結論
ファーストブラザーズは、中小型の賃貸不動産を自己資金と借入で買い、持って貸し、売って稼ぐ会社である。筆者の結論は、10 年の価値は今の時価総額を大きく下回り、割高というものだ。理由は、借入が重く、金利が上がる局面で利益が削られるからだ。
足元の利益は強い。2025 年 11 月期の営業利益は 53 億円と、過去最高に近い。ただし会社は 2026 年 11 月期の経常利益を 34% の減益と見ており、利払いの増加を織り込み始めている。
借入は 565 億円で、自己資本 261 億円の 2 倍を超える。借り入れの金利が短期金利に連動するため、金利が 2% まで上がれば利払いは今の倍以上になる。
事業の質は悪くない。物件の入れ替えで売却益を積み上げる力は本物だ。ただ、売却益は年ごとに大きく振れ、長く続く稼ぐ力とは言いにくい。
筆者がいちばん気にしているのは、利払いの増加が売却益の伸びを上回るかどうかである。会社の予想は、その負担を十分には織り込んでいないと見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、これは「借金で不動産を回す会社」である。借金を使う事業は、金利が低いうちは楽に利益が出るが、金利が上がる局面で試される。
PBR は 1 倍を割っている。ただ、ROE が資本コストを下回る見通しのもとでは、PBR 1 倍割れは割安の根拠にならない。自己資本の厚みは、物件を値引きして売っても残る範囲でしか数えられない。
堀は弱い。物件を買う目利きは評価するが、他社にまねされやすい。
筆者は、10 年かけた価値は今の値段を大きく下回ると見る。利益が会社の予想どおり続くなら話は違うが、利払いの増加を考えると、そう見る根拠は薄い。
経営の資本の使い方は、借入を使った拡大で、利益を新しい物件へ回す形である。株主への還元は DOE を目安とし、超過利益の一部を上乗せして返す。
オーナーとして持ち続けたいかと問われれば、金利が落ち着いた局面でなければ避けたい。安全域は薄いと考える。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、中小型の賃貸不動産の賃料と売却益である。収益の大半は、自己勘定で不動産に投資する投資銀行事業から生まれる。
投資銀行事業は、流通件数の多い中小型の賃貸物件を、首都圏と地方で買う。賃料を得ながら手を入れ、価値が高まったところで売る。売却益は新しい物件の取得に回し、保有残高を増やしていく。
投資運用事業は、投資家から資金を預かって都心の大型不動産に投資するファンドの運営である。収益は管理の報酬が中心で、今は小さい。
施設運営事業は、ホテルや旅館の運営で、年の売上は 21 億円ほどだ。訪日客の増加で好調で、のれんの減損の後に黒字へ戻った。
決算期は 11 月で、四半期の利益は物件の売却時期で大きく振れる。会社は年間で計画を管理している。
取得の対象は、取引の多い中小型の賃貸物件で、オフィス、住宅、商業ビルなど幅広い。大型の物件より競争が緩く、利回りを確保しやすいと会社は説明する。物件ごとに入居者の入れ替えや改修で価値を高める。
資金は金融機関からの借入が中心で、借入の担保は物件そのものである。第 1 四半期末の借入は 559 億円にのぼった。
優良さと弱いところ
堀は弱い。不動産の売買は参入しやすく、競合が多い。物件を厳選する目利きと、金融機関から借りられる信用が、会社の強みである。
強みは、売却益を積み上げた実績だ。過去 10 年で営業利益が 18 億円から 53 億円まで振れつつ、純利益はおおむね 20 億円前後を保った。ROE は 13% が中央値である。
弱みは三つある。借入が重いこと、売却益が年ごとに振れること、金利の上昇で取引の利回りが上がること。自己資本比率は 29% と低い。
経営は、取得の基準を保って低利回りの案件を避ける姿勢を示している。ただ、資本コストを上回る利益を上げ続けられるかは、金利の上がる局面でこれから試される。
数字で見ると、営業利益率は 2015 年 11 月期の 62% から 2022 年 11 月期の 13% まで大きく振れ、直近は 28% である。売却益の多寡で決まるため、利益率は安定した指標にならない。
資本の使い方では、売却益を再投資に回して規模を伸ばす姿勢は評価できる。一方で、借入への依存が続く限り、財務の余裕は小さい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
不動産の投資市場は、低金利のもとで長く拡大してきた。ここへきて長期金利が上昇し、取引の利回りが上がり始めている。会社の投資する中小型の賃貸物件は、金融機関の貸出態度がまだ緩く、投資家の意欲も強い。
金利の上昇は、売却益と利払いの両方に響く。物件を買う人の資金コストが上がれば、売値が伸びにくい。自分の借入の利払いも増える。
一方で、建設費が上がって新築が減るため、既存の賃貸物件の価値は相対的に守られる。賃料は物価に連れて上がりやすい。
競合は、同じ中小型物件を扱う不動産会社や、私募ファンド、外資系の投資家である。景気の位置は、取引が活発な局面にあり、売却の機会は多い。
足元の取引市場は、投資家の意欲が強く、金融機関の貸出態度も緩い。ただ、都心部では利回りの低下が進み、割高な物件も増えている。会社は低利回りの案件への投資を絞る方針だ。
中期的には、金利の上昇が最大の変数になる。取引の利回りが金利に連れて上がれば、物件の価格が伸びなくなる。賃料の上昇がこれを補えるかが、業界全体の分かれ目になる。
ホテルの運営は、訪日客の増加で稼働が高いが、人手不足とコスト増も続く。
資本政策と M&A
還元は、年 1 回の期末配当を基本とし、株主資本配当率(DOE)2.0% を目安としている。2024 年 11 月期からは、前期の純利益が 20 億円を超えた分の 40% を、中間配当で上乗せする方針だ。
自社株買いは目立たない。M&A は、ホテルの運営会社の取得など小さなものにとどまる。
資金は借入に頼る。借入は長期が中心で、主な基準金利は短期金利に連動する。会社は、利払いの増加を前提に、低利回りの案件を絞ると述べている。
TOB で買われる側になる可能性は、時価総額が 176 億円と小さく、自己資本より低いため、無視できない。ただ本分析では買収の上乗せは見込まない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
物件を買い、手を入れ、売って、利益を新しい物件へ回す。この循環を 10 年以上続け、営業利益を 18 億円から 53 億円まで引き上げた実績がある。2025 年 11 月期の営業利益は過去最高に近い。
賃料は物価に連れて上がり、建設費の高騰で新築が減るため、既存の物件の価値は守られる。借入は物件を担保にしており、売れば返せる。
会社は 2026 年 11 月期の純利益を 26 億円と見る。第 1 四半期は営業利益が 64% 増えており、物件の取得と売却が期初から進んでいる。ホテルも黒字へ戻った。
PBR は 1 倍を割っており、自己資本の厚みが下値を支える。株主還元も DOE 2% と超過利益の上乗せで手厚い。
借入の金利が上がっても、会社は物件の入れ替えで利回りの高い物件へ資金を回せる。インフレは賃料と物件の名目価格を押し上げ、固定した借入の実質負担を軽くする。
地方の中小型物件は、都心の大型物件より競争が緩く、利回りが高い。会社はその分野で取得の目利きを磨いており、金利上昇の局面でも、利回りの高い物件を選べば利ざやは残る。
慎重な見方
今の利益は、低金利のもとで売却益が積み上がった結果である。借入 565 億円のうち大半が短期金利に連動し、金利が 2% に上がれば利払いは今の倍以上に増える。会社自身も、金利負担の増加を見込んでいる。
売却益は年ごとに大きく振れる。四半期の利益は物件の売却時期で変わり、実力を測りにくい。取引の利回りが上がれば、物件の価格が伸びず、売却益が細る。
自己資本比率は 29% で、借入は自己資本の 2 倍近い。市況が崩れて物件の価格が 2 割下がれば、自己資本の大半が失われる。リーマン後には、同業の多くが苦境に陥った。
ROE は 2024 年 11 月期に 5.7%、2025 年 11 月期に 6.7% と、資本コストを下回っている。
物件の売却益を前提にした経営は、売れない局面で資金繰りが苦しくなる。会社は借入の長期化を進めているが、借り換えの条件は金利で変わる。
配当の上乗せ方針も、前期の純利益が 20 億円を超えた場合に限られ、利益が細れば消える。株主還元の厚さは、利益の水準しだいで変わる。
借入が自己資本の約 2 倍あるため、景気の悪化で賃料が下がれば、返済の負担がすぐ重くなる。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。足元の利益は低金利の恩恵であり、金利が上がる 10 年では持続しにくい。借入の重さが、下振れ時の傷を深くする。
確率は中立を中心に置き、やや悲観を 26%、悲観を 12% と厚めにした。悲観の価値は、物件を値引きして売った後に残る額に近づけた。
会社の予想する 2026 年 11 月期の純利益は、10 年ならした力としては高く見える。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/11 期)
確率で加重した株価時価総額 1,481 円208 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 531 円75 億円)。 今の値に割り戻すと 953 円134 億円、今との差 −23.2%、 期待の年率 +5.0%(資本コスト 9.3%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 2,929 円411 億円 | 927 円130 億円 | +210.7% | +12.0% | 308 円43 億円 |
| やや楽観 | 20% | 2,063 円289 億円 | 713 円100 億円 | +123.7% | +8.4% | 555 円78 億円 |
| 中立 | 34% | 1,713 円240 億円 | 535 円75 億円 | +81.1% | +6.1% | 764 円107 億円 |
| やや悲観 | 26% | 772 円108 億円 | 428 円60 億円 | −3.4% | −0.3% | 312 円44 億円 |
| 悲観 | 12% | 428 円60 億円 | 178 円25 億円 | −51.2% | −6.9% | 73 円10 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,481 円208 億円 | 531 円75 億円 | +62.2% | +5.0% | 2,012 円282 億円 |
今の株価時価総額 1,241 円174 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.3% を下回るほど割高。
楽観 8% 不動産市況が強く、売却益と賃料が伸びる 利益 38 億円 · PER 10.8 倍 · 株価時価総額 2,929 円411 億円
都心と地方の中小型の賃貸不動産で、賃料が物価を上回って上がり、取引の利回りも低く保たれる。会社は物件を入れ替えながら保有残高を増やし、売却益を積み上げる。借入が増えても、賃料の伸びが利払いの増加を上回る。ホテルは訪日客の増加で稼働率と客室単価が上がり、黒字が定着する。運用事業は大型ファンドの組成が再開し、手数料が増える。純利益は 38 億円ほどになり、DOE 目安に超過利益の上乗せ配当が加わる。会社は規模を増やしつつ、財務の余裕も保つ。株主還元は、DOE の目安に超過利益の上乗せが加わる形で手厚く続く。
- 投資銀行事業:数量 190(売買・賃貸の取扱高(億円・今の値段の実質))× 価格 140.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍が基本。取引利回りの上昇で下げる))→ 売上 266 億円・営業利益 90 億円。売却益と賃料の伸び
- 投資運用事業:数量 4.0(受託の規模(億円・今の値段の実質))× 価格 134.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍))→ 売上 5 億円・営業利益 3 億円。ファンド組成が再開
- 施設運営事業:数量 26.0(運営の規模(億円・今の値段の実質))× 価格 134.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍))→ 売上 35 億円・営業利益 3 億円。稼働と単価が上昇
倍率:事業の純利益 38 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.8% が k 9.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.8 倍。全体の PER 10.81 倍、時価総額 411 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:賃料が物価以上に上がり、売却の市場も厚いという好条件が長く続く必要がある。金利が上がる前提では確率は 1 割に届かない。
やや楽観 20% 賃料は物価並みに伸び、利払い増を吸収する 利益 26 億円 · PER 10.8 倍 · 株価時価総額 2,063 円289 億円
賃料は物価並みに上がり、中小型物件の入れ替えも順調に進む。短期金利が 2% に上がって利払いは増えるが、売却益と賃料の増加で吸収できる。営業利益は 60 億円ほどになり、純利益は 26 億円前後で、会社の足元の予想に近い水準を保つ。ホテルは小さな黒字が続く。配当は DOE 目安に加えて、超過利益の一部が上乗せされる。ホテルと運用事業は小さく、全体の利益を決めるのは投資銀行事業である。自己資本比率は 30% を保ち、財務の傷は小さい。借入の返済負担は重くなるが、賃料収入が下支えする。ホテルは訪日客の需要で黒字が続く。
- 投資銀行事業:数量 170(売買・賃貸の取扱高(億円・今の値段の実質))× 価格 134.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍が基本。取引利回りの上昇で下げる))→ 売上 228 億円・営業利益 71 億円。賃料は物価並み
- 投資運用事業:数量 2.5(受託の規模(億円・今の値段の実質))× 価格 134.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍))→ 売上 3 億円・営業利益 2 億円。手数料は緩やかに回復
- 施設運営事業:数量 24.0(運営の規模(億円・今の値段の実質))× 価格 134.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍))→ 売上 32 億円・営業利益 2 億円。黒字を維持
倍率:事業の純利益 26 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.3% が k 9.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.8 倍。全体の PER 10.81 倍、時価総額 280 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:金利上昇の影響を、賃料の改定と売却益で吸収できる道。会社の予想水準を保つ筋書きで 2 割を置く。
中立 34% 利払いが増え、利益は今の予想を下回る 利益 19 億円 · PER 10.8 倍 · 株価時価総額 1,713 円240 億円
短期金利が 2% へ上がり、借入 565 億円の利払いは今の倍以上に増える。賃料は物価に連れて上がるが、取引の利回りが上がって売却益の伸びは鈍る。営業利益は 50 億円ほどで、金利を引いた純利益は 19 億円前後と、会社の足元の予想(26 億円)を下回る。自己資本は配当を引いた分だけ積み上がり、ROE は 5% 弱にとどまる。ホテルは小さな黒字で、運用事業は小さいまま推移する。物件の入れ替えは続き、中小型の賃貸物件の取得も一定の水準を保つ。ただし、新しい借入の金利が高いため、利益の伸びは物価に追いつかない。ホテルと運用事業は小さな黒字にとどまる。
- 投資銀行事業:数量 155(売買・賃貸の取扱高(億円・今の値段の実質))× 価格 130.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍が基本。取引利回りの上昇で下げる))→ 売上 202 億円・営業利益 60 億円。取引利回りの上昇で売却益が鈍る
- 投資運用事業:数量 1.2(受託の規模(億円・今の値段の実質))× 価格 134.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。手数料は横ばい
- 施設運営事業:数量 22.0(運営の規模(億円・今の値段の実質))× 価格 134.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍))→ 売上 30 億円・営業利益 2 億円。黒字を維持
倍率:事業の純利益 19 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.3% が k 9.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.8 倍。全体の PER 10.81 倍、時価総額 210 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:短期金利の上昇で利払いが増え、予想より利益が細る。最も起こりやすい道として 34% を置く。
やや悲観 26% 金利と利回りの上昇で売却益が細る 利益 9 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 772 円108 億円
長期金利の上昇で、取引の利回りが 0.5 ポイントほど上がる。物件の価格は名目で横ばいに近く、売却益は今の半分ほどに細る。一方で借入の利払いは増え続け、営業利益は 35 億円、純利益は 9 億円ほどにとどまる。会社は新規の物件取得を絞り、保有を減らして借入を返す。配当は DOE の下限を維持するのがやっとで、自己資本は伸びにくい。会社は借入の返済を優先し、新規の取得を減らす。ホテルの稼働は保つが、利益への貢献は小さい。TOB の対象になる可能性が上がるが、提示の価格が高いとは限らない。評価損の計上も出るが、自己資本比率は 25% 台を保ち、財務の危機にはならない。
- 投資銀行事業:数量 145(売買・賃貸の取扱高(億円・今の値段の実質))× 価格 115.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍が基本。取引利回りの上昇で下げる))→ 売上 167 億円・営業利益 47 億円。売却益が細る
- 投資運用事業:数量 0.5(受託の規模(億円・今の値段の実質))× 価格 134.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。受託が減る
- 施設運営事業:数量 19.0(運営の規模(億円・今の値段の実質))× 価格 134.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍))→ 売上 26 億円・営業利益 1 億円。客室単価の伸びが鈍る
倍率:事業の純利益 約 9 億円・ROE 約 2.7% は k 9.25% 以下なので、上限は 1÷k=10.5 倍。利益が小さく不安定で、上限の約 7.6 割の 8.0 倍に置いた。
確率:金利上昇で取引の利回りが上がり、物件の価格が伸びない。売却益が細り、利払いだけ増える。慎重な見方がやや強いとして 26% を置く。
悲観 12% 市況が崩れ、借入を抱えて評価損が出る 利益 −11 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 428 円60 億円
金融の引き締めと不動産の需要の落ち込みで、賃貸不動産の価格が 2 割以上下がる。売却が進まず、期間の長い借入の借り換えは条件が厳しくなる。評価損を計上して自己資本が削られ、営業利益は 5 億円ほどに落ちて、利払いを賄えず純損益は赤字になる。ただし、保有は不動産が中心で、売れば借入の大半は返せる。会社は配当を止め、物件を売って借入を返す縮小の局面に入る。市況が戻らない間は、評価損が積み上がり、自己資本比率は 20% を割る可能性がある。株主還元は止まり、会社は資産の売却で借入を減らす。借り換えが難しい借入を抱えた同業が、安値で物件を売り出す連鎖も起きる。
- 投資銀行事業:数量 110(売買・賃貸の取扱高(億円・今の値段の実質))× 価格 100.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍が基本。取引利回りの上昇で下げる))→ 売上 110 億円・営業利益 17 億円。売却益が出ず、価格が下がる
- 投資運用事業:数量 0.3(受託の規模(億円・今の値段の実質))× 価格 134.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。受託が細る
- 施設運営事業:数量 18.0(運営の規模(億円・今の値段の実質))× 価格 134.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍))→ 売上 24 億円・営業利益 1 億円。稼働が落ちる
倍率:赤字が続く筋書きで稼ぐ力では価値が付かない。不動産を値引きして売り、借入を返した残りで支える床として、今の自己資本 261 億円の約 0.23 倍に置いた。 借入が重く、EV÷営業利益は倍率の意味を持たないため、純現金・資産の床を中心に見た。
確率:リーマン級に近い不動産市況の崩れが再び来る筋書き。借入が自己資本の約 2 倍あり、構造的に脆いので 12% を置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
投資銀行事業
中小型の賃貸不動産を自己勘定で買い、保有して貸し、売る事業。
| 数量売買・賃貸の取扱高(億円・今の値段の実質) | 価格値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍が基本。取引利回りの上昇で下げる) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 168 | 100.0% | 168 | 62 |
| 10 年後 中立 | 155 | 130.0% | 202 | 60 |
取り方:推定。開示は金額だけで数量は無い。2026 年 11 月期第 1 四半期の比率から、2025 年 11 月期の内訳を推定した。売上は売却収入と賃料の合計。
投資運用事業
投資家から預かった資金で都心の大型不動産に投資するファンドの運営。
| 数量受託の規模(億円・今の値段の実質) | 価格値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 1.3 | 100.0% | 1 | 1 |
| 10 年後 中立 | 1.2 | 134.0% | 2 | 1 |
取り方:推定。第 1 四半期の実績(売上 0.3 億円)から年換算した。
施設運営事業
ホテル・旅館の運営。
| 数量運営の規模(億円・今の値段の実質) | 価格値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 21.3 | 100.0% | 21 | 1 |
| 10 年後 中立 | 22.0 | 134.0% | 30 | 2 |
取り方:推定。第 1 四半期の実績(売上 5.1 億円)から年換算した。利益は推定。
リスクと懸念
金利上昇による利払いの増加
借入 565 億円の大半が短期金利に連動する。短期金利が 2% へ上がると、利払いは今の倍以上に増える。会社も金利負担の増加を見込んでいる。
不動産市況の悪化
取引の利回りが上がると、物件の価格が下がり、売却益が減る。借入が自己資本の 2 倍あるため、価格が 2 割下がると自己資本の大半が失われる。
売却益の振れ
収益の大半が物件の売却益で、年ごとに大きく振れる。四半期の利益は売却の時期で変わり、実力を測りにくい。
借り換えと信用
借入の長期化は進んでいるが、金融機関の貸出態度が変われば、借り換えが難しくなる。自己資本比率は 29% と低い。
ホテル運営のコスト
訪日客の増加で好調だが、人手不足と物価上昇でコストが増える。のれんの償却は減損で減ったが、新しい買収があれば再び出る。
今後の分かれ目
- 短期金利が 2% を大きく超えて上がったら
- 利払いがさらに増え、中立の利益を下げる。やや悲観・悲観の確率を上げる。
- 物件の売却で、簿価を大きく上回る売却益が続いたら
- 含み益が確かめられる。純資産の価値を高く見直し、楽観側の確率を上げる。
- 取引の利回りが 0.5 ポイント以上上がったら
- 物件の価格が下がる可能性が出る。悲観の確率を上げる材料になる。
- 借入の返済を進め、自己資本比率が 35% を超えたら
- 財務の脆さが和らぐ。借金の項目を見直す余地が出る。
- TOB など非公開化の提案が出たら
- 株価が上がる可能性はある。ただ、本質価値は提示価格でなく、稼ぐ力で決める。
見ておくもの
- 短期金利と借入の利払い
- 物件の売却益と取引の利回り
- 自己資本比率と借入残高
- ホテルの稼働率と客室単価
倍率と資本コストの決め方
倍率は事業 ROE・資本コスト 9.25%・長期の成長 4% から式で置き、ROE が k 以下の筋書きでは上限 1÷k のうち 7.6〜9.5 割に置いた。今の PER・PBR や同業の倍率には寄せていない。同じ領域の会社と k を +2.0% にそろえた。含み益は開示が確認できず、足していない。純現金は無い。リースは小さく、新リース会計基準の後も今と同じ形で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10→10.81 倍・やや楽観 PER 9.5→10.81 倍・中立 PER 9→10.81 倍)。
資本コスト 9.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality を足した。個別のリスクは筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.50% → 9.25%。