結論
ADワークスグループは、中古の収益不動産を買い、手を入れて投資家に売る会社だ。ビル1棟を丸ごと売るほか、不動産を小口に分けて個人に売る商品も手がける。筆者の結論は「割高」。事業は勢いがあるが、利益が山にあり、借入が重く、金利が上がれば稼ぎが削られるからだ。
2025年12月期の売上は675億円、営業利益は50億円と、2年前の2倍を超えた。小口化商品の売上が229億円と1.8倍になったのが大きい。ただ会社は2026年の小口化の販売を50億円と見ており、税の評価見直しで勢いが落ちる。今期の営業利益も43億円と、14%減で予想している。
売る物件は先に仕入れる。販売用不動産は436億円と総資産の6割を占め、有利子負債は458億円にのぼる。自己資本比率は28.5%。営業キャッシュフローは60億円の赤字で、仕入れが売りを上回る限り、現金は出ていく。時価総額197億円に対し、現預金を引いた純負債は341億円と、その1.7倍ある。
資本政策では、アクティビスト色のある投資家グループが12.8%を持ち、増配や自己株式の取得を求めている。上振れの材料だが、配当性向は23%で、借入が重い会社に厚い還元は難しい。
10年後の中立は、営業利益が52億円前後と今とほぼ同じ。物価の分だけ売上は増えるが、利払いが倍に増えて利益を削る。純利益は23億円で、自己資本利益率は5%台と資本コストに届かない。10年の価値は、今の時価総額を下回る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社を「勢いはあるが、持ち主に報いる力の読みにくい会社」と見る。
オーナーとして持ちたいかと問えば、答えは慎重になる。仕入れ力と小口化商品の販売網は強い。ただ、利益は景気と金利の波を大きく受け、借入で成り立つ。10年のうちに1度は谷が来ると見るのが自然だ。
値段を決めるのは、株主に残る利益だ。10年の中立で、純利益は23億円前後と今より3割減る。営業利益は同じでも、利払いが倍に増える。ROEは5%台で、資本コストの9%に届かない。倍率は上限の1÷kの11.1倍に対し、7.5割の8.4倍に置いた。
安全域は、薄い。時価総額197億円は自己資本205億円とほぼ同じだが、在庫の評価は市況しだいで、不況では帳簿から3割ほど下がる。借入を引いた後の床は、自己資本より大きく下になる。
確信度は低めだ。小口化商品の落ち込みの深さ、金利の行方、投資家グループの動きが読みにくい。わからない部分があるので、確率は慎重な側へ寄せた。
何で稼ぐ会社か
ADワークスグループは、都心の中古収益不動産を仕入れ、改修して売る会社だ。持株会社で、事業は2本ある。「収益不動産販売」は売上の92%を占める。「ストック型フィービジネス」は、賃料の管理や仲介、資産運用を手がけ、売上は8%だが利益率が高い。2025年12月期の売上は675億円、営業利益は50億円だった。
収益不動産販売には、2つの売り方がある。1つはビル1棟を機関投資家や富裕層へ売る国内の一棟販売で、357億円。もう1つは不動産小口化商品で、1口500万円から個人に売る。売上は229億円と前期の1.8倍に伸び、売上総利益は49億円と、売上の2割強に及ぶ。国内の一棟販売の利ざやは、これよりずっと薄い。
稼ぎの源は、仕入れた物件を、賃料の利回りが下がった値段で売る差額と、改修で賃料を上げた分だ。買って売るまでの期間が短いほど、借入の利息が少なくて済み、資本が速く回る。仕入れの力、つまり物件情報を売主から直接集める力が、競争力の中心になる。
残る事業は、賃貸中の物件の保有と、管理や運用の手数料だ。賃貸用の資産は110億円と、販売用の436億円よりずっと小さい。外部のオーナー向けの管理事業は、2026年1月に子会社ごと譲渡した。事業の入れ替えは続いている。
従業員は連結255人と少ない。海外は米国に統括会社をおき、ハワイなどの物件を手がける。ただ売上に占める割合は小さい。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは、物件の仕入れ力と、小口化商品の販売網にある。売主から直接物件情報が集まる関係は、時間をかけて築くもので、すぐには真似られない。小口化商品は個人の投資家という売り先を持ち、機関投資家向けに頼る同業とは違う。ここは評価できる点だ。
ただ、堀は浅い。売り値は不動産市場の利回りで決まり、会社が決められない。仕入れも、同業や投資ファンドとの競争になる。資金の出し手、つまり金融機関の貸し出し姿勢が変わると、仕入れも売りも止まる。回転型の事業は、景気と金利の波を大きく受ける。
資本の使い方は、拡大優先だ。自己資本利益率は直近で16%に届いたが、過去6年の中央値は5.8%。資本コストを毎年超えてきたわけではない。借入に頼って在庫を積み上げ、利益を出してきた。配当性向は23%と控えめで、自己資本比率は28.5%と、守りは厚くない。
経営の姿勢は積極的だ。2024年から3年の中期経営計画で、収益不動産の残高を650億円へ、オフィス区分の売上を2028年に300億円へ伸ばす目標を置く。事業の入れ替えも速い。ただ、投資家グループが資本政策への提案を示しており、株主との対話はこれからだ。不祥事の類は検索の範囲で見当たらなかった。
弱みは、利益の振れの大きさと、借入の重さだ。2008年から2012年の不動産不況では、同業の多くが在庫の評価損を出し、黒字倒産した会社もあった。この会社も、あの水準の悪化が来れば、株主に残る価値は大きく減る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
収益不動産の売買は、利回りと金利で動く市場だ。賃料の利回りから金利を引いた差が大きいほど、投資家は買いやすい。都心のオフィスや賃貸マンションの利回りは4〜5.5%の水準で、金利が上がれば、買い手の利回り要求も上がり、売り値は下がる。
この数年は、低金利と円安による海外資金の流入が、市場を支えてきた。日本の不動産は海外に比べて利回りが高く、売りやすかった。金利が上がる局面では、これが逆回りする。仕入れの金利も上がり、利ざやが薄くなる。
相続税の評価の見直しは、不動産小口化商品を直撃する。小口化商品は、相続税の評価額が低く出ることが売りだった。評価の見直しで、この魅力が薄れる。会社も2026年の販売を50億円と、前期の4分の1まで引き下げた。
競争相手は、ヒューリックやサンフロンティア不動産、トーセイ、平和不動産、LAホールディングスなどだ。大手は資金調達が有利で、中小は仕入れの速さで競う。ADワークスは、その中間の規模にあり、小口化商品が独自の強みだった。
再編は、緩やかに進む。同業は不況のたびに入れ替わってきた。10年の間に1度は景気の谷が来ると見るのが自然で、そのときの評価損と資金繰りが、利益を決める。
資本政策と M&A
資本政策は、拡大が軸で、還元は控えめだ。配当性向は23%で、安定した配当を目指しつつ、利益は仕入れ資金に回す。株主優待はない。自己株式の取得は小さい。
借入は重い。有利子負債は458億円で、そのほとんどが長期の借入だ。純負債は341億円と、時価総額の1.7倍に近い。営業キャッシュフローは60億円の赤字で、投資は在庫の積み増しに使う。会社は、この積み増しを借入で賄っている。
減価償却は物価では増やさない。この会社は在庫が中心で、償却の対象は賃貸用などの110億円にとどまる。今ある資産は取得時の値段のままで、新しく取る賃貸資産だけが新しい値段で償却に加わる。償却は2億円ほどと小さい(開示で確認できないため推計)が、問題は別にある。在庫の積み増しは償却を伴わず、全額が現金の出になる。投資が償却を上回る分は、借入が埋める。
金利の上昇は、利払いに響く。今の利払いは年に9億円ほど。10年で借入が増え、金利が上がれば、18億円ほどになる。営業利益が横ばいでも、利益が削られる。
株主構成は、個人が7割を占める。投資家グループが12.8%を持ち、増配や自己株式の取得を含む資本政策を提案している。3か月以内に5%を超えて買い増す可能性にも触れており、動き次第で上値の材料になる。ただ、確かめられない話は価値に入れていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
この会社は、変わるのが速い。2023年12月期に24億円だった営業利益は、2年で50億円に伸びた。仕入れの力と、小口化商品の販売網が噛み合った結果だ。
オフィス区分の事業は、2026年に売上100億円、2028年に300億円を目指す。小口化商品が落ち込んでも、この事業が埋めれば、売上は物価以上に伸びる。2024年から3年の中期経営計画は、収益不動産の残高を650億円に増やし、ROEを14.5%に保つ。
資本政策も動く可能性がある。投資家グループが12.8%を持ち、増配や自己株式の取得を求める。借入が軽くなり、還元が増えれば、評価は上がる。配当性向が23%と低いので、引き上げの余地はある。
金利が上がる局面でも、改修で賃料を上げる力と、短い回転で利息を抑える力がある。物件の売り値は、物価に連れて上がる。利益率が6〜7%を保てば、純利益は今の1.3倍になる。
米国やハワイの物件も、円安の局面では現地の投資家に売りやすい。海外の売上は小さいが、国内の利回りが下がったときの逃げ道になる。管理事業の譲渡で身軽になり、仕入れと販売に人を回せる点も強みだ。
慎重な見方
利益は山にある。2025年12月期の営業利益率7.4%は、2年前の約6%から上がり、小口化商品の1.8倍の伸びが支えた。会社も今期の営業利益を14%減で見ており、小口化の販売は4分の1に落ちる計画だ。
借入が重く、金利の上昇が直撃する。有利子負債458億円に対し、時価総額は197億円。金利が上がると、利払いが営業利益を食う。10年の間に、利払いは年に9億円ほど増える見込みだ。
不況の怖さは別格だ。回転型の会社は、売れない物件の評価損と、借入の借り換えの不調が重なる。2008年から2012年には、同業の多くが赤字に沈み、倒産した会社もあった。自己資本比率28.5%は、あの波を耐えるには薄い。
資本の使い方も、持ち主に報いる形ではない。営業キャッシュフローは赤字で、利益は在庫に消える。自己資本利益率の過去6年の中央値は5.8%で、資本コストに届かない。
投資家グループの提案は、実現しても借入の重さを変えない。売りの勢いが続くと見込むより、谷の深さを見積もるほうが、10年の測り方に合う。
どちらに重みを置いたか
事業の勢いと、仕入れ力という強気の見方には説得力がある。だが、利益が山にあり、借入が重く、金利と不況の影響を大きく受けるという慎重な見方の裏づけが強い。確率は中立に厚く置き、強気の上振れは、オフィス区分事業の成功と還元の拡大を前提にした8%にとどめた。谷の深さを考え、悲観側も2割を置いた。10年の価値は今の時価総額を下回り、判定は「割高」となる。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 632 円317 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 120 円60 億円)。 今の値に割り戻すと 352 円177 億円、今との差 −9.4%、 期待の年率 +6.8%(資本コスト 8.8%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,323 円662 億円 | 220 円110 億円 | +296.5% | +14.8% | 123 円62 億円 |
| やや楽観 | 22% | 963 円482 億円 | 170 円85 億円 | +191.1% | +11.3% | 249 円125 億円 |
| 中立 | 38% | 703 円352 億円 | 124 円62 億円 | +112.6% | +7.8% | 314 円157 億円 |
| やや悲観 | 22% | 180 円90 億円 | 70 円35 億円 | −35.7% | −4.3% | 55 円28 億円 |
| 悲観 | 10% | 80 円40 億円 | 30 円15 億円 | −71.6% | −11.8% | 11 円6 億円 |
| 加重平均 | 100% | 632 円317 億円 | 120 円60 億円 | +93.5% | +6.8% | 753 円377 億円 |
今の株価時価総額 389 円195 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 8% オフィス区分が立ち上がり、還元が膨らむ 利益 43 億円 · PER 13.4 倍 · 株価時価総額 1,323 円662 億円
オフィス区分の事業が立ち上がり、小口化商品の落ち込みを埋める。一棟販売は数量が3割増え、国内の利回りが保たれて物件の売り値が物価に連れて上がる。
小口化商品は、相続税の見直し後も販売が続き、10年で今の8割にとどまる。ストック型のフィーは、運用資産の増加で2割伸びる。
利益率は一棟販売で7.5%に上がる。借入は増えるが、金利の上昇を回転の速さで吸収する。営業利益は87億円まで伸びるが、利払いが22億円と今の倍以上で、純利益は43億円にとどまる。
投資家グループの提案で、還元が膨らむ。10年の還元は110億円。ROEは9%台で、資本コストにわずかに届かない。
減価償却は物価で増やさず、今ある資産は取得時の値段のまま。新しく取る賃貸資産だけ新しい値段で加える。賃貸用の資産が増え、償却は約3.5億円(今は約2億円、物価で一律に増やすと約2.7億円)。在庫の積み増しは償却を伴わず、全額が現金の出で、投資が償却を上回る分は借入で埋まる。
- 収益不動産販売・一棟ほか:数量 130(販売額の指数(2025/12 を100))× 価格 5.29(指数1あたり売上(億円、名目))→ 売上 688 億円・営業利益 52 億円。数量 1.30 倍・価格 1.34 倍(名目)・セグメント利益率 7.5%
- 収益不動産販売・不動産小口化商品:数量 80.0(販売額の指数(2025/12 を100))× 価格 3.07(指数1あたり売上(億円、名目))→ 売上 246 億円・営業利益 44 億円。数量 0.80 倍・価格 1.34 倍(名目)・セグメント利益率 18.0%
- ストック型フィービジネス:数量 120(手数料収入の指数(2025/12 を100))× 価格 0.75(指数1あたり売上(億円、名目))→ 売上 90 億円・営業利益 21 億円。数量 1.20 倍・価格 1.34 倍(名目)・セグメント利益率 23.0%
倍率:事業の純利益 43 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.4% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.4 倍。全体の PER 13.44 倍、時価総額 582 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:オフィス区分の成功、還元の拡大、金利の安定が重なる筋書き。投資家グループの存在で現実味はあるが、重なる必要があるので8%を置いた。
やや楽観 22% 一棟販売が伸び、利益が保たれる 利益 32 億円 · PER 12.4 倍 · 株価時価総額 963 円482 億円
一棟販売の数量が2割増え、小口化商品は今の65%に収まる。オフィス区分の売上が計画どおりに伸び、物価を超える値上がりの一部を取る。
ストック型のフィーは1割伸びる。本社費用は物価で増える。営業利益は67億円。借入の増加と金利の上昇で、利払いは19億円に増え、純利益は32億円。
還元は10年で85億円。ROEは7%台で、資本コストに届かない。
減価償却は物価で増やさず、今ある資産は取得時の値段のまま。新しく取る賃貸資産だけ新しい値段で加える。償却は約3億円(今は約2億円、物価で一律に増やすと約2.7億円)。在庫の積み増しは償却を伴わず、全額が現金の出で、投資が償却を上回る分は借入で埋まる。
- 収益不動産販売・一棟ほか:数量 120(販売額の指数(2025/12 を100))× 価格 5.29(指数1あたり売上(億円、名目))→ 売上 635 億円・営業利益 45 億円。数量 1.20 倍・価格 1.34 倍(名目)・セグメント利益率 7.0%
- 収益不動産販売・不動産小口化商品:数量 65.0(販売額の指数(2025/12 を100))× 価格 3.07(指数1あたり売上(億円、名目))→ 売上 200 億円・営業利益 35 億円。数量 0.65 倍・価格 1.34 倍(名目)・セグメント利益率 17.5%
- ストック型フィービジネス:数量 110(手数料収入の指数(2025/12 を100))× 価格 0.75(指数1あたり売上(億円、名目))→ 売上 83 億円・営業利益 18 億円。数量 1.10 倍・価格 1.34 倍(名目)・セグメント利益率 22.0%
倍率:事業の純利益 32 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.8% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.4 倍。全体の PER 12.42 倍、時価総額 396 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:一棟販売が伸び、オフィス区分も計画どおりに進む形。利益の勢いが続く形として2割強を置いた。
中立 38% 営業利益は横ばい、利払いが倍に増える 利益 23 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 703 円352 億円
一棟販売は数量が1割強増える。値段は物価並みの1.34倍に上がるが、都心の物件を仕入れる競争が厳しく、利益率は7%にとどまる。
小口化商品は、相続税の見直しで半分に落ち着く。ストック型のフィーは数量が横ばいで、値段だけ物価に連れて上がる。管理事業の譲渡で規模は大きくならない。
本社費用は物価で増え、年32億円に近づく。営業利益は52億円。これは今期予想の43億円より高く、直近の50億円とほぼ同じ。
借入は仕入れで増え、金利が上がる。利払いは今の9億円から18億円に増え、純利益は23億円。配当性向を25%ほどに保つと、還元は10年で62億円。ROEは5%台で、資本コストに届かない。
減価償却は物価で増やさず、今ある資産は取得時の値段のまま。新しく取る賃貸資産だけ新しい値段で加える。償却は約3億円(今は約2億円、物価で一律に増やすと約2.7億円)。在庫の積み増しは償却を伴わず、全額が現金の出で、投資が償却を上回る分は借入で埋まる。
- 収益不動産販売・一棟ほか:数量 112(販売額の指数(2025/12 を100))× 価格 5.29(指数1あたり売上(億円、名目))→ 売上 593 億円・営業利益 42 億円。数量 1.12 倍・価格 1.34 倍(名目)・セグメント利益率 7.0%
- 収益不動産販売・不動産小口化商品:数量 50.0(販売額の指数(2025/12 を100))× 価格 3.07(指数1あたり売上(億円、名目))→ 売上 154 億円・営業利益 26 億円。数量 0.50 倍・価格 1.34 倍(名目)・セグメント利益率 17.0%
- ストック型フィービジネス:数量 100(手数料収入の指数(2025/12 を100))× 価格 0.75(指数1あたり売上(億円、名目))→ 売上 75 億円・営業利益 16 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍(名目)・セグメント利益率 21.5%
倍率:事業の純利益 23 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.2% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 258 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:小口化商品が落ち着き、一棟販売が物価並みに伸び、利払いが利益を削る。最も自然と考え、最大の確率を置いた。
やや悲観 22% 金利の上昇で売りが鈍り、利益が細る 利益 4 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 180 円90 億円
金利の上昇で、物件の売り値の利回りが上がり、売りが鈍る。一棟販売の数量は5%減り、値段も物価の伸びに届かない。小口化商品は今の3割まで落ちる。
利益率は一棟販売で5.5%。営業利益は22億円に落ち、利払い16億円を引くと、純利益は4億円にとどまる。
還元は減配で10年に35億円。会社は在庫を圧縮して借入を減らすが、売り値が下がり、評価損が出る。
株主に残る価値は、稼ぐ力でなく、売れる資産から借入を引いた残りが床になる。
減価償却は物価で増やさず、今ある資産は取得時の値段のまま。新しく取る賃貸資産だけ新しい値段で加える。償却は約2.5億円(今は約2億円、物価で一律に増やすと約2.7億円)。在庫の積み増しは償却を伴わず、全額が現金の出で、投資が償却を上回る分は借入で埋まる。
- 収益不動産販売・一棟ほか:数量 95.0(販売額の指数(2025/12 を100))× 価格 5.14(指数1あたり売上(億円、名目))→ 売上 488 億円・営業利益 27 億円。数量 0.95 倍・価格 1.30 倍(名目)・セグメント利益率 5.5%
- 収益不動産販売・不動産小口化商品:数量 30.0(販売額の指数(2025/12 を100))× 価格 2.98(指数1あたり売上(億円、名目))→ 売上 89 億円・営業利益 13 億円。数量 0.30 倍・価格 1.30 倍(名目)・セグメント利益率 14.0%
- ストック型フィービジネス:数量 90.0(手数料収入の指数(2025/12 を100))× 価格 0.73(指数1あたり売上(億円、名目))→ 売上 66 億円・営業利益 13 億円。数量 0.90 倍・価格 1.30 倍(名目)・セグメント利益率 20.0%
倍率:利益が薄く、稼ぐ力(純利益÷k)は約45億円と床を下回る。売れる資産から借入を引いた残りが床になる。今の自己資本205億円に0.44倍を掛け、この床に合わせた。EV(時価総額に純負債341億円を足した値)で見ても、営業利益22億円の約20倍と重く、割安とは言えない。
確率:金利の上昇で売りが鈍る形。回転型の会社は景気の波が大きく、10年では起きやすいので、中立に近い確率を置いた。
悲観 10% 不動産不況で在庫の評価損が膨らむ 利益 −42 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 80 円40 億円
不動産市況が崩れる。金利が上がり、金融機関の貸し出しが絞られ、物件の買い手が減る。一棟販売の数量は3割減り、値下げで利益率は赤字になる。
小口化商品はほぼ消える。評価損を計上し、営業利益は赤字に沈む。利払いは16億円と重いまま。
配当は大きく減り、10年の還元は15億円。会社は在庫を急いで売り、借入を返すが、売り値は帳簿を下回る。2008年から2012年の同業のように、株主に残る価値は大きく削られる。
減価償却は物価で増やさず、今ある資産は取得時の値段のまま。新しく取る賃貸資産だけ新しい値段で加える。賃貸用の資産を一部売り、償却は約2億円(今は約2億円、物価で一律に増やすと約2.7億円)。在庫の積み増しは償却を伴わず、全額が現金の出で、投資が償却を上回る分は借入で埋まる。
- 収益不動産販売・一棟ほか:数量 70.0(販売額の指数(2025/12 を100))× 価格 4.94(指数1あたり売上(億円、名目))→ 売上 346 億円・営業利益 −7 億円。数量 0.70 倍・価格 1.25 倍(名目)・セグメント利益率 -2.0%
- 収益不動産販売・不動産小口化商品:数量 15.0(販売額の指数(2025/12 を100))× 価格 2.87(指数1あたり売上(億円、名目))→ 売上 43 億円・営業利益 3 億円。数量 0.15 倍・価格 1.25 倍(名目)・セグメント利益率 8.0%
- ストック型フィービジネス:数量 70.0(手数料収入の指数(2025/12 を100))× 価格 0.70(指数1あたり売上(億円、名目))→ 売上 49 億円・営業利益 7 億円。数量 0.70 倍・価格 1.25 倍(名目)・セグメント利益率 15.0%
倍率:赤字で、稼ぐ力は床を下回る。床は売れる資産から借入を引いた残り。自己資本130億円に0.31倍を掛け、この床に合わせた。2008年から2012年の同業は、帳簿の3割前後まで売られた。
確率:不動産不況と資金繰りの悪化が重なる形。2008年から2012年の同業の例があり、10年でゼロにできないので1割を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
収益不動産販売・一棟ほか
都心の中古ビルや賃貸マンションを仕入れ、改修して機関投資家や富裕層に1棟ごと売る。米国・オフィス区分も含む。
| 数量販売額の指数(2025/12 を100) | 価格指数1あたり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 100 | 3.95 | 395 | 24 |
| 10 年後 中立 | 112 | 5.29 | 593 | 42 |
取り方:収益不動産販売の売上624.4億円から小口化商品229.3億円を引いた395.1億円。利益は同事業の利益63.6億円から小口化商品の推計40億円を引いた。物件数の開示がなく指数で表した。
収益不動産販売・不動産小口化商品
不動産を小口に分け、1口500万円から個人に売る商品。利ざやが厚い。
| 数量販売額の指数(2025/12 を100) | 価格指数1あたり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 100 | 2.29 | 229 | 40 |
| 10 年後 中立 | 50.0 | 3.07 | 154 | 26 |
取り方:有価証券報告書の売上229.3億円、売上総利益48.6億円。利益は総利益から販売費を引いた推計40億円(営業利益率17%)。会社は2026年の販売を50億円と見る。
ストック型フィービジネス
賃料の管理、仲介、資産運用などの手数料。利益率が高く、安定している。
| 数量手数料収入の指数(2025/12 を100) | 価格指数1あたり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 100 | 0.56 | 56 | 12 |
| 10 年後 中立 | 100 | 0.75 | 75 | 16 |
取り方:セグメント売上56.0億円、利益12.05億円。外部オーナー向けの管理事業は2026年1月に譲渡した。全社費用・消去(セグメント利益合計75.7億円と連結営業利益49.9億円の差−25.8億円)は調整欄に置く。
リスクと懸念
利益が山にある
2025年12月期の営業利益50億円は、2年前の2倍を超える。小口化商品が1.8倍に伸びたのが大きい。会社は今期の営業利益を43億円と見て、14%減を予想している。
小口化商品の落ち込み
相続税の評価の見直しで、小口化商品の魅力が薄れる。会社も2026年の販売を50億円と、前期の4分の1に引き下げた。利ざやの厚い商品なので、利益への影響は大きい。
借入の重さと金利
有利子負債は458億円で、時価総額の2.3倍。純負債は341億円。変動の借入が多く、金利が上がると利払いが営業利益を食う。10年で年9億円ほど増える見込みだ。
不動産不況と評価損
2008年から2012年に、同業の多くが在庫の評価損を出し、倒産した会社もあった。販売用不動産は436億円で総資産の6割を占め、売れなければ現金に変わらない。
資金調達の不調
金融機関の貸し出し姿勢が変わると、仕入れも借り換えも止まる。有価証券報告書も、調達の不調を事業のリスクに挙げている。
アクティビストの動き
投資家グループが12.8%を持ち、資本政策の提案を示している。上振れの材料だが、提案の中身はこれからで、借入の重い会社に厚い還元が出るかはわからない。
事業の入れ替えと海外
外部オーナー向けの管理事業を譲渡し、子会社も売った。米国は統括会社の下に5社あり、現地の法規制のリスクがある。
今後の分かれ目
- 小口化商品の販売が50億円を大きく上回る
- 相続税の見直しの影響が小さい。上振れの確率を上げる。
- オフィス区分の事業が2026年に売上100億円を超える
- 小口化商品の落ち込みを埋める目途が立つ。上振れの確率を上げる。
- 投資家グループが増配や自己株式の取得を実現させる
- 還元が確かになる。上振れの確率を上げる。
- 金利が上がり、借入の利払いが営業利益の3割を超える
- 利益が削られる。慎重な筋書きの確率を上げる。
- 販売用不動産の回転が鈍り、在庫が積み上がる
- 評価損の前触れ。慎重な筋書きの確率を上げる。
- 自己資本比率が25%を割り込む
- 資金繰りの余裕が薄れる。悲観の筋書きの確率を上げる。
見ておくもの
- 営業利益と営業利益率(今期予想は43億円)
- 小口化商品とオフィス区分の販売額
- 販売用不動産の残高と回転
- 有利子負債と利払い、自己資本比率
- MI2グループの保有割合と提案の中身
- 配当性向と自己株式の取得
倍率と資本コストの決め方
倍率はROEから置いた。事業のROEは5%台で、資本コスト8.75%に届かず、上限は1÷kの11.1倍。回転型で借入が重い点を見て、上限の7.6割の8.4倍に置いた。今の株価・過去の倍率・同業の倍率は使っていない。時価総額と自己資本がほぼ同じ(PBR1倍)ことは、割安の根拠にしなかった。
現預金116億円は、販売用不動産の仕入れ資金と、借入の返済に備える運転資金で、事業に要らない余りとは言えない。分けて足さない。
同領域のヒューリック、サンフロンティア不動産、トーセイとは、借入の重さと回転型の度合いが違い、比べにくい。倍率を借りず、式だけで置いた。
減価償却は物価で増やさず、今の約2億円を10年後に約3億円と置いた(物価で一律に増やすと約2.7億円)。償却の対象は賃貸用の110億円で、在庫は対象外。新リース会計基準の影響は、リースの開示がなく小さいとみる。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.7→13.44 倍・やや楽観 PER 9.3→12.42 倍・中立 PER 8.4→11.43 倍)。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。