結論
フジ住宅は、関西で分譲住宅、中古住宅の再生販売、賃貸アパートの建築、賃貸の管理とサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の運営を手がける住宅会社だ。筆者の結論は「やや割安」。いちばんの理由は、毎年お金が入る賃貸・管理が、売上の4分の1で、事業別利益の4割強を稼いでいることにある。
2026年3月期の売上高は1,383億円、営業利益は83億円で、ともに過去最高圏に乗った。だが純利益は48億円で、ほぼ横ばいだ。純有利子負債が931億円と時価総額の3.7倍あり、金利が上がるほど利払いが利益を削るからだ。10年国債3%の世界では、借り換えのたびに負担が増える。
筆者は、営業利益は10年で4割ほど増えるが、増えた分は利払いに吸われ、純利益は50億円前後で動かないと見る。自己資本は積み上がっても、稼ぐ力は資本コストの9.0%に届かない。それでも価値が今の時価総額を上回るのは、賃貸・管理という安定した柱があり、還元も続くからだ。
一方で、分譲・流通・土地活用の3事業は景気で振れ、借金が重いぶん、悪い年の傷が深い。関西への集中、財務制限条項、会長を巡る判決の余波も残る。これらは資本コストに足さず、悪い筋書きの確率で表した。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で見ると、この会社の本質は「毎年入る賃貸・管理の収益」と「景気で振れる売り物の事業」の抱き合わせだ。前者は長く持ちたい種類の利益だが、後者と重い借金が、全体の質を下げている。
持ち続けて嬉しい利益、つまりオーナー利益は、見た目の純利益より薄い。中古物件やサ高住を増やし続ける投資が要り、稼いだお金の多くが再投資に消える。ROEが資本コストを下回るなら、ためた利益は額面より低くしか評価できない。
経営の資本配分は、堅実だが冒険はしない。減配せず、借入で資産を積み増す姿勢は、金利が低い間に有利に働いた。金利が上がる局面では、その向きが逆になる。
安全域は薄い。純有利子負債が時価総額の3.7倍あり、悪い年は自己資本が削られる。一方で、賃貸・管理の利益が土台になるので、悲観でも事業が消えることはない。確信度は、将来の利益がある程度読める賃貸・管理で高く、分譲・流通・土地活用で低い。筆者は、価値を計算より少し控えめに見ておきたい。
何で稼ぐ会社か
収益の柱は4つある。
分譲住宅は、戸建(自由設計住宅を含む)とマンションを企画して売る事業だ。売上は367億円。大型マンションの引渡しの有無で年ごとの振れが大きい。住宅流通は、中古の戸建・マンションを買って再生し売る事業と仲介で、売上は351億円。前期は仕入れを強め、3割増えた。買った中古を貸し出す中古住宅アセット事業も育て、中計では賃料収入を13億円まで増やす計画だ。
土地有効活用は、地主に賃貸アパートを建てる請負と、建てた一棟を投資家に売る事業だ。建設子会社の売上を含めて約348億円。中計では3年で一棟売約420棟、請負約180棟を引き渡す。売った一棟の管理を受けることで、次の賃貸・管理の入り口にもなる。
賃貸及び管理が利益の柱だ。子会社のフジ・アメニティサービスが約3.5万戸を管理し、一部はサブリース(借り上げて貸す形)で、自社保有の賃貸やサ高住も運営する。売上339億円で、セグメント利益は45億円。事業別利益の合計の4割強を、この事業が出している。
全体を貫く発想は、売って稼ぐ「フロー型」と、持ち続けて稼ぐ「ストック型」を組み合わせることだ。フローで現金と管理の入り口を作り、ストックで毎年の収益を厚くする。ただし、中古物件や自社保有の賃貸を増やすほど借金も増える。2026年3月期の設備投資は124億円で、うち中古住宅アセットが102億円だった。
優良さと弱いところ
堀は賃貸・管理にある。アパートを建て、一棟を売り、管理を受ける。この流れでオーナーとの接点が増え、管理戸数が積み上がる。中計は管理戸数の10年倍増と稼働率97%前後を掲げる。ただし大東建託や大和ハウス工業、積水ハウスのような全国大手と戦うため、堀は強くない。関西の地場の顔の広さが、せいぜいの武器だ。
サ高住は関西だけの運営だが、証券会社のレポートによれば運営棟数は全国で上位とされる。介護と住まいを組み合わせるため、一度入居すると動きにくい。需要は高齢化で底堅い。
一方、分譲と流通は優良とは言いにくい。分譲の売値は市場が決め、土地の仕入れは入札で競る。セグメント利益率は分譲4%、流通3%台に過ぎない。
資本の効率も物足りない。ROEは過去10年の中央値が8.7%、直近は8.2%で、資本コスト8.25%に届かない。自己資本比率は30%で、純有利子負債は自己資本の1.6倍だ。営業利益は支払利息の5倍にとどまる。借入には純資産や経常損益に関する財務制限条項がついており、悪化すれば資金調達を縛られうる。
経営は創業家色の濃い体制で、社長は宮脇宣綱氏。累進配当(減配しない方針)を掲げ、15期連続で減配していない。堅実な半面、資本を倍にして伸ばす野心は見えない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
住宅分譲の世界は縮む。分譲一戸建ての着工は2025年に全国で11.6万戸と、人口減少と資材高で細っている。1戸の値段は上がるが、買える人は減る構図だ。筆者は、関西の分譲戸建も10年でおよそ2割は減ると見る。
競争相手は、全国で郊外型の量産を進める飯田グループホールディングスや、関西でも攻勢をかけるオープンハウスグループ、地場の工務店だ。値段の決定力は弱く、土地の仕入れ力と建築費の圧縮力が勝負を決める。中古再生ではカチタスなどが先行する。フジ住宅は、分譲では関西の中堅にとどまる。
一方、賃貸は動きが違う。人口が減っても世帯数の減りは遅く、新築の高騰が中古・賃貸の需要を支える。建築費は2021年以降の2〜4割の上昇が定着し、今後も年2〜3%ずつ上がると見る。新築アパートは割高になり、投資家の利回りは下がる。ここが土地活用の逆風だ。
フジ住宅の管理約3.5万戸は、近畿の民営借家(筆者の推定で200万戸超)の1〜2%にあたる。市場が大きいのでシェアは伸びしろだが、競う全国大手の旗は強い。うまくいけば管理戸数は6万戸台に乗り、賃貸・管理の利益が100億円を超える。それが楽観の姿だ。
金利の上昇は、住宅ローンを重くして分譲を冷やし、アパート投資の利回りも圧迫する。業界全体の分かれ目は、住宅ローン金利と、東京や大阪への人口集中がどこまで続くかだ。
資本政策と M&A
還元の方針は、2024年3月期に導入した累進配当だ。減配せず、維持か増配を続ける。2026年3月期の配当性向は24%と低めだ。自社株買いは株価や財務を見て機動的に行い、前期は約5億円だった。配当と自社株買いを合わせた還元性向は3割台半ばになる。
借金を増やして資産を積む会社なので、還元を増やす余地は大きくない。筆者は、利益が伸びない中では還元も横ばいに近いと見る。2026年3月に株主優待を拡充し、3,000株以上を3年以上持つ株主向けの長期優待も新設した。費用の開示はないが、年1億円には届かないと推定している。10年の還元に1億円弱を毎年足した。
M&Aは目立たない。保有する他社株式も、主に取引金融機関の株で小さい。TOBや再編の話は確認できない。過去に希薄化を伴う増資をした期(2007年3月期、2011年3月期)があり、今後も大きな投資が重なれば、資金の出し手が株主になる可能性は残る。
最大の論点は借金の置き方だ。中古住宅アセットや自社保有のサ高住に、年100億円規模の投資をしている。投資の稼ぎが借入コスト3.5%を十分に上回るかで、資本配分の評価が決まる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
賃貸・管理は、人口が減る中でも、新築の高騰で中古や賃貸に需要が流れる追い風を受ける。中計は管理戸数の10年倍増と稼働率97%前後を掲げ、賃貸及び管理の売上は339億円から2028年3月期に360億円、セグメント利益は50億円超を目指す。前期は売上が9%増、利益が13%増と、計画に沿って伸びている。サ高住は関西で運営棟数が上位で、高齢化が進む10年は需要が増える一方だ。
分譲と流通も流れが良い。前期は住宅流通が売上で3割、利益で4割伸びた。中古の仕入れが利き、大阪の再開発や万博後の需要も追い風になる。受注残は678億円と期末で過去最高になっており、今期の落ち込みは大型マンションの引渡しの反動にすぎない。
土地活用は、地主の相続対策のアパート需要が根強い。建てて売る流れで、管理戸数の入り口を増やせる。
株主還元の面でも、15期連続で減配せず、優待も拡充した。営業利益は10年で2倍近くに増え、純利益も利払いを吸収して100億円近くに届く。この姿なら、資本コストを上回る利益を生む会社として評価されるはずだ。時価総額は今の4倍にもなる。
慎重な見方
純有利子負債は931億円と時価総額の3.7倍で、金利が上がるほど利益は消える。10年国債が3%になれば借り換えのたびに利払いが増え、営業利益が4割増えても純利益はほとんど増えない。ROEは資本コスト8.25%に届かず、ためた利益は額面より低い価値しか持たない。
売り物の事業は、金利と景気に弱い。分譲と流通の利益率は3〜4%台しかなく、仕入れた土地や中古物件の値が下がれば、一度の評価損で1年分の利益が消える。関西の人口は減り、住宅ローン金利は上がる。需要が細る局面で、在庫を抱える会社が最も傷む。
土地活用は、建築費の高騰でアパートの利回りが下がり、投資家が離れる危険がある。サブリースは、空室が増えると家賃保証の約束が重荷になる。管理戸数を倍にする計画も、新築アパートが売れなければ実現しにくい。
ガバナンスにも心配が残る。従業員向けの文書を巡る裁判で、会社と会長に賠償が命じられ、高裁でも会社が敗れた。採用や取引、ESG投資の資金に静かに効く恐れがある。借入には財務制限条項があり、悪化すれば資金繰りが縛られる。悪い年の傷が深い会社だ。
どちらに重みを置いたか
賃貸・管理の安定性と、前期の勢いを裏づける受注残については、強気の見方に分がある。金利が利払いを食う点と、売り物の事業が景気で振れる点では、慎重な見方が正しい。強気の見方が描く管理戸数の倍増と営業利益の倍増は、条件がそろう必要があるので、楽観の確率は7%にとどめた。悪い側は、やや悲観25%、悲観12%と厚めに置き、借金の重さを確率で表した。純利益が伸びない前提でも、賃貸・管理の土台と還元で、10年の価値は今の時価総額をやや上回る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,587 円568 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 438 円157 億円)。 今の値に割り戻すと 1,013 円362 億円、今との差 +45.8%、 期待の年率 +11.3%(資本コスト 8.3%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 3,425 円1,225 億円 | 733 円262 億円 | +498.2% | +19.6% | 291 円104 億円 |
| やや楽観 | 21% | 2,328 円833 億円 | 593 円212 億円 | +320.2% | +15.4% | 613 円219 億円 |
| 中立 | 35% | 1,696 円606 億円 | 517 円185 億円 | +218.4% | +12.3% | 775 円277 億円 |
| やや悲観 | 25% | 824 円295 億円 | 280 円100 億円 | +58.8% | +4.7% | 276 円99 億円 |
| 悲観 | 12% | 489 円175 億円 | 98 円35 億円 | −15.6% | −1.7% | 70 円25 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,587 円568 億円 | 438 円157 億円 | +191.4% | +11.3% | 2,025 円724 億円 |
今の株価時価総額 695 円249 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 7% 関西で賃貸・管理が倍増し、利払いを利益の伸びが上回る 利益 97 億円 · PER 12.6 倍 · 株価時価総額 3,425 円1,225 億円
関西への人口と企業の集中が続き、新築の高騰で中古と賃貸に需要が流れる。管理戸数は6万戸台まで増え、稼働率は97%前後を保つ。サ高住は高齢化とともに運営棟数を増やし、賃貸及び管理のセグメント利益は100億円を超える。住宅流通は中古の仕入れが利き、件数を3割以上増やす。分譲は大型マンションを定期的に出し、戸数を保つ。土地活用は相続対策のアパート需要を取り込み、一棟売りから管理受託へつなげる。借入は増えるが、稼ぐ力の伸びが利払いの増加を上回り、純利益は100億円近くに乗る。創業家の体制は安定し、還元も増える。会社は資本コストを上回る利益を生む、関西の住まいの総合企業になる。
- 分譲住宅:数量 760(年間引渡戸数(戸、推定))× 価格 0.68(1戸当たり平均価格(億円))→ 売上 514 億円・営業利益 33 億円。戸数±0%・単価+40%
- 住宅流通:数量 1,755(年間販売件数(件、推定))× 価格 0.38(1件当たり平均価格(億円))→ 売上 664 億円・営業利益 30 億円。件数+35%・単価+40%
- 土地有効活用(建設関連・その他を含む):数量 226(年間引渡棟数(棟、請負と一棟売の合計の推定))× 価格 2.27(1棟当たり平均価格(億円))→ 売上 511 億円・営業利益 54 億円。棟数+5%・単価+40%
- 賃貸及び管理:数量 63,000(管理戸数(戸))× 価格 0.01(1戸当たり年間収入(億円))→ 売上 817 億円・営業利益 112 億円。管理戸数+80%・賃料+34%
倍率:事業の純利益 97 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.3% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 8.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.6 倍。全体の PER 12.59 倍、時価総額 1,225 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:管理戸数の倍増と売り物の事業の好調が同時に続く必要があり、条件が重いので確率は低く置く。
やや楽観 21% 賃貸・管理が計画どおり伸び、売り物の事業も踏みとどまる 利益 69 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 2,328 円833 億円
中計の計画線上で、賃貸・管理が着実に伸びる。管理戸数は5万戸台に乗り、セグメント利益は80億円台になる。住宅流通は中古の仕入れが奏功して件数を2割伸ばし、アセット事業の賃料も積み上がる。分譲は住宅ローン金利の上昇で戸数が1割弱減るが、自由設計住宅が補う。土地活用はやや減るが、一棟売りの管理受託が賃貸・管理の入り口になる。借入が増えるぶん利払いも増え、営業利益の伸びの大半を吸うが、純利益は70億円近くまで増える。優待と累進配当は維持され、自社株買いも続く。サ高住や中古アセットへの投資は続くが、投資の稼ぎが借入のコストをわずかに上回る程度で、資本効率は大きくは上がらない。会社は、安定した賃貸・管理を軸にしながら、売り物の事業を景気に合わせて調整する、堅実な関西の住宅会社として続く。
- 分譲住宅:数量 699(年間引渡戸数(戸、推定))× 価格 0.66(1戸当たり平均価格(億円))→ 売上 463 億円・営業利益 27 億円。戸数-8%・単価+37%
- 住宅流通:数量 1,560(年間販売件数(件、推定))× 価格 0.37(1件当たり平均価格(億円))→ 売上 577 億円・営業利益 23 億円。件数+20%・単価+37%
- 土地有効活用(建設関連・その他を含む):数量 211(年間引渡棟数(棟、請負と一棟売の合計の推定))× 価格 2.22(1棟当たり平均価格(億円))→ 売上 467 億円・営業利益 46 億円。棟数-2%・単価+37%
- 賃貸及び管理:数量 50,750(管理戸数(戸))× 価格 0.01(1戸当たり年間収入(億円))→ 売上 648 億円・営業利益 85 億円。管理戸数+45%・賃料+32%
倍率:事業の純利益 69 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.2% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 833 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中計の延長線上で、賃貸・管理が計画どおり伸びる姿。前期の実績が追い風になるので相応に置く。
中立 35% 賃貸・管理は伸びるが、増えた営業利益を利払いが吸う 利益 50 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,696 円606 億円
賃貸・管理は管理戸数が25%ほど増え、賃料は物価より遅れて上がる。サ高住と中古アセットの減価償却は新しい分だけ増え、営業利益の伸びを一部抑える。分譲は関西の人口減と金利上昇で戸数が2割弱減り、単価は物価並みに上がる。住宅流通は件数が1割増える。土地活用は建築費の高騰でアパートの利回りが下がり、棟数が1割減る。営業利益は119億円と今の4割増だが、借入が増えて金利も上がるため、利払いは45億円になる。純利益は50億円前後と今とほぼ変わらず、ROEは6%に届かない。累進配当は続くが、増配は小さい。優待は維持される。管理戸数の増加は新築アパートの供給に頼る部分が大きく、計画の倍増には届かない。中古住宅アセットの賃料は増えるが、投資額が重く、借入の増加につながる。創業家中心の体制は変わらず、会社は、安定はしているが伸びない、関西の中堅住宅会社として落ち着く。
- 分譲住宅:数量 623(年間引渡戸数(戸、推定))× 価格 0.65(1戸当たり平均価格(億円))→ 売上 404 億円・営業利益 20 億円。戸数-18%・単価+34%
- 住宅流通:数量 1,430(年間販売件数(件、推定))× 価格 0.36(1件当たり平均価格(億円))→ 売上 518 億円・営業利益 21 億円。件数+10%・単価+34%
- 土地有効活用(建設関連・その他を含む):数量 194(年間引渡棟数(棟、請負と一棟売の合計の推定))× 価格 2.17(1棟当たり平均価格(億円))→ 売上 420 億円・営業利益 38 億円。棟数-10%・単価+34%
- 賃貸及び管理:数量 43,995(管理戸数(戸))× 価格 0.01(1戸当たり年間収入(億円))→ 売上 553 億円・営業利益 70 億円。管理戸数+26%・賃料+30%(賃料は物価より遅れる)
倍率:事業の純利益 50 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.6% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 606 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:賃貸・管理は伸びるが、金利と人口減で他の3事業は伸びない姿が最もありうるので中心に置く。
やや悲観 25% 金利上昇と人口減で売り物の事業が縮み、利払いが重く残る 利益 26 億円 · PER 7.8 倍 · 株価時価総額 824 円295 億円
住宅ローン金利が上がり、関西の分譲戸建と中古の需要が細る。分譲の戸数は3割、土地活用の棟数は4分の1減り、仕入れ競争で利益率も下がる。賃貸・管理は新築の減少で管理戸数の伸びが鈍り、サブリースの空室が増えて利益率も落ちる。営業利益は73億円まで下がるが、借入は1,100億円までしか圧縮できず、利払いは35億円残る。純利益は26億円で、配当性向が上がり、累進配当は維持できても増配はなくなる。優待は縮小する。財務制限条項への抵触は避けるが、新規投資は止まる。サ高住や中古アセットの積み増しは見送られ、賃貸・管理の利益だけが全体を支える。会社は、財務の安全を優先し、借入の圧縮に力を入れる、守りの住宅会社になる。創業家中心の体制は続くが、採用や取引で評判の影響も出る。
- 分譲住宅:数量 547(年間引渡戸数(戸、推定))× 価格 0.60(1戸当たり平均価格(億円))→ 売上 331 億円・営業利益 13 億円。戸数-30%・単価+25%
- 住宅流通:数量 1,196(年間販売件数(件、推定))× 価格 0.34(1件当たり平均価格(億円))→ 売上 404 億円・営業利益 12 億円。件数-10%・単価+25%
- 土地有効活用(建設関連・その他を含む):数量 168(年間引渡棟数(棟、請負と一棟売の合計の推定))× 価格 2.02(1棟当たり平均価格(億円))→ 売上 339 億円・営業利益 25 億円。棟数-25%・単価+25%
- 賃貸及び管理:数量 39,200(管理戸数(戸))× 価格 0.01(1戸当たり年間収入(億円))→ 売上 463 億円・営業利益 53 億円。管理戸数+10%・賃料+22%(空室で利益率低下)
倍率:事業の ROE 3.1% は資本コスト 8.25% を大きく下回る。稼ぐ力(純利益÷k)で測り、PER は 1÷k=11.1 倍の 7 割、7.8 倍。
確率:借金が重く、売り物の事業が3〜4割縮む姿は現実味があるので、やや厚めに置く。
悲観 12% 在庫評価損と空室が重なり、財務制限条項に触れる 利益 −31 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 489 円175 億円
金利上昇と人口減で住宅の売れ行きが半分に落ち、在庫を急いで値下げして売る。分譲は戸数が半減して赤字、住宅流通は中古の評価損で赤字、土地活用は投資家が離れて棟数が半分以下になる。賃貸・管理は空室が増え、サブリースの家賃保証が重荷になり、利益率が落ちる。営業利益はほぼ0になり、利払い34億円で赤字が続く。財務制限条項に触れ、金融機関から借入の条件を締められ、配当は大きく減り、優待もなくなる。会社は資産を売って借入を返すことに専念する。賃貸・管理の事業そのものは残り、サ高住や管理受託の一部は売却や統合の対象になる。株主には、配当も優待もほとんど戻らない。それでも会社は破綻せず、小さくなって立て直しに入る。
- 分譲住宅:数量 365(年間引渡戸数(戸、推定))× 価格 0.49(1戸当たり平均価格(億円))→ 売上 180 億円・営業利益 0 億円。戸数-52%・単価+2%(赤字)
- 住宅流通:数量 845(年間販売件数(件、推定))× 価格 0.28(1件当たり平均価格(億円))→ 売上 240 億円・営業利益 −2 億円。件数-35%・単価+5%(評価損)
- 土地有効活用(建設関連・その他を含む):数量 96.8(年間引渡棟数(棟、請負と一棟売の合計の推定))× 価格 1.75(1棟当たり平均価格(億円))→ 売上 169 億円・営業利益 3 億円。棟数-55%・単価+8%
- 賃貸及び管理:数量 32,200(管理戸数(戸))× 価格 0.01(1戸当たり年間収入(億円))→ 売上 337 億円・営業利益 28 億円。管理戸数-8%・賃料+8%(空室と保証の重み)
倍率:赤字で稼ぐ力は 0 とみる。株主に残るのは、販売用不動産や賃貸の土地建物を急いで売り、借入を返したあとの分。今の自己資本 583 億円に掛ける PBR 0.30 倍で約 175 億円(床の内訳は floor_assets_why)。EV でも見たが、営業利益がほぼ 0 で EV÷営業利益は 380 倍を超え、意味を持たない。
確率:借金の重さ、財務制限条項、在庫評価損が重なる最悪の姿。ガバナンスの心配もあり、悪い側を12%まで厚くする。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
分譲住宅
戸建(自由設計住宅を含む)とマンションを企画・建築して売る。大型マンションの引渡しで年ごとの振れが大きい。
| 数量年間引渡戸数(戸、推定) | 価格1戸当たり平均価格(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 760 | 0.48 | 367 | 16 |
| 10 年後 中立 | 623 | 0.65 | 404 | 20 |
取り方:売上367億円を、1戸平均0.48億円(戸建約0.4億円とマンション約0.55億円の混合の推定)で割った760戸。引渡戸数は開示がなく、中計の「3年で9プロジェクト約850〜900戸」は分譲プロジェクト分だけなので、自由設計住宅を加えた推定。セグメント利益16億円で利益率4.3%。単価は中立で物価並み(10年1.34倍)。
住宅流通
中古の戸建・マンションを買い取って再生し売る。仲介と、買った中古を賃貸に回す中古住宅アセット事業を含む。
| 数量年間販売件数(件、推定) | 価格1件当たり平均価格(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,300 | 0.27 | 351 | 12 |
| 10 年後 中立 | 1,430 | 0.36 | 518 | 21 |
取り方:売上351億円を、中古再生物件の平均0.27億円(2,700万円前後の推定)で割った1,300件。件数の開示はなく推定。前期は仕入れ強化で売上が3割増えた。セグメント利益12億円で利益率3.5%。単価は中立で物価並み(10年1.34倍)。
土地有効活用(建設関連・その他を含む)
地主に賃貸アパートを建てる請負と、建てた一棟を投資家に売る事業。建設子会社の売上も含める。
| 数量年間引渡棟数(棟、請負と一棟売の合計の推定) | 価格1棟当たり平均価格(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 215 | 1.62 | 348 | 33 |
| 10 年後 中立 | 194 | 2.17 | 420 | 38 |
取り方:土地有効活用320億円と建設関連・その他の売上28億円の合計348億円を、1棟平均1.6億円で割った215棟。中計は3年で一棟売約420棟・請負約180棟(年平均200棟)なので、おおむね整合する。セグメント利益は31億円に建設関連・その他の2億円を足した33億円で、利益率9.4%。単価は中立で物価並み(10年1.34倍)。
賃貸及び管理
賃貸住宅の管理受託とサブリース、自社保有の賃貸、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の運営。毎年入る収益で、利益の柱。
| 数量管理戸数(戸) | 価格1戸当たり年間収入(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 35,000 | 0.01 | 339 | 45 |
| 10 年後 中立 | 43,995 | 0.01 | 553 | 70 |
取り方:管理戸数は子会社フジ・アメニティサービスの約3.5万戸(開示)。売上339億円を3.5万戸で割ると1戸約97万円で、サブリースの総賃料、サ高住の運営収入、管理料の合計の姿。セグメント利益45億円で利益率13.1%。このうち減価償却は約20億円(推定)で、物価で増やさない。賃料は物価より遅れて上がるので、中立は10年1.30倍。
リスクと懸念
金利上昇と借金の重さ
純有利子負債は931億円で、時価総額の3.7倍、自己資本の1.6倍。10年国債3%の世界で借り換えが進めば、利払いは前期の約13億円から10年後に40億円台へ増える。営業利益が伸びても純利益が伸びない主因で、悪い年は自己資本が削られる。
財務制限条項
借入には純資産の維持、経常損益、有利子負債と売上高の比に関する条項がついている。業績が悪化すれば、条項に触れて借入条件の見直しや返済の前倒しを求められうる。借入の厚い会社の最大の急所で、悲観の筋書きの中心に置いた。
在庫の評価損
分譲用地、中古物件、中古住宅アセットなど、売るために持つ資産が多い。市況が悪化し、販売価格が下がれば、簿価を切り下げる損が出る。前期は設備投資の102億円が中古住宅アセットに向いており、積み上がった在庫の質が問われる。
関西への集中と人口減
事業は関西が中心で、人口の減りと高齢化が長く効く。分譲戸建の全国の着工は2025年に11.6万戸まで細った。管理戸数を倍にする計画は、新築アパートが売れ続けることが前提で、建築費の高騰と利回りの低下がその前提を揺らす。
サブリースの空室リスク
借り上げて貸す形は、空室が増えても家賃の支払いを約束している。管理戸数が積み上がるほど約束も積み上がり、稼働率97%前後の維持が崩れれば利益率が急に落ちる。賃料が物価ほど上がらない局面では、さらに重い。
会長を巡る判決とガバナンス
従業員向けに配った文書を巡り、大阪地裁堺支部は2020年7月、会社と代表取締役会長に計110万円の支払いを命じた。2021年11月の大阪高裁も会社側の敗訴を維持し、会社は上告したと報じられている。賠償額は小さいが、採用や取引、ESG投資の資金に静かに効く恐れがある。
建築費と人手の不足
施工は協力業者に任せる部分が大きく、人手不足や職人の確保難は工期の遅れや原価の上昇につながる。建築費は年2〜3%の上昇を想定しているが、売値に転嫁できなければ、分譲と土地活用の利益率が落ちる。
今後の分かれ目
- 2027年3月期通期の営業利益が80億円台後半まで戻る
- 前期の勢いが続いていることを示し、本質価値は中立から楽観寄りに近づく。
- 10年国債が3%を大きく超えて上がる
- 利払いの増加が営業利益の伸びを上回り、純利益が減る。やや悲観・悲観の確率を引き上げる必要が出る。
- 賃貸及び管理のセグメント利益が50億円を超え、管理戸数が4万戸台に乗る
- ストック型の柱が計画どおり育っていることを示し、価値の土台が厚くなる。
- 財務制限条項の対象借入が増え、純資産や経常損益の余裕が薄くなる
- 悲観の筋書きが近づき、本質価値は大きく下がる。
- 新築アパートの利回りが下がり、土地有効活用の棟数が計画を下回る
- 管理戸数の入り口が細り、賃貸・管理の伸びが鈍る。中立は慎重側に近づく。
- 従業員向け文書を巡る裁判が最終的に会社側の敗訴で確定し、取引や採用に影響が出る
- 会社の評判と資金調達の費用が重くなり、慎重な筋書きの確率を上げる。
見ておくもの
- 賃貸及び管理のセグメント利益と管理戸数、稼働率(会社開示)
- 純有利子負債と利払い、財務制限条項への余裕
- 分譲の受注残・引渡戸数と、中古住宅の在庫
- 住宅ローン金利と近畿の新築住宅着工
- 新築アパートの利回りと建築費
倍率と資本コストの決め方
今の株価や PER から筋書きを作らず、セグメントごとに戸数・件数・棟数(実質)× 価格(物価3%込みの名目)で積んだ。賃貸・管理の賃料は物価より遅れて上がるとみて10年1.30倍とし、減価償却は今ある分を増やさず新しく足す分だけ新価格にした。借入の利払いは借り換えで増やして純利益に入れた。倍率は資本コスト 8.25%(基本 7.5% + 循環0.25・値決め0.25・借金1.0)と弱い堀から出し、ROE が k を下回るため PER は 1÷k まで、中立は上限の 8.5 割に置いた。悲観は稼ぐ力と売れる資産の税後で測り、過去の PBR の底は使っていない。今の時価総額は最後に比べただけだ。新リース会計基準は2028年3月期から数字の形を変えるが、10年後の数字は今と同じ形(家賃を費用に入れた形)でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.5→12.59 倍・やや楽観 PER 10→12.12 倍・中立 PER 9.4→12.12 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k は基本 7.5% に quality +1.5%(循環+0.25・値決め+0.25・借金+1.0)を足した 9.0%。会長を巡る判決・関西への集中・財務制限条項は k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.00% → 8.25%。