結論
キューニティー・エレクトロニクス(Qnity)は、2025 年 11 月にデュポンから分離して上場した電子材料の会社で、半導体の工場で使い捨てられる材料(研磨用のパッドとスラリー、洗浄薬品、フォトレジスト)と、先端パッケージ・AI 向け回路基板・熱管理の材料を売る。2026 年の売上は会社見通し(55.5〜56.5 億ドル)の中央で約 56 億ドル、営業利益(GAAP)は約 11.6 億ドル、純利益(普通株主分)は約 5.9 億ドルと置いた。売上の約 9 割は工場の稼働や製品の出荷に比例する消耗品で、装置会社より循環に強いが、2023 年は分離前の財務で売上が 17% 減った。
売上は「世界のウェハー投入 × 1 枚あたりの工程の回数 × 当社のシェア × 価格」の工程材料、「AI 向けの先端パッケージ・高多層基板・熱管理の出荷規模 × 価格」、「家電・自動車・航空の柔軟基板と積層材(Kapton・Pyralux)」の 3 つで積んだ。中立は 10 年後に売上 109 億ドル(年 6.9%)で、AI 向けの伸びは 2029 年ごろに頭打ちになる。分離前の数字は借金も本社費も今と違うため、分離後の借金(約 40 億ドル、利払い 年約 2.5 億ドル)で純利益を組み直した。
バリュー投資の観点では、材料の質は高いが、自己資本のほとんどは買収の購入価格配分で生じたのれん(75 億ドル)で、帳簿の ROE(約 9%)は事業の稼ぐ力を表さない。伸びに要る元手はのれんと無形を除いた約 21 億ドルで、その利益率は 4 割台。資本コストは基本の 8% に循環 0.5%・借金 0.25% を足した 8.75% で、倍率を利益ベースの正当化 PER(帳簿の ROE 17%・堀は普通・g 4%)の 8 割に抑えると、10 年後の中立は PER 11.7 倍になり、確率で加重した本質価値は今の時価総額(242 億ドル、2026 年見込みの GAAP 純利益に対して約 41 倍)を 4 割強下回る(割高)。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず「10 年後もこの事業は存在し、今より強いか」を問う。半導体は微細化と積層が続く限り、研磨・洗浄・露光の工程が増え、材料は使い切って買い直す消耗品なので、10 年後も事業は存在し、AI の先端パッケージと熱管理が加わって今より強い可能性が高い。堀は認定と幅で、ただし価格を一方的に決められる強さではない(顧客はサムスン・TSMC などの巨大企業で、毎年の値下げ要求がある)。堀は広がるが、競合のエンテグリスやレゾナック、中国の国産勢が常に迫る。
次にオーナー利益。純利益 5.9 億ドルのうち、成長に要る再投資はのれんと無形を除く元手に対して 2 割前後の利益の取り分で足りる(元手の利益率は 4 割台)。株式報酬は年 0.5 億ドルと小さい。ただし今の時価総額 242 億ドルは、2026 年見込みの純利益(GAAP)の約 41 倍で、10 年国債が 5% の世界では利益利回りが 2.4% しかなく、2026 年の利益が 3 倍近くになる前提を先取りしている。
資本配分は、分離直後で借金が重く、評価できる実績がまだ無い。親会社時代の買収でのれんが 75 億ドルに膨らんだ点は、買収で価値を壊した過去として割り引いて見る。安全域は、悲観の筋書き(AI の設備投資が止まり売上が 3 割落ちる)でも消耗品の売上と純債務の返済が下を支えるが、それでも PBR は 0.75 倍前後(自己資本の大半がのれんのため、のれんの減損で資本が減る)。
結論として、事業の質は高く、予測の確実性は中程度(AI の設備投資の持続と中国に依存)で、資本コストは基本の 8% に循環と借金の分 0.75% を足した 8.75%。値段が利益の大幅な成長を先に織り込んでいる時は、待つのが正しい。
何で稼ぐ会社か
事業は 2 つ。半導体テクノロジー(2025 年の売上 26.4 億ドル、2026 年は約 29.7 億ドル)は、ウェハーの表面を平らに削る CMP(化学機械研磨)のパッドとスラリー、洗浄薬品、EUV を含むフォトレジストと反射防止膜、半導体装置用の高性能シール材(Kalrez)、有機 EL 材料を売る。顧客は TSMC・サムスン・SK ハイニックス・マイクロン・インテルなど、上位 20 の半導体メーカーのほぼ全部で、サムスンが売上の 9〜11%、TSMC が 8%、上位 10 社で 34%。1 枚のウェハーが工程を通るたびに使われる消耗品なので、売上は「ウェハーの投入枚数 × 1 枚あたりの工程の回数」と価格で決まる。先端ロジックが約 8 割、メモリが約 2 割で、HBM と DRAM が速く伸びる。
もう 1 つがインターコネクト(2025 年 21.1 億ドル、2026 年は約 26.3 億ドル)で、先端パッケージと回路基板のめっき・フォトレジスト・絶縁材(ACP)、柔軟基板に使うポリイミドフィルムと積層材(Kapton・Pyralux)、熱と電磁波を処理する材料(Laird)から成る。今年の伸びは AI 向けの先端パッケージ・高多層基板・熱管理で、この 3 つは合計で前年比 +50% 超。残りの家電・自動車・航空向けは成熟した市場で、インターコネクト全体でも 2025 年は数量 +14%・価格と構成 −2% だった。このため売上を AI 向け(約 13.8 億ドル)と従来分(約 12.5 億ドル)に分けて見る(事業別の開示は無く、会社の伸びの説明から逆算した推定)。
地域は中国が 33%、台湾 16%、韓国 14%、米国 12%(2026 年第 2 四半期)。中国は国産化の影響を受ける。従業員は 1 万人超、特許は約 7,000 件。分離前はデュポンの電子材料部門で、本社費・借金は分離後の独立会社に組み替わった。
優良さと弱いところ
堀は 3 層。第 1 は認定の壁で、CMP パッドやレジストは顧客の量産ラインで長い試験を通って初めて使われ、歩留まりを落とすリスクがあるので、いったん採用されると入れ替えにくい。SK ハイニックスと結んだ先端 CMP パッドの長期契約や、3nm で採用が強く 2nm が立ち上がる先端ノードの伸び(第 2 四半期は前年比 +20% 超)がその表れである。第 2 は幅で、研磨・洗浄・露光・先端パッケージ・基板・熱管理を 1 社で持ち、「縮める・積む」工程で材料を組み合わせて提案できる。第 3 は約 7,000 件の特許と、デュポンの時代から続く材料の開発力である。
利益率は半導体テクノロジーの調整後 EBITDA 率が約 35%(粗利益率 約 49%)、インターコネクトが約 29%(粗利益率 約 44%)。競合のエンテグリス(Entegris)は 2026 年第 2 四半期に調整後 EBITDA 率 28.4%、GAAP の営業利益率 18.6% で、Qnity の第 2 四半期(EBITDA 率 30.2%)はやや上だが同じ水準にある。同じ領域の装置会社(ラムリサーチの営業利益率 約 37%)には及ばない。材料の方が顧客の設備投資の山谷には鈍いが、値上げの力も装置ほど強くない。
弱い所は 4 つ。第 1 に、借金(約 40 億ドル)を背負って始まった点(純債務は EBITDA の約 2 倍)。第 2 に、自己資本 75 億ドルのうちのれんと無形が約 85 億ドルで、帳簿の価値と事業の価値が離れている点。第 3 に、中国が売上の 33% で国産のスラリー(安集微電子など)に取られうる点。第 4 に、分離後の経営体制がまだ固まっていない点(CFO を探している最中)。利益の質は、株式報酬が年 0.5 億ドルと小さく、純利益の質は高い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
需要の大本は半導体の工場の稼働と、1 枚のウェハーが通る工程の数である。SEMI の 2025 年の半導体材料市場は約 730 億ドル(前工程材料 約 460 億ドル、パッケージ材料 約 270 億ドル、二次情報)で、工場が増設されるほど、微細化と積層が進むほど(GAA、裏面給電、3D DRAM、HBM の積層)、研磨・洗浄・露光の回数が増える。同じ領域の業界ノートでは、ウェハー製造装置の市場が 2026 年に +23%、2027 年に +22%、2028 年に +14% で約 2,000 億ドルに達し、2029 年は調整が入るのが中立の置き方である。材料は装置より遅れて増設の成果を受け取り、稼働率が落ちても消耗品は売れるので、山も谷も浅い。ただし谷は無い訳ではない。
競合は材料ごとに違う。CMP はエンテグリスが 2022 年に CMC マテリアルズを買収して広げ、レゾナック(Resonac)、富士フイルム、メルクがスラリーで競り、パッドでは JSR・富士紡などが競る。フォトレジストは JSR・東京応化・信越化学・富士フイルムなど日本勢が強く、Qnity は EUV を含めて持つ。中国では安集微電子(Anji)が国産スラリーで伸び、中国向け(Qnity の売上の 33%)の置き換えが長期の下振れ要因になる。エンテグリスの 2026 年第 2 四半期は売上 +11%、材料ソリューションは +5% で、Qnity の organic +22%(半導体 +17%)より遅い。今の伸びは AI 向けの先端ノードとインターコネクトで、競合より多く受けている。
循環の位置は「AI の設備投資に支えられた上昇の途中」。ただし大手の AI 投資が減価償却の負担で 2028 年以降に鈍れば、インターコネクトの AI 向けは装置より先に落ちる。家電(スマホ・PC)はメモリ価格の高騰で数量が下がる逆風がある。
資本政策と M&A
分離(2025 年 11 月)で、デュポンから約 40 億ドルの借金(7 年のタームローン 23.5 億ドルなど)を引き継いで独立した。現金 9.6 億ドル、純債務は 2026 年 6 月末で約 30.6 億ドル(EBITDA の約 2 倍)。会社は純債務倍率 3 倍未満を守り、買収と自社株買いに余地を残す方針で、2026 年上半期の自社株買いは 0.5 億ドル、配当は 0.34 億ドル(四半期ごと)、自社株買い枠は 5 億ドルの残り 4.5 億ドル。2026 年の調整後フリーキャッシュフローは 6〜7 億ドルの見通しで、還元は上半期で純利益の約 3 割にとどまり、しばらくは能力増強(6 億ドルの計画)と借金の返済が先になる。タームローンは 2026 年 7 月に金利上乗せが 2.00% から 1.75% に下がった。
独立に伴う費用(IT の独立・分離費用)は 2026 年上半期で 0.7 億ドル、全体で約 1.4 億ドルの変革費用をかけ、2028 年末に年 1 億ドルの EBITDA 改善を見込む。デュポンの過去の訴訟・環境の補償を一部引き受けており、計上額は 2.5 億ドル、追加の可能性は最大約 1 億ドル。大型買収の過去は、親会社時代の買収でのれんが膨らんだ点が重い。時価総額 240 億ドル級なので、TOB の対象になる可能性は小さい。CFO を探している最中(暫定の担当が務める)で、新しい資本配分の方針がこれから固まる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
AI の設備投資は 2027 年も続き、先端ノードの工程が増える構造が既に始まっている。第 2 四半期の先端ノードは前年比 +20% 超で、投資家説明会の想定(約 7%)の約 3 倍。3nm が強く 2nm が立ち上がり、GAA と裏面給電では研磨の回数と洗浄が増える。CMP の新しいパッド(Optivision Max)は先端ノードと先端パッケージで採用が進み、SK ハイニックスとは HBM 向けの長期契約を持つ。HBM の積層は 1 枚のウェハーあたりの研磨・洗浄の回数を増やし、DRAM の層も増える。
インターコネクトでは、先端パッケージ・AI 基板・熱管理の 3 つが合計で +50% 超伸び、大きな形・細かい配線の新しいパッケージは材料の量が増え、認定された供給会社の数が減る。つまり価格が下がりにくい。第 2 四半期の売上は前年比 +22%、2026 年の売上見通しは当初の 49.7〜51.7 億ドルから 55.5〜56.5 億ドルへ上げられ、能力増強 6 億ドルの計画は顧客の先の発注に合わせて進む。変革計画の年 1 億ドルの EBITDA 改善は 2027 年下半期から効く。償却(年約 2 億ドル)が 2030 年代はじめに終われば純利益はさらに増える。10 年後に売上が 145 億ドル(年 10%)、純利益が 28 億ドルに達すれば、借金は 3 年で半分になり、その後は自社株買いが積み上がる。
慎重な見方
今の利益は AI の設備投資に支えられた山に近い。インターコネクトの AI 向け(売上の約 25%)は前年比 +50% 超で伸びてきたが、大手の AI 設備投資は減価償却の負担で 2028 年以降に鈍る可能性があり、そうなれば基板・パッケージ材料は装置より先に落ちる。分離前の財務は 2023 年に売上が 17% 減り、営業利益率が 21.8% から 16.3% に落ちた。今回は約 40 億ドルの借金(利払い 年 約 2.5 億ドル)を背負っており、売上が 2 割減れば純利益は半分以下になる。
資本の質も重い。自己資本 75 億ドルのほとんどがのれん(75 億ドル)で、事業の価値が落ちればのれんの減損が出る。今の PER は 2026 年見込みの GAAP 純利益に対して約 41 倍、調整後(株式報酬と買収償却を戻した)の 2026 年見込みでも約 26 倍で、利益ベースで倍率を出すと(中立で PER 11.7 倍)、10 年後に利益が 3 倍近くになっても、時価総額は今の 9 割ほどにとどまる。さらに、エンテグリスは買収した CMC のスラリーで広げ、レゾナックや富士フイルムも先端の研磨で競り、中国は安集微電子などの国産スラリーを広げる。顧客上位 10 社が売上の 34% を占め、毎年の値下げ要求を受ける。CFO の不在と分離後の費用の見えにくさも残る。
どちらに重みを置いたか
強気の言う「先端ノードの工程が増え、AI 向けの基板・パッケージが伸びる」は 2028 年ごろまでは事実に近いと見て、楽観・やや楽観・中立を 68% に厚くした。ただし倍率は利益ベースの正当化 PER(帳簿の ROE・g 4.5%・堀は普通)の 8 割で出すと PER 11.7 倍(10 年後)にとどまり、利益が 3 倍になっても中立の時価総額は今の 9 割ほどで、10 年分を 8.75% で割り引くと届かない。慎重な見方の勝ち所は、AI 向けの山とのれんの重さ、今の倍率の高さにある。
一方、材料は消耗品なので悲観でも売上が 2〜3 割しか落ちず、装置会社のような 4〜5 割の崩れ方はしない。同じ領域のラムリサーチ・アプライド・KLA と確率の置き方(12/23/33/20/12)を揃えた。借金は純利益の中の利払いで反映済みで、倍率には足し引きしていない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/12 期)
確率で加重した株価時価総額 102.66 ドル215 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 35.08 ドル73 億ドル)。 今の値に割り戻すと 67.43 ドル141 億ドル、今との差 −38.0%、 期待の年率 +2.4%(資本コスト 8.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 189.09 ドル396 億ドル | 53.61 ドル112 億ドル | +123.1% | +8.4% | 29.12 ドル61 億ドル |
| やや楽観 | 23% | 140.35 ドル294 億ドル | 46.83 ドル98 億ドル | +72.1% | +5.6% | 43.05 ドル90 億ドル |
| 中立 | 33% | 102.59 ドル215 億ドル | 40.58 ドル85 億ドル | +31.6% | +2.8% | 47.24 ドル99 億ドル |
| やや悲観 | 20% | 56.76 ドル119 億ドル | 17.42 ドル37 億ドル | −31.8% | −3.8% | 14.84 ドル31 億ドル |
| 悲観 | 12% | 20.72 ドル43 億ドル | 8.31 ドル17 億ドル | −73.3% | −12.4% | 3.48 ドル7 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 102.66 ドル215 億ドル | 35.08 ドル73 億ドル | +26.6% | +2.4% | 137.74 ドル289 億ドル |
今の株価時価総額 108.78 ドル228 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 12% AI 向けも先端ノードも 10 年伸び、シェアを守る 利益 28 億ドル · PER 14.4 倍 · 株価時価総額 189.09 ドル396 億ドル
AI の計算量と先端パッケージの大型化が 2036 年まで続き、Qnity が先端ノードと AI 向けの両方でシェアを守る筋書き。ウェハー投入は 2026 年の 1.35 倍(年 3%)、1 枚あたりの工程の回数は 3D DRAM・GAA の次の世代・HBM の多段化で 1.30 倍、シェアは横ばいで、工程材料は 72.1 億ドル(価格 1.38 倍)。AI 向けの先端パッケージ・高多層基板・熱管理は出荷規模 3 倍・価格 1.30 倍で 53.8 億ドル、従来分は 19.2 億ドル。合計 145.1 億ドル(年 10%)、営業利益率 28.5%(エンテグリスの現在の GAAP 営業利益率 18.6% を大きく上回る)。この場合は競合がシェアを取れず、顧客が供給会社を絞る流れの勝者になる。償却が終わり、借金はほぼ返し終わって、10 年間の正味の還元は約 112 億ドル。
- 半導体の工程材料(CMP・洗浄・フォトレジスト):数量 176(当社が材料を供給する工程回数の指数(2026 年=100)= 世界のウェハー投入 × 1 枚あたりの研磨・洗浄・露光の回数 × 当社のシェア)× 価格 0.41(指数 1 あたりの売上(億ドル。中立は物価に届かず 10 年 1.32 倍))→ 売上 72 億ドル・営業利益 24 億ドル。ウェハー投入 × 工程の回数 × シェアの指数 × 価格(2026 年を 100 とした数量 176・価格 1.38 倍・営業利益率 33.0%)
- AI 向けの先端パッケージ・高多層基板・熱管理の材料:数量 300(AI 向けのパッケージ・基板・熱管理の出荷規模の指数(2026 年=100))× 価格 0.18(指数 1 あたりの売上(億ドル。新しい世代の材料は高いが、供給会社が増えて値下がりする。10 年 1.25 倍))→ 売上 54 億ドル・営業利益 16 億ドル。出荷規模の指数 × 価格(2026 年を 100 とした数量 300・価格 1.30 倍・営業利益率 30.0%)
- 柔軟基板・積層材・Laird の従来分:数量 128(出荷規模の指数(2026 年=100))× 価格 0.15(指数 1 あたりの売上(億ドル。競争で物価に届かず、10 年 1.15 倍))→ 売上 19 億ドル・営業利益 4 億ドル。出荷規模の指数 × 価格(2026 年を 100 とした数量 128・価格 1.20 倍・営業利益率 21.0%)
倍率:正当化 PER は 15.9 倍(g 4.0%、RONIC 16.5%。RONIC は k 8.75% に、事業の ROE 24.2% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 14.3 倍(9 割)に置いた。AI 向けの先端パッケージ・基板が伸び、認定の壁も保たれる最良の筋書きでも、中国の国産化と消耗品の価格競争は残る。上限の 9 割に置く。 g の内訳:工程材料の市場の実質の伸び 年 1.5% 前後 × シェアの増減(中国で下がり ほぼ −0.5%)× 価格は物価に届かず +3.5% より低い、の差し引きで、名目の長期 g は 4.0%(structural は使わない)。 純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:AI 向けと先端ノードの両方が 10 年伸び続ける筋書き。強い成長が 10 年続く確率は高くないので、同じ領域の装置会社と同じ 12% に留める。
やや楽観 23% 伸びは目標の延長線を上回るが、後半は鈍る 利益 23 億ドル · PER 13.0 倍 · 株価時価総額 140.35 ドル294 億ドル
先端ノードの工程が増え続け、AI 向けも 2030 年代まで伸びるが、後半は鈍る筋書き。ウェハー投入 1.30 倍、工程の回数 1.25 倍、シェアは中国の国産勢に 1% 失い、工程材料は 64.6 億ドル(価格 1.35 倍)。AI 向けは出荷規模 2.4 倍・価格 1.27 倍で 42.1 億ドル、従来分 17.8 億ドル、合計 124.5 億ドル(年 8.3%)、営業利益率 27.5%。会社の長期目標(2028 年まで organic 年 6〜7%)の延長線を上回る。エンテグリス・レゾナックとの競争で価格は物価並みの 1.35 倍まで上がらないが、先端品の構成の改善で補う。10 年間の正味の還元は約 98 億ドル。
- 半導体の工程材料(CMP・洗浄・フォトレジスト):数量 161(当社が材料を供給する工程回数の指数(2026 年=100)= 世界のウェハー投入 × 1 枚あたりの研磨・洗浄・露光の回数 × 当社のシェア)× 価格 0.40(指数 1 あたりの売上(億ドル。中立は物価に届かず 10 年 1.32 倍))→ 売上 65 億ドル・営業利益 21 億ドル。ウェハー投入 × 工程の回数 × シェアの指数 × 価格(2026 年を 100 とした数量 161・価格 1.35 倍・営業利益率 32.0%)
- AI 向けの先端パッケージ・高多層基板・熱管理の材料:数量 240(AI 向けのパッケージ・基板・熱管理の出荷規模の指数(2026 年=100))× 価格 0.18(指数 1 あたりの売上(億ドル。新しい世代の材料は高いが、供給会社が増えて値下がりする。10 年 1.25 倍))→ 売上 42 億ドル・営業利益 12 億ドル。出荷規模の指数 × 価格(2026 年を 100 とした数量 240・価格 1.27 倍・営業利益率 29.0%)
- 柔軟基板・積層材・Laird の従来分:数量 122(出荷規模の指数(2026 年=100))× 価格 0.15(指数 1 あたりの売上(億ドル。競争で物価に届かず、10 年 1.15 倍))→ 売上 18 億ドル・営業利益 4 億ドル。出荷規模の指数 × 価格(2026 年を 100 とした数量 122・価格 1.17 倍・営業利益率 20.0%)
倍率:正当化 PER は 15.3 倍(g 4.0%、RONIC 14.6%。RONIC は k 8.75% に、事業の ROE 20.5% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 13.0 倍(8.5 割)に置いた。先端ノードの工程が増える筋書き。ただしエンテグリスなどとの競争で価格を決める力は装置ほど強くない。上限の 8.5 割に置く。 g の内訳:工程材料の市場の実質の伸び 年 1.5% 前後 × シェアの増減(中国で下がり ほぼ −0.5%)× 価格は物価に届かず +3.5% より低い、の差し引きで、名目の長期 g は 4.0%(structural は使わない)。 純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:先端ノードと AI 向けの伸びが会社の目標の延長線を上回る筋書き。強気の見方が通る確率として、10 年では 23% を置く(同じ領域の装置会社と同じ)。
中立 33% 市場は育つが、シェアは少し下がり価格は物価に届かない 利益 18 億ドル · PER 11.7 倍 · 株価時価総額 102.59 ドル215 億ドル
市場は育つが、シェアは中国の国産化で少し下がり、価格は物価に届かない筋書き。ウェハー投入が 2026 年の 1.25 倍(年 2.3%)、1 枚あたりの工程の回数が 1.20 倍で、シェアは安集微電子など中国勢に 3% 失い、工程材料は 57.2 億ドル(価格 1.32 倍。顧客の毎年の値下げ要求を原料費の転嫁と先端品の構成で一部取り戻す)。AI 向けは出荷規模 2.0 倍・価格 1.25 倍で 34.5 億ドル、従来分は 17.2 億ドル。合計 108.9 億ドル(年 6.9%)、営業利益率 25.9%(EBITDA 率は 30% 前後で横ばい。償却の終わりで営業利益率が上がる)。エンテグリスとは同じ利益率の水準。純利益は 18.4 億ドルで、10 年間の正味の還元は約 85 億ドル。
- 半導体の工程材料(CMP・洗浄・フォトレジスト):数量 146(当社が材料を供給する工程回数の指数(2026 年=100)= 世界のウェハー投入 × 1 枚あたりの研磨・洗浄・露光の回数 × 当社のシェア)× 価格 0.39(指数 1 あたりの売上(億ドル。中立は物価に届かず 10 年 1.32 倍))→ 売上 57 億ドル・営業利益 17 億ドル。ウェハー投入 × 工程の回数 × シェアの指数 × 価格(2026 年を 100 とした数量 146・価格 1.32 倍・営業利益率 30.0%)
- AI 向けの先端パッケージ・高多層基板・熱管理の材料:数量 200(AI 向けのパッケージ・基板・熱管理の出荷規模の指数(2026 年=100))× 価格 0.17(指数 1 あたりの売上(億ドル。新しい世代の材料は高いが、供給会社が増えて値下がりする。10 年 1.25 倍))→ 売上 35 億ドル・営業利益 10 億ドル。出荷規模の指数 × 価格(2026 年を 100 とした数量 200・価格 1.25 倍・営業利益率 28.0%)
- 柔軟基板・積層材・Laird の従来分:数量 120(出荷規模の指数(2026 年=100))× 価格 0.14(指数 1 あたりの売上(億ドル。競争で物価に届かず、10 年 1.15 倍))→ 売上 17 億ドル・営業利益 3 億ドル。出荷規模の指数 × 価格(2026 年を 100 とした数量 120・価格 1.15 倍・営業利益率 19.0%)
倍率:正当化 PER は 14.6 倍(g 4.0%、RONIC 13.1%。RONIC は k 8.75% に、事業の ROE 17.4% が k を超える分の 0.5 を足した値。moat は normal)。これに対し 11.7 倍(8 割)に置いた。認定の壁はあるが、市場の実質の伸びは年 1.5% 前後で、中国のスラリーの国産化と分離後の借金の重さが残る。中立は上限の 8 割に置く。 g の内訳:工程材料の市場の実質の伸び 年 1.5% 前後 × シェアの増減(中国で下がり ほぼ −0.5%)× 価格は物価に届かず +3.5% より低い、の差し引きで、名目の長期 g は 4.0%(structural は使わない)。 純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:業界ノート中立(ウェハー製造装置が 2036 年に 2.6 倍の約 2,650 億ドル)に、材料の消耗型の性格と中国の国産化を織り込んだ落としどころ。会社の目標(organic 年 6〜7%)に近い年 6.9%。最も確率を厚くした。
やや悲観 20% AI 向けが一巡し、競合と中国に取られる 利益 10 億ドル · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 56.76 ドル119 億ドル
AI の設備投資が 2030 年代の前半で落ち着き、競合と中国に取られる筋書き。ウェハー投入 1.18 倍、工程の回数 1.12 倍、シェアは 8% 下がり、工程材料は 44.2 億ドル(価格 1.22 倍)。AI 向けは基板・パッケージの供給会社が増えて値下がりし、出荷規模 1.45 倍・価格 1.10 倍で 22.0 億ドル、従来分は 13.8 億ドル(価格 1.05 倍。中国・韓国の柔軟基板材料との競争)。合計 80.0 億ドル(年 3.6%)、営業利益率 19.5%(今の 20.6% を少し下回る)。レゾナックや富士フイルムが先端の研磨でシェアを取り、価格決定力が弱まる。借金は返し終わり純現金が 7 億ドルほど残るが、還元は約 37 億ドルにとどまる。
- 半導体の工程材料(CMP・洗浄・フォトレジスト):数量 122(当社が材料を供給する工程回数の指数(2026 年=100)= 世界のウェハー投入 × 1 枚あたりの研磨・洗浄・露光の回数 × 当社のシェア)× 価格 0.36(指数 1 あたりの売上(億ドル。中立は物価に届かず 10 年 1.32 倍))→ 売上 44 億ドル・営業利益 11 億ドル。ウェハー投入 × 工程の回数 × シェアの指数 × 価格(2026 年を 100 とした数量 122・価格 1.22 倍・営業利益率 24.0%)
- AI 向けの先端パッケージ・高多層基板・熱管理の材料:数量 145(AI 向けのパッケージ・基板・熱管理の出荷規模の指数(2026 年=100))× 価格 0.15(指数 1 あたりの売上(億ドル。新しい世代の材料は高いが、供給会社が増えて値下がりする。10 年 1.25 倍))→ 売上 22 億ドル・営業利益 5 億ドル。出荷規模の指数 × 価格(2026 年を 100 とした数量 145・価格 1.10 倍・営業利益率 22.0%)
- 柔軟基板・積層材・Laird の従来分:数量 105(出荷規模の指数(2026 年=100))× 価格 0.13(指数 1 あたりの売上(億ドル。競争で物価に届かず、10 年 1.15 倍))→ 売上 14 億ドル・営業利益 2 億ドル。出荷規模の指数 × 価格(2026 年を 100 とした数量 105・価格 1.05 倍・営業利益率 14.0%)
倍率:事業の ROE 8.7% が k 8.75% 以下なので、PER は 1÷k = 11.4 倍が上限(ためた利益は額面未満の価値)。これに対し 11.4 倍(10 割)に置いた。中国の国産化と AI 向けの山の後の調整で利益が伸びない筋書き。ROE(帳簿)は k 以下で、新しく投じた資本は k を稼がない。 純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:AI 向けが一巡し、競合が追いつく筋書き。材料は技術の入れ替わりより価格競争の影響が大きいので、装置会社と同じ 20% を置く。
悲観 12% 構造的な敗北。のれんも減損し、もう優良ではない 利益 4 億ドル · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 20.72 ドル43 億ドル
構造的に負け、もう優良な材料会社ではない筋書き。AI の設備投資が減価償却の負担で細り、1 枚あたりの工程の回数も増えず、ウェハー投入 1.10 倍・工程の回数 1.05 倍。シェアは中国の国産勢とエンテグリス・レゾナックなどに 2 割失い、工程材料は 30.1 億ドル(価格 1.10 倍)、営業利益率は 18%。AI 向けは基板・パッケージの材料が汎用品になって出荷規模 0.9 倍・価格 0.95 倍の 11.8 億ドル(14%)、従来分は 10.1 億ドル(11%)。合計 52.0 億ドル、営業利益率 13.1%。のれん(75 億ドル)の 4 割が減損され自己資本は約 57 億ドルに縮む。借金は返せるが 9 億ドル残り、還元は約 17 億ドルに縮む。10 年の純利益の累計は約 3 億ドル:減損を除いた道筋は 2026〜29 年に 5.2・3.8・2.2 億ドルと谷の 2029 年へ下がり、その後は 2.5 億ドルから 3.8 億ドルへ戻って約 33 億ドル。そこからのれんの減損 約 30 億ドル(のれん 75 億ドルの 4 割)を引く。減損の年は 2031 年に仮に置き、税の効果は見ず純利益の減少として入れた(2031 年は約 −27 億ドルの赤字)。年ごとの内訳は仮に置いた。自己資本は 今 71 + 累計 3 − 還元 17 = 約 57 億ドル。
- 半導体の工程材料(CMP・洗浄・フォトレジスト):数量 92.0(当社が材料を供給する工程回数の指数(2026 年=100)= 世界のウェハー投入 × 1 枚あたりの研磨・洗浄・露光の回数 × 当社のシェア)× 価格 0.33(指数 1 あたりの売上(億ドル。中立は物価に届かず 10 年 1.32 倍))→ 売上 30 億ドル・営業利益 5 億ドル。ウェハー投入 × 工程の回数 × シェアの指数 × 価格(2026 年を 100 とした数量 92・価格 1.10 倍・営業利益率 18.0%)
- AI 向けの先端パッケージ・高多層基板・熱管理の材料:数量 90.0(AI 向けのパッケージ・基板・熱管理の出荷規模の指数(2026 年=100))× 価格 0.13(指数 1 あたりの売上(億ドル。新しい世代の材料は高いが、供給会社が増えて値下がりする。10 年 1.25 倍))→ 売上 12 億ドル・営業利益 2 億ドル。出荷規模の指数 × 価格(2026 年を 100 とした数量 90・価格 0.95 倍・営業利益率 14.0%)
- 柔軟基板・積層材・Laird の従来分:数量 85.0(出荷規模の指数(2026 年=100))× 価格 0.12(指数 1 あたりの売上(億ドル。競争で物価に届かず、10 年 1.15 倍))→ 売上 10 億ドル・営業利益 1 億ドル。出荷規模の指数 × 価格(2026 年を 100 とした数量 85・価格 0.95 倍・営業利益率 11.0%)
倍率:事業の ROE 6.7% が k 8.75% 以下なので、PER は 1÷k = 11.4 倍が上限(ためた利益は額面未満の価値)。これに対し 11.4 倍(10 割)に置いた。のれんの減損が出て利益も崩れる筋書き。ROE(帳簿)は k 以下で、新しく投じた資本は k を稼がない。 純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:業界ノートの悲観(中国の国産化でシェアを失う・微細化が止まる)を材料会社に当てはめた構造の負け。分離直後の新しい会社でもあり、のれんが重いので 12%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
半導体の工程材料(CMP・洗浄・フォトレジスト)
半導体の工場で工程のたびに使い切る材料。CMP のパッドとスラリー、洗浄薬品、EUV を含むフォトレジスト、Kalrez のシール材、有機 EL 材料。
| 数量当社が材料を供給する工程回数の指数(2026 年=100)= 世界のウェハー投入 × 1 枚あたりの研磨・洗浄・露光の回数 × 当社のシェア | 価格指数 1 あたりの売上(億ドル。中立は物価に届かず 10 年 1.32 倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 100 | 0.30 | 30 | 8 |
| 10 年後 中立 | 146 | 0.39 | 57 | 17 |
取り方:2026 年の半導体テクノロジーは、2026 年上半期 14.66 億ドル(第 2 四半期 7.44 億ドル、organic +17%)と下半期の見通し(第 3 四半期は前期比 1 桁前半の増、第 4 四半期は季節要因で伸びが鈍る)で約 29.7 億ドル(2025 年は 26.4 億ドル、+12%)。数量は世界の先端ロジック・DRAM のウェハー投入と 1 枚あたりの工程の回数、シェアの積を 2026 年=100 とした指数で、先端ノードの工程材料は前年比 +20% 超。価格は顧客の値下げ要求を原料費の転嫁と先端品の構成の改善が一部取り戻す想定で、物価(10 年 1.41 倍)に届かない。EBITDA 率は上半期 35.2%・下半期 約 35% で 約 35.3%(調整後 EBITDA 約 10.5 億ドル)、減価償却と償却の配分 約 2.2 億ドルを引いて営業利益 約 8.3 億ドル(28%)。
AI 向けの先端パッケージ・高多層基板・熱管理の材料
AI 加速器・HBM 向けの先端パッケージの材料(めっき・フォトレジスト・誘電体)、AI サーバーの高多層基板の材料、熱を処理する材料(Laird)。
| 数量AI 向けのパッケージ・基板・熱管理の出荷規模の指数(2026 年=100) | 価格指数 1 あたりの売上(億ドル。新しい世代の材料は高いが、供給会社が増えて値下がりする。10 年 1.25 倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 100 | 0.14 | 14 | 4 |
| 10 年後 中立 | 200 | 0.17 | 35 | 10 |
取り方:インターコネクトは 2026 年上半期 12.78 億ドル(第 2 四半期 6.85 億ドル、organic +28%)と下半期の見通しで約 26.3 億ドル。会社は先端パッケージ・AI 基板・熱管理の 3 つが合計で +50% 超と説明するが、事業別の売上は開示が無いので、2025 年のインターコネクト 21.1 億ドルのうち約 9.2 億ドルがこの 3 つと置き、+50% 超を当てて 2026 年は約 13.8 億ドルと逆算した(推定)。EBITDA 率は 約 32%(インターコネクト全体は上半期 28.6%)、償却と減価償却の配分 約 0.85 億ドルを引いて営業利益 約 3.6 億ドル(26%)。
柔軟基板・積層材・Laird の従来分
スマートフォン・自動車・航空向けの柔軟基板の材料(Kapton・Pyralux)、従来の Laird の電磁波・熱の材料。成熟した市場。
| 数量出荷規模の指数(2026 年=100) | 価格指数 1 あたりの売上(億ドル。競争で物価に届かず、10 年 1.15 倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 100 | 0.13 | 13 | 2 |
| 10 年後 中立 | 120 | 0.14 | 17 | 3 |
取り方:インターコネクト約 26.3 億ドルから AI 向けの約 13.8 億ドルを引いた残りで約 12.5 億ドル(2025 年の従来分 約 11.9 億ドルの +5%)。インターコネクト全体の 2025 年は数量 +14%・価格と構成 −2% で、従来分は数量の伸びが小さく価格は下がる。EBITDA 率は約 25%(約 3.1 億ドル)、償却と減価償却の配分 約 0.9 億ドルを引いて営業利益 約 2.2 億ドル(18%)。
リスクと懸念
AI の設備投資の山
インターコネクトの AI 向け(売上の約 25%)は前年比 +50% 超で伸びてきたが、大手の AI 設備投資が減価償却の負担で 2028 年以降に鈍れば、基板・パッケージ材料は装置より先に落ちる。工程材料のメモリ向け(売上の約 2 割)も、メモリ価格の下落で投資が止まれば影響を受ける。
借金(約 40 億ドル)と分離後の費用
純債務は EBITDA の約 2 倍、利払いは年約 2.5 億ドルで、売上が 2 割減ると純利益は半分以下になる。独立のための IT・分離費用(約 1.4 億ドル)の見えにくさと、CFO を探している最中という体制の不安定さが重なる。
のれんの減損と帳簿の質
自己資本 75 億ドルのうち、のれんが 75 億ドル、無形が 10 億ドル。事業の価値が落ちれば減損が出て、自己資本が大きく縮む。帳簿の ROE(約 9%)が示す資本効率は事業の実力を過小に見せるが、減損は現金を伴わないので価値の計算には入れず、悲観の筋書きにだけ反映した。
中国と国産化
中国は売上の 33% で、国産のスラリー(安集微電子など)と国産フォトレジストが広がれば、先端以外の工程でシェアを失う。規制と報復で顧客の購買が変わるリスクもあり、10 年の悲観・やや悲観のシェアの落ちに入れた。
競合の攻勢と値下げ
CMP ではエンテグリス(CMC を 2022 年に買収)、レゾナック、富士フイルム、メルクが競り、フォトレジストは日本勢(JSR・東京応化・信越化学・富士フイルム)が強い。顧客はサムスン・TSMC など巨大で、毎年の値下げ要求を受ける。価格が物価に届かない分は、先端品の構成の改善で取り戻せるかにかかる。
顧客の集中
サムスンが売上の 9〜11%、TSMC が 8%、上位 10 社で 34%。数社の投資の延期や、供給会社を絞る動きが売上と利益率に直接効く。サムスンは 2025 年の 11% から 2026 年第 2 四半期の 9% に比率が下がっており、特定の顧客の内製化や調達先の変更で、1 社の動きが年に 1 億ドル単位の売上に響く。
デュポン由来の訴訟・環境の補償
分離でデュポンの過去の訴訟・環境の責任の一部を引き受け、計上は 2.5 億ドル、追加の可能性は最大約 1 億ドル。額は純利益の 1 年分に届かないが、予想外の請求が借金の返済と能力増強の計画を狂わせる恐れがある。補償は分離契約で上限が決まっているかどうかを、今後の開示で確認する必要がある。
今後の分かれ目
- SK ハイニックス・TSMC・サムスンの設備投資の見通しが 2 回続けて下がる(AI 向けの増設が鈍る)
- インターコネクトの AI 向けが先に落ちるので、悲観・やや悲観の確率を上げる。
- 先端ノードの伸びが +20% 超を 2027 年も続け、CMP の新しいパッドが 2nm の量産ラインで標準になる
- 工程材料のシェアと価格が上振れするので、10 年の楽観・やや楽観に確率を寄せる。
- 純債務倍率が 1.5 倍を割り、自社株買いの枠が拡大される(正式な資本配分の方針が出る)
- 借金の重さが薄れて還元が増え、中立が上へ動く。ただし倍率が高い時の自社株買いは価値を壊す。
- 中国向けの売上比率が 25% を割る、または国産スラリーが先端ノードで採用される
- シェアに直接効くので、10 年のやや悲観・悲観の確率を上げる。
- AI 向けの先端パッケージ・基板で、競合(エンテグリス・レゾナックなど)が認定を取って価格が下がり始める
- インターコネクトの利益率が下がるので、中立の営業利益率を 2〜3 ポイント下げて見直す。
- デュポン由来の補償の追加計上が上限の約 1 億ドルを超える、または大型買収を発表する
- 資本配分への信頼が下がり、のれんがさらに増えるので、悲観の確率を上げる。
見ておくもの
- TSMC・サムスン・SK ハイニックス・マイクロンの設備投資と、AI 大手 5 社の設備投資の計画(2027 年以降)
- Qnity の半導体テクノロジーとインターコネクトの organic 成長率(四半期)と、先端ノード・AI 向けの伸び
- 半導体の EBITDA 率(会社は 2026 年下半期に約 35%)とインターコネクトの EBITDA 率(約 29%)、粗利益率
- 純債務倍率と自社株買い・配当の実績、タームローンの返済
- 中国の売上比率(33% からどこまで動くか)と国産スラリー・レジストの採用
- 償却の減少(年約 2 億ドル)と変革計画の効果(2028 年末に年 1 億ドルの EBITDA 改善)
倍率と資本コストの決め方
売上と利益は、工程材料(世界のウェハー投入 × 工程の回数 × シェア × 価格)、AI 向けの先端パッケージ・基板・熱管理(出荷規模 × 価格)、従来分の柔軟基板・積層材の 3 つで積み、エンテグリス・レゾナック・JSR・富士フイルム・中国勢と照らした。倍率は今の株価でなく利益ベースの正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) の 7〜10 割。k = 8.75%(基本 8% + 循環 0.5% + 借金 0.25%)、g は 4%(市場の実質の伸び 年 1.5% 前後・シェア(中国で下がる)・価格(物価との差)。structural は使わない)、堀は普通。帳簿の ROE は自己資本の大半がのれんで事業の稼ぐ力より低く出るが、上限の検査はのれん込みの帳簿で測るので、そのまま使った。10 年の中立は ROE 17% で正当化 PER 14.6 倍、その 8 割の 11.7 倍。ROE が k 以下になる筋書き(やや悲観・悲観)は 1÷k の 11.4 倍。分離後の借金は純利益の中の利払いで反映済み。純利益は GAAP で、今の PER 約 41 倍にも寄せていない。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 5% + β 1.20 × 5%。k = 基本 8.0% + quality +0.75% = 8.75%。循環 +0.5%・借金 +0.25% で quality は +0.75%。個別のリスク(AI の山・のれんの減損・中国の国産スラリー・分離後の費用の見えにくさ)は k に足さず、確率と悲観の深さで表した。分離後の借金は返せる範囲で、存続は危うくないので上乗せ 0。