結論
アールエイジは、東京都心と千葉県西部で賃貸マンションを運営管理し、収益物件を持つ小さな不動産会社だ。売上の 9 割弱が運営管理で、残りが物件の開発販売である。親会社の BHAG コーポレーションが株式の 50% を持つ。
筆者の結論は、今の値段は稼ぐ力に対して高く、割高に近いというものだ。物件に含み益はあるが、金利の上昇で純利益が増えない。
賃貸等不動産の時価は簿価を 56 億円上回る。時価総額 28 億円の 2 倍にあたる。ただ、物件は稼ぐために持つ資産で、その賃料は利益にすでに入っている。売らない限り、含み益は株主の手に入らない。
借入は 97 億円で、純負債は自己資本の 1.8 倍ある。金利が 3.5% に上がれば、利払いは今の 3 倍近くに膨らむ。営業利益率は 15% 台と高いが、純利益は 3 億円に届かない。
筆者は、賃料が物価並みに上がっても、利払いの増加で純利益は横ばいになると見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「質は並み、値段は割安に見えて実は妥当より高め」に映る。長く持ちたい会社の条件は、満たしていない。
理由は、稼ぎが資本コストに届かないことだ。営業利益率は高いが、借入が重く、金利が 3.5% に上がれば純利益は増えない。ROE は 4% 前後にとどまる。
含み益には、慎重になりたい。賃料はすでに利益に入っているので、含み益を別に足すと同じ価値を二度数えることになる。売って現金に変える方針があるなら別だが、会社にその方針は見えない。
安全域は、都心の物件の時価と立地にある。ただ、親会社が過半を持つため、少数株主が資産を取り出せる機会は限られる。
筆者は、帳簿より安い今の値段を、割安と受け取らない。
経営が配当性向を保つ姿勢は評価できる。小さな会社ほど、少数株主は経営者の意思に左右される。
何で稼ぐ会社か
アールエイジは、東京都と千葉県西部で不動産の運営管理と開発販売を営む会社だ。
運営管理は売上の 88% を占める。自社で持つ収益不動産の賃貸、居住用賃貸マンションのサブリース(借り上げて転貸する)と管理の受託、駐車場、入居者の仲介、設備管理とリフォームが中身である。
開発販売は売上の 12%。賃貸事業用の不動産を企画・開発して売る。売上は年によって大きく動き、2024 年 10 月期は 47 億円、2025 年 10 月期は 33 億円だった。
株主は、親会社の BHAG コーポレーションが 50.02%。上位 10 名で 7 割強を持ち、市場に出回る株は少ない。
2026 年 10 月期の会社予想は、売上 31 億円、営業利益 4.7 億円、純利益 2.3 億円。第 1 四半期は増収増益だった。
収入の柱は賃料だ。サブリースでは、オーナーから借り上げた物件を入居者に貸し、その差額が収益になる。入居者の仲介や原状回復の工事も自社で行い、一つの物件から複数の収益を取る。本社は東京都港区にあり、船橋や高円寺にも拠点を持つ。
優良さと弱いところ
この会社の強みは、東京都心の賃貸マンションを運営する経験と、自社で持つ物件に含み益があることだ。入居者の仲介から修繕までを一貫して手がけ、空室を抑える仕組みがある。
弱みは三つある。一つは借入の重さだ。有利子負債は 97 億円で、営業利益で利息をまかなえる倍率は 4 倍台。二つ目は規模の小ささで、物件の数が少なく、一つの空室や大きな修繕が利益に響く。三つ目は親会社の存在だ。
営業利益率は 12 年のうち 11 年が 10% を超え、2024 年 10 月期は 18.8% まで上がった。賃料収入が中心のため、景気の振れには強い。
財務は、自己資本比率が 31%。ただし賃貸等不動産の簿価と時価の差が大きく、帳簿上の自己資本は実態より低い。
経営は、配当性向 4 割を保つ姿勢が一貫している。
管理の質は、入居率の高さに表れる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
賃貸マンションの運営管理は、人口が減っても東京都心では底堅い。都心の単身・二人世帯は増え、賃料は物価並みに上がると筆者は見る。
一方で、管理の数量は実質で緩やかに縮む。地方や郊外では空室が増え、都心でも新築の供給が増えれば賃料が重くなる。
建築費の上昇で新築の供給が抑えられるため、既存の物件の価値は上がりやすい。ただ、金利の上昇で不動産の期待利回りも上がり、評価は押し下げられる。10 年国債 3% の前提で、期待利回りは 4〜5.5% が目安だ。
サブリースは、オーナーへの賃料保証と、実際の入居率の差が収益の源泉になる。入居率が落ちれば保証賃料の負担が重くなる。2020 年のサブリース新法で、契約前の説明義務も強まった。
競合は、大東建託・レオパレス 21・スターツ・地域の管理会社だ。分散した市場で、価格を決める力は弱い。
東京の賃貸市場は、単身世帯の増加と転入超過に支えられ、地方との差が広がっている。この差が、都心に絞った当社の強みになる。ただ、新築の大規模物件と競う場合は、築年数の古い物件ほど賃料を下げる圧力がかかる。
資本政策と M&A
配当は 2025 年 10 月期が配当総額 1.1 億円で、配当性向は 41%。2026 年 10 月期の予想も同じ水準で、安定した配分を保つ。
自社株買いの実績は無い。自己株式はごく少数だ。
設備投資は、賃貸物件の取得と建設で、建設仮勘定が 5 億円ほどある。借入が増える形で拡大してきた。
含み益は、2025 年 10 月期末で賃貸等不動産の時価が簿価を 56 億円上回る。賃料は利益に入っており、売却しない限り株主には戻らない。
親会社の BHAG コーポレーションが 50.02% を持つ。統計上の 10 年以内の TOB の確率は 2 割ほどだ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
賃貸等不動産の時価は簿価を 56 億円上回り、時価総額 28 億円の 2 倍にあたる。借入 97 億円を引いても、物件の価値は時価総額を大きく上回る。時価総額は、純資産の 6 割にすぎない。
運営管理は売上の 9 割弱を占め、賃料収入が景気に強い。営業利益率は 12 年のうち 11 年が 10% 超で、2024 年 10 月期は 18.8%。2026 年 10 月期の第 1 四半期も営業利益が 36% 伸びた。
建築費の上昇で新築の供給が抑えられ、都心の既存物件の価値は上がる。賃料は物価並みに上がり、売上も利益も名目で伸びる。
親会社の BHAG コーポレーションが 50% を持つため、買収や非公開化の提案が出る可能性がある。配当利回りは 4% あり、待つ間も株主に還元される。
借入は重いが、担保は都心の不動産だ。貸し手にとって信用は高く、借り換えの条件も他の小さな会社より有利にできる。
親会社が過半を持つことは、経営の安定にもなる。少なくとも配当は、親会社にとっても大切な収入源であり、急に減らされにくい。
慎重な見方
含み益は、賃料を稼ぐために持つ物件の価値であり、売らなければ株主の手には入らない。賃料はすでに利益に入っており、含み益を足せば二重計上だ。
借入は 97 億円で、純負債は自己資本の 1.8 倍。金利が 3.5% に上がれば、利払いは今の 3 倍近くになり、営業利益が増えても純利益は増えない。10 年の純利益は今と同じ 2〜3 億円にとどまる。
自己資本が積み上がっても、ROE は 4% 前後で、資本コストに届かない。ためた利益は、額面を下回る価値しか持たない。
親会社が 50% を持ち、少数株主の影響力は小さい。含み益を少数株主に戻す約束は無く、売却や非公開化も親会社の都合で決まる。足元の営業利益率の高さは、利払いで消える。
金利が上がる局面では、借入の多い不動産会社から先に価値が削られる。営業利益率が高くても、賃料を稼ぐ資産に借金で投資してきた会社の ROE は低くなる。
配当利回り 4% は、金利が 3% の世界では、リスクに見合う水準とは言いにくい。借入と親会社という二つの重しがある会社を、割安と呼ぶのは早い。
どちらに重みを置いたか
筆者は、慎重な見方のほうが強いと判断した。含み益は事実だが、利益に入った賃料と二重にならないよう、中立の価値には足していない。10 年の中立の純利益は今と同じ水準で、ROE が資本コストに届かないため、中立でも今の時価総額を下回る。悲観の床は、物件の売却価値と親会社の持分を考慮して置いた。さらに、親会社が過半を持つため、含み益が少数株主に戻る道筋は見えない。確率は、この点を悲観側に反映した。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/10 期)
確率で加重した株価時価総額 765 円24 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 291 円9 億円)。 今の値に割り戻すと 552 円18 億円、今との差 −37.2%、 期待の年率 +1.8%(資本コスト 8.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 1,509 円48 億円 | 437 円14 億円 | +121.4% | +8.3% | 136 円4 億円 |
| やや楽観 | 18% | 1,220 円39 億円 | 390 円12 億円 | +83.1% | +6.2% | 290 円9 億円 |
| 中立 | 37% | 946 円30 億円 | 343 円11 億円 | +46.6% | +3.9% | 477 円15 億円 |
| やや悲観 | 28% | 252 円8 億円 | 214 円7 億円 | −47.1% | −6.2% | 130 円4 億円 |
| 悲観 | 10% | 189 円6 億円 | 31 円1 億円 | −75.0% | −12.9% | 22 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 765 円24 億円 | 291 円9 億円 | +20.0% | +1.8% | 1,055 円34 億円 |
今の株価時価総額 879 円28 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 7% 都心の賃料が物価以上に上がり、物件の取得も進んで利益率が 18% 台に乗る 利益 4 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 1,509 円48 億円
東京都心の賃貸マンションの需要が強く、サブリースの管理戸数が増える。賃料は物価を少し超えて上がり、入居率は高く保たれる。
開発販売では、都心の収益物件の企画が当たり、販売の棟数が増える。売却益が利益を押し上げる。
借入は増えるが、賃料の伸びが利払いの増加を上回る。営業利益率は 18% 台に乗り、純利益は今の 3 割増しになる。
配当は今の水準を保ち、親会社の BHAG コーポレーションも資本政策に前向きになる。それでも、借入の重さと親会社が過半を持つ構造は変わらない。
親会社が物件の追加の取得に資金を出し、借入の増加を抑えながら規模を広げる。長期の賃料の上昇が、資産の価値を押し上げる。
- 運営管理:数量 201(運営対象物件の価値(億円、今の値段で測った実質))× 価格 0.22(対象物件 1 億円あたりの運営管理の売上(賃料の指数。サブリースの総賃料を含む。10 年の中立は 1.34 倍))→ 売上 44 億円・営業利益 8 億円。運営対象物件の価値(実質)
- 開発販売:数量 3.0(販売する物件の棟数(推定))× 価格 2.82(1 棟あたりの売上(億円、名目。10 年の中立は 1.34 倍))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。販売棟数(推定)
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.8% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 48 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:賃料が物価を超えて上がり、金利負担を賃料の伸びが上回るのは例外的な筋書き。営業利益率は 2024 年 10 月期の 18.8% が山で、それ以上は置かないため 1 割を切る確率にした。
やや楽観 18% 賃料が物価並みに上がり、運営管理が安定して積み上がる 利益 3 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 1,220 円39 億円
運営管理の対象物件の価値は微増し、賃料は物価並みに上がる。営業利益率は 17% 前後に定着する。
開発販売は年 2〜3 棟の販売を続ける。借入は借り換えで 3.5% に上がるが、賃料の伸びで吸収する。
配当性向は 4 割を保つ。ただし利払いが増えた分、純利益の伸びは営業利益の伸びに届かない。
都心の賃貸の安定した需要に支えられ、利益は物価並みに伸びる。ただ、金利の負担は残る。
株主にとっては、安定した配当が続くのが主な見返りになる。親会社も、この水準の収益を前提に資本政策を維持する。
入居率は高く保たれ、設備の更新も計画どおり進む。大きな事故や災害が起きないことが前提だ。
- 運営管理:数量 188(運営対象物件の価値(億円、今の値段で測った実質))× 価格 0.21(対象物件 1 億円あたりの運営管理の売上(賃料の指数。サブリースの総賃料を含む。10 年の中立は 1.34 倍))→ 売上 40 億円・営業利益 7 億円。運営対象物件の価値(実質)
- 開発販売:数量 2.4(販売する物件の棟数(推定))× 価格 2.78(1 棟あたりの売上(億円、名目。10 年の中立は 1.34 倍))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。販売棟数(推定)
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.8% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 39 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:運営管理は売上の 9 割弱を占め、賃料収入は景気に比較的強い。足元の営業利益率は 15% 台で、過去 12 年で 13% を下回った期が無いため、中立の半分ほどの確率を置いた。
中立 37% 賃料は物価並みに伸びるが、利払いの増加で純利益は横ばい 利益 2 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 946 円30 億円
運営管理の売上は、賃料が物価並みに上がる一方で、対象物件の実質の規模は少し縮む。営業利益率は 16% 前後。減価償却は物価で増えないが、建物の更新費は建築費の上昇で膨らむ。
開発販売は年 2 棟ほどで横ばい。
借入は 97 億円ほどで、借り換えのたびに金利が 3.5% に近づく。利払いは今の 3 倍近くに増え、営業利益が増えても純利益は伸びない。
配当は性向 4 割を保つが、純利益が増えないため増配は難しい。自己資本は積み上がっても、ROE は 4% 前後にとどまる。
10 年たっても、会社の姿は今と変わらない。物件は増えず、借入も減らず、利益は横ばいで、配当を保つのが精いっぱいになる。
- 運営管理:数量 173(運営対象物件の価値(億円、今の値段で測った実質))× 価格 0.21(対象物件 1 億円あたりの運営管理の売上(賃料の指数。サブリースの総賃料を含む。10 年の中立は 1.34 倍))→ 売上 37 億円・営業利益 6 億円。運営対象物件の価値(実質)
- 開発販売:数量 2.0(販売する物件の棟数(推定))× 価格 2.74(1 棟あたりの売上(億円、名目。10 年の中立は 1.34 倍))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。販売棟数(推定)
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.9% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 30 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去 12 年の営業利益率は 11〜19% で安定しているが、純利益は金利で決まる。借り換えで 3.5% に上がる前提のもと、純利益が今と同じ水準にとどまる形をもっとも起こりやすいとした。
やや悲観 28% 金利が上がり、空室と利払いで利益が目減りする 利益 1 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 252 円8 億円
金利の上昇で、借り換えのたびに利払いが膨らむ。賃料は物価に届かず、空室も増えて、営業利益率は 13% 台に下がる。
開発販売は不動産市況の悪化で買い手が減り、販売の棟数が減る。保有物件の売却も思うように進まない。
配当は性向 4 割を守れず、減配になる。借入の返済のために物件の一部を売る展開も出る。
物件の売却を迫られる局面が来る。親会社の意向が、売却の時期と価格を左右する。
運営管理の利益は残るが、利払いの増加を吸収しきれない。金融機関から追加の担保を求められる可能性もある。
配当の減額は、親会社を含む株主全体に影響する。株価の評価は、さらに下がりやすい。
- 運営管理:数量 155(運営対象物件の価値(億円、今の値段で測った実質))× 価格 0.20(対象物件 1 億円あたりの運営管理の売上(賃料の指数。サブリースの総賃料を含む。10 年の中立は 1.34 倍))→ 売上 31 億円・営業利益 4 億円。運営対象物件の価値(実質)
- 開発販売:数量 1.4(販売する物件の棟数(推定))× 価格 2.45(1 棟あたりの売上(億円、名目。10 年の中立は 1.34 倍))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。販売棟数(推定)
倍率:やや悲観は ROE が k を大きく下回り、PER で置くと稼ぐ力は数億円にとどまる。清算されない限り少数株主が換金できず、親会社が過半を持つため、売れる資産(時価の 1 割減で約 70 億円の純資産)に戻り方 0.5 を掛けた 35 億円のさらに下、8 億円を、今の自己資本 47 億円に対する PBR で置いた(中立の PBR より低い)。 EV ÷ 営業利益は 20 倍を超えるが、EV でも見た結果、悲観の前提では意味を持たず、割安・割高の言い方はしない。
確率:借入が重く、金利が 3.5% に上がれば利払いが営業利益の半分近くまで膨らむ。キャップレートの上昇で物件の評価も下がるため、強気側より厚く置いた。
悲観 10% 金利の上昇と空室で赤字に落ち、物件を売って借入を返す 利益 −2 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 189 円6 億円
金利の上昇で利払いが営業利益を上回り、赤字に落ちる。賃料は物価に届かず、空室も増える。
開発販売は市況の悪化で止まる。借入の借り換えが難しくなり、保有物件の売却で返済を進める。
売却は時価より低い値段になり、売却益は出にくい。配当は止まり、自己資本は目減りする。
会社の価値は稼ぐ力ではなく、物件の売却価値から借入を引いた残りで測られる。親会社は少数株主の利益と必ずしも一致しない判断をするかもしれない。
借入の返済が優先され、事業の規模は縮む。残る株主にとって、価値は売却後の残りの資産に頼る形になる。
- 運営管理:数量 128(運営対象物件の価値(億円、今の値段で測った実質))× 価格 0.17(対象物件 1 億円あたりの運営管理の売上(賃料の指数。サブリースの総賃料を含む。10 年の中立は 1.34 倍))→ 売上 22 億円・営業利益 2 億円。運営対象物件の価値(実質)
- 開発販売:数量 0.6(販売する物件の棟数(推定))× 価格 2.25(1 棟あたりの売上(億円、名目。10 年の中立は 1.34 倍))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。販売棟数(推定)
倍率:悲観は純利益が赤字で PER では置けない。値は稼ぐ力ではなく売れる資産に近いが、親会社が過半を持ち清算は期待できないため、床の 30 億円をさらに割り引いた 6 億円を、減損後の自己資本 40 億円に対する PBR で置いた(やや悲観より低い)。EV ÷ 営業利益は赤字で意味を持たず、EV でも見た結果、割安・割高の言い方はしない。 EV ÷ 営業利益は 20 倍を超えるが、EV でも見た結果、悲観の前提では意味を持たず、割安・割高の言い方はしない。
確率:借入が重く、純負債は自己資本の 1.8 倍。金利が 3.5% に上がり、空室と評価下落が重なれば赤字に落ちる。ただ都心の賃貸は底堅く、物件に時価で 4 割の含み益があるため、1 割にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
運営管理
自社で持つ収益不動産の賃貸、居住用賃貸マンションのサブリースと管理受託、駐車場、入居者仲介、設備管理・リフォーム。
| 数量運営対象物件の価値(億円、今の値段で測った実質) | 価格対象物件 1 億円あたりの運営管理の売上(賃料の指数。サブリースの総賃料を含む。10 年の中立は 1.34 倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/10 | 183 | 0.16 | 29 | 5 |
| 10 年後 中立 | 173 | 0.21 | 37 | 6 |
取り方:売上 28.8 億円(kabuyoho の構成比 87.6%)を、賃貸等不動産の時価 182.5 億円(有報の自己開示)で割った比 15.8% を価格とした推定。サブリースの総賃料を含むので高く出る。営業利益は全社 5.06 億円を売上に近い比で配分した推定。数量は実質、価格は賃料の指数。
開発販売
賃貸事業用の不動産を企画・開発して販売する。
| 数量販売する物件の棟数(推定) | 価格1 棟あたりの売上(億円、名目。10 年の中立は 1.34 倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/10 | 2.0 | 2.05 | 4 | 1 |
| 10 年後 中立 | 2.0 | 2.74 | 6 | 1 |
取り方:売上 4.09 億円(構成比 12.4%)を、平均 2 億円ほどの物件 年 2 棟と推定した(棟数は推定値)。営業利益は全社 5.06 億円の配分。数量は実質、価格は名目。
リスクと懸念
借入の重さと金利
有利子負債は 97 億円で、純負債は自己資本の 1.8 倍。借り換えで金利が 3.5% に上がれば、利払いは今の 3 倍近くになり、純利益を削る。
親会社の影響
親会社の BHAG コーポレーションが 50.02% を持つ。少数株主の利益と一致しない判断や、含み益を戻さない資本政策が起きうる。
不動産市況とキャップレート
金利の上昇で期待利回りが上がれば、賃貸等不動産の時価は下がる。含み益の 56 億円が目減りし、担保の余力も細る。
開発販売の振れ
開発販売の売上は年によって大きく動き、2024 年 10 月期の 47 億円から 2025 年 10 月期は 33 億円に減った。市況が悪いと販売が止まる。
サブリースの入居率
サブリースは、オーナーへの保証賃料と実際の入居率の差が収益の源泉。入居率が落ちれば保証賃料の負担が重くなる。新リース会計基準で借り上げ分が貸借対照表に載り、数字の見え方も変わる。
規模の小ささ
物件の数が少なく、一つの大きな修繕や空室が利益に響く。時価総額が小さく、株の流動性も低い。
今後の分かれ目
- 借り換えで金利が 3.5% を超えて上がったら
- 純利益がさらに削られ、やや悲観・悲観の確率を上げる。
- 親会社が公開買付けや非公開化を提案したら
- 含み益の価値が少数株主に反映されるかが論点になる。提示される条件で評価し直す。
- 保有物件の売却で借入を返す方針が発表されたら
- 含み益が現金として実現し、売却益と利払いの減少が価値を押し上げる。楽観の確率を上げる。
- 都心の賃料の伸びが物価を超え、営業利益率が 18% を超えて保たれたら
- 楽観側の確率を上げる。
- 配当性向の引き上げや自社株買いが発表されたら
- ためた利益の稼ぎが k に届かないため、還元の増加は価値を増やす方向に働く。
見ておくもの
- 借入残高と支払利息
- 賃貸等不動産の時価と簿価の差
- 運営管理の入居率
- 開発販売の棟数と売上
- 親会社の資本政策
倍率と資本コストの決め方
セグメントは運営管理と開発販売の 2 つで、運営管理の数量は賃貸等不動産の時価、開発販売の数量は棟数(推定)に置いた。価格は賃料の指数 1.34 倍。倍率は ROE と k から、弱い堀の式で上限を出し、その 9 割に置いた。今の株価や過去の倍率には寄せていない。賃貸等不動産の含み益は賃料が利益に入っているため中立には足さず、悲観の床だけで使った(二重計上を避ける)。サブリースの借り上げ分は新リース会計基準で貸借対照表に載り、純負債の見え方が変わるため、10 年後は今の形(家賃を営業費用に入れた形)でそろえて置いた。減価償却は物価で増やさず、建物の更新は建築費の上昇で膨らむ分を借入で賄う前提とし、利払いに反映した。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 6.78→12.5 倍・やや楽観 PER 5.67→12.5 倍・中立 PER 4.54→12.5 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 1.25% = 8.75%。親会社の存在や含み益は筋書きと確率で表し、k には重ねない。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.75% → 8.00%。