結論
トラストホールディングスは、福岡を拠点に九州と中国地方で 1,000 か所余りの駐車場を運営し、地方都市でマンションも分譲する会社だ。筆者の結論は「割高」で、一番の理由は、借金の厚さに対して自己資本が薄すぎ、地方の駐車場の薄い利益では株主に残る分が小さいことにある。
駐車場は手堅い事業だ。車室は 1 年で 1 割増え、売上の 6 割を稼ぐ。だが、その多くは借りた土地で、地代は売上が落ちても払い続ける固定の約束だ。利益率は 4% 前後しかない。
2026 年 6 月期は、医療法人への貸付金の引当と、マンションの売れ残りで 7 億円の赤字を出した。自己資本は 4.5 億円まで減り、自己資本比率は 4% 台になった。借入は 60 億円ある。金利が上がれば、薄い利益はさらに削られる。
10 年の中立で、駐車場は少しずつ増えるが、値上げは物価に届かないと筆者は見る。利益の多くは利払いに消え、本質価値は今の時価総額の半分を下回る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、トラストホールディングスは「事業は分かりやすいが、借金の上に乗った会社」だ。
駐車場という商売そのものは悪くない。設備は精算機と看板くらいで、毎日現金が入る。地方の土地の情報を押さえる営業の力も持っている。
だが、オーナーとして持つには、財務の脆さが大きすぎる。自己資本は借入の 13 分の 1 しかない。2026 年のように本業の外で 7 億円の損失が出れば、それだけで自己資本の大半が消える。地代は売上が落ちても払う固定の約束で、金利の上昇も利益を削る。
過去の高い ROE は、自己資本の小ささが生んだ見かけの数字だ。少しのつまずきで株主の取り分が消える事業に、安全域は無いと筆者は見る。今の値段は、薄い利益が 10 年かけて少しずつ自己資本を積み直す筋を、すでに先取りしている。
何で稼ぐ会社か
事業の柱は駐車場だ。子会社のトラストパークが、九州と中国地方の都市でコインパーキングと月極の駐車場を運営する。2026 年 6 月末で 1,010 か所・3 万 3,856 車室あり、売上 118 億円の 6 割を稼ぐ。土地の多くは持ち主から借り、精算機を置いて時間貸しする。土地を買わずに済むので少ない元手で広げられるが、毎月の地代を必ず払う。
2 つ目はマンションの分譲だ。佐賀・福岡・鹿児島など地方都市で、年に 100 戸前後を建てて売る。2026 年は建築費の高止まりと住宅ローンの金利上昇で、引き渡しは 68 戸と計画を 52 戸下回った。
3 つ目は「トラストパートナーズ」という駐車場の小口の商品だ。駐車場をまとめた不動産を小口に分けて個人の投資家に売り、運営はトラストパークが続ける。年に 3 本ほど組み、1 本で 1.5 億円前後になる。
残りは、医療機関への不動産の賃貸と貸付、キャンピングカーの製造と販売、温浴施設と警備だ。医療法人への貸付金は、2026 年に回収が危うくなり、7 億円の引当を積んだ。事業は多いが、どれも規模は小さい。
優良さと弱いところ
優良さは「駐車場は手堅いが、会社としては脆い」と見る。駐車場は、場所を押さえれば毎日小銭が入る商売だ。九州の地方都市でこれだけの数をまとめて運営している会社は多くない。土地の情報を集め、地主との契約をまとめる営業の力は本物だ。
だが、値段の主導権は弱い。地方の駐車場の料金は周りの相場で決まり、大きくは上げられない。一方で地代と人件費は上がる。2026 年の駐車場の利益率は 4% 台で、地代の値上げが少し重なれば消える厚さだ。
財務はさらに脆い。自己資本は 4.5 億円で、借入は 60 億円ある。自己資本比率は 4% 台まで落ちた。マンションの在庫と駐車場の機器を借入で賄う形で、金利が上がるたびに利益が削られる。医療法人への貸付のように、本業から離れた所での損失が自己資本をすぐに削る。過去 10 年の ROE の中央値は 22% と高く見えるが、それは自己資本が小さいからで、事業が強いからではない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
駐車場の市場は、車の数と街の人の流れで決まる。九州の地方都市は人口がゆるやかに減り、車を持つ人の数も先細る。一方で、公共の交通が弱い地方では、車が生活の足であり続ける。駐車場の需要は、10 年で大きくは変わらないと筆者は見る。
全国ではタイムズを持つパーク 24 と、三井のリパークが大きい。上位の会社は、精算の仕組みとカーシェアをまとめて規模で勝つ。トラストパークは九州の地場で、土地の持ち主との近さと情報の速さで戦う。大手が地方の小さな土地まで取りにくることは少ないが、良い場所の取り合いでは地代が上がる。
地代と人件費は上がり続ける。土地の値段が上がれば、持ち主は駐車場より高く稼げる使い道を探す。契約の更新のたびに地代を上げられ、条件が合わなければ駐車場を返すことになる。
マンションの分譲は、地方でも建築費の高騰と金利の上昇が重い。佐賀や鹿児島のような街では、値段を上げると買い手がついてこない。2026 年の売れ残りは、その壁を示している。筆者は、駐車場の車室は 10 年で 1 割強増えるが、1 車室の売上は物価を下回るペースでしか上がらないと見る。
資本政策と M&A
還元は配当が中心で、2026 年 6 月期は総額 0.7 億円を払った。赤字の年でも配当を続け、2027 年も同じ額の予定だ。配当性向の目安は 3 割台になる。自社株買いの余力は無い。
財務の立て直しが先だ。自己資本は 4.5 億円で、借入は 60 億円ある。現金は 20 億円あるが、短期の借入が 32 億円あり、マンションの用地と建物の仕入れに回っている。余った現金は無い。
買収や再編の動きは見当たらない。親会社は無く、TOB の話も無い。駐車場の小口の商品は、駐車場を売って資金を回す手段でもあり、財務を軽くする方向に使える。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
駐車場は伸びている。1 年で 82 か所・3,685 車室増え、売上は過去最高だ。料金の見直しや新しい紙幣に合わせた精算機の入れ替えで、1 車室の稼ぎも上がる。九州の地方都市で、これだけの数をまとめて運営できる会社は他に無い。
2026 年の赤字は一度きりだ。医療法人への貸付金の引当と、マンションの引き渡しのずれが重なった。2027 年は売上 138 億円、純利益 2 億円の黒字に戻る予想だ。マンションは在庫を積んだ分、来期の引き渡しが増える。
小さな自己資本は、裏返せば利益が戻った時の ROE の高さになる。2023 年と 2024 年は ROE が 3 割を超えた。トラストパートナーズで駐車場を小口に売れば、在庫を軽くして借入も減らせる。財務を立て直しながら、駐車場の数を積み上げる 10 年は十分描ける。
地方の駐車場は、大手が手を出しにくい小さな土地が多い。地主との近さで土地を押さえる地場の会社にこそ、伸びる余地がある。
慎重な見方
自己資本 4.5 億円に借入 60 億円は、少しのつまずきで株主の取り分が消える形だ。2026 年は医療法人への貸付という本業の外で 7 億円を失い、自己資本の 6 割を一度に削った。同じことがもう一度あれば、債務超過が見える。
駐車場の利益率は 4% 台だ。土地の多くは借りていて、地代は売上が落ちても払い続ける。地代も人件費も上がり、料金は周りの相場で決まる。利益は一度の地代の値上げで消える。
マンションは地方の建築費と金利に負けている。2026 年は計画の 6 割弱しか引き渡せず、在庫が積み上がった。売れ残れば値下げと評価損になる。金利が上がれば、60 億円の借入の利払いだけで利益の大半が消える。過去の高い ROE は、薄い自己資本の見かけの数字にすぎない。
小さな自己資本は、利益が出た年の ROE を高く見せるが、損失が出た年には株主の取り分を一気に消す。増資となれば今の株主の持ち分は大きく薄まる。
どちらに重みを置いたか
駐車場の伸びは本物だが、それを支える財務が脆い。慎重な見方の言う自己資本の薄さと地代の固定の重さは、2026 年の赤字ですでに表れた。中立は駐車場が少しずつ増え、利益は利払いに削られる形に置き、確率は中立を 38%、悲観側に 35% を置いた。強気の見方の黒字の戻りは中立に入れている。財務の脆さは k の借金の上乗せと悲観の確率の両方で見ている。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した株価時価総額 936 円36 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 170 円7 億円)。 今の値に割り戻すと 496 円19 億円、今との差 −41.8%、 期待の年率 +2.6%(資本コスト 9.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 2,122 円82 億円 | 292 円11 億円 | +183.0% | +11.0% | 169 円7 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,566 円61 億円 | 240 円9 億円 | +111.7% | +7.8% | 361 円14 億円 |
| 中立 | 38% | 1,156 円45 億円 | 201 円8 億円 | +59.1% | +4.8% | 516 円20 億円 |
| やや悲観 | 21% | 153 円6 億円 | 103 円4 億円 | −69.9% | −11.3% | 54 円2 億円 |
| 悲観 | 14% | 24 円1 億円 | 26 円1 億円 | −94.2% | −24.8% | 7 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 936 円36 億円 | 170 円7 億円 | +29.7% | +2.6% | 1,107 円43 億円 |
今の株価時価総額 853 円33 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.3% を下回るほど割高。
楽観 7% 駐車場が 4 万車室を超え、財務も立て直す 利益 4 億円 · PER 16.5 倍 · 株価時価総額 2,122 円82 億円
駐車場は九州の地方都市で数を増やし、車室は 4 万 2,000 まで 2 割強増える。料金の見直しと精算の仕組みの更新で、1 車室の稼ぎは物価並みに上がる。トラストパートナーズは年 6 本に増え、駐車場を小口に売って得た資金で借入を返す。
マンションは地方の再開発の需要を取り、引き渡しは年 110 戸に増える。医療法人への貸付のような本業の外の損失は出ない。利払いは借入の減りで抑えられ、自己資本は 25 億円まで積み上がる。地方の駐車場の会社として、財務の不安から抜け出す 10 年になる。地場の営業の力が、借金に頼らない成長の形に変わった姿だ。
- 駐車場(トラストパーク):数量 42,000(車室数(室))× 価格 0.00(1 車室あたり年の売上(億円・名目))→ 売上 116 億円・営業利益 6 億円。車室 1.24 倍 × 1 車室 1.32 倍、利益率 5.5%
- 不動産(地方都市の新築マンション分譲・賃貸):数量 110(引き渡し戸数(戸/年))× 価格 0.51(1 戸あたりの売上(億円・名目、賃貸・仲介を含む))→ 売上 56 億円・営業利益 3 億円。戸数 1.62 倍 × 1 戸 1.37 倍、利益率 6%
- 駐車場等小口化(トラストパートナーズ):数量 6.0(組成の本数(本/年))× 価格 2.40(1 本あたりの売上(億円・名目))→ 売上 14 億円・営業利益 1 億円。本数 2 倍 × 1 本 1.37 倍、利益率 8%
- メディカル・RV・温浴・警備:数量 45.0(拠点・施設・契約の数(件・推定))× 価格 0.55(1 件あたり年の売上(億円・名目))→ 売上 25 億円・営業利益 1 億円。件数 1.13 倍 × 1.38 倍、利益率 4%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 51.4% が k 9.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 30.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.5 倍。全体の PER 16.53 倍、時価総額 73 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:駐車場の増え方は速いが、地代と人件費の上昇の中で利益率を 5% 台に上げ、同時に借入を減らすには、マンションと小口の商品の両方がうまく回る必要がある。重なる条件が多いので 1 割に届かない 7% にした。
やや楽観 20% 駐車場が着実に増え、黒字が定着する 利益 3 億円 · PER 16.1 倍 · 株価時価総額 1,566 円61 億円
駐車場は年に数十か所ずつ増え、車室は 4 万まで 2 割増える。料金は物価をやや下回るペースで上がる。マンションは年 100 戸ほどを安定して引き渡し、在庫は適正な水準に戻る。トラストパートナーズは年 5 本で、駐車場の開発の資金を回す。
全社の営業利益は 9 億円台に乗り、利払いを払っても純利益は 3 億円を超える。配当は利益の 3 割強を続け、自己資本は 20 億円を超える。財務の不安は和らぐが、借入の厚さは残り、金利の動きに振られる会社のままの 10 年になる。それでも、黒字が続けば株主の取り分は少しずつ厚くなる。
- 駐車場(トラストパーク):数量 40,000(車室数(室))× 価格 0.00(1 車室あたり年の売上(億円・名目))→ 売上 107 億円・営業利益 5 億円。車室 1.18 倍 × 1 車室 1.29 倍、利益率 5%
- 不動産(地方都市の新築マンション分譲・賃貸):数量 100(引き渡し戸数(戸/年))× 価格 0.50(1 戸あたりの売上(億円・名目、賃貸・仲介を含む))→ 売上 50 億円・営業利益 3 億円。戸数 1.47 倍 × 1 戸 1.35 倍、利益率 5%
- 駐車場等小口化(トラストパートナーズ):数量 5.0(組成の本数(本/年))× 価格 2.40(1 本あたりの売上(億円・名目))→ 売上 12 億円・営業利益 1 億円。本数 1.67 倍 × 1 本 1.37 倍、利益率 7%
- メディカル・RV・温浴・警備:数量 42.0(拠点・施設・契約の数(件・推定))× 価格 0.54(1 件あたり年の売上(億円・名目))→ 売上 23 億円・営業利益 1 億円。件数 1.05 倍 × 1.35 倍、利益率 3%
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 42.0% が k 9.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 25.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.1 倍。全体の PER 16.08 倍、時価総額 53 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2027 年の予想は純利益 2 億円の黒字で、駐車場の車室も 1 年で 1 割増えた。赤字の主因の引当は一度きりなので、黒字が定着する筋に 2 割を置いた。
中立 38% 駐車場は少し増えるが、利益は利払いに削られる 利益 2 億円 · PER 15.5 倍 · 株価時価総額 1,156 円45 億円
駐車場の車室は 10 年で 1 割強増える。良い場所の取り合いで地代は上がり、契約を更新できずに返す駐車場も出る。料金は周りの相場で抑えられ、1 車室の稼ぎは物価をやや下回るペースで上がる。駐車場の利益率は 4% 台半ばにとどまる。
マンションは年 90 戸ほどで、地方の建築費と金利に押されて利益は薄い。全社の営業利益は 7 億円ほどだが、借入の利払いが重く、純利益は 2.5 億円前後にとどまる。配当は利益の 3 割強を続け、自己資本は 19 億円まで積み直る。財務は少しずつ厚くなるが、借金の上に乗った形は変わらない 10 年になる。
- 駐車場(トラストパーク):数量 38,000(車室数(室))× 価格 0.00(1 車室あたり年の売上(億円・名目))→ 売上 99 億円・営業利益 4 億円。車室 1.12 倍 × 1 車室 1.25 倍、利益率 4.5%
- 不動産(地方都市の新築マンション分譲・賃貸):数量 90.0(引き渡し戸数(戸/年))× 価格 0.50(1 戸あたりの売上(億円・名目、賃貸・仲介を含む))→ 売上 45 億円・営業利益 2 億円。戸数 1.32 倍 × 1 戸 1.34 倍、利益率 4%
- 駐車場等小口化(トラストパートナーズ):数量 4.0(組成の本数(本/年))× 価格 2.35(1 本あたりの売上(億円・名目))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。本数 1.33 倍 × 1 本 1.34 倍、利益率 6%
- メディカル・RV・温浴・警備:数量 40.0(拠点・施設・契約の数(件・推定))× 価格 0.54(1 件あたり年の売上(億円・名目))→ 売上 21 億円・営業利益 0 億円。件数 1.0 倍 × 1.34 倍、利益率 2%
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 34.1% が k 9.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 21.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.5 倍。全体の PER 15.53 倍、時価総額 38 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:駐車場の伸びと、地代・人件費・金利の上昇が打ち消し合う今の延長を中心に 4 割弱を置いた。
やや悲観 21% 地代と金利に挟まれ、利益がほぼ消える 利益 0 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 153 円6 億円
地代と人件費が上がり、料金は相場で抑えられて、駐車場の利益率は 3% に下がる。採算の悪い駐車場を返し、車室は今より 1 割減る。マンションは建築費と金利の壁で年 60 戸に減り、利益は出ない。
借入の金利が上がり、営業利益の大半が利払いに消える。純利益は 0.3 億円ほどで、配当は細る。自己資本は 12 億円ほどまでしか戻らず、財務の不安は続く。会社は残るが、株主に残る利益はほとんど無く、借り手として金融機関の顔色をうかがう 10 年になる。駐車場を手放して借入を返す場面も増え、規模は少しずつ縮む。
- 駐車場(トラストパーク):数量 34,000(車室数(室))× 価格 0.00(1 車室あたり年の売上(億円・名目))→ 売上 83 億円・営業利益 3 億円。車室 1.0 倍 × 1 車室 1.18 倍、利益率 3%
- 不動産(地方都市の新築マンション分譲・賃貸):数量 60.0(引き渡し戸数(戸/年))× 価格 0.46(1 戸あたりの売上(億円・名目、賃貸・仲介を含む))→ 売上 28 億円・営業利益 0 億円。戸数 0.88 倍 × 1 戸 1.24 倍、利益率 0%
- 駐車場等小口化(トラストパートナーズ):数量 2.0(組成の本数(本/年))× 価格 2.20(1 本あたりの売上(億円・名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。本数 0.67 倍 × 1 本 1.26 倍、利益率 4%
- メディカル・RV・温浴・警備:数量 35.0(拠点・施設・契約の数(件・推定))× 価格 0.50(1 件あたり年の売上(億円・名目))→ 売上 18 億円・営業利益 0 億円。件数 0.88 倍 × 1.25 倍、利益率 0%
倍率:ROE 2.5% が k 9.25% を大きく下回る。稼ぐ力(純利益 ÷ k = 3.2 億円)を上限に、9.0 倍に置いた。
確率:駐車場の利益率は 4% 台しかなく、地代と金利が少し上がるだけで消える。マンションの売れ残りも 2026 年に表れたので 2 割を置いた。
悲観 14% 損失が重なり、債務超過に陥る 利益 −4 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 24 円1 億円
マンションの売れ残りに値下げと評価損が出て、医療法人への貸付でも追加の損失が出る。地代の上昇で駐車場の利益も消え、全社は営業赤字になる。自己資本はマイナスに落ち、金融機関は融資の条件を厳しくする。
駐車場の一部を売って借入を返し、増資で穴を埋める。今の株主の取り分は大きく薄まる。価値は事業の稼ぎでも資産でもなく、再建の見込みの分しか残らない。駐車場の運営の力は残っても、その上に乗った借金の重さに株主が押しつぶされる 10 年になる。駐車場の事業は他社に引き取られ、上場の会社として残る意味も薄れる。
- 駐車場(トラストパーク):数量 30,000(車室数(室))× 価格 0.00(1 車室あたり年の売上(億円・名目))→ 売上 69 億円・営業利益 0 億円。車室 0.89 倍 × 1 車室 1.10 倍、利益率 0%
- 不動産(地方都市の新築マンション分譲・賃貸):数量 40.0(引き渡し戸数(戸/年))× 価格 0.42(1 戸あたりの売上(億円・名目、賃貸・仲介を含む))→ 売上 17 億円・営業利益 −1 億円。戸数 0.59 倍 × 1 戸 1.13 倍、利益率 −8%(評価損)
- 駐車場等小口化(トラストパートナーズ):数量 1.0(組成の本数(本/年))× 価格 2.00(1 本あたりの売上(億円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。本数 0.33 倍 × 1 本 1.14 倍、利益率 0%
- メディカル・RV・温浴・警備:数量 30.0(拠点・施設・契約の数(件・推定))× 価格 0.45(1 件あたり年の売上(億円・名目))→ 売上 14 億円・営業利益 0 億円。件数 0.75 倍 × 1.13 倍、利益率 −3%
倍率:赤字で債務超過に落ちる筋なので、稼ぐ力の床も資産の床も使えない。再建の見込みの分として、今の自己資本 4.5 億円に PBR 0.2 倍を掛けた 0.9 億円にとどめた。
確率:自己資本は 4.5 億円しかなく、2026 年は一度の引当でその 6 割を失った。マンションの評価損や貸付の追加の損失が重なれば債務超過になる。財務の脆さを重く見て 14% を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
駐車場(トラストパーク)
九州・中国地方の都市で、借りた土地を中心にコインパーキングと月極の駐車場を運営する。
| 数量車室数(室) | 価格1 車室あたり年の売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 33,856 | 0.00 | 71 | 3 |
| 10 年後 中立 | 38,000 | 0.00 | 99 | 4 |
取り方:2026/06 期末の車室数 33,856(開示)で駐車場事業の売上 70.57 億円を割った。期中に 3,685 車室増えたので、期末の数で割ると 1 車室の稼ぎは少し低めに出る。営業利益は開示のセグメント利益。
不動産(地方都市の新築マンション分譲・賃貸)
佐賀・福岡・鹿児島などの地方都市で新築マンションを建てて売る。賃貸・仲介も含む。
| 数量引き渡し戸数(戸/年) | 価格1 戸あたりの売上(億円・名目、賃貸・仲介を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 68.0 | 0.37 | 25 | −1 |
| 10 年後 中立 | 90.0 | 0.50 | 45 | 2 |
取り方:2026/06 期の引き渡し 68 戸(開示)で不動産事業の売上 25.23 億円を割った。賃貸・仲介の売上も含むので 1 戸の値段は実際の分譲価格より高めに出る。
駐車場等小口化(トラストパートナーズ)
駐車場をまとめた不動産を小口に分けて個人の投資家に売る。運営はトラストパークが続ける。
| 数量組成の本数(本/年) | 価格1 本あたりの売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 3.0 | 1.75 | 5 | 0 |
| 10 年後 中立 | 4.0 | 2.35 | 9 | 1 |
取り方:2026/06 期の組成 3 本(38〜40 号、販売総額 4.39 億円、開示)とセグメント売上 5.25 億円から、1 本あたり 1.75 億円とした。
メディカル・RV・温浴・警備
医療機関への不動産の賃貸と貸付、キャンピングカーの製造・販売、温浴施設 2 か所、警備。
| 数量拠点・施設・契約の数(件・推定) | 価格1 件あたり年の売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 40.0 | 0.40 | 16 | −7 |
| 10 年後 中立 | 40.0 | 0.54 | 21 | 0 |
取り方:メディカル 2.60 億円・RV 3.93 億円・その他 10.47 億円の合計を、施設と契約 約 40 件(推定)で割った。営業利益はメディカルの貸倒引当金 約 7 億円を含む開示の合計。
リスクと懸念
薄い自己資本
自己資本は 4.5 億円で、借入の 13 分の 1 しかない。2026 年のような 7 億円の損失がもう一度出れば債務超過が見え、増資や資産の売却で株主の取り分が薄まる。
地代の固定の約束
駐車場の土地の多くは借りていて、地代は売上が落ちても払い続ける。地代と人件費が上がり、料金が相場で抑えられれば、4% 台の利益率はすぐに消える。
金利の上昇
借入は 60 億円で、短期の借入が多い。借り換えのたびに新しい金利になり、利払いが増える。純利益は営業利益の 3〜4 割しか残らず、利払いの増加がそのまま株主の取り分を削る。
地方のマンションの売れ残り
佐賀・福岡・鹿児島などの地方都市で分譲する。建築費の高騰と住宅ローンの金利上昇で、2026 年は計画の 6 割弱しか引き渡せなかった。在庫が残れば値下げと評価損になる。
本業の外の貸付
医療法人への貸付金は、2026 年に 7 億円の引当を積んだ。不動産の賃貸と一体の貸付で、相手の経営が悪化すれば追加の損失が出る。本業から離れた所での損失が自己資本を削る。
今後の分かれ目
- 2027 年 6 月期に予想どおり純利益 2 億円の黒字に戻り、自己資本比率が 1 割に向かったら
- 財務の立て直しが進んでいるとみて、やや楽観に重みを移す。
- 駐車場の利益率が 5% を超えて続いたら
- 料金の見直しが地代の上昇に勝っている証拠とみて、中立の利益率を上げる。
- マンションの在庫で評価損や大きな値下げが出たら
- 地方の分譲の壁が続いているとみて、やや悲観に寄せる。
- 医療法人への貸付で追加の損失が出たら
- 自己資本がさらに削られるとみて、悲観の確率を上げる。
- 増資や資産の売却で財務を立て直したら
- 株主の取り分の薄まりと財務の改善を比べて、価値を見直す。
見ておくもの
- 自己資本と自己資本比率の推移
- 駐車場の車室数と駐車場事業の利益率
- マンションの引き渡し戸数と在庫
- 短期借入と利払いの推移
- 医療法人への貸付金の回収
倍率と資本コストの決め方
倍率は k 9.25% と各筋書きの ROE から、正当化 PER の式(残る割合 1/2・g 4%)で出し、借金の重さと利益の薄さを見て上限の 8 割に置いた。中立の ROE 13% は過去の中央値(22%)より低く、薄い自己資本の見かけの高さを外した。今の PER や PBR(7 倍台)、過去の株価は使っていない。純利益÷営業利益は過去の中央値 0.35 を基本にした。地代は家賃と同じく営業費用に入れた今の形で置き、2028 年 6 月期からの新リース会計で負債の形が変わる点は数字の形だけの違いとみた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.66→16.53 倍・やや楽観 PER 10.24→16.08 倍・中立 PER 9.75→15.53 倍)。
資本コスト 9.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。