結論
コーセーアールイーは、福岡市を地盤に家族向けと投資用の分譲マンションを建てて売る会社だ。熊本や鹿児島など九州の主要都市にも広げている。売上は約 100 億円で、9 割をマンションの販売が占める。筆者の結論は、今の値段は割高というものだ。
一見すると安く見える。時価総額は約 70 億円で、自己資本 107 億円の 0.65 倍しかない。だが、その自己資本の中身は販売用の土地と建物で、約 78 億円の借入で支えている。稼ぐ力は細っている。2026 年 1 月期の純利益は約 7 億円だったが、会社の中期計画は今後 3 年の純利益を 4.4〜5.0 億円と置いた。自己資本利益率は 4〜5% で、資本コストの 9% に届かない。
資本コストに届かない会社が利益をためても、その利益は額面ほどの価値を持たない。土地と建築費が上がる中で、値段を上げても取り分は薄い。借入の金利が上がれば、さらに削られる。帳簿より安い株価は、この稼ぐ力の弱さを映したものだと筆者は見る。割安と言えるのは、自己資本利益率を資本コストの近くまで戻す道筋が見えた時だ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、PBR の低さに飛びつかないことが大事だ。帳簿の自己資本は、借入で建てた在庫の土地と建物が中心で、すぐ現金になる資産ではない。景気が悪い時には、この在庫は値下げで売らねばならず、自己資本は目減りする。
もう一つは、自己資本利益率と資本コストの差だ。資本コストを 8% と置くと、4〜5% しか稼がない会社がためた利益は、株主にとって額面ほどの価値を持たない。だから、ためた分だけ自己資本が増えても、株価がそれに比例して上がるとは限らない。
買いの理由になるのは、自己資本利益率を 8% 以上に戻す道筋だ。たとえば、管理の手数料の比率を上げる、在庫を絞って借入を減らす、余った資本を自社株買いで返す、といった動きがあれば評価は変わる。それが見えるまでは、帳簿より安くても安全域は乏しいと筆者は見る。
今の値段は、中立の筋書きの値を上回っている。安全域を求めるなら、待つ方がよい。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は三つある。最も大きいのが家族向けの分譲マンション「グランフォーレ」で、2026 年 1 月期は 128 戸を引き渡し、売上 63 億円、利益 7.1 億円を出した。1 戸あたりの値段は約 4,900 万円だ。福岡市の中心部に近い場所が多く、近年は熊本と鹿児島でも建てている。
二つめが資産運用型のマンションだ。福岡市の中心部に単身者向けのワンルームを建て、個人の投資家に 1 戸ずつ売る。2026 年 1 月期は 151 戸、売上 30 億円、利益 2.4 億円だった。1 戸は約 2,000 万円で、買い手はローンを組む会社員や医師が多い。
三つめが、売った後に続く手数料の稼ぎだ。投資家に売ったワンルームの賃貸管理を請け負い、管理の戸数は 3,352 戸ある。ほかにマンションの建物の管理と仲介があり、3 事業で売上 7.4 億円、利益 1.7 億円になる。額は小さいが、毎年積み上がり景気に強い。
マンションは土地を買ってから引き渡すまで 2〜3 年かかる。その間の土地代と建築費は借入でまかなうので、在庫と借入が一緒に膨らむ。引き渡しは完成の時期に偏り、四半期ごとの利益は大きく振れる。2026 年 7 月までの半期は営業赤字だったが、これは引き渡しが下期に集まるためだ。
優良さと弱いところ
優良さは普通より下と筆者は見る。分譲マンションは、土地を仕入れて建てて売る商売で、作り方に他社と大きな差は付きにくい。強みは福岡で 30 年以上続けてきた土地の情報と、地元での名前の通りだ。だが福岡市には大手の財閥系や全国の中堅の開発会社も集まり、良い土地は値段の競争で決まる。
利益率は景気と土地の値段に強く左右される。過去 10 年の自己資本利益率の中央値は 11% 台と高かったが、これは福岡の地価の上昇と低い金利が重なった時期の数字だ。会社自身が中期計画で今後 3 年の純利益を 4.4〜5.0 億円に置いたことは、土地と建築費の上昇で取り分が薄くなったことを示す。
よい点は、売った後に管理の手数料が残る仕組みだ。ワンルームを売るほど管理の戸数が増え、景気が悪い年にも利益の下支えになる。ただ、その額は営業利益の 2 割ほどで、全体の振れを抑えるほどではない。
在庫と借入を膨らませて伸ばす形なので、資本の使い方の巧さが問われる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
福岡市は、日本の大都市の中で人口が増え続ける数少ない街だ。若い人が九州の各地から集まり、単身と共働きの世帯が増えている。天神と博多駅のまわりでは再開発が進み、熊本には半導体の大きな工場ができた。マンションの需要は、地方の都市の中では底堅い部類に入る。
一方で、作る側の費用は上がり続けている。福岡市の中心部の地価はこの 10 年で大きく上がり、職人の不足で建築費も上がった。分譲の値段は上がったが、買い手の所得はそれほど速く伸びない。新築の値段が会社員の手に届く範囲を超え始め、供給の戸数は細っている。
金利も向かい風だ。日本の金利が上がれば、買い手の住宅ローンと、投資用の物件を買う人のローンが重くなる。開発会社自身の借入の利息も増える。10 年で見れば、福岡のマンションの市場は戸数が少し細り、値段が物価並みに上がる市場だと筆者は見る。伸びるのは、立地の良い土地を早く押さえられる会社と、売った後の管理で稼げる会社だ。
九州の他の街では、熊本が半導体の工場で活気づく一方、鹿児島や地方の中小都市は人口が減る。会社が九州に広げるほど、街ごとの需要の差を見極める目が問われる。
資本政策と M&A
配当は 1 株の額を据え置いており、総額は年約 2.4 億円だ。以前は配当性向 30% の方針だったが、利益が減る中期計画の 3 年間は額を保つと決め、性向は 5 割前後に上がる。自社株買いは目立った実績が無い。社長の資産管理会社である TMI トラストが約 21% を持つその他の関係会社で、賃貸マンションの管理を請け負う以外の取引は無い。純負債の会社なので余った現金は無く、ためた利益は次の土地と在庫に回る。借入は約 78 億円で、現金を引いた純負債は約 55 億円ある。
在庫を絞って借入を返すか、自社株買いで資本を返さない限り、自己資本利益率は上がりにくい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
福岡は人口が増え続ける数少ない大都市で、マンションの需要は地方の中で最も底堅い。天神と博多駅の再開発が進み、熊本の半導体の工場も九州の所得を押し上げる。会社は福岡で 30 年以上の実績があり、土地の情報と地元での名前の通りを持つ。熊本と鹿児島にも広げ、2026 年 7 月には鹿児島の天文館の物件も完成した。
しかも、株価は帳簿の 0.65 倍しかない。自己資本 107 億円のうち、在庫の土地と建物は値段が上がってきたもので、帳簿より高く売れる物件も多い。2026 年 1 月期は純利益 7 億円を出しており、中期計画の 4.4 億円は控えめな置き方とも読める。
ワンルームを売るたびに賃貸管理の戸数が増え、手数料の稼ぎは 10 年で 1.5 倍近くに積み上がる。利益率が過去の平均に戻るだけで、今の値段は割安になる。
さらに、会社は九州の主要都市に広げることで、福岡だけに頼らない形を作りつつある。熊本は半導体の工場で人が集まり、家族向けの需要が伸びている。土地の情報を持つ地元の会社は、大手が入りにくい中規模の土地で強みを出せる。
慎重な見方
株価が帳簿を割るのには理由がある。自己資本利益率は 4〜5% で、資本コストに届かない。会社自身が中期計画で、純利益を 2026 年 1 月期の 7 億円から 4.4〜5.0 億円に下げて置いた。土地と建築費の上昇を値段に乗せきれていない証拠だ。
借入は約 78 億円あり、金利が上がるほど利息が増える。2026 年 7 月までの半期の支払利息は前の年の 1.4 倍になった。買い手のローンも重くなり、投資用のワンルームは利回りが下がって売りにくくなる。
帳簿の自己資本の中身は、販売用の土地と建物だ。市況が崩れれば値下げで売るしかなく、自己資本はすぐに目減りする。福岡には大手の開発会社も集まり、良い土地ほど高く競り上がる。利益をためても資本コストを稼げない会社に、帳簿の値段を払う理由は無い。
さらに、PBR が低いまま放っておかれてきたのにも理由がある。会社は利益を在庫に回すだけで、自社株買いはしてこなかった。株主に返す道筋が無い限り、帳簿の値段に近づく力は弱い。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方がやや強い。福岡の需要は本物でも、土地と建築費の上昇と金利が取り分を削る形は変わりにくく、会社の中期計画の減益がそれを示す。PBR の低さは割安の根拠にならないと筆者は見る。
確率は中立と悲観の側に厚く置いた。在庫を絞り借入を減らし、資本を返す動きが出るまで、今の値段に払う理由は伸びの前提にしか無い。PBR の低さだけでは、その前提の代わりにならない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/01 期)
確率で加重した株価時価総額 658 円67 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 237 円24 億円)。 今の値に割り戻すと 466 円47 億円、今との差 −32.7%、 期待の年率 +2.6%(資本コスト 8.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 1,241 円126 億円 | 325 円33 億円 | +125.9% | +8.5% | 157 円16 億円 |
| やや楽観 | 22% | 954 円97 億円 | 276 円28 億円 | +77.5% | +5.9% | 271 円27 億円 |
| 中立 | 34% | 710 円72 億円 | 236 円24 億円 | +36.5% | +3.2% | 322 円33 億円 |
| やや悲観 | 22% | 257 円26 億円 | 236 円24 億円 | −28.8% | −3.3% | 109 円11 億円 |
| 悲観 | 12% | 217 円22 億円 | 98 円10 億円 | −54.5% | −7.6% | 38 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 658 円67 億円 | 237 円24 億円 | +29.2% | +2.6% | 895 円91 億円 |
今の株価時価総額 693 円70 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 10% 九州の半導体と福岡の再開発に乗り、戸数と値段が伸びる 利益 10 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 1,241 円126 億円
天神と博多駅の再開発が実り、福岡市の人口は増え続ける。熊本の半導体の工場が九州の所得を押し上げ、家族向けのマンションは 10 年後に年 150 戸を引き渡す。1 戸の値段は 1.47 倍になり、利益率は 11% を保つ。ワンルームも年 175 戸を売り、賃貸管理の戸数は 5,500 戸に増える。純利益は約 10 億円になり、配当も増える。それでも自己資本利益率は 7% 弱で、資本コストに少し届かない。
九州の各地の物件も育ち、管理の手数料も厚くなり、景気の振れに少し強い会社になる。それでも今の値段の上を行くのは、この筋書きだけだ。
- ファミリーマンション:数量 150(引き渡す戸数(戸・年))× 価格 72(1 戸あたりの売上(百万円・名目))→ 売上 108 億円・営業利益 12 億円。戸数1.17倍・1戸1.47倍・利益率11%
- 資産運用型マンション:数量 175(引き渡す戸数(戸・年))× 価格 29(1 戸あたりの売上(百万円・名目))→ 売上 51 億円・営業利益 5 億円。戸数1.16倍・1戸1.45倍・利益率9%
- 賃貸管理・ビルメンテナンス・仲介:数量 5,500(賃貸管理の戸数(戸・期末))× 価格 30(管理 1 戸あたりの 3 事業の売上(万円・年・名目))→ 売上 17 億円・営業利益 4 億円。管理戸数1.64倍・1戸1.36倍・利益率24%
倍率:事業の純利益 10 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.9% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 126 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:福岡の再開発と熊本の半導体で九州の住まいの需要が強まり、値上げも通る形。土地と建築費と金利の三つの向かい風が同時に和らぐ必要があるので1割にとどめた。
やや楽観 22% 値上げが通り、戸数は今の水準を保つ 利益 8 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 954 円97 億円
土地と建築費の上昇は続くが、福岡の需要が底堅く値段に乗せられる。家族向けは年 135 戸、1 戸の値段は 1.41 倍になる。ワンルームも年 160 戸を保ち、賃貸管理の戸数は 5,000 戸に増える。営業利益は 11 億円台になり、純利益は 7.6 億円と 2026 年 1 月期の水準を超える。ただ、自己資本も積み上がるので、自己資本利益率は 5% 台にとどまる。
九州の他の街への広がりも少しずつ実り、熊本の家族向けが柱の一つになる。株価は帳簿の値段に近づくが、それを上回るほどの稼ぐ力は付かない。今の値段をわずかに上回る値にとどまる。
- ファミリーマンション:数量 135(引き渡す戸数(戸・年))× 価格 69(1 戸あたりの売上(百万円・名目))→ 売上 93 億円・営業利益 10 億円。戸数1.05倍・1戸1.41倍・利益率10.5%
- 資産運用型マンション:数量 160(引き渡す戸数(戸・年))× 価格 28(1 戸あたりの売上(百万円・名目))→ 売上 45 億円・営業利益 4 億円。戸数1.06倍・1戸1.40倍・利益率8%
- 賃貸管理・ビルメンテナンス・仲介:数量 5,000(賃貸管理の戸数(戸・期末))× 価格 29(管理 1 戸あたりの 3 事業の売上(万円・年・名目))→ 売上 15 億円・営業利益 3 億円。管理戸数1.49倍・1戸1.33倍・利益率23%
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.5% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 97 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:値上げが土地と建築費の上昇に追いつき、戸数は今の水準を保つ形。2026年1月期の利益率に近い姿で、過去の実績から見て2割強。
中立 34% 戸数は細り、値段と管理の積み上げで横ばい 利益 6 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 710 円72 億円
福岡の需要は底堅いが、土地と建築費の上昇で新築の値段は会社員の手に届きにくくなる。家族向けは年 125 戸とほぼ横ばいで、1 戸の値段は 1.34 倍になる。利益率は 9.5% と過去の平均より少し低い。ワンルームは年 145 戸を売り、賃貸管理の戸数は 4,600 戸に積み上がる。借入の金利は上がり、利息が稼ぎを少し削る。純利益は 5.7 億円ほどで、配当は今の額を保つ。自己資本利益率は 4% 台にとどまる。
賃貸管理の手数料は増えるが、全体を変えるほどではない。帳簿の自己資本は少しずつ増えるが、それを上回る値は付かない。PBR は 0.4 倍前後に落ち着く。
- ファミリーマンション:数量 125(引き渡す戸数(戸・年))× 価格 66(1 戸あたりの売上(百万円・名目))→ 売上 83 億円・営業利益 8 億円。戸数0.98倍・1戸1.34倍・利益率9.5%
- 資産運用型マンション:数量 145(引き渡す戸数(戸・年))× 価格 27(1 戸あたりの売上(百万円・名目))→ 売上 39 億円・営業利益 3 億円。戸数0.96倍・1戸1.35倍・利益率7.5%
- 賃貸管理・ビルメンテナンス・仲介:数量 4,600(賃貸管理の戸数(戸・期末))× 価格 29(管理 1 戸あたりの 3 事業の売上(万円・年・名目))→ 売上 13 億円・営業利益 3 億円。管理戸数1.37倍・1戸1.29倍・利益率22%
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.3% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 72 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:戸数は少し細り、値段の上昇と管理の積み上げで利益を保つが、金利と費用の上昇で取り分は薄いままという、中期計画の延長の姿。最も起こりやすいとみて34%。
やや悲観 22% 金利の上昇で買い手が細り、中期計画の水準で止まる 利益 3 億円 · PER 8.3 倍 · 株価時価総額 257 円26 億円
日本の金利が上がり、住宅ローンと投資用のローンが重くなる。家族向けは年 110 戸に減り、ワンルームも年 130 戸に細る。値段は上げたいが、売れ残りを避けるために値上げは物価より遅れる。利益率は家族向けで 8% に下がる。借入の利息は増え、純利益は 3 億円ほどに落ちる。配当の額は保つが、性向は 8 割近くになり、自己資本はほとんど増えない。
賃貸管理の手数料だけが、細る利益の下支えになる。株価は利益の細りを映して下がり、帳簿の値段の 2 割ほどで値が付く。資本を返す動きも無いまま、在庫と借入だけが残る形になる。
- ファミリーマンション:数量 110(引き渡す戸数(戸・年))× 価格 63(1 戸あたりの売上(百万円・名目))→ 売上 69 億円・営業利益 6 億円。戸数0.86倍・1戸1.28倍・利益率8%
- 資産運用型マンション:数量 130(引き渡す戸数(戸・年))× 価格 26(1 戸あたりの売上(百万円・名目))→ 売上 33 億円・営業利益 2 億円。戸数0.86倍・1戸1.28倍・利益率6.5%
- 賃貸管理・ビルメンテナンス・仲介:数量 4,300(賃貸管理の戸数(戸・期末))× 価格 27(管理 1 戸あたりの 3 事業の売上(万円・年・名目))→ 売上 12 億円・営業利益 2 億円。管理戸数1.28倍・1戸1.22倍・利益率21%
倍率:事業の ROE 2.6% が k 8% 以下なので、ためた利益は額面未満の価値で PER の上限は 1÷k=11.1 倍。やや悲観は戸数が細り利息が稼ぎを食うので、上限の 8 割の 8.3 倍。
確率:金利の上昇で買い手が細り、中期計画の水準で利益が伸びない形。2027年1月期の計画がすでに減益なので2割強。
悲観 12% 福岡のマンションが余り、在庫の値下げで傷む 利益 −2 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 217 円22 億円
金利の急な上昇と供給の重なりで、福岡のマンションが売れ残る。会社は在庫の値下げに追い込まれ、評価の損で赤字になる。家族向けは年 80 戸に細り、ワンルームも年 100 戸に減る。借入の返済のために土地の仕入れを止め、配当も減らす。残る価値は賃貸管理の手数料と、賃貸用の土地建物くらいになる。上場の開発会社としての伸びの物語はここで終わる。
賃貸管理の戸数はまだ 4,000 戸あり、手数料は細々と残る。だが借入の返済が先で、株主に回る分は少ない。株主に残るのは、ためた利益ではなく、売れる資産の手取りだけだ。
- ファミリーマンション:数量 80.0(引き渡す戸数(戸・年))× 価格 58(1 戸あたりの売上(百万円・名目))→ 売上 46 億円・営業利益 1 億円。戸数0.63倍・1戸1.18倍・利益率2%
- 資産運用型マンション:数量 100(引き渡す戸数(戸・年))× 価格 24(1 戸あたりの売上(百万円・名目))→ 売上 24 億円・営業利益 1 億円。戸数0.66倍・1戸1.20倍・利益率3%
- 賃貸管理・ビルメンテナンス・仲介:数量 4,000(賃貸管理の戸数(戸・期末))× 価格 26(管理 1 戸あたりの 3 事業の売上(万円・年・名目))→ 売上 10 億円・営業利益 2 億円。管理戸数1.19倍・1戸1.15倍・利益率18%
倍率:悲観は在庫の値下げで赤字になり、稼ぐ力に値が付かない。値は今の自己資本107億円ではなく床の資産(賃貸用の土地建物を売った税後の手取り約22億円)で付け、PBR 0.206 倍とした。
確率:福岡のマンションが供給過多になり、在庫の値下げで赤字になる形。福岡の需要は地方の中で強いので、そこまで崩れる見込みは12%にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ファミリーマンション
福岡市を中心に、熊本・鹿児島など九州の主要都市で家族向けの分譲マンション「グランフォーレ」を企画し販売する。
| 数量引き渡す戸数(戸・年) | 価格1 戸あたりの売上(百万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 128 | 49 | 63 | 7 |
| 10 年後 中立 | 125 | 66 | 83 | 8 |
取り方:2026年1月期の短信の実績。売上62.9億円・128戸の引き渡しで1戸あたり約4,910万円。セグメント利益7.12億円(利益率11.3%)。
資産運用型マンション
福岡市の中心部で単身者向けのワンルームを建て、個人の投資家に1戸ずつ売る。販売後の賃貸管理につながる。
| 数量引き渡す戸数(戸・年) | 価格1 戸あたりの売上(百万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 151 | 20 | 30 | 2 |
| 10 年後 中立 | 145 | 27 | 39 | 3 |
取り方:2026年1月期の短信の実績。売上30.2億円・151戸で1戸あたり約2,000万円。セグメント利益2.39億円(利益率7.9%)。
賃貸管理・ビルメンテナンス・仲介
売った資産運用型マンションの賃貸管理、マンションの建物の管理、不動産の仲介。毎年積み上がる手数料の稼ぎ。
| 数量賃貸管理の戸数(戸・期末) | 価格管理 1 戸あたりの 3 事業の売上(万円・年・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 3,352 | 22 | 7 | 2 |
| 10 年後 中立 | 4,600 | 29 | 13 | 3 |
取り方:2026年1月期の短信の実績。賃貸管理3.16億円・ビルメンテナンス3.55億円・仲介など0.69億円の計7.4億円を、賃貸管理の戸数3,352戸で割り1戸あたり約22万円。利益は3事業の計1.74億円。
リスクと懸念
金利の上昇
借入は約 78 億円あり、金利が 1% 上がると利息は年 0.8 億円近く増える。買い手の住宅ローンと投資用のローンも重くなり、売れ行きと値段の両方に響く。
在庫の値下げ
販売用の土地と建物は 140 億円を超える。市況が崩れると値下げで売るしかなく、評価の損で自己資本が目減りする。
土地と建築費の上昇
福岡の中心部の地価と建築費は上がり続けている。値段に乗せきれなければ、利益率は過去の平均を下回ったままになる。
大手との土地の取り合い
福岡には大手の財閥系や全国の中堅の開発会社が集まる。良い土地ほど高く競り上がり、仕入れが細れば戸数が減る。
引き渡しの偏り
利益は完成と引き渡しの時期で決まり、年ごとに大きく振れる。工事の遅れ一つで、その年の利益が半分になることもある。
今後の分かれ目
- 家族向けの引き渡しが年 140 戸を超え、利益率 11% を保つ
- やや楽観の筋書きに近づく。評価を上げる。
- 中期計画の純利益 4.4〜5.0 億円を下回る年が続く
- やや悲観の筋書きに寄る。評価を下げる。
- 在庫を絞って借入を減らし、自社株買いを始める
- 自己資本利益率が上がる道筋が見える。評価を上げる。
- 支払利息が営業利益の 3 割を超える
- 金利の重さが稼ぎを食っている。評価を下げる。
- 販売用不動産の評価損を計上する
- 悲観の筋書きの入口とみて、床の資産を見直す。
見ておくもの
- 家族向けと資産運用型の引き渡しの戸数と 1 戸の値段
- セグメントの利益率(家族向け 2026年1月期 11.3%)
- 借入の残高と支払利息
- 賃貸管理の戸数(2026年1月期 3,352 戸)
- 配当の額と自社株買いの有無
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価を見ずに決めた。資本コスト8%に対し、10年後の自己資本利益率は中立で4%台と届かないので、PERは1÷kの11.1倍を上限にその8.5割とした。PBRの低さや過去の倍率は使っていない。悲観は今の自己資本ではなく、賃貸用の土地建物を売った税後の手取りを床に置いた。結果として今の値段は中立の値を上回り、割高と出た。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.56→12.5 倍・やや楽観 PER 10→12.5 倍・中立 PER 9.44→12.5 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にqualityの+1.5%を足した(決まりv2)。個別のリスクは筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.00% → 8.00%。