結論
マルタイは、福岡を拠点に棒ラーメンと皿うどん、カップめんを作る即席麺メーカーだ。細い乾燥麺とスープを組み合わせた棒ラーメンは九州発の定番で、売上の4割を占める。西部ガスホールディングスが33.6%、サンヨー食品が21.2%を持つ「その他の関係会社」だが、親会社はない。
2026年3月期は売上96億円、営業利益5.5億円。看板の棒ラーメンは8%増えたが、酷暑でカップめんが落ち、営業利益は13%減った。営業利益率は5.8%だ。
筆者の結論は「割高」だ。理由は、安定した事業の割に稼ぎが小さい点にある。純利益は4億円台で、時価総額83億円は純利益の20倍に近い。純現金17億円と保有株を差し引いても、10年の稼ぎでは見合わない。
棒ラーメンの伸びは本物だが、利益率の低いカップめんと、運搬費の重さが全体を押し下げる。佐賀工場に21億円を投じる新設備が、次の分かれ目になる。
小さな会社の看板商品に集中する戦略は筋が通っている。ただ、利益に変わるまでの道のりは長いと筆者は見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で見ると、マルタイは「堅実だが、小さくて薄利の会社」だ。棒ラーメンという名の通った商品があり、財務は厚い。経営が危うい心配は小さい。
ただ、オーナー利益、つまり株主のものになる利益は小さい。純利益は4億円台で、佐賀工場の投資が償却を上回る間は、現金として残る額はさらに減る。自己資本104億円に対し、ROEは4%。ためた利益が額面どおりの価値を持たない。
大株主の西部ガスとサンヨー食品が過半を持ち、少数株主の取り分は限られる。両社と業務で結びつく利点はあるが、資本の使い道を決めるのは大株主だ。
時価総額は自己資本の8割で、一見、割安に見える。しかし稼ぎが小さい会社の資産は、額面で評価できない。筆者は、10年の稼ぎに比べて値段が高いと考える。
大株主の意向と少数株主の利益が重なる限り、事業は続く。
何で稼ぐ会社か
売上の柱は三つある。棒ラーメンが37億円で38.5%、カップめんが31億円で32.5%、皿うどんが24億円で25.3%だ。ほかに袋めんがある。棒ラーメンは、日持ちが良く場所を取らない点が受け、ふるさと土産や災害の備蓄にも広がった。
工場は福岡と佐賀にある。2026年3月から、佐賀工場の棒ラーメン製造設備に総額21億円をかける工事が始まり、2027年7月に完成する予定だ。伸びる商品に先に投資する判断で、償却が利益率を押し下げる点は覚悟している。
運搬費の負担が重い。2026年3月期は運搬費が8.7億円と、売上の約9%を占めた。麺は軽いが体積が大きく、物流費の上昇が利益を削る。
従業員は179名。2026年6月には、西部ガス出身の末次隆氏が社長に就く予定だ。大株主の西部ガスから経営陣が入る形になる。
2027年3月期の会社計画は、売上96億円、営業利益5.6億円と、ほぼ横ばいだ。
取引先は九州の量販店や全国のスーパー、コンビニで、OEMの受託先は大手の食品会社だ。
お土産としての需要も根強く、観光客の増減が売上に影響する。
優良さと弱いところ
強みは、棒ラーメンというジャンルをほぼ一手に担ってきた点だ。九州での知名度は高く、全国のスーパーで棚を持つ。西部ガスとサンヨー食品という大株主の存在も、販売先と技術の面で支えになる。
弱みは、規模の小ささと、大手との差だ。カップめんは日清食品や東洋水産が圧倒的で、マルタイは他社ブランドの受託製造も受ける。値段を自分で決める力は、棒ラーメン以外では弱い。
営業利益率は過去12年で3〜10%の幅で動き、コロナ下の2021年3月期だけが10.5%だった。ふだんは5〜6%だ。ROEも中央値で5%前後と、資本コストに届かない。
財務は厚い。自己資本比率は75%で、純現金が17億円ある。上場株式の保有もあり、簿価は11億円ほどだ。ただ、主要株主が筆頭株主と二位を占めるため、現金の使い道は少数株主の意向と一致しないことがある。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の即席麺は成熟市場だ。総需要は年1%前後縮み、人口減がそれを後押しする。ただ、小売金額は値上げで過去最高を更新し、日清食品と東洋水産が大半のシェアを持つ。棒ラーメンはその隙間にある小さな市場だ。
棒ラーメンは、保存性の良さと一人分ずつの調理のしやすさから、単身世帯や災害備蓄で需要がある。マルタイの看板商品は全国の量販店で売られ、ここ数年は二けたに近い伸びを見せた。ただ、市場そのものが小さく、競合の大手が参入すれば価格で押される可能性がある。
原料の小麦・油脂・パーム油は為替と市況で動き、2026年も値上げが相次いだ。値上げは受け入れられやすいが、頻度が増えれば量が逃げる。
運搬費と人件費の上昇も重い。物流の2024年問題以降、運賃は高止まりしている。
カップめんは夏の酷暑で売れ行きが落ちる。皿うどんは九州の地場商品で、全国への展開は限られる。
人口減と物価高で、消費者は1食あたりの値段に敏感だ。プライベートブランドの即席麺も棚を広げており、メーカーの値決めは年々難しくなっている。
棒ラーメンのような乾麺は、湯を注ぐだけの商品より調理に手間がかかるが、その手間が売りにもなる。
資本政策と M&A
還元は安定を重んじる。2026年3月期の配当性向は22.5%で、年2回の配当を基本にする。純利益の1〜3割を配当に回し、残りは設備と内部留保に回している。自社株買いの実績は確認できなかった。
株主優待は、100株以上の株主に自社製品の詰め合わせを贈る。100株で5種、200株で6種、1,000株で10種だ。株主数と費用は開示を確認できなかったため、株主数を3,000人、1人あたり原価を千円強と置くと、費用は年0.4億円ほどになる。10年の還元に、中立で3.6億円を足した。
西部ガスHDが33.6%、サンヨー食品が21.2%を持つ。2社が過半を占めるため、余った現金は少数株主に戻りにくい。ただ、今は佐賀工場に21億円を投じる局面で、余った現金はない。
政策保有株は、ふくおかフィナンシャルグループ、メディパルHD、アリアケジャパンなど。TOBの可能性は試算で10年以内に22%だが、価値には足していない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
棒ラーメンはまだ伸びる。2026年3月期は8%増で、佐賀工場の新設備が完成すれば供給力が上がる。全国の量販店と海外に広がれば、市場は想像以上に大きい。災害備蓄の需要も、保存性の良さが追い風になる。
看板商品の利益率は他の品目より高く、構成比が上がるほど全体の利益率も上がる。売上の4割が5割に近づけば、営業利益率は7%台も見える。
財務は厚く、純現金と保有株が下支えする。西部ガスとサンヨー食品という大株主は、販売先と技術の面で支える。
カップめんの不振は酷暑による一時的なもので、OEMの減少も一巡すれば回復する。値上げが受け入れられやすい環境で、棒ラーメンの単価も物価並みに上がる。
経営陣の交代で、資本政策が株主向けに変わる可能性もある。
災害への備えを重んじる国内の動きも、保存食の需要を押し上げる。
経営陣の交代は、資本の使い方を見直す契機になる。
九州の地場ブランドとしての信頼は、新規参入が簡単にまねできない。
慎重な見方
全体の利益率は5.8%と薄い。2026年3月期は営業利益が13%減り、2027年3月期の計画も横ばいにとどまる。棒ラーメンが伸びても、カップめんと皿うどんの縮みを埋めきれない。
運搬費は売上の9%を占め、物流費は上がり続ける。新しい佐賀工場の償却も加わり、利益率は押し下げられる。値上げが通りにくい年は、利益が簡単に消える。
棒ラーメンの市場は小さく、日清食品など大手が参入すれば価格競争になる。地場ブランドの強さにも限りがある。
西部ガスとサンヨー食品が過半を持つため、余った現金は少数株主に戻りにくい。ROEは4%前後と長く低く、資産が厚いことは価値を増やしていない。
時価総額は純利益の20倍に近く、10年先まで見ても、この値段は先取りしすぎている。
佐賀工場への投資は、需要が読み違えれば重い負担になる。
小さな会社が21億円を回収するには、10年近くかかる。
西部ガス出身の新社長のもとで、事業の拡大が優先され、利益率の改善が後回しになる恐れもある。
どちらに重みを置いたか
棒ラーメンの強さと財務の厚みは強気の見方が正しいが、全体の薄利と大株主の存在、設備投資の負担は慎重な見方が勝る。そこで中立を40%、やや悲観を25%に置いた。
結果として、10年の価値は今の時価総額の半分に届かない。割高の最大の理由は、利益に対して今の値段が高いことだ。
ただ、棒ラーメンが想定以上に伸びれば上振れもあるため、楽観側にも一定の確率を残した。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 3,063 円59 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 798 円15 億円)。 今の値に割り戻すと 1,962 円37 億円、今との差 −55.0%、 期待の年率 −1.2%(資本コスト 8.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 4,972 円95 億円 | 1,151 円22 億円 | +40.4% | +3.5% | 429 円8 億円 |
| やや楽観 | 22% | 3,862 円74 億円 | 942 円18 億円 | +10.2% | +1.0% | 1,057 円20 億円 |
| 中立 | 40% | 3,240 円62 億円 | 942 円18 億円 | −4.1% | −0.4% | 1,673 円32 億円 |
| やや悲観 | 25% | 1,909 円36 億円 | 471 円9 億円 | −45.4% | −5.9% | 595 円11 億円 |
| 悲観 | 6% | 1,539 円29 億円 | 262 円5 億円 | −58.7% | −8.5% | 108 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,063 円59 億円 | 798 円15 億円 | −11.4% | −1.2% | 3,861 円74 億円 |
今の株価時価総額 4,360 円83 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 7% 楽観:棒ラーメンが全国に広がり、利益率は9%近く 利益 8 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 4,972 円95 億円
棒ラーメンが全国と海外に広がり、数量は実質で24%増える。佐賀工場の新設備が供給力を支え、値上げも物価を少し上回って通る。
看板商品の比率が上がり、全体の営業利益率は9%近くに乗る。皿うどんとカップめんは縮むが、棒ラーメンの利益が上回る。
配当性向は3割台に上がり、優待も続く。自己資本は150億円近くまで積み上がるが、ROEは資本コストにまだ届かない。
大株主との連携が進み、販売先も広がる。
価格競争に巻き込まれず、指名買いの力が価格に反映される筋書きだ。
海外の日本食ブームも追い風になり、輸出が積み上がる。
- 棒ラーメン:数量 5,700(出荷食数(万食。売上÷1食あたり売上の推定))× 価格 0.01(1万食あたりの売上(億円、名目))→ 売上 64 億円・営業利益 6 億円。棒ラーメン 5,700万食 × 物価を少し上回る単価、営業利益率10%
- 皿うどん・袋めん・その他:数量 2,400(出荷食数(万食。推定))× 価格 0.02(1万食あたりの売上(億円、名目))→ 売上 37 億円・営業利益 2 億円。皿うどん・袋めん 2,400万食 × 1.52、6.5%
- カップめん:数量 3,000(出荷食数(万食。推定))× 価格 0.01(1万食あたりの売上(億円、名目))→ 売上 41 億円・営業利益 2 億円。カップめん 3,000万食 × 1.36、4.5%
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.2% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 95 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:棒ラーメンが全国と海外に広がり、値上げも通る筋書き。地方のメーカーで1割に届かない。
やや楽観 22% やや楽観:棒ラーメンの伸びが続き、利益率は6%台後半 利益 6 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 3,862 円74 億円
棒ラーメンの伸びが続き、数量は実質で13%増える。佐賀工場の新設備が稼働し、供給力が上がる。値上げは物価並みに通る。
営業利益率は7%近くに乗る。皿うどんは地場の需要で横ばいに近く、カップめんの縮みも小さい。
配当は少しずつ増え、優待も続く。設備の更新費は建築費・機械価格の上昇で膨らみ、償却を超える分は現金が出る。
自己資本は140億円ほどになる。
特別な追い風は置かず、看板商品の伸びと設備の稼働だけで届く範囲の筋書きだ。
運搬費の上昇は値上げで吸収する。
全国の量販店での棚の確保が進み、棒ラーメンの売り場が増える。
- 棒ラーメン:数量 5,200(出荷食数(万食。売上÷1食あたり売上の推定))× 価格 0.01(1万食あたりの売上(億円、名目))→ 売上 56 億円・営業利益 5 億円。棒ラーメン 5,200万食 × 物価1.34倍、営業利益率9%
- 皿うどん・袋めん・その他:数量 2,400(出荷食数(万食。推定))× 価格 0.01(1万食あたりの売上(億円、名目))→ 売上 35 億円・営業利益 2 億円。皿うどん・袋めん 2,400万食、6%
- カップめん:数量 2,900(出荷食数(万食。推定))× 価格 0.01(1万食あたりの売上(億円、名目))→ 売上 39 億円・営業利益 1 億円。カップめん 2,900万食、3.5%
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.2% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 74 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:棒ラーメンの伸びが続き、佐賀工場の新設備が利益率を支える筋書き。
中立 40% 中立:棒ラーメンは増え、他は縮む。利益率は5%台 利益 5 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 3,240 円62 億円
棒ラーメンは実質で5%増え、皿うどんは地場の人口減で1割強縮み、カップめんもOEMの減少で1割縮む。値上げは物価並み(1.34倍)で通る。
営業利益率は5%台。過去12年の中央値に近く、コロナ下の山は超えない。運搬費の上昇と佐賀工場の償却が、棒ラーメンの増益を一部打ち消す。
減価償却は、今ある設備では取得時の値段のまま。佐賀工場の新設備(21億円)の償却が加わり、更新の投資は物価で膨らむ。
配当は性向を保って小幅に増え、優待は年0.4億円で続く。自己資本は130億円台に増える。
新しい社長の下でも、事業の方向は大きく変わらない前提だ。
特別な追い風も逆風も置かない、いちばん普通の筋書きだ。
- 棒ラーメン:数量 4,830(出荷食数(万食。売上÷1食あたり売上の推定))× 価格 0.01(1万食あたりの売上(億円、名目))→ 売上 52 億円・営業利益 4 億円。棒ラーメン 4,830万食(5%増)× 物価1.34倍、営業利益率8.5%
- 皿うどん・袋めん・その他:数量 2,224(出荷食数(万食。推定))× 価格 0.01(1万食あたりの売上(億円、名目))→ 売上 33 億円・営業利益 2 億円。皿うどん・袋めん 2,224万食(12%減)× 物価1.34倍、5.5%
- カップめん:数量 2,790(出荷食数(万食。推定))× 価格 0.01(1万食あたりの売上(億円、名目))→ 売上 36 億円・営業利益 1 億円。カップめん 2,790万食(10%減)× 1.30倍、3%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.7% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 62 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:棒ラーメンが伸びるが、皿うどんとカップめんが縮む普通の筋書き。
やや悲観 25% やや悲観:運賃と原料高で利益率は3%台 利益 3 億円 · PER 11.0 倍 · 株価時価総額 1,909 円36 億円
運賃と原料の上昇に値上げが追いつかず、価格は物価に届かない。小売の値下げ圧力も強まり、数量は実質で棒ラーメンが4%縮み、他も2割近く縮む。
営業利益率は3%台に下がる。佐賀工場の償却が重く、運搬費も重い。
配当は据え置きに近く、優待は縮小する。借入に頼る局面では、利払いが3.5%で積み上がる。
自己資本は130億円近くにとどまり、ROEは2%台に落ちる。大株主の方針が変わらなければ、現金も内部にたまる。
カップめんの受託が戻らず、工場の稼働率が下がる。
新設備の償却が重くのしかかる。
人件費の上昇も重く、賃上げが利益を削る。
- 棒ラーメン:数量 4,400(出荷食数(万食。売上÷1食あたり売上の推定))× 価格 0.01(1万食あたりの売上(億円、名目))→ 売上 42 億円・営業利益 3 億円。棒ラーメン 4,400万食 × 値上げが物価に届かない、営業利益率7%
- 皿うどん・袋めん・その他:数量 2,000(出荷食数(万食。推定))× 価格 0.01(1万食あたりの売上(億円、名目))→ 売上 25 億円・営業利益 1 億円。皿うどん・袋めん 2,000万食、4%
- カップめん:数量 2,400(出荷食数(万食。推定))× 価格 0.01(1万食あたりの売上(億円、名目))→ 売上 26 億円・営業利益 1 億円。カップめん 2,400万食、2%
倍率:ROE 約2%で k を下回る。上限 13.3 倍の約8.3割で、中立と同じ11倍に置いた(稼ぎが薄く、資産の厚みが支える筋書きのため)。
確率:運賃と原料の上昇に値上げが追いつかず、小売の値下げ圧力も強まる筋書き。
悲観 6% 悲観:大手に押され、赤字 利益 −2 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 1,539 円29 億円
大手が棒ラーメンに本格参入し、棚を奪われる。数量は実質で2割から4割減り、値上げは通らない。
佐賀工場の新設備の稼働率が上がらず、償却と運搬費が重くのしかかる。営業赤字に転落し、減損が出て自己資本は95億円に減る。
配当は縮み、優待は廃止される。価値は稼ぐ力でなく、純現金・保有株・工場の売却値に頼る。
清算されない限り、少数株主は現金の使い方を決められず、株価は純資産を下回ったまま買い手が付かない。
人員の削減と工場の統合を急ぐが、売上の減少に追いつかない。
地場の需要も縮み、地域の販売網も維持できなくなる。
- 棒ラーメン:数量 3,600(出荷食数(万食。売上÷1食あたり売上の推定))× 価格 0.01(1万食あたりの売上(億円、名目))→ 売上 31 億円・営業利益 0 億円。棒ラーメン 3,600万食、営業利益率-1%
- 皿うどん・袋めん・その他:数量 1,500(出荷食数(万食。推定))× 価格 0.01(1万食あたりの売上(億円、名目))→ 売上 17 億円・営業利益 −1 億円。皿うどん・袋めん 1,500万食、-3%
- カップめん:数量 1,800(出荷食数(万食。推定))× 価格 0.01(1万食あたりの売上(億円、名目))→ 売上 17 億円・営業利益 −1 億円。カップめん 1,800万食、-4%
倍率:稼ぐ力がほぼ無いので、床は今の自己資本104億円に掛ける。工場・保有株・現金の売却価値を勘案して0.31倍。中立の PBR(約0.5倍)より低い。
確率:大手に棚を奪われ、地場の需要も縮む構造的な負け。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
棒ラーメン
乾燥させた棒状の麺とスープのセット。九州発の看板商品で、全国と海外に販路を広げている。
| 数量出荷食数(万食。売上÷1食あたり売上の推定) | 価格1万食あたりの売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 4,600 | 0.01 | 37 | 3 |
| 10 年後 中立 | 4,830 | 0.01 | 52 | 4 |
取り方:棒ラーメンの売上36.75億円を、1食あたり約0.8百円(小売価格から卸の取り分を引いた推定)で割り、4,600万食と置いた。食数は開示されていない。営業利益は全社5.5億円を製品別に開示しないため、利益率を推定で配分した。
皿うどん・袋めん・その他
長崎の皿うどん(揚げ麺)を中心に、袋めんなどを売る。
| 数量出荷食数(万食。推定) | 価格1万食あたりの売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2,527 | 0.01 | 28 | 2 |
| 10 年後 中立 | 2,224 | 0.01 | 33 | 2 |
取り方:皿うどん24.2億円・袋めん3.3億円・その他0.3億円の合計27.8億円を、1食約1.1百円で割り2,527万食と置いた推定。営業利益は利益率を推定で配分した。
カップめん
自社ブランドとOEM(他社ブランドの受託製造)のカップめん。
| 数量出荷食数(万食。推定) | 価格1万食あたりの売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3,100 | 0.01 | 31 | 1 |
| 10 年後 中立 | 2,790 | 0.01 | 36 | 1 |
取り方:カップめんの売上31.0億円を、1食約1.0百円で割り3,100万食と置いた推定。夏場の酷暑とOEMの減少で5.5%減った。営業利益は利益率を推定で配分した。
リスクと懸念
薄い利益率
営業利益率は5.8%。運搬費や原料が少し上がるだけで、利益が大きく削られる。2026年3月期は営業利益が13%減った。
佐賀工場の投資回収
総額21億円の新設備が2027年7月に完成する。稼働率が上がらなければ、償却が利益を圧迫する。
運搬費の上昇
運搬費は売上の約9%。物流の2024年問題以降、運賃は高止まりしている。
大手の参入
棒ラーメンは市場が小さい。日清食品など大手が本格参入すれば、価格で押される。
大株主の存在
西部ガスHDが33.6%、サンヨー食品が21.2%を持つ。余った現金や資本政策は大株主の意向に左右される。
夏の酷暑とOEMの減少
カップめんは酷暑で売れ行きが落ち、受託製造の減少も重なった。年によって利益が振れる。
今後の分かれ目
- 棒ラーメンの売上比率が5割を超えたら
- 利益率が構造的に上がる。やや楽観に確率を寄せてよい。
- 運搬費が売上の10%を超えて上がり続けたら
- やや悲観の確率を上げる。
- 佐賀工場の新設備が計画どおり稼働し、償却を吸収したら
- 供給力が上がり、数量の上振れ要因になる。
- 西部ガスHDやサンヨー食品が出資比率を引き上げたら
- TOBやプレミアムの可能性が出る。条件次第で価値は大きく動く。
- 新社長の下で配当性向の引き上げが示されたら
- 還元が増える。倍率を上げる材料になる。
見ておくもの
- 棒ラーメンの売上と構成比
- 営業利益率(5%台の維持)
- 運搬費の対売上比率
- 佐賀工場の稼働時期と償却
- 西部ガスHD・サンヨー食品の持株比率の変化
倍率と資本コストの決め方
倍率は ROE が k 8%を下回る筋書きが中心なので、上限 1÷k(13.3倍)の8〜9割に置いた。今の株価(PER 約20倍・PBR 約0.8倍)や同業の倍率は根拠にしていない。営業利益率は過去12年の中央値に近い5%台を中立とし、コロナ下の10.5%は山として扱った。減価償却は物価で増やさず、佐賀工場の新設備の償却を足している。新リース会計基準の影響は小さく、今の形で揃えた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:やや楽観 PER 11.5→12.5 倍・中立 PER 11→12.5 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。