結論
長栄は京都を地盤に、賃貸マンションの管理と、自社で持つ物件の賃貸を営む会社だ。管理する部屋は約2万9千戸で、そのうち7,148戸は自社の物件だ。物件は借金で買い増してきた。純有利子負債は432億円と、自己資本の3.5倍ある。
筆者の結論は「おおむね適正」だ。家賃は上がり始めており、本業の営業利益は今後も伸びる。だが、これまでの1%台の低い金利で借りた借金は、10年で3.5%前後の金利に借り換わる。利払いは今の5億円台から約19億円に増え、営業利益の伸びの多くを食う。
持っている物件の時価は簿価を57億円上回り、税を引いた含み益を足すと純資産は約160億円になる。株価はその6割ほどだ。ただ、創業家が議決権の6割強を持ち、物件を売って価値を表に出す道は細い。少数株主が受け取れるのは、利益と配当だ。筆者はその利益から10年の価値を積み、今の値段を1割ほど下回るとみた。物件の価値で見れば安く、利益で見ればやや高い。その間の値段がついている。金利の上がり方が、価値を最も大きく動かす。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「物件の価値」と「株主が受け取る利益」の差をどう見るかが鍵だ。物件の時価から借金を引いた価値は、株価を大きく上回る。純資産で見れば安い。
だが、その価値が株主の手に届く道は細い。創業家が6割強を持ち、物件を売って現金を返す気配は無い。会社は物件を買い増す方を選び続けている。少数株主が受け取れるのは、利益と配当だけだ。
その利益は、これまでの1%台の低い金利の上に立っていた。10年で借金が3.5%前後の金利に借り換わると、本業の伸びの多くが利払いに回る。建物の償却は取得した時の値段のままなので、会計の利益は物価で見かけ上ふくらむ。だが、建物の更新の投資は建築費の上昇で膨らみ、現金はその分細る。
筆者は、管理の地盤は本物だと見る。ただ、借金で物件を持つ形の利益は金利に弱く、安全域は帳簿ほど厚くない。持つなら、借入の平均の金利と家賃の改定を毎年確かめたい。
何で稼ぐ会社か
稼ぎは2つの事業から来る。売上の4割が不動産管理だ。京都の個人のオーナーから賃貸マンションの管理を受け、家賃の集金、入居と退去の手続き、建物の点検を請け負う。管理料は家賃の数%で、部屋が埋まっている限り毎月入る。これに賃貸と売買の仲介、外壁などの改修工事、マンスリーマンションの運営が加わる。仲介と工事は年によって振れる。
残りの6割が不動産賃貸だ。自社で持つ163棟・7,148戸のマンションとビルを貸す。住居が94%で、単身向けとファミリー向けがほぼ半々だ。京都に2,102戸、滋賀に1,337戸、大阪に1,259戸を持ち、愛知・関東・福岡にも広げている。2022年3月期の4,679戸から4年で1.5倍にした。
2つの事業はつながっている。管理を任されていた物件を、オーナーの相続や売却の時に自社で買うことが多い。2026年3月31日に取得した宇治のマンションも、長年の管理物件だった。管理で入居の実績を知っているので、物件の目利きで外れにくい。
物件は銀行からの借入で買う。物件の利回りは時価で4%台半ばで、これまでは1%台の金利との差が利益になった。金利が上がると、この差が薄くなる。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは、京都での管理の地盤にある。約2万2千戸のオーナーとの付き合いがあり、物件の売り物の情報が先に入る。京都の管理の会社としては大きい方で、修繕や仲介を一つの窓口で受けられる。ただ、管理の仕事そのものは参入が易しく、管理料の値上げは難しい。
資本効率は数字ほど良くない。過去5年のROEの中央値は14.4%だが、2022年と2025年は物件の売却益で膨らんだ。売却益を除くと8%前後で、資本コストを下回る。しかもこのROEは、自己資本の3倍を超える借金と、1%台の低い金利に支えられている。
経営は物件を買い増して規模を大きくする方を選んできた。PBR1倍を目標に掲げ、2026年3月期には特別配当も出した。ただ中期の数値目標は無く、どこまで借金を増やすかの線も示していない。金利が上がる局面で、取得の基準をどう変えるかが問われる。今のところ、その答えは示されていない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
賃貸住宅の市場は、人口が減る中でも都市の単身の世帯に支えられている。京都は大学が多く、学生と若い社会人の単身の需要が厚い。大阪と名古屋の中心も、単身の世帯が増えている。
家賃は長く横ばいだったが、2024年ごろから上がり始めた。建築費の高騰で新しいマンションが建ちにくく、既存の物件の値打ちが上がっている。都市部では、入居者の入れ替えの時に家賃を上げる動きが広がった。一方、契約の更新の時の値上げは、借りる側の抵抗が強い。郊外や地方の古い物件では、家賃はなお上げにくい。
金利の流れは逆風だ。日銀の利上げで、変動の金利で借りる不動産の会社の利払いは増えている。物件の利回りは金利ほど速くは上がらないので、借金で物件を持つ会社ほど利ざやが細る。物件の値段そのものは、家賃の上昇と利回りの上昇の綱引きで決まる。
管理の市場では、大手の管理会社と地場の会社が競う。管理料は家賃の数%で横並びに近く、戸数の多さと入居の付けやすさで差がつく。筆者は、家賃は10年で物価をやや下回って上がり、利回りは今より少し上がるとみる。京都の中心の物件は強いが、郊外の古い物件は人口の減少の影響を受ける。物件の場所の差が、家賃の差になって表れる。
資本政策と M&A
配当は年1回で、2026年3月期は1株百二十五円(うち特別配当二十五円)、2027年3月期は百円の予想だ。配当性向は4割前後になる。株主優待は無い。
2026年6月には、ToSTNeT-3で発行済株式の5.5%にあたる24万株、約5億円の自己株式を取得した。創業家の資産管理会社の持株が減った時期と重なり、創業家の売りを会社が受けた形だ。7月にはそのうち19万株を役員と社員への株式報酬に回した。
利益の残りは物件の取得に回る。借金は年に数十億円ずつ増え、自己資本比率は17%前後で動かない。創業家が議決権の6割強を持ち、外からの買収や株主の提案で資本の使い方が変わる見込みは小さい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
長栄の物件は、時価で簿価を57億円上回る。税を引いた含み益を足すと純資産は約160億円で、株価はその6割にすぎない。家賃は上がり始めた。建築費の高騰で新しいマンションが建ちにくく、既存の物件の家賃は物価に連れて上がる。2027年3月期の第1四半期は売上が16%、営業利益が46%増えた。
管理の地盤も強い。京都で2万戸を超える管理を受け、管理物件を自社で買うので目利きで外れにくい。入居率は98%を超える。会社は「金利の上昇は家賃の引き上げで対応する」と言い、実際に入れ替えの時の家賃を上げている。
金利の上昇も、10年でみれば家賃と物件の値段に転嫁される。インフレの時代には、借金で実物の資産を持つ会社が報われる。建物の償却は取得した時の値段のままなので、家賃が上がるほど利益は伸びる。物件の売却益を出す余地もある。今の株価は利益の約10倍で、物件の価値から見れば低い。
管理の受託は年に数百戸ずつ増え、管理料と工事の売上は金利に左右されない。賃貸の利益が細っても、管理の利益が下支えになる。
慎重な見方
借金は432億円で、自己資本の3.5倍ある。2027年3月期は営業利益が16%増える予想なのに、経常利益は減る。利払いが増えるからだ。今の借金の平均の金利は1%台で、借り換えが進めば3%台に上がる。利払いは10年で約4倍になり、営業利益の伸びの多くが消える。
物件の利回りは時価で4%台半ばで、3.5%の金利で買い増すと利ざやはほとんど残らない。会社が成長のために物件を買い続けるほど、利益は金利に弱くなる。滋賀や京都の郊外の古い物件も多く、家賃を物価並みに上げられる物件ばかりではない。
含み益は、売らなければ株主の手に届かない。創業家が6割強を持ち、物件を売って現金を返す気配は無い。6月の自己株式の取得も、創業家の売りを会社が受けた形だ。少数株主は、金利の上昇の重さを負いながら、資産の価値には手が届かない。ROEは売却益を除くと8%前後で、資本コストを下回る。
自己資本比率は17%前後と薄い。物件の値段が1割下がるだけで、自己資本の半分近くが消える計算になる。
どちらに重みを置いたか
家賃が上がり始めたことと、管理の地盤は本物だ。だが、借金の金利が1%台から3.5%前後に上がる重さは、家賃の伸びでは埋めきれないとみた。物件の含み益は、創業家の支配の下では株主に届きにくい。確率は中立を中心に、やや悲観をやや楽観と同じ厚みにした。結果は今の値段を1割ほど下回り、おおむね適正だ。物件の価値で見れば安いが、少数株主が受け取れる利益で見れば、今の値段に見合う程度だ。借金の金利の上がり方が、この見立てを最も大きく動かす。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 3,482 円151 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,083 円47 億円)。 今の値に割り戻すと 2,260 円98 億円、今との差 +3.3%、 期待の年率 +7.6%(資本コスト 8.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 8,232 円357 億円 | 1,692 円73 億円 | +353.8% | +16.3% | 992 円43 億円 |
| やや楽観 | 20% | 5,063 円220 億円 | 1,364 円59 億円 | +193.9% | +11.4% | 1,286 円56 億円 |
| 中立 | 35% | 3,351 円145 億円 | 1,157 円50 億円 | +106.1% | +7.5% | 1,578 円68 億円 |
| やや悲観 | 22% | 1,469 円64 億円 | 876 円38 億円 | +7.2% | +0.7% | 516 円22 億円 |
| 悲観 | 13% | 1,152 円50 億円 | 334 円15 億円 | −32.0% | −3.8% | 193 円8 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,482 円151 億円 | 1,083 円47 億円 | +108.7% | +7.6% | 4,565 円198 億円 |
今の株価時価総額 2,187 円95 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 10% 京都の家賃が物価を上回り、物件の取得も続く 利益 27 億円 · PER 13.4 倍 · 株価時価総額 8,232 円357 億円
京都・大阪・名古屋の単身向けの家賃は、建築費の上昇で新しい物件が建たず、物価を上回って上がる。長栄は10年で約300億円の物件を買い、自社物件は1万戸を超える。管理の受託も年に数百戸ずつ増え、管理戸数は3万5千戸に近づく。借り換えの金利は3%にとどまり、家賃の上昇が利払いの増加を上回る。賃貸の営業利益率は3割を超え、純利益は今の2.7倍の27億円になる。ROEは11%台で、資本コストを少し上回る。株価は利益の13.35倍で、自己資本を少し上回る所まで評価される。ただ、これは家賃と金利の両方が味方する場合に限られる。物件の売却益も時に出る。管理の受託も厚くなる。
- 不動産管理:数量 29,877(管理を受託する戸数(戸、自社物件を除く))× 価格 0.00(1 戸あたりの年間の収入(億円・名目))→ 売上 83 億円・営業利益 16 億円。受託戸数 1.35 倍 × 1 戸の収入 1.38 倍、営業利益率 19.0%
- 不動産賃貸:数量 10,365(自社物件の戸数(戸・期末))× 価格 0.01(1 戸あたりの年間の家賃(億円・名目))→ 売上 140 億円・営業利益 45 億円。自社物件 1.45 倍 × 1 戸の家賃 1.38 倍(前期取得の通年分 7% を含め 1.47 倍)、費用は物価 1.34 倍、減価償却 25.8 億(今の物件は取得した時の値段のまま)、営業利益率 31.8%
倍率:事業の純利益 27 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.5% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍。全体の PER 13.35 倍、時価総額 357 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:家賃の上昇と管理の獲得が10年続き、低い金利で物件を買い増せる筋書き。2022年3月期から4年で自社物件を1.5倍にした実績はあるが、金利3%の前提では取得の採算が薄く、確率は低めにした。
やや楽観 20% 家賃の上昇で金利の上昇を吸収する 利益 18 億円 · PER 12.0 倍 · 株価時価総額 5,063 円220 億円
家賃は物価並みに上がり、10年で1.34倍になる。管理の受託は年に約600戸ずつ増え、マンスリーマンションや工事の売上も伸びる。物件の取得は年に約20億円で、今の勢いの3割ほどに落ち着く。借り換えで金利は3.5%に上がり、利払いは今の約4倍の22億円になる。それでも家賃の上昇で賃貸の利益が伸び、純利益は18億円と今の1.8倍になる。ROEは資本コストとほぼ同じ9%で、株価は利益の10倍台、自己資本をやや下回る所で評価される。創業家が6割強を持ち、市場で売買される株が少ないことは変わらない。物件の売却益は数えず、家賃と管理の利益だけで積んだ。配当も少し増える。
- 不動産管理:数量 28,328(管理を受託する戸数(戸、自社物件を除く))× 価格 0.00(1 戸あたりの年間の収入(億円・名目))→ 売上 76 億円・営業利益 13 億円。受託戸数 1.28 倍 × 1 戸の収入 1.34 倍、営業利益率 17.5%
- 不動産賃貸:数量 9,292(自社物件の戸数(戸・期末))× 価格 0.01(1 戸あたりの年間の家賃(億円・名目))→ 売上 122 億円・営業利益 36 億円。自社物件 1.30 倍 × 1 戸の家賃 1.34 倍(前期取得の通年分 7% を含め 1.43 倍)、費用は物価 1.34 倍、減価償却 23.8 億(今の物件は取得した時の値段のまま)、営業利益率 29.2%
倍率:事業の純利益 18 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.0% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.0 倍。全体の PER 12.04 倍、時価総額 220 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の言う「金利上昇時は賃料アップで対応」が実現し、物件の取得もやや遅いが続く筋書き。家賃が物価並みに上がる確率は高いが、取得の勢いを保てるかは分からず、中立の次に置いた。
中立 35% 家賃は上がるが、利払いが利益の多くを食う 利益 12 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 3,351 円145 億円
自社物件の家賃は10年で1.28倍と、物価をやや下回って上がる。古い物件の入れ替えの家賃は上がるが、更新の家賃は上げにくい。物件の取得は金利の上昇で鈍り、10年で約100億円、戸数は1.15倍にとどまる。管理の受託は年に約500戸ずつ増える。営業利益は38億円と今の約2倍になるが、借り換えで金利が3.5%に上がり、利払いは約19億円に膨らむ。純利益は12億円で、今とほぼ変わらない水準から少し増えるだけだ。ROEは7%弱で資本コストを下回り、株価は利益の11.76倍、自己資本の7割弱になる。会計の利益は、建物の償却が取得した時の値段のままなので見かけより良く見える。
- 不動産管理:数量 27,000(管理を受託する戸数(戸、自社物件を除く))× 価格 0.00(1 戸あたりの年間の収入(億円・名目))→ 売上 71 億円・営業利益 12 億円。受託戸数 1.22 倍 × 1 戸の収入 1.30 倍、営業利益率 16.5%
- 不動産賃貸:数量 8,220(自社物件の戸数(戸・期末))× 価格 0.01(1 戸あたりの年間の家賃(億円・名目))→ 売上 103 億円・営業利益 26 億円。自社物件 1.15 倍 × 1 戸の家賃 1.28 倍(前期取得の通年分 7% を含め 1.37 倍)、費用は物価 1.34 倍、減価償却 21.8 億(今の物件は取得した時の値段のまま)、営業利益率 25.2%
倍率:事業の純利益 12 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.7% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 145 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:家賃が物価をやや下回って上がり、借り換えの金利が3.5%に上がる筋書きを中心に置いた。1Qの家賃と管理の伸びは良いが、2027年3月期の予想ですでに利払いが経常利益を削っている。
やや悲観 22% 家賃が伸び悩み、利払いで利益が細る 利益 7 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 1,469 円64 億円
家賃は10年で1.22倍と物価に届かず、修繕や人件費の上昇に追いつかない。滋賀や京都の郊外の古い物件では空室が増え、家賃を下げて埋める。物件の取得はほぼ止まり、借金は利益の積み上げでわずかに減るだけだ。金利が3.5%に上がり、利払いは17億円に膨らむ。営業利益は28億円まで増えるが、純利益は7億円と今より減る。配当は利益の半分ほどに抑えられる。ROEは4%ほどで資本コストの半分以下になり、株価は利益の9倍、自己資本の4割弱に沈む。借金が自己資本の3倍を超える形は変わらず、金利の動きに株価が振り回される。管理の受託は増えるが、賃貸の利ざやの縮みを補うほどではない。
- 不動産管理:数量 24,344(管理を受託する戸数(戸、自社物件を除く))× 価格 0.00(1 戸あたりの年間の収入(億円・名目))→ 売上 60 億円・営業利益 9 億円。受託戸数 1.10 倍 × 1 戸の収入 1.22 倍、営業利益率 15.0%
- 不動産賃貸:数量 7,505(自社物件の戸数(戸・期末))× 価格 0.01(1 戸あたりの年間の家賃(億円・名目))→ 売上 90 億円・営業利益 19 億円。自社物件 1.05 倍 × 1 戸の家賃 1.22 倍(前期取得の通年分 7% を含め 1.30 倍)、費用は物価 1.34 倍、減価償却 20.4 億(今の物件は取得した時の値段のまま)、営業利益率 20.9%
倍率:ROE 4.1% と k の半分以下で、PER の上限は 1÷k の 11.1 倍。家賃が物価に追いつかない筋書きなので 9.0 倍に下げた。EV ÷ 営業利益は 18 倍。減価償却は 10 年後 20.4 億で、今の物件の分は取得した時の値段のまま。
確率:京都の外の古い団地型の物件で入居が弱まり、家賃が物価に追いつかない筋書き。滋賀や京都の郊外の物件が多く、人口の減る地域の比率が小さくないので、やや厚めに置いた。
悲観 13% 金利が4%に上がり、物件を売って借金を返す 利益 −4 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 1,152 円50 億円
長期の金利が上がり続け、借り換えの金利は4%に達する。家賃は10年で1.12倍しか上がらず、修繕費と建築費の上昇に食われる。利払いは20億円を超え、営業利益15億円を上回って赤字になる。銀行の融資の姿勢が厳しくなり、物件の取得は止まる。借金を返すために物件を売るが、利回りが上がって物件の値段は下がり、売却の益は出ない。配当は大きく減る。株主に残るのは、物件の時価から借金を引いた分の一部だけだ。創業家が6割強を持ち、清算や売却で価値が表に出る道は狭い。株価は自己資本の4割ほどにとどまる。管理の事業は残るが、その利益も利払いの穴を埋めるには足りない。
- 不動産管理:数量 22,131(管理を受託する戸数(戸、自社物件を除く))× 価格 0.00(1 戸あたりの年間の収入(億円・名目))→ 売上 50 億円・営業利益 6 億円。受託戸数 1.00 倍 × 1 戸の収入 1.12 倍、営業利益率 12.0%
- 不動産賃貸:数量 7,148(自社物件の戸数(戸・期末))× 価格 0.01(1 戸あたりの年間の家賃(億円・名目))→ 売上 78 億円・営業利益 9 億円。自社物件 1.00 倍 × 1 戸の家賃 1.12 倍(前期取得の通年分 7% を含め 1.20 倍)、費用は物価 1.38 倍、減価償却 19.8 億(今の物件は取得した時の値段のまま)、営業利益率 11.6%
倍率:赤字で利益の倍率は使えない。床は物件の時価 649 億を 15% 下げた約 552 億から純有利子負債 432 億と売却の費用を引いた約 100 億の半分(floor_assets_oku)。今の自己資本 121.9 億に 0.4102 倍を掛けて同じ額。EV(時価総額+今の純有利子負債)÷ 営業利益は 32 倍と高いが、これは利益が金利と修繕費に食われた後の値で、価値は物件の時価から借金を引いた額で見た。
確率:金利が4%まで上がり、家賃がほとんど上がらない筋書き。借金が自己資本の3.5倍あり、金利の上昇が利益を消す形は過去にない規模で、確率は1割強にした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
不動産管理
京都を中心に、他のオーナーの賃貸マンションの入居者の管理、建物の保守、賃貸と売買の仲介、外壁などの改修工事、マンスリーマンションの運営を請け負う。
| 数量管理を受託する戸数(戸、自社物件を除く) | 価格1 戸あたりの年間の収入(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 22,131 | 0.00 | 45 | 8 |
| 10 年後 中立 | 27,000 | 0.00 | 71 | 12 |
取り方:管理戸数29,279戸から自社物件7,148戸を除いた22,131戸(2026年3月期末)。売上44.5億円を戸数で割り、1戸あたり年約20万円(管理料・仲介・工事を含む平均)。営業利益はセグメント利益7.91億円。
不動産賃貸
自社で持つ賃貸マンション(住居が94%)とビル・ホテルを貸す。京都・滋賀・大阪・愛知・関東・福岡に163棟・7,148戸を持ち、借入で物件を買い増してきた。
| 数量自社物件の戸数(戸・期末) | 価格1 戸あたりの年間の家賃(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 7,148 | 0.01 | 66 | 12 |
| 10 年後 中立 | 8,220 | 0.01 | 103 | 26 |
取り方:自社物件7,148戸(2026年3月期末)。売上65.6億円を戸数で割り、1戸あたり年約92万円。期末近くに取得した物件が多く、2027年3月期の予想売上70.0億円は通年の稼働で7%多い。費用は2027年3月期の予想の形(減価償却17.8億円、その他35.9億円)で置いた。
リスクと懸念
金利の上昇
借入は約549億円で、平均の金利は1%台だ。借り換えで金利が3.5%に上がると、利払いは年に約14億円増える。2027年3月期の予想でも、営業利益は増えるのに経常利益は減る。金利がさらに上がれば赤字もありうる。
物件の値段の下落
金利が上がると物件の利回りも上がり、物件の値段は下がる。時価が簿価を下回れば含み益は消え、銀行の融資の姿勢も厳しくなる。自己資本比率17%の会社には、物件の値段の1割の下落でも重い。
郊外と地方の物件の家賃
自社物件は京都の市内だけでなく、滋賀や京都の郊外、地方の都市にもある。人口が減る地域の古い物件では、家賃を物価並みに上げられず、空室が増える恐れがある。
修繕と建替えの費用
建物の償却は取得した時の値段のままだが、外壁や設備の更新の費用は建築費の上昇で膨らむ。古い物件が多いほど、会計の利益より現金が出ていく。
創業家の支配
創業家と資産管理会社が議決権の6割強を持つ。物件の売却や資本の使い方は創業家の判断で決まり、少数株主の声は届きにくい。創業家の持株の売却を会社が自己株式で受けることも続きうる。
今後の分かれ目
- 借入の平均の金利が2.5%を超える
- 利払いの増加が想定より速いとみて、やや悲観の確率を上げる。
- 自社物件の家賃が2年続けて3%以上上がる
- 家賃が金利の上昇を吸収できるとみて、やや楽観の確率を上げる。
- 物件を売って借金を減らし、売却益を配当や自社株買いで返す
- 資産の価値が株主に届く道が開いたとみて、中立の倍率を見直す。
- 賃貸等不動産の時価が簿価を下回る
- 利回りの上昇が物件の値段に及んだとみて、悲観の床を下げる。
- 創業家がMBOや株式の売却を打ち出す
- 含み益が値段に表れる道ができたとみて、筋書きを作り直す。
見ておくもの
- 借入の平均金利と支払利息
- 自社物件の取得額と戸数
- 自社物件の家賃の改定と入居率
- 管理を受託する戸数の増減
- 賃貸等不動産の時価と簿価の差
倍率と資本コストの決め方
倍率は事業のROEと資本コスト8.5%から決めた。中立はROEがkを下回るので1÷kの11.1倍を上限に、その約9割の10倍。今のPERやPBR、物件の含み益、過去の株価の山は使っていない。含み益は家賃の利益に入っているので足さず、悲観の床だけに使った。利払いは借金が3.5%に借り換わる前提で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11→13.35 倍・やや楽観 PER 10.5→12.04 倍・中立 PER 10→11.76 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。