結論
GLC GROUPは、福岡を地盤に、投資家向けの新築一棟賃貸マンションを企画・施工し、完成後に売る不動産開発会社だ。2025年12月期の売上は245億円と前の期の1.4倍、営業利益は26億円と6割以上増えた。自己資本利益率は29%だった。筆者の結論は、本質価値は今の値段を大きく下回る、というものだ。
稼ぎ方は、用地の仕入れから設計、建築、賃貸の仲介、管理、売却までを一社で担うことにある。ブランドは「LIBTH」で、累計194棟、管理は7,700戸を超える。入居率は96%台と高い。2024年には東京の用地会社を買い、2026年から東京に本格進出する。
弱点は、資金と事業の振れ幅だ。物件は借入で仕込み、完成して売れるまで資金が寝る。純負債は39億円、自己資本比率は30%だ。年間の引渡しは20棟台で、数棟のずれが業績を大きく振る。2026年12月期の会社予想は、営業利益が22億円と減益だ。
創業者が6割強を持ち、配当は創業以来出していない。2026年に年4万円分の株主優待を始めたが、これは株主に渡る還元の一部にすぎない。利益は、ほとんど会社に残り、次の開発に使われる。
2026年12月期の会社予想は、売上が275億円、営業利益が22億円、純利益が14億円だ。上期の売上は14%増えたが、経常利益は36%減っており、通期の進捗は5割に届かない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「成長は本物だが、オーナーに残るお金は少ない」会社だ。仕入れから管理までを内製する仕組みは評価できる。ただ、利益は用地と建築に使われ、手元に積み上がらない。純負債は39億円で、売上の伸びに合わせて借入も増える。
安全域は、見かけほど厚くない。自己資本利益率は29%と高いが、これは自己資本が小さいからだ。この比率が、10年続くとは考えにくい。利益率は10%前後で、融資が絞られる局面では、在庫の資金が一気に重くなる。
経営の資本配分は、成長への投資が先で、株主への配当は後回しだ。優待は始まったが、年1.6億円と推計され、利益のおよそ1割にあたる。
値段が今より大きく下がらなければ、安全域を語れない。利益が3倍に育つ道筋があっても、10年待つ間の資本のコストが重い。創業者が6割強を持つ構造では、買収による上乗せも期待しにくい。
堀は、今のところ仕入れと建築の内製で作る途上にあり、強い堀とはいえない。
何で稼ぐ会社か
GLC GROUPは、投資家向けの新築一棟賃貸マンションを作って売る会社だ。ブランドは「LIBTH」である。福岡、熊本、沖縄の3エリアが中心で、用地の仕入れ、設計、建築、賃貸の仲介、管理、売却までを一社で担う。同社はこの形を「不動産SPA」と呼ぶ。
売上の99%は不動産投資マネジメント事業だ。2025年12月期は24,178百万円の売上と27億円の利益を上げた。主な収入は、完成した一棟マンションを投資家に引き渡す時の売却代金である。引渡しは26物件、竣工は27物件で、1棟あたりの売上は約9億円になる。管理は7,708戸、入居率は96.5%だ。エネルギー事業は、プロパンガスを172棟に供給する小さな事業で、売上は3億円台、利益は黒字化したばかりだ。
特徴は、自社で建てる力を強めている点だ。施工の有資格者を2028年までに40人から80人に増やし、他社の工事の受託を全体の2〜3割にする計画だ。九州の3エリアでは、年間の着工を45件まで増やす。
新しい領域は二つある。一つは東京で、23区の用地3件の仕入れ契約を結んだ。もう一つはホテルで、那覇に42室、福岡に78室を作り、運営してから投資家へ売る。M&Aに最大50億円を見込む。
収益のしくみは、売って終わりでない点にある。引き渡した後も賃貸の管理を受け持つので、入居率を保つことが次の物件の売れ行きに響く。主要な買い手は福岡地所などの法人や個人投資家で、福岡地所向けの売上は前の期の12.9%から、2025年12月期は2.4%に下がり、特定の買い手への依存は薄れた。
優良さと弱いところ
この会社の強みは、仕入れから管理までを内製し、売る相手も自社で持つ点だ。用地を仕入れる力があり、建築を自社で管理し、完成後は自社の賃貸管理で入居率を保つ。入居率が高いほど、投資家は物件を高く評価する。自己資本利益率は2025年に29%と高い。1棟を回す期間が短いほど、資本の回転が速くなるからだ。
成長の速さも際立つ。売上は2020年12月期の47億円から2025年には245億円に増えた。ただ、これは今のところ九州の需要に頼った伸びだ。
弱点は三つある。第一に、年間の引渡しが20棟台と少なく、1棟のずれで半期の業績が大きく動く。2026年12月期の第1四半期は、前年の大型竣工の反動で営業利益が8割減った。第二に、物件を借入で仕込むので、金利と銀行の融資姿勢に弱い。第三に、創業者への依存が大きい。
利益率は10%台で、2018年の17%には届かない。筆者は、事業の成長力は高いが、資金の借り方と引渡しのばらつきで、質は中位と評価する。
経営の資本の使い方は、成長を優先する。利益を配当に回さず、用地の仕入れに使い、自己資本を1年で3割以上増やした。創業からの積み上げは堅実で、2018年に株式を公開してからも大きな増資は少ない。ただし、公開直後の2018年12月期に希薄化があった。売上の拡大に合わせて、借入の規模も増えている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
投資用マンションは、金利と銀行の融資姿勢で売れ行きが大きく変わる市場だ。買い手は、賃料収入と借入の金利の差を見る。金利が上がれば、買い手の利回りが薄くなり、物件の値段は下がる。リーマン後には多くの会社が赤字に沈んだ。
一方で追い風もある。建築費は2021年以降に2〜4割上がった水準が定着し、新築の供給が絞られている。既存の賃貸の価値は相対的に高まり、東京と地方都市への人口集中が続く。業界の見通しは、実質の販売戸数が10年で横ばい、単価が名目で年1〜2%の上昇だ。
同業は、フェイスネットワークやグローバル・リンク・マネジメント、FJネクストホールディングスなど、東京の会社が多い。GLC GROUPは、福岡・熊本・沖縄という、東京の大手が手がけにくい地方都市に根を張る点が違う。九州は賃料も用地も東京より安く、利回りが高い。
ただし、その分だけ市場が小さい。九州の3エリアで着工を2025年の2.6倍にする計画は、供給の増える中で用地を確保できるかにかかる。東京は競合が多く、同社の初期の進出は小さな規模から始まる。東京の支社を2020年に開き、2022年に閉じた過去もある。
東京の大手デベロッパーが手がけにくいのは、延べ床の小さな賃貸マンションの用地だ。大きな土地ではないため大手の採算に合わず、中堅が競う領域になる。GLC GROUPはここで、用地を仕入れてから建築、管理までを自社で完結させ、値段の交渉力と工期の管理を握る。九州の人口は福岡市に集まる傾向が強く、賃貸の需要は当面堅い。
資本政策と M&A
配当は、創業以来出していない。方針は、業績と成長戦略を見て決める、というもので、時期も未定だ。利益は、ほとんどが次の用地の仕入れに回る。自己資本は2025年末で57億円、1年で34%増えた。
資金は借入で賄う。有利子負債は98億円、現預金は59億円で、差し引きの純負債は39億円だ。自己資本比率は30%。物件を仕込む時に借りて、売れた時に返す。2025年は短期借入を減らし、長期借入を増やした。
大株主は創業者で、議決権の63.6%を持つ。2位以下は、証券会社の名義や個人で、持ち分は1桁にとどまる。株主は858名だった。ストックオプションの潜在株は7.5%ある。M&Aには最大50億円を見込む。
2026年2月に、株主優待を新設した。400株以上を6か月以上持つ株主に、額面2万円分のデジタルギフトを年2回贈る。年間にして額面4万円分だ。受け取る株主数の開示は無いので、筆者は400名ほどと見て、年の費用を1.6億円と推計した。10年で16億円が株主に渡る計算だ。創業者の持株が大きく、少数株主への還元はこれが中心になる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
東京進出とゼネコン化がうまくいく。これが上振れの核心だ。中期計画の目標は、2028年に売上360億〜400億円、営業利益45億円。今の約1.8倍の利益だ。九州で着工を2.6倍に増やし、東京の23区で3件の仕入れ契約を結んだ。デベロップデザインの用地仕入れ力が、東京の供給を支える。
自社で建てる力が強まれば、利益率が上がる。施工の受託が2〜3割を占めれば、外注に払っていた利益を取り込める。有資格者を80人に倍増させる準備も進む。ホテルは、運営してから売る形で、新しい収益源になる。
入居率は96%台と高く、投資家の評価も高い。賃貸管理の戸数は7,708戸で、管理収入が積み上がる。
この道筋では、10年後の引渡しは今の2倍近くまで増え、営業利益は75億円を超える。借入が増えても、金利の上昇を上回る利益が出る。今の値段は、この成長の一部しか織り込んでいない。
株主優待が始まったことで個人の買いも増え、資本市場での評価は上がりやすい。実績の伸びが続けば、中計の2028年に営業利益45億円という目標が現実味を帯びる。九州での2.6倍の着工計画を、仕入れの実績が支える。2024年の買収は、東京の用地を取る力をすでに同社に与えている。
慎重な見方
融資の引き締めと、引渡しのずれが重なる。これが慎重な見方の核心だ。投資用マンションは、金利が上がり、銀行の融資姿勢が変わると、売れ行きが一気に変わる。リーマン後には多くの会社が赤字に沈んだ。同社は借入で物件を仕込むので、売れない物件は借金のまま残る。
業績の振れも大きい。年間の引渡しは20棟台で、1棟のずれが業績を動かす。2026年12月期は営業利益が22億円と減益の予想で、第1四半期は8割減った。上期の経常利益も3割以上減っている。
東京は競合が多く、2020年に開いた支社を2022年に閉じた過去がある。ゼネコン化には人材確保が要り、建築費の上昇は利益を削る。
創業者が6割強を持つため、買収で上乗せされる可能性は低い。配当は創業以来なく、利益は事業に使われ続ける。10年待っても、株主の取り分は優待が中心になる。自己資本利益率が下がれば、今の値段を正当化しにくくなる。
足元の弱さも見逃せない。2026年12月期の予想は営業利益が22億円と減益で、第1四半期は営業利益が8割減った。中計の2028年45億円は、その後の急回復を前提にしており、達成に疑問が残る。さらに、ストックオプションの潜在株が7.5%あり、将来の1株あたりの価値を薄める。
どちらに重みを置いたか
どちらの言い分にも根拠があるが、慎重な指摘がやや強い。九州での成長と東京進出の実行力は本物だ。ただ、借入で仕込む商売は、融資が絞られた時に脆い。確率は、中立に3割台半ば、やや悲観に2割台半ばを置いた。悲観は、融資の引き締めで販売が半分になり、固定費が利益を食う姿として14%を置いた。楽観とやや楽観は合わせて3割弱とした。同業の中では、東京の会社より地方に根を張る点を評価した。 筆者は、成長の実力を認めつつ、借入と引渡しのばらつきを重く割り引いた。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 2,908 円482 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 84 円14 億円)。 今の値に割り戻すと 1,404 円233 億円、今との差 +22.7%、 期待の年率 +10.1%(資本コスト 8.0%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 6,096 円1,011 億円 | 96 円16 億円 | +441.3% | +18.4% | 495 円82 億円 |
| やや楽観 | 20% | 4,781 円793 億円 | 96 円16 億円 | +326.3% | +15.6% | 975 円162 億円 |
| 中立 | 34% | 3,578 円593 億円 | 96 円16 億円 | +221.2% | +12.4% | 1,249 円207 億円 |
| やや悲観 | 24% | 928 円154 億円 | 72 円12 億円 | −12.6% | −1.3% | 240 円40 億円 |
| 悲観 | 14% | 181 円30 億円 | 48 円8 億円 | −80.0% | −14.9% | 32 円5 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,908 円482 億円 | 84 円14 億円 | +161.6% | +10.1% | 2,992 円496 億円 |
今の株価時価総額 1,144 円190 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 8% 東京進出とゼネコン化が実り、引渡しが2倍近くに増える 利益 47 億円 · PER 19.4 倍 · 株価時価総額 6,096 円1,011 億円
引渡しは今の26棟から50棟に近づき、売上は10年で2.7倍の650億円ほどになる。単価は名目で4割上がる。東京の物件が加わって大型化し、ホテルの売却も収入に入る。
営業利益率は12%台になる。自社で建てる力が強まり、他社の施工受託が利益を押し上げる。営業利益は77億円ほど、純利益は48億円ほどになる。借入が増えて利払いは増えるが、利益の伸びが上回る。
還元は優待だけで、10年で16億円。利益は次の開発に回り、自己資本は360億円まで増える。
建築費の上昇は、自社で建てる力が吸収し、価格にも載せられる。入居率が高く、投資家の需要が厚いままなら、販売の単価は名目で4割上がる。
東京の大型物件とホテルの売却が加わり、1棟あたりの売上が上がる。
- 不動産投資マネジメント(LIBTH の開発・販売・管理):数量 49.0(年間の引渡し棟数(棟))× 価格 1.40(1棟あたり売上の指数(販売単価。建築費と地価の上昇で上がる。今を1))→ 売上 638 億円・営業利益 80 億円。数量 1.90 倍・価格 1.40 倍、営業利益率 12.5%
- エネルギー(プロパンガス):数量 0.0(ガス供給量(今の売上基準の取扱量・兆円))× 価格 1.34(ガス売価の指数(今を1))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。数量 2.00 倍・価格 1.34 倍、営業利益率 6.0%
倍率:事業の純利益 47 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 27.7% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 17.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 19.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 19.4 倍。全体の PER 19.4 倍、時価総額 916 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:東京進出とゼネコン化が計画どおりに実り、引渡しが2倍近くになる姿として、1割弱を置いた。
やや楽観 20% 九州の着工が増え、東京も立ち上がる 利益 38 億円 · PER 18.9 倍 · 株価時価総額 4,781 円793 億円
引渡しは今の1.7倍の44棟ほどになり、売上は570億円ほどに増える。単価は物価より少し高く、4割近く上がる。東京は小さく立ち上がり、九州の着工も計画に近づく。
営業利益率は11%台になる。施工の内製が少し効き、外注の利益を一部取り込める。営業利益は62億円ほど、純利益は38億円ほどになる。
還元は優待の16億円。自己資本は310億円ほどになり、借入も増えるが、利益で賄える水準にとどまる。
金利が高止まりしても、地方の高い利回りが買い手を引き付ける。自己株式の取得や配当は始まらず、利益は開発に回る。優待の費用も続く。
管理戸数が積み上がり、入居率の高さが次の物件の販売を支える。ただし東京の利益率は九州より低いままで、全体の押し上げは限られる。
- 不動産投資マネジメント(LIBTH の開発・販売・管理):数量 44.0(年間の引渡し棟数(棟))× 価格 1.37(1棟あたり売上の指数(販売単価。建築費と地価の上昇で上がる。今を1))→ 売上 561 億円・営業利益 65 億円。数量 1.70 倍・価格 1.37 倍、営業利益率 11.5%
- エネルギー(プロパンガス):数量 0.0(ガス供給量(今の売上基準の取扱量・兆円))× 価格 1.34(ガス売価の指数(今を1))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。数量 1.80 倍・価格 1.34 倍、営業利益率 5.5%
倍率:事業の純利益 38 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 25.0% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 16.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.9 倍。全体の PER 18.94 倍、時価総額 710 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:九州の着工が増え、東京が小さく立ち上がる姿として、2割を置いた。
中立 34% 引渡しは5割増え、利益率は今の水準を保つ 利益 29 億円 · PER 18.3 倍 · 株価時価総額 3,578 円593 億円
引渡しは今の26棟から39棟に増え、売上は490億円ほどになる。数量は5割増、価格は物価の分だけ3割強上がる。九州の着工が増え、東京は小さな規模にとどまる。
営業利益率は10%台前半と、足元の10.5%を保つ。建築費の上昇を販売価格に載せられ、利幅は大きくは変わらない。営業利益は48億円ほど、純利益は28億円ほどになる。借入が増え、利払いが今の3倍近くなる分が純利益を削る。
還元は優待の16億円で、利益は次の開発に回る。自己資本は270億円ほどに増える。
金利は高止まりするが、地方都市の利回りの高さが買い手を保つ。優待は続くが、費用は利益のおよそ1割にとどまる。
東京は小さな規模にとどまり、ホテルは数件を売るだけだ。
- 不動産投資マネジメント(LIBTH の開発・販売・管理):数量 39.0(年間の引渡し棟数(棟))× 価格 1.34(1棟あたり売上の指数(販売単価。建築費と地価の上昇で上がる。今を1))→ 売上 486 億円・営業利益 51 億円。数量 1.50 倍・価格 1.34 倍、営業利益率 10.5%
- エネルギー(プロパンガス):数量 0.0(ガス供給量(今の売上基準の取扱量・兆円))× 価格 1.34(ガス売価の指数(今を1))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。数量 1.50 倍・価格 1.34 倍、営業利益率 5.0%
倍率:事業の純利益 28 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 21.9% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 15.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.3 倍。全体の PER 18.31 倍、時価総額 522 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:引渡しが5割増え、利益率が今の水準を保つ最も確からしい姿として、3割台半ばを置いた。
やや悲観 24% 金利の重さで販売が伸びず、利幅も薄くなる 利益 13 億円 · PER 7.5 倍 · 株価時価総額 928 円154 億円
引渡しは今の1.1倍の29棟ほどで、売上は340億円ほどにとどまる。金利が高止まりして買い手が減り、単価の上昇は物価を下回る。
営業利益率は7%台に下がる。融資が絞られて値引きが増え、建築費の上昇を載せきれない。営業利益は24億円ほど、純利益は13億円ほどになる。
還元の優待は縮み、10年で12億円。自己資本は190億円ほどにとどまる。
用地の仕入れは続くが、売れ行きの鈍さから在庫の回転が遅れる。東京の立ち上がりは遅く、ホテルの売却も計画より遅れる。
借入の利払いが今の3倍近くに増え、純利益の伸びを抑える。
- 不動産投資マネジメント(LIBTH の開発・販売・管理):数量 29.0(年間の引渡し棟数(棟))× 価格 1.25(1棟あたり売上の指数(販売単価。建築費と地価の上昇で上がる。今を1))→ 売上 337 億円・営業利益 27 億円。数量 1.10 倍・価格 1.25 倍、営業利益率 8.0%
- エネルギー(プロパンガス):数量 0.0(ガス供給量(今の売上基準の取扱量・兆円))× 価格 1.20(ガス売価の指数(今を1))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。数量 1.10 倍・価格 1.20 倍、営業利益率 4.0%
倍率:事業の純利益13.3億円・事業 ROE 6.9% は k 8% 以下なので、上限は 1÷k=10.5倍。稼ぎが資本コストに届かない姿で、上限の約7.1割の7.5倍に置いた。
確率:金利の重さで販売が伸びず、利幅が薄くなる姿として、2割台半ばを置いた。
悲観 14% 融資が絞られて販売が半減し、固定費が利益を食う 利益 1 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 181 円30 億円
融資が引き締められ、売れ行きが半減する。借入で仕込んだ物件は売れ残り、在庫と借金が重くなる。リーマン後の会社のように、値引きで在庫を処分するしかない。
売上は140億円ほどに減り、営業利益率は3%台まで下がる。営業利益は3億円に届かず、純利益は1億円ほどになる。優待は半分に縮み、10年で8億円。
自己資本は取り崩されて140億円ほどだが、在庫を割り引いて売れば、手元に残る価値は今の自己資本の半分ほどに細る。
優待は縮み、創業者の支配のもとで、配当はいつまでも出ない。
借入の返済が先に来て、新しい用地の仕入れは止まる。創業者は持分を保ち、少数株主に選べる手はほとんど残らない。
- 不動産投資マネジメント(LIBTH の開発・販売・管理):数量 13.0(年間の引渡し棟数(棟))× 価格 1.10(1棟あたり売上の指数(販売単価。建築費と地価の上昇で上がる。今を1))→ 売上 133 億円・営業利益 5 億円。数量 0.50 倍・価格 1.10 倍、営業利益率 3.5%
- エネルギー(プロパンガス):数量 0.0(ガス供給量(今の売上基準の取扱量・兆円))× 価格 1.10(ガス売価の指数(今を1))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。数量 0.80 倍・価格 1.10 倍、営業利益率 3.0%
倍率:稼ぐ力(事業の純利益÷k)は小さく、価値は売れる資産の床で決まる。床は今の自己資本57億円に掛けた。在庫を2割ほど割り引いて処分した後の自己資本が約30億円で、今の自己資本の約0.5倍。EV でも見た。純負債39億円を足した約69億円は営業利益の25倍にあたる。営業利益が潰れた局面なので、倍率ではなく売れる資産の床から置いた。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.524 倍・時価総額 30 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:10年の悲観は、融資の引き締めで販売が半減し、借入で仕込んだ在庫が重くなる姿。リーマン後に多くの会社が赤字に沈んだ前例があるので、1割台半ばを置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
不動産投資マネジメント(LIBTH の開発・販売・管理)
福岡・熊本・沖縄で投資家向けの新築一棟賃貸マンション「LIBTH」を企画・施工して売り、売った後の賃貸管理も担う。東京は子会社のデベロップデザインが用地を扱う。売上の99%。
| 数量年間の引渡し棟数(棟) | 価格1棟あたり売上の指数(販売単価。建築費と地価の上昇で上がる。今を1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 26.0 | 1.00 | 242 | 27 |
| 10 年後 中立 | 39.0 | 1.34 | 486 | 51 |
取り方:2025年12月期の引渡しは26物件で、不動産投資マネジメント事業の売上241.78億円を割ると1棟あたり約9.3億円。数量は引渡し棟数、価格は1棟あたり売上の指数で今を1。セグメント利益27.35億円(利益率11.3%)。連結の営業利益25.73億円との差(約−1.7億円)は全社の費用で、各筋書きの調整に入れた。
エネルギー(プロパンガス)
自社の賃貸物件などへプロパンガスを供給する。172棟、那覇でも供給を始めた。
| 数量ガス供給量(今の売上基準の取扱量・兆円) | 価格ガス売価の指数(今を1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.0 | 1.00 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 0.0 | 1.34 | 6 | 0 |
取り方:2025年12月期のエネルギー事業の売上は3.19億円、セグメント利益は0.05億円。開示に供給量が無いので、取扱量は今の売上3.19億円分(0.000319兆円)を基準にした推計とする。
リスクと懸念
金利上昇と融資の引き締め
投資用マンションの買い手は、借入の金利と賃料の差で物件を買う。金利が上がれば買い手の利回りが薄くなり、銀行の融資姿勢も変わる。同社は物件を借入で仕込むため、売れ残りは借金のまま残る。10年国債が3%で長く続けば、販売の戸数と単価の両方が下がりうる。2026年の上期にも、引渡しの時期のずれが経常利益を3割以上押し下げた。
引渡しの時期のずれ
年間の竣工は直近3期の平均で22棟と少ない。1棟の遅れで、半期の業績が大きく動く。2026年12月期の第1四半期は、前年の大型竣工の反動で営業利益が8割減った。通期の予想も営業利益22億円と、2025年を下回る。受注の積み上がりより、引渡しの時期が数字を決める。
創業者への依存と支配
代表取締役社長の依存リスクは有報にも書かれている。創業者が議決権の63.6%を持つため、経営の意思決定は一人に集中する。買収や増資の判断が少数株主の利益と食い違う場面もありうる。流通する株も少ない。社長の突然の不在が、仕入れと資金調達に影響するリスクも有報は挙げる。
東京進出の実行
2020年に開いた東京支社を、コロナ後の2022年に閉じた。今回はデベロップデザインの買収を足がかりに、23区で3件の仕入れ契約を結んだ。地価が高く競合が多い東京で、九州ほどの利益率が出る保証は無い。用地の仕入れ値が上がれば、粗利が削られる。東京の仕入れ価格が高止まりすれば、粗利が削られる。
建築費の上昇と人材
建築費は2021年以降に2〜4割上がり、物価と同じペースで上がり続ける見通しだ。施工の有資格者を40人から80人に倍増させる計画は、人材の確保が前提になる。外注先の経営破綻や品質問題も、有報が挙げるリスクだ。ガスの事故も、小さな事業ながら評判に響く。
優待の費用と希薄化
2026年2月に始まった優待は、400株以上を持つ株主に額面で年4万円分を贈る。受け取る株主が増えれば、費用は推計の年1.6億円を上回る。ストックオプションの潜在株は7.5%あり、行使されれば1株あたりの価値が薄まる。費用の開示が無い点も、判断を難しくしている。
今後の分かれ目
- 年間の引渡しが30棟を超え、営業利益率が12%台に乗った
- 中計の道筋が実現に近づいたと判断し、楽観とやや楽観の確率を上げる。
- 銀行が投資用マンション向けの融資を絞り、利回りの高い物件が売れ残り始めた
- 在庫が重くなると判断し、やや悲観と悲観の確率を厚くする。
- 東京の3件の物件が計画どおり着工し、1棟あたりの利益率が九州並みと確認できた
- 東京進出が機能したと見て、引渡しの伸びを上方に直す。
- ゼネコン化で他社の施工受託が売上の2割に届いた
- 利益率の上昇が裏づけられたとして、中立の営業利益率を上方に直す。
- 配当の開始や、創業者の持分の売却が発表された
- 還元と支配の構造が変わるので、還元の合計と買収の確率を見直す。
- 有利子負債が自己資本の2倍を超えて膨らんだ
- 財務の脆さが増したとして、資本コストの借金の分を上げ、悲観の確率を厚くする。
見ておくもの
- 年間の引渡し棟数と竣工棟数(2025年12月期は26棟・27棟)
- 営業利益率(2025年12月期は10.5%、2026年12月期の会社予想は8.0%)
- 有利子負債と純負債(2025年末は98億円と39億円)
- 東京の仕入れ・着工の進み方
- 優待を受ける株主数と、費用の開示
- 創業者の持分(63.6%)の動き
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価に寄せず、式と事業の経済性から置いた。資本コストは8%(基本7.5%、quality +2.0%)。中立の事業 ROE は k を1ポイントほど上回るので、正当化 PER の約9.5割の10.5倍に置いた。余った現金は立てていない。現金59億円は物件の仕込みと建築の支払いに回るもので、純負債が39億円ある。配当は無く、還元は優待の受け取り分だけ。優待の費用は、受け取る株主を400名と推計した年1.6億円の原価ベースで、10年分の16億円を還元に足した。含み益の資産は無い。賃借料は小さい。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.7→19.4 倍・やや楽観 PER 10.6→18.94 倍・中立 PER 10.5→18.31 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality を足した(決まり v2)。個別の事業リスクは筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.50% → 8.00%。