結論
ユニカフェは、コーヒー豆を焙煎・加工する神奈川の専業メーカーだ。小売店のプライベートブランド、外食・宿泊向けの業務用、飲料メーカー向けのエキスを手がける。国内のコーヒー大手UCCのグループが過半を持つ。
筆者の結論は、今の時価総額177億円は、10年の筋書きを確率で重ねた価値よりずっと高いというものだ。割高と見る。理由は、稼ぐ力に比べて値段が先に走っているからだ。2026年の純利益は7億円の予想で、今の時価総額はその25倍にあたる。
足元の業績は良い。2025/12期の営業利益は7.1億円と前年から3割増え、2026年8月には、家庭用が想定より好調だとして、営業利益の予想を6.5億円から8.5億円に上げた。生豆の高騰を価格に転嫁しながら、費用を抑えた。
問題は、この利益が続く水準かどうかだ。同社の強みは、特定のブランドではなく、受託と加工の力にある。値段は大手の小売店やメーカーと相場が決める。筆者は、営業利益率が直近の4.4%から変わらない姿を中立とみる。ROEは資本コスト8.35%に届かず、PBR2.5倍を正当化しない。割安に転ぶ材料は、親会社による完全子会社化くらいで、それは本質価値ではなく取引の価格だ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で、この会社を一言で言えば、堅実な小さな加工業で、値段が先に走った会社だ。
事業は10年後も続く。コーヒーの消費は減るが、なくならない。UCCグループの一員として、豆の調達が安定し、受託先の大手小売店の信頼もある。借金は少なく、現金もある。倒れる会社ではない。
問題は、稼ぐ力と値段の差だ。営業利益7億円、純利益7億円は、受託加工の薄い利益率(4%台)と、繰越欠損金による軽い税負担の結果で、永続する水準とは見ない。営業利益率が6%を超えた年は、過去12年で1度もない。自己資本は71億円と小さいが、時価総額はその2.5倍の177億円だ。
堀が弱い会社の利益に払える倍率には、上限がある。事業のROEが資本コストを超える見通しでも、残るのは半分程度だ。そこに親会社が過半を持つという条件が加わる。余った現金が少数株主に戻る保証はない。
安全域はほとんどない。悲観では、現金と運転資本で、今の値段の1割台しか支えられない。完全子会社化の可能性は残るが、それは取引の価格であって、筆者が払える値段の根拠ではない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、コーヒー豆の加工だ。輸入した生豆を焙煎し、レギュラーコーヒーやインスタントの原料となる抽出液(エキス)にして、顧客に納める。事業は1つにまとまり、用途別の金額は開示されない。売上は、家庭用、業務用、工業用に分かれ、2025/12期はいずれも前年を上回った。
家庭用は、小売店の棚に並ぶ商品で、ブランドは顧客のもの(プライベートブランドの受託)が多い。最大の販売先は、イオントップバリューで、売上の17.7%を占める。業務用は、喫茶店・外食・宿泊向けで、販売子会社のアートコーヒー(売上45億円)が窓口になる。工業用は、飲料や食品メーカー向けにエキスや豆を納める。
特色は、親会社UCCとのつながりだ。UCCジャパンが50.5%、三菱商事が9.5%を持つ。UCCは自前の農園と世界の調達網を持つため、同社はその調達力を背景に、生豆を安定して仕入れられる。
生産拠点は神奈川総合工場の1か所だけで、災害に弱い。2025年の設備投資は3.7億円と小さい。2019/12期と2020/12期は赤字で、2020/12期の純損失は21億円だった。2023年にカップスの株式を全株譲渡して事業を整理した。
台数と単価の内訳は開示されない。筆者は、売上を家庭用65億円、業務用60億円、工業用36億円と配分した(推定)。
優良さと弱いところ
筆者は、同社の堀、つまり他社がまねしにくい強みを、弱いと見る。受託と加工は、顧客の指定する品質を守る技術と、安定供給の力が価値で、ブランドの力ではない。大手の小売店やメーカーは、複数の焙煎会社に発注先を分けられる。会社自身も、リスクとして「販売価格は市場競争で決まる要素が強い」と書いている。
値決めは弱い。2025年は生豆の購入価格が年間で2割以上上がったが、売上総利益の増加は売上の増加よりずっと小さかった(売上は24%増、売上総利益は4%増)。原価の上昇を、時間をかけて転嫁する構図だ。
強みもある。UCCグループの一員として、豆の調達が安定する。受託先の大手小売の信頼が厚く、イオントップバリューの比率は2年で13%から18%に上がった。2026年は家庭用が好調で、費用の管理を強めて利益率を上げた。
資本効率は、直近は良く見える。2025/12期のROEは9.5%だが、これは自己資本が小さいうえに、過去の繰越欠損金で税負担が軽いからだ。過去10年のROEの中央値は4.7%で、赤字の期も6回ある。
経営は慎重だ。配当性向は約2割にとどまり、自社株買いの記載はない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のコーヒー市場は、量が静かに縮み、価格が膨らむ市場だ。2025年の国内消費は39.7万トンで、3年連続で減り、40万トンを割るのは25年ぶりだった。売上が伸びて見えるのは、豆の高騰による値上げのせいだ。
習慣的に飲む人は多く、コーヒーそのものの人気は落ちていない。ただ、人口減に加えて喫茶店が減り、業務用の数量は細る。在宅で飲む量と、コンビニのコーヒーが一部を補う。
生豆の相場は、2025年にアラビカが約47年ぶりの高値をつけ、その後は下がっている。ブラジルの増産で、2026年は需給が緩むとの見立てだ。ただ、円安が続く限り、仕入れ価格はすぐには下がらない。同社の第1四半期の説明も、相場は下落基調だが調達価格は高値が続くとしている。
競争は、同社の親会社UCC、味の素AGF、ネスレ、小川珈琲、ドトールなどが占める。同社は、ブランドで勝負するのではなく、大手の小売店・メーカーの需要を受託で取る側にいる。
分かれ目は、相場が下がる局面で、売価の下げと原価の下げのどちらが先に出るかだ。2025年のように上がる局面は転嫁が遅れ、下がる局面は売価の下落が速いと、いずれも利益が振れる。
資本政策と M&A
資本政策は、守りだ。配当は総額で1.3億円と、純利益の約2割にとどまる。自社株買いの記載はなく、自己株式は3.5%を持つ。政策保有株は、非上場株式の1.4億円のみで、上場株式の持ち合いはない。
財務は堅い。現金39億円に対し、借入は12億円で、純現金は27億円。自己資本比率は45.8%。営業キャッシュフローは14億円と、利益を上回る。設備投資は小さく、現金が積み上がりやすい。
株主構成が、資本政策を決める。UCCジャパンが50.5%、三菱商事が9.5%を持ち、残る約4割が市場に出ている。親会社が過半を持つため、配当や自社株買いを厚くする圧力が弱い。逆に、親会社が完全子会社にする可能性は残る。筆者の参照するモデルは、10年以内のTOBの確率を21%と置く。ただし、TOBの価格は、本質価値ではなく親会社が払う値段で決まる。
中期経営計画2027は、2026/12期の営業利益を6.5億円と置いたが、実績見通しはすでに8.5億円に上がった。計画が控えめなのは、投資家に対して慎重な姿勢の表れだ。
減価償却は新しい設備の分だけ物価で増える。設備投資は4億円前後と小さく、更新の負担は軽い。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ユニカフェは、利益の回復が確かな会社だ。2023/12期の営業利益は4億円、2024/12期は5億円、2025/12期は7億円と、3年で倍近くに増えた。2026年8月には、家庭用が想定より好調だとして、営業利益の予想を6.5億円から8.5億円に引き上げた。
親会社UCCの調達力と、イオントップバリューという大口の受託先が、安定した需要を生む。イオントップバリューの比率は2年で13%から18%に上がった。小売店のPBが広がる流れは、構造的なものだ。
財務は強く、純現金は27億円で、時価総額の15%に当たる。借金が少なく、営業キャッシュフローは利益を上回るので、設備投資を自前で賄える。
親会社が完全子会社にするなら、少数株主は大きな上乗せ(プレミアム)を受け取れる。親会社グループが52.7%を持つ中で、市場に出ている株は約4割で、需給も締まりやすい。生豆相場が下がれば、原価の低下が利益率の改善につながる。
慎重な見方
同社の利益は、永続的なものとは言えない。営業利益率は4.4%で、過去12年の最高は2015/03期の6.4%だ。2019/12期から2022/12期のうち3期は赤字だった。2025/12期の純利益は、繰越欠損金の使用で税負担が軽い分だけ膨らんでいる。
値決めは弱い。2025年は売上が24%増えたのに、売上総利益は4%しか増えなかった。会社自身が、販売価格は市場競争で決まる要素が強いと書いている。生豆相場が下がれば、売価も下がり、売上は減る。
受託先への依存も強い。イオントップバリューが売上の18%を占める。生産拠点は神奈川の1か所だけで、地震などの災害に弱い。親会社が過半を持つため、配当は純利益の約2割にとどまり、自社株買いはない。
時価総額は純利益の25倍で、PBRは2.5倍だ。堀が弱い加工業に払う値段として高すぎる。TOBのプレミアムを期待して買うのは、本質価値の分析ではなく、親会社の出方に賭ける行為だ。
どちらに重みを置いたか
強い方は慎重な見方だった。直近の利益の回復は確かだが、価値を決めるのは、続く水準の稼ぐ力と、余った現金が株主に戻るかどうかだ。ここは、営業利益率が過去12年で6.4%を超えず、親会社が過半を持つという構造が語る。そこで中立の営業利益率は4.2%、楽観でも5.3%と置いた。確率は中立を最も厚い35%にし、やや悲観と悲観の合計を37%、楽観側の合計を28%とした。直近の好調を踏まえ、楽観側を完全には薄くしなかった。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 680 円91 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 135 円18 億円)。 今の値に割り戻すと 396 円53 億円、今との差 −70.3%、 期待の年率 −4.8%(資本コスト 8.4%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,313 円176 億円 | 273 円37 億円 | +19.3% | +1.8% | 127 円17 億円 |
| やや楽観 | 20% | 973 円130 億円 | 193 円26 億円 | −12.3% | −1.3% | 233 円31 億円 |
| 中立 | 35% | 760 円102 億円 | 137 円18 億円 | −32.6% | −3.9% | 314 円42 億円 |
| やや悲観 | 26% | 362 円49 億円 | 90 円12 億円 | −66.0% | −10.2% | 117 円16 億円 |
| 悲観 | 11% | 185 円25 億円 | 33 円4 億円 | −83.6% | −16.5% | 24 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 680 円91 億円 | 135 円18 億円 | −38.7% | −4.8% | 816 円109 億円 |
今の株価時価総額 1,330 円178 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.4% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:小売店のPB受託が広がり、営業利益率が5%台に乗る 利益 10 億円 · PER 14.4 倍 · 株価時価総額 1,313 円176 億円
家庭用のPB受託がイオントップバリュ以外の大手小売にも広がり、数量が1.35倍になる。業務用は、高付加価値品の提案で外食・宿泊の需要を取り、喫茶店の閉店を補う。工業用では、飲料・食品メーカー向けのエキス加工が伸びる。
売上は240億円近くまで増え、営業利益は13億円、営業利益率は5.3%になる。過去12年で最も高かった2015/03期の6.4%には届かないが、直近の4.4%を上回る。配当性向は4割まで引き上げられ、余った現金の積み上がりも抑えられる。
この筋書きの前提は、生豆相場が落ち着き、家庭用の好調が続くことだ。親会社のUCCグループが、同社の工場に生産を寄せる動きも追い風になる。
- 家庭用(小売店向け・PB受託を含む):数量 9,450(推定の生豆使用量(トン))× 価格 0.01(1トンあたりの売上(億円/トン。10年で1.22倍。豆相場の下落で物価に届かない))→ 売上 114 億円・営業利益 6 億円。小売店のPB受託が広がり数量1.35倍、営業利益率4.8%
- 業務用(外食・宿泊・喫茶店向け):数量 5,900(推定の生豆使用量(トン))× 価格 0.01(1トンあたりの売上(億円/トン。10年で1.20倍。豆相場の下落で物価に届かない))→ 売上 77 億円・営業利益 5 億円。高付加価値品で外食・宿泊に食い込む。営業利益率6.8%
- 工業用・エキス(飲料・食品メーカー向け):数量 19,800(推定の生豆使用量(トン))× 価格 0.00(1トンあたりの売上(億円/トン。10年で1.10倍。受託加工で相場に連動))→ 売上 47 億円・営業利益 2 億円。飲料・食品メーカー向けのエキスが伸びる。営業利益率4%
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.1% が k 8.35% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)41 億円。全体の PER 14.43 倍、時価総額 176 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:家庭用が想定より好調で、2026年8月に業績予想を大きく上げた。小売店のPBを軸に受託がさらに広がる筋書きで、営業利益率は2015/03期の6.4%以下の5.3%。直近が過去12年で最も高いため、薄く8%とした。
やや楽観 20% やや楽観:家庭用が支え、営業利益率が4%台後半に 利益 8 億円 · PER 13.1 倍 · 株価時価総額 973 円130 億円
家庭用は、PBの受託が緩やかに伸び、数量が2割近く増える。業務用は、外食・宿泊が喫茶店の閉店を一部補い、数量の減りが小さい。
売上は210億円、営業利益は10億円、営業利益率は4.7%になる。直近の水準が定着し、わずかに上がる姿だ。純利益は約8億円で、配当性向を3割台半ばまで高めるが、自己資本は約120億円に積み上がる。ROEは事業の分で見て10%台と、資本コストを上回る。
ただし、売上が増えても単価は物価に届かず、利益の伸びは数量と費用の管理にかかる。生豆の相場が再び跳ねると、価格転嫁の遅れで利益が一気に落ちる。
- 家庭用(小売店向け・PB受託を含む):数量 8,260(推定の生豆使用量(トン))× 価格 0.01(1トンあたりの売上(億円/トン。10年で1.22倍。豆相場の下落で物価に届かない))→ 売上 96 億円・営業利益 4 億円。PBの受託が緩やかに伸び数量1.18倍、営業利益率4.2%
- 業務用(外食・宿泊・喫茶店向け):数量 5,664(推定の生豆使用量(トン))× 価格 0.01(1トンあたりの売上(億円/トン。10年で1.20倍。豆相場の下落で物価に届かない))→ 売上 71 億円・営業利益 4 億円。喫茶店の減少を外食が一部補う。営業利益率6%
- 工業用・エキス(飲料・食品メーカー向け):数量 18,720(推定の生豆使用量(トン))× 価格 0.00(1トンあたりの売上(億円/トン。10年で1.10倍。受託加工で相場に連動))→ 売上 43 億円・営業利益 2 億円。エキスが緩やかに増える。営業利益率3.5%
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.2% が k 8.35% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)36 億円。全体の PER 13.06 倍、時価総額 130 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:イオントップバリュ向けの比率が13%から18%に上がり、家庭用は伸びている。2026/12期の営業利益率は4.5%前後の見通しで、この水準が定着する筋書きなので20%とした。
中立 35% 中立:豆相場の下落で売上は伸びず、営業利益率は4%台前半で横ばい 利益 6 億円 · PER 12.0 倍 · 株価時価総額 760 円102 億円
国内のコーヒー消費は、人口の減少で緩やかに減る。2025年は39.7万トンで、40万トンを割るのは25年ぶりだった。同社は、家庭用で受託を伸ばして数量を5%増やすが、業務用は喫茶店の閉店で8%減る。単価は、生豆相場が高値から下がるため、物価の1.34倍には届かず1.2倍前後にとどまる。
売上は190億円弱、営業利益は8億円、営業利益率は4.2%になる。2026/12期の会社予想(営業利益8.5億円)より低く、直近の4.4%を少し下回る。生豆相場が下がる局面は、売価の下落を通じて売上が減るが、利益率は守られやすい。
純利益は6億円台で、配当性向を3割とすると、自己資本は約114億円に膨らむ。うち約43億円が余った現金になり、事業のROEは8%と資本コストにわずかに届かない。
- 家庭用(小売店向け・PB受託を含む):数量 7,350(推定の生豆使用量(トン))× 価格 0.01(1トンあたりの売上(億円/トン。10年で1.22倍。豆相場の下落で物価に届かない))→ 売上 83 億円・営業利益 3 億円。数量は5%増、単価は豆相場の下落で物価に届かず1.22倍。営業利益率3.6%
- 業務用(外食・宿泊・喫茶店向け):数量 5,428(推定の生豆使用量(トン))× 価格 0.01(1トンあたりの売上(億円/トン。10年で1.20倍。豆相場の下落で物価に届かない))→ 売上 66 億円・営業利益 4 億円。喫茶店の閉店で数量8%減。営業利益率5.5%
- 工業用・エキス(飲料・食品メーカー向け):数量 17,640(推定の生豆使用量(トン))× 価格 0.00(1トンあたりの売上(億円/トン。10年で1.10倍。受託加工で相場に連動))→ 売上 38 億円・営業利益 1 億円。数量は横ばい、単価は相場連動で1.1倍。営業利益率3%
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.2% が k 8.35% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.0 倍 + 余った現金(戻り方込み)32 億円。全体の PER 11.98 倍、時価総額 102 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:数量は家庭用が増え、業務用が減る。単価は生豆相場が高値から下がるため物価に届かない。営業利益率は2025/12期の4.4%より少し低い4.2%で、最も厚い35%とした。
やや悲観 26% やや悲観:大手の価格攻勢と業務用の縮小で、営業利益率が3%を割る 利益 4 億円 · PER 8.3 倍 · 株価時価総額 362 円49 億円
大手が特売と値引きで受託先を奪い、家庭用の数量が5%減る。業務用は、喫茶店・外食の縮小で数量が15%減る。生豆の相場が再び跳ね、価格転嫁が遅れる年もある。
売上は160億円と今とほぼ同じで、営業利益は4.5億円、営業利益率は2.8%に落ちる。2019/12期から2022/12期のように、利益がほとんど出ない状態が続く期間が長くなる。固定費の重い神奈川の工場で稼働率が落ち、値引きに応じざるをえない構図だ。
純利益は3億円台で、配当は小さく、自己資本は約99億円に膨らむ。事業のROEは5%を割る。親会社のUCCが52%を持つため、余った現金は株主に戻りにくい。
- 家庭用(小売店向け・PB受託を含む):数量 6,650(推定の生豆使用量(トン))× 価格 0.01(1トンあたりの売上(億円/トン。10年で1.22倍。豆相場の下落で物価に届かない))→ 売上 71 億円・営業利益 2 億円。大手の特売に押され数量5%減、単価は上がらない。営業利益率2.5%
- 業務用(外食・宿泊・喫茶店向け):数量 5,015(推定の生豆使用量(トン))× 価格 0.01(1トンあたりの売上(億円/トン。10年で1.20倍。豆相場の下落で物価に届かない))→ 売上 57 億円・営業利益 2 億円。外食・喫茶の減少で数量15%減。営業利益率4%
- 工業用・エキス(飲料・食品メーカー向け):数量 16,200(推定の生豆使用量(トン))× 価格 0.00(1トンあたりの売上(億円/トン。10年で1.10倍。受託加工で相場に連動))→ 売上 32 億円・営業利益 1 億円。大口が調達を自社化し数量1割減。営業利益率1.5%
倍率:事業の ROE 4.6% が k を大きく下回る。稼ぐ力(事業の純利益 ÷ k)から、上限 11.9 倍の 7 割の 8.3 倍に置いた。引き上げはしていない。
確率:2019/12期から2022/12期のうち3期が赤字で、利益率が3%を割った実績がある。生豆相場の乱高下、大手の特売、業務用の縮小のいずれかで起きうるので、中立より薄く26%とした。
悲観 11% 悲観:主要な受託先を失い、薄い利益が消える 利益 1 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 185 円25 億円
主要な受託先を失う。イオントップバリュなど大口が、他社や自社工場に移る。生産拠点が神奈川の1か所なので、稼働率が落ちると固定費が重くなり、利益が消える。業務用は、販売子会社のアートコーヒーの縮小とともに数量が3割減る。
売上は130億円、営業利益は1億円前後で、事業の稼ぐ力はほぼ消える。この状態の価値は、持っている現金と運転資本、工場の土地建物で支えられる。ただし、親会社が過半を持つため、少数株主は現金を取り出せない。
2020/12期の純損失21億円は、薄い利益の会社が一度崩れると大きく傷むことを示した。ここでは再び同じことが起きる。
- 家庭用(小売店向け・PB受託を含む):数量 5,950(推定の生豆使用量(トン))× 価格 0.01(1トンあたりの売上(億円/トン。10年で1.22倍。豆相場の下落で物価に届かない))→ 売上 61 億円・営業利益 1 億円。大手PBが他社に移り数量15%減。営業利益率0.8%
- 業務用(外食・宿泊・喫茶店向け):数量 4,130(推定の生豆使用量(トン))× 価格 0.01(1トンあたりの売上(億円/トン。10年で1.20倍。豆相場の下落で物価に届かない))→ 売上 44 億円・営業利益 0 億円。販売網の縮小で数量3割減。営業利益率1%
- 工業用・エキス(飲料・食品メーカー向け):数量 13,500(推定の生豆使用量(トン))× 価格 0.00(1トンあたりの売上(億円/トン。10年で1.10倍。受託加工で相場に連動))→ 売上 25 億円・営業利益 0 億円。受託の取引が細り数量25%減。営業利益率0.3%
倍率:事業の稼ぐ力はほぼ消え、純利益 0.6 億円 ÷ k では 7 億円にしかならない。そこで売れる資産の税後を床にした。PBR は床の約 25 億円を今の自己資本 71 億円で割った 0.35 倍。
確率:主要な受託先(現状はイオントップバリュが売上の18%)を失い、主力工場の稼働が落ちる筋書き。親会社のUCCが生産を分け合うため倒れる形ではないが、一度崩れると戻りにくいので11%とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
家庭用(小売店向け・PB受託を含む)
小売店の棚に並ぶレギュラーコーヒー。ブランドは顧客のもの(プライベートブランド)が多い。
| 数量推定の生豆使用量(トン) | 価格1トンあたりの売上(億円/トン。10年で1.22倍。豆相場の下落で物価に届かない) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 7,000 | 0.01 | 65 | 2 |
| 10 年後 中立 | 7,350 | 0.01 | 83 | 3 |
取り方:有価証券報告書は用途別の金額を開示しない。連結売上160.6億円を、主要販売先のイオントップバリュー28.3億円(17.7%)と家庭用への分類変更を踏まえ、家庭用65億円・業務用60億円・工業用ほか35.6億円と推定した。生豆の使用量3.1万トン(有報)を、受託加工の多い工業用に18,000トン、家庭用に7,000トン、業務用に5,900トンと配分した。有報の生豆使用量と購入単価の積は売上より大きく、受託加工の豆が含まれるなどが考えられるが未確認。営業利益は全社7.1億円を家庭用3.5%・業務用5.5%・工業用4.2%に配分した推定。
業務用(外食・宿泊・喫茶店向け)
喫茶店・外食・宿泊向けのコーヒー。販売子会社のアートコーヒーが窓口。
| 数量推定の生豆使用量(トン) | 価格1トンあたりの売上(億円/トン。10年で1.20倍。豆相場の下落で物価に届かない) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 5,900 | 0.01 | 60 | 3 |
| 10 年後 中立 | 5,428 | 0.01 | 66 | 4 |
取り方:家庭用の欄に書いたとおり、用途別の売上は推定。アートコーヒー(売上44.8億円)を含む業務用を60億円と置いた。営業利益率は5.5%と推定。
工業用・エキス(飲料・食品メーカー向け)
飲料・食品メーカー向けの豆とコーヒーエキスの加工・販売。受託加工の色が強い。
| 数量推定の生豆使用量(トン) | 価格1トンあたりの売上(億円/トン。10年で1.10倍。受託加工で相場に連動) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 18,000 | 0.00 | 36 | 2 |
| 10 年後 中立 | 17,640 | 0.00 | 38 | 1 |
取り方:家庭用の欄に書いたとおり、用途別の売上は推定。連結売上から家庭用・業務用を引いた約35.6億円を工業用ほかとした。受託加工の豆の数量が大きいと見て18,000トン。営業利益率は4.2%と推定。
リスクと懸念
生豆相場の乱高下
アラビカは2025年に約47年ぶりの高値をつけ、その後下がっている。上がる局面は転嫁が遅れ、下がる局面は売価の下落が速い。売上総利益は2025年に売上の4分の1の伸びで4%しか増えなかった。
受託先の集中と変更
イオントップバリューが売上の17.7%を占める。大口の小売店が発注先を変えれば、稼働率が落ち、固定費の重い工場の利益が消える。
生産拠点が1か所
神奈川総合工場だけが生産拠点で、東日本の大地震などで止まれば出荷ができなくなる。親会社のUCCグループが補う可能性はあるが、条件は不明である。
親会社の方針
UCCグループが52.7%を持つ。配当や自社株買いを厚くする圧力は弱く、完全子会社化なら少数株主はその時の価格を受け入れるしかない。
業務用の縮小
喫茶店・外食の閉店が続き、業務用の数量は細る。販売子会社のアートコーヒーが連結売上の10%超を占める。
繰越欠損金の使い切り
2025/12期は税負担が軽く、純利益が膨らんだ。通常の税率に戻ると、同じ営業利益でも純利益は3割ほど減る。
今後の分かれ目
- 家庭用の好調が続き、イオントップバリュ以外の大手小売にも受託が広がる
- 営業利益率は5%台に乗り、やや楽観から楽観の筋書きに寄る。
- 生豆相場が大きく下がり、売価の下落が原価の下落より遅れる
- 売上は減るが営業利益率は改善する。2026/12期の会社予想(営業利益8.5億円)を上回る。
- 生豆相場が再び高騰し、転嫁が遅れる
- 営業利益率が3%台に落ち、やや悲観の筋書きに寄る。
- UCCグループが完全子会社化のTOBを発表する
- 本質価値ではなく取引の価格が決まる。市場がすでにプレミアムを織り込んでいるかを見る。
- 大口の受託先が離れる
- 工場の稼働率が下がり、営業利益が数億円規模で減る。悲観の筋書きに寄る。
- 親会社が配当性向を大きく引き上げる
- 余った現金の戻り方が上がり、価値が上振れる。ただし親会社は過半を持つため、少数株主に有利な変更を急ぐ理由は弱い。
見ておくもの
- 2026/12期の営業利益(会社予想8.5億円)と第3四半期(11月13日発表予定)
- 生豆の購入価格と、売価の改定のタイミング
- イオントップバリューの売上比率(17.7%)と、新しい大口の受託先
- 配当性向(約2割)と、自社株買いの有無
- UCCグループの持株比率(52.7%)の変化と、TOBの開示
倍率と資本コストの決め方
売上は家庭用・業務用・工業用の3つを、推定の数量(生豆の使用量3.1万トンを配分)と単価で積み、単価は生豆相場が高値から下がるため、物価の1.34倍に届かない1.1〜1.22倍に置いた(同じ領域のキーコーヒーの置き方に揃えた)。倍率は式(ROEがk以下なら1÷kが上限)の7〜9割に置き、値決めの弱さを反映した。余った現金は戻り方0.5で別に足した。今・過去・同業のPER・PBRは根拠にしていない。悲観は純現金・運転資本・工場の土地建物の一部を床にし、帳簿のPBRの底は使っていない。営業利益率は過去12年の山(6.4%)を超えない範囲に抑えた。今の株価(PBR2.5倍)には寄せていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.1→14.43 倍・やや楽観 PER 11.2→13.06 倍・中立 PER 10.6→11.98 倍)。
資本コスト 8.4% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality +0.9% = 8.4%。生豆相場の乱高下や受託先の変更といった個別のリスクは k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.40% → 8.35%。