結論
ピエトロは、パスタ店から生まれた「和風しょうゆ」のドレッシングを軸に、調味料の製造販売と、パスタを中心にした飲食店を営む会社だ。筆者の結論は、今の値段は割高というものだ。時価総額 122 億円に対し、直近の純利益は赤字で、営業利益も 2 億円にとどまる。
看板商品の力は本物である。調味料を売る商品事業は売上 71 億円で、事業単体の利益率は約 2 割と高い。ただ、広告や本社などの共通費が約 15 億円かかり、外食の店舗事業は利益が薄い。差し引くと、会社全体の営業利益率は 1.6% まで下がる。
財務は重くなっている。純有利子負債は 32 億円に増え、古賀に約 82 億円の新工場を建てている。完成すれば償却費が増える。利益が戻る前に、負担が先に来る形だ。
筆者は、商品事業が伸びても、共通費と店舗の固定費が利益を吸い続ける限り、株主の取り分は小さいままと見る。企業価値の大半は将来の回復に払うことになり、その回復は中立の筋書きでも今の値段に届かない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ピエトロは「良い商品を持つが、稼ぎと値段がかみ合わない会社」と映る。
看板のドレッシングは、30 年以上続く定番で、事業として堅い。商品事業の利益率が高いのは、その力の表れだ。一方で、共通費と外食が利益を食い、全社の稼ぎは薄いまま、借入だけが増えている。
経営の資本の使い方には慎重になる。82 億円の工場は、利益を生むかどうかが見えないうちに借入で建てている。同じ金額を配当や借金の返済に回せば、株主の取り分は確実に厚くなった。
堀は中ぐらいで、価格を上げる力は限られる。一方、人口が減る国内市場では、量の拡大は難しく、利益の回復は共通費の圧縮にかかる。それは経営の実行力の問題で、保証がない。
筆者の見立てでは、中立の筋書きの価値は、今の時価総額の 3 割に届かない。悲観になっても自己資本の一部は残るが、買う側の安全域は薄い。商品の力を高く評価しても、今の値段は先に行きすぎている。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は二つある。2026 年 3 月期の売上 122 億円のうち、商品事業が約 71 億円、店舗事業が約 49 億円を占める。
商品事業の中心は、ドレッシングとパスタソースだ。創業者が福岡のパスタ店で出した、しょうゆ味のドレッシングが原点で、「和風しょうゆ」は全国の量販店で売られる定番になった。ドレッシングのほか、スープ、パスタソース、通販向けの商品もある。商品事業の利益は約 15 億円で、売上に対する利益率は 2 割を超える。
店舗事業は、パスタ店を中心にした外食だ。ブランドを知ってもらう広告塔の役目もあるが、利益は 1 億円台と薄い。人件費の上昇と家賃が重く、収益の足を引っ張っている。
二つの事業のあいだに、広告宣伝や本社の費用が共通費として約 15 億円ある。商品事業の利益のほぼすべてが、ここで消える計算になる。
製造は福岡県内の工場が担う。2026 年秋に古賀市に新工場が完成する予定で、投資額は約 82 億円と、会社の規模に比べて大きい。2027 年春には工場に併設した体験施設も開く。生産能力は広がるが、売る量が追いつかなければ、償却費と借入の利息が先に利益を削る。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねしにくい強みは、ドレッシングの一部に限られ、中ぐらいより少し弱い。「和風しょうゆ」は知名度が高く、福岡を中心に指名買いされる商品を持つ。ただ、国内のドレッシング市場はキユーピーなど大手が棚の多くを押さえ、全国で見たピエトロは中堅の位置にある。
資本の効率は低い。過去 10 年の ROE(自己資本利益率)の中央値は 3.5% で、資本コストを大きく下回ってきた。直近は営業利益率が 1.6% まで下がり、2023 年 3 月期と 2026 年 3 月期は赤字だった。
財務は弱い方に傾いた。純有利子負債は 32 億円、自己資本比率は 43%。営業利益に対する支払利息の倍率は 1.3 倍と、余裕が薄い。新工場の完成で借入と償却がさらに増える。
株主は、特定の企業が 2 割前後を持つ形で、日清オイリオグループも 15% を持つ。大きな買収の話は聞かない。
経営は、ブランドの広がりと工場の生産能力で成長を狙う。成長の方向は筋が通るが、利益で裏づけられた実績が足りない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ドレッシング・パスタソースの市場は、国内の食べる量とともに緩やかに縮む。人口は 2056 年に 1 億人を割ると予測され、家庭用の調味料の総量は、10 年で横ばいから小さな減少にとどまる。簡便化と健康志向が量を下支えするが、大きく伸ばす力はない。
価格は名目で物価並みに上がる。2026 年は原材料と包装資材の高騰で値上げが広がり、店頭価格は前年を 4〜5% 上回る。ただ、値上げの頻度が増えるほど、安い商品や自社ブランドに量が逃げる。
競争は、家庭用調味料の大手が各カテゴリーで強い。ドレッシングならキユーピーが首位で、味の素や各社が続く。ピエトロは中堅で、地元の福岡と九州での強さを、全国のスーパーと通販に広げようとしている。
外食は、人手不足と家賃の上昇で、利益が出にくい。低価格の店と競う一方、体験としての価値で差をつける戦略もある。ただ、パスタ店は成熟した市場で、新規の客を増やすのは難しい。
分かれ目は、ブランドの力で値上げを通し、量を守れるかにある。外食は、固定の家賃と人件費をどこまで売上で吸収できるかが、店ごとの採算を決める。
資本政策と M&A
資本政策の中心は、借入による大型投資だ。古賀の新工場に約 82 億円を投じ、純有利子負債は 32 億円まで増えた。完成後は償却費が上乗せされ、利益率の回復が遅れれば、返済の余裕が薄くなる。
株主への還元は小さい。配当は年に約 1.6 億円と小さい。純利益が赤字の年も、配当を維持している。自社株買いの実績は目立たない。
株主優待は、100 株以上で千円台、300 株以上で 5 千円相当の自社商品を贈る。年 2 回の実施で、株主数の開示がなく、費用は年 1.2 億円と推定した。会社の費用が利益から引かれる一方、株主は受け取るため、10 年の還元に足した。優待の対象が広がるほど、利益の取り分は薄くなる。
余った現金はなく、純有利子負債が出ているため、現金の戻り方は問題にならない。上位株主に事業会社が含まれるが、親会社として現金を吸い上げる関係は確認できない。
新リース会計基準は 2028 年 3 月期から店舗の家賃を貸借対照表に載せる。店舗が多い会社は、見かけの財務より固定の約束が重い。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
商品事業は売上 71 億円で、事業単体の利益率は 2 割を超える。ドレッシングの定番ブランドは、値上げを通す力がある。新工場で生産能力が広がれば、通販と海外にも商品を出せる。
共通費の約 15 億円には、広告宣伝が多く含まれる。売上が伸びれば、広告費の比率は下がり、営業利益率が 5% 台に戻る余地がある。過去の 2015 年前後は 5〜6% だった。
商品の力は数字にも出ている。事業単体の利益率は2割を超え、同じ調味料の中堅としては高い水準にある。通販で顧客から直接買われる割合が増えれば、小売りへの値引き要求にも左右されにくくなる。店舗事業は小さいが、赤字を出していない。ブランドの宣伝塔として機能し、商品の売上に結びつく。外食の採算が上向けば、利益の足を引っ張る度合いは下がる。原材料の値上がりも、規格を揃えた大量生産で吸収しやすくなる。
2027 年春に体験施設を開き、観光の集客と通販が加わる。福岡の観光客に商品を知ってもらう入口になり、店舗事業の広告塔の役目も強まる。投資は大きいが、完成すれば減価償却が進むほど、事業の利益は積み上がる。
慎重な見方
全社の営業利益率は 1.6% で、2026 年 3 月期は赤字だった。会社の予想も、2027 年 3 月期の営業利益は 1 億円と、さらに減る。時価総額 122 億円は、この稼ぎに対して重すぎる。
82 億円の新工場は借入で建て、純有利子負債は 32 億円に膨らんだ。償却が増えれば、利益が戻る前に負担が先に来る。営業利益で支払利息を賄う倍率は 1.3 倍と、余裕がない。
国内のドレッシング市場は人口とともに縮み、大手が棚を押さえる。外食は、人件費と家賃の上昇で利益が出にくく、不況で客が減っても家賃は残る。共通費の削減も、実績が見えない。体験施設も、集客の見込みを数字で示す材料が乏しい。
株主への還元は小さく、優待で費用を負担しても、利益の厚みは増えない。10 年後に営業利益率が 5% に戻る前提でも、今の値段には届かない。会社が示す先の予想も、2028 年 3 月期で営業利益率 1.5% にとどまる。
どちらに重みを置いたか
ブランド力と事業単体の高い利益率は、強気の言い分を裏づける。共通費、外食の固定費、借入での大型投資は、慎重な言い分に根拠がある。確率は中立 36%、やや悲観 27%、悲観 14% とし、楽観側は合計 23% に抑えた。中立の価値も今の時価総額を大きく下回り、悲観では自己資本の一部しか残らない。強気の言い分が全部通っても届かない水準で、割高と評価する。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 671 円47 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 310 円22 億円)。 今の値に割り戻すと 552 円38 億円、今との差 −68.4%、 期待の年率 −5.6%(資本コスト 7.2%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 2,340 円163 億円 | 604 円42 億円 | +68.4% | +5.4% | 177 円12 億円 |
| やや楽観 | 17% | 1,091 円76 億円 | 403 円28 億円 | −14.5% | −1.6% | 254 円18 億円 |
| 中立 | 36% | 695 円48 億円 | 403 円28 億円 | −37.2% | −4.5% | 395 円27 億円 |
| やや悲観 | 27% | 272 円19 億円 | 187 円13 億円 | −73.7% | −12.5% | 124 円9 億円 |
| 悲観 | 14% | 151 円11 億円 | 72 円5 億円 | −87.2% | −18.6% | 31 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 671 円47 億円 | 310 円22 億円 | −43.9% | −5.6% | 981 円68 億円 |
今の株価時価総額 1,748 円121 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。
楽観 6% 新工場が稼働し、商品が全国と通販で伸びる 利益 9 億円 · PER 17.5 倍 · 株価時価総額 2,340 円163 億円
10 年後、「和風しょうゆ」に加え、通販や業務用が伸び、商品事業の出荷は今の 1.5 倍になる。新工場の生産能力が埋まり、共通費の広告費は売上に対する比率が下がる。商品事業の利益率は 24% まで上がり、営業利益は 19 億円に達する。店舗事業は客数が横ばいで、利益率は 5% まで改善する。会社は借入を返し、配当を増やす。ただ、国内市場の縮小は変わらず、成長の中心は通販と海外の小さな上積みにとどまる。優待も続く。成功ではあるが、過去の最高益を大きく超えるほどではない。ROE は 10% 近くに上がる。
- 商品事業(ドレッシング・パスタソースほか):数量 43.5(出荷量(百万本相当))× 価格 3.54(100 万本相当あたりの売上(億円))→ 売上 154 億円・営業利益 37 億円。数量 ×1.50・単価指数 ×1.40・利益率 24.0%
- 店舗事業(パスタ店ほか外食):数量 3.5(来店客数(百万人))× 価格 19(100 万人あたりの売上(億円))→ 売上 65 億円・営業利益 3 億円。数量 ×1.00・単価指数 ×1.34・利益率 5.0%
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.1% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.7%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.5 倍。全体の PER 17.48 倍、時価総額 163 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:新工場で広げた生産能力を売り切り、共通費の比率が下がる姿。直近の営業利益率 1.6% から 12% 近くへの回復は強い前提のため、確率は低く置いた。
やや楽観 17% 商品が堅調に伸び、共通費を抑える 利益 5 億円 · PER 14.0 倍 · 株価時価総額 1,091 円76 億円
商品事業の出荷は今の 1.3 倍に伸び、価格は物価並みに上がる。利益率は 22% 台を保つ。共通費は物価で増えるが、売上の伸びで比率は少し下がる。店舗事業は客数が 2% 減り、人件費の上昇を価格で吸収して利益率 4% になる。営業利益は 11 億円、純利益は 5 億円。配当と優待を続け、残りで借入を返す。成長投資の回収は進むが、過去の最高益には届かない。借入が減るので利払いが少し減る。優待の費用は利益から引き済みで、還元には受け取り分を足した。10 年後は新工場の稼働率が上がり、商品の売上に占める償却費の比率が下がる。外食は店の入れ替えで採算の悪い店を閉じ、全体の客数は小さく減るが、残る店の利益率は上がる。
- 商品事業(ドレッシング・パスタソースほか):数量 37.7(出荷量(百万本相当))× 価格 3.44(100 万本相当あたりの売上(億円))→ 売上 130 億円・営業利益 29 億円。数量 ×1.30・単価指数 ×1.36・利益率 22.5%
- 店舗事業(パスタ店ほか外食):数量 3.4(来店客数(百万人))× 価格 19(100 万人あたりの売上(億円))→ 売上 64 億円・営業利益 3 億円。数量 ×0.98・単価指数 ×1.34・利益率 4.0%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.5% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 7.4%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.0 倍。全体の PER 14.04 倍、時価総額 76 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:新工場の稼働が進み、通販が伸びる姿。商品の伸びと共通費の抑制が部分的に進むため、楽観側では厚めに置いた。
中立 36% 商品は小さく伸び、共通費と外食が利益を吸う 利益 4 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 695 円48 億円
商品事業の出荷は今の 1.15 倍で、新工場の生産能力を十分には使い切れない。価格は物価並みの 1.34 倍。利益率は 22% 台を保つが、共通費も物価で 1.34 倍に増え、営業利益は 7 億円、営業利益率は 4% 台にとどまる。直近の 1.6% よりは改善するが、2015 年前後の 5〜6% には届かない。店舗事業は客数が 5% 減り、利益率は 3% にとどまる。純利益は 3.5 億円。新工場の償却が加わり、利払いも増える。配当は年 1.6 億円ほどを続け、優待の費用は年 1.2 億円と見て、10 年の還元に足した(優待は利益から引き済みで、自己資本の流れには入れない)。自己資本は 60 億円台で横ばいに近い。
- 商品事業(ドレッシング・パスタソースほか):数量 33.3(出荷量(百万本相当))× 価格 3.39(100 万本相当あたりの売上(億円))→ 売上 113 億円・営業利益 25 億円。数量 ×1.15・単価指数 ×1.34・利益率 22.5%
- 店舗事業(パスタ店ほか外食):数量 3.3(来店客数(百万人))× 価格 19(100 万人あたりの売上(億円))→ 売上 62 億円・営業利益 2 億円。数量 ×0.95・単価指数 ×1.34・利益率 3.0%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.6% が k 7.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍。全体の PER 13.79 倍、時価総額 48 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:新工場の稼働で商品が小さく伸びるが、共通費と外食が利益を吸い続けるという落としどころ。会社の予想が 2028 年 3 月期でも営業利益率 1.5% と低く、その延長として厚く置いた。
やや悲観 27% 共通費が下がらず、外食の採算が悪化する 利益 1 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 272 円19 億円
国内のドレッシング市場が縮み、大手が棚を押さえる。商品事業の出荷は横ばいにとどまり、値上げが原材料の上昇に追いつかず、利益率は 20% に下がる。共通費はほとんど減らない。店舗事業は客が 15% 減るが、家賃と正社員の人件費は残り、利益率は 1% まで落ちる。営業利益は 2 億円、純利益は 1 億円。新工場の償却と借入の利息が残る。配当は縮み、優待は縮小する。構造的に負けた姿で、優良な会社とは言えなくなる。自己資本は 57 億円ほどに細り、還元は利益よりも配当の積み立てと優待の費用が先に出る形になる。優待の費用は利益から引き済みで、還元には受け取り分を足した。配当と優待は、利益でなく手元の現金と資産の売却で払う。借入の返済は遅れ、新工場の稼働率が低いまま償却だけが利益を削る。
- 商品事業(ドレッシング・パスタソースほか):数量 29.0(出荷量(百万本相当))× 価格 3.24(100 万本相当あたりの売上(億円))→ 売上 94 億円・営業利益 19 億円。数量 ×1.00・単価指数 ×1.28・利益率 20.0%
- 店舗事業(パスタ店ほか外食):数量 3.0(来店客数(百万人))× 価格 18(100 万人あたりの売上(億円))→ 売上 52 億円・営業利益 1 億円。数量 ×0.85・単価指数 ×1.25・利益率 1.0%
倍率:稼ぐ力(純利益 1 億円 ÷ k)はごく小さい。置いた時価総額は、今の自己資本 62 億円に 0.30 倍を掛けた 18 億円。工場と店舗の資産が売れる前提でなく、事業が自己資本を下回って評価される姿。中立の PBR(約 0.5 倍)を下回る。EV でも見た結果、EV÷営業利益は 27 倍と高く出るが、これは利益が小さい筋書きのためで、値が付くのは稼ぎでなく資産である。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.331 倍・時価総額 19 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:大手との価格競争と外食の人件費上昇で、利益が出ない姿。直近の 2 年の低迷が示す方向と一致するため、中立に次ぐ厚みを置いた。
悲観 14% 不況で外食が赤字になり、新工場が重荷になる 利益 −4 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 151 円11 億円
景気が悪くなり、外食の客が 25% 減る。家賃と人件費は固定のため、店舗事業は赤字に落ちる。商品事業も量販店向けの値引きで利益率が 12% まで下がる。共通費は一部を削るが、赤字は営業段階で 7 億円ほどになる。新工場の償却と借入の利息が残り、純利益は赤字が続く。配当は止まり、優待も取りやめる。自己資本は 50 億円を割る。事業の再編や提携を迫られ、株主の取り分は細る。この姿で利益の山が来る年は考えにくく、10 年の途中で優待と配当は止まる。借入の返済は資産の売却で賄い、店舗の閉鎖と工場の一部売却も選択肢に入る。優待は取りやめで、還元は最初の数年の分だけになる。
- 商品事業(ドレッシング・パスタソースほか):数量 24.6(出荷量(百万本相当))× 価格 2.91(100 万本相当あたりの売上(億円))→ 売上 72 億円・営業利益 10 億円。数量 ×0.85・単価指数 ×1.15・利益率 14.0%
- 店舗事業(パスタ店ほか外食):数量 2.6(来店客数(百万人))× 価格 15(100 万人あたりの売上(億円))→ 売上 40 億円・営業利益 −1 億円。数量 ×0.75・単価指数 ×1.10・利益率 -2.0%
倍率:稼ぐ力(赤字)より、床の売れる資産が大きい。床は工場と店舗の売却を税後で見積もった約 26 億円(推定)で、今の自己資本 62 億円に 0.30 倍を掛けた 19 億円に置いた。清算されない限り少数株主は資産の使い道を決められない。
確率:不況と原材料高が重なる姿。2023 年 3 月期の赤字が実例で、新工場の償却が重なれば悲観の確率は 5% を超えて置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
商品事業(ドレッシング・パスタソースほか)
ドレッシング、パスタソース、スープなどを量販店・通販・業務用に売る。主力は「和風しょうゆ」。
| 数量出荷量(百万本相当) | 価格100 万本相当あたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 29.0 | 2.53 | 73 | 15 |
| 10 年後 中立 | 33.3 | 3.39 | 113 | 25 |
取り方:商品事業の売上 70.9 億円に、その他の売上を足した約 73 億円を置いた。出荷の本数は開示がなく、1 本あたりの卸値を店頭価格の 6 割強と置いて約 2,900 万本相当とした。数量は本数、価格は 100 万本あたりの売上で物価の分を持つ。事業の利益 15.4 億円は決算の開示だが、本数は推定である。
店舗事業(パスタ店ほか外食)
福岡を中心にしたパスタ店などの飲食店。ブランドの宣伝の役目もある。
| 数量来店客数(百万人) | 価格100 万人あたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3.5 | 14 | 49 | 2 |
| 10 年後 中立 | 3.3 | 19 | 62 | 2 |
取り方:店舗事業の売上 48.7 億円を、客単価を千円台半ばと置いて年間約 350 万人と推定した。利益 1.5 億円は決算の開示で、客数は推定である。
リスクと懸念
新工場の負担
古賀の新工場は約 82 億円で、借入が先に増え、償却も上乗せされる。商品の売上が追いつかなければ、利益率の回復が遅れ、純有利子負債が 32 億円を超えて膨らむ。
共通費の重さ
広告や本社の費用が約 15 億円あり、商品事業の利益のほとんどを消す。削減の実績が見えず、売上が伸びても利益に結びつきにくい。
外食の固定費
店舗は家賃と人件費が固定で、客が減っても費用は残る。2028 年 3 月期から店舗の家賃が貸借対照表に載り、見かけの借入も増える。
国内市場の縮小と大手の棚
人口が減る国内では調味料の総量が緩やかに縮み、大手が棚を押さえる。値上げが通らなくなれば、量を落とす形で利益が減る。
原材料・包装資材の高騰
植物油、しょうゆ、容器の値上がりを転嫁するのに時間がかかる。直近の 2 年は転嫁が遅れ、利益率が 2% 前後に沈んだ。
大株主の動き
特定の企業が 2 割前後、日清オイリオグループが 15% を持つ。持分の売却や提携の変化は、株価と経営の方向に影響しうる。
今後の分かれ目
- 営業利益率が 3% を超える
- 共通費の圧縮か商品の伸びが利益に出ている。中立の営業利益率の置き方を上向きに見直す。
- 新工場が稼働し、商品事業の売上が年 10% 以上伸びる
- 数量の前提を引き上げてよい。償却費の増加を上回るかを確かめる。
- 純有利子負債が 50 億円を超える
- 借入の重さが利益を圧迫する。悲観の確率を上げる。
- 店舗の採算が悪化し、不採算店の閉鎖が続く
- 固定費の整理は進むが、ブランドの宣伝塔が弱まる。商品への影響を別に確かめる。
- 大株主が持分を売る、あるいは提携・TOB の話が出る
- 株の値動きが事業の価値と離れる。提案価格が事業の価値を映すかを別に確かめる。
- 配当や優待が拡充される
- 還元の見込みを増やす。ただし利益が出てからの拡充かを確かめる。
見ておくもの
- 全社の営業利益率(3% を超えるか、赤字に戻るか)
- 商品事業の売上の伸びと新工場の稼働率
- 純有利子負債と支払利息
- 店舗事業の採算と閉店の動き
- 共通費(広告・本社費)の水準
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価・PER を見ず、商品事業と店舗事業を数量×価格で積んだ利益から置いた。資本コストは基本 7.5% に +0.5% で 8.0%。中立の ROE は約 5% で k を下回り、式の PER は 9 倍台、置いたのは 8.5 倍。中立の営業利益率は約 4% で、過去 12 年の最高 8.6% より低い。家賃は営業費用に入れた形でそろえ、新リース会計で 2028 年 3 月期から形が変わる点は、10 年後の数字には入れていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.5→17.48 倍・やや楽観 PER 9.5→14.04 倍・中立 PER 8.5→13.79 倍・やや悲観 PBR 0.3→0.331 倍)。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。