結論
大冷は、骨なし魚などの業務用冷凍食品を企画し、協力工場に作らせて問屋や外食店に売る会社だ。筆者の結論は「割高」。利益が薄く、事業の稼ぎは資本コストに届かない。
売上は250億円だが、営業利益は7億円しかなく、営業利益率は2.6%と過去最低だ。工場を持たない身軽さの代わりに、値段を自分で決める力は弱い。
現金は36億円あり、時価総額の3割にあたる。借金はなく、自己資本比率は78%だ。ただ筆頭株主のフルタが51%を持つオーナー会社で、この現金が少数株主に戻る道筋は見えない。
配当は性向7割と手厚い。それでも利益そのものが小さく、10年の中立でもROEは7%台にとどまる。
筆者は、帳簿の厚さを割安の根拠とは見ない。現金を除いた事業の稼ぎに、今の値段は十分な安全域を与えていない。仕入れの半分以上を海外の協力工場に頼るため、中国の人件費や為替の上下がそのまま利益に響く。10年先を見ても、台数は人口とともに細り、物価の分の値上げが通るかどうかが利益の分かれ目になる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、見るべきは「利益が毎年積み上がるか」と「経営が現金をどう使うか」だ。大冷は、借金がなく、現金が厚い。ここは評価できる。
ただ事業の稼ぎが薄い。営業利益率は2.6%で、値段を決める力も弱い。同等の商品を他社が出せる以上、堀は浅い。オーナーとして長く持ちたい会社の条件に、利益の厚みと堀は欠かせない。
現金36億円は魅力に見える。しかし51%を持つオーナーが決める会社で、少数株主に回るかは確かめられない。配当性向が7割あるのは救いだが、利益が小さいので額は限られる。
安全域も薄い。現金を除いた事業を、利益の10倍前後で評価すると、今の時価総額に収まる。それは安全域ではなく、ほぼ適正な値段だ。
筆者は、この会社に今の値段で十分な安全域を見いだせない。オーナーの考え方が変わらないかぎり、少数株主が現金の恩恵を受ける場面は限られる。
何で稼ぐ会社か
大冷は、業務用冷凍食品の企画と販売を行う会社だ。製造は国内外の協力工場に任せる、いわゆるファブレスである。自社工場は2014年に館山工場を売却して持たない。
売上250億円の内訳は、骨なし魚が87億円、食肉加工のミートが24億円、その他の冷凍食品が139億円だ。取り扱う商品の約55%が海外の協力工場の製品で、そのうち約4割が中国の生産拠点である。
骨なし魚は、骨を抜いた切身を、給食や外食、介護施設の調理の手間を省くために売る主力商品だ。赤魚、さば、ぶりなどがそろう。
客は全国の問屋とエンドユーザーで、特定の大口客の名前は開示されない。仕入先は、三翔とセイショウフーズがそれぞれ13〜14%ほどを占める。
営業利益率は過去10年で2.6〜5.6%の幅にあり、直近は最低だ。2026年3月期の営業利益は7億円で、会社予想はほぼ同じ7億円。事業は単一で、利益の内訳は開示されない。
会社は2026年度の目標に、売上252億円、経常利益7.8億円、ROE7.1%を掲げる。問屋や外食店への営業と、商品の企画、品質の管理が会社の中身だ。従業員は少なく、固定費は小さい。
優良さと弱いところ
大冷は、「身軽だが、値段を決められない」会社だ。
工場を持たないので、設備の償却も更新投資もほとんど要らない。自己資本比率は78%、借金もない。景気が悪くなっても、すぐに資金繰りに困る会社ではない。
一方で、利益の厚みは乏しい。協力工場から仕入れ、問屋に売る商売は、原材料と為替の上下をそのまま受ける。営業利益率は過去10年で5.6%を超えず、直近は2.6%と最低に落ちた。
骨なし魚には、品質の管理と調理の手間の削減という強みがある。ただ、同等以上の商品を他社が出せることを、会社自身が認めている。参入の障壁は低い。
経営は、オーナーの持株会社フルタが51%を持つ。配当性向は7割と手厚いが、現金が少数株主に戻る保証はない。資本の使い方には、まだ試されていない部分が残る。品質の管理を協力工場に任せられる体制は、長年の取引の蓄積でもある。ただ、それが利益率の高さには結びついていない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
業務用冷凍食品の需要は、外食と給食、介護の食事に結びつく。人口は減るが、人手不足で調理の手間を省く需要は増える。冷凍にして長く持たせ、廃棄を減らす流れも追い風だ。
一方で、国内の台数は大きくは伸びない。中立では、骨なし魚が3%減、ミートが横ばい、その他が7%減と置いた。
競合は、ニチレイフーズ、味の素冷凍食品、マルハニチロなど大手の冷凍食品メーカーと、水産・食肉の専門問屋だ。大手は自社工場を持ち、規模で勝つ。大冷は品ぞろえと小回りで戦う。
原材料の価格は高止まりしている。中東情勢で原油が上がれば、物流費にも波及する。為替が150円で動かない前提でも、輸入品の仕入れは中国の人件費の上昇を受けやすい。
物価は10年で1.34倍になるので、価格は物価並みに上がる。ただ問屋や外食は値上げを嫌い、転嫁は遅れる。そのため、利益率は物価に追いつかない。冷凍食品は、保存が利き、廃棄が少ない点で、食品ロスを減らしたい外食や給食に合う。調理人の不足も、解凍して出すだけの商品の追い風になる。ただ、この需要は大手の冷凍食品メーカーにも向いており、大冷だけの強みにはならない。値段の交渉は、問屋と大手の量販が握る場面が多い。
資本政策と M&A
資本政策は、オーナーの意向が強い。筆頭株主のフルタが51.44%を持つ。古田耕司氏の資産管理会社である。
配当は期末の年1回で、2026年3月期は性向73%だった。会社の目標は性向67%である。自社株買いは小さく、当期は1億円ほどだ。
現金は36億円あり、借金はない。設備投資は年に数千万円と小さい。上場株式は3.3億円で、持ち合いは厚くない。
外部の推計では、10年以内にTOBや買収が起きる確率は18%ほどとされる。ただ、今回の調べでは、公開買付けや非公開化の発表は確認できなかった。オーナーが非公開化に動く可能性は、筋書きには入れていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
大冷は、借金がなく、現金が36億円ある。時価総額116億円の3割にあたる。自己資本比率は78%で、事業が縮んでも潰れない。配当性向は7割と手厚く、配当利回りも高い。
骨なし魚は、給食と介護の人手不足を背景に、調理の手間を省く需要が長く続く。会社は協力工場の分散を進め、中国への依存を下げている。直近の営業利益率は2.6%と過去最低だが、10年平均は4%を超える。平均への回帰で、利益は5割増える。
オーナーのフルタは、安定した配当を重視してきた。現金が積み上がれば、増配か自社株買いで株主に戻る道が開く。小さな会社で、株の流動性は低いが、非公開化の可能性もあり、その場合は上乗せが付く。配当を毎年出し続ける財務の余裕は、下落局面でも支えになる。ファブレスなので設備投資の負担がなく、利益のほとんどを配当に回せる。売上は物価の上昇で名目では増え、10年後には320億円規模になる。営業利益率が平均の4%に戻れば、純利益は今の1.5倍の8億円台になり、配当は増える。
慎重な見方
利益が薄い。営業利益率は2.6%で、直近は2期連続の低下だ。原材料と為替の上昇を問屋や外食に転嫁できず、仕入れ値が重くのしかかる。協力工場の中国への依存は4割で、人件費と輸送費の上昇、関税のリスクを抱える。
同等の商品を他社が出せる以上、堀は浅い。大手の冷凍食品メーカーは自社工場を持ち、規模で勝つ。問屋や外食が海外メーカーと直接取引すれば、中間にいる大冷の価値は薄れる。
現金36億円も、51%を持つオーナーが決める会社では、少数株主に戻る保証がない。配当性向は7割だが、利益が小さければ額も小さい。純現金は5年間24〜43億円の幅で動き、積み上がる気配がない。小さな会社の台数の減少は、人口の減少と同じ速さで進む。この商売で利益率を上げた実績が、過去10年に見当たらない点も重い。会社が掲げるROE7.1%の目標も、資本コストを下回っている。ミートの売上は横ばいで、骨なし魚も減っている。新しい商品の柱が見えない。物価で人件費が増えれば、少ない利益はさらに削られる。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。強気の言い分である現金の厚さと高い配当性向は事実だが、利益が薄く、オーナーが現金の戻し方を決める。余った現金への戻り方は0.75とした。中立の倍率は式の上限(11〜12倍)を下回る9.5倍に置いた。確率は、今の姿が続く筋書きに4割弱、悪い側に3割強を置いた。強気側に寄せる材料は、現金の使い道を示す増配や自社株買いの方針だ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,867 円109 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 702 円41 億円)。 今の値に割り戻すと 1,369 円80 億円、今との差 −30.6%、 期待の年率 +2.7%(資本コスト 7.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 3,262 円191 億円 | 990 円58 億円 | +115.5% | +8.0% | 340 円20 億円 |
| やや楽観 | 22% | 2,528 円148 億円 | 870 円51 億円 | +72.2% | +5.6% | 748 円44 億円 |
| 中立 | 38% | 2,048 円120 億円 | 785 円46 億円 | +43.6% | +3.7% | 1,077 円63 億円 |
| やや悲観 | 22% | 964 円56 億円 | 495 円29 億円 | −26.1% | −3.0% | 321 円19 億円 |
| 悲観 | 10% | 601 円35 億円 | 239 円14 億円 | −57.4% | −8.2% | 84 円5 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,867 円109 億円 | 702 円41 億円 | +30.2% | +2.7% | 2,569 円151 億円 |
今の株価時価総額 1,973 円116 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 8% 骨なし魚が伸び、介護・給食向けで利益率が上がる 利益 12 億円 · PER 15.7 倍 · 株価時価総額 3,262 円191 億円
骨なし魚は、調理の手間を省きたい給食や介護、外食チェーンに浸透し、台数が1割増える。値段も原材料の上昇を転嫁して物価以上に上がる。ミートも伸び、営業利益率は4%台に乗る。会社が掲げる経常利益率3.1%の目標を上回るが、過去10年の山(5.6%)には届かない。協力工場の調達先が分散し、中国への依存が下がる。配当は性向7割の方針を守り、10年で70億円ほどを返す。借入は無く、現金が積み上がる。借入は無く、現金は積み上がる。ただ、10年でその現金が株主に戻るかは、オーナーの判断に左右される。大手の冷凍食品メーカーとの競争は続くが、介護食や給食の専門品で差を付ける。営業利益は15億円規模に増える。
- 骨なし魚(赤魚・さば・ぶりなどの切身):数量 11,979(取扱数量(トン。推定))× 価格 110(1トンあたり売上(万円。名目))→ 売上 132 億円・営業利益 6 億円。数量1.10倍・単価1.38倍
- ミート(食肉加工品):数量 4,475(取扱数量(トン。推定))× 価格 83(1トンあたり売上(万円。名目))→ 売上 37 億円・営業利益 1 億円。数量1.10倍・単価1.38倍
- その他の冷凍食品(調理品・野菜・水産加工品ほか):数量 19,857(取扱数量(トン。推定))× 価格 95(1トンあたり売上(万円。名目))→ 売上 189 億円・営業利益 9 億円。数量1.00倍・単価1.36倍
倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.6% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.6 倍 + 余った現金(戻り方込み)11 億円。全体の PER 15.65 倍、時価総額 191 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:高付加価値の骨なし魚が給食と介護に浸透する筋書きだ。利益率の山が低い会社なので、1割を切る確率にとどめた。
やや楽観 22% 値上げが通り、利益率が4%に近づく 利益 10 億円 · PER 14.6 倍 · 株価時価総額 2,528 円148 億円
値上げが通り、利益率がじわりと上がる。骨なし魚は安定した需要に支えられて3%増え、ミートも小さく伸びる。その他の冷凍食品は、人口の減少で台数が4%減るが、物価の分は価格に乗る。営業利益率は過去10年の平均に近い4%になる。配当は性向7割の方針を守り、10年で60億円ほどを返す。為替は150円に置いたままで、仕入れコストの上昇は転嫁できる範囲に収まる。骨なし魚の付加価値が評価され、問屋との交渉でも数量の確保と値上げの両方が進む。ただ、利益率が5%に届くことはない。その他の冷凍食品は台数が減るが、問屋との取引は安定する。営業利益は13億円ほどになり、純利益は9億円前後になる。
- 骨なし魚(赤魚・さば・ぶりなどの切身):数量 11,217(取扱数量(トン。推定))× 価格 109(1トンあたり売上(万円。名目))→ 売上 122 億円・営業利益 5 億円。数量1.03倍・単価1.36倍
- ミート(食肉加工品):数量 4,271(取扱数量(トン。推定))× 価格 82(1トンあたり売上(万円。名目))→ 売上 35 億円・営業利益 1 億円。数量1.05倍・単価1.36倍
- その他の冷凍食品(調理品・野菜・水産加工品ほか):数量 19,063(取扱数量(トン。推定))× 価格 95(1トンあたり売上(万円。名目))→ 売上 180 億円・営業利益 7 億円。数量0.96倍・単価1.35倍
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.9% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.6 倍 + 余った現金(戻り方込み)11 億円。全体の PER 14.57 倍、時価総額 148 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:値上げの通りは過去にも見られ、経営も配当を維持する姿勢だ。利益率が平均に戻る筋書きとして、2割強を置いた。
中立 38% 台数は緩やかに細り、利益率は3%台にとどまる 利益 8 億円 · PER 13.6 倍 · 株価時価総額 2,048 円120 億円
今の姿がゆるやかに続く。骨なし魚は台数が3%減り、その他の冷凍食品は人口の減少で7%減る。値段は物価並みに上がるが、利益率は3%台にとどまる。会社が掲げる経常利益率3.1%を、わずかに上回る水準だ。ファブレスなので設備の償却は小さく、更新の投資もほとんど要らない。ただ協力工場の人件費と物流費は物価で増える。配当は性向7割を保ち、10年で45億円ほどを返す。現金は大きく増えず、使い道の決まらない現金が残る。オーナーが非公開化や大型の自社株買いに動く可能性は、この筋書きには入れない。10年の営業利益は11億円ほどになる。
- 骨なし魚(赤魚・さば・ぶりなどの切身):数量 10,563(取扱数量(トン。推定))× 価格 107(1トンあたり売上(万円。名目))→ 売上 113 億円・営業利益 4 億円。数量0.97倍・単価1.34倍
- ミート(食肉加工品):数量 4,068(取扱数量(トン。推定))× 価格 80(1トンあたり売上(万円。名目))→ 売上 33 億円・営業利益 1 億円。数量1.00倍・単価1.34倍
- その他の冷凍食品(調理品・野菜・水産加工品ほか):数量 18,467(取扱数量(トン。推定))× 価格 94(1トンあたり売上(万円。名目))→ 売上 173 億円・営業利益 6 億円。数量0.93倍・単価1.34倍
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.6% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.6 倍 + 余った現金(戻り方込み)11 億円。全体の PER 13.61 倍、時価総額 120 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:直近の営業利益率は2.6%と過去最低で、会社予想もほぼ同じ水準。台数は細り、利益率は低位のまま。最も重く見て4割弱にした。
やや悲観 22% 仕入れ高と値下げ競争で、利益率が2%を割る 利益 5 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 964 円56 億円
利益率が2%を割る。中国の協力工場で人件費と輸送費が上がり、仕入れ値が物価を超えて上がる。問屋や外食チェーンは値上げを嫌い、転嫁は遅れる。骨なし魚とその他の冷凍食品は、台数が1〜1.5割減る。純利益は3億円台に落ち、配当は性向を守っても額が減る。10年で30億円ほどにとどまる。現金は残るが、事業が縮んで使い道はさらに細る。協力工場の調達先を切り替える費用が出て、一時的に利益が落ちる年もある。為替が150円で動かない前提でも、原料の値上がりで苦しい。外食チェーンの再編で、大口の販売先が値引きを求める。10年後の営業利益は5億円に届かない。
- 骨なし魚(赤魚・さば・ぶりなどの切身):数量 9,801(取扱数量(トン。推定))× 価格 102(1トンあたり売上(万円。名目))→ 売上 100 億円・営業利益 3 億円。数量0.90倍・単価1.28倍
- ミート(食肉加工品):数量 3,661(取扱数量(トン。推定))× 価格 77(1トンあたり売上(万円。名目))→ 売上 28 億円・営業利益 0 億円。数量0.90倍・単価1.28倍
- その他の冷凍食品(調理品・野菜・水産加工品ほか):数量 16,878(取扱数量(トン。推定))× 価格 90(1トンあたり売上(万円。名目))→ 売上 151 億円・営業利益 3 億円。数量0.85倍・単価1.28倍
倍率:k は7.75%。利益が小さく、転嫁も遅れる。PERの上限(1÷k=12.5倍)の7割台として9倍。
確率:原材料の上昇が転嫁できず、利益率が2%を割る筋書きだ。直近の赤字(2025年3月期)は特別損失によるが、営業利益率は2期連続で最低を更新した。2割強を置いた。
悲観 10% 大口の販売先を失い、利益が消える 利益 1 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 601 円35 億円
構造的に負ける。大口の問屋や外食チェーンが、仕入れ先を海外の食品メーカーに直接切り替える。製造を持たないこの会社の存在意義は薄れ、取扱量は4分の3に減る。中国の協力工場への依存が裏目に出て、為替と関税の影響を受け、利益はほぼゼロになる。配当は性向を下げて、10年で10億円足らず。株主の取り分は、現金と売れる資産が中心になる。中国の協力工場の調達が止まる年があれば、商品が欠品し、販売先を失う。立て直しには数年を要する。自社工場がなく、代わりの調達先を見つけても品質の確認に時間がかかる。大手の取引先に乗り換えられると、売上は戻らない。オーナーは配当を守れず、減配に動く。
- 骨なし魚(赤魚・さば・ぶりなどの切身):数量 8,168(取扱数量(トン。推定))× 価格 92(1トンあたり売上(万円。名目))→ 売上 75 億円・営業利益 0 億円。数量0.75倍・単価1.15倍
- ミート(食肉加工品):数量 3,051(取扱数量(トン。推定))× 価格 69(1トンあたり売上(万円。名目))→ 売上 21 億円・営業利益 0 億円。数量0.75倍・単価1.15倍
- その他の冷凍食品(調理品・野菜・水産加工品ほか):数量 13,900(取扱数量(トン。推定))× 価格 81(1トンあたり売上(万円。名目))→ 売上 112 億円・営業利益 0 億円。数量0.70倍・単価1.15倍
倍率:構造的に負けた事業は稼ぐ力が小さく、床は現金と売れる資産に頼る。今の自己資本88億円に0.40を掛ける(ためた利益には掛けない)。
確率:問屋や外食チェーンの直接取引への切り替えは、ファブレスの中間業者に共通する懸念だ。ただ、営業の接点と品質管理の蓄積があり、実現は1割にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
骨なし魚(赤魚・さば・ぶりなどの切身)
骨を抜いた魚の切身。給食・外食・介護食の調理の手間を省く商品。
| 数量取扱数量(トン。推定) | 価格1トンあたり売上(万円。名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 10,890 | 80 | 87 | 3 |
| 10 年後 中立 | 10,563 | 107 | 113 | 4 |
取り方:売上は2026/03期の骨なし魚87.1億円(単体)。取扱数量は開示がないので、1トンあたり80万円と置いて売上から推定した。単一セグメントで利益の内訳は無く、営業利益6.5億円を売上比で配分した推定。
ミート(食肉加工品)
食肉の加工品。業務用の調理済み商品が中心。
| 数量取扱数量(トン。推定) | 価格1トンあたり売上(万円。名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 4,068 | 60 | 24 | 1 |
| 10 年後 中立 | 4,068 | 80 | 33 | 1 |
取り方:売上は2026/03期のミート24.4億円(単体)。取扱数量は開示がないので、1トンあたり60万円と置いて売上から推定した。単一セグメントで利益の内訳は無く、営業利益6.5億円を売上比で配分した推定。
その他の冷凍食品(調理品・野菜・水産加工品ほか)
総菜、野菜、水産加工品など業務用の冷凍食品全般。製造は国内外の協力工場に委託する。
| 数量取扱数量(トン。推定) | 価格1トンあたり売上(万円。名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 19,857 | 70 | 139 | 3 |
| 10 年後 中立 | 18,467 | 94 | 173 | 6 |
取り方:売上は2026/03期のその他の冷凍食品139.0億円(単体)。取扱数量は開示がないので、1トンあたり70万円と置いて売上から推定した。単一セグメントで利益の内訳は無く、営業利益6.5億円を売上比で配分した推定。
リスクと懸念
仕入れコストの上昇
取扱品の55%が海外の協力工場の製品で、中国の人件費と輸送費の上昇が仕入れ値に響く。問屋や外食に転嫁できなければ、営業利益率は2%を割る。
中国への依存
海外の仕入れの約4割が中国の生産拠点だ。関税や規制、地政学の変化で、調達が止まる、または高くなるリスクがある。
中間業者としての存在意義
工場を持たず、問屋に売る。大口の客が海外メーカーと直接取引すれば、取引量が減る。品ぞろえと品質管理の蓄積が、どこまで防御になるかが課題だ。
現金の使い道
現金36億円は時価総額の3割にあたるが、51%を持つオーナーが決める。株主に戻らず、使い道が決まらないままなら、価値が割り引かれる。
人口の減少
国内の外食と給食の台数は、人口とともに細る。人手不足で調理を省く需要が下支えするが、取扱量が減るスピードの読みは難しい。
流動性の低さ
株主はオーナーが過半を持ち、市場に出回る株数は少ない。売りたい時に売れないリスクと、非公開化の際に少数株主が割安な値段で締め出されるリスクがある。
今後の分かれ目
- 営業利益率が4%を超えた場合
- 値上げの転嫁が定着したと見て、強気の筋書きに近づく。会社目標の経常利益率3.1%を超えるのが目安だ。
- 増配や自社株買いなど、現金の使い道が示された場合
- 余った現金への戻り方を1.0に近づけて見られる。評価は上がる。
- オーナーによる非公開化の発表があった場合
- 買付価格が焦点になる。割安に置かれれば少数株主は不利になる。
- 営業利益率が2%を割った場合
- 仕入れ値の上昇を転嫁できていないと見て、慎重な筋書きに寄る。
- 中国からの調達が止まる、または関税が上がった場合
- 仕入れ値が上がり、利益率が圧迫される。調達先の切り替えの費用が出る。
見ておくもの
- 営業利益率(半期)
- 骨なし魚とミートの売上
- 中国向けの調達比率
- 配当性向と自社株買いの有無
- 現金預金の水準
倍率と資本コストの決め方
倍率は式(正当化PER)から置いた。事業のROEが7%前後で資本コスト7.75%を下回り、上限は1÷k。余った現金は15億円に分け、戻り方は0.75とした。今の株価や、現金が時価総額の3割あるという水準を根拠にしていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12→15.65 倍・やや楽観 PER 11.5→14.57 倍・中立 PER 11→13.61 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%に quality +0.5% を足した8.0%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 7.75%。