結論
マイクロチップ・テクノロジー(Microchip Technology)は、マイコン(売上の 50%)・アナログ(28%)・FPGA とデータセンター専用品などその他(22%)を、産業・車載・データセンター・航空宇宙防衛・通信の 10 万品種超で長期に売る半導体会社である。2026 年 3 月期(FY2026)は売上 47.1 億ドル、GAAP の営業利益率 10%(在庫調整の谷。2023 年 3 月期の山は売上 84 億ドル・営業利益率 34%)。2027 年 3 月期の 4-6 月期は売上 14.8 億ドル(前年比 +38%)、データセンター +98%・航空宇宙防衛 +46%・車載 +29%・産業 +24% と急回復し、7-9 月期は前期比 +7〜9% を見込む。ただし粗利益率には一度きりの在庫評価の戻しとライセンス収入が含まれ、会社自身が「これ以上の上昇は織り込むな」と述べている。
売上は「市場(実質)× シェア × 価格(物価並みで 10 年 1.41 倍)」を、マイコン・アナログ・FPGA・その他の 4 つに分けて積んだ。10 年後(2036 年 3 月期)の中立は売上 116 億ドル、純利益 32 億ドル。借金は 51 億ドルと重く、利益はすべて債務の返済に回るため、増配・自社株買いは当面ない。強制転換優先株(2028 年 3 月に 0.238 億株へ転換)は株数で一度だけ数え、配当は還元に入れた(普通株 5.452 億株+転換分で 5.690 億株、今の時価総額は 420 億ドル)。
バリュー投資の観点では、事業は理解でき、利益率は回復途上で、長期目標(粗利益率 65%・営業利益率 約 40%)を超えるかどうかが分かれ目になる。資本コストは 9.5%(基本 8.0% + quality 1.5%)。利益ベースの正当化 PER は、のれん込みの帳簿の ROE 28%・RONIC 19%・g 4.5% で 15 倍ほどになる。10 年後の中立にはその 8 割の 12.2 倍を置いた。確率で加重した本質価値は今の時価総額を 4 割半ば下回る(割高)。今の値段は、中立の筋書きを大きく超える利益率と数量の持続をすでに払っている。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず「10 年後もこの事業は存在し、今より強いか」を問う。マイコンとアナログは電子機器が動く限り要り、設計に入った製品は 10〜20 年買われ続けるので、事業は残る。データセンター(2026 年に約 10 億ドル)と航空宇宙防衛が新しい柱になり、堀は「保たれ、少し広がる」。一方、マイコンはルネサス・NXP・ST・インフィニオン・TI・中国勢の乱戦で、価格を決める力は ADI や TI ほど強くない。
次にオーナー利益。2027 年 3 月期の GAAP 純利益は約 13 億ドル(私の推定。4-6 月期 2.3 億、7-9 月期の見込み 3.2 億)、自由現金収支は約 22 億ドル、株式報酬(年約 3 億ドル)を引いたオーナー利益は約 19 億ドルで、今の時価総額 420 億ドルに対する利回りは約 4.6%。10 年国債の 5% に届かない。利益の約 4 分の 1 は買収の無形資産の償却(非現金)に隠れるが、その償却は 2031 年ごろに終わる。
資本配分は、不況の年に弱い。2022〜23 年の山で配当と自社株買いを増やし、そのあと売上が半減して借金が残り、いま全利益を返済に回している。借金が減るまで株主への還元は増えない。強制転換優先株の転換(0.238 億株)は株数に入れた。
安全域:事業は理解でき質は良いが、資本コスト 9.5% と利益ベースの正当化 PER 15 倍ほど(中立はその 8 割の 12.2 倍)で割ると、本質価値は今の時価総額より 4 割半ば低い。今の値段に見合うのはやや楽観より上の筋書き(利益率が長期目標を超え、データセンターと防衛が続く)だけである。
何で稼ぐ会社か
売上の半分はマイコン(MCU)で、8 ビット・16 ビット・32 ビットとデジタル信号コントローラ(DSC)を、家電から産業機器・車載・防衛まで幅広い機器に売る(2026 年 3 月期 23.6 億ドル)。1 個数十円から数千円の低単価品が多いが、顧客が一度設計に入れると製品寿命の 10〜20 年にわたり買い続けるため、解約の起きにくい事業である。アナログ(13.3 億ドル)は電源管理・インターフェース・タイミング・セキュリティ・センサーで、マイコンと組にして売る比率が高い。「その他」(10.3 億ドル)には FPGA(低消費電力・耐放射線の PolarFire)、データセンター専用品(PCIe スイッチ・リタイマ・ストレージ制御)、ライセンス(粗利益率 100%)、メモリ、タイミング機器が入り、FPGA は開示が無いので約 6 億ドルと推定した。
顧客の用途(2026 年 4-6 月期)は産業 32%、データセンター 17%(2025 年は 5.9 億ドルで、2026 年は約 10 億ドルの見込み)、航空宇宙防衛 17%、車載 15%、通信 8%、家電 7%、コンピュート 3%。販売店経由が売上の 47%(アローが 12%)で、地域は米国外が 75%、中国向けが約 18%、台湾 15%、欧州 21%。
製造は、米国の自社ファブ(オレゴン州グレシャム工場は 8 インチ、コロラド州の工場は 6 インチ)で売上の約 35%、外部ファウンドリで約 65%。組立の約 67%・テストの約 69% を自社で行う。2025 年 5 月にアリゾナ州のファブ 2 を閉め、社内の生産能力には余力がある(未設置の設備が約 4.5 億ドル)。価格は 2026 年 7 月中旬〜9 月上旬に約 10 万品種で一度だけ引き上げ、全効果は 10-12 月期に出る。従業員は約 17,900 人。
優良さと弱いところ
堀は 3 つある。1 つ目は「設計に入ると長く使われる」ことである。8 ビットを中心とする大量の製品の設計資産、開発ツール、長期供給の約束(製品寿命が終わっても作り続ける)が、顧客の乗り換えの費用を高くしている。2 つ目は「幅広い品種を組み合わせて売る力」で、マイコン・アナログ・FPGA・タイミング・セキュリティを 1 社でそろえ、航空宇宙防衛や産業の厳しい品質要求に応える。3 つ目は自社の工場・組立・テストを持つ供給の確かさで、2026 年はリードタイムが伸びる中で社内の余力が顧客への割り当ての強みになっている。
利益の質は、強い局面と弱い局面の差が大きい。非 GAAP の粗利益率は 2026 年 4-6 月期 63.8%(7-9 月期は 66〜67% の見込み)で、長期目標の 65% を上回っている。一方、GAAP の営業利益率は 10〜23% で、買収の無形資産の償却(2026 年 3 月期 4.3 億ドル)と株式報酬(2.6 億ドル、売上の 5.4%)が重く、自己資本 64 億ドルのうち、のれん 67 億ドルと無形資産 20 億ドルを除くと事業の元手は約 30 億ドルしかない。事業としての資本効率は高く、帳簿の ROE(3.6%)は買収の会計の結果である。
弱い所は 4 つ。第一に、2022〜23 年の供給逼迫で顧客が実需より多く確保した在庫が、2023〜25 年の調整で解消され、売上が 84 億ドルから 44 億ドルへ半減した(社内の在庫日数は 2024 年 12 月に 266 日まで悪化)。循環の振れが大きい。第二に、借金(純 51 億ドル、純負債 ÷ 調整後 EBITDA 2.85 倍)が重く、不況の年の自由度を奪う。第三に、マイコンはルネサス・NXP・STマイクロエレクトロニクス・インフィニオンと、アナログはテキサス・インスツルメンツ(TI)・アナログ・デバイセズ(ADI)と競り、価格を決める力は ADI や TI に劣る。第四に、中国の国産マイコン・アナログが成熟品の価格を押し下げる。価格を決める力は「中位から上位」で、置き換え不能ではない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
マイコンの市場は 2025 年で約 350〜400 億ドル、アナログは約 790 億ドル、FPGA は約 117 億ドルである。WSTS(世界半導体市場統計)は 2026 年にアナログ +10%、マイクロ(マイコンなど)+20%、ディスクリート +8% を見込む。2023〜25 年は在庫調整で市場全体が山から 15〜20% 落ち、産業・車載は回復が遅れて始まった。マイクロチップは 2026 年 4-6 月期に販売店在庫が 25 日(歴史的な下限)まで減り、販売店の売上(sell-through)が前期比 +17%、ブックトゥビルは 1 を大きく超えて 4 年で最強と述べ、「在庫調整は終わった」とみる。
構造の変化は 3 つ。第 1 に、AI データセンターの電源・通信・管理用の半導体で、PCIe 第 6 世代のスイッチ・リタイマ(設計採用 14 件。第 5 世代では遅れて大半を失った)と、カタログ品の電源・マイコン・FPGA・セキュリティが伸びる。第 2 に、ミサイル・ドローン・レーダー向けの航空宇宙防衛の積み上げで、耐放射線 FPGA とマイコンが数年かけて増える見込みである。第 3 に、AI 需要が基板・組立・ファウンドリを奪い、リードタイムが伸びて価格が上がる局面に入った。
競合は、マイコンでルネサス(車載・産業で最大級)・NXP(車載)・ST(産業・汎用)・インフィニオン(車載)・TI、アナログで TI・ADI・ST・オン・セミコンダクター、FPGA でラティスセミコンダクター・AMD・アルテラ。中国勢(兆易創新など)が汎用マイコンの低価格帯で攻める。マイコン上位 5 社(NXP・マイクロチップ・ルネサス・ST・インフィニオン)で世界の 5 割超を占める。循環のどこにいるかは「上り坂の前半〜中盤」で、2027 年 3 月期の売上は 65 億ドル前後と、2023 年 3 月期の山の 8 割に戻る見込みである。
資本政策と M&A
還元は、普通株の配当(1 年で約 9.9 億ドル。増配は当面なし)と強制転換優先株の配当(年 1.1 億ドル)が中心である。会社は「配当を超えるすべての現金を債務の返済に回し、増配・自社株買いは当面しない」と述べている。2026 年 4-6 月期の自由現金収支は 5.0 億ドルで、純負債は 1.7 億ドル減って 51 億ドルになり、純負債 ÷ 調整後 EBITDA は 2.85 倍から今期中に 2.5 倍未満へ下がる見込みである。
強制転換優先株(Series A、7.50%)は 2025 年 3 月に 14.5 億ドルを調達したもので、2028 年 3 月 15 日に自動で普通株へ転換する。今の株価では 0.238 億株になる(株価が今より 15% 以上下がると転換の株数が増え始め、約 31% 下がると 0.291 億株で頭打ちになる)。この分析は転換後の株数を最初から数え(5.690 億株)、純利益は優先配当を引く前の値で書き、優先配当は還元に入れた(二重に数えない)。
M&A は、2018 年のマイクロセミ(Microsemi)買収でデータセンター・FPGA・航空宇宙防衛を得たが、のれんと無形資産が自己資本の 1.4 倍になった。2026 年 7 月にイスラエルのエッジ AI 半導体ハイロ(Hailo)の買収を決め(価格は非開示、9 月の完了報道は一次確認なし)、会社は「財務に重要な影響なし」と述べているため、数字には入れない。大型買収は考えておらず、独占禁止の面でも難しい。買われる側になる可能性は低い。借金は 2028・2029・2030 年満期の 4.9〜5.05% の社債と低利の転換社債で、借り換えで平均の金利は 3.6% から 4.5〜5.5% へ上がる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
データセンターと航空宇宙防衛が、利益率の高い新しい柱になる。データセンターは 2025 年の 5.9 億ドルから 2026 年に約 10 億ドルへ 7 割近く伸び、PCIe 第 6 世代の設計採用は 1 四半期で 6 件から 14 件に増えた。電源・マイコン・FPGA・セキュリティを組にして売るカタログ品も、同じ顧客(電源メーカー・カードメーカー)で伸びている。航空宇宙防衛はミサイル・ドローン・レーダーの積み上げが「始まったばかり」で、元請けの生産が 4〜8 倍になる可能性を会社が挙げ、耐放射線 FPGA とマイコンは代わりのきかない品である。
産業と車載は、他社より遅れて回復が始まった。販売店在庫は 25 日の下限で、売上(sell-through)が前期比 +17%、ブックトゥビルは 4 年で最強、リードタイムは伸びて「リードタイム内の注文に応じきれない」状態にある。社内ファブには約 4.5 億ドルの未設置の設備と余力があり、割り当てを増やせるのは強みである。一度きりの値上げ(約 10 万品種)の全効果は 10-12 月期に出る。
粗利益率はすでに長期目標の 65% を超え、営業利益率は 38.5〜39.5%(7-9 月期見込み)まで来た。売上が 84 億ドル(2023 年 3 月期の山並み)に戻れば営業利益率は 42% を超え、純負債は 2029 年 3 月期までに 18 億ドルまで減って自社株買いが再開する。利益 23 億ドルに PER 30 倍前後なら、今の時価総額を大きく上回る。
慎重な見方
今の急回復は、3 つの一度きりの押し上げを含む。1 つ目は値上げ前の駆け込み注文、2 つ目は在庫の評価損の戻し(会社自身が「繰り返さない」と述べた)、3 つ目は 9 月期に大きい粗利益率 100% のライセンス収入である。会社は「粗利益率はこれ以上上がらない、66〜67% をモデルに入れるな」と言っている。リードタイムの伸びも、AI がファウンドリ・基板・組立を奪った結果で、AI 設備投資が止まれば逆に緩んで価格が崩れる。
2022〜23 年に顧客が実需より多く確保した在庫は、2023〜25 年に売上を 84 億ドルから 44 億ドルへ半減させた。同じ振れがまた来ないとは言えない。データセンター専用品は PCIe 第 5 世代で遅れて大半を失い、第 6 世代はまだ量産出荷が始まっていない。航空宇宙防衛の受注は初期で、会社自身が「45.6% 増の外挿は避けよ」と述べる。車載はルネサス・NXP・ST・インフィニオンに、汎用マイコンは TI と中国勢(兆易創新)に挟まれる。
借金は純 51 億ドル、のれんと無形資産は自己資本の 1.4 倍で、不況で減損が出れば自己資本が薄くなる。値段の面では、2027 年 3 月期の GAAP 純利益(約 13 億ドル)に対して PER は約 32 倍、オーナー利益の利回りは国債の 5% を下回る。成熟後の PER は 15 倍前後で、利益が 2 倍になっても倍率の縮みで時価総額は今を上回りにくい。
どちらに重みを置いたか
資本コスト 9.5% と利益ベースの正当化 PER(10 年後の中立で上限 15.2 倍の 8 割=12.2 倍)を当てはめると、中立の時価総額は 10 年後で今の 0.93 倍(392 億ドル)にとどまる。9.5% で割り引くと本質価値は今の 5 割半ばで、差は 4 割半ばの割高。買収の履歴と借金があり、循環の山の利益を含むので、上限すれすれには置かなかった。事業の見通しは変えていない。結論は倍率で決まる。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 58.91 ドル335 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 26.04 ドル148 億ドル)。 今の値に割り戻すと 40.31 ドル229 億ドル、今との差 −45.9%、 期待の年率 +1.3%(資本コスト 9.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 113.50 ドル646 億ドル | 39.00 ドル222 億ドル | +104.6% | +7.4% | 10.67 ドル61 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 91.63 ドル521 億ドル | 34.69 ドル197 億ドル | +69.5% | +5.4% | 25.27 ドル144 億ドル |
| 中立 | 35% | 68.82 ドル392 億ドル | 30.09 ドル171 億ドル | +32.7% | +2.9% | 34.62 ドル197 億ドル |
| やや悲観 | 24% | 29.47 ドル168 億ドル | 18.31 ドル104 億ドル | −35.9% | −4.3% | 11.47 ドル65 億ドル |
| 悲観 | 14% | 10.53 ドル60 億ドル | 10.32 ドル59 億ドル | −72.0% | −12.0% | 2.92 ドル17 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 58.91 ドル335 億ドル | 26.04 ドル148 億ドル | +14.0% | +1.3% | 84.95 ドル483 億ドル |
今の株価時価総額 74.52 ドル424 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.5% を下回るほど割高。
楽観 7% データセンターと防衛が 10 年続き、マイコンの中位から上位へ上がる 利益 46 億ドル · PER 14.1 倍 · 株価時価総額 113.50 ドル646 億ドル
データセンターと防衛の積み上げが 2036 年 3 月期まで続き、価格の水準は物価(141)を上回って 150 まで上がる筋。マイコンは市場 実質 560 億ドルでシェア 8.6%(車載・産業の新規設計を、ルネサス・ST・NXP・インフィニオンから取り続ける)、アナログは 1,170 億ドル×2.15%(電源・データセンター)、FPGA は 215 億ドル×6.3%(耐放射線で首位級)、その他は 340 億ドル×3.2%(PCIe 第 6・7 世代でブロードコム・アステラ・ラボと並ぶ)。売上は 145.8 億ドル、GAAP の営業利益率 38%(非 GAAP で約 42%、償却はほぼ終わる)、純利益 45.8 億ドル。10 年の純還元は約 220 億ドル。TI・ADI が原価と性能で攻めても、組み合わせて売る力で並ぶ。競合に負ける所(中国勢と競る汎用 8 ビット)は価格で譲る。
- マイコン(8・16・32 ビット MCU と DSC):数量 48.2(当社のマイコン出荷(実質の億ドル)= マイコン市場(2026 年 3 月期の値段で測った実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 150(製品の価格の水準(2026 年 3 月期=100。中立は物価並みで 10 年 141))→ 売上 72 億ドル・営業利益 29 億ドル。市場 実質 560 億ドル × シェア 8.6%・価格 150・営業利益率(株式報酬後・償却前)40%
- アナログ(電源管理・インターフェース・タイミング・セキュリティ・センサー):数量 25.2(当社のアナログ出荷(実質の億ドル)= アナログ市場(同)× 当社シェア)× 価格 150(製品の価格の水準(2026 年 3 月期=100。中立は物価並みで 10 年 141))→ 売上 38 億ドル・営業利益 13 億ドル。市場 実質 1170 億ドル × シェア 2.15%・価格 150・営業利益率(株式報酬後・償却前)33%
- FPGA(低消費電力・耐放射線):数量 13.5(当社の FPGA 出荷(実質の億ドル)= FPGA 市場(同)× 当社シェア)× 価格 148(製品の価格の水準(2026 年 3 月期=100。中立は物価並みで 10 年 141))→ 売上 20 億ドル・営業利益 10 億ドル。市場 実質 215 億ドル × シェア 6.3%・価格 148・営業利益率(株式報酬後・償却前)48%
- その他(データセンター専用・ライセンス・メモリ・タイミング機器):数量 10.9(当社のその他出荷(実質の億ドル)= 対象市場(データセンター専用・タイミング・メモリなど、同)× 当社シェア)× 価格 145(製品の価格の水準(2026 年 3 月期=100。中立は物価並みで 10 年 141))→ 売上 16 億ドル・営業利益 5 億ドル。市場 実質 340 億ドル × シェア 3.2%・価格 145・営業利益率(株式報酬後・償却前)33%
倍率:正当化 PER:事業の ROE 31.6%(帳簿の自己資本に対する純利益)、RONIC = k 9.5% + 1/2 ×(ROE 31.6% − k 9.5%)= 20.5%(moat=普通)、g = 4.5%(structural)で (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 15.6 倍。上限の 9 割の 14.1 倍に置いた:データセンター・防衛が続く上振れでも、堀は普通で在庫調整の振れも残るので控える。 時価総額 = 純利益 45.8 × 14.1 倍 = 646 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:データセンターと防衛が 10 年続き、価格を決める力も上がる場合。業界ノートの楽観(市場 10 年で約 2 倍)の一部。7% に留める。
やや楽観 20% 防衛とデータセンターで 10 年伸び、シェアは今より少し上がる 利益 40 億ドル · PER 13.2 倍 · 株価時価総額 91.63 ドル521 億ドル
防衛・データセンターの積み上げが続き、車載・産業も市場なみに伸びる筋。マイコンは市場 実質 545 億ドルでシェア 8.2%(価格の水準 145)、アナログは 1,140 億ドル×2.08%、FPGA は 205 億ドル×5.9%、その他は 320 億ドル×2.9%。売上は 130.0 億ドル、GAAP の営業利益率 37%、純利益 39.5 億ドル。2030 年 3 月期ごろまでに借金を返し終え、以降は純利益の約 8 割を配当と自社株買いで返す(株式報酬を引いた正味)。ルネサス・NXP・ST との競争は互角、TI・中国勢の汎用品には価格で譲る。競合に負ければ、シェアは 8% を割る。
- マイコン(8・16・32 ビット MCU と DSC):数量 44.7(当社のマイコン出荷(実質の億ドル)= マイコン市場(2026 年 3 月期の値段で測った実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 145(製品の価格の水準(2026 年 3 月期=100。中立は物価並みで 10 年 141))→ 売上 65 億ドル・営業利益 25 億ドル。市場 実質 545 億ドル × シェア 8.2%・価格 145・営業利益率(株式報酬後・償却前)39%
- アナログ(電源管理・インターフェース・タイミング・セキュリティ・センサー):数量 23.7(当社のアナログ出荷(実質の億ドル)= アナログ市場(同)× 当社シェア)× 価格 145(製品の価格の水準(2026 年 3 月期=100。中立は物価並みで 10 年 141))→ 売上 34 億ドル・営業利益 11 億ドル。市場 実質 1140 億ドル × シェア 2.08%・価格 145・営業利益率(株式報酬後・償却前)32%
- FPGA(低消費電力・耐放射線):数量 12.1(当社の FPGA 出荷(実質の億ドル)= FPGA 市場(同)× 当社シェア)× 価格 145(製品の価格の水準(2026 年 3 月期=100。中立は物価並みで 10 年 141))→ 売上 18 億ドル・営業利益 8 億ドル。市場 実質 205 億ドル × シェア 5.9%・価格 145・営業利益率(株式報酬後・償却前)47%
- その他(データセンター専用・ライセンス・メモリ・タイミング機器):数量 9.3(当社のその他出荷(実質の億ドル)= 対象市場(データセンター専用・タイミング・メモリなど、同)× 当社シェア)× 価格 143(製品の価格の水準(2026 年 3 月期=100。中立は物価並みで 10 年 141))→ 売上 13 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場 実質 320 億ドル × シェア 2.9%・価格 143・営業利益率(株式報酬後・償却前)32%
倍率:正当化 PER:事業の ROE 30.3%(帳簿の自己資本に対する純利益)、RONIC = k 9.5% + 1/2 ×(ROE 30.3% − k 9.5%)= 19.9%(moat=普通)、g = 4.5%(structural)で (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 15.5 倍。上限の 8.5 割の 13.2 倍に置いた:強気寄りだが、在庫調整の振れの大きさを見て控える。 時価総額 = 純利益 39.5 × 13.2 倍 = 521 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:防衛とデータセンターの積み上げが続き、車載・産業も市場なみに伸びる筋。上振れの中心で 20%。
中立 35% 今の市場の地位を保ち、市場なみ(実質 3〜4%)に伸びて成熟する 利益 32 億ドル · PER 12.2 倍 · 株価時価総額 68.82 ドル392 億ドル
2036 年 3 月期のマイコンは市場 実質 530 億ドルでシェア 7.8%(中国の国産化と TI の低価格品に押されて、2029 年 3 月期の 8.0% からわずかに下がる)、価格の水準 141(物価並み)。アナログは 1,100 億ドル×2.0%、FPGA は 200 億ドル×5.5%(防衛とデータセンターの管理用)、その他は 300 億ドル×2.6%。売上は 115.8 億ドル(2029 年 3 月期から年 +7%:市場の実質 3.3%・価格 3.5%)、GAAP の営業利益率 34%、純利益 32.1 億ドル。償却が終わって GAAP の利益率が戻り、利益は売上より速く伸びる。借金は 2030 年 3 月期ごろに返し終え、10 年の純還元は約 171 億ドル。競合に勝つ所は、航空宇宙防衛の FPGA・耐放射線品と長寿命の産業用マイコン。負ける所は、汎用の 8・16 ビットマイコンの低価格帯。
- マイコン(8・16・32 ビット MCU と DSC):数量 41.3(当社のマイコン出荷(実質の億ドル)= マイコン市場(2026 年 3 月期の値段で測った実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 141(製品の価格の水準(2026 年 3 月期=100。中立は物価並みで 10 年 141))→ 売上 58 億ドル・営業利益 21 億ドル。市場 実質 530 億ドル × シェア 7.8%・価格 141・営業利益率(株式報酬後・償却前)36%
- アナログ(電源管理・インターフェース・タイミング・セキュリティ・センサー):数量 22.0(当社のアナログ出荷(実質の億ドル)= アナログ市場(同)× 当社シェア)× 価格 141(製品の価格の水準(2026 年 3 月期=100。中立は物価並みで 10 年 141))→ 売上 31 億ドル・営業利益 9 億ドル。市場 実質 1100 億ドル × シェア 2%・価格 141・営業利益率(株式報酬後・償却前)29%
- FPGA(低消費電力・耐放射線):数量 11.0(当社の FPGA 出荷(実質の億ドル)= FPGA 市場(同)× 当社シェア)× 価格 141(製品の価格の水準(2026 年 3 月期=100。中立は物価並みで 10 年 141))→ 売上 16 億ドル・営業利益 7 億ドル。市場 実質 200 億ドル × シェア 5.5%・価格 141・営業利益率(株式報酬後・償却前)44%
- その他(データセンター専用・ライセンス・メモリ・タイミング機器):数量 7.8(当社のその他出荷(実質の億ドル)= 対象市場(データセンター専用・タイミング・メモリなど、同)× 当社シェア)× 価格 141(製品の価格の水準(2026 年 3 月期=100。中立は物価並みで 10 年 141))→ 売上 11 億ドル・営業利益 3 億ドル。市場 実質 300 億ドル × シェア 2.6%・価格 141・営業利益率(株式報酬後・償却前)29%
倍率:正当化 PER:事業の ROE 28.1%(帳簿の自己資本に対する純利益)、RONIC = k 9.5% + 1/2 ×(ROE 28.1% − k 9.5%)= 18.8%(moat=普通)、g = 4.5%(structural)で (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 15.2 倍。上限の 8 割の 12.2 倍に置いた:設計採用で数量は読めるが、マイコンは乱戦で価格を決める力が弱く、循環の山の利益を含むので控える。 時価総額 = 純利益 32.1 × 12.2 倍 = 392 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:今の地位を保ち、市場なみに伸びる筋が最もありそう。35%。
やや悲観 24% 中国の国産化と TI の低価格で、マイコンのシェアと価格を失う 利益 17 億ドル · PER 10.1 倍 · 株価時価総額 29.47 ドル168 億ドル
AI 設備投資の山のあと、データセンターは減速し、中国の国産マイコン・アナログが成熟品の価格を押し下げる筋。マイコンは市場 実質 480 億ドルでシェア 6.6%、価格の水準は 132 と物価に負ける。アナログは 1,000 億ドル×1.7%、FPGA は 175 億ドル×5.0%、その他は 240 億ドル×2.0%。売上は 82.0 億ドル、GAAP の営業利益率 25%、純利益 16.6 億ドル。社内ファブの稼働率が下がり、粗利益率は 55% 台に落ちる。ルネサス・NXP・ST・インフィニオンが車載を、TI が産業を取り、シェアは今の水準(6.2%)近くまで戻る。借金は返し終えるが、還元は純利益の約 85%(約 104 億ドル)にとどまる。
- マイコン(8・16・32 ビット MCU と DSC):数量 31.7(当社のマイコン出荷(実質の億ドル)= マイコン市場(2026 年 3 月期の値段で測った実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 132(製品の価格の水準(2026 年 3 月期=100。中立は物価並みで 10 年 141))→ 売上 42 億ドル・営業利益 11 億ドル。市場 実質 480 億ドル × シェア 6.6%・価格 132・営業利益率(株式報酬後・償却前)27%
- アナログ(電源管理・インターフェース・タイミング・セキュリティ・センサー):数量 17.0(当社のアナログ出荷(実質の億ドル)= アナログ市場(同)× 当社シェア)× 価格 132(製品の価格の水準(2026 年 3 月期=100。中立は物価並みで 10 年 141))→ 売上 22 億ドル・営業利益 5 億ドル。市場 実質 1000 億ドル × シェア 1.7%・価格 132・営業利益率(株式報酬後・償却前)21%
- FPGA(低消費電力・耐放射線):数量 8.8(当社の FPGA 出荷(実質の億ドル)= FPGA 市場(同)× 当社シェア)× 価格 132(製品の価格の水準(2026 年 3 月期=100。中立は物価並みで 10 年 141))→ 売上 12 億ドル・営業利益 4 億ドル。市場 実質 175 億ドル × シェア 5%・価格 132・営業利益率(株式報酬後・償却前)38%
- その他(データセンター専用・ライセンス・メモリ・タイミング機器):数量 4.8(当社のその他出荷(実質の億ドル)= 対象市場(データセンター専用・タイミング・メモリなど、同)× 当社シェア)× 価格 130(製品の価格の水準(2026 年 3 月期=100。中立は物価並みで 10 年 141))→ 売上 6 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 実質 240 億ドル × シェア 2%・価格 130・営業利益率(株式報酬後・償却前)22%
倍率:正当化 PER:事業の ROE 18.1%(帳簿の自己資本に対する純利益)、RONIC = k 9.5% + 1/2 ×(ROE 18.1% − k 9.5%)= 13.8%(moat=普通)、g = 4.5%(structural)で (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g) = 13.5 倍。上限の 7.5 割の 10.1 倍に置いた:中国の値下げと在庫調整で利益の質が落ちる。 時価総額 = 純利益 16.6 × 10.1 倍 = 168 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:中国の国産化と TI の低価格で、シェアと価格を少し失う筋。マイコンは乱戦で慎重な見方の中心になり、24%。
悲観 14% 構造的に負け、もはや優良ではなくなる 利益 6 億ドル · PER 9.5 倍 · 株価時価総額 10.53 ドル60 億ドル
中国の国産品が成熟品の価格を 3 割下げ、米中の摩擦で中国向け(売上の約 18%)を失い、データセンターでも PCIe 第 6 世代で遅れて専用品が育たない筋。マイコンは市場 実質 450 億ドルでシェア 5.5%、価格の水準は 118(物価の 141 より約 16% 低い)。アナログは 930 億ドル×1.4%、FPGA は 160 億ドル×4.5%、その他は 220 億ドル×1.7%。売上は 57.5 億ドル、GAAP の営業利益率 16%、純利益 6.3 億ドル。のれんの減損の恐れは大きいが、事業としては黒字が続くので、ここでは純利益に入れていない。配当は縮小し、借金は 18.5 億ドル残る。TI・ADI・ルネサス・NXP が価格決定力のある領域を取り、残るのは長寿命の産業・防衛の需要だけである。
- マイコン(8・16・32 ビット MCU と DSC):数量 24.8(当社のマイコン出荷(実質の億ドル)= マイコン市場(2026 年 3 月期の値段で測った実質の億ドル)× 当社シェア)× 価格 118(製品の価格の水準(2026 年 3 月期=100。中立は物価並みで 10 年 141))→ 売上 29 億ドル・営業利益 6 億ドル。市場 実質 450 億ドル × シェア 5.5%・価格 118・営業利益率(株式報酬後・償却前)19%
- アナログ(電源管理・インターフェース・タイミング・セキュリティ・センサー):数量 13.0(当社のアナログ出荷(実質の億ドル)= アナログ市場(同)× 当社シェア)× 価格 118(製品の価格の水準(2026 年 3 月期=100。中立は物価並みで 10 年 141))→ 売上 15 億ドル・営業利益 2 億ドル。市場 実質 930 億ドル × シェア 1.4%・価格 118・営業利益率(株式報酬後・償却前)14%
- FPGA(低消費電力・耐放射線):数量 7.2(当社の FPGA 出荷(実質の億ドル)= FPGA 市場(同)× 当社シェア)× 価格 118(製品の価格の水準(2026 年 3 月期=100。中立は物価並みで 10 年 141))→ 売上 9 億ドル・営業利益 3 億ドル。市場 実質 160 億ドル × シェア 4.5%・価格 118・営業利益率(株式報酬後・償却前)30%
- その他(データセンター専用・ライセンス・メモリ・タイミング機器):数量 3.7(当社のその他出荷(実質の億ドル)= 対象市場(データセンター専用・タイミング・メモリなど、同)× 当社シェア)× 価格 118(製品の価格の水準(2026 年 3 月期=100。中立は物価並みで 10 年 141))→ 売上 4 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場 実質 220 億ドル × シェア 1.7%・価格 118・営業利益率(株式報酬後・償却前)16%
倍率:事業の ROE 7.7% が k 9.5% 以下なので正当化 PER は 1÷k = 10.5 倍が上限(ためた利益 1 ドルは 1 ドル未満)。上限の 9 割の 9.5 倍に置いた:ROE が k 以下で、純利益 ÷ k を超えない範囲に抑える。もう優良ではない筋。 時価総額 = 純利益 6.3 × 9.5 倍 = 60 億ドル。純利益は GAAP(株式報酬は費用)。
確率:構造的に負ける筋(中国の価格競争・中国向けの喪失・データセンターで遅れる)。マイコン・アナログは競合が多く、14%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
マイコン(8・16・32 ビット MCU と DSC)
家電・産業・車載・防衛の機器に組み込む制御用半導体。売上の半分。
| 数量当社のマイコン出荷(実質の億ドル)= マイコン市場(2026 年 3 月期の値段で測った実質の億ドル)× 当社シェア | 価格製品の価格の水準(2026 年 3 月期=100。中立は物価並みで 10 年 141) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 23.6 | 100 | 24 | 5 |
| 10 年後 中立 | 41.3 | 141 | 58 | 21 |
取り方:2026 年 3 月期のマイコン売上は 10-K の 23.55 億ドル(前年比 +4.7%)。マイコン市場は調査会社の推計の幅(347〜402 億ドル)の上寄りを取り 380 億ドルとして、シェアは約 6.2%。2026 年 3 月期は販売店と顧客が在庫を減らしていたため、出荷が実需を下回っていた(販売店在庫は 25 日の下限まで減少)。2027 年 3 月期 4-6 月期の売上は全体で前年比 +38%。価格は物価並みが基本。営業利益(株式報酬を費用、償却前)は開示が無いため、全体(非 GAAP 営業利益 12.4 億 − 株式報酬 2.6 億)の 21% と推定した。
アナログ(電源管理・インターフェース・タイミング・セキュリティ・センサー)
マイコンと組にして売る電源・信号・タイミング・セキュリティの部品。データセンターの電源にも入る。
| 数量当社のアナログ出荷(実質の億ドル)= アナログ市場(同)× 当社シェア | 価格製品の価格の水準(2026 年 3 月期=100。中立は物価並みで 10 年 141) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 13.3 | 100 | 13 | 2 |
| 10 年後 中立 | 22.0 | 141 | 31 | 9 |
取り方:2026 年 3 月期のアナログ売上は 10-K の 13.29 億ドル(構成比 28.2%、前年の 26.3% から上昇)。アナログ市場は 2025 年で約 790 億ドル(ADI 資料・業界ノート)で、シェアは約 1.7%(TI・ADI・ST・オン・セミコンダクターが主力で、マイクロチップは小さい)。電源とマイコンの組合せ販売で伸びている。営業利益(株式報酬を費用、償却前)は、アナログ専業の ADI より低い 17% と推定した。
FPGA(低消費電力・耐放射線)
書き換えできる論理回路。航空宇宙防衛・通信・産業用で、PolarFire などが主力。開示が無いため推定。
| 数量当社の FPGA 出荷(実質の億ドル)= FPGA 市場(同)× 当社シェア | 価格製品の価格の水準(2026 年 3 月期=100。中立は物価並みで 10 年 141) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 6.0 | 100 | 6 | 2 |
| 10 年後 中立 | 11.0 | 141 | 16 | 7 |
取り方:10-K は FPGA を「その他」に含めて開示しないため、「その他」10.29 億ドルのうち約 6 億ドルを FPGA と推定した(誤差は 1 億ドル前後)。FPGA 市場は約 117 億ドル(2025 年・MarketsandMarkets)で、シェアは約 5.1%(AMD・アルテラ・ラティスと並ぶ。航空宇宙防衛・通信で強い)。営業利益は粗利益率が高いことから 30% と推定した。
その他(データセンター専用・ライセンス・メモリ・タイミング機器)
PCIe スイッチ・リタイマ・ストレージ制御、ライセンス(粗利益率 100%)、メモリ、タイミング機器。第 6 世代 PCIe が伸びの鍵。
| 数量当社のその他出荷(実質の億ドル)= 対象市場(データセンター専用・タイミング・メモリなど、同)× 当社シェア | 価格製品の価格の水準(2026 年 3 月期=100。中立は物価並みで 10 年 141) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 4.3 | 100 | 4 | 1 |
| 10 年後 中立 | 7.8 | 141 | 11 | 3 |
取り方:「その他」のうち FPGA を除いた約 4.29 億ドル(データセンター専用品は 2025 年に暦年で 3.0 億ドルとされる。ライセンス・メモリ・タイミング機器を含み、分類は開示が無いため推定)。対象市場を約 160 億ドルとして、シェアは約 2.7%。第 6 世代 PCIe のスイッチ・リタイマが 2026 年 6 月末に量産へ入り、専用品は 2026 年に約 5 億ドルの見込み。営業利益はライセンス(粗利益率 100%)と専用品の混合で 19% と推定した。
リスクと懸念
循環の振れと、2022〜25 年の売上半減の再来
売上は 2023 年 3 月期の 84 億ドルから 2025 年 3 月期の 44 億ドルへ半減した。顧客が逼迫期に積んだ在庫の調整が原因で、販売店在庫は今 25 日と下限だが、AI 設備投資や景気が崩れれば同じ形が再来する。固定費の重い社内ファブでは稼働率の低下が利益率に直撃する。
借金の重さと自由度の低さ
純負債は 51 億ドルで、調整後 EBITDA の 2.85 倍。2028〜30 年満期の 4.9〜5.05% の社債の借り換えで金利は上がる。利益のほとんどを返済に回すので、増配・自社株買いは当面なく、不況の年に配当を守りながら返済を続けるのは苦しい。
一度きりの押し上げの反動
値上げ前の駆け込み注文、在庫評価損の戻し、9 月期のライセンス収入が 2026 年 7-9 月期の利益を押し上げている。会社は 66〜67% の粗利益率をモデルに入れるなと述べた。10-12 月期は値上げの全効果が出るが、駆け込みの反動と重なる。
データセンターでの遅れと AI 設備投資への依存
データセンターは売上の 17%(2026 年に約 10 億ドル)。PCIe 第 5 世代で遅れて大半を失った前歴があり、第 6 世代は設計採用 14 件だが量産出荷はこれから。AI 設備投資が止まれば、専用品もカタログ品も同時に鈍る。
中国の国産化と米中の摩擦
中国向けは売上の約 18%。兆易創新などの国産マイコンが汎用品の価格を押し下げ、米中の摩擦が強まれば中国向けの売上を失う。輸出管理は設計・製造の両面に及ぶ。価格決定力が ADI や TI ほど強くないため、値下げの圧力を受けやすい。
のれんの減損と株式報酬
のれん 67 億ドルと無形資産 20 億ドルは自己資本 64 億ドルを超える。事業が構造的に傷めば減損で自己資本が消える。株式報酬は年約 3 億ドル(売上の 4〜5%)で、非 GAAP の利益から見えにくい。
今後の分かれ目
- 10-12 月期の売上が前期比で減らず(会社の見通しは季節性を上回る)、粗利益率が 66% 台を保つ
- 値上げの定着と受注の強さの証拠。中立から楽観側へ確率を寄せ、10 年のやや楽観の確率を上げる。ライセンスと在庫評価損の戻しを除いた利益で判断する。
- データセンターの売上が 2026 年に約 10 億ドルを超え、PCIe 第 6 世代の量産出荷が始まる
- その他(データセンター専用)のシェアを上げ、10 年の楽観・やや楽観へ確率を寄せる。逆に量産が遅れれば、第 5 世代の二の舞として確率を下げる。
- 販売店在庫が 40 日を超え、リードタイムが縮んで値引きが出る
- 補充の終わりと過剰在庫の兆し。10 年の慎重な見方(やや悲観・悲観)へ確率を寄せる。2022〜23 年の再来の入口として扱う。
- 純負債 ÷ 調整後 EBITDA が 2.0 倍を下回り、増配や自社株買いが再開される
- 借金の重さが解け、還元が増える段階。中立の還元の置き方(2030 年 3 月期以降は純利益の約 85%)が現実に近づく。今の時価総額との差は縮まる。
- 航空宇宙防衛の受注が、元請けの生産計画に合わせて 2 年先まで見えてくる
- 成長率の外挿でなく受注の確かさを確認できる材料。10 年の中立のシェア 7.8% を維持でき、FPGA とその他の置き方を上げられる。
- 中国の売上比率が 18% を下回って国産品に置き換わる、または輸出管理が強まる
- 10 年の悲観(構造的に負ける)へ確率を寄せる。汎用マイコンの価格を物価に負ける水準へ引き下げ、営業利益率の置き方を下げる。
見ておくもの
- 10-12 月期と 1-3 月期の売上・粗利益率(ライセンスと在庫評価損の戻しを除いた値)
- 販売店在庫(日数)とブックトゥビル、リードタイム、社内の在庫日数(175 日から長期目標の 130〜150 日へ)
- データセンターの売上(2026 年約 10 億ドル)と PCIe 第 6 世代の量産出荷
- 純負債 ÷ 調整後 EBITDA(2.5 倍未満→2.0 倍未満)と、配当・自社株買いの再開
- 航空宇宙防衛・産業・車載の受注(前年比)と中国の売上比率
- ルネサス・NXP・STマイクロエレクトロニクス・インフィニオンのマイコンの価格と、中国国産マイコンのシェア
倍率と資本コストの決め方
売上はマイコン・アナログ・FPGA・その他の 4 つを「市場(実質)× シェア × 価格の水準」で積み、ルネサス・NXP・ST・インフィニオン・TI・ADI・ラティスとのシェアを筋書きに置いた。倍率は今の PER(GAAP で 175 倍、2027 年 3 月期見込みで約 32 倍)ではなく、利益ベースの正当化 PER = (1 − g ÷ RONIC) ÷ (k − g)。k 9.5%(基本 8.0% + quality 1.5%)、ROE は帳簿(のれん込み。中立 28%)、堀は普通、g は半導体の数量が実質で伸び続けるとして 4.5%(k − g = 5.0%)。中立は上限 15.2 倍の 8 割の 12.2 倍。10 年の悲観は ROE が k 以下なので 1÷k の 9 割(9.5 倍)。純利益は GAAP。優先株は株数で一度だけ数えた。今の時価総額には寄せていない。3 年の値付けは使わず、10 年だけで測った。
資本コスト 9.5% = 無リスク金利 5% + β 1.57 × 5%。k = 基本 8.0% + quality 1.5% = 9.5%(β は使わない)。半導体で最も循環の振れが大きい部類(+1.0)、純負債が EBITDA の 3 倍超で強制転換優先株(配当 7.5%)も抱える(+0.5)。存続の不安は無いので上乗せは 0。中国の価格競争・買収の履歴は k でなく確率と悲観の深さで反映した。