結論
岩塚製菓は、新潟を本拠とする米菓、つまりおせんべいやあられの老舗だ。筆者の結論は、割高である。いちばんの理由は、利益の質だ。稼ぎの大半は、お菓子を売って得たものではなく、持ち株の配当で得たものだからだ。
2026年3月期の売上は288億円だが、営業利益は9億円にとどまる。一方、純利益は20億円ある。差を埋めたのは、香港に上場する旺旺(Want Want China Holdings)の株6億株余りからの配当18億円だ。この配当は前期の28億円から3割以上減った。
今期の会社予想は、売上306億円に対し営業利益3億円。米価の高止まりと、もち米の調達難が重くのしかかる。第1四半期の営業利益は0.4億円だった。本業は、10年前から3%以下の利益率に張りついている。
自己資本は698億円と、時価総額の2.3倍ある。ただ、その大半は旺旺株などの持ち株だ。筆者は、この持ち株を、売らないままの資産と見る。配当を利益に数えるなら、同じ株の時価を価値に足せば二重になる。中立で純利益27億円、ROE3%台と見ると、価値は今の時価総額の半分に届かない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、岩塚製菓は「持ち株会社に近い米菓会社」に映る。
本業の米菓は、手がたい地力はあるが稼ぐ力が弱い。国内の需要は縮み、原料の米は高止まりし、営業利益率は3%以下に張りついている。経営が資本を上手に使っているとは言い難い。
一方、旺旺の株は、目を引く資産だ。時価はおよそ数百億円で、時価総額に迫る。配当も、前期に18億円あった。ただ、この配当は岩塚の経営で生まれたものではなく、旺旺の経営次第で増減する。岩塚の経営陣が、この株を売って資本に戻す姿勢は、数字に表れていない。
本質価値は、10年後に株主の手元に残る利益で測る。筆者は、10年後の中立の純利益を27億円ほどと見る。配当の力が中心で、本業の営業利益は12億円にとどまる。ROEは3%台で、資本コストに届かない。
安全域は、持ち株の厚さにある。ただし、売られない資産は、少数株主には届かない。筆者は、持ち株の価値を、時価の半分ほどにしか見ない。この割引がなければ、今の値段は割安に見えるだろう。
何で稼ぐ会社か
岩塚製菓の稼ぎ方は、米を原料にした菓子を作って売ることだ。もち米やうるち米を使ったおせんべい、あられ、餅菓子が中心で、国産米100%を使う製品も多い。看板は「味しらべ」などで、スーパーやコンビニに並ぶ袋菓子が売上の大半を占める。
2026年3月期の売上は288億円で、前期比15.6%増えた。主力の米菓の販売が伸び、テレビ広告にも力を入れた。もう一つの伸びは、関連会社の旺旺・ジャパンを通じた輸入品だ。この関連会社は岩塚が40%を持つ持分法適用会社で、役員も4人が兼ねている。
生産は新潟県長岡市に3つの工場と研究施設、北海道千歳市に1つの工場がある。北海道では、米菓の道内シェア1位を30年以上保つという。従業員は連結で844人、設備投資は26億円で、来期は17億円を計画している。
事業はひとつ。報告上のセグメントは菓子事業だけで、利益率の開示はない。ただ、営業利益率が3%前後と低いことは、費用の重さと原料の高さを映している。
もう一つの収益源が、旺旺との関係だ。岩塚は自社で培ったおせんべいの技術を旺旺に伝えたとされ、旺旺の株を6億株以上持つ。この株の配当が、本業を上回る利益を生んでいる。
優良さと弱いところ
岩塚の強みは、米菓の技術と、国産米にこだわった品質への信頼にある。北海道では米菓の首位を30年以上保ち、新潟の工場は地元の米の産地に近い。
弱みは三つある。第一に、本業の低い利益率だ。営業利益率は、過去10年でいちばん良い年でも3.3%にとどまり、直近の予想は1%まで下がる。国内の米菓は人口とともに縮み、亀田製菓や三幸製菓などの大手が棚と価格を握る。
第二に、原料の米だ。米価は高止まりし、もち米の調達が最も急ぎの課題とされている。値上げを進めるが、転嫁は遅れがちだ。
第三に、利益の源の偏りだ。純利益の大半が旺旺の配当で、その配当は1年で3割以上減った。旺旺の業績と為替に左右される利益は、会社が自分で動かせない。
資本効率は低い。ROEは過去10年の中央値が3.0%、直近は2.9%だ。自己資本比率は75%と厚いが、それは使われない資産が積み上がっていることでもある。経営の評価は、慎重に保つ。配当性向は16%と低く、持ち株を減らす方針も、2銘柄だけに限られている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
岩塚が属するのは、国内の米菓市場だ。米菓は、日本の人口とともに数量が緩やかに減る成熟した市場で、亀田製菓、三幸製菓、岩塚製菓などが主な担い手だ。
今起きているのは、原料の変化だ。米価は2025年から大きく上がり、高止まりしている。もち米の調達も細く、餅の製品の販売は原料不足に制約された。包装資材やエネルギーも中東情勢で上がっている。会社は価格改定を進めているが、改定の率は明らかにされていない。
業界全体では、菓子市場の小売規模は2025年に4兆円を超え、スナック菓子は6,000億円を超えた。ただ、米菓はその外にあり、数量は伸びていない。
米菓の大手はそれぞれ海外にも出ており、亀田製菓は2025年に米国のTH FOODSを買収した。岩塚は国内中心で、海外への展開は旺旺との関係を除けば限られる。
循環の位置は、原料高の山だ。米価が落ち着けば利益率は戻るが、10年で見て、数量の減少を価格で補い続けることになる。同じ領域の亀田製菓は営業利益率が6%と、岩塚の倍近い。
日本の米の消費量は長期で減り続けており、米菓の原料となる米の需給は、主食用の需給とも連動する。この点で、岩塚は農業政策の影響も受ける。
資本政策と M&A
株主還元は配当が中心だ。2026年3月期の配当性向は16%、来期の予想も25%ほどにとどまる。自社株買いは確認できない。純利益の8割以上が内部に残り、自己資本が積み上がる構造だ。
最大の特徴は、持ち株の厚さだ。上場株式は20銘柄、簿価は595億円で、自己資本の85%に当たる。最大は旺旺株で、第四北越フィナンシャルグループ、アクシアルリテイリング、キッツなどが続く。取締役会は、保有を続けると決め、2銘柄だけを将来減らす。今期は2銘柄を売り、代金は3億円ほどだった。
大株主は、個人が6.2%、第四北越銀行が5.0%、LEADING GUIDE HONG KONG LIMITEDが3.8%などだ。親会社はなく、支配株主もいない。第四北越銀行は、別の報告で8.6%を持つ。
買収の可能性は、kabufuの推定で10年内に2割ほどある。ただ、具体的な開示はなく、筆者は価値に織り込んでいない。
還元の置き方:10年の中立で、純利益の合計の4割ほどを配る。会社の方針に近く、残りの6割は自己資本に積み上がる。旺旺株などの持ち株は、売らない前提で、配当を利益に数える。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
岩塚製菓の時価総額は、自己資本698億円の半分以下だ。その自己資本の大半は、旺旺株を含む上場株595億円で、市場で自由に売れる資産だ。旺旺株だけでも時価は数百億円あり、税を引いても時価総額の大半に当たる。株価は、本業の価値をほとんどゼロと見ているに等しい。
本業は、悪い局面にいるだけだ。米価の高止まりともち米の不足は、いずれ解ける。値上げが定着すれば、営業利益率は3%台に戻る。売上は288億円と過去最高を更新し、第1四半期も連続で過去最高だった。テレビ広告と輸入品の拡大で、売上は伸びている。
旺旺の配当も、前期の落ち込みは一時的な可能性が高い。配当はここ数年、28億円まで増えた実績がある。経営陣は、保有株の見直しにも動き始めた。今期は2銘柄を売却し、さらに2銘柄を減らす方針を決めた。支配株主がいない会社で、持ち株の整理が進めば、資本効率は急に改善する。
さらに、岩塚は新潟の米どころに近く、国産米100%の製品を32品そろえる。原料の産地に近い強みは、米価が落ち着けば利益に表れる。
慎重な見方
岩塚は、お菓子の会社とは言えない利益構造だ。営業利益は9億円で、今期は3億円まで下がる計画だ。純利益の大半は、旺旺の配当に頼る。その配当は、1年で28億円から18億円に減った。旺旺の経営は岩塚が動かせず、中国の消費と為替の影響を受ける。
持ち株の価値を、株主は手にできない。配当性向は16%と低く、純利益の8割以上は内部に残る。資本効率の悪さは長年変わらず、ROEは過去10年の中央値が3%だ。経営陣は保有を続けると決め、減らすのは2銘柄だけだ。支配株主がおらず、少数株主の声が通りにくい構造でもある。
本業の悪化は構造的だ。国内の米菓は人口とともに縮み、大手との競争と原料高が続く。営業利益率は、過去10年で最高でも3.3%だ。売上の伸びも、関連会社経由の輸入品が押し上げており、利益率の低い取引の可能性がある。今期の会社予想が、それを示している。値上げが通らなければ、赤字も視野に入る。
加えて、設備投資が営業利益の3倍にもなっている。稼ぐ力が弱いのに設備に資金を投じる姿は、資本の使い方として疑問が残る。
どちらに重みを置いたか
強い方は慎重な見方だ。持ち株の厚さは認めるが、少数株主に届かない資産は、価値を割り引いて見るべきだ。確率は中立に3割強を置き、やや悲観と悲観に4割近くを寄せた。持ち株の整理や旺旺の配当の回復は、強気側に入れたが、確率は小さく抑えた。
なお、旺旺の配当を利益に数えているので、同じ株の時価を価値に足すことは、二重になるとして避けた。悲観の床では、売れる資産の半分だけを数えた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 2,615 円262 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 944 円95 億円)。 今の値に割り戻すと 1,819 円182 億円、今との差 −39.6%、 期待の年率 +1.7%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 5,171 円518 億円 | 1,299 円130 億円 | +114.9% | +8.0% | 518 円52 億円 |
| やや楽観 | 20% | 4,032 円404 億円 | 1,099 円110 億円 | +70.5% | +5.5% | 1,026 円103 億円 |
| 中立 | 34% | 3,233 円324 億円 | 999 円100 億円 | +40.6% | +3.5% | 1,439 円144 億円 |
| やや悲観 | 26% | 829 円83 億円 | 849 円85 億円 | −44.2% | −5.7% | 436 円44 億円 |
| 悲観 | 12% | 669 円67 億円 | 500 円50 億円 | −61.2% | −9.0% | 140 円14 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,615 円262 億円 | 944 円95 億円 | +18.3% | +1.7% | 3,560 円356 億円 |
今の株価時価総額 3,010 円301 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 8% 米価が落ち着き、値上げが定着し、旺旺の配当も戻る 利益 43 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 5,171 円518 億円
米価が落ち着き、もち米の調達も安定する。値上げが定着して、営業利益率は5%まで上がる。自社ブランドの米菓がスーパーとコンビニで棚を広げ、輸入品の取り扱いも売上の柱になる。
旺旺の配当は、過去の高い水準(28億円)を超えて増える。経営陣は、持ち株の整理も進め、売却益を配当や自社株買いに回す。配当性向は40%に近づく。
10年後の売上は460億円ほど、営業利益は23億円。純利益は40億円を超え、ROEは5%近くまで上がる。ここまで来れば、岩塚は米菓の会社として評価され、持ち株の価値も一部が株主に届く。亀田製菓などの大手との差も、利益率の面では縮まる。
- 菓子事業(米菓・餅菓子・輸入品の販売):数量 332(当社の実質の取り分(国内の米菓市場 × シェア、今の値段基準・億円))× 価格 140(名目の価格指数(今=100。物価3%の分だけ上がる))→ 売上 465 億円・営業利益 23 億円。実質1.15倍(自社ブランドと輸入品の拡大)、価格指数140
倍率:事業の純利益 43 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.7% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 518 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:米価の高止まりが解け、値上げが通り、旺旺の配当が増えるという複数の好材料が10年重なる必要がある。今期の営業利益は1%の計画で、確度は低い。
やや楽観 20% 米菓は堅実に伸び、旺旺の配当も平均並みに戻る 利益 33 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 4,032 円404 億円
米価が徐々に落ち着き、値上げの効果で営業利益率が4%まで戻る。自社ブランドの販売は着実に伸び、売上は420億円ほどになる。
旺旺の配当は、ここ数年の平均(23億円ほど)まで戻る。経営陣は持ち株を2銘柄ずつ減らし、資本効率を少しずつ高める。
10年後の営業利益は17億円、純利益は33億円ほど。配当性向は30%に近づくが、自己資本は積み上がり、ROEは4%に届かない。本業が堅実に稼ぎ、持ち株の配当が支える、安定した姿だ。ただ、新しい成長の道は描きにくい。海外への展開は旺旺との関係を超えては進まず、国内の需要の縮みは価格で補い続ける。
- 菓子事業(米菓・餅菓子・輸入品の販売):数量 309(当社の実質の取り分(国内の米菓市場 × シェア、今の値段基準・億円))× 価格 137(名目の価格指数(今=100。物価3%の分だけ上がる))→ 売上 423 億円・営業利益 17 億円。実質1.07倍、価格指数137
倍率:事業の純利益 33 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.8% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 404 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:原料の米が落ち着けば、値上げの効果で営業利益率は3%台後半まで戻る。旺旺の配当も、ここ数年の平均に戻るという堅い見立て。
中立 34% 中立:米菓は薄利のまま、旺旺の配当が利益の過半を支える 利益 27 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 3,233 円324 億円
米価は高止まりが続くが、値上げが徐々に通る。営業利益率は3%と、過去10年の山の水準にとどまる。売上は390億円ほどで、数量はほぼ横ばいだ。
旺旺の配当は、前期の18億円と過去の28億円の間の水準(23億円ほど)に落ち着く。持ち分法の利益と他の配当を足し、営業外の収益は26億円ほどになる。
10年後の営業利益は12億円、純利益は27億円ほど。利益の7割ほどは持ち株の配当で、本業は添え物にとどまる。配当性向は低いまま、自己資本は850億円ほどに積み上がり、ROEは3%台で変わらない。持ち株の整理は進まず、本業の改善も緩やかなままだ。
- 菓子事業(米菓・餅菓子・輸入品の販売):数量 289(当社の実質の取り分(国内の米菓市場 × シェア、今の値段基準・億円))× 価格 134(名目の価格指数(今=100。物価3%の分だけ上がる))→ 売上 387 億円・営業利益 12 億円。実質横ばい、価格指数134(物価並み)。利益率は過去10年の山(3.3%)以下
倍率:事業の純利益 27 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.2% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 324 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:本業の営業利益率は過去10年で最高でも3.3%であり、中立でも3%に置く。旺旺の配当は、ここ3年の平均より少なめの水準で置く。
やや悲観 26% 米価が高いまま転嫁が遅れ、旺旺の配当も細る 利益 15 億円 · PER 5.5 倍 · 株価時価総額 829 円83 億円
米価ともち米の不足が長引き、値上げが追いつかない。営業利益率は1%まで落ち、売上は330億円ほどにとどまる。
旺旺の配当は、前期よりさらに細る。営業外の収益は18億円ほどになり、純利益は15億円に下がる。
配当性向は低いまま、自己資本は積み上がるが、稼ぐ力は戻らない。ROEは2%に落ち、経営への圧力が高まるが、支配株主がおらず、動きは鈍い。10年後の評価は、稼ぐ力に近づくが、その稼ぐ力は弱い。大手の米菓会社との差は開き、棚の確保も難しくなる。値上げをすれば数量が逃げ、しなければ利益が出ないという板挟みが続く。
- 菓子事業(米菓・餅菓子・輸入品の販売):数量 265(当社の実質の取り分(国内の米菓市場 × シェア、今の値段基準・億円))× 価格 125(名目の価格指数(今=100。物価3%の分だけ上がる))→ 売上 332 億円・営業利益 3 億円。実質0.92倍、価格指数125(転嫁が遅れる)
倍率:事業の ROE 2.0% が k 8.25% を大きく下回り、ためた利益は額面未満の価値。構造的に伸びない筋書きで、稼ぐ力から 5.5 倍に置いた。PBR が低いのは、利益が小さく配当も細るため。持ち株の売却益は少数株主に戻らないので、床は悲観の筋書きだけに当てた。
確率:米価ともち米の不足が続き、値上げが追いつかない姿は、今期の営業利益の予想(3億円)からも見える。旺旺の配当はすでに前期に3割以上減っており、十分ありうる。
悲観 12% 本業が赤字になり、旺旺の配当と株価も崩れる 利益 2 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 669 円67 億円
もち米の調達難と米価高が10年近く続き、本業は赤字に落ちる。大手との競争で棚を失い、数量は実質で2割減る。値上げは通らず、価格は物価を下回る。
旺旺の業績も悪化し、配当は大きく減る。旺旺の株価も下がり、自己資本は大きく目減りする。
配当は減らされ、純利益は数億円にとどまる。持ち株を売る動きが出ても、価格は下がっており、少数株主に届く額は小さい。評価は稼ぐ力ではなく、売れる資産の価値で決まるが、その資産の価値も半分に減っている。経営の立て直しには、設備投資の抑制と人員の整理が必要になる。長岡の3工場と千歳の工場のうち、稼働の低い設備は閉じることになる。
- 菓子事業(米菓・餅菓子・輸入品の販売):数量 231(当社の実質の取り分(国内の米菓市場 × シェア、今の値段基準・億円))× 価格 112(名目の価格指数(今=100。物価3%の分だけ上がる))→ 売上 259 億円・営業利益 −5 億円。実質0.8倍、価格指数112(転嫁できず)
倍率:本業が赤字で、旺旺の配当も細り、稼ぐ力はほぼ消える。旺旺株の価値が半分になり、その税後の半分しか戻らない前提で、売れる資産の税後を床にした(約 67 億円)。PBR はこの床を今の自己資本で割った値。
確率:もち米の調達難と米価高が長引いて赤字が続き、旺旺の業績悪化で配当も大きく減る、という二重の負けが必要。営業赤字は2022年3月期と2023年3月期に実際に出ている。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
菓子事業(米菓・餅菓子・輸入品の販売)
もち米やうるち米を使った米菓・あられ・餅菓子の製造・販売と、関連会社を通じた輸入品の販売。報告上のセグメントは菓子事業だけ。
| 数量当社の実質の取り分(国内の米菓市場 × シェア、今の値段基準・億円) | 価格名目の価格指数(今=100。物価3%の分だけ上がる) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 289 | 100 | 289 | 9 |
| 10 年後 中立 | 289 | 134 | 387 | 12 |
取り方:決算短信の連結(売上288.5億円・営業利益8.7億円)を置いた。報告上のセグメントは菓子事業の1つで、数量・市場規模の開示が無いので、売上を実質の取り分として置く。価格は物価の指数(今=100)、rev_factor=0.01で億円に換算する。数量は実質で、物価は価格の側に入れた。純利益には営業外の収益(旺旺の配当など)が入るので、筋書きの net_oku で足す。
リスクと懸念
旺旺の配当への依存
純利益の大半は、旺旺(Want Want China Holdings)の配当から来る。2026年3月期は28億円から18億円へ3割以上減った。旺旺の業績、中国の消費、為替で配当が増減し、岩塚は動かせない。
米価ともち米の調達
米価は高止まりし、もち米の調達が最も急ぎの課題とされる。餅の製品の販売は原料不足で制約された。値上げは進めるが、転嫁は遅れがちで、今期の営業利益は3億円の計画に下がる。
本業の低い利益率
営業利益率は過去10年で最高でも3.3%、今期は1%の予想だ。大手との競争、国内の人口減、物流費・人件費の上昇で、薄利の構造が続く。
少数株主に戻らない持ち株
上場株595億円は自己資本の85%だが、配当性向は16%で、自社株買いもない。保有継続を決め、減らすのは2銘柄だけ。時価総額を割る持ち株が、株主に届く道筋が見えない。
関連会社経由の輸入品
今期の増収は、旺旺・ジャパンを通じた輸入品の急増に支えられた。利益率の低い取引なら、売上が増えても利益は増えない。この取引は、関連会社の事業に左右される。
設備投資の負担
今期の設備投資は26億円で、営業利益の3倍に当たる。来期も17億円を予定する。原料高で稼ぐ力が弱い中、減価償却が利益を押し下げる恐れがある。
今後の分かれ目
- 旺旺の配当が回復し、30億円を超える
- 純利益が大きく上がり、強気側の確率を引き上げる材料になる。
- 米価が落ち着き、営業利益率が3%台に戻る
- 本業の稼ぐ力が確認され、中立の営業利益が上振れする。
- 旺旺株などの持ち株を、数値つきの計画で売却する
- 売却益の還元が見えれば、持ち株の価値を余った現金として足せる。本質価値が大きく上がる。
- 旺旺の配当がさらに減る、または無配になる
- 利益の大半が消え、やや悲観・悲観の筋書きに近づく。
- 第三者が公開買付けを提案する
- 時価総額が自己資本の半分以下で、持ち株の厚さが買い手の動機になる。少数株主にはプレミアムの機会になる。
見ておくもの
- 旺旺の配当額と、旺旺株の時価の動き
- 営業利益率(米価・もち米の調達・値上げの定着)
- 持ち株の売却と配当性向の変化
- 旺旺・ジャパン経由の輸入品の利益率
- 米価と包装資材の価格
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価(PBR 0.43倍)を見ずに、その時点のROEと資本コスト8.25%から正当化PERを出し、上位の筋書きは上限の8.5割、中立は式の9割に置いた。やるべき点検として、旺旺株の配当を利益に残したので、同じ株の時価は余った現金として足していない。悲観の床では、旺旺株の下落と戻り方の半分を見て約67億円とした。数量は実質、価格は物価1.34倍が基本で、競争や転嫁の遅れがある筋書きは下げた。過去や同業の倍率は使っていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 7.87→12.12 倍・やや楽観 PER 6.89→12.12 倍・中立 PER 6.37→12.12 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality +0.5% = 8.0%。旺旺の配当や米価の不確かさは k に足さず、筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 8.25%。