結論
AMGホールディングスは、名古屋・岐阜のマンション、川崎・横浜と九州の戸建、東海の建設会社を束ねる住宅の持株会社だ。年に約560戸を売り、売上は314億円になる。親会社は自動車ディーラーのVTホールディングスで、議決権の43%を持つ。
筆者の結論は、今の値段はほぼ適正で、わずかに割安寄り、というものだ。時価総額は約57億円で、純利益12億円の5倍ほどにすぎない。自己資本は120億円あり、時価総額はその半分に届かない。
ただし手放しでは喜べない。住宅の分譲は在庫を借金で抱える商売で、純有利子負債は112億円と時価総額の2倍ある。金利が上がれば利払いが利益を削り、住宅の需要そのものも細る。筆者は、10年の利益はほぼ横ばいにとどまり、ROE(自己資本利益率)は資本コストに届かないと見る。
それでも割高とは見ないのは、利益を積んだ自己資本の多くが現金や買収の原資として株主の価値に残るからだ。買った会社を安く手に入れてきた実績もある。逆に、住宅不況で在庫の評価損が出れば、価値は自己資本の4割前後まで落ちる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「平凡な事業を、上手な資本の使い方で育ててきた会社」と見る。
住宅の分譲そのものに堀はない。土地を仕入れ、建て、売る。値段は市場が決め、在庫は借金で抱える。オーナーとして長く持ちたい種類の事業ではない。
ただ、経営は資本の配分で価値を足してきた。後継者難の地方の住宅会社を純資産より安く買い、その利益で自己資本を厚くした。安く買う規律が続く限り、積まれた利益は株主の価値として残る。
安全域は値段の低さにあるが、厚くはない。時価総額は自己資本の半分に届かず、普通の年の純利益の5倍ほどだ。10年の利益が横ばいでも、積まれる自己資本の一部が株主に戻れば、今の値段はおおむね報われる。ただ、住宅不況が来れば帳簿の半分も残らない。
気になるのは2つだ。親会社がいて少数株主の声が届きにくいこと、住宅不況で在庫の評価損が出ると自己資本が一気に削られることだ。
何で稼ぐ会社か
事業は3つの区分に分かれる。2026年3月期の売上は、不動産開発が203億円、建設が107億円、管理が9億円だ。営業利益は全社で19億円、売上に対して6%強である。
不動産開発が稼ぎの中心だ。名古屋・一宮・岐阜でマンション「More Grace」を売るエムジーホーム、川崎・横浜・西東京で戸建「ブランピュール」を売るTAKI HOUSE、熊本・久留米・三重で戸建を売る川﨑ハウジングが入る。2026年3月期の引き渡しはマンション156戸、戸建322戸の計478戸だった。
建設は、東京・名古屋・大阪で高級な注文住宅や商業施設を建てるアーキッシュギャラリーと、岐阜・愛知でマンションや店舗の施工を請け負う髙垣組だ。グループのマンションも建てるので、売上の一部は内部の取引として消える。
管理は、売ったマンション250棟・6,681戸と戸建6,730戸の管理と修繕だ。売上は小さいが利益率は2割を超え、売った住宅が増えるほど積み上がる。
会社の歩みは買収の歴史でもある。2014年のアーキッシュギャラリーから、2020年のTAKI HOUSE、2021年の髙垣組、2022年の川﨑ハウジングまで、地方の住宅会社を次々に傘下に入れてきた。川﨑ハウジングは純資産より安い値段で買い、負ののれんの利益が出た。
優良さと弱いところ
事業の質は、分譲会社としては普通だ。強みと弱みがはっきりしている。
強みは買収の上手さだ。後継者に悩む地方の住宅会社を、純資産を下回る値段で買ってきた。川﨑ハウジングの買収では負ののれんが利益に乗り、2023年3月期の純利益は30億円に跳ねた。安く買って自己資本を増やす形は、バリュー投資家の目から見て筋が良い。
弱みは値段を決める力がないことだ。マンションも戸建も、近くの同業と土地を奪い合い、買い手は金利と価格を比べて動く。営業利益率は良い年で8%台、リーマン後の2009年3月期には11%を超える赤字だった。売る物件を借金で抱えるので、売れ行きが止まれば在庫の評価損と利払いが同時に効く。
地域を分けていることは守りになる。名古屋、首都圏の西側、九州と三重は、それぞれ別の景気で動く。1つの市場の不振が全社を倒す形ではない。
資本効率は落ちてきた。ROEは2017〜2021年に20%前後あったが、自己資本が膨らみ、ここ3年は10%前後だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
住宅の分譲は、数量で見ると縮む市場だ。2025年の新設住宅着工は74万戸と62年ぶりの低さで、分譲の戸建は11.6万戸だった。人口が減り、空き家は1割を超える。筆者は、10年で業界の戸数は2〜3割減ると見る。
価格はここ5年で大きく上がった。土地と建築費の上昇で、戸建もマンションも1戸の値段は上がり続けた。ただ、10年国債が3%の世界では住宅ローンの金利も上がり、買い手が払える額には上限がある。筆者は、10年の販売単価の伸びは物価を下回る年1〜2%に落ちると見る。
この環境で伸びるのは、シェアを取る会社と、買収で地域を広げる会社だ。後継者難の地場の工務店や分譲会社は多く、売り手には事欠かない。AMGは地方の中堅を安く買う役を担ってきた。
競合は地域ごとに違う。名古屋のマンションでは大手のデベロッパーや地場の分譲会社、首都圏の戸建ではオープンハウスグループや飯田グループホールディングス、ケイアイスター不動産が強い。規模では大手に勝てないので、土地の仕入れと施工の効率が勝負になる。
金利の上昇は二重に効く。買い手のローンが重くなり、会社の在庫の借入も重くなる。リーマン級の不況では着工が3割落ち、中堅の分譲会社の破綻が相次いだ。
資本政策と M&A
還元は配当だけで、2026年3月期の配当の総額は約2億円だった。2027年3月期は増配を予定する。配当性向は2割弱と低く、自社株買いの実績はない。
利益の大半は自己資本に積まれ、在庫の仕入れと買収に回ってきた。自己資本は2015年3月期の15億円から120億円まで増えた。買収は純資産より安い値段で行ってきたので、積んだ利益が価値を壊す使われ方はしていない。
親会社のVTホールディングスは議決権の43%を持ち、AMGを連結の子会社として住宅の事業に位置づけている。親子上場のため、少数株主は余った資本の使い道を決められない。親会社が残りの株を買い取る道は残るが、その動きはまだ出ていない。
株主優待はない。資本コストや株価を意識した経営の具体的な数字の目標も、筆者が見た範囲では示されていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
AMGホールディングスは、時価総額が自己資本の半分に届かず、純利益の5倍ほどで買える。住宅の分譲会社としても低すぎる値段だ。
この会社の強みは買収の上手さにある。後継者に悩む地方の住宅会社は多く、AMGは川﨑ハウジングのように純資産より安い値段で買ってきた。売上は11年で7倍になり、自己資本は8倍になった。安く買って利益を積み、その利益でまた安く買う。この循環は、住宅の市場が縮んでも続けられる。
地域を分けていることも効く。名古屋のマンション、首都圏西側の戸建、九州と三重の戸建は、別々の景気で動く。管理の戸数は売った住宅の分だけ積み上がり、安定した利益になる。
配当は増え続け、2027年3月期も増配を予定する。親会社のVTホールディングスが残りの株を買い取る道もあり、その時は自己資本に近い値段が意識される。今の値段は、利益が横ばいでも報われる水準だ。借入が多いのは在庫を抱える業態の性質で、在庫が売れれば借入は返る。
慎重な見方
安いのには理由がある。AMGは在庫を借金で抱える住宅の分譲会社で、純有利子負債は時価総額の2倍ある。金利が上がれば利払いが増え、買い手のローンも重くなる。二重に効く逆風だ。
住宅の市場は縮む。新設住宅着工は62年ぶりの低さで、地方の戸建は人口減と空き家の増加の真ん中にいる。業界の戸数が2〜3割減る中で、戸数を保つだけでも買収が要る。
利益率も高くない。営業利益率は6%前後で、良い年でも8%台だ。リーマン後には二桁の赤字を出した。在庫の評価損が出れば、自己資本120億円は帳簿どおりの価値を持たない。
親子上場も重い。親会社が議決権の43%を持ち、配当性向は2割弱だ。積まれた利益は少数株主の手に戻らず、次の買収と在庫に回る。ROEはここ3年で10%前後まで下がり、資本コストに届かなくなっている。安い値段は、こうした重荷をまとめて映したものにすぎない。値段が低いことだけを理由に飛びつくのは危うい。
どちらに重みを置いたか
利益が10年でほぼ横ばいにとどまり、ROEが資本コストに届かない点では、慎重な見方が正しい。ただ、今の値段はその弱さをほぼ映しており、積まれる自己資本の一部が戻る分だけ、価値がわずかに上回る。確率は中立を中心に、借金と住宅不況の重さを見て慎重な側にやや厚くした。親会社による買い取りの道は上振れに含めたが、確率は大きくしていない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 5,016 円141 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 833 円23 億円)。 今の値に割り戻すと 2,773 円78 億円、今との差 +34.1%、 期待の年率 +11.0%(資本コスト 8.5%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 8,612 円241 億円 | 1,142 円32 億円 | +371.7% | +16.8% | 878 円25 億円 |
| やや楽観 | 22% | 6,978 円195 億円 | 1,000 円28 億円 | +285.8% | +14.5% | 1,755 円49 億円 |
| 中立 | 34% | 5,728 円160 億円 | 892 円25 億円 | +220.1% | +12.3% | 2,251 円63 億円 |
| やや悲観 | 23% | 2,738 円77 億円 | 714 円20 億円 | +66.9% | +5.3% | 794 円22 億円 |
| 悲観 | 12% | 1,071 円30 億円 | 357 円10 億円 | −30.9% | −3.6% | 171 円5 億円 |
| 加重平均 | 100% | 5,016 円141 億円 | 833 円23 億円 | +182.8% | +11.0% | 5,849 円164 億円 |
今の株価時価総額 2,068 円58 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 9% 安い買収が続き、戸数を増やす 利益 18 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 8,612 円241 億円
筆者が描く上振れは、これまでの勝ち筋がもう10年続く姿だ。後継者に悩む地方の住宅会社を、純資産を下回る値段で2〜3社買う。業界の戸数は2割減るが、AMGの引き渡しは560戸まで増える。
1戸の値段は、首都圏の戸建と名古屋のマンションの比重が上がり、物価に近い速さで上がる。土地の仕入れと施工の効率が効き、開発の利益率は8.5%と過去の良い年の水準を保つ。管理戸数は売った住宅の分だけ積み上がる。
借入の金利は上がるが、利益の伸びがそれを吸収する。配当は増やし続け、10年で32億円を払う。親会社が残りの株を買い取る提案を出す道も、この筋書きに含まれる。
- 不動産開発(分譲マンション・戸建):数量 560(引き渡し戸数(戸))× 価格 5,522(1戸あたりの売上(万円))→ 売上 309 億円・営業利益 26 億円。買収で戸数増
- 建設(注文住宅・商業施設の施工):数量 125(完成工事の件数(件、推定))× 価格 11,549(1件あたりの完成工事高(万円、推定))→ 売上 144 億円・営業利益 10 億円。注文住宅が伸びる
- 不動産管理:数量 18,000(管理戸数(戸))× 価格 9.41(1戸あたりの年間の管理売上(万円))→ 売上 17 億円・営業利益 4 億円。管理戸数が積み上がる
倍率:事業の純利益 18 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.1% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.11 倍、時価総額 212 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:負ののれんで買える売り手がいる限り、買収で戸数を増やせる。過去10年で売上は5倍になった実績はあるが、住宅の市場が縮む中で同じ速さは難しいので1割弱。
やや楽観 22% 地域を広げ、戸数を少し増やす 利益 14 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 6,978 円195 億円
業界の戸数が減る中で、AMGは1〜2社の買収と既存の地域でのシェアの上積みで、引き渡しを520戸まで増やす。名古屋のマンションは駅に近い立地に絞り、1戸の値段は物価よりやや遅く上がる。
開発の利益率は8%に戻る。建設は注文住宅の単価が上がり、利益率は6.5%だ。管理は戸数が積み上がり、利益の柱の1つになる。本社の費用は物価並みに増える。
営業利益は26億円近くまで伸びるが、借入の借り換えで利払いが増え、純利益は14億円ほどにとどまる。配当は利益に沿って増やし、10年で28億円を払う。積まれた自己資本は次の買収の原資になる。
- 不動産開発(分譲マンション・戸建):数量 520(引き渡し戸数(戸))× 価格 5,350(1戸あたりの売上(万円))→ 売上 278 億円・営業利益 22 億円。シェアの上積み
- 建設(注文住宅・商業施設の施工):数量 115(完成工事の件数(件、推定))× 価格 11,549(1件あたりの完成工事高(万円、推定))→ 売上 133 億円・営業利益 9 億円。単価が上がる
- 不動産管理:数量 17,000(管理戸数(戸))× 価格 9.41(1戸あたりの年間の管理売上(万円))→ 売上 16 億円・営業利益 4 億円。戸数が積み上がる
倍率:事業の純利益 14 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.9% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 164 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:買収の実績は続いており、業界の縮みを上回って戸数を少し増やす姿は十分ありうる。上振れの中心として2割強。
中立 34% 戸数は保つが、利払いが利益を削る 利益 11 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 5,728 円160 億円
筆者が最も起こりやすいと見るのは、戸数がほぼ横ばいで続く姿だ。業界の分譲の戸数は10年で2〜3割減るが、AMGは買収とシェアの上積みで引き渡しを480戸前後に保つ。
1戸の値段は、ローン金利の上昇で買い手の予算に天井があり、物価より遅い年2%で上がる。開発の利益率は7.5%、建設は6%だ。管理の戸数は売った分だけ増える。本社の費用は物価並みに増える。
営業利益は21億円と今とほぼ同じだが、物価を差し引くと実質では細る。借入112億円の借り換えで利払いが年3億円ほど増え、純利益は11億円ほどになる。配当は少しずつ増やして10年で25億円。利益の多くは自己資本に積まれ、ROEは5%台に下がる。
- 不動産開発(分譲マンション・戸建):数量 480(引き渡し戸数(戸))× 価格 5,183(1戸あたりの売上(万円))→ 売上 249 億円・営業利益 19 億円。戸数は横ばい。単価はローン金利で買い手の予算に天井があり年2%(業種の前提の年1〜2%)
- 建設(注文住宅・商業施設の施工):数量 110(完成工事の件数(件、推定))× 価格 11,549(1件あたりの完成工事高(万円、推定))→ 売上 127 億円・営業利益 8 億円。単価は物価並み
- 不動産管理:数量 16,000(管理戸数(戸))× 価格 9.41(1戸あたりの年間の管理売上(万円))→ 売上 15 億円・営業利益 3 億円。戸数が積み上がる
倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.6% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 127 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:業界の戸数の減少と、買収・シェアの上積みが打ち消し合う最も自然な姿。過去3年の利益率6%前後が続く筋書きとして3割台半ば。
やや悲観 23% 金利の上昇で売れ行きが鈍り、利益が細る 利益 3 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 2,738 円77 億円
住宅ローンの金利が上がり、買い手の予算が縮む。地方の戸建とマンションの売れ行きが鈍り、引き渡しは400戸まで減る。値引きで在庫を回すので、1戸の値段は物価の半分ほどしか上がらない。
開発の利益率は5%に下がり、建設も受注の競争で4.5%に落ちる。在庫を抱える期間が延びて借入が膨らみ、利払いは年4億円近く増える。純利益は3億円を切る。
配当は維持を優先するが、利益に合わせて10年で20億円にとどまる。買収は止まる。価値は稼ぐ力よりも、自己資本のうち在庫の値引きを差し引いて残る分で決まる。管理の利益だけは、売った住宅の数に支えられて残る。
- 不動産開発(分譲マンション・戸建):数量 400(引き渡し戸数(戸))× 価格 4,758(1戸あたりの売上(万円))→ 売上 190 億円・営業利益 10 億円。売れ行きが鈍る
- 建設(注文住宅・商業施設の施工):数量 100(完成工事の件数(件、推定))× 価格 11,105(1件あたりの完成工事高(万円、推定))→ 売上 111 億円・営業利益 5 億円。受注の競争
- 不動産管理:数量 15,000(管理戸数(戸))× 価格 9.00(1戸あたりの年間の管理売上(万円))→ 売上 14 億円・営業利益 3 億円。管理は保つ
倍率:純利益2.6億円の稼ぐ力は年金で見て約27億円にとどまる。価値は床の資産で測り、今の自己資本120億円に0.4倍をかけた48億円とする。
確率:住宅ローン金利の上昇は既に始まっている。買い手の予算が縮み、在庫の回転が鈍る姿は十分ありうるので2割強。
悲観 12% 住宅不況で在庫の評価損が出て、赤字が続く 利益 −10 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 1,071 円30 億円
リーマン級の住宅不況が来る。着工は3割落ち、地方の戸建とマンションは売れ残る。AMGは在庫を投げ売りし、評価損を出す。引き渡しは300戸まで減り、開発は赤字に転じる。
建設も受注が細り、利益はほぼ消える。借入の金利は上がり、利払いが赤字を広げる。全社で年10億円規模の赤字が数年続き、自己資本は100億円まで削られる。
配当は減らし、10年で10億円しか払えない。会社は清算されず、親会社の支援で生き残るが、少数株主に戻る資本は乏しい。床は、残った自己資本から在庫の追加の値引きを差し引いた額の半分とみる。
- 不動産開発(分譲マンション・戸建):数量 300(引き渡し戸数(戸))× 価格 4,500(1戸あたりの売上(万円))→ 売上 135 億円・営業利益 −3 億円。投げ売り・評価損
- 建設(注文住宅・商業施設の施工):数量 80.0(完成工事の件数(件、推定))× 価格 10,500(1件あたりの完成工事高(万円、推定))→ 売上 84 億円・営業利益 2 億円。受注が細る
- 不動産管理:数量 13,411(管理戸数(戸))× 価格 8.50(1戸あたりの年間の管理売上(万円))→ 売上 11 億円・営業利益 2 億円。管理は残る
倍率:赤字が続き、稼ぐ力では測れない。価値は床の資産で測り、今の自己資本120億円に0.25倍をかけた30億円とする。
確率:リーマン後の2009〜2010年に二桁の赤字を出した実績がある。借入が多い今の形では同じ谷が来れば深いので1割強。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
不動産開発(分譲マンション・戸建)
名古屋・岐阜のマンション、首都圏の西側・九州・三重の戸建の分譲。
| 数量引き渡し戸数(戸) | 価格1戸あたりの売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 478 | 4,248 | 203 | 17 |
| 10 年後 中立 | 480 | 5,183 | 249 | 19 |
取り方:2026年3月期の不動産開発の売上203.05億円、利益16.59億円(有報)。引き渡しはマンション156戸・戸建322戸の計478戸(有報)で、1戸あたりの売上は売上÷戸数。土地の売却などを含む。
建設(注文住宅・商業施設の施工)
アーキッシュギャラリーの高級注文住宅と、髙垣組のマンション・店舗の施工。
| 数量完成工事の件数(件、推定) | 価格1件あたりの完成工事高(万円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 120 | 8,884 | 107 | 7 |
| 10 年後 中立 | 110 | 11,549 | 127 | 8 |
取り方:2026年3月期の建設の売上106.61億円、利益7.34億円(有報。グループ内の工事を含む)。住宅の販売は86戸と開示があるが商業施設もあるため、件数は1件約0.9億円で割り戻した推定。
不動産管理
分譲したマンションと戸建の管理・修繕。
| 数量管理戸数(戸) | 価格1戸あたりの年間の管理売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 13,411 | 7.02 | 9 | 2 |
| 10 年後 中立 | 16,000 | 9.41 | 15 | 3 |
取り方:2026年3月期の管理の売上9.42億円、利益2.07億円(有報)。管理戸数はマンション6,681戸と戸建6,730戸の合計(有報)。
リスクと懸念
金利の上昇と住宅の需要
10年国債が3%の世界では住宅ローンの金利も上がり、買い手が払える額が縮む。地方の戸建は価格に敏感で、売れ行きが鈍れば値引きで在庫を回すしかない。単価が物価に届かなければ、利益率は過去の普通の年の6%を割る。
借入の重さと在庫の評価損
純有利子負債は112億円で、時価総額の2倍ある。在庫を借金で抱える形なので、売れ行きが止まれば利払いと評価損が同時に効く。リーマン後の2009〜2010年には二桁の赤字を出した。
親子上場と少数株主
親会社のVTホールディングスが議決権の43%を持つ。配当性向は2割弱で、積まれた資本の使い道を少数株主は決められない。親会社が残りの株を買い取る場合、その値段が本質価値を下回る恐れもある。
買収の規律
成長の多くは地方の住宅会社の買収から来た。これまでは純資産より安く買えたが、高い値段で買えば、のれんの減損で積んだ自己資本が削られる。売り手の簿外の債務や施工の不具合を引き継ぐ恐れもある。
建築費と人手
建築資材と職人の人件費は上がり続ける。販売単価に転嫁できなければ利益率が削られる。施工を担う髙垣組でも、職人の確保が工期と利益を左右する。
今後の分かれ目
- 新たな住宅会社を純資産を下回る値段で買う
- 安く買う規律が続いている証拠。戸数の中立を引き上げ、確率を上振れに寄せる。
- 親会社のVTホールディングスが残りの株の買い取りを提案する
- 提案の値段と、10年の稼ぐ力と積まれる資本で測った本質価値を比べる。今の値段は本質価値に近いので、提案に上乗せがあるかが焦点になる。
- 販売用不動産が2期続けて売上の伸びを上回って増える
- 在庫が積み上がっている。やや悲観の確率を上げ、在庫の評価損の筋を厚くみる。
- 配当性向を3割以上に上げる、または自社株買いを始める
- 積まれた資本が株主に戻る。戻り方を1.0に見直す。
- 開発の利益率が2期続けて5%を割る
- 金利上昇と建築費の転嫁が進んでいない。中立の利益率を下げる。
見ておくもの
- 引き渡し戸数と契約戸数(マンション・戸建)
- 販売用不動産と有利子負債の残高
- 住宅ローン金利と分譲戸建の着工戸数
- 買収の値段(負ののれんか、のれんか)
- 配当性向と親会社の持株比率
倍率と資本コストの決め方
倍率は事業のROEが資本コスト8.5%を下回るため、式の上限1÷k=10.5倍を基準に、中立は8割の8.4倍とした。今のPER5倍・PBR0.5倍は見ていない。同じ領域の会社(中立PER 8〜11倍、k 9〜10%)と物差しをそろえた。悲観側は今の自己資本から在庫の値引きを引いた床で測った。積まれる自己資本は計算が戻り方0.75で足す。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.5→12.11 倍・やや楽観 PER 9→11.76 倍・中立 PER 8.4→11.76 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。