結論
ツクルバは、中古・リノベーションマンションを探し、買い、改装し、住み替える顧客を結ぶ「カウカモ」の会社である。筆者の結論は「割高」だ。会員60万人を集めた住宅メディアには競争上の価値があるが、普通株主が持ち続けて受け取る利益は、売上高の伸びほど大きくない。
2026年7月期の売上高は113億円に達したが、その約7割は物件を自ら仕入れて売る買取再販である。この部分の粗利率は約9%にすぎず、在庫を抱えるため借金も増える。収益の芯はむしろ売上高31億円弱の仲介で、全社の粗利益の約8割を稼ぐ。成約件数が前年を下回りながら、取引単価の上昇で粗利益を伸ばした点は見逃せない。ただし販売費・人件費を吸収し切れず、営業利益は前年比で減少した。
10年後も古い住まいを再生して売る仕事は必要だろう。新築の高値、既存住宅の蓄積、住み替え需要は長く残る。一方で、金利の上昇は中古マンション価格と資金繰りを同時に圧迫し、AIエージェントは物件探しというカウカモの入口を横取りしうる。2027年から現金償還を求められ得るA種優先株7億円も普通株主に先行する。
中立では仲介の件数と工事請負が増えても、インフレに伴う人件費と物件在庫の資金負担で利益の伸びは緩やかとみる。10年後の事業価値と途中の還元を資本コストで現在に戻すと、今の時価総額を3割強下回る。利用者基盤の拡大と株主価値の拡大を混同せず、売買件数より粗利益、さらに粗利益より自由に使える現金を重視したい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、何度でも利用したくなる住まいの選択肢をつくることと、株主に繰り返し現金を届けることは別である。住宅購入には信頼できる担当者、資金計画、リフォームの施工が欠かせず、10年後にカウカモが顧客から必要とされる姿は想像できる。買い手が集まるほど売り手と仕入れ先にも便利になる、弱いながらもネットワーク効果がある。60万人の登録者と成約履歴は無から容易には作れない。
しかし、優れたブランドを買う際にも、実際に誰がどれだけの利益を持ち帰れるかを見る。最大の課題は薄い粗利で動かす買取再販と、広告・採用・営業人件費の固定的な負担である。仕入れを増やすほど運転資金が必要になり、銀行に差し入れる担保も膨らむ。2026年には売上高が大きく伸びたのに営業利益は縮んだ。もし増分の投資利回りが資本コストに届かないなら、会社の規模を広げる行為そのものが普通株主の価値を減らす。
経営陣に求めたいのは、成約件数や流通総額の大きさではなく、案件別の仕入資本利益率と営業担当一人当たりの粗利益を継続して示すことだ。AI導入を理由に人を減らせると約束するだけでは足りない。広告費率、営業生産性、成約率の改善が複数年続き、増えた利益が配当や自社株買い、あるいは高い再投資利回りに結び付いて初めて堀の広がりを認めたい。
普通株主に先立つA種優先株の請求権と、無配が続く現実を見過ごせない。今の値段は事業が存続するだけで正当化できず、仲介のシェア拡大とコスト効率の改善がかなり進むことを要求している。不確かな改善を先払いしないという考え方では、現段階で十分な安全域はない。
何で稼ぐ会社か
同社の開示上の報告セグメントは「cowcamo事業」一つだが、収益の性質は三つに分かれる。第一の仲介・付帯サービスは、カウカモの媒体で顧客を集め、営業担当が中古マンションの購入・売却を助け、成立時の仲介報酬や関連サービス料を受け取る事業だ。2026年7月期の仲介関連売上高は30.73億円、売上総利益は31.09億円で、会計処理の期ずれから粗利益が売上高をわずかに上回る。年間成約件数は四半期の合計で1,077件、成約1件当たりの売上高は約285万円となる。
第二は2025年10月に設立した子会社カウカモ工務店の工事請負である。買い手が購入後に望む間取りや内装を実現し、現場の職人・施工管理者を組み合わせて工事代金を得る。2026年7月期の売上高は2.07億円、粗利益0.64億円とまだ小さいが、物件探しから引き渡し後まで顧客との関係を長く持てる。仲介の送客を受けるため、新たな広告だけに頼らない事業になりうる。
第三の自社企画商品は、中古住戸をツクルバボックスが買い取り、改装して完成品として販売する仕組みだ。2026年7月期の売上高80.29億円に対して粗利益は7.20億円で、売上構成比71%に対し粗利益構成比は約19%である。年度末には約36億円の販売用・仕掛販売用不動産があり、仕入れから販売まで半年程度の資金が必要になる。住宅価格の上昇局面では売上高が大きく伸びる反面、売れ残り一戸の値下げが数件分の仲介利益を消しかねない。
この三つは同じ顧客導線に乗るが、経済性は別物だ。仲介は取引件数と成功報酬、工事は施工件数と請負単価、買取再販は売却戸数と一戸当たり売価・仕入原価が決める。取引データを使い回せることは強みだが、売上高の大きな買取再販を利益率の高いソフトウエア事業として扱うことはできない。
優良さと弱いところ
カウカモの最も有力な強みは、物件を見るだけの人を実際の買い手に育てる顧客導線である。2026年2月に登録会員は60万人を超え、年間利用者も300万人超に達した。掲載物件への反応、希望する暮らし、実際の成約価格を結び付ける情報は、地域と価格帯を絞った仕入れや提案に使える。2026年7月に始めた売却前情報サービス「ウルカモ」の需要データ開示も、買い手と売り手を同じ場に集める試みだ。
ただし、これを広く深い堀とまでは呼べない。住宅は毎月買う商品ではなく、会員登録した人が何度も仲介料を払うとは限らない。物件情報の多くは他社も扱え、三井のリハウスや東急リバブルは営業拠点と売主接点で圧倒的に大きい。値上げを重ねても成約数を維持した証拠や、解約率が低い定額契約のような拘束力は開示されていない。成約1件当たり収益の改善は高価格帯への構成変化も含み、純粋な価格決定力と区別する必要がある。
資本効率にも厳しい見方が必要だ。2026年7月期は売上高が約40%増えたのに、営業利益は約38%減り、買取再販の在庫回転率と粗利率を掛け合わせた指標も前年を3割以上下回った。仲介営業人員は第4四半期に81人まで増えたが、一人当たり月間成約件数は前年同期の1.5件から1.1件に落ちた。人を増やせば利益が比例して増える状態ではなく、追加の投資収益率が資本コストを超えるとまだ証明されていない。
2024年から営業黒字を続けている点は進歩である。しかし、過去には長い赤字と増資があり、2026年の純利益には新株予約権戻入益など一時的な利益が多い。競争優位を認めるのは顧客データと一貫した住まいの体験までであり、現時点では再現しにくい高収益の企業とは評価しない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
中古住宅流通の市場そのものは大きい。東日本レインズによる首都圏中古マンションの2025年度成約件数は49,314件、平均成約価格は約5,322万円だった。会社は、東京都の築20年以上で購入前後に改装するマンションの年間市場を約3.5兆円と推定し、その市場でのカウカモの流通金額シェアを約2%と示している。首都圏全域の件数でカウカモの年間成約1,077件を割っても約2.2%となるが、地域と集計範囲が異なるため同じシェアとして比較してはならない。
数量面では、新築住宅の供給不足、既存マンションの老朽化、住宅取得価格の高騰が中古への移行を促す。一方、首都圏の人口増も永遠には続かず、金利が上がれば購入予算は小さくなる。2026年7月には首都圏中古マンションの成約件数が前年同月比8.6%減少し、在庫は5.5%増えた。今後10年の中立は市場の成約数がほぼ横ばいでも、リノベーション需要の浸透でカウカモが少しずつ顧客を取る姿である。数量の伸びを市場全体の膨張だけに頼らない。
仲介の競合は三井不動産リアルティ、東急リバブル、住友不動産ステップ、野村不動産ソリューションズなどで、全国の仲介件数では大手が年間数万件の規模を持つ。ただし大手の全国件数をカウカモの東京都のリノベーション特化市場シェアに換算できる統一資料はない。工事ではリノベるや地域工務店、買取再販ではカチタス、インテリックス、スター・マイカなどと、顧客や仕入れ物件を奪い合う。カウカモが10年後に占める件数シェアは、強い筋書きでも首都圏約4%、中立で約2.7%、厳しい筋書きでは約1.6%まで落ちる。
価格面は一律のインフレ率では見ない。仲介の成功報酬には制度上の上限があり、高価格帯への移行が平均単価を押し上げても、AIによる物件比較や手数料競争は実質の手取りを削る。工事請負は労務費・建材費の転嫁余地があるが、買い手の予算が上限になる。買取再販は販売価格だけでなく仕入原価と工期も上昇するため、名目の売上高より一戸当たり粗利益と在庫の回転が本当の景気循環を映す。
資本政策と M&A
ここ数年の資本配分は、普通株主への現金還元より事業の拡張を優先してきた。2025年7月期、2026年7月期の普通株配当はゼロで、2027年7月期予想もゼロである。2026年3月にはPKSHA Technologyと資本業務提携し、4月に32万400株の第三者割当増資を実施した。調達資金はAIを使う仕組みの開発と買取再販の仕入れに振り向けられた。既存株主からの84万株取得は公開買付けではなく、上場廃止を予定した取引でもない。
注意すべきは2022年発行のA種優先株式700株、払込額計7億円である。年1%の優先配当を持ち、2027年8月1日から保有者が金銭償還を請求できる。普通株への転換価額は当初1,200円で、好調時には約58万株相当の希薄化もあり得る。2026年7月期末の現金預金約16.9億円に対し有利子負債は約33.8億円で、7億円の請求が起きれば買取再販の仕入資金との競合が避けられない。
2026年7月期の営業キャッシュフローは約0.16億円にすぎず、借入には純資産維持や経常黒字を求める財務制限条項もある。2025年には社内調査と経営体制の変更があり、統治の再建も途中だ。2029年までの粗利益80億~100億円と時価総額100億円を組み合わせた役員等の新株予約権の行使条件はあるが、会社全体の正式な中期業績目標とは別物である。2027年7月期の計画は売上121.59億円、営業利益2.85億円、純利益0.85億円であり、それ以降の売上・ROE・配当性向・DOE・総還元性向・自社株買い額には数字の約束なしと判断する。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
最大の価値は、売り手と買い手がともに集まる住宅プラットフォームにある。カウカモは会員が60万人を超え、住宅を見つけて終わりではなく、購入、リノベーション、売却、住み替えまで一つの関係から収益を得られる。住宅という高額で複雑な商品には相談相手が必要であり、検索画面だけをAIが代替しても、現地確認、融資、施工調整、契約履行までなくなるわけではない。独自の反応データと実際の成約データが蓄積するほど、人気エリアの仕入れや売却時期の判断も改善する。
近年の成約単価の上昇は高価格帯専門チーム「SUITE by cowcamo」などの商品戦略と整合的だ。従来の首都圏全体の売買仲介に対する取引件数はまだ2%程度であり、売り手への提供価値を広げれば3~4%を取る余地がある。独自の商品を扱う買取再販は、他社の未改装物件と価格だけで比較されにくい。カウカモ工務店を持つことで、購入後の追加工事からも粗利益を得られる。
PKSHA Technologyとの提携により、買い手の好みを読み取る作業や営業担当の研修・提案作成を省力化できれば、仲介件数の増加より販管費の伸びを低く抑えられる可能性がある。これは有料のAI製品が完成したという話ではなく、すでに持つ取引事業の費用構造を改善する話である。仲介件数が年2,000件を超え、買取再販の一戸当たり粗利益と回転が共に良くなれば、過去の赤字体質から大きく脱し得る。
増分粗利益が人件費と借入費用を十分に上回るなら、優先株の償還にも耐えたうえで普通株の現金還元が始まる。首都圏の古いマンションは長期間使われる資産であり、年間の改修需要自体が消滅するとは考えにくい。顧客基盤、仲介、再販、工事を一体で運営できる事業者は多くないため、規模が利益へ転化する可能性をもっと評価すべきである。
慎重な見方
売上高が増えても株主が豊かにならない構造こそ問題である。2026年7月期は113億円を売り上げたが、営業利益は約1.7億円にとどまり、経常利益は約0.4億円しかない。売上高の約7割を占める買取再販は仕入れ代金を先に支払うため、案件が積み上がるほど融資を必要とする。在庫の買値を1割誤れば、一戸で数件の仲介報酬を失うこともある。増収を企業価値の増加と呼ぶには危うい。
不動産仲介では物件情報を独占できない。大手仲介会社は売主から物件を預かる網と金融機関への紹介経路を持ち、購入者を集めるだけのサイトとは接点が異なる。AIエージェントが希望条件の整理、複数サイトの比較、物件説明を請け負うようになれば、顧客はカウカモに長時間滞在しなくても候補を選べる。登録会員が多いことが、10年後の低い顧客獲得費や価格決定力を保証しない。
現時点ですでに営業生産性の低下と在庫回転率・粗利率の同時悪化が確認できる。さらに金利が上がると、住宅ローンの負担増で売却期間が伸びるのと同時に、ツクルバ自身の仕入融資の利息が増える。2027年8月から請求可能なA種優先株7億円は、普通株主の利益に優先する。借入の財務制限条項に触れれば資産売却や増資に追い込まれるため、株価の下落を単なる期待値の調整では済ませられない。
過去には長い赤字と希薄化があり、最近の黒字も利益の厚みは薄い。2026年の純利益には新株予約権の戻入れなどの一時益が含まれる。新しい役員報酬の高い目標を会社が達成した場合に初めて追加の株主価値が生まれるのであって、その数値を企業価値の現在の裏付けとして扱うのは順序が逆だ。経営の再建は認めても、普通株主に戻る現金が見えるまでは高い値付けを避けるべきである。
どちらに重みを置いたか
カウカモの顧客基盤とリノベーション市場の伸びしろは評価するが、普通株主の利益への転換については慎重な見方が勝る。2026年の増収減益、低下した営業生産性、約17億円の純負債、2027年以降の優先株償還請求権という、この会社固有の弱点が重なっている。したがって確率は楽観側27%に対し、やや悲観と悲観を合わせて40%と下側に寄せた。AIによる流入減はすでに仲介の数量と長期成長率に入れ、確率で同じ損失を重ねていない。算出される価値は現時価総額を3割強下回り、結論は割高である。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/07 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 486 円58 億円(+ 還元の換算額還元の合計 9 円1 億円)。 今の値に割り戻すと 184 円22 億円、今との差 −34.9%、 期待の年率 +5.8%(資本コスト 10.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 2,372 円283 億円 | 48 円6 億円 | +755.2% | +24.4% | 194 円23 億円 |
| やや楽観 | 19% | 809 円97 億円 | 25 円3 億円 | +194.8% | +11.7% | 159 円19 億円 |
| 中立 | 33% | 313 円37 億円 | 0 円0 億円 | +10.8% | +1.0% | 103 円12 億円 |
| やや悲観 | 25% | 114 円14 億円 | 0 円0 億円 | −59.7% | −8.7% | 29 円3 億円 |
| 悲観 | 15% | 67 円8 億円 | 0 円0 億円 | −76.3% | −13.4% | 10 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 486 円58 億円 | 9 円1 億円 | +74.6% | +5.8% | 494 円59 億円 |
今の株価時価総額 283 円34 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 流通の主導権を握り、工事と買取再販が利益に転換 利益 23 億円 · PER 11.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,372 円283 億円
住宅購入の入り口としてカウカモを選ぶ世帯が増え、2036年の首都圏中古マンション取引数が5.8万件になるなかで、同社の仲介成約は年2,250件に達する。三井のリハウスや東急リバブルが全国規模の店舗網を持つ中でも、改装済み物件に絞った提案と住み替え支援で首都圏シェアを約3.9%へ引き上げる。会員と成約履歴を使った仕入れが洗練され、他社が扱いにくい間取りや築年数の住戸を適切な価格で商品化できる。
仲介の平均手数料・付帯売上は高価格帯物件の構成増とともに上がる。工務店は年120件の請負をこなし、買取再販は年230戸を売却する。買取再販の粗利率は12.5%まで高まり、成約に応じて広告費を抑えられることで粗利益の伸びが人件費と本社費を大きく上回る。PKSHAとの提携は顧客対応の効率化に寄与するが、外部向けAIソフトの未確認売上は加えない。
A種優先株は収益が高まった後に普通株へ転換され、将来の普通株総数は増える。その代わり7億円の現金償還を免れ、事業資金を残せる。経営は大型買収より自社の仕入れと工務店の運営を優先し、後半には普通株への還元も始める。費用を先行投資として使った年月が、ようやく株主に帰属する利益へ変わる筋書きである。
- 仲介・付帯サービス:数量 2,250(仲介・付帯サービスの成約件数(件/年))× 価格 0.04(成約1件当たりの仲介関連売上高(億円/件、名目))→ 売上 95 億円・営業利益 94 億円。首都圏5.8万件の約3.9%、高価格帯構成増。仲介粗利率99%。
- リノベーション工事請負:数量 120(年間工事受注・引渡件数(件、会社非開示の推定値))× 価格 0.16(1工事当たり平均請負額(億円/件、名目))→ 売上 19 億円・営業利益 7 億円。工事120件、粗利率34%。
- 自社企画商品・買取再販:数量 230(改装済み住戸の年間売却戸数(戸、会社非開示の推定値))× 価格 1.05(売却1戸当たり平均売価(億円/戸、名目))→ 売上 242 億円・営業利益 30 億円。改装済み230戸、粗利率12.5%、仕入れ資金に応じた金融費用は増加。
倍率:10年後の純利益23.290億円÷純資産126.0億円でROE18.48%、資本コスト9.0%。堀はweakで超過収益の持続比率は1/3、RONIC=k+1/3×(ROE−k)=12.16%。2036年以降のg_longは名目2.0%で、正当化PER上限(1−g÷RONIC)÷(k−g)=11.936倍を割り引かず採用した。会社全体の純利益には優先株の現金償還・仕入れ融資に伴う費用を含む。現時点の市場PERは使わない。
確率:市場シェアが約4%へ拡大し、仲介一人当たり成約も回復して、買取再販粗利率が12.5%へ改善する同時達成が必要。2026年の生産性と在庫効率は悪化しており確率は8%にとどめた。
やや楽観 19% 仲介のシェア増と施工拡大が着実に進む 利益 8 億円 · PER 11.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 809 円97 億円
新築マンションの供給不足を受け、中古住宅を自分らしく改装して住む習慣が首都圏で広がる。市場の年間成約件数は5.4万件まで増え、カウカモの成約は1,750件に達する。首都圏全体での件数シェアは約3.2%となり、大手仲介会社ほどの規模には届かないが、リノベーション特化の認知が一段と進む。
高価格帯の物件紹介が平均収益単価を押し上げ、仲介の粗利益が販管費の上昇を上回る。カウカモ工務店の工事は年75件となり、購入から施工へつなぐ収益の柱が育つ。買取再販は年185戸を扱い、粗利率を11%へ回復させる。ただし仲介の営業人員、工事監督、物件仕入れに資金が必要なため、2026年の財務の軽さには戻らない。
大規模買収をせず、顧客獲得と人材育成に再投資して利益を伸ばす。A種優先株の償還は手元資金と借換えで賄い、普通株の希薄化は抑えられる。後半から小額の普通株還元が始まるが、まだ余剰現金を豊富に生む会社ではない。しっかり前進するものの、資本効率は並外れた水準にまでは達しない十年である。
- 仲介・付帯サービス:数量 1,750(仲介・付帯サービスの成約件数(件/年))× 価格 0.04(成約1件当たりの仲介関連売上高(億円/件、名目))→ 売上 67 億円・営業利益 66 億円。首都圏5.4万件の約3.2%。仲介粗利率99%。
- リノベーション工事請負:数量 75.0(年間工事受注・引渡件数(件、会社非開示の推定値))× 価格 0.15(1工事当たり平均請負額(億円/件、名目))→ 売上 11 億円・営業利益 4 億円。工事75件、粗利率32%。
- 自社企画商品・買取再販:数量 185(改装済み住戸の年間売却戸数(戸、会社非開示の推定値))× 価格 0.95(売却1戸当たり平均売価(億円/戸、名目))→ 売上 176 億円・営業利益 19 億円。改装済み185戸、粗利率11%。
倍率:10年後の純利益8.097億円÷純資産56.0億円でROE14.46%、資本コスト9.0%。堀はweakで超過収益の持続比率は1/3、RONIC=k+1/3×(ROE−k)=10.82%。2036年以降のg_longは名目2.0%で、正当化PER上限(1−g÷RONIC)÷(k−g)=11.645倍を割り引かず採用した。会社全体の純利益には優先株の現金償還・仕入れ融資に伴う費用を含む。現時点の市場PERは使わない。
確率:登録会員の厚みと工務店の展開から実現余地はあるが、首都圏シェアが約3.2%へ広がり、費用率も改善する必要がある。営業人員の育成遅れと2026年の下方修正を踏まえ19%。
中立 33% 市場は残るが、費用と在庫が利益を制約 利益 3 億円 · PER 11.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 313 円37 億円
2036年の首都圏中古マンション成約件数は約4.9万件で、足元の水準とほぼ変わらない。中古とリノベーションの組み合わせは新築に比べた価格面の魅力を保つが、人口の伸び鈍化と住宅ローン金利の上昇が売買回数を抑える。カウカモは売り手向けサービス「ウルカモ」と蓄積した取引データを使い、仲介の成約を年1,320件、首都圏シェア約2.7%へ緩やかに広げる。
ただし、AIエージェントが物件探しの一部を代行し、直接訪問や問い合わせに至る割合は低下する。料金には物価の上昇を完全には転嫁できない。工事請負は年45件まで育ち、買取再販も年145戸へ増えるが、再販の粗利率は10.5%にとどまる。営業担当の賃金、施工人員、広告、事務所費を負担した後の利益は数億円規模で、売上高の伸びと釣り合うほど大きくならない。
A種優先株は当初の現金請求に対応し、後に増えた借入利息が利益を押し下げる。経営は配当より事業再投資を続け、普通株への現金還元はない。事業は10年後にも残るが、資本コストをわずかに超える程度の利益しか生まず、会員数の大きさを強い価格決定力へ結び付けられない筋書きである。
- 仲介・付帯サービス:数量 1,320(仲介・付帯サービスの成約件数(件/年))× 価格 0.04(成約1件当たりの仲介関連売上高(億円/件、名目))→ 売上 47 億円・営業利益 46 億円。首都圏4.9万件の約2.7%。AIによる検索流入減を織り込み、仲介単価はCPI未満の伸び。
- リノベーション工事請負:数量 45.0(年間工事受注・引渡件数(件、会社非開示の推定値))× 価格 0.14(1工事当たり平均請負額(億円/件、名目))→ 売上 6 億円・営業利益 2 億円。工事45件、名目単価は約1.33倍、粗利率30%。
- 自社企画商品・買取再販:数量 145(改装済み住戸の年間売却戸数(戸、会社非開示の推定値))× 価格 0.88(売却1戸当たり平均売価(億円/戸、名目))→ 売上 128 億円・営業利益 13 億円。改装済み145戸、住宅価格はCPI未満の伸び、粗利率10.5%。
倍率:10年後の純利益3.326億円÷純資産36.0億円でROE9.24%、資本コスト9.0%。堀はweakで超過収益の持続比率は1/3、RONIC=k+1/3×(ROE−k)=9.08%。2036年以降のg_longは名目2.0%で、正当化PER上限(1−g÷RONIC)÷(k−g)=11.139倍を割り引かず採用した。会社全体の純利益には優先株の現金償還・仕入れ融資に伴う費用を含む。現時点の市場PERは使わない。
確率:首都圏の成熟した成約市場は大きく伸びず、既存データによる成約シェアの小幅な改善と工務店の定着が最も無理の少ない組み合わせ。2027年予想は営業黒字だが普通株還元ゼロのため、利益の定着を慎重にみる。
やや悲観 25% 集客と在庫効率が低迷し、再縮小へ 利益 −2 億円 · PBR 0.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 114 円14 億円
住宅価格の高止まりと住宅ローン金利の上昇で、首都圏中古マンションの成約件数は年間4.3万件程度に縮む。三井のリハウスや東急リバブル、他のデジタル仲介との競争は厳しくなり、カウカモへの直接問い合わせは減る。独自の住まい紹介にはファンが残るものの、仲介成約は年900件、首都圏シェアは約2.1%へ低下する。高価格帯への移行も止まり、手数料単価は物価上昇に追い付かない。
買取再販は高値で仕入れた在庫の処分を優先して、年105戸程度に規模を落とす。売却価格の伸びは小さく、粗利率は7%まで低下する。工務店も年22件の施工にとどまり、工事原価の上昇を顧客に十分転嫁できない。経営は人員や広告費を縮小して全社の固定費を下げるが、相応の規模まで売上も細るため営業赤字を解消できない。
A種優先株への対応で現金が減り、銀行と交渉しながら在庫を売却して借入を圧縮する。大きな買収や増配は行えない。会社は仲介機能を小さく維持するが、株主が期待した高成長プラットフォームとは異なる姿に落ち着く。残る価値は将来の高い利益ではなく、負債を払った後の資産と限定的な顧客基盤が中心となる。
- 仲介・付帯サービス:数量 900(仲介・付帯サービスの成約件数(件/年))× 価格 0.03(成約1件当たりの仲介関連売上高(億円/件、名目))→ 売上 26 億円・営業利益 26 億円。首都圏4.3万件の約2.1%、低い成約単価、仲介粗利率98.5%。
- リノベーション工事請負:数量 22.0(年間工事受注・引渡件数(件、会社非開示の推定値))× 価格 0.12(1工事当たり平均請負額(億円/件、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。工事22件、粗利率24%。
- 自社企画商品・買取再販:数量 105(改装済み住戸の年間売却戸数(戸、会社非開示の推定値))× 価格 0.78(売却1戸当たり平均売価(億円/戸、名目))→ 売上 82 億円・営業利益 6 億円。改装済み105戸、粗利率7%、在庫処分を優先。
倍率:事業縮小と金融費用で最終利益が赤字となり、永続PERを適用しない。2036年の自己資本17.0億円にPBR0.80倍を適用する。2026年の資産のうちA種優先株7億円が普通株に先行し、在庫の売却時値引きも織り込む。清算価値と稼ぐ力の双方から14億円未満の会社価値が中心となる。
確率:2026年の仲介成約減、営業生産性の後退、在庫効率低下という実績がある。自社企画商品の仕入縮小と広告・人員削減で負債を軽くしても、固定費負担が残る場合を25%とした。下に寄せる理由:2027年以降のA種優先株償還と財務制限条項も固有の負担となる。
悲観 15% 物件仕入れの失敗と仲介縮小で構造的に負ける 利益 −7 億円 · PBR 0.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 67 円8 億円
中古マンション市場の長期停滞と高金利が重なり、首都圏の年間成約件数は約3.7万件まで減る。AIエージェントによる物件比較が一般化し、カウカモが自社メディアへ集めた見込み客を仲介契約に変える力も弱くなる。三井のリハウスや東急リバブルだけでなく、デジタル仲介も低い料金で競争し、カウカモの取引件数は年600件、首都圏シェアは約1.6%へ落ちる。
買取再販は銀行融資を得られない物件から事業を縮小し、売却は年65戸にとどまる。資金回収を優先した値引きで粗利率は4%に低下する。施工請負も12件に縮み、外注先の確保と値上げが難しくなる。全社の人件費と広告費を大幅に削っても、件数減に追い付かず赤字が残る。少数の物件の処分損が大きく、期末には追加の減損・負債返済を迫られる。
2027年以降の優先株への請求には在庫を売って対応し、普通株主への還元はない。上場が続くとしても、黒字化前に示していた成長戦略の大半は取り下げられる。建設的な買収相手が現れる可能性は否定しないが、未発表のTOBプレミアムは評価しない。普通株主に残るのは、優先株と借入の弁済後に換金できる資産を中心とする最低限の価値である。
- 仲介・付帯サービス:数量 600(仲介・付帯サービスの成約件数(件/年))× 価格 0.03(成約1件当たりの仲介関連売上高(億円/件、名目))→ 売上 15 億円・営業利益 15 億円。首都圏3.7万件の約1.6%、実質値下げ、仲介粗利率97.5%。
- リノベーション工事請負:数量 12.0(年間工事受注・引渡件数(件、会社非開示の推定値))× 価格 0.12(1工事当たり平均請負額(億円/件、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。工事12件、原価上昇で粗利率18%。
- 自社企画商品・買取再販:数量 65.0(改装済み住戸の年間売却戸数(戸、会社非開示の推定値))× 価格 0.67(売却1戸当たり平均売価(億円/戸、名目))→ 売上 44 億円・営業利益 2 億円。改装済み65戸、処分売りで粗利率4%。
倍率:買取再販が構造的に敗れ最終赤字であるためPERを使わず、2036年に毀損した自己資本10.0億円にPBR0.80倍を適用した。普通株に残る清算可能資産の床8.0億円と一致し、過去の株価のPBRではない。
確率:借入付きの販売用不動産に価格下落と在庫の滞留が重なり、金融機関が融資を絞る複合事象を想定。現時点は継続企業の前提注記がないため経営破綻を既定としないが、普通株に残る売却可能資産が細る危険を15%とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
仲介・付帯サービス
カウカモの買主・売主紹介、契約仲介と関連サービス。成約時の手数料が主な収益で、営業担当の人月課金やSaaS席課金ではない。
| 数量仲介・付帯サービスの成約件数(件/年) | 価格成約1件当たりの仲介関連売上高(億円/件、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/07 | 1,077 | 0.03 | 31 | 31 |
| 10 年後 中立 | 1,320 | 0.04 | 47 | 46 |
取り方:会社の2026年7月期決算説明資料14頁の四半期成約件数282、234、299、262を合計して年1,077件。事業領域別資料13頁の仲介関連売上高30.73億円を割ると1件当たり約285万円となる。同資料の売上総利益31.09億円を粗利益貢献額としてop_okuに記載する。売上高より粗利益が0.36億円大きいのは収益・原価の認識タイミングと領域区分の違いであり、各領域のop_okuは営業利益ではなく販管費控除前の粗利益に統一した。年間会員60万人超の自社媒体は別に広告課金しておらず、成約件数に含めて二重売上にしない。AIエージェント代替の分類は自社媒体・マッチング画面であり、成果報酬の現物仲介を人月受託と同一視しない。2036年中立の成約件数の潜在値は約1,600件だが、AIによる物件検索・集客経路の迂回で約0.83倍に圧縮し1,320件とする。
リノベーション工事請負
カウカモ工務店によるリノベーションの施工・設計・管理。実物の現場作業が必要な事業である。
| 数量年間工事受注・引渡件数(件、会社非開示の推定値) | 価格1工事当たり平均請負額(億円/件、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/07 | 20.0 | 0.10 | 2 | 1 |
| 10 年後 中立 | 45.0 | 0.14 | 6 | 2 |
取り方:2026年7月期決算説明資料13頁の工事請負関連売上高2.07億円と売上総利益0.64億円は開示実額だが、施工数は非開示。新設初年度の20件×平均1,035万円を仮定した推定で、実績件数と断定しない。自社価格シミュレーターで標準基本工事は500万~700万円台からあり、実際のフルリノベや追加工事はさらに大きいため平均1,035万円は参考仮説とした。AIエージェントは見積書や設計補助を効率化するが、施工・工事監督という現場作業の数量そのものを置き換えない。
自社企画商品・買取再販
中古住戸を在庫として購入し、企画・改装後に売却。売上高には住戸売却額の総額が計上される。
| 数量改装済み住戸の年間売却戸数(戸、会社非開示の推定値) | 価格売却1戸当たり平均売価(億円/戸、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/07 | 110 | 0.73 | 80 | 7 |
| 10 年後 中立 | 145 | 0.88 | 128 | 13 |
取り方:2026年7月期決算説明資料13頁の自社企画商品売上80.29億円、粗利益7.20億円は実額。販売戸数と平均売価が開示されないため、東京都中心の物件売却を110戸×約7,300万円と仮定して数量と単価に分解した。これは推計であり、90~130戸なら平均価格は約8,920万~6,180万円と動く。首都圏中古マンションの2025年度平均5,322万円より高いのは都心・改装済み物件に偏るためと考える。期末の販売用不動産・仕掛販売用不動産の簿価合計約36.12億円、売却原価約73.09億円から年約2.0回の在庫回転が確認でき、110戸は売上額と資金回転に矛盾しない。AI代替の型は物件という実物商品の売買であり、人月・席SaaSとは異なる。
リスクと懸念
AIエージェント代替による集客入口の喪失
カウカモが対価を得るのは成約時だが、顧客は媒体の検索・比較画面から入る。AIエージェントが複数サイトの情報収集、候補比較、問い合わせを代行すると、会員数が増えてもカウカモへの直接訪問と成約率が下がり得る。仲介の中立数量と2036年以降の成長率を低めにしたが、独自データが顧客流入を守れるかの実測が重要である。
買取再販の在庫と住宅ローン金利
2026年7月期末の販売用・仕掛販売用不動産は約36.12億円に及ぶ。首都圏の新規登録・在庫価格と実際の成約価格の開きが広がると、改装後に値下げせざるを得なくなる。売れ残りが長引くと利息・管理費も増え、今期の低い買取再販粗利率約9%は容易に失われる。
純負債・短期融資・財務制限条項
2026年7月期末の有利子負債は約33.75億円、現金預金控除後の純負債は約16.88億円である。融資には経常黒字や純資産維持などの財務条件が付く。金利が上昇した時に借換えを断られれば、安い価格での在庫処分や普通株の増資で資金を作る必要が生じる。
A種優先株の償還・普通株の希薄化
A種種類株700株は払込額7億円、年1%の優先配当と残余財産の先順位を持つ。2027年8月から金銭償還請求が可能で、現金が出れば仕入れ余力が縮む。他方、当初転換価額に基づく普通株への転換では約58万株が増え得る。高い成長の筋書きでも、現在の普通株主の取り分は会社全体の価値より小さくなる。
営業人員の生産性と広告費の固定化
2026年7月期第4四半期の稼働営業人員81人に対し、一人当たり月間成約件数は1.1件で前年同期の1.5件から低下した。大型顧客基盤があっても、経験者の育成や広告の出稿を増やさなければ成約が増えないなら、仲介粗利益の伸びは費用に吸収される。AI提携による効率改善は着手段階であり、利益貢献はまだ検証できない。
統治・資本配分・不測の再編
2025年に社内調査結果を受けて経営体制が変わった。2026年にはPKSHAとの提携・第三者割当を行ったが、過去の増資で既存株主の希薄化も生じている。自社企画商品を拡大する場合は案件別資本利益率を厳格に示す必要がある。将来のTOBや再編の可能性を価値に先取りせず、現時点で実施中のTOBや上場廃止予定は確認できなかった。
都心価格・建築費・リースの会計変更
中古マンションの築年数増加は機会だが、耐震、配管、管理組合の合意など工事の制約も重い。建築費・職人の賃金が物価に沿って上がり、売却価格が追い付かなければ工事と買取再販の粗利益率は低下する。2027年4月以降開始年度の新リース会計基準では賃借オフィスの使用権資産・負債の表示が変わるが、実際の家賃負担が消えるわけではない。
今後の分かれ目
- 仲介の四半期成約件数が350件を超え、一人当たり生産性が月1.5件以上で4四半期続けば
- 会員基盤の厚みが実際の成約と固定費効率へ移っていると判断し、やや楽観の重みを増やす。営業人数だけを増やした成長とは区別する。
- 買取再販の在庫回転率×粗利益率が2025年水準に回復し、在庫簿価が売上と同率以下の増加にとどまれば
- 自社企画商品は薄利でも再投資の質が改善したと認め、中立の買取再販粗利益率と在庫資金の想定を改善する。
- A種優先株7億円の金銭償還請求が2027年以降に実行され、借入残高が増えたら
- 融資費用と仕入余力の減少を純利益へ反映する。新株発行で賄う場合はholder_shareを引き下げ、普通株の取り分を改めて検算する。
- PKSHAとの提携後、広告費当たりの仲介粗利益と営業生産性がともに2期連続で改善すれば
- AIが自社のデータと結び付いて費用優位を生んだと認める。ただし外販AIの売上・受注が開示されるまではソフトウエア事業の新しい成長を加算しない。
- 首都圏中古マンション成約が2年続けて前年比減少し、都区部の成約単価も下がれば
- 市場の数量と販売価格をともに下方修正し、在庫処分損と融資費用の増加をやや悲観・悲観に反映する。
- 工事請負の粗利益が年3億円を超え、引渡遅延・追加原価が増えなければ
- 仲介から実物施工への送客が継続収益になったと評価し、工事請負の売上構成と中立の利益率を上方に見直す。
- 中期的に普通株への増配・自社株買いの方針が数字付きで公表され、実際に継続すれば
- 少数株主へ余剰現金が返る実績が生まれたと認め、excess_cash_returnを0.5から見直す。条件付きの役員新株予約権だけでは変更しない。
見ておくもの
- 仲介・付帯サービスの四半期成約件数と成約1件当たり粗利益、契約・決済のずれ
- 稼働営業人員、一人当たり月間成約件数、広告費当たり仲介粗利益
- 自社企画商品の販売用・仕掛販売用不動産残高、在庫回転率×粗利益率
- 工事請負の受注件数、請負単価、売上総利益率、完工遅延
- 首都圏・東京都区部のレインズ成約件数、成約単価と在庫件数
- A種種類株の2027年以降の金銭償還・転換、第三者割当による株数変動
- 金融機関の与信枠と財務制限条項、借入の平均調達金利、営業キャッシュフロー
- PKSHA提携後の顧客獲得単価、検索経路構成、AIを活用した営業生産性
- 普通株の配当・買戻し・経営陣の株式報酬行使条件の実現状況
倍率と資本コストの決め方
2026年7月期の現実の仲介成約1,077件・自社企画商品売上80.29億円を起点に、2036年の実物数量と名目単価を別々に置いた。粗利益の合計から人件費・広告費・本社費を引き、金利と税を控除して純利益を算定した。資本コスト9%、長期名目成長2%、弱い堀の増分利益持続割合3分の1から楽観~中立の正当化PERを算出し、現在のPERや同業の株価倍率は根拠にしない。悲観は優先株7億円、在庫の値下がり、換金困難資産を控除した床を検算した。2025年7月期で止まっている添付の財務は2026年7月期の最新短信に更新し、株価309円・約1,193万株は添付の基準を維持した。新リース基準後も家賃を費用とする同じ経済性で比較する。
資本コスト 10.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%の計7.5%に、業績循環・価格競争・財務脆弱性の1.5%を加えた。βや小型株プレミアムは使用しない。