結論
セントラル総合開発は、地方の中核都市を中心に分譲マンション「クレアホームズ」を建てて売る会社だ。広島や福岡などに賃貸のビルも持ち、マンションの管理も手がける。前期は731戸を引き渡し、売上は384億円と過去最高だった。
筆者の結論は、今の値段は割高だ、というものだ。一番の理由は借金の重さにある。純有利子負債は301億円で、自己資本103億円の3倍近い。営業利益は9億円あっても、利払いを引くと純利益は1.5億円しか残らない。
金利はこれから上がる。借り換えのたびに利払いは増え、10年で年8億円ほど重くなると筆者は見る。分譲の利幅が今のままなら、利益の大半は銀行に流れる。
会社は2030年度に年1,000戸の供給を掲げ、進出する都市を増やしている。量を伸ばす力はあるが、それを支えるのは借金だ。不動産の市況が崩れた時の傷は深い。2009年3月期には74億円の赤字を出した。稼ぐ力で測った価値は、今の時価総額の半分ほどにとどまると筆者は見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「借金で回す回転の商売」と見る。オーナーとして長く持つには、いちばん向かない形の1つだ。
分譲の利幅は、土地を安く仕入れ、建築費を抑え、相場の上昇に乗れた時に厚くなる。どれも会社が自分で決められない。借金が自己資本の3倍あると、相場が少し崩れるだけで株主の取り分は大きく削られる。
金利の上昇は、その弱さを常に突く。これまでの稼ぎは、ほぼゼロの金利に支えられていた。借り換えが進めば、営業利益の大半が利払いに回る。株主のものになる利益は、薄く不安定だ。
良い点もある。地方の中核都市で積んだ実績と、九電工との提携だ。それでも、この稼ぎに高い値段は払えない。安全域は、今の値段では取れていないと筆者は見る。
見方が変わるのは、借金を減らし、金利が上がっても利益が残る形に変わった時だ。賃貸のビルを売って借金を返すような動きが出れば、もう一度考える価値はある。
何で稼ぐ会社か
事業は2つある。マンションを建てて売る不動産販売が売上の9割の343億円、賃貸のビルとマンションの管理が41億円だ。
不動産販売の中心は、地方の中核都市の分譲マンションだ。前期は18の物件を引き渡し、そのうち15が地方圏だった。1戸あたりの売上は4,700万円前後になる。首都圏の大手が手薄な地方の県庁所在地や中核都市に、駅に近い中規模の物件を供給するのが得意な形だ。進出した都市は85にのぼる。
稼ぎの源は、土地を仕入れてから売り終えるまでの2〜3年の利幅だ。土地と建築の代金は借金で賄い、引き渡した時に売上と利益が立つ。だから引き渡しの時期で、売上と利益は年ごとに大きく揺れる。前期は売上が27%増えたのに、販売の利益は14%減った。建築費の上昇を値段に乗せきれなかったためだ。
賃貸・管理は、広島や福岡のオフィスビルと賃貸マンションの賃料、分譲したマンションの管理の手数料だ。利益は5.7億円と安定していて、分譲の波を少しならす役を担う。
2024年には九電工(現クラフティア)が株の1割を取得し、資本と業務で手を組んだ。
優良さと弱いところ
事業の質は、量を伸ばす力はあるが、稼ぎが借金に弱い、という形だ。
強みは地方の中核都市での実績だ。85の都市に物件を出し、土地の仕入れから販売まで地元の事情を知る人が担う。大手が来ない規模の市場で、競争は比べて緩い。
弱みは3つある。1つ目は値段を決める力がないことだ。マンションの値段は周りの相場で決まり、建築費が上がっても同じだけは上げられない。前期の利幅の縮みがその表れだ。
2つ目は借金の重さだ。純負債は自己資本の約3倍で、営業利益は利払いの1.4倍しかない。金利が1%上がるだけで、利益の大半が消える計算になる。
3つ目は、市況の谷での傷の深さだ。在庫を借金で抱える形なので、売れ行きが止まると値下げと評価損が一度に来る。2009年3月期の赤字は、その怖さを示した。
ROE(自己資本利益率)は過去10年の中央値で9%台あったが、前期は1.4%に落ちた。低い金利が支えた稼ぎだった面は否めない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の新築マンションの供給は、量で見ると細っている。建築費の高騰で値段が上がり、買える人が減った。全国の新築の着工は2025年に62年ぶりの低い水準まで落ちた。分譲の戸数は、人口の減少と値段の上昇で、10年で年3〜5%ずつ減りうるというのが業界の見方だ。
地方の中核都市は、その中では底堅い。郊外の戸建てから駅の近くのマンションに移る高齢の世帯や、共働きの世帯の需要がある。ただ、人口そのものは減るので、市場の大きさは首都圏ほど持たない。会社が進出する都市を増やすのは、1つの都市で売れる量に限りがあるからだ。
値段は名目で上がるが、伸びは鈍る。建築費の上昇はひと山を越えつつあり、地方では買い手の所得が値段の上昇に追いつかない。筆者は、1戸あたりの値段は10年で2割ほどの上昇にとどまると見る。
金利の上昇は、この業界に二重に効く。買い手の住宅ローンが重くなり、売り手の借金の利払いも増える。借金で在庫を抱える中堅の分譲会社ほど、その痛みは大きい。
筆者が見るこの業界の分かれ目は、金利と建築費の2つだ。どちらも会社の外で決まり、中堅の分譲会社はそれを受け止めるしかない。
資本政策と M&A
還元の方針は、連結の配当性向30%程度だ。前期は純利益が落ちたので、配当の総額は0.5億円にとどまった。自社株買いの実績はほとんどない。
資本の使い方の中心は、借金を使った在庫の積み増しだ。中期経営計画のPLAN2030では、年1,000戸の分譲と賃貸マンション700戸の供給を掲げ、自己資本比率は20〜30%を目安にする。前期末は22%で、その下限に近い。
株主では、2024年に九電工(現クラフティア)が1割を取得し、その他の関係会社になった。マンションの電気や設備の工事でつながる相手だ。資本の後ろ盾としては心強いが、少数株主への還元が厚くなる材料にはならない。
M&Aでは、規模の小さい分譲会社は再編の対象になりうる。ただ、借金の重さが買い手にとっても重荷で、筆者は筋書きの中心には置かない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
セントラル総合開発は、地方の中核都市の分譲で確かな足場を持つ。85の都市に物件を出し、前期は731戸と過去最高を引き渡した。契約も742戸と積み上がり、量の勢いは衰えていない。
地方の中核都市の需要は底堅い。郊外の戸建てから駅の近くに移る高齢の世帯や、共働きの世帯が買い手になる。首都圏の大手は地方の中規模の物件に手を出さず、競争は緩い。会社は都市の数を増やすことで、1つの都市の限りを越えてきた。
九電工が株の1割を持ち、業務でも手を組んだ。設備の工事の協力と資本の後ろ盾は、建築費の上昇と資金繰りの両面で効く。
賃貸のビルも価値がある。広島と福岡の都心のビルは賃料が安定し、帳簿の値より高く売れるはずだ。今の値段は自己資本の3分の1ほどで、資産の厚みを考えれば下は限られる。
金利の上昇も、売値に乗せられる範囲にとどまる。地方の値段は首都圏ほど高くなく、ローンの負担はまだ重すぎない。量と賃貸の両輪で、利払いの増加は吸収できる。
慎重な見方
この会社の稼ぎは、ほぼゼロの金利に支えられてきた。純負債は自己資本の3倍で、営業利益は利払いの1.4倍しかない。借り換えのたびに金利は上がり、利払いは年8億円ほど増える。量を伸ばしても、利益は銀行に流れる。
値段を決める力もない。地方のマンションの値段は周りの相場で決まり、建築費の上昇を乗せきれない。前期は売上が27%増えたのに、分譲の利益は14%減った。
市況が崩れた時の傷は深い。在庫を借金で抱える形なので、売れ行きが止まると値下げと評価損が一度に来る。2009年3月期には74億円の赤字を出した。自己資本比率は22%で、同じことが起きれば増資が要る。
自己資本の3分の1という値段は、安く見えるだけだ。ROEが資本コストに遠く届かない会社の帳簿は、値段の床にならない。
成長の計画も、借金を増やす計画と同じ意味だ。年1,000戸を目指すほど在庫と借入は膨らみ、市況が崩れた時の傷は大きくなる。量を追う姿勢そのものが、株主にとっての危うさだ。
どちらに重みを置いたか
地方の中核都市での足場と量の勢いについては、強気の言い分に理がある。ただ、金利の上昇で利益の大半が利払いに回ることは避けられない。ROEは資本コストに遠く届かず、稼ぐ力で測った価値は今の値段を大きく下回る。確率は中立を中心に置き、借金の重さと2009年の前例を見て慎重な側を厚くした。借金が減り利幅が戻れば、見方を変える。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 458 円44 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 77 円7 億円)。 今の値に割り戻すと 238 円23 億円、今との差 −36.1%、 期待の年率 +3.7%(資本コスト 9.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 1,585 円152 億円 | 239 円23 億円 | +389.1% | +17.2% | 109 円11 億円 |
| やや楽観 | 19% | 900 円87 億円 | 146 円14 億円 | +180.3% | +10.9% | 199 円19 億円 |
| 中立 | 35% | 371 円36 億円 | 73 円7 億円 | +19.1% | +1.8% | 155 円15 億円 |
| やや悲観 | 26% | 190 円18 億円 | 31 円3 億円 | −40.6% | −5.1% | 58 円6 億円 |
| 悲観 | 14% | 85 円8 億円 | 10 円1 億円 | −74.3% | −12.7% | 13 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 458 円44 億円 | 77 円7 億円 | +43.3% | +3.7% | 535 円51 億円 |
今の株価時価総額 373 円36 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.3% を下回るほど割高。
楽観 6% 年1,000戸を達成し、利幅を戻して借金の重さを跳ね返す 利益 14 億円 · PER 10.8 倍 · 株価時価総額 1,585 円152 億円
上振れの姿は、中期経営計画がそのまま形になることだ。進出する都市を100に広げ、年1,000戸の分譲を続ける。地方の中核都市で駅の近くに住みたい世帯の需要は根強く、値段は10年で3割上がる。
建築費の上昇はひと山を越え、仕入れの工夫で利幅は7%まで戻る。賃貸マンション700戸の供給で賃料の稼ぎも厚くなる。利払いは年15億円に増えるが、営業利益は36億円まで伸び、純利益は14億円になる。
ROEは9%近くまで戻るが、資本コストの10%にはわずかに届かない。借金を背負った成長は、最も良い姿でもこの程度だ。
- 不動産販売(分譲マンション):数量 1,000(引渡戸数(戸、持分))× 価格 6,100(1戸あたりの売上(万円))→ 売上 610 億円・営業利益 43 億円。年1,000戸・利幅が戻る
- 不動産賃貸・管理:数量 10,000(賃貸・管理の戸数相当(戸、推定))× 価格 68(1戸相当あたりの年の売上(万円、推定))→ 売上 68 億円・営業利益 10 億円。賃貸700戸が加わる
倍率:事業の純利益 14 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.9% が k 9.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.8 倍。全体の PER 10.81 倍、時価総額 152 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中計の年1,000戸は過去の最高の4割増しで、利幅の回復と同時に起きる必要がある。金利の上昇の中でそろう姿は1割に届かない確率とした。
やや楽観 19% 進出の都市を増やし、年900戸を売り続ける 利益 8 億円 · PER 10.8 倍 · 株価時価総額 900 円87 億円
地方の中核都市を1つずつ増やし、年900戸の分譲を続ける。1つの都市で売れる量は限られるが、都市の数で補う。値段は10年で25%上がり、建築費の上昇も同じ程度に収まる。
利幅は6.5%まで戻る。賃貸と管理の稼ぎも少しずつ厚くなる。賃貸の建物の償却は取得した時の額のままなので、賃料が物価で上がる分、利益率は上がる。
一方で利払いは年14億円台まで増え、営業利益の半分を食う。純利益は8億円で、配当性向30%を守っても、自己資本の伸びは鈍い。ROEは6%前後にとどまる。量の伸びは確かだが、株主に残る分は利払いに削られる姿だ。
- 不動産販売(分譲マンション):数量 900(引渡戸数(戸、持分))× 価格 5,900(1戸あたりの売上(万円))→ 売上 531 億円・営業利益 35 億円。都市を増やして量を保つ
- 不動産賃貸・管理:数量 9,500(賃貸・管理の戸数相当(戸、推定))× 価格 66(1戸相当あたりの年の売上(万円、推定))→ 売上 63 億円・営業利益 9 億円。賃料は物価並み
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.9% が k 9.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.8 倍。全体の PER 10.81 倍、時価総額 86 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:前期は731戸と過去最高で、契約も742戸と積み上がった。都市を増やして量を伸ばす姿は実績の延長にあるので2割弱。
中立 35% 量は少し増えるが、利払いが利益の大半を食う 利益 3 億円 · PER 10.8 倍 · 株価時価総額 371 円36 億円
筆者が最も起こりやすいと見るのは、量は保てても利益が残らない姿だ。会社は都市を増やし、年800戸の分譲を続ける。業界全体の量は細るので、計画の1,000戸には届かない。値段は10年で2割強上がるが、地方の買い手の所得が追いつかず、物価の伸びには届かない。
利幅は6%と、低い金利の時代の水準まで戻る。本社と販売の費用は物価並みに増える。営業利益は19億円になる。
しかし借金の借り換えが進み、金利は5%前後に上がる。利払いは年14億円に増え、純利益は3億円台にとどまる。配当性向30%で10年に7億円を返す。ROEは3%弱で、資本コストの3分の1にも届かない。量の成長が、そのまま銀行の取り分になる形だ。
- 不動産販売(分譲マンション):数量 800(引渡戸数(戸、持分))× 価格 5,730(1戸あたりの売上(万円))→ 売上 458 億円・営業利益 28 億円。年800戸・地方の所得が追いつかず値段は物価を下回る
- 不動産賃貸・管理:数量 9,000(賃貸・管理の戸数相当(戸、推定))× 価格 66(1戸相当あたりの年の売上(万円、推定))→ 売上 60 億円・営業利益 8 億円。償却は取得原価のまま
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 2.8% が k 9.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.8 倍。全体の PER 10.81 倍、時価総額 36 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:分譲の量は業界全体で細るが、会社は都市を増やして逆らってきた。金利の上昇は確かなので、利益が利払いに削られる姿を中心に35%。
やや悲観 26% 地方の需要が細り、在庫を絞って借金を返す 利益 0 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 190 円18 億円
住宅ローンの金利が上がり、地方の買い手は値段の上昇についていけなくなる。会社は在庫を絞り、年650戸に量を落とす。値段の伸びは10年で1割強にとどまり、利幅は4.5%に縮む。
在庫を絞った分だけ借金は減るが、利払いは営業利益とほぼ同じになる。純利益はほぼとんとんで、配当はわずかしか払えない。
価値を支えるのは、広島や福岡の賃貸のビルだ。賃料の稼ぎは安定しているので、売れば借金を返して手元に残る分がある。それでも、会社は清算されず、少数株主にその全部は戻らない。量を追うのをやめた会社は、借金を返しながら静かに縮んでいく。株主にとっては長い足踏みになる。
- 不動産販売(分譲マンション):数量 650(引渡戸数(戸、持分))× 価格 5,300(1戸あたりの売上(万円))→ 売上 345 億円・営業利益 16 億円。在庫を絞る
- 不動産賃貸・管理:数量 8,500(賃貸・管理の戸数相当(戸、推定))× 価格 60(1戸相当あたりの年の売上(万円、推定))→ 売上 51 億円・営業利益 7 億円。賃料は安定
倍率:稼ぐ力は0.4億円÷k=約4億円しかない。価値は賃貸の建物の含み益で測る床(約17億円)で、今の自己資本103億円に0.165倍を掛けた額とする。 EV(時価総額+純負債約300億円)÷営業利益は約48倍で、借金の重さから利益の倍率では測れず、床の資産で測る。
確率:金利の上昇で買い手のローンが重くなり、地方の値段の伸びも鈍い。分譲の量が細り利幅も薄くなる姿は十分ありうるので26%。
悲観 14% 市況が崩れ、在庫の評価損と利払いで自己資本が半分近くになる 利益 −10 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 85 円8 億円
不動産の市況が崩れ、地方のマンションの売れ行きが止まる。会社は値下げで在庫をさばき、評価損を出す。量は年350戸まで落ち、分譲の事業は赤字になる。
借金は在庫の分だけ減るが、利払いは残る。10年の間に赤字が積み重なり、自己資本は半分近くまで減る。銀行の支援をつなぐため、増資で株が薄まる恐れもある。
賃貸のビルは売られ、借金の返済に回る。会社は残っても、少数株主の取り分は小さい。床は、賃貸のビルを売って借金を返した後に残る分のさらに半分だ。2009年の再来は、この会社にとって最も重い筋書きだ。借金で回す形の怖さが最も強く出る姿だ。
- 不動産販売(分譲マンション):数量 350(引渡戸数(戸、持分))× 価格 4,500(1戸あたりの売上(万円))→ 売上 158 億円・営業利益 2 億円。値下げで利幅が消える
- 不動産賃貸・管理:数量 7,500(賃貸・管理の戸数相当(戸、推定))× 価格 55(1戸相当あたりの年の売上(万円、推定))→ 売上 41 億円・営業利益 4 億円。ビルを売って縮む
倍率:赤字で稼ぐ力は消える。価値は床の資産で測り、今の自己資本103億円に0.08倍を掛けた約8億円とする。
確率:2009年3月期に74億円の赤字を出した前例があり、借金の重さは当時と同じだ。金利が高い中での市況の崩れは傷を深くするので14%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
不動産販売(分譲マンション)
地方の中核都市を中心に分譲マンションを開発・販売する。
| 数量引渡戸数(戸、持分) | 価格1戸あたりの売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 731 | 4,694 | 343 | 16 |
| 10 年後 中立 | 800 | 5,730 | 458 | 28 |
取り方:2026年3月期の不動産販売の売上343.3億円・セグメント利益15.91億円、販売実績731.3戸(持分、有報)。1戸あたりは売上÷戸数。
不動産賃貸・管理
広島・福岡などのオフィスビルと賃貸マンションの賃料、分譲マンションの管理の手数料。
| 数量賃貸・管理の戸数相当(戸、推定) | 価格1戸相当あたりの年の売上(万円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 8,000 | 51 | 41 | 6 |
| 10 年後 中立 | 9,000 | 66 | 60 | 8 |
取り方:2026年3月期の賃貸・管理の売上40.84億円・セグメント利益5.67億円(有報)。管理と賃貸の戸数は開示を確かめられず、8,000戸相当と置いた推定。
リスクと懸念
金利の上昇
純有利子負債は約300億円で、今の利払いの金利は2%に届かない。借り換えで5%前後になれば、利払いは年8億円ほど増える。営業利益の大半が銀行に流れる。
市況の崩れと在庫
土地と建築の代金を借金で賄い、2〜3年かけて売る形だ。売れ行きが止まると値下げと評価損が一度に来る。2009年3月期には74億円の赤字を出した。
建築費の転嫁
建築費は人手不足と資材高で上がり続ける。地方では買い手の所得が値段に追いつかず、上がった費用を値段に乗せきれない。前期の分譲の利益が減ったのは、その表れだ。
地方の人口の減少
地方の中核都市は駅の近くの需要で底堅いが、人口そのものは減る。1つの都市で売れる量は限られ、進出の都市を増やし続けないと量を保てない。
自己資本の薄さ
自己資本比率は22%で、会社の目安の20〜30%の下限に近い。赤字が続けば、銀行の支援をつなぐために増資が要り、株が薄まる恐れがある。
今後の分かれ目
- 分譲の利益率が2期続けて7%を超える
- 建築費の転嫁が進んでいる。中立の利幅を引き上げ、強気の側に確率を寄せる。
- 借入の平均の金利が3%を超える
- 利払いの重さが表に出てきた。中立の純利益を下げ、慎重な側に確率を寄せる。
- 契約の戸数が2期続けて減る
- 地方の需要が細っている。量の中立を下げ、やや悲観の確率を上げる。
- 賃貸のビルを売って借金を減らす
- 財務を軽くする動き。利払いの見通しを下げ、悲観の深さを浅くする。
- クラフティアが持株を増やす、または買収を提案する
- 再編の筋が出てくる。筋書きにTOBの可能性を加える。
見ておくもの
- 分譲の契約戸数と利益率
- 純有利子負債と平均の借入金利
- 自己資本比率
- 進出の都市の数
- 賃貸の建物の売却の有無
倍率と資本コストの決め方
倍率は事業のROEが資本コスト9.25%を下回るため、式の上限1÷k=10倍を基準に中立は8割の8倍とした。今のPER・PBRは見ていない。純負債が時価総額の8倍を超えるのでEV÷営業利益も見たが、中立で約17倍と20倍に届かない。利払いは借り換えで5%前後に上がるとして純利益に入れた。賃貸の建物の償却は取得原価のまま置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9→10.81 倍・やや楽観 PER 8.5→10.81 倍・中立 PER 8→10.81 倍)。
資本コスト 9.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。