結論
ミガロホールディングスは、個人投資家向けの新築投資用マンションを開発して売る会社である。顔認証 ID の事業も育てている。筆者の結論は、10 年の価値は今の時価総額を大きく下回り、割高というものだ。理由は、売上の 9 割が金利に敏感な販売で、借入が重いからである。
2026 年 3 月期の営業利益は 31 億円で、利益率は 5% 台と薄い。新築投資用マンションの販売が増え、顔認証の事業も初めて黒字になった。
財務は改善した。増資で自己資本比率は 26% に上がった。それでも借入は 356 億円あり、自己資本の 2 倍ある。
投資用の不動産は、金利と銀行の融資姿勢で売れ行きが大きく変わる。金利が上がる前提では、利益は伸びにくい。
顔認証事業は面白いが、利益に占める割合はまだ小さい。
筆者がいちばん気にしているのは、金利が上がる 10 年で、販売の粗利が利払いの増加を上回り続けるかどうかだ。ここに確信は持てない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、これは「借金で在庫を回す、利益率の薄い会社」である。
PBR は 1 倍を超えているが、ROE が資本コストを下回る見通しのもとでは、割安の根拠にはならない。ためた利益は、額面より低い価値しかない。
堀は弱く、金利の動きに利益が大きく左右される。わからない部分が大きい事業は、確信度を下げて見る。
顔認証の事業は、育てば面白い。ただ、今の利益に占める割合は小さく、不動産の借入を支える力にはならない。
筆者は、10 年かけた価値は今の値段を大きく下回ると見る。
経営の資本の使い方は、借入を使った拡大だ。増資で財務を整えたのは前向きだが、既存の株主の取り分は薄まった。配当性向は 39% 前後と控えめで、利益の多くは再投資に回る。
オーナーとして持ち続けたいかと問われれば、金利が落ち着くまで待ちたいと答える。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、マンションなどの開発と販売の粗利である。売上の 93% が不動産事業で、残りが顔認証などの DX 推進事業だ。
主力は新築の投資用マンションで、都心の物件を個人投資家に売る。2026 年 3 月期の販売戸数は 1,423 戸で、新築投資用が 891 戸と最も多い。中古の投資用、居住用、アパートも売る。賃貸管理と建物管理も手がけ、管理戸数は合計で 1.3 万戸を超える。
DX 推進事業は、顔認証 ID「FreeiD」の提供が中心である。鍵の代わりに顔でマンションに入れる仕組みで、導入は 376 棟に増えた。導入するデベロッパーは 98 社になり、毎月課金の収入が積み上がる。
2026 年 3 月期の売上は 575 億円。不動産が営業利益の大半を稼ぎ、本社費がそこから引かれる。
顧客は、都心の物件を買う個人の投資家が中心である。会員組織を持ち、会員に直接物件を紹介する販売の仕組みが強みだ。物件は自社で企画し、建築を外部に発注する。竣工までの仕掛けと完成後の在庫を借入で持つため、在庫の回転が利益を左右する。
2026 年 3 月期は、会社が新築の引き渡し時期を一部翌年度に回した。四半期の売上は引き渡しの時期で大きく振れる。
優良さと弱いところ
堀は弱い。投資用マンションの開発は参入しやすく、競合が多い。会社の強みは、会員 19 万人の顧客基盤と、自社物件で磨いた顔認証の技術である。顔認証を自社のマンションで試し、他社に売る流れは、他に例が少ない。
弱みは三つある。利益率が薄いこと、借入が重いこと、売れ行きが金利と融資に左右されること。営業利益率は 5% 前後で、売上が増えても利益はあまり増えない。
財務は、増資で自己資本比率が 26% に上がったが、まだ低い。ネットの D/E レシオは 1.7 倍で、会社は 2 倍を上限としている。
経営は、不動産で得た資金を成長の柱に回す方針を示す。ただ、その資本配分が成果を生むかは、これから見る段階だ。
資本の使い方では、不動産で稼いだ資金を顔認証に回す方針を示す。M&A でソフトウェア会社を取り込み、DX 推進事業は予定より 1 年早く黒字になった。この点は評価できる。
ただし、顔認証の営業利益は 4 億円にとどまり、不動産の変動を吸収するにはまだ小さい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
投資用マンションの市場は、低金利と税制を背景に長く拡大してきた。ここへきて長期金利が上がり、建築費も高騰している。物件の仕入れが難しくなり、利回りの低下も目立つ。
金利の上昇は、買い手の資金調達コストと、会社自身の利払いの両方に響く。銀行の融資姿勢が変われば、販売は一気に冷える。リーマン後には、同業の多くが赤字に沈んだ。
一方で、賃料は上がっており、中古物件の粗利は改善している。建築費の上昇で新築の供給は減り、既存ストックの価値は守られやすい。
顔認証は、新築マンションの付加価値として広がる。三菱地所、大和ハウス、東急不動産など大手が導入しており、競合はまだ少ない。
投資用マンションの買い手は、節税や将来の年金の備えを求める個人が多い。物件価格の上昇が続けば、買い手の利回りは下がり、需要は冷える。
中期的には、東京の人口集中と賃貸需要の強さが追い風である。建築費が上がり新築が減るため、既存の物件の賃料は上がりやすい。ただ、金利の上昇は、この追い風を打ち消す力を持つ。
景気の位置は、取引が活発な局面にある。次の調整が、いつどれだけの深さで来るかが分かれ目になる。
資本政策と M&A
還元は、配当を中心に、EPS の向上に連れて増やす方針である。2027 年 3 月期の年間配当は、小幅な増配を予想する。配当性向は 39% 前後で、自社株買いは目立たない。
2026 年 3 月期には増資を行い、自己資本を 41 億円積み増した。自己資本比率は 20% から 26% に上がった。
不動産で得た資金を顔認証や AI の事業に回す、財務戦略を示している。M&A も使い、ソフトウェアの企業を取り込んだ。
中期の姿として、グループ売上 1,100 億円を掲げる。買収で買われる側になる可能性は、時価総額が 176 億円と小さいため、無視できない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
新築の投資用マンションに強く、会員 19 万人に直接売れる。2026 年 3 月期は営業利益が 13% 増え、販売単価の上昇が利益を押し上げた。
顔認証は、同社のマンションで磨いた技術を他社に売る独自のモデルだ。導入は 376 棟と 1 年で 171 棟増え、98 社が採用した。毎月課金の収入が増え、DX 推進事業は予定より 1 年早く黒字になった。
財務も改善した。増資で自己資本比率が 26% に上がり、ネット D/E は 2.83 倍から 1.70 倍へ下がった。
会社は 2027 年 3 月期の売上を 650 億円と見る。中期の姿は 1,100 億円で、DX を軸にすれば利益率も上がる。
建築費の高騰で新築の供給が減る局面は、先に用地と施工を押さえた会社に有利だ。賃料が上がり、中古物件の粗利も改善している。
管理戸数も増えている。賃貸管理は 7,272 戸、建物管理は 6,115 戸と、物件を売った後も管理料が入る。景気に強いストック収入の厚みが増している。
慎重な見方
売上の 93% は金利に敏感な販売で、利益率は 5% 前後と薄い。長期金利の上昇と建築費の高騰で、仕入れの利回りが低下している。会社自身が、2027 年 3 月期の営業利益の伸びを 8% にとどめている。
借入は 356 億円で、自己資本の約 2 倍ある。借り換えのたびに金利が上がり、利払いは増え続ける。純利益の伸びは営業利益より小さい。
投資用の不動産は、銀行の融資姿勢で売れ行きが変わる。リーマン後の同業は、融資が止まって赤字に沈んだ。
顔認証事業は黒字になったが、営業利益は 4 億円にとどまり、全体を支えるには小さい。
増資で既存株主の取り分は薄まった。2026 年 3 月期の ROE は 9.5% で、会社の管理基準の 12% に届いていない。
新築の引き渡し時期を翌年度に回すなど、利益の計上時期の調整も目立つ。実力の利益を見えにくくする点が気がかりだ。販売の戸数は前年から 48 戸しか増えていない。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。売上の大半は金利に敏感な販売で、利益率が薄く、借入が重い。顔認証事業は評価するが、利益の柱になるには時間がかかる。
確率は中立を中心に置き、やや悲観を 24%、悲観を 12% と厚めにした。楽観は会社の中期の姿に近い道として 10% を置いた。
金利が落ち着く保証はなく、10 年で見れば、利払いの増加が重く効く。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 280 円180 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 84 円54 億円)。 今の値に割り戻すと 167 円107 億円、今との差 −36.9%、 期待の年率 +3.3%(資本コスト 9.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 662 円426 億円 | 171 円110 億円 | +215.7% | +12.2% | 83 円54 億円 |
| やや楽観 | 20% | 389 円250 億円 | 117 円75 億円 | +91.5% | +6.7% | 101 円65 億円 |
| 中立 | 34% | 261 円168 億円 | 90 円58 億円 | +33.0% | +2.9% | 119 円77 億円 |
| やや悲観 | 24% | 163 円105 億円 | 47 円30 億円 | −20.7% | −2.3% | 50 円32 億円 |
| 悲観 | 12% | 70 円45 億円 | 16 円10 億円 | −67.4% | −10.6% | 10 円7 億円 |
| 加重平均 | 100% | 280 円180 億円 | 84 円54 億円 | +38.0% | +3.3% | 364 円234 億円 |
今の株価時価総額 264 円170 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.5% を下回るほど割高。
楽観 10% 販売が倍増し、顔認証事業も育つ 利益 37 億円 · PER 11.5 倍 · 株価時価総額 662 円426 億円
投資用マンションとアパートの販売が伸び、年の販売戸数は 1,900 戸に達する。新築の販売単価も建築費の上昇に連れて上がる。顔認証 ID 「FreeiD」は新築マンションの標準設備になり、月額課金の収入が積み上がる。DX 推進事業の営業利益は 20 億円を超える。借入は増えるが、利益の伸びが利払いの増加を上回る。売上は 1,100 億円を超え、会社の中期の姿に重なる。ROE は 12% に乗る。売上は 1,100 億円を超え、DX 推進事業が不動産の変動を和らげる。配当も EPS の向上に連れて増える。
- DX 不動産事業:数量 1,900(販売戸数(戸))× 価格 52.4%(1 戸あたり売上(億円・名目。物価 3% で 10 年 1.34 倍が基本))→ 売上 995 億円・営業利益 80 億円。投資用・アパートの販売が倍増
- DX 推進事業:数量 112(導入・支援の規模(億円・今の値段の実質))× 価格 134.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍))→ 売上 150 億円・営業利益 23 億円。FreeiD の導入が標準化
倍率:事業の純利益 37 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.3% が k 9.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.5 倍。全体の PER 11.51 倍、時価総額 426 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社が掲げる売上 1,100 億円の姿に近づく筋書き。金利上昇と融資の引き締めが続く前提では 1 割にとどめる。
やや楽観 20% 販売は緩やかに増え、顔認証が黒字を広げる 利益 22 億円 · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 389 円250 億円
投資用マンションの販売は 1,550 戸まで緩やかに増え、単価は物価並みに上がる。金利の上昇で利払いは増えるが、利益で吸収できる。FreeiD の導入は新築マンションで広がり、DX 推進事業が営業利益 13 億円ほどの柱になる。純利益は 22 億円前後で、足元の予想を伸ばした水準になる。配当は EPS の向上に連れて増える。顔認証の営業利益は 13 億円ほどに育つが、不動産が利益の大半を占める構造は変わらない。借入は緩やかに増える。会社は借入を増やしすぎず、ネット D/E を 2 倍以内に保つ。
- DX 不動産事業:数量 1,550(販売戸数(戸))× 価格 50.1%(1 戸あたり売上(億円・名目。物価 3% で 10 年 1.34 倍が基本))→ 売上 777 億円・営業利益 58 億円。販売が緩やかに増える
- DX 推進事業:数量 80.6(導入・支援の規模(億円・今の値段の実質))× 価格 134.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍))→ 売上 108 億円・営業利益 13 億円。FreeiD が広がる
倍率:事業の純利益 22 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.3% が k 9.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.5 倍。全体の PER 10.53 倍、時価総額 234 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の予想に沿って、販売と顔認証の事業が緩やかに伸びる道。2 割を置く。
中立 34% 金利の上昇で利払いが増え、利益は横ばい圏 利益 13 億円 · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 261 円168 億円
投資用マンションの販売戸数は 1,350 戸と今よりやや減り、単価は物価より遅れて上がる。金利の上昇で投資家の利回り要求が上がり、売れる価格が伸びにくいためだ。FreeiD は新築で着実に増え、DX 推進事業は営業利益 8 億円ほどの小さな柱になる。営業利益は 35 億円、借入の利払いは今の倍に増え、純利益は 13 億円ほどにとどまる。自己資本は積み上がるが、ROE は 6% 前後に落ちる。賃料は上がるが、金利の上昇で売値の伸びが鈍る。会社は仕入れを選別し、在庫の積み増しを抑える。DX 推進事業は黒字を保ち、配当は小幅に増える。
- DX 不動産事業:数量 1,350(販売戸数(戸))× 価格 46.8%(1 戸あたり売上(億円・名目。物価 3% で 10 年 1.34 倍が基本))→ 売上 631 億円・営業利益 46 億円。取引利回りの上昇で単価が伸び悩む
- DX 推進事業:数量 62.7(導入・支援の規模(億円・今の値段の実質))× 価格 134.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍))→ 売上 84 億円・営業利益 8 億円。FreeiD が着実に増える
倍率:事業の純利益 13 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.8% が k 9.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.5 倍。全体の PER 10.53 倍、時価総額 141 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:販売は横ばい、単価は建築費に連れて上がるが、取引の利回り上昇で伸びが鈍る。利払いが増える。最も起こりやすい道として 34% を置く。
やや悲観 24% 融資の引き締めで投資用の販売が細る 利益 4 億円 · PBR 0.6 倍 · 株価時価総額 163 円105 億円
金利が上がり、銀行が投資用ワンルームの融資を絞る。個人投資家の買い手が減り、販売戸数は 1,200 戸に落ちる。単価も上がらず、値引き販売も増える。在庫の回転が遅れて借入が膨らみ、利払いも重くなる。営業利益は 18 億円、純利益は 4 億円ほどで、ROE は 2% に落ちる。会社は新規の仕入れを絞り、DX 推進事業の投資も抑える。投資家の買い控えで在庫の回転が遅れ、借入の利払いだけが増える。会社は物件の値引き販売で在庫を減らし、配当は据え置く。顔認証の事業は人員の増強を抑え、利益は小さく、全体への貢献は限られる。
- DX 不動産事業:数量 1,200(販売戸数(戸))× 価格 43.0%(1 戸あたり売上(億円・名目。物価 3% で 10 年 1.34 倍が基本))→ 売上 516 億円・営業利益 31 億円。融資の引き締めで販売が細る
- DX 推進事業:数量 58.0(導入・支援の規模(億円・今の値段の実質))× 価格 134.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍))→ 売上 78 億円・営業利益 5 億円。導入は続くが投資を絞る
倍率:稼ぐ力は小さく、価値は在庫の売却で支える床に近い。今の自己資本 151 億円の 0.56 倍に置いた。
確率:銀行が投資用不動産の融資を絞り、金利も上がって、買い手が減る。慎重な見方がやや強いとして 24% を置く。
悲観 12% 投資用不動産の市場が崩れ、在庫に評価損が出る 利益 −12 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 70 円45 億円
金融の引き締めで個人投資家への融資が止まり、販売戸数は 800 戸まで落ちる。在庫は売れ残り、値引きと評価損で損失が出る。営業利益は赤字になり、自己資本は大きく削られる。会社は DX 推進事業の投資を止め、在庫の売却で借入を減らす。配当は止まる。借入の借り換えが難しくなり、同業の安値販売も重なる。自己資本が削られ、増資か資産の売却を迫られる局面になる。顔認証の事業も、親会社の資金繰りの悪化で投資を止め、芽が育たない。管理戸数が生む管理料だけが、わずかな下支えになる。株価は大きく下がり、会社は自己資本の回復に数年かかる。同業の中には、融資の停止で資金繰りに行き詰まる会社も出る。
- DX 不動産事業:数量 800(販売戸数(戸))× 価格 35.6%(1 戸あたり売上(億円・名目。物価 3% で 10 年 1.34 倍が基本))→ 売上 284 億円・営業利益 9 億円。融資が止まり、在庫が売れない
- DX 推進事業:数量 40.0(導入・支援の規模(億円・今の値段の実質))× 価格 134.0%(値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍))→ 売上 54 億円・営業利益 0 億円。投資を止めて採算がとれない
倍率:赤字が続く筋書きで稼ぐ力では価値が付かない。在庫を値引きして売り、借入を返した残りで支える床として、今の自己資本 151 億円の 0.30 倍に置いた。
確率:リーマン後のように、投資用不動産の融資が止まり在庫が売れなくなる筋書き。借入が自己資本の 2 倍を超えるため、12% を置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
DX 不動産事業
新築・中古の投資用マンション、居住用、アパートの開発と販売、賃貸・建物管理。
| 数量販売戸数(戸) | 価格1 戸あたり売上(億円・名目。物価 3% で 10 年 1.34 倍が基本) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,423 | 37.4% | 533 | 42 |
| 10 年後 中立 | 1,350 | 46.8% | 631 | 46 |
取り方:開示。2026 年 3 月期の販売戸数 1,423 戸(新築投資用 891 戸、中古 327 戸、居住用 118 戸、アパート 7 棟など)。売上 532.5 億円を戸数で割った 1 戸あたり売上で置いた。
DX 推進事業
顔認証 ID「FreeiD」の提供、AI・DI の支援。
| 数量導入・支援の規模(億円・今の値段の実質) | 価格値段の指数(今 = 1.00。物価 3% で 10 年 1.34 倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 44.8 | 100.0% | 45 | 4 |
| 10 年後 中立 | 62.7 | 134.0% | 84 | 8 |
取り方:推定。開示は金額だけで、導入棟数(376 棟)や支援案件数(450 件)はあるが単価が無いため、実質の取扱高で置いた。
リスクと懸念
金利上昇と融資の引き締め
投資用不動産は、金利と銀行の融資姿勢で売れ行きが変わる。個人投資家への融資が絞られれば、販売戸数は一気に落ちる。
借入と利払いの増加
借入は 356 億円で自己資本の約 2 倍ある。借り換えのたびに金利が上がり、利益を削る。
建築費の高騰
建築費が上がり、仕入れの利回りが低下している。販売価格に転嫁できなければ、粗利が縮む。
顔認証事業の成長
導入は増えているが、利益はまだ小さい。大手電機やセキュリティ会社が参入すれば、競争が厳しくなる。
在庫の評価損
棚卸資産が 432 億円と総資産の大半を占める。市況が崩れれば、評価損で自己資本が削られる。
今後の分かれ目
- 個人投資家向けの融資が絞られ、販売戸数が前年を 2 割以上下回ったら
- 市況の悪化が始まった証拠で、やや悲観・悲観の確率を上げる。
- DX 推進事業の営業利益が 10 億円を超えたら
- 顔認証が第 2 の柱になる証拠で、中立から楽観に確率を寄せる材料になる。
- ネット D/E が 2 倍を超えたら
- 財務の余裕が尽きる兆候で、借金の項目と悲観の確率を見直す。
- 自社株買いや配当性向の引き上げを発表したら
- 資本効率の改善が本気とわかり、還元の積み上がりを重く見てよい。
- TOB など非公開化の提案が出たら
- 株価が上がる可能性はある。ただ、本質価値は提示価格でなく、稼ぐ力で決める。
見ておくもの
- 投資用マンションの販売戸数と単価
- 金利と銀行の融資姿勢
- FreeiD の導入棟数と DX 推進事業の利益
- ネット D/E と自己資本比率
倍率と資本コストの決め方
倍率は事業 ROE・資本コスト 9.5%・長期の成長 4% から式で置き、ROE が k 以下の筋書きでは上限 1÷k のうち 8.6〜9 割に置いた。今の PER・PBR や同業の倍率には寄せていない。同じ領域のエスコンや霞ヶ関キャピタルと k を +2.0% にそろえた。販売は戸数と 1 戸あたりの単価(億円)に分け、単価の指数を物価 1.34 倍より低めに置いた。純現金は無い。リースは小さく、新リース会計基準の後も今と同じ形で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.8→11.51 倍・やや楽観 PER 9.5→10.53 倍・中立 PER 9→10.53 倍)。
資本コスト 9.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality を足した。個別のリスクは筋書きと確率で表す。