結論
シーラは、東京・神奈川の都心でコンパクトなマンションを企画し、1棟ごと、あるいは1戸ずつ売る不動産デベロッパーだ。2025年6月にクミカとシーラテクノロジーズが統合して生まれた。売った後の賃貸管理と、不動産クラウドファンディング「利回りくん」も手がける。
筆者の結論は、適正の範囲にあるが、安全域は薄いというものだ。時価総額は純資産の7割で、一見すると安い。ただ、自己資本が188億円なのに、純有利子負債は377億円ある。利益を出しても、まず利払いに消える。
2026年5月期の純利益は67億円と大きいが、うち56億円は統合に伴う一度きりの益だ。これを除くと10億円。2027年5月期の会社予想も15億円前後にとどまる。営業利益は32億円あっても、利払いで経常利益は21億円に減る。
10年先の中立は、販売戸数が今並みで、価格が物価より遅れて上がる姿だ。ストック収益は育つが、金利が上がると借金の重みも増す。楽観でも倍率は10倍止まり、悲観は今の時価総額を大きく割る。この非対称が、筆者が「割安」と言い切れない理由である。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、「安いが、安全域は厚くない」という会社だ。純資産の7割という値段は魅力的に見える。だが、その純資産の多くは、売れる前の棚卸資産と、借金で買った不動産である。
経営の資本配分は、これまでのところ筋が通っている。割安な株価の下で自己株式を買い、株主に報いる姿勢はある。統合で負ののれんを得て、自己株式を買い、配当は累進にした。一方、利益の大半は、毎年新しい物件を仕入れて売り切れるかにかかる。回転が止まれば、借金だけが残る。
10年持つなら、見るべきは岩盤収益の積み上がり方だ。固定費の6割を賃料と管理料で賄えれば、物件を売れない年も耐えられる。それが実現するまでは、払う値段に十分な余裕があるとは言えない。筆者は、適正の下限と見る。物件を売り切る力に疑いはないが、借金の重さが払える値段に上限をかける。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は総合不動産事業だ。2026年5月期の売上393億円のうち、344億円がここから出ている。東京23区と横浜・川崎で用地を仕入れ、自社ブランド「SYFORME」のマンションを建てて売る。買い手は、ファンドや事業会社への1棟売りと、個人投資家への区分売りの2つに分かれる。
用地を仕入れてから竣工するまでに、平均で1年8か月かかる。プロジェクトの粗利率は平均で約18%だ。2026年5月期は新築377戸のほか、秋葉原と子安の土地売却が利益を押し上げた。つまり、売上は物件の引き渡し時期で大きく振れる。
土台の第2の柱が不動産管理事業だ。売った物件の賃貸管理が4,121戸、建物管理が113棟ある。入居率は99.7%、契約更新時の賃料の引き上げ幅は7.7%だった。自社で持つ賃貸物件とあわせた「岩盤収益」、つまり景気に左右されにくい賃料と管理料は、年19億円で、これを22億円まで積む計画である。
クミカ由来の事業は、埼玉を中心にしたファミリーマンションと建築工事だ。建設事業は立ち上げの途中で、2026年5月期は6億円の赤字だった。再生可能エネルギー事業は、太陽光発電と蓄電所で、まだ小さい。
優良さと弱いところ
強みは、用地の仕入れから設計・施工・販売・管理までを自社で通せる点だ。構造設計まで社内でこなすため、建築費の上昇を和らげやすい。BlackRockの不動産私募ファンドとも組み、1棟売りの出口を確保している。
「利回りくん」は、約28万人の会員を持つ国内最大級の不動産クラウドファンディングだ。ファンドを組んで物件を売ると、会社の貸借対照表から物件を外せる。借金を増やさずに、物件を回転させる道具になる。
弱みは財務だ。自己資本比率は25.5%まで下がり、純有利子負債は自己資本の2倍ある。営業利益は支払利息の3.4倍しかない。統合で棚卸資産が36億円から364億円に膨らんだ。売れ残れば、評価損が自己資本を削る。
利益の質にも注意がいる。2026年5月期の営業利益32億円には、土地売却の益が含まれる。本社費用は27億円と重く、岩盤収益だけでは賄えない。筆者は、堀を弱めと見る。物件の値段は市況が決め、会社が自由には上げられない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
都心の新築マンション市場は、建築費の上昇で供給が細っている。工事費は物価並みか、それを上回るペースで上がり、新規の企画は採算が合いにくい。この環境は、すでに用地を持つ会社には追い風だが、仕入れ価格も上がるため、追い風は長くは続かない。
需要側の鍵は金利だ。10年国債が3%になれば、投資家が求める利回りも上がり、物件の売値は上がりにくくなる。機関投資家や海外ファンドの日本の不動産への買いが続く間は、1棟売りの出口は開いている。この資金が引くと、一気に売りにくくなる。
競争の形は分散的だ。同じ投資用の領域には、FJネクストホールディングス、GA technologies、グッドコムアセットなどがいる。シーラの特色は、1棟売り、区分売り、クラウドファンディングという3つの出口を持つことだ。
統合後の中期目標は、2030年5月期に総資産1,000億円、ROE15%、自己資本比率30%である。総資産を増やしながら自己資本比率を上げるのは、利益の積み上げと借金の抑制の両立を要する。筆者はここを難所と見る。ホルムズ海峡の情勢による竣工の遅れも、足元の不安材料だ。
資本政策と M&A
資本政策は、積極と慎重が同居している。配当は累進方針に移り、2027年5月期は記念配当をやめて普通配当だけで年約5億円を出す。利益の3割台だ。使い道が少ないデジタルギフトの株主優待は廃止した。
自己株式は発行済株式の10.3%を保有し、1億円の追加取得も決めた。取得した株は、M&Aの対価や第三者割当に使う考えだ。PBR1倍割れの会社を株式交換で取り込む構想もあり、統合の連鎖が続く可能性がある。
筆者が気にするのは、借入で総資産を倍にする計画だ。事業用の借入は物件に見合うが、金利が3.5%前後に上がると利払いは増える。自己資本比率30%の目標を達成するには、還元を抑えて利益を積む必要がある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
統合の効果は、まだ数字に出始めたばかりだ。クミカの埼玉の顧客基盤と、シーラの都心の企画力・利回りくんの会員が合わさった。2026年5月期の営業利益は32億円で、2027年5月期の会社予想は37〜39億円と、さらに伸びる。純利益も、一度きりの益を除いて10億円から15億円へ5割増える計画である。
竣工予定の物件はすでに2029年3月分まで積み上がり、用地は四半期ごとに4〜6件仕入れている。粗利率は18%で、BlackRockなど出口の買い手もいる。岩盤収益は22億円まで伸び、固定費の6割を賄えば、利益の質は一段上がる。
さらに、固定資産には72億円の含み益がある。会社は、取得時の簿価167億円に対し時価239億円と試算する。時価総額129億円は、この含み益と自己株式の活用余地を考えれば安い。中期目標のROE15%に近づけば、純資産の7割という値段は大きく修正される。累進配当と自己株式の保有も、株主を向いた姿勢の表れだ。
慎重な見方
営業利益が32億円でも、経常利益は21億円、純利益は10億円まで細る。決算の「67億円」という純利益の見出しは、一度きりの益で膨らんだ数字にすぎない。理由は借金だ。有利子負債は450億円あり、借り換えの金利が3.5%になれば、利払いはさらに増える。10年先を考えるほど、この負担は重い。
2026年5月期の売上と利益には、土地の売却が2件入っている。こうした売却益は繰り返せるとは限らない。本社費用は27億円あり、岩盤収益の19億円でも賄えていない。会社自身が、固定費の6割をまだ目標に置いている。
棚卸資産は364億円で、自己資本の1.9倍ある。都心の物件価格が下がれば、評価損と資金繰りが同時に来る。ホルムズ海峡の情勢で竣工が遅れれば、期ずれだけでも決算は大きく振れる。統合の初年度は、あくまで合算された姿にすぎない。純資産の7割という値段は、リスクに見合った値引きにすぎない。割安というより、危うさの対価である。
どちらに重みを置いたか
強い方は慎重な見方だ。ただし決定打はない。統合で稼ぐ力が増えたのは事実で、岩盤収益が積み上がる芽もある。一方で、利益の多くは利払いに消え、棚卸資産の評価損の余地も大きい。
そこで中立は、営業利益が緩やかに増えても、純利益は20億円台にとどまる姿に置いた。確率は、悲観側に3割台後半を寄せた。楽観は、金利が落ち着き、岩盤収益が固定費を超える展開で、1割に満たない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/05 期)
確率で加重した株価時価総額 619 円232 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 174 円65 億円)。 今の値に割り戻すと 375 円140 億円、今との差 +12.5%、 期待の年率 +9.1%(資本コスト 9.0%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,373 円515 億円 | 293 円110 億円 | +400.3% | +17.5% | 133 円50 億円 |
| やや楽観 | 20% | 979 円367 億円 | 240 円90 億円 | +265.9% | +13.9% | 244 円91 億円 |
| 中立 | 34% | 686 円257 億円 | 200 円75 億円 | +166.0% | +10.3% | 301 円113 億円 |
| やや悲観 | 24% | 240 円90 億円 | 120 円45 億円 | +8.1% | +0.8% | 86 円32 億円 |
| 悲観 | 14% | 163 円61 億円 | 40 円15 億円 | −39.0% | −4.8% | 28 円11 億円 |
| 加重平均 | 100% | 619 円232 億円 | 174 円65 億円 | +138.1% | +9.1% | 793 円297 億円 |
今の株価時価総額 333 円125 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 8% 金利が落ち着き、岩盤収益が固定費を超えて回り出す 利益 41 億円 · PER 12.2 倍 · 株価時価総額 1,373 円515 億円
金利は3%で落ち着き、機関投資家の買いが続く。用地の仕入れを毎年積み増し、販売は今より15%増える。価格は物価並みに上がる。都心の用地は高いが、自社施工が建築費を抑えて利幅を守る。
賃貸と管理の戸数は7,000戸まで増え、蓄電所も稼働する。岩盤収益が固定費の6割を超え、物件を売れない年も耐えられる体質になる。
総資産は1,000億円に届くが、自己資本比率も30%台に戻る。借入は600億円に増えるものの、利益の伸びが利払いを上回る。クミカ由来の埼玉の事業も、都心の仕入れに資源を寄せて利幅が改善する。
- 総合不動産(マンション開発・分譲、1棟売り、土地売却):数量 800(販売戸数相当(戸)=売上を1戸あたり0.5億円で割った推定)× 価格 0.67(1戸あたり売上(億円、名目))→ 売上 536 億円・営業利益 91 億円。戸数+16%・価格1.34倍
- 不動産管理(賃貸管理・建物管理・自社賃貸・利回りくん):数量 7,000(賃貸管理戸数(戸))× 価格 0.01(1戸あたり売上(億円、名目。賃料・管理料・手数料の合計÷管理戸数))→ 売上 65 億円・営業利益 22 億円。管理戸数+70%・価格1.34倍
- 建設・再生可能エネルギー・その他:数量 120(案件数換算(件)=売上を1件あたり0.5億円で割った推定)× 価格 0.67(1件あたり売上(億円、名目))→ 売上 80 億円・営業利益 6 億円。蓄電所・工事が拡大
倍率:事業の純利益 41 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.9% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 10.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.2 倍。全体の PER 12.24 倍、時価総額 497 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:金利が落ち着き、都心の物件需要が続き、岩盤収益が育つ姿。統合の効果が最大に出る場合に限り、1割弱とした。
やや楽観 20% 販売は伸び、賃料と管理が積み上がる 利益 30 億円 · PER 11.6 倍 · 株価時価総額 979 円367 億円
販売戸数は今より9%増える。価格は物価に少し遅れ、10年で1.29倍になる。1棟売りの出口は保たれ、利回りくんが物件の回転を助ける。建築費の上昇は価格に転嫁できるが、利幅は少し薄くなる。
賃貸と管理は6,200戸に増え、岩盤収益は固定費の約5割を賄う。蓄電所の稼働で再エネも黒字になる。
借入は550億円まで増えるが、利益で吸収できる。純利益は30億円弱で、自己資本は300億円近くに乗る。中期目標の自己資本比率30%には届かないが、方向は合っている。会社が掲げるROE15%の目標も、半分は達成できる。
- 総合不動産(マンション開発・分譲、1棟売り、土地売却):数量 750(販売戸数相当(戸)=売上を1戸あたり0.5億円で割った推定)× 価格 0.65(1戸あたり売上(億円、名目))→ 売上 484 億円・営業利益 77 億円。戸数+9%・価格1.29倍
- 不動産管理(賃貸管理・建物管理・自社賃貸・利回りくん):数量 6,200(賃貸管理戸数(戸))× 価格 0.01(1戸あたり売上(億円、名目。賃料・管理料・手数料の合計÷管理戸数))→ 売上 57 億円・営業利益 19 億円。管理戸数+50%・価格1.34倍
- 建設・再生可能エネルギー・その他:数量 90.0(案件数換算(件)=売上を1件あたり0.5億円で割った推定)× 価格 0.67(1件あたり売上(億円、名目))→ 売上 60 億円・営業利益 4 億円。再エネが黒字化
倍率:事業の純利益 30 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.7% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 9.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.6 倍。全体の PER 11.64 倍、時価総額 347 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:統合の効果が出て、販売が緩やかに増える姿。金利は想定の範囲にとどまる。強気の根拠が半分当たる場合として2割に置いた。
中立 34% 戸数は今並み、価格は物価に遅れ、利益は緩やかに増える 利益 21 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 686 円257 億円
販売戸数は今並みで推移する。建築費の上昇で新規の企画は採算が薄くなり、売値は利回りの上昇に押されて物価に遅れる。10年で価格は1.25倍だ。
賃貸と管理は5,500戸に増え、岩盤収益は固定費の5割弱を賄う。ただ、本社費用も物価で上がり、賃料の積み上げと相殺される。
借入は520億円で、利払いは年18億円に増える。営業利益は51億円と今の1.6倍になるが、純利益は21億円にとどまる。利益の増えた分の多くは、借入の利払いと物価で膨らむ本社費用に吸われる。ROEは7〜8%台で、資本コストにわずかに届かない。
- 総合不動産(マンション開発・分譲、1棟売り、土地売却):数量 700(販売戸数相当(戸)=売上を1戸あたり0.5億円で割った推定)× 価格 0.63(1戸あたり売上(億円、名目))→ 売上 438 億円・営業利益 66 億円。戸数+2%・価格1.25倍(利回り上昇で物価に劣後)
- 不動産管理(賃貸管理・建物管理・自社賃貸・利回りくん):数量 5,500(賃貸管理戸数(戸))× 価格 0.01(1戸あたり売上(億円、名目。賃料・管理料・手数料の合計÷管理戸数))→ 売上 51 億円・営業利益 16 億円。管理戸数+33%・価格1.34倍
- 建設・再生可能エネルギー・その他:数量 60.0(案件数換算(件)=売上を1件あたり0.5億円で割った推定)× 価格 0.67(1件あたり売上(億円、名目))→ 売上 40 億円・営業利益 2 億円。再エネ・工事は小さく黒字
倍率:事業の純利益 21 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.5% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 233 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:戸数は今並み、価格は物価に遅れ、岩盤収益が少しずつ育つ姿。2つの見方の落としどころで、最も厚い3割台に置いた。
やや悲観 24% 金利が上がり、1棟売りの出口が細る 利益 4 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 240 円90 億円
10年国債は3%超で落ち着かず、ファンドの買いが細る。1棟売りの値引きが増え、販売戸数は今より15%減る。価格は10年で1.16倍にとどまる。
粗利率は12%に下がる。クミカ由来の埼玉の事業も、人口の伸びが鈍り苦戦する。賃貸と管理は4,800戸まで増えるが、本社費用が物価で上がり、営業利益は19億円に縮む。
借入を380億円へ減らして耐えるが、純利益は4億円にとどまる。自己資本は評価損も出て、180億円を割る。配当は累進方針を守るのがやっとで、自己株式の買いは止まる。統合で期待された相乗効果は、利幅の縮小に埋もれてしまう。
- 総合不動産(マンション開発・分譲、1棟売り、土地売却):数量 580(販売戸数相当(戸)=売上を1戸あたり0.5億円で割った推定)× 価格 0.58(1戸あたり売上(億円、名目))→ 売上 336 億円・営業利益 40 億円。戸数-16%・価格1.16倍(値引き販売)
- 不動産管理(賃貸管理・建物管理・自社賃貸・利回りくん):数量 4,800(賃貸管理戸数(戸))× 価格 0.01(1戸あたり売上(億円、名目。賃料・管理料・手数料の合計÷管理戸数))→ 売上 41 億円・営業利益 11 億円。管理戸数+16%・価格1.23倍
- 建設・再生可能エネルギー・その他:数量 40.0(案件数換算(件)=売上を1件あたり0.5億円で割った推定)× 価格 0.55(1件あたり売上(億円、名目))→ 売上 22 億円・営業利益 0 億円。再エネは収支均衡
倍率:稼ぐ力が薄く ROE は2%弱。ためた利益は額面未満の価値なので、今の自己資本180億円の半分に置いた。借金が重く、EV(時価総額+純有利子負債)÷営業利益を今の純有利子負債で見ると約25倍で、利益の倍率だけで割安とは言えない。
確率:金利上昇で1棟売りの出口が細り、価格が物価に届かない姿。都心の市況は崩れないが利幅が薄くなる。慎重な見方の本流として2割台に置いた。
悲観 14% 都心の市況が崩れ、在庫を値引きして売る 利益 −12 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 163 円61 億円
都心のマンション価格が下がり、1棟売りの買い手が消える。販売戸数は半分以下になり、在庫は値引きで売るしかない。評価損は約80億円出る。売るほど値が下がる悪循環が、銀行の融資姿勢も硬くする。
賃貸と管理は3,800戸に減らし、本社費用も絞る。それでも営業損益は赤字になり、金利の負担で純損失が続く。
借入を返すために優良物件も手放す。自己資本は100億円前後まで減り、増資か提携を迫られる局面も来る。岩盤収益の賃料と管理料だけが、事業の価値として残る。この筋書きでは、統合の成果を示す数字が見えなくなる。
- 総合不動産(マンション開発・分譲、1棟売り、土地売却):数量 340(販売戸数相当(戸)=売上を1戸あたり0.5億円で割った推定)× 価格 0.50(1戸あたり売上(億円、名目))→ 売上 170 億円・営業利益 3 億円。戸数-51%・価格1.0倍(値引き販売)
- 不動産管理(賃貸管理・建物管理・自社賃貸・利回りくん):数量 3,800(賃貸管理戸数(戸))× 価格 0.01(1戸あたり売上(億円、名目。賃料・管理料・手数料の合計÷管理戸数))→ 売上 29 億円・営業利益 6 億円。管理戸数-8%・価格1.09倍
- 建設・再生可能エネルギー・その他:数量 20.0(案件数換算(件)=売上を1件あたり0.5億円で割った推定)× 価格 0.50(1件あたり売上(億円、名目))→ 売上 10 億円・営業利益 −1 億円。縮小・撤退
倍率:赤字で稼ぐ力はほぼゼロ。残るのは在庫を値引きして売った現金と、賃貸不動産と、管理の事業価値だ。今の自己資本180億円の34%に置いた。
確率:金利上昇と市況の悪化が重なり、在庫を投げ売りして立て直す姿。借金が重い会社なので、10年で起きる確率を1割台半ばとした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
総合不動産(マンション開発・分譲、1棟売り、土地売却)
都心でコンパクトなマンションを企画し、ファンド・事業会社に1棟、個人に区分で売る。仕入れた土地の売却も含む。
| 数量販売戸数相当(戸)=売上を1戸あたり0.5億円で割った推定 | 価格1戸あたり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 688 | 0.50 | 344 | 56 |
| 10 年後 中立 | 700 | 0.63 | 438 | 66 |
取り方:セグメント売上344億円、セグメント利益56億円(開示)。新築は12棟377戸だが、土地売却や1棟売りを含むため戸数に直せない。1戸あたり0.5億円で割った推定の戸数で置いた(推定)。粗利率はプロジェクト平均で約18%。
不動産管理(賃貸管理・建物管理・自社賃貸・利回りくん)
売った物件の賃貸管理と建物管理、自社保有の賃貸、クラウドファンディングの運営。景気に左右されにくい収益。
| 数量賃貸管理戸数(戸) | 価格1戸あたり売上(億円、名目。賃料・管理料・手数料の合計÷管理戸数) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 4,121 | 0.01 | 28 | 9 |
| 10 年後 中立 | 5,500 | 0.01 | 51 | 16 |
取り方:セグメント売上28.4億円、利益8.9億円(開示)。賃貸管理4,121戸(開示)で割った。自社保有の賃料と建物管理の収入も同じ戸数で割る簡略化をした(推定)。
建設・再生可能エネルギー・その他
外部工事の請負、太陽光発電と蓄電所、小さな周辺事業。2026年5月期は建設の赤字が目立つ。
| 数量案件数換算(件)=売上を1件あたり0.5億円で割った推定 | 価格1件あたり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 42.6 | 0.50 | 21 | −6 |
| 10 年後 中立 | 60.0 | 0.67 | 40 | 2 |
取り方:建設2.4億円、再エネ17.1億円、その他1.8億円の合計21.3億円(開示)。利益は建設-6.0億円、再エネ0.4億円、その他0.1億円。案件の大きさは開示が無く、1件0.5億円で割った推定。
リスクと懸念
金利上昇と借り換え
有利子負債は450億円あり、営業利益は支払利息の3.4倍しかない。借り換えが3.5%前後になれば、利払いは今より年9億円増える。会社は金利の固定化を進めているが、新しい借入はすべて新しい金利だ。
棚卸資産の評価損
棚卸資産は364億円で、自己資本の1.9倍に当たる。都心の物件価格が下がれば、評価損と資金繰りが同時に来る。用地を仕入れてから竣工まで平均1年8か月かかり、その間の値下がりは避けにくい。
利益が物件の引き渡し時期で振れる
売上は竣工の月に集中する。ホルムズ海峡の情勢で期末の竣工が数か月ずれるだけで、1期の利益が大きく動く。2026年5月期の営業利益には土地売却の益も含まれ、繰り返せるとは限らない。
統合の実行と本社費用
本社費用は年27億円と重く、岩盤収益の19億円では賄えない。2社の統合で重複する費用を減らせるか、建設事業の赤字(6億円)を止められるかが問われる。株式交換による追加の統合も構想にあり、実行を誤れば価値を落とす。
クラウドファンディングの規制と信頼
利回りくんは、会社が劣後出資で損を先に被る仕組みだ。物件の値下がりが続けば、会社の負担が増える。投資家保護の規制が強まれば、事業の拡大が遅れ、会員の信頼も揺らぐ。
建築費と労務費の上昇
建築費の上昇は新規企画の採算を削る。売値を上げられなければ、粗利率18%は保てない。自社施工を広げる戦略だが、建設事業はまだ赤字で、人手不足の影響も受ける。
今後の分かれ目
- 10年国債の利回りが4%を超えて上がる
- 投資家の期待利回りが上がり、1棟売りの値引きが増える。借入の利払いも膨らみ、やや悲観から悲観の筋書きに近づく。
- 岩盤収益が固定費の6割を超える
- 物件を売れない年も耐えられる体質になり、利益の質が上がる。倍率は上の筋書きに近づく。
- 2027年5月期の営業利益が37億円を下回る
- 竣工の遅れではなく、仕入れや利幅の問題である可能性が高まる。中立の置き方を下げる必要が出る。
- 自己資本比率が30%に回復し、借入が抑えられる
- 借金の重さが和らぎ、k の上乗せが小さくなる。やや楽観の筋書きの重みが増す。
- 株式交換で新たな会社を取り込む
- 規模は増えるが、のれんと借入が増える。取り込む相手の利益の質を見極める必要がある。
見ておくもの
- 営業利益と経常利益の差(利払い)、純有利子負債の推移
- 棚卸資産の残高と、竣工・引き渡しの予定との差
- 岩盤収益(賃料・管理)の年額と、固定費に対する割合
- 10年国債の利回りと、都心の1棟売りの買い手(BlackRock など)の動き
- 自己資本比率(30%の目標)と配当・自己株式の方針
- 建設事業の赤字の縮小と、蓄電所の稼働
倍率と資本コストの決め方
倍率は、事業の ROE(統合後の純利益と自己資本から約7〜12%)、k 9%、g 4% の式から出した正当化 PER を土台にした。ROE が k 以下の中立と、やや悲観の PBR 0.5は、今の株価や同業の倍率を見ずに、稼ぐ力と自己資本から置いた。純資産の7割という足元の値段は比べただけで、倍率の根拠にしていない。10年の新リース会計基準の影響は、家賃を営業費用に入れた今の形でそろえて置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10→12.24 倍・やや楽観 PER 9.5→11.64 倍・中立 PER 9→11.11 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%に quality+2.0%を足して9.5%。統合の実行などの個別の懸念は k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.50% → 9.00%。