結論
ダイショーは、鍋スープ、焼肉のたれ、味塩こしょうなどの調味料を作る専業メーカーだ。小売向けの家庭用に加え、外食・中食向けの業務用も扱う。売上は275億円、営業利益は7億円と、利益率は2.5%と薄い。
筆者の結論は「割高」だ。理由は、資産の厚みと稼ぐ力の落差にある。自己資本は約100億円だが、ROE は4〜5%で資本コストに届かない。そうした会社の価値は、帳簿の自己資本より小さい。
事業は堅実で、売上は10年で275億円まで伸び、2026年3月期も営業利益は微増した。ただ、原料高の転嫁が遅れる年は利益が大きく削られ、第4四半期は営業赤字だった。株主優待と配当を続けているが、成長の道筋は見えにくい。
時価総額は約135億円。大手のように広告で売る力はなく、味の専業メーカーとして手堅く棚を守る会社だと筆者は見る。守りが堅いことと、株主の取り分が増えることは別の話だ。
2027年3月期の計画は営業利益7億円と、今期並みにとどまる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で見ると、ダイショーは「手堅いが、資本効率が低い会社」だ。調味料は10年後も売れ、鍋スープは日本の冬の食卓に根づく。しかし、そのために必要な設備投資と原料の値動きが、株主に残る利益を細らせる。
自己資本約100億円に対して純利益が4〜5億円。ROE は資本コストに届かず、ためた利益が額面どおりの価値を持たない。オーナー利益(成長の投資を引いた株主のもの)は、増設や更新の投資を引くと、純利益よりやや小さい。
経営は堅実で、無理な買収も借金もない。ただ、資本の使い方を変える具体策は見えない。安全域は、悲観の筋書きでも自己資本の3割が残る点だが、今の値段はその資産の厚みを買いかぶっていると筆者は見る。
言い換えると、堅実な経営は評価できるが、10年先の株主の取り分を大きく増やす材料は乏しい。
何で稼ぐ会社か
主力は鍋スープと焼肉のたれで、冬に売上が集中する。ほかに粉末調味料や味塩こしょう、ごまだれ、業務用の調合調味料がある。創業は1966年。もともと焼肉のたれから始まった会社で、「おいしさで・しあわせをつくる」を理念にする。
事業区分は単一で、小売向けの家庭用と、外食・中食向けの業務用の両方で販売する。国内の売上が9割を超える。製造は茨城県小美玉市の関東工場が中心で、鍋スープの設備は15年を経て老朽化したため、製造棟の増設を決め、2025年8月に稼働した。
収益の特徴は、冬の気温と原料高に左右されることだ。直近の2026年3月期は、第4四半期に営業損失が出た。2027年3月期の計画では、営業利益7億円、売上285億円。第1四半期は経常黒字に戻った。
売上の波は、冬の気温と原料価格、それに外食の動向で決まる。業務用は、外食チェーンやコンビニ、惣菜工場向けにたれやスープの原液を供給し、顧客の味を安定して再現する役割を担う。家庭用では、鍋スープの季節商品を毎年入れ替え、新しい味で棚を確保する。
従業員は少数で、工場は設備の稼働率が利益を左右する。
優良さと弱いところ
堀は、鍋スープのブランドと、焼肉のたれで蓄積した調合の技術にある。冬の定番として家庭に浸透し、売り場の棚を確保している。業務用では、味の再現性と安定供給が信頼の源だ。ただし、大手のミツカン、エバラ食品、味の素などが同じ市場で競い、価格を自分で決める力は強くない。
弱みは3つある。ひとつは規模が小さいこと。ふたつめは、冬に利益が集中し、天候に左右されること。みっつめは、原料高の転嫁が遅れる点だ。営業利益率は過去10年で2.1〜3.8%と低い水準で動いている。
財務は堅い。自己資本比率は49%、営業利益は支払利息の11倍ある。純負債は24億円で、増設の投資を借入で賄ったためだ。経営は堅実で、配当と優待を続けているが、資本効率を高める姿勢は見えにくい。
経営は堅実で、過去10年で営業赤字の年はない。他方、成長のための大きな投資や買収は少なく、利益率の改善も緩やかだ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
調味料・加工食品の国内市場は成熟している。人口減で食べる量は年0〜1%縮み、家庭の消費は簡便な調味料と、鍋や焼肉など「手軽な食卓」への需要が下支えする。鍋スープは、冬の定番商品として市場が育ち、外食の鍋需要とも連動する。
競合は大手のミツカン、エバラ食品、味の素、キッコーマンで、広告と販売力で優位に立つ。ダイショーはその隙間で、焼肉のたれと鍋スープに絞って棚を確保している。PBの調味料も増え、価格競争が続く。
原料(食塩・糖類・食用油・香辛料・大豆)は為替と市況で動き、2026年に入って値上げが相次いだ。値上げは受け入れられやすいが、頻度が増えれば量が逃げる。
業務用は外食の人手不足を背景に、調理済み調味料の需要が増える追い風を受ける。
物流費と人件費の上昇も重い。鍋スープは冬の需要が中心で、トラック運転手不足が配送の費用を押し上げる。
国内の食品メーカーは、値上げのたびに量を減らす「実質値上げ」を使うが、これも頻度が増えれば小売の反発を招く。
海外の日本食ブームは焼肉のたれの輸出を後押しするが、売上の9割超は国内だ。
資本政策と M&A
還元は配当と優待が中心だ。2026年3月期の年間配当は前期から引き上げられ、2027年3月期も同水準を維持する見通しで、純利益に対する配当の比率は4〜5割。自社株買いは大きくない。
株主優待は、100株以上で自社製品の詰め合わせ(調味料・たれ)が年2回、権利確定は3月末と9月末。保有株数に応じて額が増える。株主数と費用は開示を確認できなかったため、株主数を6,000〜7,000人、1人あたり年の原価を千円強と置くと、費用は年0.9億円と推定される。10年の還元に、中立で9億円を足した。
資金は関東工場の増設で借入が増えた。政策保有株や不動産の含み益は確認できず、余った現金はない(純負債)。TOBの可能性は試算で10年以内に16%だが、親会社や支配株主は見当たらず、小さな会社で、買い手が付くかは読みにくい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
鍋スープは日本の冬の定番になり、年々、家庭の消費が積み上がっている。焼肉のたれも根強い。関東工場の増設で生産能力と効率が上がり、売上は285億円の計画に向けて伸びる。
営業利益率は2.5%と低いが、過去の山の3.8%に戻れば、営業利益は今の5割増になる。原料高の影響は、値上げで徐々に吸収できる。2027年3月期の第1四半期は経常黒字に戻り、回復の兆しも出ている。
財務は堅く、配当と優待で株主に報いている。外食の人手不足で業務用の調理済み調味料の需要は増え、成長の余地は残る。
小さな専業メーカーは、大手が採算に合わず手を出さない分野で強い。ダイショーの焼肉のたれは、味の違いで固定客を持つ。業務用の顧客との取引は長く、切り替えのコストも高い。
配当を増やしながら財務の健全さを保てる点は、小さな会社としては珍しい。10年で営業利益が3割増えれば、株価の見通しは変わる。
何より、無理をしない経営だ。
慎重な見方
売上は10年で100億円近く伸びたが、営業利益はほぼ横ばいで、増収が利益に結びついていない。原料と物流費の上昇に値上げが追いつかず、第4四半期は営業赤字になった。冬に利益が集中する構造は、暖冬の年に大きな痛手になる。
大手のミツカンやエバラ食品、味の素が鍋スープで競い、広告力で劣るダイショーの棚は守りにくい。PBの調味料が増え、値上げは通りにくい。
さらに増設投資で借入が増え、償却と利払いの負担が重い。資本効率は資本コストに届かず、利益を積み上げても株主の取り分は増えない。成長の道筋が見えない会社に、今の値段は高すぎる。
鍋スープは季節の商品で、毎年新しい味を出し続けなければならず、開発費と広告費がかさむ。大手に比べ資金の余裕は小さい。
株主優待は年0.9億円ほどかかり、利益が細い会社にはその分の負担が重い。優待をやめれば人気が落ちる一方、続ければ利益が削られる。
結局、ためた資産は稼ぎに変わっていない。
どちらに重みを置いたか
事業の堅実さは強気の見方が正しいが、利益率の薄さと資本効率の低さは慎重な見方が勝る。そこで確率は中立38%、やや悲観25%、悲観10%と悲観側を厚くした。割高の根拠は、資産の厚みでなく、ROE が資本コストに届かない点にある。
事業の堅実さが価値を支えるのは悲観の下限までで、上に伸びる力は小さい。
だから確率は中立を軸にし、極端な筋書きには寄せなかった。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 789 円76 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 333 円32 億円)。 今の値に割り戻すと 604 円58 億円、今との差 −56.9%、 期待の年率 −2.2%(資本コスト 7.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 1,497 円145 億円 | 445 円43 億円 | +38.6% | +3.3% | 136 円13 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,123 円108 億円 | 383 円37 億円 | +7.5% | +0.7% | 301 円29 億円 |
| 中立 | 38% | 895 円86 億円 | 352 円34 億円 | −11.0% | −1.2% | 474 円46 億円 |
| やや悲観 | 25% | 354 円34 億円 | 298 円29 億円 | −53.4% | −7.4% | 163 円16 億円 |
| 悲観 | 10% | 314 円30 億円 | 171 円17 億円 | −65.4% | −10.1% | 48 円5 億円 |
| 加重平均 | 100% | 789 円76 億円 | 333 円32 億円 | −19.9% | −2.2% | 1,123 円108 億円 |
今の株価時価総額 1,401 円135 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 7% 楽観:鍋スープが定番になり、業務用も伸びる 利益 11 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 1,497 円145 億円
鍋スープの需要が冬だけでなく春秋にも広がり、焼肉のたれと合わせて、販売量は10年で5%増える。2025年8月に稼働した関東工場の増設棟が数量を支え、設備の償却を吸収する。
値上げは物価を上回って通り、営業利益率は4%台まで上がる。業務用(外食・中食向けのたれ・スープ)も人手不足を背景に調理済み調味料の需要が増える。配当は増え、優待も続く。
関東工場の稼働率が高く、償却を吸収して利益率が上がる。資本効率は改善するが、資本コストを超える水準には届かない。
東アジアなど海外への焼肉のたれの輸出が小さく積み上がり、国内の数量減を補う。値上げ後も顧客が離れない点が、この筋書きの前提だ。
- 食品事業(調味料):数量 71,400(年間の販売数量(トン。売上と平均単価からの推定))× 価格 0.01(1トンあたりの売上(億円、名目))→ 売上 404 億円・営業利益 17 億円。食品事業 71,400 トン × 1 トン 56.6 万円(物価を上回る値上げ)、営業利益率 4.2%
倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.4% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 144 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:鍋スープが家庭の通年商品になり、値上げも物価を上回って通る筋書き。国内の数量は縮む構造で、確率は1割に届かない。
やや楽観 20% やや楽観:値上げが定着し、利益率は3%台半ば 利益 8 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 1,123 円108 億円
数量は横ばいを保ち、値上げが物価並みに通る。関東工場の増設で生産効率が上がり、営業利益率は3.5%まで戻る。2027年3月期の計画(営業利益7億円)を大きく上回る回復ではなく、過去の山にほぼ並ぶ水準だ。
鍋スープは冬の気温に左右されるが、焼肉のたれと粉末調味料が通年の下支えになる。配当は小幅に増え、優待も続く。
業務用の売上が小さく積み上がり、家庭用の季節商品の入れ替えも順調に進む。自己資本は140億円台に増える。
原料高の局面が一巡し、仕入価格が落ち着くことも利益率を押し上げる。
配当は小幅に増える。
- 食品事業(調味料):数量 68,000(年間の販売数量(トン。売上と平均単価からの推定))× 価格 0.01(1トンあたりの売上(億円、名目))→ 売上 377 億円・営業利益 13 億円。食品事業 68,000 トン × 1 トン 55.4 万円、営業利益率 3.5%
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.0% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 108 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:原料高を値上げで吸収し、利益率が過去の山(3.6〜3.8%)に近づく筋書き。
中立 38% 中立:数量は微減、利益率は3%で落ち着く 利益 7 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 895 円86 億円
営業利益率は3%前後で、過去10年の平均(2.8%)に近い。数量は人口減で3%縮むが、鍋スープと焼肉のたれの新商品がそれを補い、物価並みの値上げ(1.34倍)が通る。
既存の設備は取得時の値段のまま償却され、関東工場の増設分(2025年8月稼働)の償却が10年かけて加わる。更新の投資は建築費の上昇で膨らみ、償却を超える分は現金が出る。原料(食塩・糖類・食用油・香辛料)の値上がりは、値上げが遅れて利益を削る。
配当は純利益の4〜5割を保ち、優待は続く。自己資本は130億円台に増える。
株主優待は年0.9億円ほどで続き、還元に小さく足した。優待の費用は原価に含まれて利益を既に下げている。
- 食品事業(調味料):数量 65,960(年間の販売数量(トン。売上と平均単価からの推定))× 価格 0.01(1トンあたりの売上(億円、名目))→ 売上 357 億円・営業利益 11 億円。食品事業 65,960 トン × 1 トン 54.2 万円(物価 1.34 倍)、営業利益率 3%
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.0% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 86 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去10年の営業利益率の中央値(約2.5〜3%)に近い普通の筋書き。必需品の調味料で、数量は微減、値上げで金額を保つ。
やや悲観 25% やや悲観:原料高と小売の値下げ圧力で利益率が2%台 利益 4 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 354 円34 億円
原料と物流費の上昇を、小売との交渉が遅れて値上げに反映できず、利益率は2%台に落ちる。数量は10%縮み、PBが鍋スープの棚を取る。値上げは物価に届かない。
工場の増設で償却と人件費が重く、営業利益は7億円を割り込む。配当は維持するが、優待は縮小する。
関東工場の償却と人件費が重く、設備の更新は建築費の上昇で膨らむ。借入が増えれば利払いが3.5%で積み上がる。
暖冬の年が続けば、鍋スープの在庫が重くなり、廃棄損も出る。
配当は維持を優先するが、自己資本の積み上がりは遅い。優待も縮小し、株主の取り分は細る。
- 食品事業(調味料):数量 61,200(年間の販売数量(トン。売上と平均単価からの推定))× 価格 0.01(1トンあたりの売上(億円、名目))→ 売上 317 億円・営業利益 7 億円。食品事業 61,200 トン × 1 トン 51.8 万円、営業利益率 2.2%
倍率:ROE 約3%で k 7.75%を大きく下回る。上限 1÷k=13.3 倍より低く、中立(10.5 倍)より下げて 9 倍に置いた。
確率:原料高の転嫁が遅れ、PB(スーパーの自社ブランド)に棚を奪われる筋書き。
悲観 10% 悲観:鍋スープが他社に押され、赤字に近づく 利益 0 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 314 円30 億円
大手食品会社(ミツカン、味の素など)が鍋スープで広告と販売力を強め、ダイショーの棚が縮む。数量は25%減り、値上げは通らない。新設した関東工場の稼働率が下がり、償却と固定費が重くのしかかる。
営業利益はほぼゼロ。設備の減損が出る。配当は削られ、優待は廃止される。価値は稼ぐ力でなく、土地・工場・在庫など売れる資産に頼る。
関東工場の稼働率が低下して減損が出る。自己資本は減るが、無理な借金はないので、倒産に近づく心配は小さい。
鍋スープの棚を失った穴は、業務用の拡大では埋まらない。
株価は純資産を下回ったまま、買い手が付かない状態が続く。
- 食品事業(調味料):数量 51,000(年間の販売数量(トン。売上と平均単価からの推定))× 価格 0.00(1トンあたりの売上(億円、名目))→ 売上 237 億円・営業利益 1 億円。食品事業 51,000 トン × 1 トン 46.5 万円、営業利益率 0.5%
倍率:稼ぐ力がほぼ無いので、床は今の自己資本 101 億円に掛ける。工場・土地・在庫の売却価値を簿価の約 3 割として 0.3 倍。中立の PBR(約 0.55 倍)より低い。EV(時価総額+純負債 24 億円)÷営業利益は約 45 倍と高く出るが、これは赤字に近い筋書きの利益がほぼ無いためで、床の資産で測っている。
確率:大手食品会社の鍋スープに押され、数量が構造的に縮む筋書き。確率は1割とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
食品事業(調味料)
鍋スープ、焼肉のたれ、粉末調味料、味塩こしょう、業務用の調合調味料の製造販売。単一セグメント。
| 数量年間の販売数量(トン。売上と平均単価からの推定) | 価格1トンあたりの売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 68,000 | 0.00 | 275 | 7 |
| 10 年後 中立 | 65,960 | 0.01 | 357 | 11 |
取り方:売上274.9億円を、1トンあたり約40万円の平均単価で割って約6.8万トンと置いた推定。開示された数量ではない。事業区分は単一で、家庭用と業務用の内訳は開示を確認できなかった。営業利益6.8億円は決算短信の値。
リスクと懸念
原料高の転嫁の遅れ
食塩・糖類・食用油・香辛料の上昇に、値上げが遅れて追いつく。第4四半期は営業赤字だった。
冬と天候への依存
鍋スープは冬に売上が集中する。暖冬の年は、数量が落ちて利益が大きく削られる。
大手との競争
ミツカンやエバラ食品などが広告と販売力で優位に立つ。PBも増え、棚の確保と値段の決定が難しくなる。
増設投資の回収
関東工場の増設は借入で賄った。稼働率が上がらなければ、償却と利払いが利益を圧迫する。
資本効率の低さ
自己資本約100億円に対し純利益4〜5億円。ROE が資本コストに届かない構造が続く。
今後の分かれ目
- 営業利益率が3.5%を超え、原料高を値上げで吸収できたら
- やや楽観の筋書きに確率を寄せてよい。ただし資本効率は資本コストに届きにくい。
- 暖冬や原料の急騰で営業損失が続いたら
- やや悲観・悲観の確率を上げる。
- 鍋スープで大手が値下げや販促を強めたら
- 棚の縮小が数量に出る。悲観の確率を上げる。
- 自社株買いの拡大や配当性向の引き上げが発表されたら
- 資本効率が改善する。中立の倍率を上げる材料になる。
- 大手食品会社による提携やTOBが発表されたら
- プレミアムが付く可能性がある。ただし利益の薄い事業なので過大には見ない。
見ておくもの
- 営業利益率(3%への戻り)
- 関東工場の稼働率
- 原料価格と値上げの通り
- 配当と優待の方針
倍率と資本コストの決め方
倍率は ROE が k を下回るため、上限の 1÷k(約13.3倍)の範囲で、成熟した調味料の稼ぎは k 並みとして10倍台前半に置いた。今の株価(PER 約30倍・PBR 約1.3倍)や同業の倍率は根拠にしていない。営業利益率は過去10年の中央値(2.5〜3%)の上に置き、2022年3月期の3.8%を山とした。新リース会計の影響は小さく、今の形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.5→12.9 倍・やや楽観 PER 11.5→12.9 倍・中立 PER 10.5→12.9 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。