結論
ヨシコンは、静岡県を地盤に土地を仕入れ、造成して売る開発会社だ。売上の3分の2が不動産開発で、宅地のほか工場・物流施設の用地を誘致する。筆者の結論は、今の値段が先の価値を下回りそうだという意味で、やや割安である。
2026年3月期の売上は291億円、営業利益は39億円、純利益は27億円だった。利益はこの数年で最も高い水準にある。自己資本は294億円で、時価総額は148億円。値段は自己資本の半分、利益の5.5倍にとどまる。
ただし安さには理由がある。総資産の4分の3が、売るために持つ土地(販売用不動産)の334億円だ。引渡しが期末に偏り、2027年3月期の第1四半期は赤字だった。景気が崩れれば、この土地の値打ちが先に削られる。
筆者が見るのは、稼ぐ力の天井だ。10年後の中立は、売上421億円、営業利益44億円、純利益29億円。物価で売値は上がるが、仕入れ値も人件費も同じ速さで上がり、利益は今とほぼ変わらない。ためた利益が土地に回る分、ROEは6%に下がる。それでも自己資本の半値は、悲観を厚く見ても支えがある。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、安いが、持ちたいと言い切れない会社だ。理由は、利益の質と資本の使い方にある。
良い点は、値段が自己資本の半分で、財務が堅いことだ。有利子負債は106億円、自己資本比率は67%。景気が崩れても、倒産の心配は小さい。配当も15年連続で増え、経営陣が株主を意識しているのは確かだ。
気になる点は、稼いだ利益の使い道だ。販売用不動産は334億円、総資産の76%を占める。土地は売れるまで利益を生まない。利益を土地に回すほど、ROEは下がる。10年後の中立のROEは6%で、資本コストを下回る。ためた利益は、額面より低い価値しか持たない。
安全域は、床にある。悲観で販売用不動産を3割引きで売り、負債を返しても、自己資本の半分近くが残る計算だ。ただ、この床まで下がる確率は1割ほどで、中立の価値は今の時価総額をやや上回る程度に見る。
筆者は、この会社を「地元の土地を安く握る会社」と見る。土地の仕入れ力は本物だが、その力が毎年の利益に十分変わっているかは、まだ確かめきれていない。
何で稼ぐ会社か
事業は四つある。2026年3月期の売上291億円のうち、不動産開発が195億円で67%、賃貸・管理等が64億円で22%、レジデンスが25億円で9%、マテリアルが7億円で2%だ。
中心の不動産開発は、静岡・愛知・神奈川で土地を仕入れ、造成し、区画で売る。宅地のほか、御殿場・掛川・浜松・沼津などで、工場や物流倉庫の用地を企業に誘致する。保有する用地は約24案件、合計で14万坪を超える。富士宮の3.3万坪と御殿場の4.3万坪が大きい。建物まで建てて売る案件もあり、掛川では6,100坪の物流倉庫が竣工した。
レジデンスは、静岡市・藤枝市・富士市などで分譲マンションを売る。ミサワホーム静岡やマリモと組む案件が多い。前期は一棟売りがあり80億円だったが、2026年3月期は25億円に落ちた。
賃貸・管理等は、賃貸ビルの運営、管理、設計、請負工事だ。2026年3月期は請負工事が伸び、売上が8割増えた。子会社に、東海道リートの運用会社(持分55%)がある。
マテリアルは、工場を持たないコンクリート製品の取り扱いで、小さい。
収益の形は、土地を仕入れて売る回転型だ。売上は引渡しの時に立つため、年や四半期で大きく振れる。最大の販売先は合同会社ピタゴラスで、売上の18.5%を占めた。
優良さと弱いところ
強みは、地元の土地情報と、企業誘致の実績にある。静岡は東名・新東名が走る物流の要所で、工場や倉庫に使える大きな土地は少ない。地主との付き合いが長い会社でなければ、まとまった土地は集まりにくい。ヨシコンは静岡市に本社を置き、この地の土地を長く扱ってきた。
東海道リートの存在も大きい。上場した2021年から、ヨシコンは主なスポンサーで、できあがった物流施設などを売る出口になる。資金を早く回せる点は、回転型の事業には大事な武器だ。
財務は堅い。自己資本比率は66.7%、有利子負債は106億円で、現金が24億円ある。配当は15期連続で増え、来期も増配を予定する。
弱みは三つある。第一に、利益の山と谷が大きい。過去12年の営業利益率は4%から17%の幅で振れた。第二に、売上が少数の大型案件に偏る。第三に、堀は強くない。土地は競り合いで仕入れ、売値は市場が決める。
資本の効率は並だ。ROEの10年の中央値は8.4%で、資本コストと同じくらいで推移している。稼いだ利益を土地に回すだけでは、株主の価値は増えない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
静岡の産業用地は、足りない状態が続いている。新東名の開通以降、工場や物流拠点の進出が増えた。県は物流の用地取得を補助する制度を持ち、企業誘致に熱心だ。御殿場・掛川・浜松は、首都圏と中京圏の間を結ぶ立地で、倉庫の需要が続く。
一方で、買い手は限られる。大型の用地を買う企業は年に数社で、1社の出入りで売上が数十億円動く。物流施設は2020年代前半に建設が相次いだが、建築費の上昇とトラックの規制強化で、新設は選別が進んでいる。
宅地の需要は、人口が減る静岡では細る。ただ、浜松・静岡市の駅周辺や、御殿場・袋井の郊外では、価格が上がる地域も残る。マンションは建築費の上昇で価格が上がり、売れる戸数は絞られる。
金利は逆風だ。住宅ローン金利は上がり、買い手の予算を縮める。企業の設備投資も、金利が3%台に乗ると採算の線が上がる。
リーマン級の谷では、不動産の取引が止まり、土地は値引きでしか売れなかった。この会社でも2000年代に営業利益率が2%まで落ちた。10年の構造では、人口減による宅地の縮みと、物流の用地需要の底堅さが、綱引きになる。
資本政策と M&A
還元は積極的に進める方針だ。2026年3月期の配当は15期連続で増え、性向は22.5%と低い。来期も増配を予定し、16期連続となる。さらに2026年5月から、上限5億円の自己株式取得を進めている。8月末までに約2.9億円を買った。
利益の大半は、土地の仕入れに回る。2026年3月期は営業活動の現金が24.6億円の流出だった。土地の仕入れを借入で賄った形で、短期借入金が28億円増えた。
筆頭株主はワイズ株式会社で、35.8%を持つ。次いで太平洋セメントが4.6%。取引先持株会、静岡銀行、みずほ銀行が続く。持ち分が3割台後半のため、少数株主の立場は強くない。TOBの参考確率は33%あるが、筋書きには入れず、価値は事業の稼ぎで測った。
リースの約束は、賃借料が年約9億円ある。固定の支払いだが、利益は既に引いている。2028年3月期から新リース会計で数字の形は変わるが、価値は変わらない。
株主優待は、確認できなかった。減価償却は小さく、賃貸ビルの分で年に1億円台。物価では増やさない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
静岡は、東名・新東名の沿線に工場や物流の用地が足りない土地だ。ヨシコンは約14万坪の用地を握り、御殿場、掛川、浜松、沼津で誘致を進める。富士宮の3.3万坪や御殿場の4.3万坪が順に売れれば、開発の売上は今の2割増しが見える。
レジデンスは、2026年3月期が谷だった。菊川と静岡市の3棟(計約190戸)が2028年3月期までに完成し、前期の25億円は80億円の水準に戻る。
東海道リートというスポンサーの出口もある。物流倉庫を竣工させ、リートに売れば、資金は早く回り、借入は軽いままだ。自己資本比率は67%で、土地を買い増す余力が大きい。
配当は16期連続で増える見込みで、性向は22.5%と低い。株価が自己資本の半分のうちは、自社株買いも効く。経営陣は、安い値段を自覚して動いている。物流・工業用地は、大型の買い手が1社決まるだけで、利益が数億円単位で上積みされる。10年の営業利益が77億円まで伸びれば、純利益は52億円となり、時価総額は今の3倍を超える。
慎重な見方
利益は山にある。2026年3月期の営業利益率13.4%は、過去12年の平均を上回る。会社の期初予想(経常利益50億円)にも届かず、2027年3月期の第1四半期は営業赤字だった。
売上は少数の大型案件に頼る。最大の販売先1社で売上の18.5%を占める。1社が買わない年は、売上が数十億円動く。レジデンスも、前期の80億円から25億円へ1年で3分の1に縮んだ。
土地は物価で上がるが、仕入れ値も人件費も同じ速さで上がる。売値が1.34倍になっても、利益率は上がらない。本社費用だけが物価で増え、営業利益は今とほぼ同じになる。
総資産の76%が販売用の土地で、評価損が出れば自己資本が削られる。2026年3月期の営業活動の現金は24.6億円の流出で、借入が増えた。借り換え金利3.5%は、利息を押し上げる。
筆頭株主が35.8%を持ち、少数株主の立場は弱い。ROEが資本コストに届かないまま利益を土地に回すなら、自己資本の半値は適正な値段とも言える。
どちらに重みを置いたか
土地の仕入れ力と財務の堅さは確かだが、利益の山と、稼ぎが資本コストに届かない構造も同じくらい確かだ。確率は強気7%、やや強気20%、中立37%、やや悲観25%、悲観11%に置いた。
中立の純利益は29億円で、今より少し高い程度。ROEは6%にとどまる。結果は、今の時価総額をやや上回る価値に出る。強気側に寄せなかった点は、確認しておく。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 4,807 円334 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,095 円76 億円)。 今の値に割り戻すと 2,972 円206 億円、今との差 +40.2%、 期待の年率 +10.8%(資本コスト 8.0%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 9,780 円679 億円 | 1,511 円105 億円 | +432.9% | +18.2% | 790 円55 億円 |
| やや楽観 | 20% | 7,071 円491 億円 | 1,396 円97 億円 | +299.6% | +14.9% | 1,693 円118 億円 |
| 中立 | 37% | 5,218 円363 億円 | 1,209 円84 億円 | +203.3% | +11.7% | 2,378 円165 億円 |
| やや悲観 | 25% | 2,475 円172 億円 | 892 円62 億円 | +58.9% | +4.7% | 842 円58 億円 |
| 悲観 | 11% | 1,440 円100 億円 | 360 円25 億円 | −15.1% | −1.6% | 198 円14 億円 |
| 加重平均 | 100% | 4,807 円334 億円 | 1,095 円76 億円 | +178.5% | +10.8% | 5,902 円410 億円 |
今の株価時価総額 2,119 円147 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 7% 物流用地の誘致が続き、東海道リートも育って利益が山を超える 利益 52 億円 · PER 13.0 倍 · 株価時価総額 9,780 円679 億円
新東名沿いの産業用地は、10年を通じて足りない状態が続く。富士宮の3.3万坪や御殿場の4.3万坪が、工場・物流・商業用地として順に売れる。土地の売値は名目で1.40倍になり、売る面積も今より15%増える。
不動産証券化を強めた効果で、建物付きの案件を東海道リートなどへ売り、資金を早く回す。レジデンスは静岡市の駅前タワーが完売し、戸数は今の2倍を超える。
売上は537億円、営業利益は77億円、純利益は52億円。営業利益率は14%と、過去12年の山(17%)の下に収まる。ROEは9%で資本コストにほぼ並ぶ。
配当は性向を30%に近づけ、10年で約105億円になる。
(名目の前提)開発の売値は10年で1.40倍、面積は1.15倍。本社費用は1.37倍。減価償却は小さく(賃貸ビルの償却は年1億円台)、物価で増やさない。販売用不動産は土地の仕入れ値の上昇で膨らみ、借入の借り換え金利3.5%が利息を押し上げる。
- 不動産開発(宅地分譲・商工業物流用地の誘致):数量 3.5(販売面積(万坪・推定))× 価格 91(1 万坪あたり売上(億円))→ 売上 313 億円・営業利益 60 億円。数量 1.15倍・単価 1.40倍・営業利益率 19.0%
- レジデンス(マンション分譲):数量 110(引渡し戸数(戸・推定))× 価格 0.70(1戸あたり売上(億円))→ 売上 77 億円・営業利益 9 億円。数量 2.20倍・単価 1.40倍・営業利益率 12.0%
- 賃貸・管理・請負工事:数量 180(取扱件数(件・推定))× 価格 0.75(1件あたり売上(億円))→ 売上 135 億円・営業利益 22 億円。数量 1.50倍・単価 1.40倍・営業利益率 16.0%
- マテリアル・その他:数量 720(取扱件数(件・推定))× 価格 0.02(1件あたり売上(億円))→ 売上 12 億円・営業利益 1 億円。数量 1.20倍・単価 1.34倍・営業利益率 5.0%
倍率:事業の純利益 52 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.0% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 8.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.0 倍。全体の PER 12.99 倍、時価総額 679 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:静岡の産業用地が足りない状態が続き、開発の粗利が前期の20%台に戻る必要がある。レジデンスの6物件も計画どおり売れねばならず、三つが重なる確率は低い。同じ領域の強気の7〜8%に置いた。
やや楽観 20% 開発の面積が保たれ、レジデンスが戻って利益が緩やかに伸びる 利益 39 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 7,071 円491 億円
開発は、売る面積が今より5%増え、売値が1.38倍になる。物流用地の誘致が中心で、宅地分譲は豊橋・大府・磐田の大型地が順に出る。
レジデンスは、静岡市の2棟のタワーと菊川の1棟(計約190戸)で、今の2倍近い戸数になる。賃貸・管理は請負工事の受注が増え、東海道リートの運用資産も育つ。
売上は476億円、営業利益は59億円、純利益は39億円。ROEは7.5%で、資本コストに届かない。
配当は性向28%で、10年で約97億円になる。
(名目の前提)開発の売値は1.38倍、面積は1.05倍。本社費用は1.36倍。減価償却は小さく、物価で増やさない。販売用不動産は在庫の積み増しで増え、借入も増える。借り換え後の金利3.5%で純利息は今の約1.5倍になる。
- 不動産開発(宅地分譲・商工業物流用地の誘致):数量 3.2(販売面積(万坪・推定))× 価格 90(1 万坪あたり売上(億円))→ 売上 282 億円・営業利益 48 億円。数量 1.05倍・単価 1.38倍・営業利益率 17.0%
- レジデンス(マンション分譲):数量 95.0(引渡し戸数(戸・推定))× 価格 0.68(1戸あたり売上(億円))→ 売上 65 億円・営業利益 7 億円。数量 1.90倍・単価 1.36倍・営業利益率 10.0%
- 賃貸・管理・請負工事:数量 162(取扱件数(件・推定))× 価格 0.73(1件あたり売上(億円))→ 売上 118 億円・営業利益 18 億円。数量 1.35倍・単価 1.36倍・営業利益率 15.0%
- マテリアル・その他:数量 660(取扱件数(件・推定))× 価格 0.02(1件あたり売上(億円))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。数量 1.10倍・単価 1.34倍・営業利益率 4.5%
倍率:事業の純利益 39 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.5% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 491 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:用地の仕入れ力と、15年連続増配に見る安定した利益の積み上げから、強気側の中心に置いた。2026年3月期にレジデンスが落ち込んだ分は、6物件の計画で戻る。
中立 37% 面積は少し減り、売値は物価並み。利益は今とほぼ同じ水準にとどまる 利益 29 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 5,218 円363 億円
開発は、売る面積が5%減り、売値が物価並みの1.34倍になる。仕入れ値も同じ速さで上がるため、営業利益率は15.5%と、前期の17.8%より下がる。
レジデンスは、今が谷であることを踏まえ、戸数が今の1.8倍に戻る。賃貸・管理は件数が2割増える。マテリアルは横ばい。
売上は421億円、営業利益は44億円(利益率10%)。本社費用が物価で増える分を、開発の利益が埋めきれない。純利息が増え、純利益は29億円。
ROEは6%と、資本コストに届かない。ためた利益は在庫の土地に回り、その稼ぎは小さい。配当は10年で約84億円になる。
(名目の前提)開発の売値は1.34倍、面積は0.95倍。本社費用は1.34倍。減価償却は物価で増やさない。販売用不動産は更新・仕入れで膨らむ。借り換え金利3.5%で純利息は年約5億円(今は約2億円)。
- 不動産開発(宅地分譲・商工業物流用地の誘致):数量 2.9(販売面積(万坪・推定))× 価格 87(1 万坪あたり売上(億円))→ 売上 248 億円・営業利益 38 億円。数量 0.95倍・単価 1.34倍・営業利益率 15.5%
- レジデンス(マンション分譲):数量 90.0(引渡し戸数(戸・推定))× 価格 0.67(1戸あたり売上(億円))→ 売上 60 億円・営業利益 5 億円。数量 1.80倍・単価 1.34倍・営業利益率 9.0%
- 賃貸・管理・請負工事:数量 144(取扱件数(件・推定))× 価格 0.72(1件あたり売上(億円))→ 売上 103 億円・営業利益 13 億円。数量 1.20倍・単価 1.34倍・営業利益率 13.0%
- マテリアル・その他:数量 600(取扱件数(件・推定))× 価格 0.02(1件あたり売上(億円))→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。数量 1.00倍・単価 1.34倍・営業利益率 4.0%
倍率:事業の純利益 29 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.9% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 362 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:物流・工業用地の需要は底堅いが、売れる面積は人口減で少し細る。売値は仕入れ値と一緒に上がり、利益率は今より下がる。会社予想の2027年3月期(純利益28億円)の水準が、10年後もほぼ続くという中心の筋書きに最も重く置いた。
やや悲観 25% 物流・工業用地の需要が細り、在庫の回転が遅れて利益が4割減る 利益 15 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 2,475 円172 億円
物流施設の新設が一巡し、買い手が絞られる。開発の売る面積は今の0.8倍に減り、売値は名目でも1.22倍にとどまる。土地の仕入れ値は高いまま残り、利益率は13.5%に落ちる。
レジデンスは住宅ローン金利の上昇で、戸数が今の1.2倍にしか戻らない。賃貸・管理は請負工事が頭打ちになる。
売上は327億円、営業利益は25億円、純利益は15億円。ROEは3.5%。
販売用不動産の評価損が少し出て、配当は性向を保てず10年で約62億円にとどまる。
(名目の前提)開発の売値は1.22倍、面積は0.8倍。本社費用は1.24倍。減価償却は物価で増やさない。借入は在庫が重く残るため減りにくく、借り換え金利3.5%が利益を削る。
- 不動産開発(宅地分譲・商工業物流用地の誘致):数量 2.4(販売面積(万坪・推定))× 価格 79(1 万坪あたり売上(億円))→ 売上 190 億円・営業利益 26 億円。数量 0.80倍・単価 1.22倍・営業利益率 13.5%
- レジデンス(マンション分譲):数量 65.0(引渡し戸数(戸・推定))× 価格 0.59(1戸あたり売上(億円))→ 売上 38 億円・営業利益 2 億円。数量 1.30倍・単価 1.18倍・営業利益率 6.0%
- 賃貸・管理・請負工事:数量 126(取扱件数(件・推定))× 価格 0.65(1件あたり売上(億円))→ 売上 82 億円・営業利益 9 億円。数量 1.05倍・単価 1.22倍・営業利益率 11.0%
- マテリアル・その他:数量 570(取扱件数(件・推定))× 価格 0.01(1件あたり売上(億円))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。数量 0.95倍・単価 1.18倍・営業利益率 3.0%
倍率:ROE は約3.5%で k 8% を大きく下回る。PER の上限 1÷k=11.4 倍の約70%の8.0倍に置いた。利益が薄く、在庫の評価損を抱える筋書きのため。
確率:静岡の用地は大型案件に偏り、買い手が1社減るだけで年の売上が大きく欠ける。住宅ローン金利の上昇もレジデンスを押す。借入が軽い分、同業の悲観よりは浅いが、利益が細る確率は4分の1と見た。
悲観 11% 在庫の評価損が出て赤字に落ち、売れる資産の値打ちまで下がる 利益 −12 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 1,440 円100 億円
景気が崩れ、住宅ローン金利の上昇と物流投資の停止が重なる。開発の売る面積は今の半分以下になり、売値も名目で0.85倍に下がる。買い手のつかない土地は、値引きして売るしかない。
レジデンスは完成在庫が積み上がり、戸数が半分に減る。賃貸・管理は請負工事が落ち、安定した管理料だけが残る。
売上は139億円まで縮み、営業利益は8億円の赤字になる。10年に販売用不動産の評価損が約90億円出て、自己資本は約200億円に削られる。
価値の支えは稼ぐ力でなく、売れる土地と現金になる。配当は大きく減らされ、10年で約25億円にとどまる。
(名目の前提)開発の売値は0.85倍、面積は0.45倍。本社費用は1.08倍。減価償却は物価で増やさない。借入は在庫の売却で返済に回る。
- 不動産開発(宅地分譲・商工業物流用地の誘致):数量 1.4(販売面積(万坪・推定))× 価格 55(1 万坪あたり売上(億円))→ 売上 75 億円・営業利益 2 億円。数量 0.45倍・単価 0.85倍・営業利益率 2.0%
- レジデンス(マンション分譲):数量 25.0(引渡し戸数(戸・推定))× 価格 0.45(1戸あたり売上(億円))→ 売上 11 億円・営業利益 −1 億円。数量 0.50倍・単価 0.90倍・営業利益率 -5.0%
- 賃貸・管理・請負工事:数量 84.0(取扱件数(件・推定))× 価格 0.59(1件あたり売上(億円))→ 売上 50 億円・営業利益 3 億円。数量 0.70倍・単価 1.10倍・営業利益率 5.0%
- マテリアル・その他:数量 420(取扱件数(件・推定))× 価格 0.01(1件あたり売上(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。数量 0.70倍・単価 1.00倍・営業利益率 0.0%
倍率:稼ぐ力はマイナス。売れる資産の床(floor_assets_oku)をそのまま時価総額に置いた。今の自己資本294億円に対する PBR は約0.34倍。在庫の値引き売却で、帳簿の自己資本は価値の床にならない。
確率:2000年代のように、不動産の市況が崩れて販売用不動産を値引きして売る谷。過去の最悪の営業利益率は1.8%(2008年3月期)だった。自己資本比率が7割近く借入が軽いため、倒産には至らず、同業の悲観(11〜14%)より少し低い11%に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
不動産開発(宅地分譲・商工業物流用地の誘致)
静岡県を中心に土地を仕入れ、造成して宅地や工場・物流用地として売る。物流倉庫など建物付きで売る案件もある。
| 数量販売面積(万坪・推定) | 価格1 万坪あたり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3.0 | 65 | 195 | 35 |
| 10 年後 中立 | 2.9 | 87 | 248 | 38 |
取り方:セグメント売上194.65億円を、年に売る土地の面積で割った推定。開示は面積・区画数を出さないため、保有する約14万坪の用地と販売実績から、年3万坪前後(建物付き案件を坪に換算)と置いた。1万坪あたり約65億円は、1坪で約65万円の水準。営業利益はセグメント利益34.71億円。
レジデンス(マンション分譲)
静岡市・藤枝・富士などで分譲マンションを企画・販売する。他社向けの一棟売りもある。
| 数量引渡し戸数(戸・推定) | 価格1戸あたり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 50.0 | 0.50 | 25 | 3 |
| 10 年後 中立 | 90.0 | 0.67 | 60 | 5 |
取り方:セグメント売上24.97億円を、引渡し50戸と推定して割った。2026年3月期は大型の新規引渡しが少なく、前期の80.5億円から大きく落ちた。戸数は開示がないため、販売中の3物件(57戸・83戸・83戸)の進み具合からの推定。営業利益はセグメント利益2.66億円。
賃貸・管理・請負工事
賃貸ビルの運営、管理、仲介、設計監理、請負工事。東海道リート・マネジメントの資産運用もここに入る。
| 数量取扱件数(件・推定) | 価格1件あたり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 120 | 0.54 | 64 | 12 |
| 10 年後 中立 | 144 | 0.72 | 103 | 13 |
取り方:セグメント売上64.28億円を、請負工事・賃貸管理の取扱件数120件(推定)で割った。2026年3月期は請負工事の売上増で前期の35.1億円から8割増えた。件数は開示がなく、1件あたり約0.54億円は工事の平均規模からの推定。営業利益はセグメント利益11.61億円。
マテリアル・その他
コンクリート二次製品・生コンの取り扱い(工場を持たないファブレス)と、保険代理店など。
| 数量取扱件数(件・推定) | 価格1件あたり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 600 | 0.01 | 7 | 0 |
| 10 年後 中立 | 600 | 0.02 | 10 | 0 |
取り方:マテリアル6.93億円とその他0.38億円の合計7.31億円を、取扱件数600件(推定)で割った。営業利益はマテリアル0.09億円とその他0.19億円の合計。
リスクと懸念
引渡しの波と利益の山
売上は引渡しの時に立つ。2026年3月期の営業利益39億円は過去2番目の高さで、2027年3月期の第1四半期は営業赤字だった。大型案件が1つずれるだけで、年の利益が数億円動く。2026年3月期は期初予想の経常利益50億円に届かなかった。
販売用不動産の評価損
総資産の76%が、売るために持つ土地334億円だ。不動産市況が崩れると、この土地を値引きして売るしかない。評価損は自己資本を直接削る。2008年前後の下落では、営業利益率が2%近くまで落ちた。保有土地の多くは未造成で、売れるまでに年数がかかる。
大型案件と販売先の偏り
最大の販売先は合同会社ピタゴラスで、売上の18.5%、約54億円を占めた。前期はオカムラ、一建設が大きかった。販売先が毎年入れ替わり、1社の撤退で売上が数十億円動く。工場・物流の誘致は、企業の投資計画に左右される。
金利と借入
有利子負債は106億円で、短期借入金が28億円増えた。借り換えで金利が3.5%に上がると、純利息は今の約2.5倍になる。住宅ローン金利の上昇は、宅地とマンションの買い手の予算を縮める。企業の設備投資も、金利の上昇で採算の線が上がる。
筆頭株主と再編
ワイズ株式会社が35.8%を持つ。少数株主の影響力は小さく、TOBの参考確率は33%だ。条件が少数株主に有利とは限らない。価値は事業の稼ぎで測り、再編の確率は筋書きに入れていない。持ち分が上がり続けている点も、資本政策の見通しを難しくする。
南海トラフ地震と地域の集中
事業が静岡に集中する。南海トラフ地震が起きれば、用地・建物・管理資産の価値が一度に傷む。リスクとして有報にも明記されている。人口減も長い目で効く。静岡県の宅地の需要は縮み、大型の分譲地ほど売れ残りのリスクが高い。
請負工事の施工リスク
賃貸・管理等で請負工事が伸びた。工事は人手不足と資材高の影響を受け、工期の遅れや採算の悪化が起こりうる。施工会社の破綻による瑕疵のリスクも、有報で挙げられている。
今後の分かれ目
- 2027年3月期の営業利益が43億円の予想を上回る
- 大型用地の売却が順調に進んだ合図で、やや強気の筋書きに寄る。第2四半期の累計で黒字が定着するかが分かれ目になる。
- 富士宮の3.3万坪や御殿場の4.3万坪が、工場・物流用地として売れる
- 開発の面積が増える合図だ。利益が山を超える可能性があり、強気側に寄る。
- 最大の販売先が変わり、売上が一度に数十億円減る
- 大型案件の偏りが出た合図だ。販売用不動産が積み上がり、やや悲観の筋書きに寄る。
- 販売用不動産の評価損が出る、または借入が自己資本の半分を超える
- 市況の悪化が表に出た合図で、悲観側に寄る。自己資本比率が50%を割るかを見る。
- ワイズ株式会社の持ち分が4割に近づく、またはTOBの発表が出る
- 再編の合図だ。参考確率は33%だが、条件が少数株主に有利かは分からない。価値は事業の稼ぎで測る。
- 配当性向が30%を超えて引き上がる、または自社株買いが拡大する
- 土地への再投資より株主還元を優先する合図で、ためた利益の価値が上がる。
見ておくもの
- 不動産開発の売る面積と大型案件(御殿場・掛川・富士宮)の進み具合
- レジデンスの引渡し戸数(2027年2月の菊川、2028年の静岡市2棟)
- 販売用不動産と有利子負債の残高、自己資本比率(50%を割らないか)
- 東海道リートの物件取得(スポンサー案件の出口)
- 配当性向と自社株買いの実行額
- ワイズ株式会社の持ち分
倍率と資本コストの決め方
数量(販売面積・引渡し戸数・件数)と名目の単価から利益を積み、倍率は式で置いた。今の市場の評価(PBR 0.5倍・PER 5〜6倍)には寄せていない。k は基本7.5%に quality 1.25%(循環+0.5・値決め+0.25・借金+0.25・寿命+0.25)を足した8.75%で、同じ領域の住宅分譲(k 8.2〜10.0%)の中ほどより低い。借入が軽いためだ。ROEがkを下回る中立・やや悲観は、PERの上限1÷k=11.4倍の77%・70%に置いた。強気側はROEがkにほぼ並び、堀が弱い(残る割合1/3)として上限の9割前後にとどめた。減価償却は小さく、物価で増やさない。新リース会計(2028年3月期から)は、賃借料が年約9億円と小さく、影響は限られる。領域は住宅分譲から土地開発へ直した。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.5→12.99 倍・やや楽観 PER 9.8→12.5 倍・中立 PER 8.8→12.5 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 1.25% = 8.75%。大株主の持ち分や用地の仕入れの失敗などの個別のリスクは k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.75% → 8.00%。