結論
ASIAN STARは、横浜・川崎で投資用マンションを開発して売り、賃貸の管理と仲介も手がける不動産会社だ。筆者の結論は割高である。利益が小さく、10年先まで見ても今の時価総額を大きく超える材料が乏しい。
稼ぎの源は売買の利ざやだ。売上の約8割は不動産の販売で、管理が1割強、仲介が1割弱を占める。管理は毎月の手数料が入る安定した事業だが、規模が小さい。
2025年12月期は営業利益が約2億円と、過去の山に近づいた。ところが2026年の中間期は営業損失が2億円を超えた。先行費用が重い年で、通期の黒字予想の達成は不透明だ。
気がかりは経営の軸足だ。2026年2月にデジタル資産の運用業務への進出を検討すると発表し、株価はストップ高になった。海外のファンドが大株主に加わった。本業の不動産とは遠く、資本の使い方が読みにくい。
財務は堅く、自己資本比率は55%ほどある。ただ、利益の薄い開発会社に高い値は付けにくい。筆者は割高と見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、利益が小さく方向がぶれる会社に、高い値は付けられない。
見るべきは二つだ。一つは、本業の不動産で毎年どれだけ安定して稼げるか。もう一つは、経営者が株主のお金を何に使うか。前者は管理の安定収入があるが、小さい。後者は、デジタル資産への進出の検討が本業と離れ、評価を難しくする。
安全域は財務の堅さにある。自己資本比率は55%で、借金は少ない。ただ、純資産は販売用不動産の在庫が中心で、売れなければ現金にならない。事業の稼ぐ力は営業利益2億円弱だ。
筆者は、本業の不動産に控えめな倍率を掛け、新規事業の将来性は価値に入れなかった。見えない事業に値を付けないのは、バリュー投資の基本である。分からないものは、分かるようになってから評価すればよい。小さな会社では、経営者の判断一つで資本の行き先が変わる点にも注意したい。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は四つある。不動産の開発・販売、賃貸の管理、仲介、そして不動産の売買・投資の仲介だ。
中心は横浜・川崎の自社ブランド「グリフィン」シリーズで、小さな地域に絞って建て、個人の投資家と実需の買い手に売る。売上の約8割がこの販売で、2025年12月期の売上は45億円だった。
管理は賃貸物件の運営と建物の管理で、売上は6.5億円ほどだ。毎月手数料が入り、販売の波を和らげる役割を持つ。仲介は売買の取り次ぎで、売上は3.5億円ほどだ。
会社は2025年6月に、2027年12月期までの中期経営計画を発表し、不動産販売の拡大を掲げた。2026年12月期は売上65億円を計画している。
2026年2月には、デジタル資産のアセットマネジメント業務など、ブロックチェーン技術を使う新しい事業領域への進出を検討すると発表した。実際の事業規模は、まだ見えない。
地域に密着した営業で用地の情報を集める。小さな会社だが、意思決定は速い。管理の収入が増えるほど、販売の波に左右されにくくなる。管理は在庫を持たず、資金を食わない。
優良さと弱いところ
優良さは限られる。堀と呼べるのは、横浜・川崎に絞ったドミナントの知名度と、管理で積み上げた顧客基盤くらいだ。
利益率は低い。営業利益率は2025年12月期で4%台と、過去12年の中でも高い年だった。2020年12月期は10%の赤字で、波が大きい。自己資本利益率の過去10年の中央値は0.5%と、資本を使い切れていない。
資本の使い方は読みにくい。2026年の中間期は、先行費用で営業損失が2億円を超えた。新規事業の話が株価を動かす局面があり、本業への集中と相反する。
大株主の顔ぶれも変わった。2026年7月には、海外のファンドが相次いで大量保有報告書を出し、一方は11%超を持つ。協業を進めると発表しているが、中身は確かめられない。
強みは管理の安定収入と、小さな会社ならではの意思決定の速さだ。弱みは規模と、利益の波と、経営の方向のぶれである。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
投資用マンションは、金利と銀行の融資姿勢で売れ行きが一気に変わる業界だ。金利が上がれば、買い手の利回りが合わなくなり、販売戸数が減る。リーマン後は多くの会社が赤字に沈んだ。
横浜・川崎は都心への通勤圏にあり、賃貸の需要は底堅い。ただ、建築費は2021年以降に2〜4割上がり、新築の供給を絞っている。用地の仕入れ競争も激しく、利ざやは薄くなりやすい。
競合は都心の投資用ワンルームを売るFJネクストやグッドコムアセット、地場の開発会社だ。大手に比べて資金力と信用力で劣り、融資の条件も不利になりがちだ。
10年国債が3%になれば、買い手の資金繰りも変わる。賃貸の利回りが国債に近づくと、投資用の需要は細る。一方、管理は金利の影響を受けにくい。
不動産とデジタル資産を組み合わせる試みは、日本ではまだ収益になっていない。規制が変われば追い風になりうるが、時間がかかる。
人口減少の中でも、横浜・川崎は人口が保たれる地域で、賃貸の需要は底堅い。ただ、新築の価格が上がるほど、投資用の利回りは下がり、買い手を選ぶ。
資本政策と M&A
資本政策は小さな会社らしく流動的だ。2023年12月期には株式が増える希薄化があり、自己資本は22億円まで増えた。配当は小さい。
大株主には海外のファンドが加わった。2026年7月にHash Global Alphaが11.19%、Sterling Oak Investmentが5.96%を持つと報告し、10月には協業体制の強化も発表した。保有の目的は中長期の投資とされる。
株主優待は現在行っていない。借金は少なく、純現金が3億円ほどある。ただ、これは販売用不動産の仕入れ資金で、自由に使える現金ではない。
新しい資金調達や第三者への株式発行が今後出る可能性があり、既存株主の取り分が薄まる懸念がある。M&AやTOBの話は出ていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
2025年12月期は営業利益が約2億円と、過去12年で上位の水準に乗った。2025年6月に中期経営計画を発表し、不動産販売の拡大を打ち出した。売上を大きく伸ばす計画だ。
管理は毎月手数料が入る安定した事業で、販売の波を和らげる。入居者の入れ替えに合わせ、仲介の収入も生まれる。横浜・川崎への絞り込みで、知名度と用地の仕入れの力がある。
財務は堅く、自己資本比率は55%ある。借金は少なく、金利が上がっても利払いの負担は小さい。デジタル資産への進出は、新しい収益源になりうる。
時価総額は純資産を下回り、利益が戻れば評価が変わる。2025年6月の計画発表で株価が跳ねたことは、市場の関心の大きさを示している。海外のファンドが大株主に入ったことは、会社を見直す目が増えた証拠だ。
管理の戸数が積み上がれば、利益の質も上がる。小さな会社が一つの地域に集中する戦略は、大手との競争を避ける賢い選択でもある。地域の不動産業者や金融機関との関係も、長い時間で積み上がった資産だ。
慎重な見方
2026年の中間期は営業損失が2億円を超え、通期の黒字予想の達成は不透明だ。会社は先行費用が原因と説明するが、開発の売上は計上時期で大きく振れる。
利益率は低く、過去10年の自己資本利益率の中央値は0.5%だ。投資用マンションは金利と融資の姿勢で売れ行きが変わり、10年国債が3%の世界では逆風になる。
デジタル資産への進出の検討は、本業と離れた賭けに見える。発表でストップ高になった株価は、事業の中身を反映していない。海外ファンドの大株主が増え、株式の希薄化や経営方針の変更も懸念される。
純資産は販売用不動産が中心で、売れなければ現金にならない。しかも、会社は過去に何度も赤字を出している。建築費の高騰と用地の競争で、利ざやが薄くなっている。小さな会社が大手と同じ土地を取り合えば、仕入れ値が上がって利益が出ない。
会社は2023年にも株式を増やして資金を集めており、必要なときに既存株主の取り分を薄める経営だと見ている。
どちらに重みを置いたか
管理の安定収入と財務の堅さは認めるが、利益の薄さと経営の方向のぶれのほうが重い。確率は悲観寄せに置き、やや悲観と悲観の合計は4割台にした。
新規事業は価値に入れていない。管理の安定収入は評価するが、規模が小さく、全体を支えるには足りない。営業利益率が5%を超える年が続き、本業の資本の使い方が確認できるなら、見方を改める。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 81 円19 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 12 円3 億円)。 今の値に割り戻すと 42 円10 億円、今との差 −39.8%、 期待の年率 +2.9%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 205 円49 億円 | 30 円7 億円 | +234.8% | +12.8% | 14 円3 億円 |
| やや楽観 | 17% | 122 円29 億円 | 21 円5 億円 | +104.1% | +7.4% | 24 円6 億円 |
| 中立 | 35% | 98 円23 億円 | 17 円4 億円 | +64.4% | +5.1% | 40 円10 億円 |
| やや悲観 | 26% | 40 円9 億円 | 4 円1 億円 | −37.4% | −4.6% | 11 円3 億円 |
| 悲観 | 16% | 19 円5 億円 | 0 円0 億円 | −72.3% | −12.0% | 3 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 81 円19 億円 | 12 円3 億円 | +33.0% | +2.9% | 93 円22 億円 |
今の株価時価総額 70 円17 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 6% 投資用の販売が伸び、管理も積み上がって営業利益率が7%に乗る 利益 4 億円 · PER 11.6 倍 · 株価時価総額 205 円49 億円
横浜・川崎の販売が伸び続け、販売戸数が5割増える。管理の戸数も積み上がり、安定した利益が増える。
営業利益率は7%に近づく。過去12年の最高に近い水準で、販売の拡大と管理の積み上げで費用が薄まった結果だ。
配当は純利益の2割ほどに増え、海外の株主との協業も実を結ぶ。デジタル資産の事業は小さな黒字で、本業を邪魔しない。
ただし、金利と融資の姿勢が変われば、販売は一気に落ちる。この筋書きは、市場環境が追い風のままだったときの姿だ。
会社は大手に並ぶほどの規模にはならないが、小さな地域のトップとして安定した利益を残す。
- 不動産の開発・販売:数量 1,328(年間の販売戸数(戸、推定))× 価格 0.05(1戸あたりの売上(億円、名目))→ 売上 71 億円・営業利益 4 億円。数量 1.50 倍・価格 1.34 倍、利益率 5.0%
- 不動産の賃貸・管理:数量 10,464(管理戸数(戸、推定))× 価格 0.00(1戸あたりの年間売上(億円、名目))→ 売上 14 億円・営業利益 3 億円。数量 1.60 倍・価格 1.34 倍、利益率 20.0%
- 不動産の仲介:数量 1,610(年間の仲介件数(件、推定))× 価格 0.00(1件あたりの手数料(億円、名目))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。数量 1.40 倍・価格 1.34 倍、利益率 14.0%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.0% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.6 倍。全体の PER 11.58 倍、時価総額 49 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:計画どおりに販売が伸び、管理の積み上げも効く筋書き。金利と融資の姿勢が逆風になりやすく、低めに置く。
やや楽観 17% 管理が安定して利益を支え、販売は緩やかに伸びる 利益 3 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 122 円29 億円
販売戸数は3割増え、管理も積み上がる。単価は物価並みに上がり、売上は倍近くになる。管理の戸数は着実に伸びる。
営業利益率は5.5%に上がる。過去12年の山に近く、管理の安定収入と、仲介の取りこぼしの減少が支える。販売用不動産の回転が速まり、在庫の金利負担も下がる。
配当は小さく続き、純現金も少し増える。会社は計画に届かないが、堅実に歩み、地域の知名度を高めていく。デジタル資産の事業は実を結ばず、会社は不動産に集中する。
大株主の海外ファンドとの協業は、限定的な範囲にとどまる。会社は、地域に根づいた小さな開発会社として歩む。売上は80億円ほどまで増える。
- 不動産の開発・販売:数量 1,150(年間の販売戸数(戸、推定))× 価格 0.05(1戸あたりの売上(億円、名目))→ 売上 62 億円・営業利益 2 億円。数量 1.30 倍・価格 1.34 倍、利益率 3.5%
- 不動産の賃貸・管理:数量 9,483(管理戸数(戸、推定))× 価格 0.00(1戸あたりの年間売上(億円、名目))→ 売上 13 億円・営業利益 2 億円。数量 1.45 倍・価格 1.34 倍、利益率 18.0%
- 不動産の仲介:数量 1,380(年間の仲介件数(件、推定))× 価格 0.00(1件あたりの手数料(億円、名目))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。数量 1.20 倍・価格 1.34 倍、利益率 12.0%
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.1% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 29 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:販売が計画の6割ほど達成され、管理が着実に積み上がる筋書き。会社の計画の下振れ幅を見込んだ形だ。
中立 35% 販売は緩やかに伸び、利益率は5%前後で落ち着く 利益 2 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 98 円23 億円
横浜・川崎の販売は緩やかに伸び、販売戸数は15%増える。管理は戸数が積み上がり、安定収入が増える。
単価は物価並みに上がる。人件費と建築費も同じ速度で上がり、営業利益率は5%前後にとどまる。過去12年の山は超えない。
営業利益は3.6億円ほどで、利払いと税を引いた純利益は2億円ほど。配当は小さく続く。
デジタル資産の事業は大きくならず、本業の足を引っ張らない程度で終わる。金利の上昇で、販売の伸びは鈍い。
中間期の赤字は先行費用の一時的なもので、通期では回収するが、会社の計画よりは低い水準に落ち着く。
- 不動産の開発・販売:数量 1,018(年間の販売戸数(戸、推定))× 価格 0.05(1戸あたりの売上(億円、名目))→ 売上 55 億円・営業利益 2 億円。数量 1.15 倍・価格 1.34 倍、利益率 3.0%
- 不動産の賃貸・管理:数量 8,502(管理戸数(戸、推定))× 価格 0.00(1戸あたりの年間売上(億円、名目))→ 売上 11 億円・営業利益 2 億円。数量 1.30 倍・価格 1.34 倍、利益率 18.0%
- 不動産の仲介:数量 1,265(年間の仲介件数(件、推定))× 価格 0.00(1件あたりの手数料(億円、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。数量 1.10 倍・価格 1.34 倍、利益率 12.0%
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.0% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 23 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:計画の達成は難しいが、本業は緩やかに伸びる形を中心に置く。中間期の赤字を見ると、会社の予想どおりには進まない。
やや悲観 26% 融資の引き締めで販売が落ち、利益がほぼ消える 利益 0 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 40 円9 億円
金利が上がり、投資用マンションの買い手の利回りが合わなくなる。販売戸数が2割減り、単価は物価に届かない。
管理は安定するが、販売の落ち込みを補えない。仲介の件数も、買い手が減って伸び悩む。営業利益率は1%に落ち、営業利益はほぼ消える。
配当は止まり、デジタル資産などの新規事業の費用が重い。販売用不動産の在庫を持つ負担も、金利の上昇で重くなる。新しい資金調達で株式が増え、既存株主の取り分が薄まる。
用地の仕入れを絞り、在庫を減らして耐えるが、売上は45億円前後にとどまる。管理の収入は保たれ、赤字にはならないが、配当は出せない。
- 不動産の開発・販売:数量 708(年間の販売戸数(戸、推定))× 価格 0.05(1戸あたりの売上(億円、名目))→ 売上 34 億円・営業利益 0 億円。数量 0.80 倍・価格 1.20 倍、利益率 0.5%
- 不動産の賃貸・管理:数量 7,194(管理戸数(戸、推定))× 価格 0.00(1戸あたりの年間売上(億円、名目))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。数量 1.10 倍・価格 1.22 倍、利益率 16.0%
- 不動産の仲介:数量 805(年間の仲介件数(件、推定))× 価格 0.00(1件あたりの手数料(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。数量 0.70 倍・価格 1.22 倍、利益率 5.0%
倍率:純利益はほぼゼロで、稼ぐ力に値は付かない。売れる資産の価値で見て、今の自己資本 23 億円に PBR 0.30 倍。中立の PBR より低く置いた。
確率:10年国債3%の世界で投資用の需要が細り、販売が落ちる筋書き。中間期の赤字が示すように、利益の波が大きい。
悲観 16% 開発が止まり、赤字で資産を売る 利益 −2 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 19 円5 億円
金融機関が投資用の融資を絞り、販売戸数が半分近くに減る。値引きで在庫を売るが、利ざやは消える。
管理と仲介だけでは固定費を賄えず、営業赤字になる。人員の削減を進めるが、顧客対応の質が落ちて管理の解約が増える。新規事業の費用も重い。
会社は在庫を売って借入を返し、規模を絞って生き残りを図る。管理の顧客を保つために、人員は残す。株式の発行で既存株主の取り分が薄まる可能性もある。
売上は30億円ほどまで縮み、管理の安定収入が会社を支える最後の砦になる。新規事業の撤退で損失も出るが、残った本業は小さく続く。
- 不動産の開発・販売:数量 487(年間の販売戸数(戸、推定))× 価格 0.04(1戸あたりの売上(億円、名目))→ 売上 21 億円・営業利益 −1 億円。数量 0.55 倍・価格 1.05 倍、利益率 -4.0%
- 不動産の賃貸・管理:数量 5,886(管理戸数(戸、推定))× 価格 0.00(1戸あたりの年間売上(億円、名目))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。数量 0.90 倍・価格 1.10 倍、利益率 10.0%
- 不動産の仲介:数量 575(年間の仲介件数(件、推定))× 価格 0.00(1件あたりの手数料(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。数量 0.50 倍・価格 1.10 倍、利益率 -5.0%
倍率:構造的に負けた姿。純損失で稼ぐ力に値は付かず、売れる資産が床になる。今の自己資本 23 億円に PBR 0.20 倍。
確率:融資が止まり、開発した物件が売れずに在庫が積み上がる筋書き。2020年12月期の赤字が深くなる形だ。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
不動産の開発・販売
横浜・川崎で投資用マンション「グリフィン」シリーズなどを開発し、販売する。売上の約8割。
| 数量年間の販売戸数(戸、推定) | 価格1戸あたりの売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 885 | 0.04 | 35 | 1 |
| 10 年後 中立 | 1,018 | 0.05 | 55 | 2 |
取り方:2025年12月期の売上45.4億円から、管理6.54億円と仲介3.45億円を引いた35.4億円。戸数は開示が見つからず、1戸4,000万円(投資用ワンルームと一棟の混合の推定)で約885戸。営業利益は全体約1.95億円を配分した推定。
不動産の賃貸・管理
賃貸物件の運営と建物の管理。毎月の手数料が入る。
| 数量管理戸数(戸、推定) | 価格1戸あたりの年間売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 6,540 | 0.00 | 7 | 1 |
| 10 年後 中立 | 8,502 | 0.00 | 11 | 2 |
取り方:2025年12月期の管理の売上6.54億円(売上の14.4%)。管理戸数は開示が見つからず、1戸あたり年10万円の推定で約6,500戸。利益率は管理が高いとみて18%と推定。
不動産の仲介
売買の取り次ぎと、投資の仲介。
| 数量年間の仲介件数(件、推定) | 価格1件あたりの手数料(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,150 | 0.00 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1,265 | 0.00 | 5 | 1 |
取り方:2025年12月期の仲介の売上3.45億円(7.6%)。件数は開示が見つからず、1件30万円の推定で約1,150件。利益率は12%と推定。
リスクと懸念
金利と融資の姿勢
投資用マンションは、金利と銀行の融資の姿勢で売れ行きが変わる。10年国債3%の世界では、買い手の利回りが合わなくなる可能性がある。
利益の波と赤字
2026年の中間期は営業損失が2億円を超えた。開発の売上は計上時期で大きく振れ、通期の黒字予想の達成は不透明だ。
経営の方向のぶれ
デジタル資産のアセットマネジメントへの進出を検討すると発表した。本業の不動産と遠く、資本の使い方が読みにくい。
株式の希薄化
海外のファンドが大株主に加わり、協業を進めている。新しい資金調達や第三者への株式発行が出れば、既存株主の取り分が薄まる。
建築費と用地の競争
建築費は2021年以降に2〜4割上がった。用地の仕入れ競争も激しく、利ざやが薄くなりやすい。
規模の小ささ
売上は45億円、時価総額は17億円と小さい。資金力と信用力で大手に劣り、融資の条件も不利になりやすい。
今後の分かれ目
- 営業利益率が2期連続で5%を超えた
- 本業の収益力が戻ったとみて、やや楽観と楽観の確率を引き上げる。
- 通期が赤字で終わり、新規事業の損失が膨らんだ
- 経営の方向がぶれているとみて、悲観の確率を引き上げる。
- 第三者割当による株式の発行が出た
- 既存株主の取り分の薄まりを確かめ、holder_share の考え方で見直す。
- 管理戸数が伸び、管理の売上比率が2割を超えた
- 安定収入が増えたとみて、中立の利益率の質を見直す。
- 投資用の融資が引き締められた
- 販売が落ちるとみて、やや悲観と悲観の確率を引き上げる。
見ておくもの
- 販売戸数と販売用不動産の在庫
- 管理戸数と管理の売上
- 営業利益率
- 新規事業の損益と開示
- 大株主の動きと株式の発行
倍率と資本コストの決め方
倍率は式と事業の質から置いた。中立は ROE 6% が k 9% を下回るので上限 1÷k = 10.3 倍とし、開発の利益が山谷で振れ規模が小さいため 8.0 倍にした。新規事業(デジタル資産)は価値に入れていない。今の PER や PBR は根拠にしていない。決算期は12月で、2026年6月の中間期の自己資本(21億円)は赤字で2025年12月期末(23億円)より小さいが、起点は期末の値を使った。新リース会計基準の影響は、今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 8.8→11.58 倍・やや楽観 PER 8.5→11.11 倍・中立 PER 8→11.11 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 2.25% = 9.75%。個別のリスクは k に足さず、筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.75% → 9.00%。