結論
B-R サーティワン アイスクリームは、「サーティワン」の日本での運営会社だ。自分では店をほとんど持たない。加盟店にアイスを卸し、売上の一部をロイヤリティとして受け取る。工場を持つメーカーと、ブランドを貸す本部を兼ねている。筆者の結論は「割高」。事業は優れているが、今の値段は成長が続く前提で払っている。
強みは、国内 1,000 店を超える店網と、1,000 万人を超える会員アプリだ。2025 年 12 月期まで 4 年連続で最高益を更新した。財務は軽く、現金が借金を 52 億円上回る。
弱みは、伸びの余地が小さいことだ。国内のアイス市場は金額こそ伸びたが、物量は前年を割った。営業利益率はすでに 8% 台で、今期の第 1 四半期は営業利益が減っている。配当も、今期は特別配当がなくなる。
10 年後の中立の営業利益は今の 1.5 倍ほどで、大半は物価の分だ。配当を足しても、株主が得る収益は年率 2% に届かず、資本コストの 7.75% を大きく下回る。確率で重みづけた本質価値は、今の時価総額を 4 割強下回る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、これは「いい会社を、高い値段で買う」ことになりやすい会社だ。ブランドは強く、事業の形は単純で、10 年後も店は残る。経営も、利益率を 2% 台から 8% 台へ引き上げた。
しかし、資本の稼ぎが高いことと、成長が長く続くことは別の話だ。本部の営業利益率は 8% 台に達し、これ以上の上積みは難しい。国内の物量は減る市場で、店を増やすのは自分の売上を食い合う面もある。伸びのほとんどが物価の分になる。
株主が受け取るのは、利益ではなく還元だ。この会社は、利益の 3 割から 4 割しか返さない。残りは工場と店の刷新に回り、その稼ぎは今より薄くなる。
安全域は薄い。中立の 10 年後に配当を足しても、年率の収益は 2% に届かず、求める 7.75% には遠い。評価を変えるのは二つだ。営業利益率が 8% を超えて定着するか、海外の輸出と店が利益に効くか。筆者は、この二つが見えてから前向きに考えたい。
何で稼ぐ会社か
稼ぎは三つの収入でできている。いちばん大きいのが製品売上で、全体の約 8 割を占める。加盟店に卸すアイスクリームとアイスケーキだ。神戸三木工場などで作り、一部は不二家グループの工場に委託する。原料は不二家系の会社から買う。
二つ目はロイヤリティ収入で、約 16% を占める。加盟店の売上に決まった率を掛けて受け取る。米国のバスキン・ロビンス社にも、同じ仕組みで使用料を払う。三つ目は店舗設備関連で、約 7%。新しい店の内装や、既存店の改装にかかわる収入である。
仕組みの中心は加盟店だ。販売拠点は 1,400 を超え、その 99% 以上が加盟店の運営である。国内の店は 1,066 店で、1 店の年売上は平均 6,400 万円ほど。国内の小売売上の合計は 679 億円になる。海外は台湾とハワイに 51 店あり、こちらは自社で運営する。
武器はアプリだ。「31Club」の会員は 1,090 万人を超え、売上の 43% を会員が占める。モバイルオーダーも売上の 11% に育った。新ブランド「31パティスリー」は、アイスケーキ全体の売上を 15% 押し上げた。
利益の源は、店を増やすことと、1 店あたりの売上を保つことの二つしかない。事業の姿は単純で、読み誤りにくい。
優良さと弱いところ
この会社の堀、つまり他社がまねできない強みは、ブランドと店網にある。「サーティワン」は日本で長く親しまれ、誕生日やイベントの定番になっている。1,000 店を超える店網と 1,000 万人の会員は、後から来る専門店が簡単には追いつけない。
資本の効率も高い。店は加盟店が持ち、本部は工場と商品に資金を回す。営業利益率は 2021 年 12 月期の 6% 台から、2025 年 12 月期の 8% 台に上がり、自己資本利益率(ROE)は 12% 近い。純現金があるのに、この水準である。
ただし、強みは「借り物」の面も持つ。ブランドの使用権は米国のバスキン・ロビンス社との契約に基づく。ブランドを持つ米国側の持株会社が、不二家と並ぶ約 37% の大株主でもある。契約が変わるリスクは小さいが、ゼロとは言えない。
弱みは、原価の重さだ。乳原料と包材は上がり続け、円安が重なる。第 1 四半期は売上が 1 割以上伸びたのに、営業利益は減った。加盟店が儲からなければ、出店も止まる。本部の利益は、加盟店の採算と一体である。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
アイスの市場は、金額で伸びて物量で縮む構造になった。2025 年度の国内販売額は 6,631 億円と、6 年連続で最高を更新した。ただし物量は前年を 2% ほど割り、増えたのは値上げと高単価品の分である。
猛暑は追い風だが、数量を押し上げる力は限られてきた。夏の暑さで買う量は増えても、人口が減る中で通年の消費を広げられるかが鍵になる。専門店の強みは、イベントとギフトの需要を取れることだ。
競合は、コンビニや量販店で買えるハーゲンダッツなどの高級品と、明治・ロッテ・森永乳業・江崎グリコの大手が作る日常品だ。サーティワンは「店で選んで食べる」という体験に特化している。店内のイートインとテイクアウトが両方伸びており、需要の質は悪くない。
原料は、乳業全体の問題を抱える。生乳の生産基盤が縮み、バターや脱脂粉乳の調達費が上がりやすい。為替が円安に振れると、輸入の原料も効く。
会社の長期経営計画は、2031 年に税引前利益 31 億円を目指す。すでに 2027 年 12 月期の会社予想は営業利益 31 億円で、目標には近づいている。次の計画で何を掲げるかが、成長の鮮度を測る材料になる。
資本政策と M&A
還元は、普通配当を軸にした安定型だ。2025 年 12 月期は特別配当が付き、配当性向は 43% だった。今期は特別配当がなくなり、配当は 25% 減る予想である。自社株買いは、ほとんど行っていない。
株主は二つの大株主に偏る。米国のバスキン・ロビンス系の持株会社と、不二家が、それぞれ約 37% ずつ持つ。合わせて 7 割を超える。不二家の持株は 2022 年 12 月の 43% から下がった。一般の浮動株は薄く、株主が自由に動ける余地は小さい。
純現金は 52 億円ある。工場の増強(富士小山工場)や店の刷新に使っており、ここ数年は 55 億円前後で横ばいだ。M&A は目立つものがない。10 年以内の買収の確率は、外部の推計で 18% ほど。大株主の意向が決め手で、外部が仕掛ける余地は少ない。
株主優待は、年 2 回、アイスクリームの電子ギフトを渡す。100 株で少額の券から始まり、株数に応じて増える。株主は約 1.6 万人で、年の費用は 1 億円には届かないとみる。価値への影響は小さいので、還元には足していない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
店はまだ増える。会社は国内で毎年 20〜30 店の純増を計画し、第 1 四半期だけで 40 店増えた。駅前・ロードサイド・ビジネス街と、狙いも広がっている。新デザインの店はすでに国内の約 9 割に届き、改装の効果も出ている。
成長を後押しするのはデジタルだ。会員は 1,100 万人を超え、モバイルオーダーも倍増した。注文と在庫の管理が進めば、加盟店の手間が減り、本部の物流費も下がる。「31パティスリー」のようなケーキは単価が高く、客単価を押し上げた。
海外にも芽がある。インドネシアへの輸出を始め、マレーシアも見える。富士小山工場の増強は、この供給を支える。本部の利益は、店が増えるほど、ほぼ追加の費用なしで増える仕組みだ。
営業利益率は 2021 年から一貫して上がってきた。物価分の値上げが通る環境で、店が毎年 2% 台で増えれば、10 年後の利益は今の 2 倍に届く。ROE は 12% を超え、現金がたまれば還元も厚くなる。
慎重な見方
成長の余地は、思うほど大きくない。国内のアイスは物量が減り、金額の伸びは値上げの分だ。人口が減る中で、店を増やせば既存店の客を食う。1 店あたりの売上が下がれば、加盟店の採算が悪化し、出店意欲が冷える。
今期は、すでに息切れの兆しがある。第 1 四半期は売上が 13% 伸びたのに、営業利益は 4% 減った。原料高、円安、広告費、物流費、拠点の拡大が利益を削った。通期の営業利益の伸びは 2% 程度にとどまる見通しだ。配当も、特別配当がなくなって 25% 減る。
利益率は過去最高の 8% 台にある。ここから先は、コストが先に上がり、価格転嫁が追いつかない局面になりやすい。猛暑の年に利益が伸びても、冷夏には崩れる。ブランドの使用権は米国側との契約に基づき、契約条件が変われば本部の取り分が変わる。
二つの大株主が 7 割を持つため、株主還元を厚くする力も、外部の買収で値段がつく展開も期待しにくい。現金を抱えたまま、ROE が下がる道が考えやすい。
どちらに重みを置いたか
ブランドと店網は強い。だが、強気の見方は店が増え続けることを前提にし、慎重な見方は、利益率の天井と物量の減少を突く。後者のほうが強いと判断した。事業の質は高くても、10 年の収益が資本コストに届かないからだ。確率は中立に 38% を置き、慎重側へわずかに寄せた。ブランドと現金に守られ、傾く姿は考えにくいので、悲観は 10% にとどめた。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 5,019 円484 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 943 円91 億円)。 今の値に割り戻すと 3,157 円304 億円、今との差 −22.2%、 期待の年率 +3.9%(資本コスト 7.2%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 8,224 円792 億円 | 1,247 円120 億円 | +133.6% | +8.9% | 663 円64 億円 |
| やや楽観 | 22% | 7,086 円683 億円 | 1,127 円109 億円 | +102.5% | +7.3% | 1,807 円174 億円 |
| 中立 | 38% | 5,980 円576 億円 | 958 円92 億円 | +71.1% | +5.5% | 2,636 円254 億円 |
| やや悲観 | 23% | 2,346 円226 億円 | 818 円79 億円 | −22.0% | −2.5% | 728 円70 億円 |
| 悲観 | 10% | 722 円70 億円 | 553 円53 億円 | −68.5% | −10.9% | 128 円12 億円 |
| 加重平均 | 100% | 5,019 円484 億円 | 943 円91 億円 | +47.0% | +3.9% | 5,962 円574 億円 |
今の株価時価総額 4,055 円391 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。
楽観 7% 店とアプリが想定以上に効き、輸出も育つ 利益 39 億円 · PER 19.1 倍 · 株価時価総額 8,224 円792 億円
店と会員アプリが想定以上に効く姿だ。国内の店は純増を続けて 1,350 店に近づき、1 店あたりの実質の売上も保つ。ケーキの高単価化と値上げが重なり、客単価は物価を上回って上がる。
海外では輸出が東南アジアに広がり、富士小山工場の増強が供給を支える。本部の営業利益率は 9% に乗り、10 年後の営業利益は今の約 2 倍になる。
ROE は 12% を超えるが、倍率は成熟した会社の水準にとどまる。成長を前払いしないのが、この会社の見方である。
数量は、店の純増で国内の実質の販売量が今の 1.28 倍に増える。設備関連の収入も、新店と改装が続いて伸びる。値段は、ケーキの高単価化と値上げで物価を少し上回る。
- 国内外の店舗向け商品供給とロイヤリティ:数量 869(国内の総小売売上高(実質・億円))× 価格 1.40(価格指数(今 1.00、10 年で物価並みなら 1.34))→ 売上 572 億円・営業利益 52 億円。売上 572 億円・営業利益率 9.0%
- 店舗設備関連:数量 115(新設・改装の店舗数(店・推定))× 価格 0.33(1 店あたりの設備収入(億円、名目))→ 売上 38 億円・営業利益 3 億円。売上 38 億円・営業利益率 8.1%
倍率:事業の純利益 39 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.5% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.4%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 19.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 19.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)15 億円。全体の PER 19.14 倍、時価総額 762 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:店の純増、アプリ、輸出、工場の増強がそろって効く必要がある。10 年なら起こりうるが、利益率の天井があり、確率は高くない。
やや楽観 22% 店の純増が計画どおりに進み、利益率がじわり上がる 利益 34 億円 · PER 18.8 倍 · 株価時価総額 7,086 円683 億円
店の純増が会社の計画どおりに進み、利益率がじわりと上がる姿だ。国内の店は 1,300 店に近づき、1 店あたりの売上は人口減の分だけ少し下がる。値上げは物価をやや上回る。
営業利益率は 8.6% まで上がるが、これは新ブランドのケーキと会員の購入額が増えた結果である。営業利益は今の約 1.7 倍の 48 億円になる。
還元は利益の 4 割を返すので、自己資本は増え、ROE は 11% 台にとどまる。
数量は、国内の実質の販売量が今の 1.21 倍になる。値段は物価をわずかに上回り、輸出は小さな上乗せにとどまる。ブランドの強さは変わらず、物量の減る市場の中で店網の厚みが効く姿である。
- 国内外の店舗向け商品供給とロイヤリティ:数量 822(国内の総小売売上高(実質・億円))× 価格 1.36(価格指数(今 1.00、10 年で物価並みなら 1.34))→ 売上 525 億円・営業利益 45 億円。売上 525 億円・営業利益率 8.6%
- 店舗設備関連:数量 112(新設・改装の店舗数(店・推定))× 価格 0.32(1 店あたりの設備収入(億円、名目))→ 売上 36 億円・営業利益 3 億円。売上 36 億円・営業利益率 7.7%
倍率:事業の純利益 34 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.6% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.9%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)15 億円。全体の PER 18.77 倍、時価総額 650 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:4 年連続最高益で、店の純増も会社の計画にある。上に振れる材料は具体的に見える。
中立 38% 中立:物価の分に店の純増が乗る 利益 29 億円 · PER 18.2 倍 · 株価時価総額 5,980 円576 億円
物価の分に、店の純増が乗る姿だ。国内の店は 1,260 店ほどまで増える。1 店あたりの実質の売上は、人口減と既存店の食い合いで 5% 下がる。国内の実質の販売量は今の 1.13 倍で、値段は物価並みに上がる。
営業利益率は今の 8.1% にとどまり、営業利益は今の 1.5 倍の約 42 億円になる。海外の輸出は小さな上乗せにとどまる。
ROE は 10% 台で、資本コストを上回るが、倍率は成熟した会社の水準だ。優良だが、成長を高く評価できる会社にはならない。
数量は、実質で今の 1.13 倍。店の純増による増加と、1 店あたりの減少が打ち消し合う。値段は、メニューの値上げが物価並みに通る。設備関連の収入は、新店と改装の件数が今より 5% 増える。
- 国内外の店舗向け商品供給とロイヤリティ:数量 767(国内の総小売売上高(実質・億円))× 価格 1.34(価格指数(今 1.00、10 年で物価並みなら 1.34))→ 売上 483 億円・営業利益 39 億円。売上 483 億円・営業利益率 8.1%
- 店舗設備関連:数量 105(新設・改装の店舗数(店・推定))× 価格 0.32(1 店あたりの設備収入(億円、名目))→ 売上 33 億円・営業利益 2 億円。売上 33 億円・営業利益率 7.3%
倍率:事業の純利益 29 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.5% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.4%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.2 倍 + 余った現金(戻り方込み)15 億円。全体の PER 18.24 倍、時価総額 539 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:店は増えるが、物量は減る市場で利益率は 8% 台に張り付く。落としどころとして最も厚く置いた。
やや悲観 23% 原料高が続き、加盟店の採算が悪化する 利益 19 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 2,346 円226 億円
原料高が続き、店の採算が悪化する姿だ。店は 1,170 店ほどにとどまり、1 店あたりの実質の売上は 1 割下がる。値上げは物価に届かず、本部の利益率は 6.5% に落ちる。
加盟店が出店に慎重になり、設備関連の収入も伸びない。営業利益は今とほぼ同じ 28 億円で、物価を考えると実質は 4 分の 1 ほど減る。
ROE は 7% 台に下がり、資本コストを下回る。優良会社の評価は付かなくなり、倍率は縮む。
数量は、実質で今とほぼ同じ。店が増えても 1 店あたりの売上が減り、差し引きで伸びない。値段は、物価の 1.28 倍にとどまる。原料と人件費が先に上がる分を、卸値に転嫁しきれない姿である。
- 国内外の店舗向け商品供給とロイヤリティ:数量 669(国内の総小売売上高(実質・億円))× 価格 1.28(価格指数(今 1.00、10 年で物価並みなら 1.34))→ 売上 402 億円・営業利益 26 億円。売上 402 億円・営業利益率 6.5%
- 店舗設備関連:数量 85.0(新設・改装の店舗数(店・推定))× 価格 0.30(1 店あたりの設備収入(億円、名目))→ 売上 26 億円・営業利益 2 億円。売上 26 億円・営業利益率 5.9%
倍率:ROE 7.7% は k 7.25% に届かず、ためた利益は額面より低い価値。PER の上限は 1÷k=12.9 倍。利益率が落ち、加盟店の採算が悪化する局面なので、上限の 8 割弱の 10.0 倍に置いた。
確率:第 1 四半期の営業利益は減益で、原料高と費用増が続く。配当も減る。やや悲観には現実味がある。
悲観 10% 構造的な負け:ライセンスの悪化と加盟店の撤退 利益 8 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 722 円70 億円
構造的な負けの姿だ。ライセンスの条件が悪化するか、加盟店の撤退が相次ぎ、店は 1,000 店前後まで減る。1 店あたりの売上は 2 割下がる。コンビニの高級アイスと、海外ブランドの専門店に客を取られる。
値上げは物価に届かず、営業利益率は 4% に落ちる。営業利益は 12 億円と今の 4 割に下がる。ブランドは残るが、本部の取り分は薄くなる。
ROE は 4% まで下がる。それでも現金があり、会社が傾くほどではない。
数量は、実質で今の 3 / 4 に縮む。店が減り、1 店あたりも減る。値段は物価の 1.2 倍と、競争で上げきれない。本部の費用は固定的で、売上が減るほど利益率が落ちる。
- 国内外の店舗向け商品供給とロイヤリティ:数量 509(国内の総小売売上高(実質・億円))× 価格 1.20(価格指数(今 1.00、10 年で物価並みなら 1.34))→ 売上 287 億円・営業利益 12 億円。売上 287 億円・営業利益率 4.0%
- 店舗設備関連:数量 60.0(新設・改装の店舗数(店・推定))× 価格 0.28(1 店あたりの設備収入(億円、名目))→ 売上 17 億円・営業利益 1 億円。売上 17 億円・営業利益率 3.6%
倍率:ROE 4% で k を大きく下回る構造的な負け。PER の上限 12.9 倍に対し、ライセンスの悪化と加盟店の撤退で稼ぎの持続に疑いがあるため、純利益に 8 倍を置いた。稼ぐ力(純利益÷k)の範囲内に収めた。
確率:ライセンスの変更や加盟店の撤退は考えにくいが、起きれば大きい。ブランドと現金が守りになるので 10% とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
国内外の店舗向け商品供給とロイヤリティ
アイスクリーム・アイスケーキを加盟店に卸す製品売上と、加盟店の売上に連動するロイヤリティ収入。海外の自社店と輸出も含む。
| 数量国内の総小売売上高(実質・億円) | 価格価格指数(今 1.00、10 年で物価並みなら 1.34) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 679 | 1.00 | 319 | 26 |
| 10 年後 中立 | 767 | 1.34 | 483 | 39 |
取り方:国内の総小売売上高 679 億円(店数 1,066 × 1 店平均約 6,400 万円)を実質の数量とし、本部の収入(製品売上とロイヤリティ、海外の自社店の売上と輸出を含む)の比率 0.47 を掛けた。売上は決算の 342.85 億円から店舗設備関連の 23.6 億円を引いた 319.2 億円。営業利益は全社の 27.7 億円を、設備関連が少し低い利益率として配分した(単一セグメントで内訳の開示は無く推定)。店の純増と 1 店あたりの売上の増減は数量に含め、物価の分は価格の指数に入れた。
店舗設備関連
新しい店の内装や、既存店の改装にかかわる収入。
| 数量新設・改装の店舗数(店・推定) | 価格1 店あたりの設備収入(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 100 | 0.24 | 24 | 2 |
| 10 年後 中立 | 105 | 0.32 | 33 | 2 |
取り方:決算の店舗用設備関連収入 23.61 億円を、年間の新設・改装を 100 店ほどと置いた推定の店数で割った(純増 21 店、閉店の補充、新デザインへの改装を合わせた概数で、件数の開示は無い)。単価は 1 店あたり約 0.24 億円。価格は名目で物価並みに上がる前提。
リスクと懸念
ブランドの使用権が米国側との契約に基づく
「サーティワン」の使用権は、米国のバスキン・ロビンス社とのライセンス契約による。ロイヤリティ率や更新条件が変われば、本部の取り分がそのまま動く。同社側の持株会社は、不二家と並ぶ約 37% の大株主でもあり、契約の力関係は読みにくい。
原料高と円安で本部の利益率が先に削られる
乳原料、カカオ、包材、物流費はいずれも上がっており、円安も重なる。今期の第 1 四半期は売上が 1 割以上伸びたのに、営業利益は 4% 減った。加盟店への卸値を上げにくければ、本部の利益率が先に落ちる。
加盟店の採算と出店の鈍化
本部の利益は、加盟店の売上と店数に連動する。人手不足と家賃の上昇で加盟店の採算が悪化すれば、出店が止まり、閉店も増える。店の純増を毎年 20〜30 店続けると、既存店の客を食い合うおそれもある。
物量が減る市場と天候への依存
国内のアイス市場は金額で伸びても、物量は前年を割った。値上げが続くほど、買う量は減りやすい。猛暑は追い風だが、冷夏や長雨の年には店の売上が落ち、本部の利益に響く。
利益率が過去最高にあり、伸びしろが小さい
営業利益率は 8% 台で、2021 年から上がり続けて天井に近い。会社の長期計画の目標にも近づいており、次の成長の絵が見えにくい。今期の営業利益の伸びは 2% 程度の予想で、増益の勢いは落ちている。
工場の増強投資と品質の問題
富士小山工場の生産能力を増やす投資が進む。需要が追いつかないと、固定費が重くなる。食品を扱うので、品質や異物混入の問題が起きれば、ブランドと加盟店の信頼に傷がつく。
二つの大株主に偏る株主構成
米国側の持株会社と不二家が、それぞれ約 37% を持つ。浮動株が薄く、株主還元を厚くする圧力も、外部の買収で値段がつく展開も起きにくい。持株の売却があれば、需給は大きく動く。
今後の分かれ目
- 国内の店舗数が純増 30 店を超えるペースで続き、1 店あたりの売上も保たれたら
- 店数の前提を上げ、楽観・やや楽観の確率を引き上げる。
- 営業利益率が 9% を超えて定着したら
- 中立の利益率を上げ、楽観側の確率を引き上げる。
- 原料高と円安の中で、営業利益が 2 期連続で減ったら
- 利益率の前提を下げ、やや悲観・悲観の確率を引き上げる。
- ライセンス契約の条件変更、またはロイヤリティ率の引き上げが開示されたら
- 本部の取り分を下げ、悲観の確率を引き上げる。
- 海外(台湾、ハワイ、輸出)の売上が全体の 1 割を超えて伸びたら
- 海外の上乗せを中立に加え、本質価値を引き上げる。
- 大株主の一方が持株を売却する、または自社株買いが始まったら
- 還元の前提を上げる。ただし利益そのものは変わらず、本質価値の変化は小さい。
見ておくもの
- 国内店舗数の純増と、1 店あたりの小売売上(既存店の動き)
- 営業利益率と、原料・物流費の動き(四半期ごと)
- 31Club 会員の購入額の比率とモバイルオーダーの比率
- 富士小山工場の増強の進み方と減価償却費
- ライセンス契約・ロイヤリティに関する開示
- 配当方針と大株主の持株の動き
倍率と資本コストの決め方
10 年の売上は、国内の小売売上(店数×1 店の売上)に本部の取り分と価格の指数を掛けて積み、海外は小さく含めた。資本コストは基本 7.5% に quality +0.25% で 7.75%。倍率は式の上限の 8〜9 割強に置き、今の PER が 20 倍前後であることには寄せていない。結果の「割高」は、利益が物価と店の純増で伸びても、倍率が成熟した会社の水準に落ち着くため。純現金は一部を余りとして足した。直営店は少なく、新リース会計基準の影響は限定的とみて、数字は今と同じ形で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 15→19.14 倍・やや楽観 PER 14→18.77 倍・中立 PER 12.5→18.24 倍)。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +0.25%(業種の循環 +0.25、値決め力 −0.25、借金 0、寿命 +0.25)を足して 7.75%。ライセンスや大株主の問題は k に足さず、悲観の筋書きで見た。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 7.75% → 7.25%。