結論
スターツは、賃貸住宅の管理を土台に、建設・仲介・ホテル・介護まで広げた総合不動産グループだ。筆者の結論は「やや割安」である。利益の約4割を、景気に左右されにくい管理料が稼いでいるからだ。
管理する住宅は約96万戸(社宅の管理代行などを含む会社の数え方)ある。建物は古くなるほど修繕工事が増え、管理料と営繕工事が毎年入る。ここに新築の建設、仲介、金融が乗る。営業利益は10年で2倍を超え、利益率は14%に届いた。
弱みは、10年先の成長が人口減に縛られる点だ。賃貸住宅の新築は細り、建設は減る方向にある。それでも管理の数量が横ばいなら、物価の分だけ利益は伸びる。筆者はこれを中立の筋書きに置いた。
自己資本が厚く、純現金もある。創業家が株式の約2割を持ち、長期の目で経営する。事業が多く見えにくいため、市場は十分に評価していない面がある。利益を貯め込み、還元が薄い点は気になる。それでも、10年で測った価値は今の時価総額を2割ほど上回る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で見る時、まず気になるのは、10年後も同じ形で稼いでいるかだ。スターツの利益の核は管理料で、建物が存在する限り続く。人口が減っても、建物は急には消えない。10年先を見通しやすい事業が、利益の4割を占める点を、筆者は評価する。
次に、株主のものになる利益の質を見る。管理は設備投資がほとんど要らず、利益が現金で残る。建設とホテルは、投資と景気の波で利益が薄くなる。純利益は営業利益の約7割で、この比は10年安定している。大きな特別損益で数字が揺れる会社ではない。
経営の資本配分には注文がある。利益の75%は内部に残り、事業用の資産に変わる。ROEが14%から10%前後へ落ちても、ここは変わらないとみる。創業家がオーナーとして持ち続ける会社としては、納得できる。ただ、少数株主が受け取る分は小さい。
安全域は、今の値段に見える。純現金があり、時価総額は自己資本の1.2倍にとどまる。事業の質に比べ、払う値段は高くない。ただ、成長が物価並みの会社に高い倍率は付けられず、評価の余白は大きくない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの土台は管理だ。賃貸住宅やマンションの管理を受託し、管理料を受け取る。建物が古くなると、営繕工事の注文が管理会社に集まる。2026年3月期は売上の約4割、営業利益の約4割をこの事業が稼いだ。企業の社宅を代わりに管理する事業もあり、508社から約14万件を受託している。
管理の入口になるのが建設だ。地主に賃貸住宅を提案して建てる。免震建築の実績は656棟ある。建てた物件の管理を受ければ、その後の管理料が長く入る。建設は売上の約3割だが、営業利益は2割ほどで、利益率は約10%と低い。
仲介と金融は、売上は小さいが利益率が高い。ピタットハウスは632店に広がり、賃貸仲介と売買仲介の営業利益は合わせて約66億円ある。証券・信託・保険、J-REITの運用も、手数料で稼ぐ事業だ。
ホテル、ゴルフ場、介護施設、保育所、出版、カードキーの製造販売と、生活に近い事業も多い。数字の小さい事業が幅広く並び、グループは87社、従業員は約9,600人に及ぶ。景気の波は、建設・分譲・ホテルにだけ強く出る。管理と仲介は、景気が悪くなっても落ち込みが浅い。
優良さと弱いところ
強みは、管理という積み上げの利益だ。管理戸数は約96万戸、社宅の管理代行は508社と取引がある。管理契約は長く続き、建物が古くなるほど工事が増える。入居者の入れ替わりごとに仲介料も入る。建設で入口をつくり、管理で長く稼ぎ、仲介で回す。この流れを持つ会社は多くない。
数字にも出ている。営業利益率は10年前の10.5%から14.4%まで上がった。純利益は10年で2.4倍になった。赤字の年はない。
弱みは三つある。管理料の料率は競争で決まり、値上げを通しにくい。建設は大東建託や積水ハウス、大和ハウスと競い、利益率が低い。ホテルや介護は人手と施設に費用がかかり、景気や人件費の波を受ける。
経営は創業家が握り、2024年に創業者の長男が社長になった。資本の使い方は慎重で、配当性向は25%ほどにとどまる。貯めた利益は現金でなく事業用の資産に回り、純現金は72億円にとどまる。ここは筆者が最も気にする点だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
賃貸住宅の管理は、建築系の大手が強い市場だ。管理戸数の順位では、大東建託グループが約129万戸で1位、積水ハウスグループと大和リビングが各約70万戸で続く。スターツの約96万戸は社宅の管理代行などを含む数え方で、順位表と単純には比べられない。
10年の需要は二つに割れる。東京や大阪、名古屋などの都市圏では単身世帯が増え、管理の戸数は保たれる。地方は人口減で空室が増え、管理の戸数が細る。スターツは管理を首都圏と都市部に厚く持つため、全国平均よりは守りやすい。
建設の市場は縮む方向だ。建築費は2〜4割上がって定着し、地主が賃貸住宅を新築する採算は悪くなった。金利が上がれば、さらに採算を圧迫する。建築系の大手も同じ市場で受注を競い、競争は激しい。
追い風もある。新築が減れば、既存の建物の価値は上がり、管理と修繕の仕事は増える。企業が人手不足で社宅の運営を外に出す動きも続く。物価が3%で続く世界では、管理料と営繕工事も物価並みに上がる。10年で見ると、管理の戸数は横ばい、建設は減り、単価は物価並みに上がる、というのが中立の姿だ。
資本政策と M&A
資本の使い方は、堅実だが控えめだ。配当は2026年3月期に前の期から2割近く増え、2027年3月期も増配の予定だ。それでも配当性向は25%前後にとどまる。2025年3月期には約49億円の自社株買いをしたが、毎年の習慣にはなっていない。
貯めた利益は成長投資に回してきた。会社は2023年の説明資料で、5年で1,000億円の投資を掲げ、ROA(総資産利益率)6%と自己資本比率40%以上を守る方針を示した。結果として自己資本は10年で3倍以上に積み上がり、ROEは14%前後で足踏みしている。
創業家は、資産管理会社の豊州と創業者の村石久二氏などの共同保有で、株式の約2割を持つ。大株主が経営を握るため、非公開化や買収の動きは今のところ見えない。大型のM&Aは、今回の調べでは見つからなかった。
筆者は、還元の厚みが今後の鍵と見る。ROEが資本コストに近づけば、貯めた利益は価値を生まない。自社株買いを毎年行うようになれば、評価は変わる。
点検済み(2026-10-19):中立の営業利益率 14%(今と同じ)、戸数横ばいで物価並みの伸び、貯めた利益による ROE 低下を倍率に反映していることを確かめた。穴なし。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
管理は、景気が悪くても止まらない事業だ。建物が古くなるほど修繕が増え、管理料と営繕工事が積み上がる。管理戸数は約96万戸で、2026年3月期も増えた。社宅の管理代行は、人手不足の企業が外に出す流れに乗り、508社まで広がった。売上の4割、利益の4割を、この安定した事業が稼ぐ。
建設は、管理の入口として働く。免震建築は656棟の実績があり、地震に強い建物を求める地主の需要は残る。建築費が上がっても、会社は販売価格を改定して通した。
利益率は10年で10.5%から14.4%に上がった。仲介と金融は利益率が2割を超え、管理と合わせて全体を引き上げる。ピタットハウスは632店の網を持ち、加盟店の手数料が積み上がる。
財務は堅く、純現金は72億円、自己資本比率は53%ある。配当は150円へ増配が続き、還元は厚くなる余地がある。物価が3%で続く世界では、建物の管理と修繕の料金も物価並みに上がる。10年で見れば、営業利益は物価を上回って伸びる。
慎重な見方
この会社の成長は、人口減という壁にぶつかる。賃貸住宅の新築は、建築費の上昇と金利の上昇で採算が悪くなった。地主が建てなくなれば、建設の受注は細り、管理に入る新しい物件も減る。建設は売上の3割を占め、管理の入口でもある。ここが痛めば、管理の伸びも止まる。
管理料の料率は、大東建託や積水ハウス、大和リビングとの競争で決まる。値上げはしにくく、建物の管理を自社に切り替えるオーナーも出る。管理は安定しているが、成長はしない。
ホテルは訪日客と景気に左右され、介護は人件費の上昇で利益が薄い。今の営業利益率14.4%は、過去のどの年より高い。最近の高い利益率が、そのまま続く保証はない。
資本の使い方にも不満が残る。利益の75%を内部に積み、ROEは落ちていく。自己資本が3倍になっても、利益は2倍にもなっていない。貯めた利益が低い利回りの不動産に変わるだけなら、少数株主にとって価値は増えない。創業家が約2割を持つ会社では、少数株主が還元を求めても動きにくい。
どちらに重みを置いたか
管理が利益の4割を支える点では、強気の見方が正しい。成長が物価並みにとどまる点では、慎重な見方が正しい。中立でも、利益は物価の分しか伸びないと置いた。
確率は、やや強気に寄せた。管理の積み上げは崩れにくく、悲観は1割にとどめた。ただ、利益を貯め込みROEが下がる点を、倍率で映した。結果として、価値は今の時価総額を2割ほど上回る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 12,077 円5,725 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 2,480 円1,176 億円)。 今の値に割り戻すと 7,746 円3,672 億円、今との差 +69.9%、 期待の年率 +12.3%(資本コスト 7.2%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 18,340 円8,694 億円 | 2,966 円1,406 億円 | +367.2% | +16.7% | 2,131 円1,010 億円 |
| やや楽観 | 22% | 15,816 円7,497 億円 | 2,692 円1,276 億円 | +305.9% | +15.0% | 4,072 円1,930 億円 |
| 中立 | 38% | 13,958 円6,616 億円 | 2,489 円1,180 億円 | +260.7% | +13.7% | 6,250 円2,963 億円 |
| やや悲観 | 20% | 6,303 円2,988 億円 | 2,283 円1,082 億円 | +88.3% | +6.5% | 1,717 円814 億円 |
| 悲観 | 10% | 1,991 円944 億円 | 1,888 円895 億円 | −14.9% | −1.6% | 388 円184 億円 |
| 加重平均 | 100% | 12,077 円5,725 億円 | 2,480 円1,176 億円 | +219.2% | +12.3% | 14,557 円6,901 億円 |
今の株価時価総額 4,560 円2,162 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。
楽観 10% 管理の戸数が増え、建設・仲介も伸びて営業利益が1.8倍に 利益 450 億円 · PER 17.9 倍 · 株価時価総額 18,340 円8,694 億円
管理の戸数が増え続け、管理料と営繕工事も伸びる。社宅の管理代行は、人手不足の企業の外注で広がる。管理戸数は105万戸まで増え、建物が古くなるほど修繕の注文が増える。
建設は、地主の建築需要が思ったほど落ちない。免震建築の受注が積み上がり、完工の単価は物価を上回って1.4倍になる。建設が管理の入口として働き続け、管理に入る物件が増える。
仲介と金融はさらに伸び、ホテルは訪日客に、介護は高齢化に支えられる。全社の営業利益は640億円ほど、売上は4,000億円になる。大型の買収で価値を壊すこともなく、創業家の長期の経営が実を結ぶ、最良の10年だ。
- 不動産管理(住宅・社宅代行・駐車場・ビル管理):数量 105(住宅管理戸数(万戸・社宅管理代行などを含む会社公表値))× 価格 15(1戸あたり年間売上(万円・名目。管理料・営繕工事・駐車場・ビル管理を含む))→ 売上 1,580 億円・営業利益 245 億円。管理105万戸×1戸年15.0万円(今の1.40倍)、営業利益率15.5%
- 建設(賃貸住宅・免震建築・戸建の請負):数量 4.0(年間の完工戸数(千戸・賃貸住宅換算の推定))× 価格 281(千戸あたり売上(億円・名目。1戸約2,000万円の建築費で推定))→ 売上 1,120 億円・営業利益 129 億円。完工4.0千戸×単価281億円(今の1.40倍)、営業利益率11.5%
- 仲介・分譲・金融(賃貸仲介・売買仲介・分譲・金融):数量 125(取引・契約の件数(千件・推定))× 価格 5.07(千件あたり売上(億円・名目。1件平均約35万円の推定))→ 売上 634 億円・営業利益 171 億円。取引12.5万件、1件あたりも増える、営業利益率27%
- 生活関連(ホテル・介護保育・出版・物販):数量 256(運営する施設・媒体の数(推定。介護・保育131、ホテル・ゴルフ・飲食約70、出版・物販など))× 価格 2.61(1施設あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 668 億円・営業利益 100 億円。施設・媒体256、介護の増設と訪日客、営業利益率15%
倍率:事業の純利益 450 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.9% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.1%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.9 倍。全体の PER 17.92 倍、時価総額 8,064 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:管理が増え続け、建設・仲介・生活関連もそろって伸びる揃い方は、10年では起きにくい。会社の6期連続の増益が示す実績を踏まえ、1割に置いた。
やや楽観 22% 管理が戸数・単価とも少し伸び、営業利益が1.5倍に 利益 385 億円 · PER 17.5 倍 · 株価時価総額 15,816 円7,497 億円
管理は戸数がわずかに増え、管理料と営繕工事が物価をやや上回って伸びる。社宅の管理代行が広がり、管理戸数は100万戸に近づく。建物の修繕が増え、営繕工事の収益が厚くなる。
建設は完工の戸数をほぼ保ち、単価の上昇で売上を伸ばす。免震建築の需要が下支えする。仲介は取引件数が増え、金融の手数料も積み上がる。
生活関連は介護の増設で伸び、全体の営業利益率は14%台後半に上がる。売上は3,700億円ほど、営業利益は550億円ほどになる。配当は利益の4割まで引き上がり、貯め込みへの不満はやや和らぐ。事業を急に広げず、既存の管理の質を磨く10年になる。
- 不動産管理(住宅・社宅代行・駐車場・ビル管理):数量 100(住宅管理戸数(万戸・社宅管理代行などを含む会社公表値))× 価格 15(1戸あたり年間売上(万円・名目。管理料・営繕工事・駐車場・ビル管理を含む))→ 売上 1,476 億円・営業利益 218 億円。管理100万戸×1戸年14.7万円(今の1.37倍)、営業利益率14.8%
- 建設(賃貸住宅・免震建築・戸建の請負):数量 3.8(年間の完工戸数(千戸・賃貸住宅換算の推定))× 価格 275(千戸あたり売上(億円・名目。1戸約2,000万円の建築費で推定))→ 売上 1,044 億円・営業利益 110 億円。完工3.8千戸(今と同じ)、単価が1.37倍、営業利益率10.5%
- 仲介・分譲・金融(賃貸仲介・売買仲介・分譲・金融):数量 112(取引・契約の件数(千件・推定))× 価格 4.90(千件あたり売上(億円・名目。1件平均約35万円の推定))→ 売上 549 億円・営業利益 140 億円。取引11.2万件、単価1.40倍、営業利益率25.5%
- 生活関連(ホテル・介護保育・出版・物販):数量 236(運営する施設・媒体の数(推定。介護・保育131、ホテル・ゴルフ・飲食約70、出版・物販など))× 価格 2.55(1施設あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 601 億円・営業利益 84 億円。施設・媒体236、介護の増設、営業利益率14%
倍率:事業の純利益 385 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.1% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.7%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.5 倍。全体の PER 17.52 倍、時価総額 6,745 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:管理の積み上げが続き、会社の計画の延長に近い筋書き。過去10年の増益の流れを素直に引き延ばした形で、2割強に置いた。
中立 38% 管理は戸数が横ばいで、利益は物価並みに伸びる 利益 337 億円 · PER 17.1 倍 · 株価時価総額 13,958 円6,616 億円
管理は戸数が横ばいから微増にとどまり、管理料と営繕工事は物価並みに上がる。管理戸数は約97万戸、建物の高齢化で営繕工事は増える。人口が減る地方は細るが、都市部の増加で相殺される。
建設は、賃貸住宅の新築が細り、完工は今より5%ほど減る。単価が上がるので売上は伸びる。仲介と金融は小さく伸び、生活関連は介護の増設で戸数がやや増える。
全社の営業利益は480億円ほど、売上は3,400億円ほどになる。利益率は14%前後で、今の水準をほぼ保つ。物価の分だけ伸びる、地味だが崩れない会社だ。会社の予想の延長線に近く、配当は利益の4割に上がる。
- 不動産管理(住宅・社宅代行・駐車場・ビル管理):数量 97.5(住宅管理戸数(万戸・社宅管理代行などを含む会社公表値))× 価格 14(1戸あたり年間売上(万円・名目。管理料・営繕工事・駐車場・ビル管理を含む))→ 売上 1,402 億円・営業利益 196 億円。管理97.5万戸(今の1.02倍)×1戸年14.4万円(今の1.34倍=物価並み)、営業利益率14%
- 建設(賃貸住宅・免震建築・戸建の請負):数量 3.6(年間の完工戸数(千戸・賃貸住宅換算の推定))× 価格 269(千戸あたり売上(億円・名目。1戸約2,000万円の建築費で推定))→ 売上 970 億円・営業利益 95 億円。完工3.6千戸(今の0.95倍)、単価が物価並みの1.34倍、営業利益率9.8%
- 仲介・分譲・金融(賃貸仲介・売買仲介・分譲・金融):数量 105(取引・契約の件数(千件・推定))× 価格 4.69(千件あたり売上(億円・名目。1件平均約35万円の推定))→ 売上 492 億円・営業利益 118 億円。取引10.5万件、単価は物価並み、営業利益率24%
- 生活関連(ホテル・介護保育・出版・物販):数量 226(運営する施設・媒体の数(推定。介護・保育131、ホテル・ゴルフ・飲食約70、出版・物販など))× 価格 2.49(1施設あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 562 億円・営業利益 73 億円。施設・媒体226、介護が小さく増える、営業利益率13%
倍率:事業の純利益 337 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.5% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.4%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.1 倍。全体の PER 17.13 倍、時価総額 5,773 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:管理は横ばい、建設は減り、単価は物価並みに上がる。特別なことが起きない筋書きとして、最も重く置いた。
やや悲観 20% 建設がしぼみ、管理料も圧迫されて利益が減る 利益 228 億円 · PER 8.8 倍 · 株価時価総額 6,303 円2,988 億円
建設がしぼみ、管理料も圧迫される。賃貸住宅の新築は金利の上昇で採算が悪く、完工は今の4分の3まで減る。管理に入る新しい物件が減り、管理の戸数は細る。
管理料の料率は、建築系の大手との競争で下がる。オーナーが管理会社を替える動きも出て、管理の利益率は12%に下がる。ホテルは訪日客が一服し、介護は人件費で利益が薄くなる。
全社の営業利益は320億円ほどと、今を1割ほど下回る。売上は2,800億円ほどだ。利益を貯め込む姿勢は変わらないが、配当は利益の4割台半ばに保たれる。事業は崩れないが、成長もなく、倍率が縮む。普通の不動産サービス会社に近づく10年だ。
- 不動産管理(住宅・社宅代行・駐車場・ビル管理):数量 88.0(住宅管理戸数(万戸・社宅管理代行などを含む会社公表値))× 価格 14(1戸あたり年間売上(万円・名目。管理料・営繕工事・駐車場・ビル管理を含む))→ 売上 1,208 億円・営業利益 145 億円。管理88万戸(今の0.92倍)×1戸年13.7万円(今の1.28倍)、営業利益率12%
- 建設(賃貸住宅・免震建築・戸建の請負):数量 2.9(年間の完工戸数(千戸・賃貸住宅換算の推定))× 価格 261(千戸あたり売上(億円・名目。1戸約2,000万円の建築費で推定))→ 売上 743 億円・営業利益 56 億円。完工2.9千戸(今の0.75倍)、単価1.30倍、営業利益率7.5%
- 仲介・分譲・金融(賃貸仲介・売買仲介・分譲・金融):数量 90.0(取引・契約の件数(千件・推定))× 価格 4.37(千件あたり売上(億円・名目。1件平均約35万円の推定))→ 売上 394 億円・営業利益 79 億円。取引9.0万件、単価1.25倍、営業利益率20%
- 生活関連(ホテル・介護保育・出版・物販):数量 205(運営する施設・媒体の数(推定。介護・保育131、ホテル・ゴルフ・飲食約70、出版・物販など))× 価格 2.33(1施設あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 477 億円・営業利益 48 億円。施設・媒体205(今と同じ)、単価1.25倍、営業利益率10%
倍率:ROE 7.1%(事業の純利益÷自己資本)は k 7.25%以下で、ためた利益は額面未満。PER の上限は 1÷k=12.9 倍。ROEが資本コスト以下に落ち、新築の縮小と管理料の競争で利益の質が下がるので、上限の 6.8 割の 8.8 倍に置いた(上限の7割へは引き上げない)。
確率:新築の縮小と管理料の競争が重なり、利益が減る展開。人口減と金利上昇は確実に進むので、2割に置いた。
悲観 10% 新築が止まり、管理料も下がって利益が4割に落ちる 利益 105 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 1,991 円944 億円
賃貸住宅の新築が事実上止まり、建設の完工は半分近くまで落ちる。管理に入る新しい物件がなくなり、管理戸数は今より2割ほど減る。管理料は、建築系の大手との競争と規制で下がり続け、管理の利益率は9%まで落ちる。
ホテルは訪日客の急減と人件費の上昇で赤字になり、介護も採算が悪い。仲介は取引が細り、金融の手数料も減る。全社の営業利益は150億円ほどと、今の4割に落ちる。
固定費の重いホテルや施設を抱え、減損も重なる。配当は利益のほとんどを払う形になる。建設・管理・生活関連の三つが同時に崩れ、事業が優良さを失い、普通の不動産サービス会社へ戻る10年だ。
- 不動産管理(住宅・社宅代行・駐車場・ビル管理):数量 76.5(住宅管理戸数(万戸・社宅管理代行などを含む会社公表値))× 価格 13(1戸あたり年間売上(万円・名目。管理料・営繕工事・駐車場・ビル管理を含む))→ 売上 969 億円・営業利益 87 億円。管理76万戸(今の0.8倍)×1戸年12.7万円(今の1.18倍)、営業利益率9%
- 建設(賃貸住宅・免震建築・戸建の請負):数量 2.1(年間の完工戸数(千戸・賃貸住宅換算の推定))× 価格 241(千戸あたり売上(億円・名目。1戸約2,000万円の建築費で推定))→ 売上 503 億円・営業利益 20 億円。完工2.1千戸(今の0.55倍)、単価1.20倍、営業利益率4%
- 仲介・分譲・金融(賃貸仲介・売買仲介・分譲・金融):数量 65.0(取引・契約の件数(千件・推定))× 価格 3.85(千件あたり売上(億円・名目。1件平均約35万円の推定))→ 売上 250 億円・営業利益 33 億円。取引6.5万件、単価1.10倍、営業利益率13%
- 生活関連(ホテル・介護保育・出版・物販):数量 174(運営する施設・媒体の数(推定。介護・保育131、ホテル・ゴルフ・飲食約70、出版・物販など))× 価格 2.14(1施設あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 373 億円・営業利益 11 億円。施設・媒体174(今の0.85倍)、赤字寸前、営業利益率3%
倍率:この筋書きの稼ぐ力は純利益 105 億円(k 7.25%で割って約 1355 億円)で、事業の優良さは失われている。今の自己資本1,888億円に0.5倍を掛けた(やや悲観の PER 8.8 倍より低く)。倍率は市場の値付けからでなく、稼ぐ力から置いた。
確率:新築が止まり、管理料の料率が競争で崩れる構造的な負け。管理が崩れにくい事業なので、悲観は1割に抑えた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
不動産管理(住宅・社宅代行・駐車場・ビル管理)
賃貸住宅やマンションの管理、企業の社宅の管理代行、時間貸し駐車場「ナビパーク」、ビルの管理と営繕工事。売上の約4割、営業利益の約4割を占める屋台骨。
| 数量住宅管理戸数(万戸・社宅管理代行などを含む会社公表値) | 価格1戸あたり年間売上(万円・名目。管理料・営繕工事・駐車場・ビル管理を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 95.6 | 11 | 1,026 | 146 |
| 10 年後 中立 | 97.5 | 14 | 1,402 | 196 |
取り方:会社公表の住宅管理戸数は2026年3月末で95.6万戸。外部売上1,026億円をこれで割ると、1戸あたり年約10.7万円になる(駐車場とビル管理の売上も含む)。物価の分は価格に入れ、戸数は実質の数として置いた。営業利益は146億円、利益率14.3%。
建設(賃貸住宅・免震建築・戸建の請負)
地主向けの土地活用で賃貸住宅を建てる。免震建築や注文戸建、リノベーションも手がける。管理事業への入り口になる。
| 数量年間の完工戸数(千戸・賃貸住宅換算の推定) | 価格千戸あたり売上(億円・名目。1戸約2,000万円の建築費で推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3.8 | 200 | 762 | 78 |
| 10 年後 中立 | 3.6 | 269 | 970 | 95 |
取り方:建設の外部売上762億円を、賃貸住宅1戸あたり約2,000万円の建築費で割り、年に約3,800戸と推定した(開示は無く推定)。物価や建築費の上昇は価格に入れ、戸数は実質。営業利益77億円、利益率10.2%。
仲介・分譲・金融(賃貸仲介・売買仲介・分譲・金融)
「ピタットハウス」の賃貸仲介、法人向けを含む売買仲介、分譲マンション・戸建、証券・信託・保険、J-REITの運用。件数は多いが1件あたりは小さい手数料の事業。
| 数量取引・契約の件数(千件・推定) | 価格千件あたり売上(億円・名目。1件平均約35万円の推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 3.50 | 350 | 89 |
| 10 年後 中立 | 105 | 4.69 | 492 | 118 |
取り方:賃貸仲介89億円、売買仲介102億円、分譲70億円、金融・コンサル89億円の外部売上計350億円を、1件平均約35万円とみて約10万件と推定した(開示は無く、仲介は1件が小さく分譲は大きいので平均)。営業利益は計89億円で、利益率は25%と高い。
生活関連(ホテル・介護保育・出版・物販)
ホテル・旅館・ゴルフ場、介護施設と保育所、女性向けサイト「OZmall」と出版、カードキーの製造販売と美術館。景気や訪日客に左右される部分と、介護のように安定した部分が混ざる。
| 数量運営する施設・媒体の数(推定。介護・保育131、ホテル・ゴルフ・飲食約70、出版・物販など) | 価格1施設あたり年間売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 205 | 1.86 | 382 | 51 |
| 10 年後 中立 | 226 | 2.49 | 562 | 73 |
取り方:ホテル・レジャー164億円、高齢者支援・保育131億円、出版77億円、物販・文化10億円の外部売上計382億円を、運営する施設と媒体の数約205で割り、1施設あたり約1.9億円と推定した(開示は無く、おおまかな推定)。営業利益は計51億円、利益率13%。
リスクと懸念
賃貸住宅の新築の縮小
建築費と金利が上がり、地主が賃貸住宅を新築する採算は悪くなった。建設は売上の約3割を占め、管理に入る新しい物件の入口でもある。受注が細れば、数年遅れて管理の戸数にも響く。
管理料の競争
管理は大東建託、積水ハウス、大和リビングなど建築系の大手との競争になる。料率の値上げは通しにくく、オーナーが管理会社を替える動きもある。管理の利益率が下がると、全体の利益に効く。
ホテルと介護の採算
ホテルは訪日客と景気に左右され、介護施設と保育所は人件費の上昇で利益が薄い。固定費が重く、売上が落ちると利益が大きく削れる。生活関連事業は売上の約15%を占める。
貯め込みによるROEの低下
利益の約75%を内部に残すと、自己資本は膨らみ、ROEは14%から10%前後へ下がる。低い利回りの不動産に回し続ければ、貯めた利益は価値を生まない。少数株主への還元は薄いままになる。
創業家支配とガバナンス
創業家と資産管理会社の共同保有で、株式の約2割を持つ。経営の継続性は高いが、少数株主の意見は届きにくい。同族の都合で、資本の使い方や関連会社の取引が決まるリスクがある。
新リース会計基準の影響
2028年3月期から、店舗やホテルなどの賃借が貸借対照表に載る。自己資本比率や純負債の見え方が変わるが、利益そのものは大きく変わらない。数字の形が変わる点には注意が要る。
今後の分かれ目
- 賃貸住宅の新築の着工が、年率で2割以上落ちたら
- 建設と、管理に入る新しい物件が同時に細る。やや悲観の確率を上げる。
- 管理戸数が減少に転じ、減少が数年続いたら
- 管理の積み上げが崩れ始めたと見る。管理の数量を下げて価値を見直す。
- 配当性向が40%を超え、自社株買いが毎年続くようになったら
- 貯め込みへの不満が薄れ、資本の使い方が改善する。倍率を上げる根拠になる。
- 訪日客が急減し、ホテルの稼働が落ち込んだら
- 生活関連の利益が数年消える。ただ全体の影響は限られ、やや悲観の範囲に収まる。
- 創業家が非公開化を打ち出したら
- 買い付け価格は本質価値より低くなりうる。少数株主に不利な条件でないか、確認する。
- 管理料の料率が競争で下がり、管理の利益率が2ポイント以上落ちたら
- 屋台骨の稼ぎが削れる。悲観側に確率を移す。
見ておくもの
- 管理戸数と管理の営業利益率(決算説明資料)
- 賃貸住宅の新設着工戸数と、建設の受注残
- 配当性向と自社株買いの有無
- ホテルの稼働率と介護の人件費率
倍率と資本コストの決め方
今の株価は倍率の根拠にしていない。倍率は、10年後の事業のROEと資本コスト7.25%から、利益ベースの正当化PERで決めた。長期の成長率は、戸数が横ばい前後で物価が3%上がる事業として4%にした。堀は普通で、新しく投じるお金の稼ぎは資本コストを超える分の半分だけ残るとした。
中立のPERは、ROEが資本コストを超える会社の下限である1÷kに近い13.0倍に置いた。過去の倍率や同業の倍率には寄せていない。新リース会計の基準で2028年3月期から営業利益と負債の形が変わるが、10年後の数字は今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)でそろえた。悲観は、稼ぐ力から置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13.9→17.92 倍・やや楽観 PER 13.2→17.52 倍・中立 PER 13→17.13 倍)。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%に、循環0%・値決め力+0.25%・借金0%・寿命0%を足して7.75%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 7.75% → 7.25%。