結論
イートアンドホールディングスは、冷凍餃子の「大阪王将」と、その外食店を持つ会社だ。冷凍餃子では味の素を抜いて首位に立った。筆者の結論は「割高」。事業は伸びているが、いまの値段は計画の成功をほぼ織り込んでいて、中立の姿では価値が時価総額の半分に届かない。
稼ぎの中心は食品事業で、2026年2月期の売上は232億円、利益は13億円だった。羽根つき餃子は10年で売上を約7倍にした。外食は172億円を売りながら利益は4億円で、薄い。会社の全体は、売上405億円に対し営業利益11億円と、率は3%に届かない。
2026年7月に、投資会社アドバンテッジパートナーズと提携し、最大1,495,500株の新株予約権を出した。調達は最大約30億円で、九州の新工場など成長投資に回る。同じ時期に、2032年2月期に売上650億円・営業利益35億円を目指す新しい中期経営計画が動き出した。
前の中期経営計画は、営業利益25億円の目標に対し11億円にとどまり、期間を2年延ばした。筆者は、新しい計画も全部は実現しないと見る。中立の10年後は、売上607億円・営業利益32億円で、自己資本利益率は8%台。ここでは時価総額は161億円と、今の229億円を下回る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、冷凍餃子は分かりやすい商品だ。家庭で毎日使う、安くて手間のかからない食品で、ブランドが育てば値上げも通る。羽根つき餃子は、競合の味の素を抜いた実績があり、確信度は中ほどだ。
問題は、稼ぐ力の弱さと、資本の使い方だ。営業利益率が3%に届かず、過去の自己資本利益率の中央値は4.5%。旧中計の営業利益25億円は実現せず、期間を延ばした。会社は計画を高く置く傾向があり、実績の積み上げを待たないと評価できない。経営者の言葉より、四半期の利益率が上がるかどうかを見たい。
工場投資と外食の出店は、利益が出る前に資金が先に出る。新株予約権で最大約30億円を集めるのは、借金を増やさない点では慎重だが、株主には薄まる形になる。安全域は、今の値段にはない。餃子という商品の質は高く、時間をかけて利益に結びつく可能性はあるが、10年先の確かな姿を描くには材料が足りない。筆者は、計画が実現して初めて正当化される値段と見る。
何で稼ぐ会社か
冷凍餃子を中心とする食品事業と、飲食店を運営する外食事業の「両輪」で経営する会社だ。2026年2月期の売上404.6億円のうち、食品が232億円(57%)、外食が172.6億円(43%)。営業利益は食品が12.9億円、外食が4.2億円で、本社費などの調整が5.7億円ある。
食品は、主力の「羽根つき餃子」と「ぷるもち水餃子」を自社工場でつくり、生協や量販店に卸す。三菱食品(売上の15.6%)と伊藤忠商事(12.8%)が大きな取引先だ。ほかに外食・給食向けの業務用もある。グループの年間製造量は約4.3万トン。関東第一工場は火災から2025年4月に完全復旧した。
外食は、大阪王将が342店(直営52・加盟290)で、ラーメン25店、ベーカリー・カフェ「R Baker」48店、一品香13店などを合わせて国内外471店。加盟店が354と多く、売上には食材供給とロイヤルティが入る。2026年5月には、米ロサンゼルスで北米1号店を開く予定だ。
連結の従業員は564人と少なく、臨時雇用者が約1,300人いる。直営店は賃借で、関東だけで年に約8億円の家賃を払う。会社は「食のライフプランニングカンパニー」を掲げ、冷凍食品の企画から外食までを一貫して手がけるが、利益の源は食品に偏っている。
優良さと弱いところ
強みは、冷凍餃子のブランドと、自社工場の製造力だ。大阪王将の羽根つき餃子は、フライパンのふたがいらない手軽さで支持を広げ、市販の冷凍餃子で首位になった。水餃子でも、冷凍のシェアは57.7%と過半を占める。外食の店が、ブランドの宣伝と新商品の試験にもなる。
弱みは三つある。第一に、稼ぐ力が薄い。営業利益率は直近12年の最高でも3%前後で、過去10年の自己資本利益率の中央値は4.5%と、資本コストを下回ってきた。第二に、餃子への依存が高い。羽根つき餃子の売上が食品の過半を占めるとみられ、値上げや競合の動きに弱い。第三に、外食は人手と食材の高騰で利益が減っている。
財務は、純負債が58億円、自己資本比率が34%で、堅いとは言えない。営業利益は支払利息の14倍あり、返済の不安は大きくない。ただし過去に新株予約権による希薄化を4度出しており、今回また最大13%の株を増やす枠を設けた。筆者は、品質を「やや低め」に置き、資本コストを少し上げる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
冷凍食品の国内消費は、2025年に初めて300万トンを超えた。単身世帯の増加、共働き、外食の人手不足による中食への移行が追い風だ。冷凍餃子の市場は2025年に約812億円で、中でも家庭用の主役になっている。調理の手間が少なく、品質が上がったことで、数量は緩やかに伸びている。
競争は強い。かつて首位だった味の素の冷凍餃子は、電子レンジで調理しやすいなど評価が高く、拮抗している。ニチレイ、日本水産などの大手に加え、小売のプライベートブランドが価格で攻める。冷凍食品の店頭価格は、原材料高で毎年上がっているが、頻度が増えれば、量が安い商品へ移る。
外食は、物価高と人手不足の両方を受ける。食材、人件費、家賃が上がる一方で、客は節約志向を強め、値上げに敏感だ。大衆中華は競合も多く、調理ロボなどで人手を減らす投資が欠かせない。国内の外食市場は人口減で伸びが限られ、海外は成長余地があるが、収益の裏づけはまだ小さい。
数量は、国内の人口減と1人あたり消費の下がりを、中食の拡大が打ち消す形で、冷凍食品は10年で1割ほど増えると置く。外食は横ばい。値段は物価に遅れ気味で、食品が1.32倍、外食が1.30倍とする。原材料と物流費は物価を超えて上がる年があり、転嫁が遅れる期間に利益が薄くなる。
資本政策と M&A
還元は配当が中心で、2026年2月期の支払いは約1.75億円で、純利益の約半分にあたる。自社株買いの実績は見当たらない。株主優待は2月末と8月末に100株以上で出し、2月は自社製品などを選べる。費用は年1億円に満たないと見て、還元の評価には入れていない。
資本政策の中心は、成長投資のための資金調達だ。2023年に第8回新株予約権を出して資金を集め、2026年7月には第9回を出した。行使価額は当初、発行時の株価とほぼ同じ水準で、下限はその1割ほど安い。最大約30億円を集め、既存事業の強化、成長加速、経営基盤の強化に回す。株価が下がった場面でも行使が進む仕組みで、希薄化は最大で約13%ある。
新中期経営計画では、設備投資170億円とM&A40億円を予定する。九州工場だけで約66億円で、投資は純利益の10年分を超える。成長を優先するため、還元は絞られやすい。筆者は、投資の回収が済むまでの10年は、配当性向を3割台に置く。賃借の店舗の家賃は固定費として重く、悲観の局面では負担が大きい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
冷凍餃子の勢いが続き、中計が実現する。羽根つき餃子は首位を固め、九州の新工場で西日本の供給が整う。月に1,300トンの増産が、棚をさらに取る。水餃子は57.7%のシェアを持ち、点心や業務用に広げれば、食品の売上は5百億円規模に育つ。
外食は、調理ロボと新モデル店で収益性が上がる。加盟店の拡大でロイヤルティが積み上がり、利益が出る構造になる。北米の1号店が当たれば、海外が第三の柱になる。アドバンテッジパートナーズの経営支援で原価低減と営業力が上がれば、会社の営業利益率は7%台に乗る。
10年後の売上は780億円、営業利益は60億円。自己資本利益率は13%で、資本コストを大きく超える。この姿が実現すれば、今の値段は、成長の入り口として妥当だったことになる。そのとき、時価総額は400億円に近く、株主が受け取る配当と合わせて、今の値段から年率で7%ほどの収益になる。海外が当たれば、さらに上振れる余地もある。
慎重な見方
今の利益は小さく、計画は遠い。営業利益11.4億円に対し、前の計画の25億円は届かなかった。新しい計画の35億円は、その3倍だ。会社は計画を2年延ばしており、達成への信頼は低い。外食は営業利益が17%減り、食材と人件費の高騰を吸収できていない。
餃子は強いが、守りにくい。味の素は品質で一日の長があり、小売のプライベートブランドも低価格で攻める。値上げの頻度が増えれば、客は安い商品へ移る。九州工場に66億円を投じても、稼働率が上がらなければ、固定費が利益を食う。外食も、食材と人件費と家賃の三つの高騰を、価格で転嫁しきれていない。
資本の面でも不安が多い。新株予約権で13%の株が増える可能性があり、純負債は58億円ある。賃借の店舗の家賃は固定費だ。悲観すれば、外食は赤字に沈み、食品の利益も減る。そのとき、株主に残るのは、工場などの資産の一部だけである。
提携先のアドバンテッジパートナーズは、投資の回収を目的に、新株予約権を行使して売却する立場だ。行使は2027年2月から可能になる。株価が上がれば売りが出て、上値が抑えられる。経営支援の効果が数字に出るまで、需給が重い期間が続く。
どちらに重みを置いたか
強気の見方は餃子の首位と投資の収穫に、慎重な見方は計画の未達続きと薄い利益に重みを置く。10年後の中立は、売上607億円、営業利益32億円。会社の2032年2月期の計画(650億円・35億円)には届かないが、率は今の2.8%から5%台へ上がる姿とした。
確率は、中立に33%、慎重な側(やや悲観と悲観)に32%を置いた。九州工場と提携の支援は本物だが、計画を外してきた実績は重い。本質価値は今の時価総額の半分に届かず、「割高」。成長が実現しても、すでに値段が先に動いている。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した株価時価総額 1,713 円195 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 292 円33 億円)。 今の値に割り戻すと 1,013 円115 億円、今との差 −49.5%、 期待の年率 0.0%(資本コスト 7.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 11% | 3,940 円448 億円 | 484 円55 億円 | +120.5% | +8.2% | 487 円55 億円 |
| やや楽観 | 24% | 2,534 円288 億円 | 396 円45 億円 | +46.1% | +3.9% | 703 円80 億円 |
| 中立 | 33% | 1,584 円180 億円 | 334 円38 億円 | −4.4% | −0.4% | 633 円72 億円 |
| やや悲観 | 24% | 474 円54 億円 | 132 円15 億円 | −69.8% | −11.3% | 145 円17 億円 |
| 悲観 | 8% | 443 円50 億円 | 26 円3 億円 | −76.6% | −13.5% | 38 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,713 円195 億円 | 292 円33 億円 | 0.0% | 0.0% | 2,006 円228 億円 |
今の株価時価総額 2,006 円228 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 11% 餃子の首位が続き、計画を超える 利益 27 億円 · PER 16.4 倍 · 株価時価総額 3,940 円448 億円
冷凍餃子の市場が実質で2割増え、当社のシェアは17%まで上がる。九州工場の増産で西日本の棚を取り、水餃子と点心、業務用も広がる。値段は物価に少し先行して1.36倍。食品の営業利益率は10%台に乗る。業務用では外食チェーンや給食の人手不足を追い風に、半調理品の需要を取り込み、安定した取引先が増える。
外食は、調理ロボと新モデル店、加盟店の拡大で、営業利益率が5%台に上がる。北米の店舗が当たり、海外も柱に育つ。アドバンテッジパートナーズの経営支援で原価と営業の効率が上がる。
10年後の売上は783億円、営業利益は61億円。新工場の稼働率は高く、固定費を吸収する。還元は配当性向4割まで上がり、10年で55億円。自己資本利益率は13%と資本コストを大きく超える。
- 食品事業(冷凍餃子・水餃子・業務用冷凍食品):数量 2,200(当社が手がける冷凍餃子・点心・業務用冷凍食品の需要(億円・今の値段で測った実質、推定))× 価格 23.1%(市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み))→ 売上 509 億円・営業利益 53 億円。市場 2,200 億円 × シェア 17.0%、物価の倍率 1.36、営業利益率 10.5%
- 外食事業(大阪王将・ラーメン・ベーカリー・カフェ・海外):数量 3,300(当社の業態が競う外食の対象市場(大衆中華・ラーメン・ベーカリー、億円・実質、推定))× 価格 8.3%(市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み))→ 売上 274 億円・営業利益 15 億円。市場 3,300 億円 × シェア 6.2%、物価の倍率 1.34、営業利益率 5.5%
倍率:事業の純利益 27 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.9% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.3 倍。全体の PER 16.35 倍、時価総額 448 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:首位の勢い、新工場、提携の経営支援が全部かみ合えば起きる。ただし前の計画を外した実績があるので、1割強にとどめる。
やや楽観 24% 計画に近く、利益率が6%台へ 利益 19 億円 · PER 15.0 倍 · 株価時価総額 2,534 円288 億円
冷凍餃子の市場は実質で1割増え、シェアは15.8%まで上がる。九州工場の稼働率は順調に上がり、値上げも物価並みに通る。食品の営業利益率は9%に高まる。
外食は、新モデル店が育って営業利益率が4.5%に上がる。加盟店の拡大で、ロイヤルティが積み上がる。海外の店舗も少しずつ増える。
提携先の経営支援で、原価の低減と営業の効率が進み、計画の7〜8割までは届く姿だ。食品の利益が外食の弱さを補い、全社の営業利益率も6%台に乗る。10年後の売上は694億円、営業利益は44億円。還元は45億円。自己資本利益率は10%台で、資本コストを上回る。会社の計画のうち、食品の利益率と海外の拡大が実現し、外食の利益率の改善は途上にとどまる姿である。
- 食品事業(冷凍餃子・水餃子・業務用冷凍食品):数量 2,100(当社が手がける冷凍餃子・点心・業務用冷凍食品の需要(億円・今の値段で測った実質、推定))× 価格 21.2%(市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み))→ 売上 445 億円・営業利益 40 億円。市場 2,100 億円 × シェア 15.8%、物価の倍率 1.34、営業利益率 9.0%
- 外食事業(大阪王将・ラーメン・ベーカリー・カフェ・海外):数量 3,150(当社の業態が競う外食の対象市場(大衆中華・ラーメン・ベーカリー、億円・実質、推定))× 価格 7.9%(市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み))→ 売上 250 億円・営業利益 11 億円。市場 3,150 億円 × シェア 6.0%、物価の倍率 1.32、営業利益率 4.5%
倍率:事業の純利益 19 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.5% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.0 倍。全体の PER 15.01 倍、時価総額 288 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:新工場の稼働と提携の成果が出れば、中計の方向に近づく。事業の勢いは本物なので4分の1を置く。
中立 33% 中立:計画には届かず、利益率は5%台 利益 13 億円 · PER 13.4 倍 · 株価時価総額 1,584 円180 億円
冷凍餃子の市場は実質で1割増え、当社のシェアは14.5%に上がる。九州工場が加わっても、競合との価格競争があり、値段は物価より遅れて1.32倍。食品の営業利益率は5.6%から8%に上がる。
外食は市場が横ばいで、シェアは今と同じ5.75%。人件費と家賃の上昇を、調理ロボなどが一部吸収し、営業利益率は4%。本社費は物価並みに1.34倍で増える。
10年後の売上は607億円、営業利益は32億円で、率は5.3%。会社の2032年2月期の計画(650億円・35億円)には届かない。還元は配当性向3割台で、10年で38億円。自己資本利益率は8%台。
- 食品事業(冷凍餃子・水餃子・業務用冷凍食品):数量 2,000(当社が手がける冷凍餃子・点心・業務用冷凍食品の需要(億円・今の値段で測った実質、推定))× 価格 19.1%(市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み))→ 売上 383 億円・営業利益 31 億円。市場 2,000 億円 × シェア 14.5%、物価の倍率 1.32、営業利益率 8.0%
- 外食事業(大阪王将・ラーメン・ベーカリー・カフェ・海外):数量 3,000(当社の業態が競う外食の対象市場(大衆中華・ラーメン・ベーカリー、億円・実質、推定))× 価格 7.5%(市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み))→ 売上 224 億円・営業利益 9 億円。市場 3,000 億円 × シェア 5.8%、物価の倍率 1.30、営業利益率 4.0%
倍率:事業の純利益 13 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.4% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.4 倍。全体の PER 13.44 倍、時価総額 180 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:九州工場と提携で規模の効果は出るが、前の計画を外した実績を踏まえ、会社の計画の7割ほどに置く。
やや悲観 24% 価格競争と人手不足で、利益が今の水準にとどまる 利益 5 億円 · PER 11.0 倍 · 株価時価総額 474 円54 億円
冷凍餃子の市場は実質で3%増にとどまり、味の素と小売のプライベートブランドに押されて、当社のシェアは13%に下がる。値段は物価より遅れて1.22倍。食品の営業利益率は5.5%のまま。値上げのたびに量が減り、販促費が増えて、利益率は広がらない。
外食は、人手不足と食材高を吸収できず、営業利益率は2%に落ちる。九州工場の稼働率が上がらず、減価償却が重い。営業利益は13億円と、今とほぼ同じ。売上は478億円まで増えるのに、物価の分と投資の償却に食われ、実質の稼ぐ力は変わらない。会社の計画とは大きく離れ、経営の立て直しが続く。
純利益は5億円で、自己資本利益率は3%台。資本コストを下回るので、倍率は低い。還元は配当が中心で、10年で15億円にとどまる。
- 食品事業(冷凍餃子・水餃子・業務用冷凍食品):数量 1,850(当社が手がける冷凍餃子・点心・業務用冷凍食品の需要(億円・今の値段で測った実質、推定))× 価格 15.9%(市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み))→ 売上 293 億円・営業利益 16 億円。市場 1,850 億円 × シェア 13.0%、物価の倍率 1.22、営業利益率 5.5%
- 外食事業(大阪王将・ラーメン・ベーカリー・カフェ・海外):数量 2,850(当社の業態が競う外食の対象市場(大衆中華・ラーメン・ベーカリー、億円・実質、推定))× 価格 6.5%(市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み))→ 売上 185 億円・営業利益 4 億円。市場 2,850 億円 × シェア 5.4%、物価の倍率 1.20、営業利益率 2.0%
倍率:ROE 3.5%(事業の純利益÷自己資本、余った現金を除く)は k 7.75% 以下なので、ためた利益は額面未満の価値で、PER は 1÷k=12.9 倍が上限。価格競争と人手不足が続くので、上限の 8.5 割の 11.0 倍に置いた。余った現金 0.0 億円は戻り方 0.5 を掛けて足した。
確率:餃子の首位が揺らぎ、外食の利益が薄いままという筋書き。前の計画を外した実績と、競合の強さを踏まえ、4分の1弱を置く。
悲観 8% 構造的に負ける:外食が赤字になり、餃子も押される 利益 −1 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 443 円50 億円
餃子の市場は縮み、当社のシェアも11.5%に下がる。値段は物価に遅れて1.12倍。食品の営業利益率は2%まで下がり、新工場の償却が重い。
外食は、家賃が固定費として残り、客数の減少で営業赤字になる。海外の店舗は撤退する。営業利益は3.5億円の赤字に沈む。売上は362億円と今より小さく、固定費が重いまま、投資の償却と家賃が残る。経営は店舗の閉鎖と工場の稼働調整に追われ、成長投資はほぼ止まる。
還元は3億円まで絞られる。それでも工場などの資産は残るため、少数株主の取り分は資産の一部の50億円で支えられる。新株予約権の行使で株数が増えても、調達した資金が損失の穴埋めに消え、1株あたりの価値は下がる。
- 食品事業(冷凍餃子・水餃子・業務用冷凍食品):数量 1,700(当社が手がける冷凍餃子・点心・業務用冷凍食品の需要(億円・今の値段で測った実質、推定))× 価格 12.9%(市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み))→ 売上 219 億円・営業利益 4 億円。市場 1,700 億円 × シェア 11.5%、物価の倍率 1.12、営業利益率 2.0%
- 外食事業(大阪王将・ラーメン・ベーカリー・カフェ・海外):数量 2,700(当社の業態が競う外食の対象市場(大衆中華・ラーメン・ベーカリー、億円・実質、推定))× 価格 5.3%(市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み))→ 売上 143 億円・営業利益 −1 億円。市場 2,700 億円 × シェア 4.8%、物価の倍率 1.10、営業利益率 -1.0%
倍率:10 年の悲観は稼ぐ力が消えるので、利益でなく資産で値を付ける。今の自己資本 112 億円のうち、工場などの資産の売却価値を税後で割り引いた約 50 億円(今の自己資本の 0.45 倍)を床とした。ためた利益に床の倍率は掛けていない。
確率:競合の巻き返しと、外食の赤字、新工場の稼働不足が同時に来る深い筋書き。九州工場は需要が見込めるため、確率は1割に満たない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
食品事業(冷凍餃子・水餃子・業務用冷凍食品)
「大阪王将」ブランドの冷凍餃子・水餃子・点心を、生協や量販店向けの家庭用と、外食・給食向けの業務用で売る。自社工場でつくる。
| 数量当社が手がける冷凍餃子・点心・業務用冷凍食品の需要(億円・今の値段で測った実質、推定) | 価格市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 1,800 | 12.9% | 232 | 13 |
| 10 年後 中立 | 2,000 | 19.1% | 383 | 31 |
取り方:食品事業の売上 231.97 億円・セグメント利益 12.88 億円(有報、2026/02 期)。冷凍餃子の市場は 2025 年に約 812 億円(富士経済、会社の決算説明資料)で、点心・業務用など当社が売る周辺を含めた需要を約 1,800 億円(実質)と置き、当社シェアは約 12.9% とした推定(売上からの逆算で、独立した裏づけではない)。数量は実質、物価の分は価格(シェア × 物価の倍率)に入れる。
外食事業(大阪王将・ラーメン・ベーカリー・カフェ・海外)
中華料理店「大阪王将」を中心に、ラーメン、ベーカリー・カフェ「R Baker」、一品香、海外店を直営とフランチャイズで運営する。
| 数量当社の業態が競う外食の対象市場(大衆中華・ラーメン・ベーカリー、億円・実質、推定) | 価格市場 1 億円あたりの当社売上(億円)=当社シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍が物価並み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 3,000 | 5.8% | 173 | 4 |
| 10 年後 中立 | 3,000 | 7.5% | 224 | 9 |
取り方:外食事業の売上 172.59 億円・セグメント利益 4.23 億円(有報)。売上にはフランチャイズ店への食材供給とロイヤルティが入る。海外店(34 店)は外食に含まれ、単独の開示は無い。対象市場を約 3,000 億円(実質)、当社シェアを約 5.8% と置いた推定(売上からの逆算)。
リスクと懸念
計画の未達
前の中期経営計画(営業利益25億円)は実績11億円で、期間を2年延ばした。新計画の2032年2月期の営業利益35億円も、実現しない可能性がある。
餃子への依存と競争
羽根つき餃子が食品の稼ぎの大半を占めるとみられる。味の素の巻き返しや、小売のプライベートブランドの攻勢で、棚とシェアを失うリスクがある。
新工場の稼働
九州工場は約66億円を投じ、2026年12月に竣工する。稼働率が上がらなければ、償却と人件費が利益を食う。関東第一工場の火災のように、災害で生産が止まる危険もある。
希薄化と財務
第9回新株予約権で最大1,495,500株(約13%)が増える。純負債は58億円、自己資本比率は34%で、投資が重なると財務の余裕が小さい。
外食の収益性
食材、人件費、家賃の上昇で、外食の利益は17%減った。直営店の家賃は固定費で、客数が落ちると赤字に転じやすい。海外店の収益は開示が無い。
原材料とコスト
小麦、豚肉、野菜、包装資材、物流費が上がる。冷凍食品は値上げが続くが、頻度が増すと量が逃げる。転嫁の遅れが利益を直撃する。
大口取引先への依存
三菱食品(15.6%)と伊藤忠商事(12.8%)で売上の3割近くを占める。取引条件の変更や商流の見直しの影響を受けやすい。
今後の分かれ目
- 2027年2月期の通期営業利益が計画(12.5億円)を上回る見通しになったら
- 強気側に確率を移す。食品の利益率の改善が進んでいる兆しと見る。
- 九州工場が2027年春に予定どおり稼働し、月1,300トンの生産が立ち上がったら
- 食品の数量とシェアの前提を上げる。稼働の遅れが出たら下げる。
- アドバンテッジパートナーズの提携で、原価低減の成果が数字に出たら
- 食品の営業利益率を上げ、強気側に近づける。
- 新株予約権の行使が進み、株数が増えたら
- 1株あたりの価値の希薄化を点検する。調達した資金の使い道を追う。
- 外食の営業利益が赤字に近づいたら
- 悲観側に確率を移す。出店の速度と家賃負担を点検する。
- 味の素など競合が値下げや増産に動き、首位のシェアが落ちたら
- 食品のシェアの前提を下げる。
見ておくもの
- 食品・外食のセグメント別の営業利益率(食品5.6%→8%、外食2.5%→4%)
- 九州工場の稼働と月間生産量
- 新中期経営計画の進み(2032年2月期に売上650億円・営業利益35億円)
- 新株予約権の行使状況と調達資金の使途
- 冷凍餃子のシェア(首位の維持)と値上げの浸透
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から置いた。中立の自己資本利益率は8.4%で、資本コスト7.75%をわずかに上回る。正当化PERは約13倍で、工場の稼働と出店の遅れを見て9割の12倍とした。今のPERが約60倍(直近の純利益ベース)であることには寄せていない。
売上は、会社の中期経営計画(2032年2月期に650億円)を鵜呑みにせず、市場×シェア×物価で積み上げた。10年後(2036年)の中立の売上607億円は、計画の延長ではなく、食品の市場が1割増え、シェアが12.9%から14.5%に上がる姿である。
営業利益率は、直近12年の最高の約3%を、食品の利益率が5.6%から8%に上がることで超える。この裏づけは、九州工場による規模の効果、提携による原価低減、調理ロボによる外食の効率化で、いずれも実績はこれからだ。悲観は、稼ぐ力ではなく工場などの資産の一部(約50億円)で値を付けた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 14.5→16.35 倍・やや楽観 PER 13→15.01 倍・中立 PER 12→13.44 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。