結論
穴吹興産は、高松に本社を置き、新築分譲マンション「アルファ」を軸に、一棟収益マンション、中古の買取再販、賃貸管理、ホテル、介護、電力の一括供給、人材派遣まで手がける地方の総合不動産会社だ。筆者の結論は「適正」。分譲の勢いは本物だが、重い借金が利益の伸びを削る。
2026年6月期は売上高1,389億円、営業利益72億円で、営業利益は26%増えた。翌期以降に売り上げる契約済みの戸数は1,470戸あり、完成在庫は共同事業の15戸しかない。足元の需要の強さを示す数字だ。
ただし純有利子負債は748億円で、時価総額の3倍、自己資本の1.6倍に当たる。10年国債3%の世界では、借り換えのたびに利払いがふくらむ。筆者は、営業利益は10年で3割ほど増えるが、純利益は40億円台前半で足踏みすると見る。ROEは資本コスト8.25%を下回ったままだ。
一方、中計は2029年6月期に売上1,900億円、経常利益率6%を掲げる。達成すれば価値は大きく上がるが、地方のマンション市場は人口が減り、計画の前提は厳しい。筆者は、計画の達成を楽観の筋書きに置き、中立では達成が数年遅れると見た。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で見ると、この会社の核は「分譲で稼ぎ、管理や介護で積み上げる」地方の総合住まい企業だ。分譲の景気の波は大きいが、ほかの事業が土台を作る。ただし、積み上げ部分は薄利で、全体の資本効率を上げるほどの力はない。
持ち続けたいかと問われれば、迷う。ROEは資本コストとほぼ同じで、稼いだ利益の多くを分譲用の土地や建物に再投資する構造だ。株主のものになるお金は、見た目の純利益より少ない。
経営の資本配分は、堅実に見える。完成在庫は少なく、不採算のスーパー事業を整理した。一方で中計は売上1,900億円を掲げる。拡大のために借金を積み増す方向なら、金利の上がる世界では危うい。
安全域は厚くない。純有利子負債が時価総額の3倍あり、分譲の在庫の評価に自己資本が左右される。筆者は、価値をやや控えめに見る。
何で稼ぐ会社か
売上の4分の3は不動産関連事業だ。柱は新築分譲マンションで、2026年6月期の売上戸数は1,739戸、契約は1,595戸だった。契約の地域は九州が約25%、近畿が約20%、中国が約19%、四国が約17%と、地元の四国だけに頼らない。四国と中国で築いた名前を使い、福岡や大阪へ広げている形だ。
新築の一棟収益マンション「グローリオ」は、投資家向けに建物ごと売る事業で、前期は11棟を引き渡した。中古マンションの買取再販は1,117戸を保有する。賃貸の管理や仲介も、不動産関連に入る。
不動産以外の事業も5つある。施設運営は高松国際ホテルなどを運営し、売上は88億円。介護医療は有料老人ホーム39施設・1,783室で、売上76億円。エネルギー関連は、マンション952棟・約6.2万戸に電気をまとめて供給し、売上は96億円で、前期の赤字から黒字に戻った。人材サービスは派遣と紹介で、売上64億円。観光は小さい。
稼ぎ方の共通点は、地域の人とお金の流れの中で、住まいを軸に収益源を重ねることだ。ただし事業別の利益では、不動産関連が56億円で全体の4分の3を占める。分譲は引渡し時に売上を立てるため、上半期と下半期で業績の偏りが大きい。
優良さと弱いところ
強みは地元での知名度と、分譲から管理、介護、電力まで同じ顧客に届く仕組みだ。四国では、マンションの購入者が管理、リフォーム、介護、電力で再びグループに戻ってくる。広い事業の重なりが、分譲だけの会社より利益の波をならす。
しかし堀は強くない。分譲の売値は市場が決め、土地は他社と競り合って仕入れる。大京グループの穴吹工務店とは営業地域で競い、福岡や大阪では全国大手と正面から戦う。事業別の利益率は、分譲で5%前後、ホテルや介護は3%前後と薄い。
資本の効率は物足りない。ROEは過去10年の中央値が12.0%だが、直近は9.7%に下がり、資本コスト8.25%をわずかに上回るだけだ。自己資本比率は30%、有利子負債依存度は52%と、会社の目標(50%以下)を超える。営業利益は支払利息の約7倍にとどまる。
経営は創業家の流れをくむ体制で、社長は穴吹忠嗣氏。配当性向は18%と低く、利益の多くを事業に回す。長崎のスーパー事業を2025年に手放すなど、不採算事業の整理には動いている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
地方のマンションは、人口の減少と建築費の高騰という二重の逆風にある。物価3%の世界では、土地と建築費が毎年上がり、1戸の値段は10年で1.3倍台に乗る。買える人は減るのに値段は上がるため、戸数は伸びにくい。筆者は、同社の分譲戸数は10年で横ばいと見る。九州と近畿の広がりが、四国の減りを補う計算だ。
競争相手は、全国大手のマンション会社と、地場の中堅だ。福岡では大手が供給を増やし、土地の価格が上がっている。四国では同社の存在感が大きいが、市場そのものが小さい。全国の新築分譲マンションの供給は年6万戸台とみられ、同社の1,739戸は約3%にあたる。
金利の上昇は、分譲に二重に効く。購入者の住宅ローンが重くなり、会社の仕入れ資金のコストも上がる。完成在庫が少ない今は問題が出ていないが、市況が冷えると、在庫を抱えた会社から傷む。
一棟収益マンションの市場は、金利上昇で投資家の利回りが上がる(物件の値が下がる)逆風を受ける。ホテルは訪日客が追い風だが、四国の規模は小さい。介護は高齢化で需要が増えるが、報酬は国が決める。電力の一括供給は、電気料金の動きと規制に左右される。
資本政策と M&A
配当は年2回で、2026年6月期の配当性向は18%。2027年6月期は増配を予想する。配当性向は低く、増配の余地はあるが、会社は借金を減らして自己資本比率30%を守ることを優先している。自社株買いの大きな実績は見当たらない。
株主優待は、6月末に100株以上を持つ株主へ、自社グループの特選さぬきうどんなど数千円相当の品を贈る。費用の開示はないが、年1億円前後と推定し、10年の還元に毎年足した。
M&Aは、小さな買収と整理が中心だ。2020年に穴吹ハウジングサービスが札幌の建衛工業を子会社にし、2025年には長崎のスーパー事業をイオン九州へ売った。政策保有株式は該当なしで、持ち合いの含み益はない。
最大の論点は借金の置き方だ。有利子負債は815億円で、うち分譲用の仕入れ資金が大半とみられる。コミットメントライン(あらかじめ決めた借入枠)は312億円あり、未使用が176億円残る。この余裕が、市況が悪化したときの資金繰りを支える。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
契約残が1,470戸と、売上戸数の0.85年分あり、完成在庫は共同事業の15戸だけだ。売れ残りを抱えない体制は、分譲会社として最も大事な安全装置であり、需要の強さが数字に出ている。契約の地域も九州や近畿へ広がり、四国の人口減に縛られない。
中計は、2029年6月期に売上高1,900億円、経常利益率6%以上、ROA4%以上を掲げる。前期の経常利益は77億円で、売上比5.5%まで来ている。計画を達成すれば経常利益は110億円を超え、市場は会社の見方を変える。
不動産以外の事業も回復している。エネルギー関連は赤字から黒字に戻り、施設運営と介護も利益を伸ばした。高圧一括受電は、新築マンションの供給とともに自然に広がる。
一棟収益のグローリオも11棟まで伸びた。分譲、管理、再販が互いに顧客を回す構造が出来上がれば、地方の総合不動産としてROE10%超を維持できる。現在の評価は、この成長を織り込んでいない。
慎重な見方
純有利子負債は748億円で、時価総額の3倍、自己資本の1.6倍に当たる。10年国債3%の世界では、借り換えのたびに利払いが増え、営業利益が伸びても純利益は足踏みする。ROEは資本コストを下回ったままで、ためた利益は額面より低い価値しか持たない。
分譲は、引渡しのタイミングで利益が大きく振れる。完成在庫は少ないが、今期以降に竣工する大量の物件が市況悪化で売れ残れば、一度に評価損が出る。金利が上がれば購入者の住宅ローンが重くなり、契約が減る。契約戸数はすでに前期3.2%減っている。
福岡や大阪は競争が激しく、全国大手が土地を高く仕入れる。地元の四国は市場そのものが縮む。中計の売上1,900億円は、前期比で37%の増加が必要で、達成には借入の拡大が欠かせない。
不動産以外の事業は、利益がほとんど出ていない。ホテルは営業利益3億円、介護は2億円と薄く、少しの人件費上昇で消える。エネルギーは前期にやっと黒字化したばかりで、収益は安定していない。
どちらに重みを置いたか
契約残の厚さと完成在庫の少なさは、強気の見方の根拠として強い。ただし、利払いが営業利益の伸びを食い、ROEが資本コストに届かない点は、慎重な見方の指摘が正しい。強気の見方が描く中計の達成は、借入の拡大と市況の維持が前提なので、楽観は7%にとどめた。悪い側はやや悲観24%、悲観12%と厚めに置き、借金の重さを確率で表した。結果、10年の価値は今の時価総額をやや下回る水準に収まり、結論は適正とした。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した株価時価総額 4,804 円512 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 870 円93 億円)。 今の値に割り戻すと 2,760 円294 億円、今との差 +19.5%、 期待の年率 +9.4%(資本コスト 8.3%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 9,822 円1,048 億円 | 1,500 円160 億円 | +390.1% | +17.2% | 793 円85 億円 |
| やや楽観 | 22% | 6,851 円731 億円 | 1,144 円122 億円 | +246.1% | +13.2% | 1,759 円188 億円 |
| 中立 | 35% | 5,236 円558 億円 | 937 円100 億円 | +167.2% | +10.3% | 2,161 円230 億円 |
| やや悲観 | 24% | 2,557 円273 億円 | 656 円70 億円 | +39.1% | +3.4% | 771 円82 億円 |
| 悲観 | 12% | 1,361 円145 億円 | 234 円25 億円 | −30.9% | −3.6% | 191 円20 億円 |
| 加重平均 | 100% | 4,804 円512 億円 | 870 円93 億円 | +145.7% | +9.4% | 5,675 円605 億円 |
今の株価時価総額 2,310 円246 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 7% 中計を達成し、九州・近畿へ広げた分譲が利払いを上回って稼ぐ 利益 85 億円 · PER 12.3 倍 · 株価時価総額 9,822 円1,048 億円
中計の目標がおおむね達成され、売上高は2,600億円台、営業利益は170億円近くに伸びる。分譲は九州と近畿でシェアを伸ばし、戸数が3割以上増える。完成在庫を少なく保つ運営が続き、評価損は出ない。一棟収益のグローリオは年20棟規模に育ち、買取再販も戸数が増える。エネルギー関連は新築マンションとともに広がり、安定した収益源になる。借入は増えるが、利益の伸びが利払いを上回り、純利益は85億円に近づく。資本効率が改善し、地方の総合不動産として評価が上がる。配当も増える。社長を中心とした地元企業の体制は続き、創業家の流れをくむ経営の安定が、長い視点の投資を支える。介護やホテルも黒字が定着し、不動産以外の事業が利益の2割近くを占める。
- 新築分譲マンション:数量 2,348(年間売上戸数(戸))× 価格 0.59(1戸当たり平均価格(億円、推定))→ 売上 1,380 億円・営業利益 90 億円。戸数+35%・単価+40%
- 一棟収益マンション(グローリオ):数量 19.8(年間引渡棟数(棟))× 価格 14(1棟当たり平均価格(億円、推定))→ 売上 283 億円・営業利益 27 億円。棟数+80%・単価+30%
- 買取再販・賃貸管理・仲介:数量 1,564(買取再販の保有戸数(戸))× 価格 0.23(保有1戸当たりの売上(億円))→ 売上 355 億円・営業利益 23 億円。戸数+40%・単価+38%
- 施設運営・観光(ホテルなど):数量 144(年間延べ利用者数(万人、推定))× 価格 1.28(1人当たり売上(億円/万人、約1万円弱))→ 売上 184 億円・営業利益 6 億円。利用者+20%・単価+38%
- 介護医療:数量 2,407(運営室数(室))× 価格 0.06(1室当たり年間売上(億円))→ 売上 134 億円・営業利益 6 億円。室数+35%・単価+30%
- エネルギー関連(電力の一括供給):数量 83,734(供給戸数(戸))× 価格 0.00(1戸当たり年間売上(億円、約15万円))→ 売上 173 億円・営業利益 12 億円。戸数+35%・電気料金+34%
- 人材サービス:数量 1,573(常用換算の派遣スタッフ数(人、推定))× 価格 0.06(1人当たり年間売上(億円、約450万円))→ 売上 97 億円・営業利益 7 億円。人数+10%・単価+38%
倍率:事業の純利益 85 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.7% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 8.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.3 倍。全体の PER 12.34 倍、時価総額 1,048 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中計の達成と市況の維持が同時に必要で、借入の拡大が前提なので、低く置く。
やや楽観 22% 契約残どおりに分譲が育ち、不動産以外も黒字を保つ 利益 60 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 6,851 円731 億円
契約残どおりに分譲が育ち、中計の目標には届かないが、売上高は2,200億円に乗る。分譲の戸数は1割台半ば増える。一棟収益と買取再販も伸びる。介護とエネルギーは黒字を保つ。借入は増えるが、営業利益が120億円台に伸び、利払いを吸収する。純利益は60億円まで増える。配当は増配を続けるが、配当性向は低いままだ。優待も維持される。会社は、広がった分譲と積み上げ事業で、安定した成長を続ける姿になる。完成在庫は少ないまま保たれ、評価損は限られる。地元四国の市場は縮むが、九州と近畿の比重が高まり、全体の戸数を支える。
- 新築分譲マンション:数量 2,000(年間売上戸数(戸))× 価格 0.58(1戸当たり平均価格(億円、推定))→ 売上 1,151 億円・営業利益 64 億円。戸数+15%・単価+37%
- 一棟収益マンション(グローリオ):数量 15.4(年間引渡棟数(棟))× 価格 14(1棟当たり平均価格(億円、推定))→ 売上 215 億円・営業利益 19 億円。棟数+40%・単価+27%
- 買取再販・賃貸管理・仲介:数量 1,340(買取再販の保有戸数(戸))× 価格 0.22(保有1戸当たりの売上(億円))→ 売上 300 億円・営業利益 18 億円。戸数+20%・単価+36%
- 施設運営・観光(ホテルなど):数量 132(年間延べ利用者数(万人、推定))× 価格 1.26(1人当たり売上(億円/万人、約1万円弱))→ 売上 166 億円・営業利益 5 億円。利用者+10%・単価+36%
- 介護医療:数量 2,229(運営室数(室))× 価格 0.05(1室当たり年間売上(億円))→ 売上 122 億円・営業利益 5 億円。室数+25%・単価+28%
- エネルギー関連(電力の一括供給):数量 74,430(供給戸数(戸))× 価格 0.00(1戸当たり年間売上(億円、約15万円))→ 売上 154 億円・営業利益 10 億円。戸数+20%・単価+34%
- 人材サービス:数量 1,502(常用換算の派遣スタッフ数(人、推定))× 価格 0.06(1人当たり年間売上(億円、約450万円))→ 売上 92 億円・営業利益 6 億円。人数+5%・単価+36%
倍率:事業の純利益 60 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.8% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 731 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:契約残の厚さが続き、不動産以外も黒字を保つ姿。現実味のある上振れとして相応に置く。
中立 35% 分譲は横ばいで、増えた営業利益を利払いが吸う 利益 43 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 5,236 円558 億円
分譲は九州と近畿の広がりが四国の人口減を補い、戸数は横ばいで、単価は物価並みに上がる。一棟収益は、利回りの上昇で売値の伸びが物価より鈍る。介護は施設の増加で戸数が15%増えるが、報酬が国に決められるため単価の伸びは抑えられる。ホテルの償却は新しい設備の分だけ増える。営業利益は93億円と今の3割増だが、借入が増えて金利も上がるため、利払いは36億円になる。純利益は43億円と今とほぼ変わらず、ROEは5%台にとどまる。配当は増えるが、配当性向は低いままだ。優待は維持される。中計の売上1,900億円には届かず、達成は数年遅れるが、会社は借入の増加を抑えながら、無理のない範囲で規模を伸ばす。社長を中心とした体制は変わらず、不動産以外の事業は小さな黒字を保つ。
- 新築分譲マンション:数量 1,739(年間売上戸数(戸))× 価格 0.56(1戸当たり平均価格(億円、推定))→ 売上 979 億円・営業利益 49 億円。戸数±0%・単価+34%
- 一棟収益マンション(グローリオ):数量 11.0(年間引渡棟数(棟))× 価格 14(1棟当たり平均価格(億円、推定))→ 売上 151 億円・営業利益 12 億円。棟数±0%・単価+25%(利回り上昇で鈍る)
- 買取再販・賃貸管理・仲介:数量 1,173(買取再販の保有戸数(戸))× 価格 0.22(保有1戸当たりの売上(億円))→ 売上 259 億円・営業利益 15 億円。戸数+5%・単価+34%
- 施設運営・観光(ホテルなど):数量 120(年間延べ利用者数(万人、推定))× 価格 1.24(1人当たり売上(億円/万人、約1万円弱))→ 売上 149 億円・営業利益 3 億円。利用者±0%・単価+34%
- 介護医療:数量 2,050(運営室数(室))× 価格 0.05(1室当たり年間売上(億円))→ 売上 110 億円・営業利益 4 億円。室数+15%・単価+25%(報酬は国が決める)
- エネルギー関連(電力の一括供給):数量 68,228(供給戸数(戸))× 価格 0.00(1戸当たり年間売上(億円、約15万円))→ 売上 141 億円・営業利益 9 億円。戸数+10%・電気料金+34%
- 人材サービス:数量 1,430(常用換算の派遣スタッフ数(人、推定))× 価格 0.06(1人当たり年間売上(億円、約450万円))→ 売上 86 億円・営業利益 5 億円。人数±0%・単価+34%
倍率:事業の純利益 43 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.6% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 516 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:分譲は横ばいで、利払いが利益の伸びを吸う姿が最もありうるので中心に置く。
やや悲観 24% 金利上昇で分譲が細り、利払いが重く残る 利益 23 億円 · PER 7.8 倍 · 株価時価総額 2,557 円273 億円
住宅ローン金利が上がり、地方のマンション需要が細る。分譲の戸数は15%減り、仕入れ競争で利益率も下がる。一棟収益は投資家の利回りが上がり、棟数が3割減る。ホテルは訪日客が伸びず、介護は報酬の抑制で利益が薄い。営業利益は62億円まで下がるが、借入は950億円までしか圧縮できず、利払いは33億円残る。純利益は23億円で、配当性向が上がり、増配は止まる。優待は維持されるが、新規投資は絞られ、中計の売上目標は取り下げられる。介護やエネルギーは黒字を保つが、分譲の減益を埋めるほどの力はない。会社は、借入の圧縮と自己資本比率30%の維持を最優先にする、守りの地方不動産会社になる。
- 新築分譲マンション:数量 1,478(年間売上戸数(戸))× 価格 0.53(1戸当たり平均価格(億円、推定))→ 売上 788 億円・営業利益 33 億円。戸数-15%・単価+27%
- 一棟収益マンション(グローリオ):数量 7.7(年間引渡棟数(棟))× 価格 12(1棟当たり平均価格(億円、推定))→ 売上 95 億円・営業利益 6 億円。棟数-30%・単価+12%
- 買取再販・賃貸管理・仲介:数量 1,005(買取再販の保有戸数(戸))× 価格 0.21(保有1戸当たりの売上(億円))→ 売上 210 億円・営業利益 10 億円。戸数-10%・単価+27%
- 施設運営・観光(ホテルなど):数量 114(年間延べ利用者数(万人、推定))× 価格 1.17(1人当たり売上(億円/万人、約1万円弱))→ 売上 134 億円・営業利益 4 億円。利用者-5%・単価+27%
- 介護医療:数量 1,872(運営室数(室))× 価格 0.05(1室当たり年間売上(億円))→ 売上 98 億円・営業利益 3 億円。室数+5%・単価+22%
- エネルギー関連(電力の一括供給):数量 62,025(供給戸数(戸))× 価格 0.00(1戸当たり年間売上(億円、約15万円))→ 売上 123 億円・営業利益 5 億円。戸数±0%・単価+28%
- 人材サービス:数量 1,359(常用換算の派遣スタッフ数(人、推定))× 価格 0.06(1人当たり年間売上(億円、約450万円))→ 売上 79 億円・営業利益 4 億円。人数-5%・単価+30%
倍率:事業の ROE 3.2% は資本コスト 8.25% を大きく下回る。稼ぐ力(純利益÷k)で測り、PER は 1÷k=11.1 倍の 7 割、7.8 倍。
確率:人口減と金利上昇で分譲が細る姿は現実味があるので、やや厚めに置く。
悲観 12% 在庫の評価損と借入の重さで、守りに入る 利益 −26 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 1,361 円145 億円
金利上昇と人口減で分譲の契約が半分近くに落ち、完成物件を値下げして売る。分譲と一棟収益は評価損で赤字になり、買取再販の利益もなくなる。ホテルと介護は人件費の上昇で薄利のまま。営業利益はほぼゼロ、利払い28億円で赤字が続く。財務制限条項に触れ、金融機関から借入の条件を締められ、配当は大きく減り、優待もなくなる。会社は資産を売って借入を返すことに専念する。介護、電力、ホテルなどの事業は残り、地域の総合企業としては小さくなって続く。社長を中心とした経営体制は残るが、中計の目標は取り下げられ、新しい土地の仕入れも当面は止まる。
- 新築分譲マンション:数量 956(年間売上戸数(戸))× 価格 0.44(1戸当たり平均価格(億円、推定))→ 売上 422 億円・営業利益 −4 億円。戸数-45%・単価+5%(赤字)
- 一棟収益マンション(グローリオ):数量 3.3(年間引渡棟数(棟))× 価格 10(1棟当たり平均価格(億円、推定))→ 売上 35 億円・営業利益 −1 億円。棟数-70%・単価-5%(評価損)
- 買取再販・賃貸管理・仲介:数量 670(買取再販の保有戸数(戸))× 価格 0.17(保有1戸当たりの売上(億円))→ 売上 116 億円・営業利益 0 億円。戸数-40%・単価+5%
- 施設運営・観光(ホテルなど):数量 96.0(年間延べ利用者数(万人、推定))× 価格 1.02(1人当たり売上(億円/万人、約1万円弱))→ 売上 98 億円・営業利益 2 億円。利用者-20%・単価+10%
- 介護医療:数量 1,605(運営室数(室))× 価格 0.05(1室当たり年間売上(億円))→ 売上 76 億円・営業利益 1 億円。室数-10%・単価+10%
- エネルギー関連(電力の一括供給):数量 55,823(供給戸数(戸))× 価格 0.00(1戸当たり年間売上(億円、約15万円))→ 売上 95 億円・営業利益 0 億円。戸数-10%・単価+10%
- 人材サービス:数量 1,073(常用換算の派遣スタッフ数(人、推定))× 価格 0.05(1人当たり年間売上(億円、約450万円))→ 売上 55 億円・営業利益 1 億円。人数-25%・単価+15%
倍率:赤字で稼ぐ力は 0 とみる。株主に残るのは、販売用不動産や一棟収益物件を急いで売り、借入を返したあとの分。今の自己資本 476 億円に掛ける PBR 0.305 倍で約 145 億円(床の内訳は floor_assets_why)。EV でも見たが、営業利益がほぼ 0 で EV÷営業利益は意味を持たない。
確率:借金の重さと在庫の評価損が重なる姿。多角化で事業は残るが、悪い側を12%まで厚くする。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
新築分譲マンション
「アルファ」シリーズなどの新築分譲マンションを企画・販売する。引渡し時に売上を立てる。
| 数量年間売上戸数(戸) | 価格1戸当たり平均価格(億円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 1,739 | 0.42 | 730 | 36 |
| 10 年後 中立 | 1,739 | 0.56 | 979 | 49 |
取り方:売上戸数1,739戸(開示)に、平均価格0.42億円(四国・中国の約0.35億円と九州・近畿の約0.5億円の混合の推定)を掛けた730億円。不動産関連1,035億円からの配分は推定。営業利益36億円(利益率4.9%)も推定配分。単価は中立で物価並み(10年1.34倍)。
一棟収益マンション(グローリオ)
新築の一棟収益マンションを投資家に売る。
| 数量年間引渡棟数(棟) | 価格1棟当たり平均価格(億円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 11.0 | 11 | 121 | 10 |
| 10 年後 中立 | 11.0 | 14 | 151 | 12 |
取り方:引渡し11棟(開示)に、1棟約11億円(推定)を掛けた121億円。営業利益9.7億円(利益率8%)は推定配分。投資家の利回り(キャップレート)が上がる局面では売値の伸びが物価より鈍るとみて、中立は10年1.25倍。
買取再販・賃貸管理・仲介
中古マンションを買い取って再生し売る事業と、賃貸の管理・仲介。
| 数量買取再販の保有戸数(戸) | 価格保有1戸当たりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 1,117 | 0.16 | 184 | 10 |
| 10 年後 中立 | 1,173 | 0.22 | 259 | 15 |
取り方:保有1,117戸(開示)に、再販・賃貸・管理・仲介の売上184億円(不動産関連1,035億円から上の2つを引いた残り)を割った1戸当たり0.164億円。便宜の換算で、実際の取引戸数ではない。営業利益10.3億円(利益率5.6%)は推定配分。単価は中立で物価並み。
施設運営・観光(ホテルなど)
高松国際ホテルなどのホテル運営、公民連携の施設運営、観光。
| 数量年間延べ利用者数(万人、推定) | 価格1人当たり売上(億円/万人、約1万円弱) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 120 | 0.93 | 111 | 3 |
| 10 年後 中立 | 120 | 1.24 | 149 | 3 |
取り方:施設運営88億円と観光23億円の合計111億円を、年間延べ利用者120万人(推定)で割った。利用者数は開示がない。営業利益は両者の合計3.2億円(利益率2.9%)。減価償却は約6億円(推定)で物価で増やさず、新しい設備の分だけ新価格で足す。
介護医療
有料老人ホームなど39施設・1,783室の運営。
| 数量運営室数(室) | 価格1室当たり年間売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 1,783 | 0.04 | 76 | 2 |
| 10 年後 中立 | 2,050 | 0.05 | 110 | 4 |
取り方:室数1,783(開示)、売上76億円から1室0.043億円(約430万円)。営業利益2.4億円(利益率3.1%)。介護報酬は国が決めて物価ほど上がらないとみて、中立は10年1.25倍。
エネルギー関連(電力の一括供給)
マンションに高圧で電力をまとめて引き込み、各戸に供給する。
| 数量供給戸数(戸) | 価格1戸当たり年間売上(億円、約15万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 62,025 | 0.00 | 96 | 8 |
| 10 年後 中立 | 68,228 | 0.00 | 141 | 9 |
取り方:供給戸数62,025戸(開示)、売上96億円から1戸0.0015億円。営業利益8.2億円(利益率8.5%)は前期の赤字から戻った水準。過去は振れが大きく、中立は6%。電気料金は物価並みに動くとして10年1.34倍。
人材サービス
派遣と紹介。
| 数量常用換算の派遣スタッフ数(人、推定) | 価格1人当たり年間売上(億円、約450万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 1,430 | 0.04 | 64 | 4 |
| 10 年後 中立 | 1,430 | 0.06 | 86 | 5 |
取り方:売上64億円を、常用換算約1,430人(推定、開示なし)で割った。営業利益4.1億円(利益率6.5%)。賃金の上昇は料金に転嫁できるとして10年1.34倍。事務系派遣はAIによる代替の影響を受けうるが、数量は横ばいと置き、重ね引きはしない。
リスクと懸念
金利上昇と借金の重さ
有利子負債は815億円で、依存度は52%と会社の目標の50%以下を超える。10年国債3%の世界で借り換えが進めば、利払いは前期の約10億円から30億円台に増える。営業利益が伸びても純利益が伸びない主因だ。
分譲の引渡しの偏りと在庫
売上は引き渡した時に立つため、竣工が期末をまたぐと業績が大きくずれる。今は完成在庫が共同事業の15戸だけだが、市況が悪化すれば、竣工物件が売れ残り、評価損が一度に出る。
金利上昇で購入者の力が落ちる
住宅ローン金利が上がると、購入者の返済負担が重くなる。契約戸数は前期すでに3.2%減った。地方は所得の伸びが小さく、値段の上昇を転嫁しにくい。
福岡・大阪への広がりと競争
契約の約45%を九州と近畿が占めるようになった。全国大手が競り合い、土地の仕入れ価格が高い市場だ。地元の四国より利益率が低くなるおそれがある。
一棟収益の出口
投資家向けの一棟収益マンションは、金利が上がると投資家の利回りが上がり、売値が下がる。前期は11棟を引き渡したが、買い手の資金調達が冷えれば、在庫が長引く。
不動産以外の事業の薄さ
ホテルの営業利益は3億円、介護は2億円、観光は赤字ぎりぎりと薄い。エネルギー関連は前期にやっと黒字になった。人件費の上昇や電気料金の規制が、利益をすぐ消す。
財務制限条項と資金繰り
借入の一部には財務制限条項が付き、販売用不動産を担保にした借入もある。業績が大きく悪化すれば、条件の見直しを迫られる。コミットメントラインの未使用枠は176億円あり、当面の余裕にはなる。
今後の分かれ目
- 2027年6月期の経常利益が会社予想の70億円を上回る
- 契約残の強さが利益に出ていることを示し、本質価値は中立から楽観寄りに近づく。
- 10年国債が3%を大きく超えて上がる
- 利払いの増加が営業利益の伸びを上回り、純利益が減る。やや悲観・悲観の確率を引き上げる必要が出る。
- 完成在庫が増え、契約残が1,000戸を割る
- 分譲の勢いが落ちたことを示し、悲観の筋書きが近づく。
- 有利子負債依存度が55%を超える
- 財務制限条項や資金繰りの余裕が薄れ、本質価値は大きく下がる。
- 中計の売上目標(2029年6月期に1,900億円)の達成が見えてくる
- 九州・近畿への広がりが成功したことを示し、楽観の確率を引き上げる。
- エネルギー関連や介護の利益が2期連続で伸びる
- 不動産以外が厚みを増し、事業の波がならされる。価値の土台が強くなる。
見ておくもの
- 分譲マンションの契約戸数・契約残・完成在庫(決算短信)
- 有利子負債依存度と純有利子負債、利払い
- 住宅ローン金利と九州・近畿・中国・四国の供給戸数
- エネルギー関連・介護医療の営業利益
- 中計(2029年6月期 売上1,900億円・経常利益率6%)の進捗
倍率と資本コストの決め方
今の株価や PER から筋書きを作らず、セグメントごとに戸数・棟数・利用者数(実質)× 価格(物価3%込みの名目)で積んだ。不動産関連1,035億円の内訳は開示がなく、分譲・一棟収益・再販賃貸管理に推定で分けた。一棟収益と介護は物価より遅れて上がるとみて単価を抑えた。借入の利払いは借り換えで増やして純利益に入れた。倍率は資本コスト 8.25%(基本 7.5% + 循環0.5・値決め0.25・借金0.75)と弱い堀から出し、ROE が k を下回るため PER は 1÷k まで、中立は上限の 8.5 割に置いた。悲観は売れる資産の税後で測り、過去の PBR の底は使っていない。今の時価総額は最後に比べただけだ。新リース会計基準は2028年6月期以降の数字の形を変えるが、10年後の数字は今と同じ形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.5→12.34 倍・やや楽観 PER 10→12.12 倍・中立 PER 9.4→12.12 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k は基本 7.5% に quality +1.5%(循環+0.5・値決め+0.25・借金+0.75)を足した 9.0%。九州・近畿への広がりの競争や財務制限条項は k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.00% → 8.25%。