結論
ロック・フィールドは、サラダの「RF1」を軸に、百貨店や駅ビルで惣菜を売る会社だ。ほかにグリーン・グルメ、神戸コロッケなどの看板を持つ。筆者の結論は割高である。看板は強いが稼ぐ力が細り、時価総額の3分の1を占める現金も、株主にはほとんど返っていない。
直近の営業利益率は1.5%まで落ちた。2025年2月以降、来店客数が急に減り、人件費と包装資材の値上がりが重なった。会社の今期予想は営業利益5億円で、さらに低い。2028年4月期に営業利益28億円という中期目標は、ここからは遠い。
10年先を考えると、客単価は物価に合わせて上がるが、客数は人口減で1割弱減る。営業利益率は3%台半ばまで戻ると置いた。過去12年の山(6%)には届かない。
一方、財務は厚い。自己資本比率は82%で、純現金は125億円ある。うち事業に要らない分を70億円と見て、価値に足した。それでも稼ぎは資本コストの8.0%を下回るため、利益に掛ける倍率は低い。中立の本質価値は、今の時価総額の半分に届かない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で、まず見るのは、稼ぐ力と資本の厚さの釣り合いだ。この会社の資本は、事業を動かすのに必要な量を大きく超えている。純現金は125億円、自己資本利益率は0.3%。余った資本が稼ぎを薄めている。
次に、堀を見る。高級惣菜の看板はあるが、店は借り物で、客は気軽に別の店へ移る。堀は浅い。看板が利益率を押し上げた時期(2010年代後半の6%)は、確かにあった。だが、その水準に戻れる保証はない。
資本の使い方は、守りに偏っている。借金をせず、現金を積み、配当と優待で薄く還元する。経営の方針が「身の丈」であることは評価できる。しかし、現金を事業に生かせていない現実は、重く見る。
最後に、安全域だ。純現金のうち事業に要らない分を70億円と見ても、それが株主に戻る保証は薄い。今の時価総額は、中期目標の達成をかなり織り込んでいる。事業は嫌いでないが、払う値段には慎重になる。
何で稼ぐ会社か
事業の中身は、直営店で売る惣菜だ。売上の大半は、百貨店・駅ビル・商業施設に出した店から入る。
中核は「RF1」で、サラダを中心にした高級路線の惣菜店だ。2026年4月期末で137店ある。次に多いのが野菜中心の「グリーン・グルメ」で、70店。ほかに、おばんざいの「いとはん」、揚げ物の「神戸コロッケ」、サラダボウル専門店などの新業態がある。神戸コロッケは新神戸駅で、厨房を持たない小さな店を試している。
店以外では、外販(卸)と通販がある。外販は売上の2%ほどと小さい。ただし、会社が最も伸ばしたい分野で、直近の四半期では前年比で1割以上伸びた。
従業員は連結で約1,600人。費用の中心は、人件費、原材料、店の家賃と償却だ。売上が落ちても、人件費と家賃は同じ割合では減らない。店の損益が客数に強く左右されるのは、この構造のためである。
開示は単一のセグメントで、ブランド別の利益は出ていない。ここでは店舗と外販の二つに分けて置いた。店の多くは百貨店などの借り物で、売上連動の家賃を払う。売り場の力が、そのまま店の稼ぎに響く。
優良さと弱いところ
強みは、「RF1」という看板と、野菜を主役にした商品づくりだ。百貨店の惣菜売り場で、サラダは同社の代名詞に近い。客単価は、スーパーやコンビニの惣菜より高い。自分で値付けする力は、ほかの中食企業よりは強い。
弱みは、稼ぐ力が細っていることだ。営業利益率は、2018年4月期の6.0%から、2026年4月期の1.5%まで落ちた。中期目標の28億円は、会社自身が過去に何度か計画を外してきた事実を考えると、割り引いて見る必要がある。
特に、2025年2月以降の客数の急減が痛かった。米をはじめ食料品の値上がりで、消費者が節約に動いた。都市部の店は堅調だが、地方・郊外の店は売上が落ちている。
資本効率は低い。自己資本利益率は0.3%で、自己資本比率は82%と厚い。借金を使わず、現金を抱えたまま、稼ぎが小さい。この組み合わせは、株主から見ると魅力が薄い。
経営は古塚孝志社長が率いる。最近の動きは、不採算店の整理、外販の拡大、新業態の都市部への出店だ。実績が出るのは、これからである。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
惣菜の市場は、中食の広がりに支えられて大きく育ってきた。単身世帯の増加、共働き、調理の手間を省きたい需要が背景にある。国内で食べる量は、人口減でゆるやかに減る。だが、家で作る分が惣菜に移る流れは、まだ続く。
競争は厳しい。スーパーとコンビニが、安い惣菜を大量に売る。ロック・フィールドは、そこと同じ土俵では戦わず、百貨店と駅ビルで高めの客単価を取ってきた。この棲み分けが、人件費の上昇と節約志向の強まりで揺らいでいる。
百貨店という売り場の力も変わりつつある。都心の大型店は訪日客で堅調だが、地方の百貨店は閉店や縮小が続く。出店先の力が落ちれば、店の客数も落ちる。同社が都市部の駅ビルや商業施設へ軸足を移す理由はここにある。
もう一つの変化は、人手不足だ。店頭の販売員と調理の人手を確保するため、給与を上げざるを得ない。同社も若手中心に給与体系を見直した。人件費は、物価と同じ速さで増える前提で見る必要がある。
筆者は、この業界を「需要は底堅いが、利益を取りにくい成熟市場」と見る。看板の強さが、利益率の改善に結びつくかが焦点である。
資本政策と M&A
現金が厚い会社だ。自己資本比率は82%、純現金は125億円で、時価総額の約3分の1にあたる。借金はほとんどない。
還元は、配当と株主優待が中心になる。配当は、直近の純利益の数倍を払う年もあり、利益より現金から出している。自社株買いは目立たない。自己株式は発行株数の約2%だ。
株主優待は、自社店舗で使うそうざい券を、4月末と10月末の株主に贈る。2026年4月からは、1年以上の保有が条件になり、100株から199株の区分も新設された。年間の費用は、開示がなく、3億円前後と推定する(2倍程度のずれはありうる)。優待は株主が受け取る現物の還元なので、10年の還元に年額×10年を足した。費用は販管費に入っており、利益からは引き済みである。
大株主は、(株)岩田(約9%)、信託銀行、取引先持株会、明治安田生命、四国銀行の順だ。社名から創業家に近い会社と見られるが、支配株主はいない。2025年4月期には、創業者への特別功労金5億円を特別損失に計上した。
M&Aの実績は目立たない。買収の対象になる可能性は、現金の厚さと低い評価から、常に意識される。ただ、取引先持株会や金融機関の安定株主が多く、敵対的な買収は考えにくい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
会社が掲げる中期目標は、2028年4月期に売上569億円、営業利益28億円だ。足元は苦しいが、手は打たれている。都市部の店は好調で、サラダボウル専門店のような新業態は若い客を連れてくる。地方・郊外の不採算店を整理すれば、店あたりの利益は上がる。
外販(卸)の伸びも見逃せない。店舗網が縮んでも、卸なら売り場の力に左右されにくい。神戸コロッケなどの看板は、店舗の外でも売れる。店を増やさずに売上を広げられるため、利益率の改善に直結する。2010年代後半は、営業利益率が6%に届いていた。同じ水準に戻る力は、看板にある。
財務の余裕も武器になる。純現金125億円は、新業態への投資や、いざという時の下支えに使える。中期計画はROE 6%以上を掲げており、経営陣も資本効率を意識している。経営陣が自社株買いや増配に動けば、現金が株主に戻り、自己資本利益率は目に見えて上がる。割安な現金と回復余地を併せて見れば、今の値段は安い。物価が毎年上がる世界では、看板の強い会社ほど値上げを通しやすい。回復の余地は大きい。
慎重な見方
中期目標は、過去の計画と同じく、達成できない可能性が高い。2026年4月期も、期初は営業利益14億円を見込んだが、実績は7.8億円にとどまった。会社の今期予想は5億円で、さらに低い。営業利益率は1%の水準にある。
構造の問題も大きい。人件費は物価と同じ速さで上がり、包装資材も値上がりしている。値上げをすれば客数が減る。2025年2月以降の客数の急減は、そのことを示した。地方・郊外の店は今後も縮み、百貨店という売り場自体の力も弱い。
現金が厚いことは、強みよりも弱みに映る。稼ぎが小さいまま現金を抱え、利益に対する資本が過剰になっている。創業家に近い株主や取引先持株会、金融機関が多く、経営に規律を求める力も弱い。会社の計画は過去に何度も外れ、今回だけ当たるという根拠は乏しい。優待と配当も、利益ではなく現金から出ている。この状態が続けば、価値はじりじり目減りする。物価が毎年上がる世界では、現金の価値も目減りする。今の値段は、その現実を無視している。
どちらに重みを置いたか
争点は、中期目標に向かう回復が本物かどうかである。強気の見方が頼る都市部の好調と外販の伸びは事実だが、規模はまだ小さい。慎重な見方が指摘する人件費と客数の構造的な逆風は、足元の数字にすでに出ている。確率は、中立に4割弱を置き、やや悲観を楽観側より厚くした。悲観は1割強とした。現金が厚く、事業が一気に崩れる確率は低いが、利益率が低いまま長く続く確率は高いと見たからだ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/04 期)
確率で加重した株価時価総額 1,001 円262 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 355 円93 億円)。 今の値に割り戻すと 733 円192 億円、今との差 −46.3%、 期待の年率 −0.1%(資本コスト 7.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 2,240 円586 億円 | 497 円130 億円 | +100.5% | +7.2% | 164 円43 億円 |
| やや楽観 | 18% | 1,619 円423 億円 | 421 円110 億円 | +49.4% | +4.1% | 367 円96 億円 |
| 中立 | 38% | 1,095 円286 億円 | 375 円98 億円 | +7.7% | +0.7% | 559 円146 億円 |
| やや悲観 | 27% | 434 円113 億円 | 327 円86 億円 | −44.3% | −5.7% | 205 円54 億円 |
| 悲観 | 11% | 383 円100 億円 | 172 円45 億円 | −59.3% | −8.6% | 61 円16 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,001 円262 億円 | 355 円93 億円 | −0.6% | −0.1% | 1,356 円355 億円 |
今の株価時価総額 1,365 円357 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 6% 中期目標に近づき、都市型と外販で利益率が戻る 利益 33 億円 · PER 15.9 倍 · 株価時価総額 2,240 円586 億円
都市部の駅ビルへの出店と、サラダボウルなどの新業態が当たり、客単価は物価を少し上回って上がる。外販が店舗の外で売上を広げ、10年で2倍になる。地方・郊外の不採算店は整理が進み、店あたりの利益が上がる。営業利益率は2018年4月期の水準(6%)近くまで戻り、中期目標に10年遅れで届く。財務の余裕を生かして増配と自社株買いにも動き、自己資本利益率は12%ほどに上がる。看板の力が再び利益に結びつく、最もよい10年だ。還元には、株主優待の受け取り(費用ベース年3億円×10年×1.0=30億円)も足した。優待の費用は利益から引き済み。
- 直営店(RF1・グリーン・グルメ・神戸コロッケほか):数量 39.8(年間の購入客数(百万人、推定))× 価格 1,820(客単価(円、推定。名目))→ 売上 724 億円・営業利益 42 億円。営業利益率5.8%
- 外販(卸)・通販ほか:数量 19.8(販売数量(百万点、推定))× 価格 280(1点あたりの出荷額(円、推定。名目))→ 売上 55 億円・営業利益 4 億円。営業利益率8.0%
倍率:事業の純利益 32 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.0% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 9.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.9 倍 + 余った現金(戻り方込み)70 億円。全体の PER 15.9 倍、時価総額 586 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:都市部の新業態と外販が当たり、地方の整理も進む必要がある。会社は過去に計画を外してきており、確率は低く置いた。
やや楽観 18% 利益率が2010年代並みに戻る 利益 25 億円 · PER 14.7 倍 · 株価時価総額 1,619 円423 億円
客数は10年で横ばいに戻り、客単価は物価並みに上がる。外販は1.8倍に伸びる。人件費の上昇は値上げで吸収できる。新業態も都市部で根づき、不採算店の整理も進む。営業利益率は4.8%まで戻る。過去の山(6%)と今の底(1.5%)の中間だ。余った現金は、増配と自社株買いで少しずつ株主に戻る。自己資本利益率は10%に近づき、資本コストをわずかに上回る。堅実な回復だが、突き抜けるほどの力はない。還元には、株主優待の受け取り(費用ベース年3億円×10年×1.0=30億円)も足した。優待の費用は利益から引き済み。
- 直営店(RF1・グリーン・グルメ・神戸コロッケほか):数量 37.9(年間の購入客数(百万人、推定))× 価格 1,781(客単価(円、推定。名目))→ 売上 675 億円・営業利益 31 億円。営業利益率4.6%
- 外販(卸)・通販ほか:数量 16.2(販売数量(百万点、推定))× 価格 274(1点あたりの出荷額(円、推定。名目))→ 売上 44 億円・営業利益 3 億円。営業利益率7.0%
倍率:事業の純利益 24 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.7% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 8.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.7 倍 + 余った現金(戻り方込み)70 億円。全体の PER 14.7 倍、時価総額 423 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:客数が持ち直し、外販が伸びる穏やかな回復。中期目標には届かないが、2022〜24年の利益率を上回る。確度は中程度。
中立 38% 利益率は一部だけ戻り、客数は緩やかに減る 利益 17 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 1,095 円286 億円
客数は人口減と地方の縮小で、10年で1割弱減る。客単価は物価並みに上がるが、売上の伸びは年2〜3%にとどまる。外販は1.6倍に伸びるが、全体の中では小さい。営業利益率は、2022〜24年の平均に近い3.5%まで戻る。過去の山(6%)には届かない。余った現金は、配当と優待で薄く戻る程度だ。自己資本は大きく変わらず、自己資本利益率は7%台にとどまる。資本コストを下回るため、倍率は上がらない。看板は残るが、稼ぐ力は物価の分しか伸びない。還元には、株主優待の受け取り(費用ベース年3億円×10年×1.0=30億円)も足した。優待の費用は利益から引き済み。
- 直営店(RF1・グリーン・グルメ・神戸コロッケほか):数量 35.3(年間の購入客数(百万人、推定))× 価格 1,742(客単価(円、推定。名目))→ 売上 615 億円・営業利益 21 億円。営業利益率3.4%
- 外販(卸)・通販ほか:数量 14.4(販売数量(百万点、推定))× 価格 268(1点あたりの出荷額(円、推定。名目))→ 売上 39 億円・営業利益 2 億円。営業利益率5.0%
倍率:事業の純利益 16 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.4% が k 7.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)70 億円。全体の PER 13.33 倍、時価総額 286 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:今期予想の低い利益率から、2022〜24年の平均に近い水準まで戻る筋書き。客数の減少が続く一方で、外販が補う。最も確度が高い。
やや悲観 27% 利益率が低いまま、客数が細る 利益 8 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 434 円113 億円
客数は10年で15%減る。地方・郊外の店が縮み、百貨店の力も弱まる。客単価は物価の伸びをやや下回る。人件費は上がり続け、値上げでは吸収しきれない。外販は伸びるが、利益の柱にはならない。営業利益率は1.6%と、今の水準にとどまる。店の整理で固定費を減らすものの、効果は限られる。余った現金は、赤字を避けるために一部が使われる。優良さは薄れるが、財務が厚いため事業は続く。看板を生かした値上げの余地は小さく、新業態の広がりも限られる。経営は守りに回り、成長への投資は後ろに回る。還元には、株主優待の受け取り(費用ベース年3億円×10年×0.75=22.5億円)も足した。優待の費用は利益から引き済み。
- 直営店(RF1・グリーン・グルメ・神戸コロッケほか):数量 32.2(年間の購入客数(百万人、推定))× 価格 1,690(客単価(円、推定。名目))→ 売上 544 億円・営業利益 8 億円。営業利益率1.5%
- 外販(卸)・通販ほか:数量 10.8(販売数量(百万点、推定))× 価格 260(1点あたりの出荷額(円、推定。名目))→ 売上 28 億円・営業利益 1 億円。営業利益率3.0%
倍率:自己資本利益率3.4%が資本コスト7.5%を大きく下回る。倍率の上限(12.5倍)をそのまま使わず、約7割の9倍に置いた。純利益が薄く、現金の利息に頼る形のため。余った現金は今の額の0.75倍(谷で食う)を足した。
確率:今期予想の低い利益率が長く続く筋書き。人件費の上昇と客数の減少が重なる。会社が過去に計画を外してきた実績を踏まえ、強気側より厚く置いた。
悲観 11% 客数の減少が止まらず、店の赤字が続く 利益 −3 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 383 円100 億円
客数は10年で3割近く減る。節約志向が定着し、安い惣菜に客が流れる。客単価は物価の伸びを大きく下回る。人件費と家賃は下がらず、店の損益は赤字になる。経営は店舗の大規模な閉鎖に踏み切り、減損と閉店の費用が重なる。外販を伸ばしても、赤字を埋められない。配当は半分以下に減らす。現金は赤字と閉店の費用で目減りする。それでも看板と純現金は残り、床の価値は売れる資産と現金が支える。創業家に近い株主と取引先が残るため、買収による再建は起きにくい。縮んだ会社として、細々と続く10年になる。還元には、株主優待の受け取り(費用ベース年3億円×10年×0.5=15億円)も足した。優待の費用は利益から引き済み。
- 直営店(RF1・グリーン・グルメ・神戸コロッケほか):数量 27.3(年間の購入客数(百万人、推定))× 価格 1,560(客単価(円、推定。名目))→ 売上 426 億円・営業利益 −4 億円。営業利益率-1.0%
- 外販(卸)・通販ほか:数量 7.2(販売数量(百万点、推定))× 価格 240(1点あたりの出荷額(円、推定。名目))→ 売上 17 億円・営業利益 0 億円。営業利益率0.0%
倍率:赤字のためPERは使わない。床は純現金と売れる資産で見る。閉店と赤字で目減りした現金約60億円に、店・工場・設備の売却価値約40億円(簿価の約4割)を足し、税後で約100億円。今の自己資本286.1億円に掛けて約0.35倍とした。
確率:節約志向の定着と人件費の上昇が続き、店の損益が崩れる筋書き。財務が厚いため、倒産ではなく縮小の姿とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
直営店(RF1・グリーン・グルメ・神戸コロッケほか)
百貨店・駅ビル・商業施設の直営の惣菜店。2026年4月期末でRF1が137店、グリーン・グルメが70店。
| 数量年間の購入客数(百万人、推定) | 価格客単価(円、推定。名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 37.9 | 1,300 | 493 | 7 |
| 10 年後 中立 | 35.3 | 1,742 | 615 | 21 |
取り方:店舗の売上493億円を、年間の購入客数約3,800万人と客単価千三百円前後に分けた(推定。開示なし)。客数は人口減と地方・郊外の縮小で中立10年0.93倍、客単価は物価並みに上がる1.34倍。都市部は堅調で、地方・郊外が落ちる。競合はスーパー・コンビニの惣菜と、百貨店内の他社の惣菜。利益は開示がなく、全社の営業利益7.8億円のうち外販の0.8億円を除いて置いた。
外販(卸)・通販ほか
神戸コロッケなどの外販(卸)、通販、海外の小さな店。会社が伸ばしたい分野。
| 数量販売数量(百万点、推定) | 価格1点あたりの出荷額(円、推定。名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 9.0 | 200 | 18 | 1 |
| 10 年後 中立 | 14.4 | 268 | 39 | 2 |
取り方:外販(卸)・通販ほかの売上約18億円を、年900万点と1点あたり二百円前後に分けた(推定。外販の通期売上は約9億円で、残りは通販・海外など)。数量は新規の売り先の開拓で中立10年1.6倍、価格は物価並みの1.34倍。直近の第3四半期は外販が前年比1割以上伸びた。利益は開示がなく、全社の利益率より少し高く置いた。
リスクと懸念
客数の減少と節約志向
2025年2月以降、米をはじめ食料品の値上がりで消費者が節約に動き、来店客数が急に減った。高級路線の惣菜は、節約の時に真っ先に削られやすい。客数が戻らなければ、人件費と家賃を賄えず、利益率はさらに下がる。
人件費と包装資材の上昇
人手不足で販売員と調理の給与を上げざるを得ず、若手中心に給与体系も見直した。包装資材も値上がりしている。これらを客単価に転嫁できる範囲は限られ、転嫁しすぎれば客数が減る。
百貨店と地方の売り場の縮小
出店先の百貨店は、地方を中心に閉店や縮小が続く。売り場の力が落ちれば、店の客数も落ちる。都市部の駅ビルに軸足を移す戦略は、出店費用と競合の多さがネックになる。
中期目標の未達
会社は2028年4月期に営業利益28億円を掲げるが、今期予想は5億円台だ。2026年4月期も、期初の営業利益14億円に対し、実績は7.8億円にとどまった。過去の計画の外れ方を考えると、目標の達成には大きな割り引きが要る。
家賃の固定費化
店の家賃は、売上連動の部分もあるが、固定の約束も残る。新リース会計基準で2028年4月期から借りている店の約束が貸借対照表に載り、数字の見かけが変わる。客数が落ちると、固定の家賃が利益を直撃する。
現金の使い道とガバナンス
純現金は125億円と厚いが、稼ぎは小さく、自己資本利益率は0.3%。創業家に近い株主、取引先持株会、金融機関が上位に並び、経営に資本効率を迫る力は弱い。現金が株主に戻らなければ、価値は積み上がらない。
今後の分かれ目
- 来店客数が前年比でプラスに戻り、3四半期以上続いたら
- 中立の客数(10年で0.93倍)を引き上げ、やや楽観に重みを移す。
- 営業利益率が3%を超え、2期連続で改善したら
- 利益率の回復を認め、中立を上方に見直す。
- 地方・郊外の不採算店の大規模な閉鎖と、減損の計上が発表されたら
- 短期は特別損失で下がるが、利益率の改善につながるかを確かめ、筋書きを見直す。
- 増配、自社株買い、または資本効率の目標(ROE 6%以上)に向けた具体策が出たら
- 余った現金の戻り方と自己資本の膨らみを見直し、自己資本利益率の予想を上げる。
- 外販(卸)の売上が2倍近くになり、店舗の外に利益の柱が育ったら
- 外販の数量と利益率を上方に直し、やや楽観・楽観に重みを移す。
- 創業家に近い株主や取引先が、保有株を大量に手放したら
- 買収や再編の可能性が高まる。確率を見直す。
見ておくもの
- 四半期ごとの来店客数と客単価、既存店の売上
- 営業利益率と人件費率、包装資材の値上がり
- 外販(卸)・通販の売上と利益
- 店舗の出退店(都市部の新業態、地方の閉店)と減損
- 配当・自社株買いの方針、純現金の推移
倍率と資本コストの決め方
店の客数×客単価に分け、客単価は物価並みに上げ、客数は人口減と地方の縮小を見て1割弱減らした。利益率は、過去の山より低い3%台半ばに置いた。中立の自己資本利益率は7%台で、資本コストの8.0%を下回るため、倍率の上限は資本コストの逆数の12.5倍になる。そこから9割弱の11倍に置いた。今の株価に合わせて動かしてはいない。現金のうち70億円は事業に要らないと見て、別に足した。店の家賃は、新リース会計基準で2028年4月期から貸借対照表に載るが、この分析は家賃を費用に入れた今の形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13.5→15.9 倍・やや楽観 PER 12.3→14.7 倍・中立 PER 11→13.33 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にqualityの+0.5%を足して8.0%。借金はなく事業も傾いていないので上乗せ(extra)は置かない。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 7.50%。