結論
デュアルタップは、東京 23 区の駅から 10 分以内に建てる投資用マンション「XEBEC(ジーベック)」を開発し、個人投資家やファンドに売る会社だ。筆者の結論は「割高」で、一番の理由は、年ごとに大きく振れる薄い利益に比べて、今の値段が高すぎることにある。
売上は過去 10 年で 52 億〜108 億円の間を行き来してきた。2026 年 6 月期の純利益は 0.5 億円、2027 年 6 月期は売上が倍以上に増えても純利益は 0.6 億円の見込みだ。開発の利益は物件の引渡しの時期で決まり、先を読みにくい。
会社は管理の戸数を増やし、ストック収入、つまり毎年繰り返し入る稼ぎを厚くしようとしている。白金のシニア向け住宅の事業も引き継いだ。方向は正しいが、まだ全社を支えるほどの大きさは無い。
10 年の中立では、ROE は資本コストに届かず、時価総額は今を下回る。金利の上昇は、この会社には向かい風だ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、デュアルタップは「良い立地を選ぶが、稼ぎの読めない事業」だ。
オーナーとして見ると、開発の利益は物件の引渡しの時期でほぼ決まる。ある年は利益が出て、ある年は赤字になる。10 年後の稼ぎを確かな数字で思い描くのは難しい。わからない事業には、安全域を厚く取るしかない。
管理のストック収入は好ましい。毎年繰り返し入る稼ぎで、景気の谷でも崩れにくい。ただ、利益は年 0.4 億円ほどで、会社の値段を支えるには小さすぎる。
今の値段は、自己資本の 1.4 倍だ。ROE が資本コストに届かない会社に、帳簿より高い値段を払う理由は見当たらない。値段が自己資本を大きく下回るまで待つのが、筆者の考える安全域だ。
経営が手を広げる前に、まず本業の利益率を上げる姿を見せてくれれば、見方は変わる。
何で稼ぐ会社か
事業は 3 つに分かれる。売上 55 億円(2026 年 6 月期)のうち 7 割が不動産の開発・販売、2 割が国内の管理、残りがマレーシアの管理だ。
開発・販売は、23 区の駅近の土地を仕入れ、ワンルーム中心のマンションを建てて一棟ごとや一戸ごとに売る。買い手は個人の投資家のほか、上場や私募の REIT、不動産ファンドだ。中古の区分マンションや、開発用の土地、蓄電池の設置用地の売買もする。2026 年 6 月期の引渡しは 3 棟と少なく、売上は 34% 減った。
国内の管理は、自社が売った物件の賃貸管理と建物管理だ。朝日管理を買って、建物管理は 126 棟・4,209 戸になった。入居率は 99% を超える。2026 年 8 月には白金のシニア向け住宅の事業を 2.8 億円で引き継いだ。
マレーシアでは、現地の住宅や商業施設の建物管理を 2 万戸近く請けている。まだ小さな赤字だが、大型の団地の受注が続く。
開発の資金は借入で賄う。仕掛の物件 25.7 億円に対し、借入は 35.6 億円ある。
優良さと弱いところ
優良さは「立地の目利きはあるが、堀は浅い」と見る。23 区・駅近という条件を崩さずに土地を選ぶ規律は、この会社の強みだ。入居率 99% 超は、物件が借り手に選ばれている証拠でもある。
しかし、同じ商売をする会社は多い。FJネクストや GA technologies、シーラ、グッドコムアセットなど、都心の投資用マンションを売る会社は規模で上回る。土地の仕入れでも、銀行の融資でも、大きい会社が有利だ。値段は市況と金利が決め、この会社が決めるのではない。
資本の効率も低い。ROE は過去 10 年の中央値で 7% と、資本コストを下回る。新株予約権の行使で株を増やしながら、利益は増えていない。管理のストック収入は育っているが、利益率はまだ 3% 台だ。
強みを一つ足すなら、売り先の広さだ。個人だけでなく REIT やファンドにも一棟で売れるので、個人の買い手が細った年にも逃げ道がある。ただ、それは値段を下げて売る道でもある。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
東京の投資用マンションの市場は、強い需要と重い逆風が同時に吹いている。東京都には毎年 6 万人を超える人が流れ込み、20 代の単身者が多い。ワンルームの借り手は細らず、家賃も上がり始めた。首都圏の新築マンションの平米単価は過去最高の水準にある。
逆風は金利と費用だ。短期金利が 2% へ上がると、個人の投資用ローンの金利も上がる。買い手が求める利回りは上がり、物件の値段は上げにくくなる。土地と建築費は上がり続けるので、開発会社の利益は両側から削られる。銀行が融資の姿勢を一段と厳しくすれば、売れ行きは一気に落ちる。2024 年 6 月期の赤字は、その小さな予行演習だった。
戸数で見れば、筆者は 10 年でこの会社の引渡しが今の低い水準から戻り、ならせば年 230 戸相当と見る。値段は物価をやや下回る上がり方になる。
業界の再編は進む。管理の会社は後継者不足で売りに出ており、デュアルタップのような中堅が買い手に回る。逆に、開発の会社は大手に買われる側にもなりうる。時価総額 37 億円の規模は、買い手から見れば手頃だ。
資本政策と M&A
還元は配当が中心だ。配当の総額は年 0.5 億円強で、2026 年 6 月期の配当性向は 105%、2027 年 6 月期も 9 割を超える見込みだ。利益より多く配っており、続けるには利益の回復が要る。株主優待もあるが、額は小さい。
資本の使い方は拡大に向いている。行使価格修正条項付きの新株予約権で株を増やし、管理の会社の買収とシニア向け住宅の事業の承継に資金を回した。長期の目標は「医・食・住・遊のコングロマリット」だ。筆者は、本業の稼ぎが薄いうちに事業を広げることを警戒する。
TOB や MBO の動きは調べた範囲では無かった。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
東京の単身者向けの住まいは足りない。毎年 6 万人を超える人が東京に流れ込み、ワンルームの家賃は上がり始めた。XEBEC は 23 区・駅近という条件を守り、入居率は 99% を超える。借り手に選ばれる物件は、買い手にも選ばれる。
販売は戻る。仕掛の物件は 25 億円を超えるまで積み上がり、2027 年 6 月期は売上 120 億円を見込む。個人の投資家だけでなく、REIT やファンド、海外の投資家にも売れるようになり、売り先は広がった。
管理のストック収入も育っている。国内外の管理戸数は 2 年で 6,000 戸以上増え、2 万 3,000 戸を超えた。白金のシニア向け住宅の事業は、高齢者向けの住まいという新しい市場への入口だ。開発で稼ぎ、管理で守る形ができれば、利益の振れは小さくなり、今の値段は正当化される。
金利の上昇も一方的な逆風ではない。インフレの時代には、家賃と物件の値段が上がる不動産は、お金を持つ人の逃げ場になる。海外の投資家の目も東京に向いている。
慎重な見方
利益が薄く、振れが大きすぎる。2026 年 6 月期の純利益は 0.5 億円、2027 年 6 月期は売上が倍になっても 0.6 億円の見込みだ。ROE は 2% 前後で、資本コストに遠く届かない。今の値段は、自己資本の 1.4 倍だ。
金利の上昇は、この会社の土台を揺らす。個人の投資用ローンの金利が上がれば買い手は減り、物件の値段は上げにくくなる。土地と建築費は上がり続け、在庫を賄う借入の利払いも重くなる。2024 年 6 月期には赤字になった。
事業を広げる方向も心配だ。本業の稼ぎが薄いうちに、管理の会社の買収、シニア向け住宅、マレーシアと手を広げている。新株予約権で株を増やし、利益より多く配当を払う。株主の取り分を薄めながら規模を追う形は、長く続かない。
競合も強い。FJネクストや GA technologies は規模で土地を仕入れ、銀行とのつながりも太い。小さな会社が同じ土俵で利益率を上げるのは難しい。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。需要の強さは本物だが、金利が上がる 10 年で、規模の小さい開発会社が利益率を上げる道筋は見えない。確率は中立を軸に、やや悲観と悲観で 36% を置き、楽観は 8% にとどめた。管理の育ちは悲観の床を少し支えるが、値段を正当化するほどではない。中立の時価総額は今の 3 分の 2 ほどで、楽観を厚くしても割高の判断は変わらない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した株価時価総額 731 円32 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 149 円7 億円)。 今の値に割り戻すと 406 円18 億円、今との差 −51.9%、 期待の年率 +0.4%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,745 円76 億円 | 306 円13 億円 | +143.3% | +9.3% | 164 円7 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,119 円49 億円 | 217 円10 億円 | +58.5% | +4.7% | 267 円12 億円 |
| 中立 | 36% | 706 円31 億円 | 151 円7 億円 | +1.6% | +0.2% | 308 円14 億円 |
| やや悲観 | 22% | 343 円15 億円 | 91 円4 億円 | −48.5% | −6.4% | 95 円4 億円 |
| 悲観 | 14% | 274 円12 億円 | 46 円2 億円 | −62.1% | −9.2% | 45 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 731 円32 億円 | 149 円7 億円 | +4.4% | +0.4% | 880 円39 億円 |
今の株価時価総額 843 円37 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 8% 都心の投資用マンションが売れ続け、管理の稼ぎも厚くなる 利益 6 億円 · PER 12.4 倍 · 株価時価総額 1,745 円76 億円
東京 23 区への人の流入と家賃の上昇が続き、個人投資家だけでなくファンドや REIT への一棟売りも増える。XEBEC の引渡しは年 300 戸相当まで増え、土地と建築費の上昇を値段に乗せて利益率は 7% に上がる。
買収で建物管理の戸数は倍になり、白金のシニア向け住宅のような新しい事業も育つ。マレーシアの管理は 3 万戸を超え、修繕や清掃も請ける。配当は性向 4 割で増え、ROE は資本コストを上回る。開発で稼ぎ、管理で守る形が完成し、大手の不動産会社からも組む相手として選ばれる。利益の振れは今よりずっと小さくなる。
- 不動産の開発・販売(XEBEC・中古区分・開発用地):数量 300(引渡しの戸数(戸・年、戸換算の推定))× 価格 0.41(1 戸あたり売上(億円・名目))→ 売上 124 億円・営業利益 9 億円。引渡し 300 戸相当 × 1 戸 1.38 倍、利益率 7%
- 国内の管理(賃貸管理・建物管理・シニア向け住宅):数量 8,418(建物管理の戸数(戸))× 価格 0.00(1 戸あたり年額(億円・名目))→ 売上 32 億円・営業利益 2 億円。管理 2.0 倍 × 年額 1.36 倍、利益率 7%
- マレーシアの建物管理:数量 34,436(管理戸数(戸))× 価格 0.00(1 戸あたり年額(億円・名目))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。管理 1.8 倍 × 年額 1.25 倍、利益率 5%
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.4% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 10.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.4 倍。全体の PER 12.36 倍、時価総額 76 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去 12 年で営業利益率が 6% を超えたのは上場前後の 2 年だけで、開発と管理とシニアの 3 つがそろって伸びた実績は無い。1 割に届かない 8% にとどめた。
やや楽観 20% 販売が戻り、管理の戸数が着実に増える 利益 4 億円 · PER 11.6 倍 · 株価時価総額 1,119 円49 億円
仕掛の物件が順に竣工し、引渡しは年 260 戸相当に戻る。都心のマンションの値段は高止まりし、1 戸の値段は物価並みに上がる。開発の利益率は 6% だ。
国内の管理は買収と自社の物件の引渡しで戸数が 8 割増え、利益率も 6% に上がる。マレーシアは大型の団地の管理を重ね、黒字が定着する。配当は性向 4 割を保つ。ROE は資本コストに近づくが、わずかに届かない。シニア向け住宅は 1 か所から広がらず、新しい柱と呼ぶには小さいままだ。利益は今の数倍になるが、振れはまだ大きい。マレーシアの管理は修繕や清掃の仕事も取り、小さいながら稼ぎの柱になる。
- 不動産の開発・販売(XEBEC・中古区分・開発用地):数量 260(引渡しの戸数(戸・年、戸換算の推定))× 価格 0.40(1 戸あたり売上(億円・名目))→ 売上 105 億円・営業利益 6 億円。引渡し 260 戸相当 × 1 戸 1.34 倍、利益率 6%
- 国内の管理(賃貸管理・建物管理・シニア向け住宅):数量 7,576(建物管理の戸数(戸))× 価格 0.00(1 戸あたり年額(億円・名目))→ 売上 29 億円・営業利益 2 億円。管理 1.8 倍 × 年額 1.34 倍、利益率 6%
- マレーシアの建物管理:数量 30,610(管理戸数(戸))× 価格 0.00(1 戸あたり年額(億円・名目))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。管理 1.6 倍 × 年額 1.22 倍、利益率 4%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.5% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 9.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.6 倍。全体の PER 11.59 倍、時価総額 49 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2027 年 6 月期は売上 120 億円の予想で、仕掛の物件が 25 億円まで積み上がっている。販売が戻る足場はあるので 2 割を置いた。
中立 36% 販売は山と谷を繰り返し、利益は薄いまま 利益 3 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 706 円31 億円
引渡しは年によって振れるが、ならせば年 230 戸相当になる。金利が上がり、銀行は投資用ローンの審査を厳しくする。土地と建築費は上がるが、買い手の利回りの目線も上がるので、1 戸の値段は物価ほどは上がらない。開発の利益率は 5% だ。
国内の管理は戸数が 6 割増え、利益率 5% のストック収入が全社を少し支える。在庫を賄う借入の利払いは金利の上昇で重くなる。配当は性向 4 割前後で、ROE は資本コストを下回る 10 年になる。管理の戸数は増えても、全社の利益の主役は開発のままで、年ごとの振れは大きい。シニアとマレーシアは小さな黒字にとどまる。
- 不動産の開発・販売(XEBEC・中古区分・開発用地):数量 230(引渡しの戸数(戸・年、戸換算の推定))× 価格 0.39(1 戸あたり売上(億円・名目))→ 売上 90 億円・営業利益 4 億円。引渡し 230 戸相当 × 1 戸 1.30 倍、利益率 5%
- 国内の管理(賃貸管理・建物管理・シニア向け住宅):数量 6,734(建物管理の戸数(戸))× 価格 0.00(1 戸あたり年額(億円・名目))→ 売上 25 億円・営業利益 1 億円。管理 1.6 倍 × 年額 1.34 倍、利益率 5%
- マレーシアの建物管理:数量 28,697(管理戸数(戸))× 価格 0.00(1 戸あたり年額(億円・名目))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。管理 1.5 倍 × 年額 1.20 倍、利益率 3%
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.7% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 31 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:売上は過去 10 年で 52 億〜108 億円の間を行き来し、ROE の中央値は 7% だった。山と谷を繰り返す今の形の延長を中心に 4 割弱を置いた。
やや悲観 22% 金利と融資の引き締めで販売が細る 利益 1 億円 · PBR 0.6 倍 · 株価時価総額 343 円15 億円
金利が上がり、銀行は個人の投資用ローンを絞る。都心の物件の利回りは下がり、買い手が減る。引渡しは年 170 戸相当に細り、値段は物価を下回ってしか上がらない。開発の利益率は 3% に落ちる。
管理の戸数は増えるが、伸びは鈍い。買収したシニア向け住宅は軌道に乗るまで時間がかかる。在庫が積み上がり、借入の利払いが利益を削る。配当はなんとか保つが、ROE は 3% 前後に沈む。株を増やして資金を集める道も、株価が下がれば使えない。手を広げた事業の整理に追われる 10 年になる。管理の稼ぎが会社をつなぐが、株主に戻る額は細る。
- 不動産の開発・販売(XEBEC・中古区分・開発用地):数量 170(引渡しの戸数(戸・年、戸換算の推定))× 価格 0.36(1 戸あたり売上(億円・名目))→ 売上 61 億円・営業利益 2 億円。引渡し 170 戸相当 × 1 戸 1.20 倍、利益率 3%
- 国内の管理(賃貸管理・建物管理・シニア向け住宅):数量 5,893(建物管理の戸数(戸))× 価格 0.00(1 戸あたり年額(億円・名目))→ 売上 22 億円・営業利益 1 億円。管理 1.4 倍 × 年額 1.30 倍、利益率 4%
- マレーシアの建物管理:数量 24,870(管理戸数(戸))× 価格 0.00(1 戸あたり年額(億円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。管理 1.3 倍 × 年額 1.15 倍、利益率 1%
倍率:稼ぐ力(純利益÷k)は床にならない。在庫を値引きして売り借入を返した正味の資産に戻り方を掛けた床を、今の自己資本 26 億円に対する PBR 0.58 倍で書いた。
確率:投資用マンションは金利と銀行の融資の姿勢で売れ行きが一気に変わり、2024 年 6 月期には赤字になった。融資が細る筋は十分にありうるので 2 割強を置いた。
悲観 14% 在庫を抱えたまま市況が崩れる 利益 −2 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 274 円12 億円
金利の上昇と融資の引き締めが重なり、都心の投資用マンションの値段が下がる。仕掛の物件は値引きしなければ売れず、引渡しは年 100 戸相当まで落ちて開発は赤字になる。
管理の稼ぎは残るが、全社の赤字を埋めるには小さい。在庫を値引きして売り、借入を返す。配当は大きく減らし、価値は残った正味の資産で測る 10 年になる。少数株主には、その資産の使い道を決める力も無い。管理の事業を同業に売って借入を返す道も、買い手の言い値になる。増資で穴を埋めれば、残った株主の取り分はさらに薄まる。会社は管理の会社として細々と残るが、開発の会社としての値打ちは消える。
- 不動産の開発・販売(XEBEC・中古区分・開発用地):数量 100(引渡しの戸数(戸・年、戸換算の推定))× 価格 0.33(1 戸あたり売上(億円・名目))→ 売上 33 億円・営業利益 −1 億円。引渡し 100 戸相当 × 1 戸 1.10 倍、利益率 −3%
- 国内の管理(賃貸管理・建物管理・シニア向け住宅):数量 5,051(建物管理の戸数(戸))× 価格 0.00(1 戸あたり年額(億円・名目))→ 売上 18 億円・営業利益 1 億円。管理 1.2 倍 × 年額 1.25 倍、利益率 3%
- マレーシアの建物管理:数量 19,131(管理戸数(戸))× 価格 0.00(1 戸あたり年額(億円・名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。管理 1.0 倍 × 年額 1.10 倍、利益率 −2%
倍率:稼ぐ力(純利益÷k)は床にならない。在庫を値引きして売り借入を返した正味の資産に戻り方を掛けた床を、今の自己資本 26 億円に対する PBR 0.46 倍で書いた。
確率:自己資本比率 39% で在庫を借入で賄う形なので、市況が崩れると一気に傷む。リーマン後の投資用マンションの会社の赤字を見れば、構造的に負ける筋は 1 割強ある。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
不動産の開発・販売(XEBEC・中古区分・開発用地)
23 区の駅近に投資用マンションを建てて、個人の投資家・REIT・ファンドに売る。
| 数量引渡しの戸数(戸・年、戸換算の推定) | 価格1 戸あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 131 | 0.30 | 39 | 2 |
| 10 年後 中立 | 230 | 0.39 | 90 | 4 |
取り方:戸数の開示は無いので推定。セグメント売上 39.3 億円(3 棟の引渡しと開発用地など)を 1 戸約 3,000 万円で割り、約 131 戸相当と置いた。2026/06 期は引渡しが少ない谷の年で、過去 10 年の売上の平均から中立をならして年 230 戸相当とした。値段は金利の上昇で買い手の利回りの目線が上がるため、中立でも 1.30 倍と物価より低く置いた。
国内の管理(賃貸管理・建物管理・シニア向け住宅)
自社が売った物件などの賃貸管理と建物管理。朝日管理を買収し、白金のシニア向け住宅も引き継いだ。
| 数量建物管理の戸数(戸) | 価格1 戸あたり年額(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 4,209 | 0.00 | 12 | 0 |
| 10 年後 中立 | 6,734 | 0.00 | 25 | 1 |
取り方:短信の建物管理 126 棟・4,209 戸と、セグメント売上 11.9 億円から 1 戸あたり年約 28 万円(賃貸管理の手数料を含む)と置いた。会社の 2030 年の目標は国内の管理 5,400 戸。
マレーシアの建物管理
マレーシアの住宅・商業施設の建物管理と周辺のサービス。
| 数量管理戸数(戸) | 価格1 戸あたり年額(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 19,131 | 0.00 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 28,697 | 0.00 | 7 | 0 |
取り方:短信の管理 49 棟・19,131 戸とセグメント売上 4.04 億円から 1 戸あたり年約 2 万円と置いた。現地の物価と人件費に合わせて値段は物価より低く上がるとみた。
リスクと懸念
金利の上昇と融資の引き締め
個人の投資用ローンの金利が上がり、銀行が審査を厳しくすれば、買い手は一気に減る。物件の値段は上げにくくなり、在庫が積み上がる。2024 年 6 月期の赤字は、その小さな予行演習だった。
土地と建築費の上昇
23 区の駅近の土地は奪い合いで、建築費も上がり続ける。売値に転嫁できなければ、開発の利益率は削られる。規模の大きい同業の方が、仕入れでも施工の発注でも有利だ。
在庫と借入の重さ
仕掛の物件 25.7 億円に対し、借入は 35.6 億円ある。市況が崩れれば値引きして売るしかなく、自己資本比率 39% の会社には痛手が大きい。利払いも金利とともに増える。
事業を広げることの失敗
管理の会社の買収、シニア向け住宅、マレーシアと、本業の稼ぎが薄いうちに手を広げている。どれかがつまずけば、少ない利益はすぐに消える。
株の希薄化と配当の重さ
行使価格修正条項付きの新株予約権で株を増やしてきた。配当は利益を上回る水準で、利益が戻らなければ減配か、さらなる増資が要る。
今後の分かれ目
- 2027 年 6 月期に会社予想どおり売上 120 億円を達成し、利益率も上がったら
- 販売が戻る筋とみて、やや楽観に重みを移す。
- 国内の管理のセグメント利益が年 1 億円を超えたら
- ストック収入が全社を支え始めたとみて、悲観の確率を下げる。
- 銀行が投資用ローンの審査を厳しくしたら
- 販売が細る筋とみて、やや悲観に重みを移す。
- 仕掛の物件の値引き販売や評価損が出たら
- 市況が崩れ始めたとみて、悲観に重みを移す。
- 新たな増資や大きな買収を打ち出したら
- 株主の取り分が薄まる筋とみて、価値の見方を下げる。
見ておくもの
- XEBEC の引渡しの棟数と戸数
- 仕掛と販売用の不動産の残高
- 国内外の管理戸数と利益率
- 投資用ローンの金利と銀行の融資姿勢
- 配当性向と増資
倍率と資本コストの決め方
倍率は k 9% と各筋書きの ROE から正当化 PER の式で出し、投資用マンションの堀は弱い(残る割合 1/3)とした。中立の ROE は k に届かず、1÷k の 10.5 倍を上限にした。今の PBR 約 1.4 倍や同業の倍率は使っていない。中立の営業利益率は過去 12 年の山(8.5%)より下に置いた。悲観側は在庫を値引きして売った正味の資産の床で測った。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.3→12.36 倍・やや楽観 PER 9.7→11.59 倍・中立 PER 8.9→11.11 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% + quality 2.0%。同じ領域の robot home・GLC・グローバル・リンク・マネジメント・シーラ(いずれも 2.0%)と同じ重さにそろえた。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.50% → 9.00%。