結論
リアルゲイトは、東京都心の古い中小型ビルを魅力あるオフィスに作り替え、賃貸と物件売却で稼ぐ会社である。筆者の結論は「割高」だ。98%超の既存施設稼働率と値上げの実績には価値があるが、借金と追加投資を伴う成長の利益を、現在の株価は先取りしている。
2025年9月期の売上高は約98億円、営業利益は約10億円だった。2026年6月にはヒューリックとの提携と約25億円の資金調達で保有物件を増やす力を得た。成長の仕組みは明確だが、資産を買うための資金を誰が出し、儲けを誰に返すかが株主価値を決める。所有物件の拡大に比べて賃料の回収や売却が遅れると、高い会計上の利益が出ても現金は手元に残らない。
10年後の中立では、保有物件の稼働を増やして営業利益が56億円ほどに達する姿を考える。それでも金利負担と建物更新を考慮すると、将来価値を今に戻した額は株式時価総額223億円に届かない。五つの筋書きの確率加重による現在価値は約127億円となり、今の時価総額に対して約43%低い。大きな成功があれば上振れるが、筆者が長く持つ株主なら、この資本構造と株主還元の実績には相応の安全域を求める。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、リアルゲイトの建物再生は「よい仕事」と「よい株式投資」が同じとは限らない典型だ。入居が続き、古いビルの賃料を引き上げる能力は評価できる。都心の小型ビルは簡単には新しく供給されず、築古のままでは使いにくい建物に手を入れる需要も続く。会社が手掛けた物件の多くには、住む街に近い働く場を欲しい顧客が集まっている。
しかし株主に残るのは売上ではなく、家賃・改修費・金利・税を払った後の現金だ。マスターリースの固定家賃は、賃料回収が遅れれば借金に似た負担になる。保有物件では帳簿上の減価償却費より将来の更新投資が大きくなることもある。簿価の土地に含み益がある可能性は認めるが、鑑定された税後価値と売却方針がない限り、稼ぐ利益に加えてもう一度価値を足すことはしない。
経営者の資本配分を判断する資料はまだ短い。2023年上場以降、自己資金での物件取得と借入増加が先行し、利益の増分に対する投下資本利回りを十分な期間追跡できない。ヒューリックとの共同事業で自己資金の負担が軽くなれば資本効率は改善するが、利益の取り分も契約で制約される。過去5年で増配も自社株買いも確認できないため、株主への現金の戻り方を過信しない。高い成長目標より、物件ごとの成熟収益が資本コストを超え、それを少数株主が受け取れると確かめられることが重要だ。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの第一の柱はマスターリースだ。ビル所有者から建物を一括で借り、設計・改修・小区画化によってテナントに転貸する。2025年9月末の稼働は39物件で、年間売上は約50億円になる。入居率が高ければ借り上げ賃料との差が利益となるが、入居者が減ってもオーナーへ払う家賃は簡単には減らない。
第二の柱は自社保有物件の賃貸と再生後の売却である。保有型の稼働は当時7物件にすぎなかったが、2026年6月には11物件へ増え、仕入れ済みは16物件に達した。自社物件の賃料は改修費や借入利息を負担して獲得する収入であり、貸すだけでは出資資本への利回りを決められない。再生して売る事業は、2025年度には約32億円と売上の3分の1を占めた。売却は不定期な大型収入なので、安定賃料と同じ性質の利益として見てはいけない。
第三の柱は管理受託と設計・施工だ。運営代行の手数料は自己資金の負担が小さく、管理する建物が増えれば経費を共通化できる。設計・施工は受注や竣工のタイミングで売上が動き、建築費上昇が採算を圧迫する。いずれも同社の建物再生の技術を外部にも売る収入である。会社の会計上の報告セグメントは一つだが、投資家にはマスターリース、保有賃貸、管理、設計施工、売却を分けないと収益の持続力が見えない。
顧客は渋谷・港・目黒などに拠点を置く小規模企業や事業会社、そして物件所有者と不動産投資家だ。サイバーエージェント傘下で培った都心の顧客接点と改修の経験は武器になるが、親会社そのものが購入を保証するわけではない。
優良さと弱いところ
強みは、建物の古さを単なる値引き要因でなく、使い方を変える余地として見つけることだ。都心の細かな物件情報、設計から施工、テナント募集、運営まで一社で回せる体制は、物件所有者にとって相談先を減らす。建物ごとの個性を売るブランドの存在は、表面的な賃料競争を避けるのに役立つ。2026年6月の既存稼働率98.86%と平均賃料の上昇は、付加価値を賃料へ移せている具体的な証拠だ。
ただし他社が乗り越えられない強固な堀とはいえない。築古ビルの再生は、サンフロンティア不動産やトーセイ、地域の設計会社・不動産ファンドも挑戦できる。物件の取得価格は市場で決まり、再販価格も買い手の要求利回りに縛られる。ヒューリックが共同事業の大部分を出資することは仕入れ能力を上げるが、リアルゲイトが大型物件の利益全体を独占できることを意味しない。
財務が最も大きな弱みだ。2025年9月の純有利子負債は約130億円、自己資本は33億円だった。2026年の増資は財務基盤を改善したが、事業拡大の資金の多くを借入で賄う構図は残る。しかも年間約30億円のマスターリース支払賃料が長期の固定的な約束となる。ROEが高くても、それは多額の負債で自己資本を薄く保つ効果を含む。筆者は増分の保有物件が調達資本に見合う利益を生んだかを、個別物件の取得価格・成熟賃料・売却価格で確かめたい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
この会社が戦う市場は、東京の築古中小型ビルと、そこを借りる小規模企業のオフィス需要が重なる場所にある。ザイマックス総研によれば、2026年末の東京23区のオフィス賃貸面積は約1,323万坪に上る。同社の2026年6月末運営面積は約10.9万平方メートルで、約3.3万坪に相当する。全国の不動産市場全体ではなく、渋谷・港・目黒の築20~40年程度のビルが実際の取得候補である。
フレキシブルオフィスの拠点数は2025年末の東京23区で1,964件、都心5区で1,278件だった。リアルゲイトの運営68物件を東京23区の拠点数と単純に比べると約3.5%だが、一般オフィスや管理受託も混ざるので正式な市場シェアではない。競合のリージャスやWeWorkは利用契約型オフィスで競い、サンフロンティアやトーセイは不動産そのものの仕入れ・再生で競う。これらを同じ分母で比較した会社別シェアは公表されておらず、数量の将来予想には実際の同社の獲得棟数を使う。
中立の業界全体は、都心人口の集中が続いても、利用する面積が大きく増えるとは考えにくい。管理受託の手数料は物価連動の約束が弱く、競争と事務自動化によって一棟当たりの単価上昇は物価率を下回る。オフィス賃料と再販価格は長期的に年1%前後の名目上昇へ落ち着くという同じ領域の前提を使う。物価3%を超える同社単価の上昇は、改修による品質向上と大型物件への移行によるもので、市場全体の価格上昇とは区別する。
金利は2020年代前半の低水準に戻らず、国債3%、事業用融資3.5~4%台で見る。買い手の要求利回りが上がれば、たとえ賃料が上がっても物件の売値は伸びない。新築の建築費上昇は既存ビル再生への追い風だが、改修工事費も高くなる。AIや柔軟勤務がオフィス需要をどこまで減らすかは、10年後に競争の形を変える最大の不確実性である。
資本政策と M&A
中期経営計画2028の公表値は、2026年9月期に売上105億円・営業利益14.7億円、2027年9月期に売上115億円・営業利益19.2億円、2028年9月期に売上130億円・営業利益25億円である。営業利益率は2028年に19.2%を目指し、2031年には営業利益50億円という長期目標も掲げる。2026年7月の説明では増資と共同事業により増益目標を一段引き上げる意向を示したが、正式な修正数値が出る前に40%成長を確約した実績とはみなさない。
2026年には公募・第三者割当などで約25億円を調達し、ヒューリックからも約12億円の資本参加を受けた。合弁会社HistoRyの出資比率はヒューリック95%、リアルゲイト5%であり、各物件への直接出資は案件ごとに別途決まる。提携先の資金力を使って大きな物件に挑めるが、合弁資産全額を自社の価値へ足してはいけない。
設立以降、配当の実績はなく、2026年9月期も無配予想である。中期計画に配当性向、DOE、総還元性向、自社株買いの金額など株主還元の数字の約束はない。サイバーエージェントが過半を持つ親子上場の構図では、配当開始や追加増資の判断を少数株主が決められない。10年の株主還元は楽観側で初めて少額が生じ、中立でも純利益の大部分を仕入れと返済に回す慎重な見方とする。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
最大の強みは、日本の新築だけでは満たしにくい都心の中小型オフィスを、古い建物の再生で作れることだ。都心の築古ビルは毎年古くなり、耐震、設備、共用部、通信環境を直さなければ高い賃料を取れない。所有者に大きな初期投資を迫らず、同社が設計から募集まで一気に担えることは、取引のしやすさそのものが競争力になっている。実際に既存施設の稼働率は高く、平均賃料も上がっており、単なる物価上昇以上の価値を創れている。
顧客は画一的な大規模オフィスばかりを求めない。成長企業は必要な面積を小刻みに増減できる場所を欲しがるし、発信力のある立地・内装は採用にも効く。生成AIで事務職が減っても、顧客との打ち合わせや共同制作に使う小型の仕事場への需要は残る。所有していない建物からも家賃差額と管理料を得られるため、不動産価格が高い局面で必ずしも購入する必要はない。
ヒューリックとのHistoRyは経営の転機となる。資本力のある共同相手が購入の大半を担えば、リアルゲイトは改修・運営で知見を提供し、取得競争でこれまで扱えなかった大型案件を実行できる。共同出資の比率を抑えながら工事・管理収入を得る仕組みが定着すれば、従来の重いバランスシートを少しずつ軽くできる。中期計画の営業利益目標を実現するうえで、すでに取得した保有物件が開業・満室化するだけでも収入が増える余地がある。10年の間に共同事業を反復できれば、現在の小さな収益基盤からの飛躍は十分にありうる。
慎重な見方
最大の問題は、不動産再生そのものではなく、その成長を買うために必要な資金の量だ。2025年9月末には自己資本33億円に対して純有利子負債が約130億円あり、ほかに借り上げオフィスへ払う年間約30億円の賃料がある。増資で自己資本は大きくなったが、借入で新たな物件を保有し続けるなら金利と改修費の上昇から逃れられない。利益率が上がったように見えても、保有資産の大きさがさらに増えていれば株主のお金の稼ぎは薄い。
東京都心の築古ビルは誰もが注目するようになった。サンフロンティア不動産、トーセイ、資金力を持つ私募ファンドが同じ土地を競って買えば、施工の腕がよくても入口の価格が採算を決めてしまう。出口も不動産ファンドの要求利回りに縛られ、国債金利が上がる世界では売却額が賃料上昇ほどには増えない。保有物件を高値で売る収益は特に景気と金融条件に左右される。
顧客構成も安心できない。都心の小型オフィスには情報・広告・コンサルティングなど知的作業の企業が多く、AIエージェントが仕事の一部を引き受ければ、一社当たり必要な机の数が減る。オフィス管理の一部も自動化されるが、それ以上に賃貸需要の縮小が痛い。さらにサイバーエージェントの支配下で少数株主への配当実績はない。ヒューリックの大型案件を成功させても出資持分は限られ、元からの株主には増資による持分希薄化が生じる。立派な物件が増えたのに株主の受取額が増えない可能性が残る。
どちらに重みを置いたか
築古ビルを商品として生まれ変わらせる技術と高い入居率では、成長を評価する論点が強い。しかし10年先の株主価値については、保有資産のための追加借入、2026年の株式発行、物件売却額の変動、配当実績の欠如という懸念をより重く見る。確率は楽観側30%、中立32%、悲観側38%と少し下に寄せた。下に寄せる理由はAIサービス企業への一律の罰則ではなく、リアルゲイト固有の不動産レバレッジと固定家賃の負担だ。10年後の業績を大きく伸ばせても、今の株価への安全域は薄い。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/09 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 4,307 円280 億円(+ 還元の換算額還元の合計 149 円10 億円)。 今の値に割り戻すと 2,004 円130 億円、今との差 −43.8%、 期待の年率 +2.3%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 10,337 円671 億円 | 385 円25 億円 | +200.8% | +11.9% | 965 円63 億円 |
| やや楽観 | 21% | 6,897 円448 億円 | 308 円20 億円 | +102.1% | +7.5% | 1,513 円98 億円 |
| 中立 | 32% | 4,858 円315 億円 | 154 円10 億円 | +40.6% | +3.5% | 1,604 円104 億円 |
| やや悲観 | 25% | 1,243 円81 億円 | 0 円0 億円 | −65.1% | −10.0% | 311 円20 億円 |
| 悲観 | 13% | 485 円32 億円 | 0 円0 億円 | −86.4% | −18.1% | 63 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 4,307 円280 億円 | 149 円10 億円 | +25.0% | +2.3% | 4,456 円289 億円 |
今の株価時価総額 3,565 円231 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 都心再生と大型共同案件がともに成功 利益 51 億円 · PER 13.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 10,337 円671 億円
老朽化した小型ビルの大きな供給を背景に、東京の渋谷・港・目黒を中心に同社ブランドの賃貸施設が定着する。入居者の解約が増えても複数拠点を選べる利便性が支持され、マスターリースの実質稼働物件は53棟、自社保有の稼働物件は60棟へ広がる。賃料改定が物価上昇を上回り、建築費高騰で新築が難しくなる分、既存ビルを再生する発注が増える。
ヒューリックとのHistoRyは単なる共同仕入れにとどまらず、大型再生の設計・工事と管理契約を連続受注する足場になる。大型物件の売却を年6件のペースで回し、保有物件の一部を高値で現金化して次の投資へ移す。数十億円規模の不動産を毎年取得するため借入も膨らむが、完成案件が十分な利ざやを生み出し金利負担を吸収する。親会社の資本規律が改善して期後半には限定的な株主還元も始まる。ただし資金調達と相場が10年間好都合に重なる例外的な展開である。
- マスターリース型オフィス:数量 53.0(年度末のML稼働物件数(棟、期中平均の代理))× 価格 1.90(1稼働物件当たり年間転貸売上(億円/棟、名目))→ 売上 101 億円・営業利益 18 億円。53棟、転貸賃料は旧価格比1.47倍
- 自社保有不動産の賃貸:数量 60.0(年度末の保有型稼働物件数(棟、期中平均の代理))× 価格 1.42(1稼働物件当たり年間賃料売上(億円/棟、名目))→ 売上 85 億円・営業利益 41 億円。60棟、平均1.42億円の保有賃貸
- プロパティマネジメント・付帯収入:数量 16.0(年度末のPM稼働受託物件数(棟))× 価格 0.41(1受託物件当たり年間管理料・付帯売上(億円/棟、名目))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。運営受託16棟、管理手数料を漸増
- 設計・施工請負:数量 25.0(中規模改修の完成案件換算件数(件/年、推計))× 価格 2.56(1換算案件当たり設計・施工売上(億円/件、名目))→ 売上 64 億円・営業利益 12 億円。大型案件25件相当、JV工事が牽引
- 再生不動産の売却:数量 6.0(1年間に売却決済した再生不動産の棟数(件/年))× 価格 36(1売却物件当たり引渡し売上(億円/件、名目))→ 売上 216 億円・営業利益 71 億円。年6棟・1件平均36億円の売却
倍率:k=8.5%、g_long=2.5%、事業ROE=50.5÷320=15.8%。堀は普通で超過ROEの残存は1/2、RONIC=12.1%。正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=13.23倍を採用。借入による業績拡大でROEが過大に見える恐れは操業利益率と金利費用側で処理した。
確率:都心の優良中古物件を安値で継続取得でき、ヒューリックとの案件で設計報酬・賃貸・売却益を同時獲得する上振れ。取得競争と必要借入を踏まえ9%にとどめる。
やや楽観 21% 保有物件と共同事業が着実に拡大 利益 35 億円 · PER 12.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 6,897 円448 億円
築古ビルに小さなオフィスや共用機能を載せる需要は、都心の新築賃料が上がるほど相対的に有利になる。保有物件は中期計画の資金調達を足場に増え、期末には47棟が稼働する。マスターリースは50棟まで緩やかに伸びるが、好条件の物件を選ぶため件数の急成長は狙わない。
ヒューリックとの共同投資では、相手側の資金を借りつつ、リアルゲイトが工事や管理を担う成功例が積み重なる。案件ごとの取り分は限定されても、少額の自己資金で営業利益を増やす機会になる。売却件数は年5件まで増え、改修工事も大きな案件を毎年受注する。賃料単価の上昇はおおむね物価並みを維持し、営業利益率は改善するが、保有物件の増加に伴う償却費と借入金利も着実に増える。既存株主への利益還元は利益の一部にとどまり、大半は仕入れ資金へ再投資される。
- マスターリース型オフィス:数量 50.0(年度末のML稼働物件数(棟、期中平均の代理))× 価格 1.75(1稼働物件当たり年間転貸売上(億円/棟、名目))→ 売上 88 億円・営業利益 15 億円。50棟、家賃物価上昇と好立地維持
- 自社保有不動産の賃貸:数量 47.0(年度末の保有型稼働物件数(棟、期中平均の代理))× 価格 1.25(1稼働物件当たり年間賃料売上(億円/棟、名目))→ 売上 59 億円・営業利益 27 億円。47棟、平均1.25億円の家賃
- プロパティマネジメント・付帯収入:数量 16.0(年度末のPM稼働受託物件数(棟))× 価格 0.39(1受託物件当たり年間管理料・付帯売上(億円/棟、名目))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。16棟の管理受託を維持
- 設計・施工請負:数量 18.0(中規模改修の完成案件換算件数(件/年、推計))× 価格 2.00(1換算案件当たり設計・施工売上(億円/件、名目))→ 売上 36 億円・営業利益 6 億円。大型18件相当へ施工高増加
- 再生不動産の売却:数量 5.0(1年間に売却決済した再生不動産の棟数(件/年))× 価格 31(1売却物件当たり引渡し売上(億円/件、名目))→ 売上 155 億円・営業利益 47 億円。年5棟、平均31億円の売却
倍率:ROE=34.5÷264=13.1%、k=8.5%、超過ROE半減後のRONIC=10.78%、名目長期成長g=2.5%。正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=12.80倍の上限そのもの。共同事業の資本分配は同社帰属分しか数量・売上に算入していない。
確率:仕入れと出口を回せれば可能な上振れだが、2026年時点の自社保有稼働11棟から47棟に増やすには借入の追加と物件開業の成功が必要なので過大にはしない。
中立 32% 堅調な賃貸と中程度の売却益に着地 利益 25 億円 · PER 12.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 4,858 円315 億円
東京都心の古い中小型ビルを、耐震・共用設備・小区画へ改修する仕事は10年先にも必要とされる。家賃を上げても付加価値がある施設には入居が残り、マスターリース45棟、自社保有38棟、管理受託14棟が稼働する。日本の物価が上がる一方で、働き手の人口減少とAIによる事務人員の削減でオフィスの実需要は急増せず、数量の成長の主因は同社の物件獲得となる。
ヒューリックとの共同開発は大型物件の設計・管理を定期的に受注する窓口になるが、合弁会社の売上全額が同社に帰属することはない。売却は年5棟とし、売却額を利益にした後にも一部の管理契約が残る形で回転させる。保有による賃料は長く安定するが、建物の更新投資は建築費の上昇にさらされる。2031年の営業利益50億円という目標には近づいても、その後は無制限には伸びず、借入金利を控除した株主純利益は25億円程度になる。
- マスターリース型オフィス:数量 45.0(年度末のML稼働物件数(棟、期中平均の代理))× 価格 1.55(1稼働物件当たり年間転貸売上(億円/棟、名目))→ 売上 70 億円・営業利益 10 億円。45棟、平均賃料1.55億円/年
- 自社保有不動産の賃貸:数量 38.0(年度末の保有型稼働物件数(棟、期中平均の代理))× 価格 1.10(1稼働物件当たり年間賃料売上(億円/棟、名目))→ 売上 42 億円・営業利益 19 億円。38棟、自社取得と成熟物件賃貸
- プロパティマネジメント・付帯収入:数量 14.0(年度末のPM稼働受託物件数(棟))× 価格 0.35(1受託物件当たり年間管理料・付帯売上(億円/棟、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。受託14棟で高採算案件を選ぶ
- 設計・施工請負:数量 10.0(中規模改修の完成案件換算件数(件/年、推計))× 価格 2.50(1換算案件当たり設計・施工売上(億円/件、名目))→ 売上 25 億円・営業利益 4 億円。年間10大型換算件・工事単価2.5億円
- 再生不動産の売却:数量 5.0(1年間に売却決済した再生不動産の棟数(件/年))× 価格 25(1売却物件当たり引渡し売上(億円/件、名目))→ 売上 125 億円・営業利益 36 億円。年5棟・平均25億円の再販
倍率:実質稼働棟数と改修・物件販売量で純利益25億円を導き、2036年の自己資本246.9億円に対するROE10.13%を使う。k=8.5%、超過ROEの残存50%でRONIC9.31%、g_long=2.5%から正当化PER12.19倍。現在や同業の実際のPERではなく価値創造の式を採用。
確率:築古ビルの供給と改修ニーズは長く残る一方、相手を選ぶ仕入れ・低コストの融資・売却先確保の制約があり、2031年以降は成長率が鈍る中心の道筋として32%。
やや悲観 25% 取得競争と金利高で稼ぐ力が細る 利益 7 億円 · PER 10.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,243 円81 億円
都心のビル価格が新築建築費に引っ張られて上がる一方、入居者が払える家賃の上限はそれほど伸びない。古い中型物件を手に入れて改修するほど利幅が削られるため、賃貸用物件の増加が鈍り、マスターリース42棟、自社保有29棟にとどまる。小規模な借り手は、生成AIの活用で事務所面積を節約し始める。
再販先の投資家は資金調達コストの上昇を求め利回りに反映するため、所有物件を売っても高い利益率が出ない。会社はヒューリックの持分負担を優先し、自己持分の大きい案件を減らす。再販は年3件に落ち込み、工事受注も小さくなる。契約中のマスターリース賃料は空室が増えても固定支出として残るため、人員削減だけでは採算を守れない。営業利益の減少に加え、長期債務の借り換え利息が利益を削り、純利益は7億円程度に後退する。
- マスターリース型オフィス:数量 42.0(年度末のML稼働物件数(棟、期中平均の代理))× 価格 1.43(1稼働物件当たり年間転貸売上(億円/棟、名目))→ 売上 60 億円・営業利益 8 億円。ML42棟、空室増と賃料鈍化
- 自社保有不動産の賃貸:数量 29.0(年度末の保有型稼働物件数(棟、期中平均の代理))× 価格 0.99(1稼働物件当たり年間賃料売上(億円/棟、名目))→ 売上 29 億円・営業利益 9 億円。保有29棟、償却・金利が重くなる
- プロパティマネジメント・付帯収入:数量 14.0(年度末のPM稼働受託物件数(棟))× 価格 0.33(1受託物件当たり年間管理料・付帯売上(億円/棟、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。PM14棟、管理報酬伸び悩み
- 設計・施工請負:数量 5.0(中規模改修の完成案件換算件数(件/年、推計))× 価格 1.92(1換算案件当たり設計・施工売上(億円/件、名目))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。改修は年5件換算に縮小
- 再生不動産の売却:数量 3.0(1年間に売却決済した再生不動産の棟数(件/年))× 価格 21(1売却物件当たり引渡し売上(億円/件、名目))→ 売上 63 億円・営業利益 13 億円。売却3棟・1件21億円へ縮小
倍率:2036年ROE4.6%が資本コスト8.5%を下回るため、新規投資が価値を増やさない。純利益7.2億円の稼ぐ力は7.2÷8.5%=84.7億円が上限。再投資による価値毀損を考慮してPER10.5倍とし、時価総額75.6億円は試算した税後資産処分床35億円を上回る。
確率:都心の空室率が低くても利回りの良い中古物件が少ない。借入に依存した仕入れは調達金利と物件価格が上がる局面に弱く、会社固有の中程度の下振れとして25%。
悲観 13% 金利とオフィス需要の構造変化で資本を損なう 利益 3 億円 · PER 10.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 485 円32 億円
小さなオフィスを持つ企業がAIエージェントで管理部門を圧縮し、利用する部屋数を減らす。既存ビルの改修市場自体は残るが、開業時の賃料ではテナントを集められず、マスターリースの契約期間中の固定家賃が重荷になる。需要が落ちたところに金利高が重なり、物件オーナーは販売価格を下げざるを得なくなる。
融資の更新に厳しい条件が付くため、リアルゲイトは採算の悪い物件を処分し、かつて保有していた土地・建物の損失も計上する。2030年代前半の売却損・減損を含む数年間の最終赤字で累積利益が失われ、運営規模はML36棟、保有20棟へ縮小する。ヒューリックの共同事業でも案件の管理は続くが、株主に帰属する利益は小さい。事業は存続し、最終年は黒字に戻るものの、もう高成長企業とはいえず、余剰現金や高い株主還元は生まれない。
- マスターリース型オフィス:数量 36.0(年度末のML稼働物件数(棟、期中平均の代理))× 価格 1.25(1稼働物件当たり年間転貸売上(億円/棟、名目))→ 売上 45 億円・営業利益 5 億円。ML36棟、稼働悪化・固定賃借料
- 自社保有不動産の賃貸:数量 20.0(年度末の保有型稼働物件数(棟、期中平均の代理))× 価格 0.88(1稼働物件当たり年間賃料売上(億円/棟、名目))→ 売上 18 億円・営業利益 4 億円。保有20棟、評価損後の縮小均衡
- プロパティマネジメント・付帯収入:数量 10.0(年度末のPM稼働受託物件数(棟))× 価格 0.30(1受託物件当たり年間管理料・付帯売上(億円/棟、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。PM10棟、管理契約減少
- 設計・施工請負:数量 3.0(中規模改修の完成案件換算件数(件/年、推計))× 価格 1.60(1換算案件当たり設計・施工売上(億円/件、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。工事3件相当、低採算で価格低迷
- 再生不動産の売却:数量 2.0(1年間に売却決済した再生不動産の棟数(件/年))× 価格 14(1売却物件当たり引渡し売上(億円/件、名目))→ 売上 28 億円・営業利益 4 億円。売却年2件、損切りで平均14億円
倍率:大きな売却損・減損を経た期末ROE5.0%はk8.5%に届かない。2026年6月末の固定資産と販売用不動産を処分する税後回収価値から全負債を引くと約20億円と試算する。最終年の純利益3億円にPER10.5倍を掛ける稼ぐ力31.5億円はこの床を上回り、10年後の積み上がった自己資本をPBR床に使っていない。
確率:金融機関の不動産融資とAI後の小規模オフィス需要が同時に悪化すれば、売却損・固定家賃・減損が重なる。致命的な資本毀損は低頻度ながら薄い自己資本に比べ重要で13%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
マスターリース型オフィス
老朽化した都心ビルを一括賃借して小区画の柔軟なオフィスへ改修し、入居者から賃料を得る。オーナーに払う家賃が先に確定するため空室時の損失を負う。
| 数量年度末のML稼働物件数(棟、期中平均の代理) | 価格1稼働物件当たり年間転貸売上(億円/棟、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 39.0 | 1.29 | 50 | 7 |
| 10 年後 中立 | 45.0 | 1.55 | 70 | 10 |
取り方:2025年有報でML運営39棟、2026年第3四半期説明資料46頁で2025年度ML売上50.49億円。期中平均棟数の非開示を年度末棟数で代用し、1棟当たり約1.295億円とした。営業利益6.56億円は会社の未開示内訳を仮配賦した分析推計であり、セグメント別実績ではない。各モデルに仮配賦した営業利益の計17.49億円から会社全体の共通費7.06億円を別控除すると、報告営業利益10.43億円に一致する。既存物件の98.86%という2026年6月稼働率と賃料の改定実績を単価変化の検証材料とした。
自社保有不動産の賃貸
取得した築古ビルを改修して保有し続け、テナントから賃料を受け取る。土地・改修の資金と更新費が必要で、借入金利と減価償却が採算を左右する。
| 数量年度末の保有型稼働物件数(棟、期中平均の代理) | 価格1稼働物件当たり年間賃料売上(億円/棟、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 7.0 | 0.72 | 5 | 2 |
| 10 年後 中立 | 38.0 | 1.10 | 42 | 19 |
取り方:2025年有報の保有運営7棟と2026年第3四半期説明資料46頁の2025年度保有賃料5.06億円から、稼働1棟当たり0.723億円を算出。期中開業の違いによる過少評価があり、同社が2026年6月に保有16件を獲得し11件を運営する事実を成長の先行指標として別に扱う。営業利益1.62億円は粗利約65%という会社の説明から諸経費・償却の仮控除を施した推計で非開示。
プロパティマネジメント・付帯収入
所有者から物件の運営を受託して手数料を得る。建物管理や入居者対応という現場の仕事が多く、賃料を保証するマスターリースより資本負担が軽い。
| 数量年度末のPM稼働受託物件数(棟) | 価格1受託物件当たり年間管理料・付帯売上(億円/棟、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 17.0 | 0.33 | 6 | 1 |
| 10 年後 中立 | 14.0 | 0.35 | 5 | 1 |
取り方:有報のPM運営17棟、2026年第3四半期説明資料46頁の2025年度PM売上5.32億円を使用。全社売上97.91億円との差額0.32億円は会計上のその他・表示端数をこの付帯収入に含め、合計5.64億円÷17棟とした。これは同社のPM手数料を物件当たりに換算した分析用代理単価であり、実際の手数料率を保証しない。営業利益0.90億円は分析推計。
設計・施工請負
既存ビルの耐震・用途転換・内装改修を設計して工事を実行し、施工売上を得る。物価上昇に連動する工事費と大型案件の進捗によって年ごとの売上が変動する。
| 数量中規模改修の完成案件換算件数(件/年、推計) | 価格1換算案件当たり設計・施工売上(億円/件、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 5.0 | 0.86 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 10.0 | 2.50 | 25 | 4 |
取り方:会社が開示した2025年度の設計・施工売上4.28億円を確認した。請負件数は非開示のため、同社の主な対象である500坪前後の中型再生ビルを年間5件の標準工事相当と仮定し、1件0.856億円と逆算した。5件は実物件の完成報告数ではない。改修の規模によって金額に大差があり、ヒューリック共同案件の大型化で10年後の換算単価が変わりうる。営業利益0.30億円は推計。
再生不動産の売却
築古物件を取得・改修してリーシング後に投資家や事業会社へ売る。物件の売却額そのものが売上となり、融資・買い手・還元利回りに採算が左右される。
| 数量1年間に売却決済した再生不動産の棟数(件/年) | 価格1売却物件当たり引渡し売上(億円/件、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 2.0 | 16 | 32 | 8 |
| 10 年後 中立 | 5.0 | 25 | 125 | 36 |
取り方:2025年度の売却売上32.44億円(会社説明資料46頁)と2025年上期までに計画物件2件の売却決済を完了した開示から、1件約16.22億円と組み立てた。期中に別の売却があった可能性や物件規模差があるため代表単価にすぎない。工事原価・仕入原価に比べ出口価格がどれほど高いかを直接利益率に反映。営業利益8.11億円は25%とする分析推計であり会社開示の物件別利益ではない。
リスクと懸念
金利上昇と借り換え・担保余力
2025年9月の純有利子負債は約130億円であり、固定資産取得を続ければさらに増える。金利が3.5~4%台へ上がるにつれ、利益の伸びに先立って金融費用が増える。担保評価が下がれば融資枠が狭まり、割安な物件を買う局面なのに資金を確保できなくなる。2026年の増資で自己資本は増えたが、それだけで将来の借入リスクは消えない。
マスターリースの固定家賃と空室
2025年有報のマスターリース物件の年間リース料は約30.09億円で、入居率が悪化しても多くは一定期間支払いが続く。改修直後の空室期間が長引けば賃料収入より先に家賃と工事費が出ていく。2028年9月期以降に適用される新リース会計基準で使用権と負債の表示が変わっても、この経済的な約束は変わらない。
AI エージェント代替による入居需要の変化
同社は人月の受託SIや席課金SaaSを売る会社ではなく、工事・物理的な建物・実際の管理運営が主な価値なので、AI代替の人月型・席型による機械的な数量縮小は直接適用しない。ただし入居企業に情報通信、広告、コンサルティングなどが多く、AIエージェントの普及で必要な従業員とオフィス面積が減れば稼働率と更新賃料は押し下げられる。
再販価格・取得競争と在庫評価損
都心の中古ビルに資金が集中すると入口の購入価格が先に上がり、設計で改善できる付加価値の幅が狭くなる。買い手の不動産利回りが上がれば出口の売却価格は下がり、売買事業の利益が一気に細る。2026年9月期の不動産売却は四半期ごとに集中しているので、期の利益がある売却案件に左右される点にも注意が要る。
ヒューリック合弁の取り分・親子上場
HistoRyへのリアルゲイトの出資は5%であり、案件ごとの直接出資がそれより高くても投資収益は持分に比例する。合弁の取得総額を同社の売上や含み資産と取り違えると大幅な過大評価になる。またサイバーエージェントが支配する株式構造では、株主還元や追加の資金調達を少数株主が主導できず、既存株主の価値が薄まる恐れがある。
建築費・償却と更新投資の乖離
既存建物の減価償却は取得時の原価に従い、一般物価が3%上がっても機械的には増えない。そのため会計上の利益が押し上げられる一方、建築工事や将来の改修を実行する現金支出は高い価格で発生する。中立の2036年償却費は既存資産の年4億円程度と追加資産の年6億円程度を合わせ約10億円と想定し、利益と現金収支を分けて検証する。
今後の分かれ目
- 既存物件の稼働率が95%未満に落ち、平均賃料の更新も止まる
- 転貸物件の固定家賃に対する安全余裕が細る。マスターリースの利益率を下げ、やや悲観・悲観側の比率を上げる。
- 新規保有物件の成熟賃料から求めた利回りが借入金利と資本コストを十分に超える
- 増分の投下資本利回りを確認したうえで保有棟数と中立の利益額を引き上げ、共同事業の利益帰属も個別に点検する。
- HistoRyの設計・管理料と直接出資持分による利益が金額で継続開示される
- 持分5%という形式と実質的な収益の違いを確認し、資産を多く抱えず利益が増える分だけ上側の確率を高める。
- 借り換え後の平均借入金利が4.5%を超え、自己資本比率が再び15%台へ下がる
- 営業利益の増加よりも株主純利益の悪化を重視する。保有物件の拡張を鈍らせ、悲観の資産処分価値を再点検する。
- 所有物件の売却が年間5件以上続いても借入残高が減らない
- 売却利益を上げるために新たな仕入れ資金が必要な構造と判断する。現金の蓄積と株主還元の前提を改善しない。
- 2028年の営業利益25億円と2031年の50億円が達成され、しかも1株当たり利益と現金が増える
- 計画の達成が既存株主に帰属する成長であると認め、投資額当たりの収益も確認したうえで中立の利益を上方修正する。
見ておくもの
- 既存稼働率、ML転貸賃料の坪単価、空室期間
- 保有型の獲得棟数・運営開始棟数・投下取得原価・安定時賃料
- 売却物件数と平均売却価格、売却粗利率
- 営業利益と利払いの差、純有利子負債、自己資本比率
- マスターリース年間賃料約30億円と新規長期契約負担
- HistoRyの直接出資比率、受注した設計施工・PMの金額
- 親子上場の資本政策、配当開始・追加増資の有無
倍率と資本コストの決め方
現在の株価や過去・同業のPERから倍率を逆算せず、2025年の五つの収入源を実際の稼働棟数・売却棟数と年間平均売上に分けた。設計工事件数と収入源別利益は非開示のため代理推計と明記した。資本コスト8.5%、2036年以降の名目成長2.5%、超過ROE半減から、楽観・やや楽観・中立のPERを正当化上限そのものにした。悲観側は稼ぐ力と税後売却資産の大きい方を上限とし、保有不動産の未検証の含み益は利益価値へ重複加算しない。2028年9月期からの新リース基準によるBS表示変更があっても、10年後の利益率は従来と同じ家賃費用ベースで比較する。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%の基本7.5%に、純負債の重さの1.0%を加える。個別のJV・親子上場リスクは確率や利益率で評価し二重に上乗せしない。