもほとんど付与されない(購入が積み上がらない)。車載 75 億ドル、IoT 72 億ドルは競合に価格で負けて利益が薄い。ライセンスは 38 億ドル。売上は 294 億ドル(2025 年度の 3 分の 2)、営業利益 32 億ドル。研究開発費を絞り、配当を守って自社株買いを減らす。もう価格を決める優良企業ではなくなっている。価格は物価に負けて 125(中立は 141)。還元の合計が最終年の純利益の 10 年分を超えるのは、利益が高かった前半の累計から払うためで、資産の売却は想定しない。
- スマートフォン向け半導体(QCT ハンドセット):数量 72.0(スマホ向けの対象市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 125(スマホ向け半導体の価格の水準(2025 年度=100。中立は物価並みで 10 年 141))→ 売上 90 億ドル・営業利益 16 億ドル。市場 実質 800 億ドル × シェア 9.0%・価格 125・営業利益率 18%
- 車載(デジタルコックピット・ADAS・コネクティビティ):数量 60.0(車載の対象市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 125(車載向けの価格の水準(2025 年度=100))→ 売上 75 億ドル・営業利益 11 億ドル。市場 実質 400 億ドル × シェア 15.0%・価格 125・営業利益率 15%
- IoT(産業・ネットワーク・ロボット・PC・XR・コンシューマー):数量 57.6(IoT 向けの対象市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 125(IoT 向けの価格の水準(2025 年度=100))→ 売上 72 億ドル・営業利益 7 億ドル。市場 実質 1,800 億ドル × シェア 3.2%・価格 125・営業利益率 10%
- データセンター(カスタムシリコン・AI 推論・サーバー CPU・光接続)ほか:数量 16.0(AI 推論・カスタム ASIC・サーバー CPU・光接続の対象市場(実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 125(データセンター向けの価格の水準(2025 年度=100))→ 売上 20 億ドル・営業利益 −1 億ドル。市場 実質 4,000 億ドル × シェア 0.4%・価格 125・営業利益率 -5%
- 特許ライセンス(QTL):数量 30.0(5G・4G 端末の卸売額(実質の億ドル)× 実効料率)× 価格 125(実効料率の水準(2025 年度=100。端末の値段に連動して中立は 3 年 111・10 年 141))→ 売上 38 億ドル・営業利益 21 億ドル。端末卸売額 実質 3,500 億ドル × 実効料率 0.86%・価格 125・営業利益率 55%
倍率:事業の ROE 6.3% が k 9.0% 以下なので正当化 PER は 1÷k = 11.1 倍が上限(ためた利益 1 ドルは 1 ドル未満)。上限の 9 割の 10.0 倍に置いた:ROE が k 以下で、純利益 ÷ k を超えない範囲に置く。スマホが縮み、データセンターも実らない筋。 時価総額 = 純利益 23.5 × 10.0 倍 = 235 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:業界ノートの悲観(10 年・構造):Apple のモデム内製と Android 低価格帯の縮小で売上の 2 割を失う、に加え、データセンターの失敗と MediaTek・自社チップへの流出で優良ではなくなる筋。12%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
スマートフォン向け半導体(QCT ハンドセット)
スマホのアプリケーションプロセッサ・モデム・RF・接続の部品を Android の大手(Samsung・Xiaomi・Oppo・Vivo ほか)と Apple に売る。当社の最大の事業で、Apple 向けの終了と Android の失速で縮む最中。
| 数量スマホ向けの対象市場(実質の億ドル)× 当社シェア | 価格スマホ向け半導体の価格の水準(2025 年度=100。中立は物価並みで 10 年 141) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 278 | 100 | 278 | 83 |
| 10 年後 中立 | 156 | 141 | 220 | 59 |
取り方:QCT ハンドセットは 2025 年度(2025 年 9 月期)で 278 億ドル。スマホ向けの半導体(アプリケーションプロセッサ・モデム・RF フロントエンド・Wi-Fi/Bluetooth・電源 IC)の対象市場を、Apple と Samsung の自社品を含みメモリを除いて実質 900 億ドルと推定し、当社のシェアを約 31%。営業利益は開示の事業別の税引き前利益(QCT 全体 約 26%)から、ハンドセットを 30% と推定。価格の水準は 2025 年度=100(中立は物価並みで 10 年 141)。
車載(デジタルコックピット・ADAS・コネクティビティ)
自動車メーカー(BMW・GM・Mercedes・Toyota ほか)のデジタルコックピット・運転支援(ADAS)・車載通信の半導体。設計採用の累計は 650 億ドル。
| 数量車載の対象市場(実質の億ドル)× 当社シェア | 価格車載向けの価格の水準(2025 年度=100) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 39.6 | 100 | 40 | 10 |
| 10 年後 中立 | 146 | 141 | 205 | 62 |
取り方:車載は 2025 年度 39.6 億ドル(前年比 +36%)。コックピット・ADAS・テレマティクスの対象市場を実質 190 億ドルと推定し、シェア 約 21%。2026 年 7-9 月期は 16 億ドル(前年比 +61%)で、年率 70 億ドルまで来ている。営業利益率は 25% と推定。
IoT(産業・ネットワーク・ロボット・PC・XR・コンシューマー)
産業機器・ネットワーク機器・ロボット・Snapdragon X の PC・XR・スマートグラス・ウェアラブルなどの半導体。設計採用が 70 億ドルを超える。
| 数量IoT 向けの対象市場(実質の億ドル)× 当社シェア | 価格IoT 向けの価格の水準(2025 年度=100) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 66.0 | 100 | 66 | 14 |
| 10 年後 中立 | 161 | 141 | 227 | 57 |
取り方:IoT は 2025 年度 66 億ドル(前年比 +22%)。産業・ネットワーク・ロボット・PC・XR・コンシューマー向けの対象市場を実質 1,300 億ドルと推定し、シェア 約 5%。2026 年 7-9 月期は 18 億ドル(+9%)。営業利益率は 21% と推定。
データセンター(カスタムシリコン・AI 推論・サーバー CPU・光接続)ほか
Amazon(AWS)向けのカスタム推論チップ、AI200/AI250 の推論アクセラレータ、サーバー向け CPU、Alphawave の接続技術。新しい事業で、2026 年はまだ小さい。
| 数量AI 推論・カスタム ASIC・サーバー CPU・光接続の対象市場(実質の億ドル)× 当社シェア | 価格データセンター向けの価格の水準(2025 年度=100) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 3.6 | 100 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 135 | 141 | 190 | 51 |
取り方:データセンターは 2025 年度はまだ区分の外で、データセンターほかの合計が 3.6 億ドル(その他の収入を含む)。2026 年は Alphawave(接続)を取り込み 7-9 月期の区分外の売上は 1.65 億ドル、税引き前損失 2.1 億ドル。対象市場は AI 推論・カスタム ASIC・サーバー CPU・光接続で実質 1,800 億ドルと推定。営業損益はほぼ 0。
特許ライセンス(QTL)
携帯電話の標準必須特許を、端末メーカーの売上に対して料率で貸す。Apple・Samsung・Xiaomi など。EBT 率は 7 割前後。
| 数量5G・4G 端末の卸売額(実質の億ドル)× 実効料率 | 価格実効料率の水準(2025 年度=100。端末の値段に連動して中立は 3 年 111・10 年 141) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 55.8 | 100 | 56 | 41 |
| 10 年後 中立 | 48.0 | 141 | 68 | 47 |
取り方:特許ライセンスは 2025 年度 55.8 億ドル(ほぼ横ばい)、税引き前利益率 約 73%。数量は 5G・4G 端末の卸売額(実質 約 4,500 億ドル)× 実効料率 約 1.24% と推定。価格の水準は料率が端末の値段について上がるものとして 2025 年度=100。
リスクと懸念
Apple 向けの終了と Android の占有率の流出
Apple 向けは 10-12 月期に前期比で約半減し、FY2027 は 20 億ドル未満の見通し。iPhone のモデムの占有率は 20% を大きく下回る。そのうえ Android でも MediaTek が旗艦機に入り、Samsung が Exynos を戻し、Xiaomi が自社チップを出して、世界の占有率は MediaTek 32% に対し当社 23%。スマホは中立でも 2025 年度から実質で 3 割減と置いたが、さらに速く縮めば利益の柱が揺らぐ。
メモリ高騰によるスマホ市場の縮小
メモリの供給不足でスマホの出荷は 2026 年に低い 1 割台のマイナス(IDC は −12.9%)。端末メーカーは低価格帯・旧世代のチップに逃げ、当社の高単価品の台数が減る。メモリの逼迫が 2027 年以降も続けば、ハンドセットの回復は遅れ、在庫(84 億ドル)の評価損も起こりうる。会社は全製品で 2 桁の値上げを進めるが、需要を冷やす面もある。
データセンターの未実績・低い粗利益率・競合
売上はほぼゼロから始まり、経営陣は FY2027 に 50 億ドル、FY2029 に 150 億ドルを目標に置く。競合はエヌビディア・ブロードコム・マーベル・アルチップで、顧客は自社設計も進める。カスタムシリコンは粗利益率が低く QCT 全体を 1.5〜2 ポイント下げ、Amazon へのワラントは値引きの形でもある。失敗すれば研究開発の費用だけが残る。
中国の顧客(売上の 46%)と米中の摩擦
中国の端末メーカー(Xiaomi・Oppo・Vivo・Honor)への売上が半分近くで、輸出規制・関税・国産化の動きに直撃される。Huawei のような規制で売上を失った前例もある。中国は 4-6 月期が底とされるが、回復の力は弱く、自社チップに寄る流れもある。
特許ライセンスの更新と料率
QTL は利益の約 3 割を稼ぐ。Apple とは 2027 年 4 月からの更新が決まったが、期間と条件は非開示。ライセンス契約は FY2027〜FY2031 に順次満了する。Apple がモデムを内製すると料率の交渉で不利になりうるうえ、中国のメーカーとの更新や当局の調査(独占禁止)の再燃もありうる。
車載・IoT の競争と、設計採用が売上に変わる速さ
車載の設計採用 650 億ドルは将来の売上の見込みで、車種の発売の遅れや自動車メーカーの内製、エヌビディア(Thor)・モービルアイ・中国勢との価格競争で目減りしうる。IoT は PC の占有率が約 9% と小さく、エヌビディア・AMD・MediaTek の Arm 型の参入で伸びが鈍る可能性がある。
買収の統合と先行投資
Alphawave(約 24 億ドル)と Modular(約 31 億ドル)の統合と、データセンターの研究開発・TSMC の生産枠の確保に先行投資が続く。営業費用は四半期で約 27 億ドル(Modular を含む)と重く、売上が立つ前に利益率を押し下げる。株式報酬も年 27 億ドル前後ある。
今後の分かれ目
- データセンターの売上が FY2027 に 50 億ドルへ向かい、第二のハイパースケーラーの量産が決まる
- 楽観・やや楽観へ確率を寄せ、データセンターの市場とシェアの置き方を上げる。スマホ依存の会社から計算の会社へ評価が移る分かれ目。
- データセンターの立ち上がりが遅れ、FY2027 の売上が 20 億ドルを下回る、または粗利益率が QCT 全体を 2 ポイント超押し下げる
- 10 年のやや悲観・悲観へ確率を寄せる。経営陣の FY2029 目標(非ハンドセット 400 億ドル)の信頼が崩れる。
- 中国のスマホ売上が 10-12 月期に前期比 2 桁増となり、メモリ価格が下がり始める
- スマホの底打ちとして 10 年のやや楽観の確率を上げる。Apple の縮小は織り込み済みで、Android の戻りの強さが焦点。
- Samsung の旗艦機で Snapdragon の採用比率が 7 割を大きく下回る、または MediaTek が旗艦機で占有率を上げる
- スマホのシェアの置き方を下げ、10 年のやや悲観へ寄せる。堀が技術から価格競争に変わる兆し。
- Apple との更新後の料率が下がったと分かる、または中国メーカーとの更新で紛争が起きる
- ライセンスの実効料率を下げる。利益の 3 割を占めるため、全体の営業利益が 1 割動く。
- 車載の設計採用が売上に変わり、年率が 70 億ドルから 100 億ドルへ進む
- 車載の市場とシェアの置き方を上げ、楽観寄りへ。BMW のような大型の採用の量産が目安。
- 在庫が売上の 2 割を超えて積み上がり、評価損が出る
- スマホの需要の見立てを下げ、10 年のやや悲観・悲観へ寄せる。
見ておくもの
- QCT ハンドセット売上(Android・Apple 別の前期比)と中国の回復(四半期の決算ごと)
- データセンターの売上と粗利益率(2026 年 10-12 月期から)、第二のハイパースケーラーの量産
- 車載の年率(70 億ドルの出口)と設計採用 650 億ドルの売上化
- QTL の売上と、Apple・中国メーカーとの更新の条件
- 在庫(84 億ドル)と流通の在庫、メモリ価格
- MediaTek・Samsung(Exynos)の旗艦機での占有率
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価ではなく、利益ベースの正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) で出した。k 9.0%(基本 8.0% + quality 1.0%)、g 4.0%(スマホ中心で数量は伸びない。structural は使わない)、堀は普通(特許料は強いが、チップは弱い)、ROE は帳簿(中立 26%)。中立は上限 15.5 倍の 8 割の 12.4 倍。10 年の悲観は ROE が k 以下なので 1÷k の 9 割。3 年の値付けは使わず、10 年だけで測った。今の PER や今の時価総額には寄せていない。総合は -18%(やや割高)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 5% + β 1.46 × 5%。k = 基本 8.0% + quality 1.0% = 9.0%(β は使わない)。スマホの循環(+0.5)と、主力のスマホが構造的に縮む寿命の短さ(+0.5)。純負債は時価総額の約 1.7% で借金は 0、存続の不安も無く上乗せは 0。スマホ依存・顧客集中・データセンターの未実績・米中の摩擦は、k に重ねず筋書きと確率で反映した。