結論
robot home(旧 TATERU)は、個人投資家に土地付きの新築アパートを供給し、建てたあとの賃貸管理でも稼ぐ会社だ。在庫を抱えず、先に投資家が土地を買う仕組みなので、資本が軽い。2025/12 期の売上は 241 億円、営業利益は 18 億円だった。
筆者の結論は「適正」である。事業は良くなったが、見かけの利益は実力より大きい。2025/12 期の純利益 20 億円には、税金の戻りが 3 億円ほど混じる。ならすと 12 億円前後で、今の時価総額に対する倍率は 11 倍強になる。
一番の強みは管理事業だ。2.8 万戸を超える部屋を預かり、会社の説明では営業利益率が 5 割を超える。ここが厚くなるほど、利益は景気の波に左右されにくくなる。
一番の弱みは、売り先の個人投資家が銀行の融資で買うことだ。融資が絞られれば、棟数は一気に落ちる。2018 年には融資資料の改ざん問題で、この商売が一度止まった。創業者の持株比率が 45% 前後で、余った現金が株主に戻るとは限らない点も、割り引いて見ている。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、見るべきは 3 点だ。1 つ目は、事業が 10 年後も同じ形で残るか。2 つ目は、稼いだお金が株主に戻るか。3 つ目は、払う値段に安全域があるか。
1 つ目は、半分は「はい」である。管理事業は粘りがあり、AI・IoT は小さいが利益率が高い。一方、供給事業は個人投資家の融資に頼る。ここは景気と銀行の姿勢で、数量が大きくぶれる。堀は弱いとみる。
2 つ目は「あまり期待できない」だ。創業者が 45% を持ち、配当性向は 9% である。現金が積み上がっても、株主に戻る額は割り引いて数える。
3 つ目は、純現金と軽い資産が安全域になる。現金 75 億円に対し、時価総額は 145 億円だ。ただし預り金が 14 億円あり、成長のための前払いも要る。余った現金は 30 億円に絞って数えた。
利益の質は割り引く必要がある。見かけの純利益は 20 億円だが、ならすと 12 億円ほどだ。10 年の筋書きは、棟数を 2 倍近く、賃料と建築費は物価並みに上げて置いた。それでも倍率は 9 倍台にとどめた。資本コストは 8.75% と、財務の強さを評価せず、融資頼みの循環を重く見ている。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は 2 つに分かれる。1 つは新築アパートの供給で、もう 1 つは建てたあとの賃貸管理だ。
供給の流れはこうだ。会社が土地の情報を仕入れ、投資家に紹介する。投資家が土地を買い、会社が建築を請け負って引き渡す。会社が土地を在庫として抱える形ではなく、2025/12 期末の販売用不動産は 15 億円しかない。投資家は 1 億〜3 億円のアパートを、ほぼ全額の融資で買う。表面利回りは 6% 前後と説明されている。
引き渡し棟数は 2024/12 期の 65 棟から 2025/12 期の 116 棟に増え、中期経営計画では 2028/12 期に 310 棟を目指す。1 棟あたりの売上は約 2 億円で、棟数がそのまま売上を決める。
管理事業は、引き渡した物件の賃貸管理を受け持つ。管理戸数は 2.8 万戸を超える。会社は管理事業の営業利益率を 54% と説明し、売買側の 5% 台より桁違いに高い。ストックの収益だ。
AI・IoT 事業は、同社が作った賃貸管理のアプリと部屋の IoT 機器を、他の不動産会社や他業種に提供する。2025/12 期の売上は 9 億円、利益は 4 億円と利益率が高い。ただし規模はまだ小さい。
全社の費用 20 億円は、営業と採用、本社の人件費が中心だ。供給が伸びる局面では、この費用も増える。
優良さと弱いところ
この会社の良さは、資本の軽さと速さだ。土地を先に投資家が買うので、会社は在庫を持たず、自己資本比率は 70% ある。2025/12 期の営業キャッシュフローは 18 億円の黒字で、現金は 75 億円ある。借入は 13 億円にとどまる。
情報の速さも武器になっている。土地の情報を得てから最短 5 時間で金額を示すと、会社は説明する。個人投資家向けの土地付きアパートは、他社との競り合いになりやすい。速さで勝てる間は、仕入れで有利だ。
堀、つまり他社がまねできない強みは、強くない。新築アパートの供給は、土地の仕入れと融資の通りやすさで決まる。値段を自分で決める力は弱い。管理事業は解約が起きにくく、粘りがある。ただ入居者が入れ替わる時や、建物が古くなる時の改装費は、今後の負担になる。
弱点ははっきりしている。買い手の個人投資家は、銀行の融資姿勢に左右される。取引のある 80 行余りのうち 40 行以上と提携していると会社は言うが、融資が細れば棟数は落ちる。2018 年の改ざん問題は、まさにこの経路で起きた。
経営と株主の関係にも目を向けたい。創業者で社長の古木大咲氏が約 45% を持つ。方向は定まりやすいが、配当性向は 9% と低く、少数株主への還元は薄い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
投資用の新築アパートは、金利と融資の姿勢で売れ行きが変わる市場だ。東京の賃料は直近 1 年で 6% 台上がり、新築の供給は建築費の高止まりで細っている。表面利回りが 6% 台なら、金利が 4% になっても 2 ポイントほどの差は残る、と会社は説明する。
競合は、一棟アパートを個人に売る同業と、都心のワンルームを売るFJネクストホールディングスやGA technologiesのような投資用マンション会社だ。区分マンションは利回りが 2〜3% まで下がり、金利が上がると逆ざやになる。アパートのほうが利回りに余裕がある分、金利上昇には強い。
過去の谷も忘れてはいけない。2018 年のスルガ銀行の問題で、アパート向け融資は急に絞られた。TATERU の営業利益は 2017 年の 59 億円から翌年に 7 億円、2019 年には 97 億円の赤字へ沈んだ。融資が止まれば、この業界の売上は半分以下になりうる。
一方で、東京への人口集中と新築の細りは、既存の賃貸物件を持つ会社に追い風になる。管理戸数が増えるほど、景気の波の影響を受けにくい収益が積み上がる。
会社の計画は強気だ。2028/12 期に 310 棟、売上 600 億円、営業利益 41 億円を掲げる。2024/12 期と 2025/12 期は、どちらも目標の棟数を上回った。それでも、融資が前提の成長は、外部要因ひとつで止まる。
資本政策と M&A
還元は薄い。2025/12 期の配当性向は 9% で、2026/12 期も同水準の予想だ。自社株買いはほぼない。
余った現金は、現金 75 億円から借入 13 億円と預り金 14 億円を引いた 48 億円が目安になる。成長期は建築の前払いなどで運転資金が増える。事業に要る分をみて、余りは 30 億円と置いた。
創業者の持株比率が約 45% で、親会社のような資本関係の相手はいない。M&A は目立った実績がない。2018 年以降の立て直しは、アパート仲介の停止と再開、社名変更、管理事業の積み上げで進んだ。
過去 5 年の純利益は、繰延税金資産の計上で押し上げられた。過去の赤字で積んだ税の繰り越しが残っている間は、税負担が軽い。ただ、これは数年で使い切る性格のもので、10 年先は通常の税率で見る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
計画どおりに行かなくても、会社は 2 倍の棟数に届く。2024/12 期、2025/12 期と、目標を超えて引き渡している。東京の賃料は上がり、新築の供給は建築費の高止まりで細る。アパートの利回りは 6% 台あり、金利が 4% に上がっても、投資家の手残りは残る。
管理事業は 2.8 万戸まで積み上がり、営業利益率が 5 割を超える。引き渡す棟が増えるたびに、管理戸数は増える。供給の波が弱い年も、管理が下支えする。会社の費用 20 億円を、管理の利益が埋めていく形だ。
AI・IoT は、他社の管理会社にも提供できる。利益率が 46% と高く、2026 年の第 1 四半期は売上が前年同期の 2 倍を超えた。小さな事業が、10 年後には賃貸管理の標準的な仕組みに育つかもしれない。
現金は 75 億円あり、時価総額の半分に当たる。納税の繰り越しも使えるため、手元に残る利益は増える。10 年後、棟数が 300 を超え、管理戸数が 5 万戸に近づけば、利益は今の 3 倍に届く。
慎重な見方
この会社の成長は、銀行の融資姿勢に全部乗っている。個人投資家は 1 億〜3 億円のアパートを、自己資金 1,000 万円台のほぼ全額融資で買う。金利が上がり、銀行が絞れば、買い手は消える。2018 年のスルガ銀行の問題では、まさにそうなった。
TATERU は融資資料の改ざんで、一度この商売を止められた。営業利益は 2017 年の 59 億円から 2019 年の 97 億円の赤字へ落ちた。今は管理を厚くしたが、利益の大半は今も供給から来る。会社の計画する 310 棟は、融資が緩い前提でしか届かない。
見かけの利益も割り引くべきだ。2025/12 期の純利益には、税金の戻りが混じる。ならした純利益は 12 億円で、これに今の時価総額 145 億円は 11 倍強の値段を払っている。10 年後も、全社費用 20 億円は物価と人員で増え続ける。
創業者が約 45% を持ち、配当性向は 9% だ。現金 75 億円のうち、預り金と運転資金を除くと、株主に戻る額は限られる。現金を理由に割安とは言い切れない。
どちらに重みを置いたか
強気の主張は、棟数の伸びと管理事業の積み上げの確かさをついている。慎重な主張は、融資頼みという急所と、利益の質をついている。筆者は後者の指摘が重いとみて、確率を中立と悲観寄りに置いた。やや悲観と悲観を合わせて 38% とし、楽観は 8% にとどめた。管理事業の強さは中立の利益率に反映し、現金は戻り方 0.5 で割り引いた。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 437 円389 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 42 円37 億円)。 今の値に割り戻すと 217 円193 億円、今との差 +33.8%、 期待の年率 +11.5%(資本コスト 8.8%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,116 円991 億円 | 90 円80 億円 | +644.2% | +22.2% | 96 円86 億円 |
| やや楽観 | 20% | 755 円671 億円 | 70 円62 億円 | +409.1% | +17.7% | 165 円147 億円 |
| 中立 | 34% | 484 円430 億円 | 51 円45 億円 | +230.2% | +12.7% | 182 円162 億円 |
| やや悲観 | 24% | 104 円92 億円 | 14 円12 億円 | −27.4% | −3.2% | 28 円25 億円 |
| 悲観 | 14% | 53 円48 億円 | 3 円3 億円 | −64.9% | −9.9% | 8 円7 億円 |
| 加重平均 | 100% | 437 円389 億円 | 42 円37 億円 | +195.9% | +11.5% | 479 円426 億円 |
今の株価時価総額 162 円144 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 8% 融資が緩いまま、棟数が計画に近づく 利益 68 億円 · PER 14.4 倍 · 株価時価総額 1,116 円991 億円
銀行のアパート融資が緩いまま続き、東京と地方の中核都市で賃料が上がり続ける。会社は 2028 年の 310 棟の目標を達成し、その後も 350 棟前後まで引き渡しを増やす。1 棟の売上は建築費と地価の上昇で物価並みに上がる。
管理戸数は 5.8 万戸まで増え、管理事業の利益が全社費用の大半を埋める。AI・IoT も他の管理会社に広がり、売上は 17 億円に届く。
営業利益は 97 億円、純利益は 68 億円になる。創業者は還元をやや厚くするが、現金は成長に使われ、積み上がった分の半分ほどしか株主に戻らない。
- 新築アパートの供給(土地付き・引き渡し):数量 350(引き渡し棟数(棟))× 価格 2.39(1 棟あたりの売上(億円)。rev_factor は 1)→ 売上 835 億円・営業利益 92 億円。数量 3.02 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 11.0%
- 賃貸管理(ストック):数量 58.0(管理戸数(千戸))× 価格 13(1 戸あたりの年間収入(万円)。rev_factor は 0.1)→ 売上 78 億円・営業利益 43 億円。数量 2.23 倍・価格 1.40 倍・営業利益率 55.0%
- AI・IoT 事業:数量 41.0(利用戸数(千戸))× 価格 4.19(1 戸あたりの年間売上(万円)。rev_factor は 0.1)→ 売上 17 億円・営業利益 8 億円。数量 1.58 倍・価格 1.20 倍・営業利益率 45.0%
倍率:事業の純利益 67 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 16.6% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)22 億円。全体の PER 14.42 倍、時価総額 991 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の計画は 2028 年の 310 棟だが、融資の姿勢に依存する商売で、10 年続けて好環境が続く確率は小さい。8% にとどめた。
やや楽観 20% 計画の 8 割、棟数が 280 棟まで伸びる 利益 47 億円 · PER 13.9 倍 · 株価時価総額 755 円671 億円
引き渡しは 280 棟まで伸びるが、2028 年の 310 棟には届かない。融資の姿勢は途中で数回締まり、棟数は波を打つ。1 棟の売上は物価並みに上がり、利益率は 10% に保たれる。
管理戸数は 5 万戸に達し、管理事業の利益が 30 億円を超える。全社費用は人員増で 2 倍になる。AI・IoT は管理物件への導入で 15 億円規模になる。
営業利益は 68 億円、純利益は 47 億円。配当性向は 10% 台に上がるが、現金の積み上がりは続く。計画の達成率が 8 割でも、過去の山の営業利益率には届かない。融資の波で、利益は年によって 3 割ほど上下する。
- 新築アパートの供給(土地付き・引き渡し):数量 280(引き渡し棟数(棟))× 価格 2.39(1 棟あたりの売上(億円)。rev_factor は 1)→ 売上 668 億円・営業利益 67 億円。数量 2.41 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 10.0%
- 賃貸管理(ストック):数量 50.0(管理戸数(千戸))× 価格 13(1 戸あたりの年間収入(万円)。rev_factor は 0.1)→ 売上 65 億円・営業利益 34 億円。数量 1.92 倍・価格 1.36 倍・営業利益率 52.0%
- AI・IoT 事業:数量 39.0(利用戸数(千戸))× 価格 4.01(1 戸あたりの年間売上(万円)。rev_factor は 0.1)→ 売上 16 億円・営業利益 7 億円。数量 1.50 倍・価格 1.15 倍・営業利益率 42.0%
倍率:事業の純利益 47 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.7% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.9 倍 + 余った現金(戻り方込み)22 億円。全体の PER 13.86 倍、時価総額 671 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去 2 年は目標を超えており、計画の 8 割に届く展開はありうる。ただし金利と融資の姿勢が毎年同じではなく、20% とした。
中立 34% 棟数は 2 倍に届かず、管理が利益を支える 利益 31 億円 · PER 13.1 倍 · 株価時価総額 484 円430 億円
引き渡しは 220 棟前後で落ち着く。会社の計画 310 棟には届かないが、今の 2 倍に近い。1 棟の売上は物価並みに上がり、利益率は 9% 前後だ。
管理戸数は 4.3 万戸になり、管理事業の利益が 28 億円ほどに増える。賃料と手数料は物価並みに上がる。AI・IoT は管理物件への導入が進むが、AI エージェントが画面の仕事を飛ばし、アプリの利用料の値上げは物価を下回る(10 年で 1.10 倍)。
全社費用は物価と人員で 1.8 倍の 36 億円になる。営業利益は 45 億円、純利益は 31 億円で、税の繰り越しは使い切り、通常の税率に戻る。配当性向は 15% 前後に上がる。
- 新築アパートの供給(土地付き・引き渡し):数量 220(引き渡し棟数(棟))× 価格 2.39(1 棟あたりの売上(億円)。rev_factor は 1)→ 売上 525 億円・営業利益 47 億円。数量 1.90 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 9.0%
- 賃貸管理(ストック):数量 43.0(管理戸数(千戸))× 価格 13(1 戸あたりの年間収入(万円)。rev_factor は 0.1)→ 売上 55 億円・営業利益 28 億円。数量 1.65 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 50.0%
- AI・IoT 事業:数量 37.0(利用戸数(千戸))× 価格 3.84(1 戸あたりの年間売上(万円)。rev_factor は 0.1)→ 売上 14 億円・営業利益 6 億円。数量 1.42 倍・価格 1.10 倍・営業利益率 40.0%
倍率:事業の純利益 31 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.4% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)22 億円。全体の PER 13.09 倍、時価総額 425 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:管理事業の積み上げと東京の賃料上昇が下支えになる。一方、融資の波と全社費用の増加が重い。落としどころとして最大の確率を置いた。
やや悲観 24% 金利上昇で融資が細り、棟数が伸びない 利益 8 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 104 円92 億円
10 年国債の 3% と借入金利 4% 前後で、投資家の手残りが縮む。購入者の層が細り、引き渡しは 135 棟前後で頭打ちになる。値引き競争もあり、1 棟の売上は物価を下回る。
管理事業は 3.2 万戸まで伸びるが、賃料の上昇が鈍り、利益率は 45% に下がる。全社費用は人員を絞って物価並みの増加に抑える。
営業利益は 11 億円、純利益は 7 億円。配当は減らさないが、現金の積み上がりは遅い。管理事業の利益は残るものの、供給の薄い年が続くと、全社費用の重さが目立つ。創業者の判断で成長投資に回す現金も増え、株主に戻る額は限られる。
- 新築アパートの供給(土地付き・引き渡し):数量 135(引き渡し棟数(棟))× 価格 2.21(1 棟あたりの売上(億円)。rev_factor は 1)→ 売上 298 億円・営業利益 16 億円。数量 1.16 倍・価格 1.24 倍・営業利益率 5.5%
- 賃貸管理(ストック):数量 32.0(管理戸数(千戸))× 価格 12(1 戸あたりの年間収入(万円)。rev_factor は 0.1)→ 売上 38 億円・営業利益 17 億円。数量 1.23 倍・価格 1.25 倍・営業利益率 45.0%
- AI・IoT 事業:数量 30.0(利用戸数(千戸))× 価格 3.49(1 戸あたりの年間売上(万円)。rev_factor は 0.1)→ 売上 11 億円・営業利益 4 億円。数量 1.15 倍・価格 1.00 倍・営業利益率 35.0%
倍率:利益は 7 億円と薄く、資本コストを下回る水準。PER の上限は 1÷k の 10.5 倍。利益の質が落ちたと見て、約 76% の 8.0 倍に置いた。
確率:金利が 3% 台後半へ上がる前提では、アパートの購入余力が縮み、融資も慎重になる。2018 年のような急変は避けつつ、20% 台前半に置いた。
悲観 14% 融資が止まり、供給が崩れる 利益 −12 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 53 円48 億円
地銀の不正融資問題のような事態が再び起き、アパート向け融資が一斉に絞られる。引き渡しは 35 棟に落ち、供給事業は赤字になる。全社費用は人員整理をしても物価並みに増え、営業赤字が続く。
管理事業は残るが、管理戸数は 2.6 万戸で止まり、利益率も下がる。AI・IoT の外部売上は縮む。
10 年のうちに自己資本は減損と赤字で減る。現金と管理事業が残るため、倒産はしないが、株主に戻る価値は今の自己資本の半分以下になる。この筋書きでは、純現金のうち預り金と借入を除いた分と、管理事業の収益権が値段の支えになる。創業者は事業の立て直しに現金を使い、株主への還元は止まる。
- 新築アパートの供給(土地付き・引き渡し):数量 35.0(引き渡し棟数(棟))× 価格 1.99(1 棟あたりの売上(億円)。rev_factor は 1)→ 売上 70 億円・営業利益 −1 億円。数量 0.30 倍・価格 1.12 倍・営業利益率 -2.0%
- 賃貸管理(ストック):数量 26.0(管理戸数(千戸))× 価格 10(1 戸あたりの年間収入(万円)。rev_factor は 0.1)→ 売上 26 億円・営業利益 9 億円。数量 1.00 倍・価格 1.05 倍・営業利益率 35.0%
- AI・IoT 事業:数量 22.0(利用戸数(千戸))× 価格 3.14(1 戸あたりの年間売上(万円)。rev_factor は 0.1)→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。数量 0.85 倍・価格 0.90 倍・営業利益率 20.0%
倍率:赤字で、稼ぐ力では値が付かない。純現金 48 億円(預り金・借入を除く)と管理事業の価値を床とし、自己資本の約 0.5 倍に置いた。
確率:アパート融資の凍結は過去に実際に起きた(2018 年)。10 年に 1 度程度の頻度で、構造的な負けとして 14% を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
新築アパートの供給(土地付き・引き渡し)
個人投資家に土地付きの新築アパートを仲介し、建築を請け負って引き渡す。会社は在庫をほとんど持たない。
| 数量引き渡し棟数(棟) | 価格1 棟あたりの売上(億円)。rev_factor は 1 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 116 | 1.78 | 207 | 20 |
| 10 年後 中立 | 220 | 2.39 | 525 | 47 |
取り方:2025/12 期の引き渡しは 116 棟。robot home 事業の売上 231.6 億円から管理収益の推定 25 億円を引いた約 206 億円を棟数で割り、1 棟 1.78 億円とした(管理収益は推定)。セグメント利益 33.25 億円から管理の利益 13.5 億円を引いた 19.75 億円を供給の利益とし、全社費用 19.93 億円は調整で別に置く。
賃貸管理(ストック)
引き渡した物件を中心に賃貸管理を受託し、管理手数料・家賃保証・メンテナンスで稼ぐ。会社は管理事業の営業利益率を 54% と説明する。
| 数量管理戸数(千戸) | 価格1 戸あたりの年間収入(万円)。rev_factor は 0.1 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 26.0 | 9.60 | 25 | 14 |
| 10 年後 中立 | 43.0 | 13 | 55 | 28 |
取り方:管理戸数は 2026 年半ばで 2.8 万戸超と会社が説明、2025/12 期は約 2.6 万戸と推定。開示のない管理収益は 25 億円と推定し、1 戸 9.6 万円(年)とした。利益は会社の説明する営業利益率 54% を使った推定。
AI・IoT 事業
賃貸管理のアプリと部屋の IoT 機器、DX 支援を、自社の管理物件と他の不動産会社・他業種に提供する。
| 数量利用戸数(千戸) | 価格1 戸あたりの年間売上(万円)。rev_factor は 0.1 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 26.0 | 3.49 | 9 | 4 |
| 10 年後 中立 | 37.0 | 3.84 | 14 | 6 |
取り方:2025/12 期の外部売上 9.07 億円、セグメント利益 4.36 億円(開示)。定額課金は 3.6 億円。他社向けの DX 支援は人月の受託に近い。利用戸数は管理戸数と同じ 2.6 万戸と置いた推定で、1 戸あたり売上はそこから逆算した。
リスクと懸念
融資の引き締め
買い手の個人投資家はほぼ全額を銀行融資で買う。銀行が絞れば棟数は急に落ちる。2018 年のアパート向け融資の急減では、同業の売上が半分以下になった。
過去の不正と信頼
2018 年に営業担当者が顧客の融資資料を改ざんした。再発すれば、アパート供給は止まる。社名変更や統制の見直しを進めたが、棟数が増えるほど現場の管理が難しくなる。
金利の上昇
金利が上がれば、投資家の手残りが減り、買える価格が下がる。10 年国債 3% の前提では、利回りの余裕は 2 ポイント程度に縮む。販売価格の伸びが物価に届かなくなる。
利益の質
2025/12 期の純利益には繰延税金資産の計上による税金の戻りが入る。ならした純利益は 12 億円前後で、通常の税率に戻れば見かけの利益は減る。
株主への還元の薄さ
創業者が約 45% を持ち、配当性向は 9% だ。現金が積み上がっても、少数株主に戻るとは限らない。成長投資で使われる余地も大きい。
AI エージェント代替
管理会社向けのアプリと IoT は、画面を使う業務を前提にしている。AI エージェントが仲介や管理の事務を直接こなすと、利用料の値上げは難しくなる。売上の規模が小さく影響は限られる。
人材と費用の増加
棟数を 2.7 倍に増やすには、営業と施工管理の人員が要る。全社費用は物価と人数の両方で増え、営業利益率を圧迫する。
今後の分かれ目
- 銀行のアパート向け融資が全体で絞られる
- 棟数は半分以下になり、利益は赤字に近づく。管理事業が下支えするが、全社費用を埋めきれない。
- 310 棟の目標が 2028 年までに達成される
- 棟数と管理戸数の伸びが想定を上回り、楽観の筋書きに近づく。中立の倍率は据え置きで、利益の水準が上がる。
- 管理戸数が 5 万戸を超え、管理事業の利益が全社費用を上回る
- 利益の安定度が増し、資本コストの循環の分を下げる余地が出る。
- 創業者が配当性向を大きく引き上げる、または自社株買いを始める
- 余った現金の戻り方が上がり、値打ちが増える。
- 金利が 4% を超えて上昇し、利回りの余裕が 1 ポイントを切る
- 投資家の購入意欲が冷え、販売価格の伸びが止まる。
見ておくもの
- 年間の引き渡し棟数と中期経営計画の進み
- 管理戸数と管理事業の利益
- 金融機関の融資姿勢(アパートローンの新規実行額)
- 全社費用と営業利益率
- 税負担率と繰延税金資産
- 配当性向と自己株式取得の方針
倍率と資本コストの決め方
倍率は、事業の自己資本利益率と資本コスト 8.75%、物価並みの成長から式で決めた。上限の 85〜90% に置き、今の株価や同業の倍率は使っていない。純現金が厚いが、預り金・前払い・成長の運転資金を除いて余りを 30 億円とし、創業者支配を理由に戻り方は 0.5 とした。中立の営業利益率は 2025/12 期の水準(7%)にそろえ、過去の山(12%)は超えていない。利益の水準は、税の戻りを除いたならした値で置いた。新リース会計基準でも、営業所の賃借の規模は小さく、数字の形は大きく変わらない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.5→14.42 倍・やや楽観 PER 10→13.86 倍・中立 PER 9.5→13.09 倍)。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。