結論
香陵住販は、茨城県の水戸とひたちなかを地盤に、賃貸の管理・仲介と、自社企画の投資用アパートの販売で稼ぐ地方の不動産会社だ。筆者の結論は「ほぼ適正」だ。2.4 万戸の管理の契約という堅い稼ぎの土台はあるが、利益の 7 割を社内に残す資本の使い方と、借入で抱える販売の在庫が、その良さを打ち消している。
直近の純利益は 10 億円だが、太陽光の施設の売却益が含まれる。これを除くと 7 億円ほどで、今の時価総額はその 8 倍強だ。管理の契約は一度取れば長く続き、家賃とともに手数料も上がる。販売で建てたアパートも、売った後は管理に加わる。この積み上げの仕組みが、この会社の本質だと筆者は見る。
弱みは 2 つある。茨城の人口が減ることと、販売用の在庫を借入で抱えることだ。金利が上がれば利払いが増え、建築費が上がれば投資用アパートの利幅が薄くなる。
10 年の中ほどの姿は、管理戸数が 1.25 倍になり、純利益が 8 億円台に増えるというものだ。利益の 7 割を社内に残すので、自己資本に対する稼ぎは下がっていく。今の値段は、この良い面と悪い面をおおむね映している。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「地味だが、持ち続けたくなる稼ぎの仕組みを持つ」と筆者は見る。
オーナーの目で見ると、管理の契約は毎月の家賃から手数料が入る、年金のような稼ぎだ。家主が離れにくく、物価とともに手数料も上がる。販売で建てたアパートも管理に加わるので、売上の一部は将来の稼ぎの種まきでもある。
資本の使い方も悪くない。過去 10 年の ROE は資本コストを上回り、買収も地元の管理会社を買う筋の良いものだった。ただ利益の 7 割を社内に残すので、これからは自己資本が膨らみ、稼ぎの率は下がっていく。販売用の在庫を借入で抱える形は、不動産の値下がりの局面で弱い。
管理の稼ぎだけで今の時価総額の多くを説明できるのは心強い。だが売却益を除いた利益で見ると、払う値段は稼ぐ力とほぼ釣り合う。茨城の人口減という逆風はあるが、その中で戸数を集める側にいる。ただ利益の 7 割を残す資本の使い方を考えると、安全域はほとんど無い。筆者は今の値段をほぼ適正と見る。
何で稼ぐ会社か
稼ぎは 3 つに分かれる。いちばんの柱は不動産管理だ。茨城を中心に 2.4 万戸の賃貸住宅と 9,700 台の駐車場を家主から預かり、家賃の集金、入居者の対応、修繕の手配をする。手数料は家賃に比例して入る。2025/09 期の部門の利益は 9.7 億円で、全社のどの部門より厚い。自社で持つ賃貸住宅とコインパーキングの家賃もここに入る。
2 つ目は仲介だ。県内 18 店と柏・台東の店で、部屋を探す人と家主、家を売りたい人と買いたい人をつなぐ。仲介で知り合った家主に管理を任せてもらうのが、この会社の勝ちパターンだ。
3 つ目は不動産の販売だ。土地や中古住宅を買って手を入れて売るほか、自社企画の投資用アパート「レーガベーネ」を建てて投資家に売る。2025/09 期は 12 棟を売り、販売の売上は 68 億円あった。売った後も管理を任されるので、販売は管理戸数を増やす入口にもなっている。
販売用の土地と建物は借入で仕入れており、有利子負債は 75 億円ある。太陽光の施設も持っていたが、ここ数年で売却し、その売却益が特別利益になっている。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねしにくい強みは、水戸とひたちなかでの密度にある。店を集中して出し、賃貸の仲介で家主と知り合い、管理を任される。管理する部屋が多いほど、空室を埋める力が強くなり、家主はさらに集まる。地方の小さな管理会社には、この循環は作りにくい。
管理の契約は解約が少ない。家主が管理会社を替えるのは、空室が埋まらない時か、担当者の対応が悪い時くらいだ。手数料は家賃に連動するので、物価が上がれば自然に増える。
弱いのは販売の部分だ。投資用アパートの利幅は建築費と金利で決まり、会社の力では動かせない。販売用の在庫を借入で抱えるので、不動産の値下がりの局面では評価損が出やすい。
資本の効率は高い。ROE は 10 年で 11〜16% と、資本コストを上回ってきた。創業者の会長が 3 分の 1 を持ち、経営は堅実だ。ただ配当の性向は 15% と低く、利益の多くを社内に残してきた。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
茨城県の人口は減っている。年に 0.5〜1% ずつ減り、賃貸住宅の需要も長い目では細る。ただ水戸の中心部、つくば、守谷のような通勤の便の良い地域は人が集まり、空室は少ない。県全体の数字より、店のある地域の需要の方が底堅い。
賃貸の管理は、地方では小さな会社が多い。家主の高齢化と後継ぎの不足で、管理を大きな会社にまとめる動きが続く。全国の大手も地方の管理会社を買っており、地域で上位の会社が戸数を集める流れだ。香陵住販はこの流れの受け手の側にいる。
仲介はネットで部屋を探す人が増え、店の役割は内見と契約に絞られている。AI の案内で手続きがさらに簡単になれば、仲介の手数料には下げ圧力がかかる。管理の仕事は建物と入居者という体の仕事なので、置き換わりにくい。
投資用アパートは金利と建築費に左右される。物価 3% の世界では家賃も上がるが、建築費の上昇はそれより速い。金利が上がれば投資家の借入の費用も増え、買える値段が下がる。販売の量と利幅は、10 年で横ばいがよいところだと筆者は見る。
まとめると、伸びるのは管理、横ばいが仲介、振れるのが販売という業界の姿だ。
資本政策と M&A
配当の方針は、株主資本に対して 2.8% 以上の配当を出し、減らさずに増やし続ける累進配当だ。2025/09 期の配当性向は 15% と低いが、今期も 2 割近く増やす。10 年の還元は、自己資本の増え方に合わせて増える配当と、ときどきの自社株買いで、利益の 3 割とみる。2026 年 5 月に買った自社株は、自己資本の起点から外して 10 年の還元に入れていない。
借入は販売用の在庫の仕入れに使っている。会社は自己資本比率 30% 以上を守り、40% を目指すとしている。新株予約権があり、全部が行使されると株数は 2% ほど増える。
買収は 2019 年につくばの不動産会社を完全子会社にした。地方の管理会社を買って戸数を増やすのは、筋の良い資本の使い方だ。一方で、創業者が 3 分の 1 を持つ小さな会社なので、大手の管理会社に買われる可能性もある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
管理戸数という積み上げの稼ぎがある。2.4 万戸の管理の契約は、毎月の家賃から手数料が入り、家主はめったに離れない。手数料は家賃に連動するので、物価が上がれば勝手に増える。管理の部門の利益は 9.7 億円で、全社の利益の土台になっている。
地方の管理は、大きな会社に集まる流れにある。家主の高齢化と、小さな管理会社の後継ぎの不足で、管理を任せる先が地域の上位の会社に寄る。香陵住販は水戸とひたちなかで密度を作り、つくば・守谷・柏へ同じ形で広げている。管理戸数は毎年 600 戸前後ずつ増えてきた。
自社企画のアパートは、売った後も管理に残る。販売は一度きりの利益ではなく、管理の稼ぎの種まきだ。
値段も安い。売却益を除いた利益で見ても、時価総額は 8 倍強で、ROE は 10 年で 11〜16% と資本コストを上回ってきた。中計の利益目標も前倒しで届いている。配当は累進に変わり、還元も厚くなっていく。
慎重な見方
地盤の茨城は人口が減っている。賃貸住宅の需要は長い目では細り、空室が増えれば家主は手数料の値下げを求める。管理戸数を増やせても、1 戸あたりの稼ぎは物価ほど上がらないかもしれない。
販売の部分は金利と建築費の板挟みだ。投資用アパートは、金利が上がれば投資家が買えなくなり、建築費が上がれば利幅が消える。会社自身が、用地の確保と建築費の影響を課題に挙げている。販売用の在庫は借入で抱えており、有利子負債は 75 億円ある。不動産の値段が下がる局面では、在庫の評価損と利払いが同時に効く。
直近の利益は、太陽光の施設の売却益でかさ上げされている。売れる施設はいずれ尽きる。
配当の性向は 15% と低く、利益の多くを社内に残してきた。残した利益が販売の在庫に回るなら、稼ぎの率は下がり、借入も減らない。創業者が 3 分の 1 を持つ経営は、少数株主への還元を急がない。安く見えるのは、こうした弱さの裏返しでもある。
どちらに重みを置いたか
強気の見方がやや強いと筆者は判断した。管理の積み上げは数字で確かめられる事実で、手数料が家賃に連動する点も強い。慎重な見方の言う販売の弱さと人口減も本物なので、中立は管理戸数 1.25 倍・純利益 8 億円台の控えめな姿に置いた。確率は楽観側(37%)を悲観側(30%)より少し厚くした。販売の在庫が積み上がる兆しが出たら、見方を改める。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/09 期)
確率で加重した株価時価総額 4,602 円127 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 780 円22 億円)。 今の値に割り戻すと 2,776 円77 億円、今との差 +26.2%、 期待の年率 +9.4%(資本コスト 7.5%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 15% | 8,684 円240 億円 | 1,110 円31 億円 | +345.2% | +16.1% | 1,469 円41 億円 |
| やや楽観 | 22% | 6,617 円183 億円 | 961 円27 億円 | +244.5% | +13.2% | 1,667 円46 億円 |
| 中立 | 33% | 4,581 円127 億円 | 809 円22 億円 | +145.0% | +9.4% | 1,779 円49 億円 |
| やや悲観 | 18% | 1,363 円38 億円 | 514 円14 億円 | −14.7% | −1.6% | 338 円9 億円 |
| 悲観 | 12% | 720 円20 億円 | 355 円10 億円 | −51.1% | −6.9% | 129 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 4,602 円127 億円 | 780 円22 億円 | +144.6% | +9.4% | 5,382 円149 億円 |
今の株価時価総額 2,200 円61 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 15% 茨城の管理を握り、つくばと柏へ広げる 利益 14 億円 · PER 16.9 倍 · 株価時価総額 8,684 円240 億円
水戸とひたちなかで固めた地盤の作り方を、つくば・守谷・柏で繰り返す筋書きだ。店を出し、賃貸の仲介で家主と知り合い、管理を任され、やがて建て替えや売却の相談も受ける。この流れが回り、管理戸数は 10 年で 1.45 倍の 3.5 万戸になる。
自社企画の投資用アパート「レーガベーネ」は、建てて売った後も管理が残る。売るたびに管理戸数が増える仕組みで、販売の量も 2 割増える。家主の高齢化で、相続や売却の相談が増えることも追い風だ。
管理の手数料は家賃に比例するので、家賃の上昇とともに上がる。営業利益は 20 億円を超え、自己資本に対する稼ぎは資本コストを上回る。創業者が 3 分の 1 を持つ経営は、急がず地盤を広げる。
- 不動産管理(賃貸管理・駐車場・自社賃貸):数量 35,497(管理戸数(戸))× 価格 0.00(1 戸あたりの年の売上(億円。駐車場・自社賃貸を含む))→ 売上 57 億円・営業利益 19 億円。管理 35,500 戸 × 1 戸あたり売上(今の 1.30 倍)、33%
- 仲介(賃貸・売買):数量 11,550(仲介件数(件・推定))× 価格 0.00(1 件あたりの手数料(億円))→ 売上 24 億円・営業利益 4 億円。仲介 11,550 件 × 1 件あたり手数料(今の 1.30 倍)、18%
- 不動産の販売(投資用アパート・土地・中古住宅):数量 240(販売件数(件・推定))× 価格 0.46(1 件あたりの価格(億円))→ 売上 110 億円・営業利益 9 億円。販売 240 件 × 1 件あたり価格(今の 1.34 倍)、8%
倍率:事業の純利益 14 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.2% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.9 倍。全体の PER 16.94 倍、時価総額 232 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:管理戸数は毎年 600 戸前後ずつ増えており、店を増やせば伸びは速まる。茨城の外での実績はまだ小さいので 15% にとどめた。
やや楽観 22% 管理戸数が年 3% 増え、販売も保つ 利益 11 億円 · PER 15.9 倍 · 株価時価総額 6,617 円183 億円
管理戸数は年 3% ほど増え、10 年で 3.3 万戸になる。茨城の人口は減るが、小さな管理会社の廃業や、家主の乗り換えで香陵住販に集まる。管理の手数料は家賃に比例し、家賃は物価を少し下回って上がる。
販売は 1 割増える。建築費の上昇でレーガベーネの利幅は少し薄くなるが、家賃の上昇で投資家が買える値段も上がる。仲介は人口の減少と相殺され、件数は横ばいだ。
営業利益は 17 億円台で、中計の 13 億円を超える。借入の金利は上がるが、管理の安定した稼ぎで吸収できる。配当は累進で増え、利益の 3 割を戻す。
- 不動産管理(賃貸管理・駐車場・自社賃貸):数量 33,049(管理戸数(戸))× 価格 0.00(1 戸あたりの年の売上(億円。駐車場・自社賃貸を含む))→ 売上 53 億円・営業利益 17 億円。管理 33,000 戸 × 1 戸あたり売上(今の 1.28 倍)、32%
- 仲介(賃貸・売買):数量 11,000(仲介件数(件・推定))× 価格 0.00(1 件あたりの手数料(億円))→ 売上 22 億円・営業利益 4 億円。仲介 11,000 件、17%
- 不動産の販売(投資用アパート・土地・中古住宅):数量 220(販売件数(件・推定))× 価格 0.46(1 件あたりの価格(億円))→ 売上 101 億円・営業利益 8 億円。販売 220 件、7.5%
倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.6% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.9 倍。全体の PER 15.91 倍、時価総額 173 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:管理戸数の伸びはここ数年の実績どおりで、中計の利益目標も前倒しで届いている。今の流れが続く道として 22% を置いた。
中立 33% 管理の積み上げで、人口減を少し上回る 利益 8 億円 · PER 14.4 倍 · 株価時価総額 4,581 円127 億円
管理戸数は年 2% あまり増え、10 年で 1.25 倍の 3 万戸になる。店を出す新しい地域ほど伸びは遅く、水戸のような高い占有率は簡単には作れない。管理の手数料は家賃に比例し、茨城の家賃は物価を少し下回って上がる。
仲介は人口の減少で件数が少し減る。ネットで部屋を探す人が増え、店の役割は内見と契約に絞られる。販売は件数が横ばいで、建築費の上昇で利幅は 7% ほどに薄くなる。
本社の費用は物価で増える。借入は販売用の在庫を抱えるために残り、金利の上昇で利払いが年 2 億円近くになる。純利益は 8 億円台で、今のならした水準から少し増える。配当は累進で、利益の 3 割を戻す。
- 不動産管理(賃貸管理・駐車場・自社賃貸):数量 30,601(管理戸数(戸))× 価格 0.00(1 戸あたりの年の売上(億円。駐車場・自社賃貸を含む))→ 売上 46 億円・営業利益 14 億円。管理 30,600 戸 × 1 戸あたり売上(今の 1.25 倍)、31%
- 仲介(賃貸・売買):数量 10,450(仲介件数(件・推定))× 価格 0.00(1 件あたりの手数料(億円))→ 売上 21 億円・営業利益 3 億円。仲介 10,450 件 × 手数料(今の 1.25 倍)、16%
- 不動産の販売(投資用アパート・土地・中古住宅):数量 200(販売件数(件・推定))× 価格 0.46(1 件あたりの価格(億円))→ 売上 91 億円・営業利益 6 億円。販売 200 件 × 価格(今の 1.34 倍)、7%
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.6% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.4 倍。全体の PER 14.37 倍、時価総額 115 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:茨城の人口減と金利の上昇を、管理戸数の積み上げがどこまで上回るかが分かれ目だ。上回るが大きくは伸びない形を真ん中に置いた。
やや悲観 18% 金利と建築費で販売が細る 利益 3 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 1,363 円38 億円
金利が上がり、投資用アパートを買う人の借入の費用が膨らむ。建築費も上がり、レーガベーネは利回りが出なくなる。販売の件数は 3 割減り、利幅は 5% に縮む。売れ残った土地と建物の在庫は借入で抱えたままになり、利払いが重くなる。
仲介は茨城の人口減で 2 割減る。管理戸数は増え続けるが、伸びは年 1% にとどまり、家賃も物価ほど上がらない。管理の稼ぎが全社を支えるが、販売の落ち込みと本社の費用、利払いを埋めきれない。
純利益は 3 億円を割り、自己資本に対する稼ぎは資本コストの半分以下になる。配当は累進の方針で守るが、増やす余地は小さい。
- 不動産管理(賃貸管理・駐車場・自社賃貸):数量 26,929(管理戸数(戸))× 価格 0.00(1 戸あたりの年の売上(億円。駐車場・自社賃貸を含む))→ 売上 38 億円・営業利益 11 億円。管理 26,900 戸 × 1 戸あたり売上(今の 1.15 倍)、29%
- 仲介(賃貸・売買):数量 8,800(仲介件数(件・推定))× 価格 0.00(1 件あたりの手数料(億円))→ 売上 16 億円・営業利益 2 億円。仲介 8,800 件、12%
- 不動産の販売(投資用アパート・土地・中古住宅):数量 140(販売件数(件・推定))× 価格 0.43(1 件あたりの価格(億円))→ 売上 60 億円・営業利益 3 億円。販売 140 件 × 価格(今の 1.25 倍)、5%
倍率:ROE 2.6% が k 7.5% 以下なので、ためた利益は額面未満の価値しか生まず、PER の上限は 1÷k=11.8 倍。やや悲観は販売の稼ぎが細り、上限の 7.7 割の 9.0 倍に置いた。
確率:住宅ローンの金利の先高感と建築費の上昇は、会社自身が課題に挙げている。投資用アパートの採算が崩れる道は現実的なので 18%。
悲観 12% 在庫の評価損と人口減が重なる 利益 −6 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 720 円20 億円
金利の上昇で地方の不動産の値段が下がり、抱えていた土地と建物の在庫に評価損が出る。投資用アパートは売れず、販売の部門は赤字になる。借入の返済のために在庫を安く売り、自己資本が削られる。
茨城の人口減は速まり、空室が増える。家主は管理の手数料の値下げを求め、管理の利益率は下がる。仲介の件数も 3 分の 1 減る。全社では赤字が数年続き、配当は累進の方針を守れなくなる。
残る価値は、2 万戸を超える管理の契約の稼ぎだ。それを今の自己資本の 3 分の 1 ほどで評価する。管理の契約は他社に売ることもでき、価値がゼロになることはない。
- 不動産管理(賃貸管理・駐車場・自社賃貸):数量 23,257(管理戸数(戸))× 価格 0.00(1 戸あたりの年の売上(億円。駐車場・自社賃貸を含む))→ 売上 30 億円・営業利益 8 億円。管理 23,300 戸 × 1 戸あたり売上(今の 1.10 倍)、26%
- 仲介(賃貸・売買):数量 7,150(仲介件数(件・推定))× 価格 0.00(1 件あたりの手数料(億円))→ 売上 13 億円・営業利益 1 億円。仲介 7,150 件、5%
- 不動産の販売(投資用アパート・土地・中古住宅):数量 80.0(販売件数(件・推定))× 価格 0.39(1 件あたりの価格(億円))→ 売上 31 億円・営業利益 −3 億円。販売 80 件、在庫の評価損で赤字
倍率:赤字なので今の自己資本 61 億円に PBR 0.33 倍を掛けた。管理の部門の利益 8 億円の税後から本社費の分を引いた残りを k で割った額に近い。ためた利益には掛けていない。
確率:販売用の在庫を借入で抱える形は、不動産の値下がりの局面で一気に崩れる。管理の稼ぎが残るので確率は 12% にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
不動産管理(賃貸管理・駐車場・自社賃貸)
家主から賃貸住宅と駐車場を預かり、家賃の集金・入居者の対応・修繕の手配をする。自社の賃貸とコインパーキングの家賃も含む。
| 数量管理戸数(戸) | 価格1 戸あたりの年の売上(億円。駐車場・自社賃貸を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 24,481 | 0.00 | 30 | 10 |
| 10 年後 中立 | 30,601 | 0.00 | 46 | 14 |
取り方:不動産管理事業の売上 29.79 億・利益 9.71 億、管理戸数 24,481 戸(有報 2025/09)。1 戸あたり年 12.2 万円(駐車場と自社賃貸の家賃を含む)。管理戸数は直近の年 600 戸前後の増加(年 2.5%)から、中立は年 2% あまりで 10 年 1.25 倍。単価は家賃に連動し、茨城の家賃は物価を少し下回って 1.25 倍。
仲介(賃貸・売買)
県内 18 店と柏・台東の店での賃貸と売買の仲介。
| 数量仲介件数(件・推定) | 価格1 件あたりの手数料(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 11,000 | 0.00 | 18 | 3 |
| 10 年後 中立 | 10,450 | 0.00 | 21 | 3 |
取り方:不動産流通事業 85.78 億から不動産の販売 68.19 億を引いた約 17.6 億を仲介とみた。件数は開示が無く、1 件あたり平均 16 万円(賃貸の仲介が多く、売買は少ないが高い)として約 1.1 万件と推定。流通事業の利益 8.71 億を、仲介 3.2 億・販売 5.5 億に推定で分けた。
不動産の販売(投資用アパート・土地・中古住宅)
自社企画の投資用アパート「レーガベーネ」と、土地・中古住宅を仕入れて手を入れて売る。
| 数量販売件数(件・推定) | 価格1 件あたりの価格(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 200 | 0.34 | 68 | 6 |
| 10 年後 中立 | 200 | 0.46 | 91 | 6 |
取り方:不動産売上 68.19 億(レーガベーネ 12 棟と大型の土地を含む)。件数は開示が無く、1 棟 2〜3 億のアパートと 2,000 万円前後の土地・中古住宅を合わせて約 200 件・平均 3,400 万円と推定。価格は物価並みの 1.34 倍、利幅は建築費と金利で 7% に薄くなるとみた。
リスクと懸念
茨城の人口減
地盤の茨城は人口が年 0.5〜1% 減る。賃貸の需要が細れば空室が増え、家主は管理の手数料の値下げを求める。管理戸数を増やしても、1 戸あたりの稼ぎが伸びない恐れがある。
金利と建築費
投資用アパートの販売は、金利と建築費に左右される。金利が上がれば投資家が買えず、建築費が上がれば利幅が消える。会社自身が用地の確保と建築費の影響を課題に挙げている。
在庫と借入
販売用の土地と建物を借入で抱え、有利子負債は 75 億円ある。不動産の値段が下がる局面では、在庫の評価損と利払いの増加が同時に効き、自己資本が削られる。
売却益への頼り
直近の純利益は、太陽光の施設の売却益で 4 億円ほどかさ上げされている。2026 年も売却益を見込むが、売れる施設はいずれ尽きる。ならした利益は 7 億円ほどだ。
仲介の手数料の下げ圧力
部屋探しはネットに移り、AI の案内で手続きがさらに簡単になれば、仲介の手数料には下げ圧力がかかる。管理は体の仕事で置き換わりにくいが、仲介は影響を受ける。
今後の分かれ目
- 管理戸数の増え方が年 3% を超え、つくば・守谷・柏で店が増えたら
- 地盤の作り方が県の外でも効く証拠になる。やや楽観の確率を上げる。
- レーガベーネの販売棟数が 2 年続けて減り、在庫が積み上がったら
- 金利と建築費で販売が細る筋書きが近いと見て、やや悲観に重みを移す。
- 地方の管理会社を買って管理戸数を大きく増やしたら
- 買った値段が管理の稼ぎに見合うかを見る。見合えば中立の戸数を上げる。
- 配当の性向を 3 割以上に引き上げたり、自社株買いを増やしたら
- 社内に残る利益が減り、稼ぎの率が保たれる。還元の割合を見直す。
- 大手の管理会社から買収の提案が出たら
- 本質価値の見方は変えず、提案の値段と比べる。
見ておくもの
- 管理戸数と駐車場の台数
- レーガベーネの販売棟数と利幅
- 販売用不動産の残高と有利子負債
- 特別利益(施設の売却益)を除いた純利益
- 配当の性向と自社株買い
倍率と資本コストの決め方
倍率は今や過去の株価から置いていない。k 7.5%(基本 7.5% に循環 +0.5%・借金 +0.5%)。利益の 7 割を社内に残すので 10 年の ROE は中立で k を下回り、PER の上限は 1÷k の 11.8 倍として、その 8.5〜9 割に置いた。楽観だけは ROE が k を上回り、正当化 PER の式で置いた。純利益の起点は太陽光の売却益を除いた 7.2 億円(net_start)。新株予約権の 2% の希薄化は holder_share で掛けた。利払いは借り換えの 3.5% で純利益から引いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.43→16.94 倍・やや楽観 PER 10.72→15.91 倍・中立 PER 10→14.37 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。