結論
パラカは、全国の月極・時間貸し駐車場を運営する会社である。1997 年の創業で、2025 年 9 月末の運営車室は 48,232、2,598 件、45 都道府県に広がる。売上は 176 億円、営業利益は 33 億円で、営業利益率は 18.5%。2022 年 9 月期から 4 期連続で増収だ。
筆者の結論は、適正に近い。事業の質は高い。強みは、土地を買って持つ保有駐車場で、売上総利益率が 81% と、借りた土地で営む賃借(19%)より段違いに高い。一方で土地の購入は借金で賄い、純有利子負債は 206 億円と自己資本とほぼ同じだ。
追い風は、駐車料金の値上げ基調だ。2025 年 9 月期は料金を変えた 1,938 件のうち 82% が値上げだった。物価が上がれば、保有地の売上総利益が増える。会社は、物価が 30% 上がれば保有駐車場の粗利が 7.3 億円増えると試算する。
一方、2026 年 9 月期は営業利益が 31 億円と、前の期を下回る予想だ。7 月には経常利益の予想を 30.4 億円から 27.6 億円に下げた。固定費の増加が利益を削り始めている。
10 年後の中立は、売上 306 億円、営業利益 58 億円(利益率 18.8%)。強気なら 83 億円、慎重なら 42 億円、最悪は 14 億円まで落ちる。
焦点は金利だ。今は低い固定金利が中心だが、新しい借入は 3.5% 前後になる。借金で土地を買い増す成長が、金利の上昇でどこまで利益を残すかが、評価を分ける。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、質のよい事業と、重い借金の組み合わせだ。保有駐車場は、土地を持つ強みがあり、物価が上がれば粗利が増える。長期の安定も確かだ。
一方、成長の資金は借入で、金利が上がると利益が削られる。保有駐車場の利回りは 6.4%、新しい借入は 3.5% 前後。差は 3 ポイントほどしかなく、地価が上がるほど、新しい土地の利回りは下がる。
賃借の利益率は薄い。固定の地代は、売上が落ちても下がらない。需要が細る局面で、賃借は赤字に転じる。
良い点は、経営の実行力だ。4 期連続の増収、営業員 73 名での全国展開、伊藤忠グループやデベロッパーとの協業は、小さな会社としては質が高い。悪い点は、成長を借金に頼る点だ。
安全域は、今の値段にはほとんどない。時価総額 207 億円は、事業の稼ぐ力に対して妥当な水準で、割安とは言えない。保有地の含み益が確認できれば、見方は変わる。
何で稼ぐ会社か
事業は二つの形に分かれる。借りた土地で営む賃借駐車場が、売上の 80%(141 億円)。土地を所有して営む保有駐車場とその他が 20%(35 億円)だ。賃借の売上総利益率は 18.6%、保有は 81.3% と、利益の質は大きく違う。
賃借のうち、固定方式は地主に決まった地代を払い、売上の 65% ほどが地代に消える。売上の報告を地主に出す還元方式は、地代が売上の配分で決まり、利益率は低いが、赤字のリスクは小さい。年間の賃借料は 97.9 億円にのぼる。
保有駐車場は、2000 年に千葉県八千代市で買った第 1 号に始まる。今は 333 件、5,773 車室で、簿価は 396 億円、坪数は 40,639 坪。当期は 33 件を 38.9 億円で取得した。売上総利益の 24.4 億円を簿価で割った利回りは 6.4% だが、借入の返済が年 17.2 億円あり、返済後に残るのは 7.1 億円にすぎない。
営業は少数精鋭で、営業員 73 名が全国を担当する。「土地を買う」と言うと、地主や不動産会社、地方銀行 33 行から情報が集まるという。伊藤忠商事とは 2021 年 8 月に資本業務提携し、紹介で 127 件 2,212 車室が成約した。
2025 年 9 月期は、338 件 11,246 車室を新規に開設した。うち施設付帯駐車場が 6,073 車室で、前の期の 3 倍超だ。ホテルや病院、商業施設の駐車場を受託する動きが広がっている。解約は 189 件 3,445 車室で、解約率は 8.5%。
優良さと弱いところ
強みは、保有駐車場という「持つ強み」だ。解約されず、赤字にならず、他社に切り替えられない。売上総利益率が 80% を超え、コロナ禍の 2020 年 9 月期には、全社の営業利益が 14 億円に落ちても、保有駐車場の営業利益 11.7 億円が配当の 5.6 億円を賄い、会社は減配を免れたと説明している。
営業利益率は 2014 年 9 月期から 11〜20% と安定している。景気の谷でも赤字を出さなかったのが特徴だ。過去 20 年に赤字の期はない。
一方、弱みは二つある。賃借の利益率が薄く、固定の地代が売上の 7 割近くを占める。需要が落ちれば、地代は変わらず、一気に赤字になる。もう一つは、財務の重さだ。純有利子負債は自己資本とほぼ同じで、年間の賃借料 98 億円という固定の約束もある。
最大手のタイムズ(パーク二四)や三井のリパークと比べると、規模は小さい。ただし、地方で「地域一番」を目指し、保有駐車場を核に賃借を増やす集中戦略で、地域の存在感を高めている。
株主は、伊藤忠商事が議決権の 22.0%、光通信が 5.9%(2026 年 6 月の大量保有報告)。経営陣への信頼を測る材料は、増収と増配の継続だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
コインパーキングは、駐車場需要の構造変化が追い風だった。店舗駐車場の有料化、違法駐車の取り締まりの強化、再開発による駐車場不足があった。駐車料金は 2013 年ごろから上がり、大都市では 1 時間の基本料金が 2 倍から 4 倍近くに上がった。乗用車の保有台数は 2025 年 3 月末に約 6,206 万台と過去最高だ。
国内の駐車場業界の売上は、保有台数の微増の中でも大きく増えている。若者の車離れと言われたが、実態は保有が増えている。カーシェアとレンタカーの車両も増えた。
ただし、競争は寡占だ。タイムズ(パーク二四)と三井のリパークが上位を占め、パラカは地方の中堅の位置にある。大手は規模の経済でステーション網を持つが、パラカは「保有」で別の強みを作った。
長期のリスクは、自動運転とライドシェアだ。無人のタクシーが広がれば、目的地の近くに車を置く必要が減る。規制と普及の速度は読み切れないが、10 年でもっとも大きな構造変化になりうる。
費用の面では、地代、人件費、固定資産税の上昇が重い。会社は 2026 年 9 月期に販管費を約 2 億円増やす。新しい借入の金利が 3.5% 前後に上がることも、土地を買う成長に響く。
資本政策と M&A
資本政策の中心は、土地を買う投資だ。2025 年 9 月期は、保有駐車場に 38.9 億円を投じ、33 件 408 車室を加えた。過去 3 年の取得額は、22 億円、41 億円、39 億円。取得は借入で賄い、借入期間は原則 20 年、固定金利が約 93% だ。
減価償却費は 6.3 億円。土地は償却せず、償却するのは建物と駐車場の設備だけだ。今ある設備の償却は取得時の値段のままで、物価が上がっても増えない。一方、新しい土地や設備を買うと、その値段は物価とともに上がる。
還元は、配当性向 3 割台を目安にする。2020 年 9 月期は 72.8% に上がったが、その後は 3 割台で、利益の伸びと同じ速さで増配している。自己株買いの実績は確認できていない。
2026 年 9 月期は、経常利益の予想を 7 月に 30.4 億円から 27.6 億円へ下げた。理由は確認できなかったが、最終の純利益は 20.9 億円から 22.8 億円に上げたので、特別利益が出たとみられる。
買収される側としては、当サイトの別の試算で 10 年以内の TOB の確率は 24.4%。伊藤忠商事が議決権の約 22% を持つ筆頭株主であり、動きがあれば伊藤忠が主役になる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
駐車場は、増え続ける需要の受け皿だ。乗用車の保有台数は過去最高で、駐車料金は 2013 年ごろから上がり続けている。2025 年 9 月期は、料金変更の 82% が値上げだった。大都市では駐車場が足りず、料金を決める力は強まっている。
保有駐車場は、物価が上がるほど強くなる。会社は、物価が 30% 上がると粗利が 7.3 億円増えると試算する。しかも、借入は固定金利が 93% で、利払いは増えない。土地の値段も上がれば、含み益が膨らむ。
拡大の実行力もある。4 期連続の増収、2025 年 9 月期は新規開設が過去最多の 338 件 11,246 車室。施設付帯の大型案件も 6,073 車室を取った。伊藤忠商事との提携で、土地情報が継続的に入る。
還元も安定している。配当性向は 3 割台で、利益と同じ速さで増配している。コロナ禍でも、保有駐車場の営業利益が配当を支えたと会社は説明する。
しかも、業績の下落は一時的だ。2026 年 9 月期の営業利益 31 億円は、販管費の増加によるもので、新規開設分が通年で効く 2027 年 9 月期には再び伸びる。
慎重な見方
成長は借金でできている。純有利子負債は 206 億円と自己資本とほぼ同じで、毎年 40 億円ほどの土地を借入で買い増す。10 年後には借金が 400 億円に達する。新しい借入の金利は 3.5% 前後に上がり、保有駐車場の利回り 6.4% との差は 3 ポイントしかない。
利益は頭打ちになりつつある。2026 年 9 月期の営業利益は 31 億円と、前の期の 33 億円を下回る予想で、7 月には経常利益の予想も下方修正した。固定費が上がり、地代と人件費の上昇が賃借の薄い利益率を削っている。
賃借は、固定の地代を払う。年間賃借料は 98 億円にのぼり、需要が落ちても下がらない。コロナ禍では営業利益が 39% 減った。需要が構造的に細れば、赤字になる。
自動運転とライドシェアの普及は、10 年で最大の脅威だ。駐車場の需要そのものを減らし、保有地の価値も下げる。
最後に、保有地の含み益は開示されていない。賃貸等不動産の時価は確認できず、簿価が実態以上に守ってくれる保証はない。
どちらに重みを置いたか
強気の見方は、物価上昇への強さと拡大の実績に根拠がある。慎重な見方は、借金と金利、固定の地代を指摘する。どちらにも事実があり、中立の見立てはその間に収まる。
確率は中立側に置いた。やや悲観を 24%、悲観を 12% とし、同領域の標準にそろえた。総合では、今の時価総額をやや下回る。
事業の質は高いが、借金と金利の分だけ、今の値段に余裕はない。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/09 期)
確率で加重した株価時価総額 3,763 円391 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 824 円86 億円)。 今の値に割り戻すと 2,351 円244 億円、今との差 +17.6%、 期待の年率 +8.7%(資本コスト 7.8%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 7,288 円757 億円 | 1,174 円122 億円 | +323.3% | +15.5% | 592 円62 億円 |
| やや楽観 | 21% | 5,665 円589 億円 | 1,030 円107 億円 | +234.9% | +12.8% | 1,406 円146 億円 |
| 中立 | 36% | 4,114 円428 億円 | 885 円92 億円 | +150.1% | +9.6% | 1,800 円187 億円 |
| やや悲観 | 24% | 1,851 円192 億円 | 683 円71 億円 | +26.8% | +2.4% | 608 円63 億円 |
| 悲観 | 12% | 1,147 円119 億円 | 356 円37 億円 | −24.8% | −2.8% | 180 円19 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,763 円391 億円 | 824 円86 億円 | +129.4% | +8.7% | 4,586 円477 億円 |
今の株価時価総額 1,999 円208 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 7% 保有地が増え、地価と料金の上昇が利益を押し上げる。営業利益は 83 億円へ 利益 49 億円 · PER 15.6 倍 · 株価時価総額 7,288 円757 億円
地価と駐車料金が上がり続け、保有駐車場は 5,773 車室から 9,500 車室へ増える。取得は年 40 億円で、1 車室あたりの売上は物価の 1.34 倍を超えて 1.5 倍になる。売上は 87 億円、営業利益率は 66%。
賃借は、ホテルや商業施設の付帯駐車場など大型案件が増え、運営車室が 6.2 万に伸びる。売上は 291 億円、営業利益率は 8.5%。伊藤忠グループや鉄道系デベロッパーとの協業が、土地情報を継続的に運んでくる。
営業利益は 83 億円、純利益は 49 億円。借金は 396 億円と、今の 2 倍近くに膨らむが、金利は新しい分だけ 3.5% で、平均は 3.1%。利益の伸びがそれを上回る。
それでも ROE は 11.4% と、資本コスト 7.75% を 3 ポイント上回るにとどまる。倍率は上限の約 9 割(15.55 倍)に置いた。
- 賃借駐車場(時間貸し・月極):数量 6.2(運営車室数(万車室・期末))× 価格 47(1 万車室あたりの売上(億円・名目、料金と稼働の結果))→ 売上 291 億円・営業利益 25 億円。運営車室 6.2 万 × 1 万車室あたり 47.0 億円、利益率 8.5%
- 保有駐車場とその他:数量 1.0(保有駐車場の車室数(万車室・期末))× 価格 92(1 万車室あたりの売上(億円・名目、料金と稼働の結果))→ 売上 87 億円・営業利益 58 億円。運営車室 0.95 万 × 92.0 億円、利益率 66%
倍率:事業の純利益 49 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.4% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.5 倍。全体の PER 15.55 倍、時価総額 757 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:7%。地価と駐車料金の上昇が続き、保有駐車場を 9,500 車室まで増やせる形。賃借も施設付帯の大型案件で伸び、営業利益率は 21.8% と、過去最高の 20.0%(2016 年 9 月期)を超える。借金に頼る成長で、10 年続く確率は低く、7% にとどめた。
やや楽観 21% 賃借の車室が伸び、保有地の取得も続く。営業利益は 70 億円 利益 40 億円 · PER 14.7 倍 · 株価時価総額 5,665 円589 億円
会社の拡大路線がおおむね計画どおりに進む。賃借の運営車室は 5.8 万に増え、売上は 264 億円、営業利益率は 7.5%。保有は 8,800 車室、売上は 77 億円、営業利益率は 65%。
営業利益は 70 億円、純利益は 40 億円。土地の取得は年 38 億円を続け、借金は 403 億円に増える。
配当性向は 36% 前後で、利益と同じ速さで還元が増える。自己資本は 399 億円。ROE は 10.1% で、資本コストを少し上回る。
過去 10 年の伸びをやや上回る形で、構造が変わるわけではない。
- 賃借駐車場(時間貸し・月極):数量 5.8(運営車室数(万車室・期末))× 価格 46(1 万車室あたりの売上(億円・名目、料金と稼働の結果))→ 売上 264 億円・営業利益 20 億円。運営車室 5.8 万 × 45.5 億円、利益率 7.5%
- 保有駐車場とその他:数量 0.9(保有駐車場の車室数(万車室・期末))× 価格 88(1 万車室あたりの売上(億円・名目、料金と稼働の結果))→ 売上 77 億円・営業利益 50 億円。運営車室 0.88 万 × 88.0 億円、利益率 65%
倍率:事業の純利益 40 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.1% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.7 倍。全体の PER 14.68 倍、時価総額 589 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:21%。会社の拡大路線がおおむね計画どおりに進み、営業利益率が 20% 台前半で安定する筋書き。過去 12 年の営業利益の伸び(年 6% 前後)より少し速く、起きうるが中立よりは低く 21% とした。
中立 36% 車室は 3 割増え、営業利益は 58 億円。金利の上昇が純利益を削る 利益 32 億円 · PER 13.5 倍 · 株価時価総額 4,114 円428 億円
賃借の運営車室は 5.4 万に増え、1 車室あたりの売上は物価に連れて 1.34 倍になる。売上は 240 億円。賃借は固定の地代が売上の 7 割近くを占めるため、利益率は 6.5% の薄さのまま変わらない。
保有は 8,000 車室に増え、売上は 66 億円、営業利益率は 64%。営業利益は 58 億円(利益率 18.8%)で、過去 10 年と同じ年 6% 前後の伸びになる。減価償却費は 6.3 億円から約 8 億円へ。取得時の値段のままの償却なので、物価では増やしていない。
一方、金利が効く。今は平均 1.6% 前後(推定)の低い固定金利が中心だが、新しい借入は 3.5% で、10 年の利払いは 12 億円まで増える。純利益は 32 億円で、営業利益の伸びほどは増えない。借金は 400 億円と今の 2 倍になる。
10 年たっても、地域一番を積み上げる堅実な駐車場会社だが、ROE は資本コストと同じ 8.5% にとどまる。
- 賃借駐車場(時間貸し・月極):数量 5.4(運営車室数(万車室・期末))× 価格 45(1 万車室あたりの売上(億円・名目、料金と稼働の結果))→ 売上 240 億円・営業利益 16 億円。運営車室 5.4 万 × 44.5 億円(物価 1.34 倍)、利益率 6.5%
- 保有駐車場とその他:数量 0.8(保有駐車場の車室数(万車室・期末))× 価格 82(1 万車室あたりの売上(億円・名目、料金と稼働の結果))→ 売上 66 億円・営業利益 42 億円。運営車室 0.80 万 × 82.1 億円(物価 1.34 倍)、利益率 64%
倍率:事業の純利益 32 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.5% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.5 倍。全体の PER 13.53 倍、時価総額 428 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:36%。最も起きやすい形。営業利益は過去 10 年と同じ年 6% 前後で伸び、車室は 3 割増える。営業利益率は 18.8% と、過去 10 年の平均(17.8%)よりやや高い。同じ領域の会社の中心(36〜38%)にそろえた。
やや悲観 24% 賃借の利益が薄くなり、営業利益は 42 億円にとどまる 利益 23 億円 · PER 8.5 倍 · 株価時価総額 1,851 円192 億円
賃借の地代が上がり、利益を食う。賃借の運営車室は 4.8 万と伸びが鈍く、1 車室あたりの売上も 1.28 倍にとどまる。営業利益率は 4%、売上は 204 億円。
保有は 7,200 車室、売上は 56 億円。物価と固定資産税の上昇で営業利益率は 61% に下がる。営業利益は 42 億円と、今の 33 億円から 3 割弱増えるが、物価の上昇を引くと実質では減る。
土地の取得は年 25 億円に絞り、借金は 325 億円。配当性向は 34% まで下げる。純利益は 23 億円。
会社の拡大が止まり、ROE は 6.5% と、資本コストを下回る。借金で買った土地の利回りが、金利に近づく。
- 賃借駐車場(時間貸し・月極):数量 4.8(運営車室数(万車室・期末))× 価格 43(1 万車室あたりの売上(億円・名目、料金と稼働の結果))→ 売上 204 億円・営業利益 8 億円。運営車室 4.8 万 × 42.5 億円、利益率 4.0%
- 保有駐車場とその他:数量 0.7(保有駐車場の車室数(万車室・期末))× 価格 78(1 万車室あたりの売上(億円・名目、料金と稼働の結果))→ 売上 56 億円・営業利益 34 億円。運営車室 0.72 万 × 78.0 億円、利益率 61%
倍率:事業の純利益 22.6 億円・ROE 約 6.5% は k 7.75% 以下。ためた利益は額面を下回る価値しかないので、上限は 1÷k=11.8 倍。借金が重く、金利で利益が削られるので、その約 72%(8.5 倍)に置いた。
確率:24%。賃借の地代が上がって利益を食い、賃借の営業利益率が 4% に下がる筋書き。コロナ禍の 2020 年 9 月期には営業利益が 39% 減った実績がある。同領域(23〜24%)にそろえた。
悲観 12% 需要が細り、賃借が赤字に落ちる。保有地の価値だけが残る 利益 5 億円 · PBR 0.6 倍 · 株価時価総額 1,147 円119 億円
自動運転とライドシェアが広がり、都市部の駐車場の需要が細る。賃借は運営車室が 3.8 万に減り、料金も 1.08 倍しか上がらない。ところが、固定の地代は下がらない。賃借の売上は 137 億円で、営業利益率は −6% の赤字になる。
保有は 6,200 車室で、売上は 41 億円、営業利益率は 55%。営業利益は 14 億円まで落ちる。土地の取得は止め、年 10 億円にとどまる。
純利益は 5 億円。それでも土地が残る。簿価 497 億円の保有地の 7 割を売り、借金を返すと、株主には約 120 億円が残る。
稼ぐ力では値が付かず、保有地の価値が株主の取り分を支える形だ。
- 賃借駐車場(時間貸し・月極):数量 3.8(運営車室数(万車室・期末))× 価格 36(1 万車室あたりの売上(億円・名目、料金と稼働の結果))→ 売上 137 億円・営業利益 −8 億円。運営車室 3.8 万 × 36.0 億円、利益率 −6%
- 保有駐車場とその他:数量 0.6(保有駐車場の車室数(万車室・期末))× 価格 66(1 万車室あたりの売上(億円・名目、料金と稼働の結果))→ 売上 41 億円・営業利益 23 億円。運営車室 0.62 万 × 66.0 億円、利益率 55%
倍率:赤字の賃借を抱える筋書きで、稼ぐ力ではなく保有地の価値で値を付けた。簿価 497 億円の保有地の 7 割(地価の下落を織り込む)から純有利子負債 227 億円を引いた約 120 億円を、今の自己資本 209 億円の 0.57 倍として置いた。借金込みの EV(時価総額 119 億円+今の純有利子負債 206 億円)を営業利益 14 億円で割ると約 23 倍と高いが、値は利益ではなく保有地の売却価値から付けている。
確率:12%。自動運転とライドシェアが広がって駐車場の需要が細り、固定の地代が重くのしかかる構造的な負け。賃借は赤字になり、新しい土地の取得は止まる。同領域(12%)にそろえた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
賃借駐車場(時間貸し・月極)
借りた土地やビルで運営する駐車場。固定方式と還元方式がある。売上の約 80%。
| 数量運営車室数(万車室・期末) | 価格1 万車室あたりの売上(億円・名目、料金と稼働の結果) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 4.2 | 33 | 141 | 10 |
| 10 年後 中立 | 5.4 | 45 | 240 | 16 |
取り方:2025 年 9 月末の運営車室 42,459(開示)、売上 140.91 億円、売上総利益 26.17 億円(18.6%)は開示。営業利益 9.5 億円は、全社の販管費 20.83 億円を売上比で配分した推定。期中に開いた車室は期末の数字に含まれるため、1 車室あたりの売上は年間の売上を期末の車室数で割った値。台数は実質の数量で、物価の分は 1 車室あたりの売上に入れた。
保有駐車場とその他
土地を所有して営む駐車場。駐輪場、自動販売機、太陽光など保有地の収入を含む。売上の約 20%。
| 数量保有駐車場の車室数(万車室・期末) | 価格1 万車室あたりの売上(億円・名目、料金と稼働の結果) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 0.6 | 61 | 35 | 23 |
| 10 年後 中立 | 0.8 | 82 | 66 | 42 |
取り方:2025 年 9 月末の保有 5,773 車室(開示)、売上は保有 29.07 億円とその他 6.31 億円の合計 35.38 億円、売上総利益は 23.65 億円と 3.67 億円の合計 27.32 億円(開示)。営業利益 23.1 億円は、販管費を売上比で配分した推定。その他の車室数は無いので、1 車室あたりの売上は合計を保有の車室数で割った。
リスクと懸念
金利の上昇と借金
有利子負債は 261 億円で、固定金利が約 93%。ただ、毎年 40 億円ほどの土地を借入で買い、10 年後には 400 億円に膨らむ。新しい借入は 3.5% 前後になり、利払いは今の 3 億円から 12 億円ほどに増える。
固定の地代
年間の賃借料は 97.9 億円。需要が落ちても下がらない固定費で、賃借の売上総利益率は 18.6% しかなく、下落には脆い。コロナ禍でも営業利益は 39% 減った。
自動運転とライドシェア
無人のタクシーやライドシェアが広がれば、駐車場の需要そのものが細る。保有地の価値も下がる恐れがある。10 年でもっとも大きな構造変化だが、普及の速度は読み切れない。
利益の頭打ちと固定費の増加
2026 年 9 月期の営業利益は 31 億円と、前の期の 33 億円を下回る予想。従業員の増加とオフィス賃料で販管費が約 2 億円増える。新規開設の効果が出るまでの谷になりうる。
設備の更新と償却
減価償却費は 6.3 億円で、土地は償却しない。今ある建物と設備の償却は取得時の値段のままだが、更新の投資は建築費とともに上がる。償却より多い更新費は現金の流出になる。更新の計画は確認できた資料に無かった。
含み益が見えない
保有地の簿価は 397 億円だが、賃貸等不動産の時価は確認できなかった。含み益があれば評価は上がるが、地価が下がれば逆に傷む。借入の返済額(年 17 億円)も保有地の粗利を圧迫している。
大株主の動き
伊藤忠商事が議決権の約 22% を持ち、光通信が 5.9%。大口の売却や買い増しで、株価や経営の方針が動く可能性がある。
今後の分かれ目
- 2026 年 9 月期の本決算(11 月予定)で営業利益が 31 億円を大きく上回る、または下回る
- 固定費の増加の見立てが変わる。上回れば強気に、下回ればやや悲観に重みを移す。
- 保有駐車場の利回りが 6% を割る、または取得単価が急に上がる
- 土地を買う成長の採算が悪化している。保有の営業利益率を見直す。
- 新しい借入の金利が 4% を超える
- 利払いが利益を大きく削る。純利益を下方に見直す。
- 賃貸等不動産の時価(含み益)が開示される
- 悲観の床を見直す。簿価を大きく上回れば床を引き上げる。
- 賃借の解約率が 10% を超える
- 賃借の需要が細り始めた合図。悲観の確率を上げる。
- 伊藤忠商事の持ち株の売却や買い増しが出る
- 事業の稼ぐ力とは別の価値が出る。買付価格が事業の価値を超えるかを確かめる。
見ておくもの
- 保有駐車場の利回り(6.4%)と取得単価
- 新しい借入の金利と、純有利子負債の増え方
- 賃借の売上総利益率(18.6%)と解約率(8.5%)
- 販管費の増加と営業利益の伸び
- 賃貸等不動産の時価、伊藤忠商事の持ち株
倍率と資本コストの決め方
倍率は資本コスト 7.75%(基本 7.5%+quality 1.0%)と、事業の ROE から出した。ROE が k を超える筋書きでは正当化 PER の約 9 割に、k 以下の筋書きでは 1÷k=11.8 倍の約 8 割から 7 割に置いた。悲観は赤字の賃借を抱えるため、稼ぐ力ではなく保有地の売れる価値(地価の下落を織り込んだ 7 割)から借金を引いた額に置いた。今の PER や株価、同業の倍率には寄せていない。減価償却は物価で増やさず、6.3 億円から約 8 億円へ。新しい土地と設備の取得だけを新しい値段で置いた。数字は、家賃を営業費用に入れた今の形でそろえた。新リース会計基準(2028 年 9 月期以降)では、年間 98 億円の賃借料の一部が負債と償却・利息に分かれ、営業利益は増えるが借金も増える形になる。評価は変わらない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12→15.55 倍・やや楽観 PER 11.3→14.68 倍・中立 PER 10.6→13.53 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +1.0% を足した。個別のリスクは筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.50% → 7.75%。