結論
ロードスターキャピタルは、東京の中規模オフィスビルを買い、手を入れて貸し、タイミングを見て売る会社だ。売上の約 8 割がこの不動産投資で、残りは運用の受託とクラウドファンディング、ホテル運営になる。社長の岩野達志氏は不動産鑑定士で、持株は約 2 割ある。
筆者の結論は「割安」だ。一番の理由は、稼ぐ力に対して値段が低いこと。純利益は毎年のように増え、自己資本利益率(ROE)は 25% 前後を保つ。ところが時価総額は純利益の約 6 倍にとどまる。確率で重みを付けた本質価値は、今の時価総額を大きく上回る。
怖いのは借入だ。純有利子負債は 551 億円と、時価総額を上回る。自己資本比率は 26%。金利が上がって買い手の利回り要求が上がれば、売値が下がり、貸し手が引く。リーマン後に不動産会社が次々と倒れた記憶は、この業界の誰にも残っている。
筆者は、この借入の重さを割り引いて、ふつうの会社より低い安全域で見ている。それでも、割安の差が大きい理由は、利益が売却益に偏っていても、毎年積み上がる賃料が土台にあるからだ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資家はまず「理解できる商売か」を問う。この会社の商売は、買う、直す、貸す、売るの繰り返しだ。わかりやすいが、10 年後の利益を予測しにくい。売却益は市場の状況で大きく動く。
次に、オーナーが手にできる利益を考える。稼いだ利益の大半を次の物件に回す会社で、株主が自由に使える利益は、見かけの純利益より少ない。
堀は並だ。情報網と判断の速さは武器だが、他人にまねされやすい。人に依存する部分が大きい。
経営者の資本配分は、攻めの色が濃い。借入で物件を買い、売って増やしてきた。ここ数年の結果は優れているが、リーマン級の谷で試されていない。
安全域は、値段の低さで確保できている。筆者が見る本質価値は、今の時価総額を大きく上回る。ただし、借入が時価総額を上回る会社は、谷で株主の取り分が真っ先に削られる。その分を悲観の確率に反映した。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は 3 つある。柱は不動産投資で、売上の約 8 割を占める。オフィスビルを 10 億〜50 億円の価格帯で買い、共用部や水回りを直し、安かった賃料を契約更新のたびに引き上げて、貸しながら売り時を待つ。売れば売却益が入り、貸している間は賃料が入る。ホテルも持ち、運営の収益も取り込む。
2 つ目は運用の受託(アセットマネジメント)だ。投資家のお金を預かって物件を買い、運用の手数料を受け取る。預かり資産は 1,100 億円を超えた。中計では 2027 年に 3,000 億円を目指す。
3 つ目はクラウドファンディング「OwnersBook」だ。個人から資金を集め、不動産の事業に貸し付ける。手数料が入り、借入に頼らず物件を買う手段にもなる。
狙いはすき間にある。10 億円を超えると個人の富裕層は手が出ない。50 億円未満だと大手の不動産投資信託(REIT)は採算が合わない。この帯は競争が緩く、意思決定の速い会社が勝つ。社長が不動産鑑定士で、早ければ 1 日で買う判断ができる。
都内の物件では、築 20〜30 年で賃料が相場より安いものを選ぶ。直して引き上げる余地を買う発想だ。
優良さと弱いところ
強みは「速さ」と「目利き」にある。仕入れの判断が早く、賃料が上げられる物件を見つける眼がある。仕入れは累計で約 1,000 億円(2022 年末時点)。売却で損を出したことがないと、会社は説明している。
売る力だけでなく、持つ力も増えている。中計は短期の転売ではなく、賃料やホテルの収益を得ながら持つ方針を打ち出した。利益の質を上げる動きだ。
弱点はまず借入の厚さだ。純有利子負債は自己資本の 1.7 倍。借入は原則 10 年超の固定で、財務制限条項(返済を急がされる約束)を付けない設計にしているが、買い手が減れば売るに売れない。
次に、利益が売却益に偏る点だ。2026 年上期は売上が 36% 増えたのに、営業利益は 4.5% しか増えなかった。4〜6 月の営業利益率は 17.7% と、前年の 20.5% から下がっている。仕入れ価格が上がり、売却益が薄まりつつある兆候だ。
財務は営業利益が支払利息の 10 倍あり、問題はない。ただし利払いは 12.9 億円と、2 年で倍近くになった。
堀(他社がまねできない強み)は並だと見る。人と情報のネットワークは武器だが、同じ物件をトーセイやサンフロンティア不動産も狙い、制度や技術の壁はない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
舞台は東京都心のオフィス市場だ。コロナ後も都心の空室率は低く、賃料は上がっている。新しく建つ大型ビルは大手が押さえ、中規模ビルは新規の供給が少ない。需要が落ちにくい構造がある。
ただし、金利の存在が大きい。物価 3%、10 年国債 3% の世界では、不動産を買う側が求める利回りが上がる。売値は下がりやすい。これが続けば、安く買って高く売る商売の利ざやは細る。
買い手は多い。J-REIT、私募ファンド、外資ファンド、富裕層、事業会社が競い合っている。中規模ビルの売買は、国内の投資家が主役だ。同じ価格帯で戦うのが、トーセイ、サンフロンティア不動産、各社の私募ファンドだ。意思決定が早ければ先に買える。
運用受託の市場は伸びている。日本の不動産に資金を向ける海外の年金や機関投資家が増え、独立系の運用会社に資金が流れている。ロードスターは運用資産を 2027 年に 3,000 億円へ増やす計画だ。
循環のどこにいるか、といえば、売却益を取りやすい時期の後半に差しかかっている。2026 年上期の営業利益が売上ほど伸びなかったのは、その初期の兆しと筆者は見る。
資本政策と M&A
配当性向は 18% 以上が目安で、実際は 2 割前後だ。2026 年 12 月期の配当予想は大きく増えた。上場以来、増配が続いている。自社株買いは機動的に行うとしており、過去に実施した例もある。
2026 年 6 月、自己株式を使った株式の無償割当(1 株につき 0.2 株)を実施した。保有していた自己株式を株主に配り、流通する株式を増やす目的だ。新しい株式は増えず、実質の増配になった。
事業で稼いだお金の大半は、不動産への投資に回す。自己資本比率の目標は 25〜30% だ。借入は多いが、貸し手は金融機関で、返済期限は長い。
M&A は積極的ではない。外部の成長は、業務提携とクラウドファンディング、運用会社としての事業拡大で補う考えだ。
筆者が注目するのは、岩野社長が約 2 割を持つ点だ。経営者が大株主なので、株主の利益と経営の利益が重なりやすい。一方、少数株主の側から見ると、配当に回すお金が少なく、成長に回す額が大きいという選択も、経営者の意思に沿って決まる。
10 年の還元は、配当性向 21% を保つ形で置いた。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ROE は 25% 前後で、純利益は長く伸び続けている。中計は 2027 年に売上 600 億円、税前利益 167 億円を掲げ、ストックの拡大を着実に進めてきた実績がある。東京の中規模オフィスは新規供給が少なく、更新のたびに賃料を引き上げられるため、保有しているだけで利益が増える。
仕入れの強みは速さだ。社長が不動産鑑定士で、1〜5 営業日で買う判断を下せる。10 億〜50 億円の価格帯は、個人富裕層にも大手 REIT にも手が出にくいため、競争が緩い。売却で損を出したことがなく、実績も裏づけている。
運用受託は自己資本を使わずに手数料が入る。AUM が 3,000 億円まで育てば、利益の質は一段上がる。ホテルの運営を取り込み、賃料と運営収益が加わる。
借入は原則 10 年超の固定で、財務制限条項も付けない。金融機関から長い期間の借入を確保しており、谷で返済を迫られにくい設計だ。PER は 6 倍前後で、これだけ稼ぐ会社には低すぎる。
慎重な見方
借入が時価総額を上回る会社に、安全域はない。純有利子負債は自己資本の 1.7 倍で、自己資本比率は 26%。2008 年のリーマン後には、同じように借入で物件を増やした会社が、貸し手の態度が変わっただけで破綻した。10 年国債が 3% の世界は、不動産の買い手の利回りを押し上げ、売値を下げる。
利益は売却益に偏る。2026 年の上期は売上が 36% 増えたのに営業利益は 4.5% 増にとどまり、4〜6 月は純利益が減った。売却益が取りやすい時期は過ぎつつあるように見える。仕入れ価格は上がり、買い手の利回り要求も上がる。
運用の受託は伸びても、手数料率が低い。数字の見かけは増えるが、利益への貢献は小さい。クラウドファンディングも規制と信用の変化に弱い。
利払いはすでに 12.9 億円と、2 年で倍近くになった。借り換えのたびに金利は上がる。中計の目標を達成するには、さらに借入を増やさざるを得ず、収益は金利の上昇に食われる。社長が 2 割を持つ構造も、少数株主の意向とは別に資本配分が決まる危険がある。
どちらに重みを置いたか
強気の見方がやや強いと見る。理由は、毎年の増益の実績に裏づけがあり、賃料という土台があるからだ。慎重な見方の借入の指摘は正しく、谷での傷は深い。
確率は、中立を最も厚くし、やや悲観を25%と厚めに置いた。悲観は 13% と、会社の優良さに比べて高めにした。借入が重い会社は、悪い局面の確率を上げても、なお割安という結果が出る。それが、値段の低さの意味だ。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 13,139 円2,666 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,144 円232 億円)。 今の値に割り戻すと 6,716 円1,363 億円、今との差 +170.9%、 期待の年率 +19.1%(資本コスト 8.3%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 27,040 円5,487 億円 | 1,828 円371 億円 | +1,064.5% | +27.8% | 2,887 円586 億円 |
| やや楽観 | 22% | 21,096 円4,281 億円 | 1,552 円315 億円 | +813.6% | +24.8% | 4,983 円1,011 億円 |
| 中立 | 30% | 15,964 円3,240 億円 | 1,291 円262 億円 | +596.0% | +21.4% | 5,176 円1,050 億円 |
| やや悲観 | 25% | 3,635 円738 億円 | 759 円154 億円 | +77.2% | +5.9% | 1,098 円223 億円 |
| 悲観 | 13% | 739 円150 億円 | 325 円66 億円 | −57.1% | −8.1% | 138 円28 億円 |
| 加重平均 | 100% | 13,139 円2,666 億円 | 1,144 円232 億円 | +476.2% | +19.1% | 14,283 円2,898 億円 |
今の株価時価総額 2,479 円503 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 10% 都心オフィスの買い時が続き、AUM も育つ 利益 297 億円 · PER 17.6 倍 · 株価時価総額 27,040 円5,487 億円
中計の 2027 年を通過した後も、ストックは緩やかに積み上がる。東京の中規模オフィスは新規供給が少なく、賃料の引き上げが続く。10 億〜50 億円の物件は大手の REIT も個人富裕層も手を出しにくく、先に決める速さで仕入れ続けられる。借入は原則 10 年超の固定で、金利上昇の傷が浅い。AUM は 3,000 億円の中計をさらに超え、運用受託が自己資金を使わない利益の柱になる。営業利益率は過去最高圏の 29% 台を保つ。岩野社長のもとで仕入れの判断力が組織に根づき、後継の幹部も育つ。運用受託には海外の年金や機関投資家の資金が流れ込み、独立系の運用会社として確固たる地位を得る。借入は自己資本の拡大とともに相対的に軽くなり、自己資本比率は 30% を超える。ホテルや物流、商業ビルにも投資を広げ、都心オフィスの循環に左右されにくい形になる。配当は毎年増え、自社株買いも加わる。
- 不動産投資(賃料・売却・ホテル):数量 2,300(年平均の保有ストック(億円・今の値段で測った実質))× 価格 0.68(売上÷ストック(賃料の利回りと売却の回転が含まれる・名目))→ 売上 1,558 億円・営業利益 468 億円。平均ストック 2300 億円(今の値段)× 売上÷ストック 0.677(今の 1.40 倍)、営業利益率 30%
- 運用受託・クラウドファンディング等:数量 4,200(運用資産残高(億円・今の値段で測った実質・推定))× 価格 0.03(手数料率(名目の指数))→ 売上 105 億円・営業利益 53 億円。AUM 4200 億円 × 手数料率 2.50%(今の 1.40 倍)、営業利益率 50%
倍率:事業の純利益 297 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 23.7% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 16.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.6 倍。全体の PER 17.63 倍、時価総額 5,240 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:金利が安定し、都心の中規模オフィスの需給が締まり続け、かつ運用受託も育つという好条件が 10 年続く必要がある。会社の実績は強いが、その連続は多くないため 1 割に置いた。
やや楽観 22% 中計をほぼ達成し、緩やかに伸び続ける 利益 231 億円 · PER 17.4 倍 · 株価時価総額 21,096 円4,281 億円
ストックは 2027 年に 1,500 億円へ届き、その後は年に 1 割弱のペースで積み上がる。平均では 2035 年に今の 2 倍強になる。売却益と賃料が半々で入り、ホテル運営も加わる。AUM は 3,000 億円を超え、運用の手数料が安定した収入になる。営業利益率は今より少し下がる程度で、借入が増える分だけ金利の負担も重い。それでも配当は増え続け、ROE は 10% 台半ばに落ち着く。トーセイやサンフロンティア不動産との競争は続くが、10 億〜50 億円の帯での判断の速さは引き続き強みになる。物価の上昇で賃料は上がり、築 20〜30 年の物件の賃料引き上げも通る。クラウドファンディングは貸付型を中心に拡大し、借入に頼らない資金源として育つ。社長の持株は約 2 割のまま、株主との距離も近い。
- 不動産投資(賃料・売却・ホテル):数量 1,900(年平均の保有ストック(億円・今の値段で測った実質))× 価格 0.66(売上÷ストック(賃料の利回りと売却の回転が含まれる・名目))→ 売上 1,260 億円・営業利益 365 億円。平均ストック 1900 億円(今の値段)× 売上÷ストック 0.663(今の 1.37 倍)、営業利益率 29%
- 運用受託・クラウドファンディング等:数量 3,300(運用資産残高(億円・今の値段で測った実質・推定))× 価格 0.02(手数料率(名目の指数))→ 売上 81 億円・営業利益 40 億円。AUM 3300 億円 × 手数料率 2.45%(今の 1.37 倍)、営業利益率 49%
倍率:事業の純利益 230 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 22.6% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 15.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.4 倍。全体の PER 17.43 倍、時価総額 4,018 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2027 年の中計(ストック 1,500 億円)は直近の仕入れ実績から届く範囲にある。その先も都心オフィスは堅いとみて、確率は厚めに置く。
中立 30% ストックは倍に、利益率は少しずつ薄れる 利益 172 億円 · PER 17.2 倍 · 株価時価総額 15,964 円3,240 億円
ストックは 2027 年の 1,500 億円を通過点に、平均で 1,500 億円(今の値段)まで増える。売却益の取りやすさは 2020 年代前半よりは薄まり、営業利益率は 28% 台へ下がる。物価の上昇で賃料と売却価格は上がるが、借入の金利も上がる。金利負担が増えるぶん、純利益の伸びは営業利益よりやや遅い。AUM は 2,600 億円まで増え、手数料が安定した柱になる。配当は利益の 2 割強で増え続ける。更新のたびに賃料を引き上げる地道な作業は続き、保有物件の賃料収入が土台として積み上がる。一方、買い手の利回り要求が上がる年は取引が止まり、売却益が出にくい年もある。借入は自己資本の拡大に比べ緩やかにしか増えず、自己資本比率は 25〜30% の目標に近づく。ROE は 25% から 13% 前後へ薄れるが、資本コストは上回る。
- 不動産投資(賃料・売却・ホテル):数量 1,500(年平均の保有ストック(億円・今の値段で測った実質))× 価格 0.65(売上÷ストック(賃料の利回りと売却の回転が含まれる・名目))→ 売上 973 億円・営業利益 272 億円。平均ストック 1500 億円(今の値段)× 売上÷ストック 0.648(今の 1.34 倍)、営業利益率 28%
- 運用受託・クラウドファンディング等:数量 2,600(運用資産残高(億円・今の値段で測った実質・推定))× 価格 0.02(手数料率(名目の指数))→ 売上 62 億円・営業利益 30 億円。AUM 2600 億円 × 手数料率 2.39%(今の 1.34 倍)、営業利益率 48%
倍率:事業の純利益 172 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 21.6% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 14.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.2 倍。全体の PER 17.22 倍、時価総額 2,960 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中計の勢いは続くとみるが、10 年の長さでは、金利上昇で買い手の利回りが上がる局面や、取引の空白期が少なくとも一度は来る。実績と構造を合わせた中心の見立て。
やや悲観 25% 金利上昇で買い手が離れ、ストックが伸びない 利益 68 億円 · PER 7.5 倍 · 株価時価総額 3,635 円738 億円
ストックは中計の途中で伸びが止まり、平均では今の 1.15 倍程度にとどまる。買い手の利回り要求が上がり、売却益は物価ほど伸びない。オフィスの空室も目立ち、賃料の引き上げが効かない。営業利益率は 2 割程度まで下がり、借入の利払いが利益を削る。AUM も集まらない。それでも保有物件の賃料で黒字は保ち、配当は利益に連動して続く。オフィスの賃料は上がらず、築古の物件は空室が増える。トーセイやサンフロンティア不動産など競合も在庫を抱え、売却が長引く。クラウドファンディングの貸付も慎重になり、手元資金が細る。会社は借入を減らす方向に転じるが、利益は伸びない。ROE は一桁台に落ちる。
- 不動産投資(賃料・売却・ホテル):数量 1,000(年平均の保有ストック(億円・今の値段で測った実質))× 価格 0.56(売上÷ストック(賃料の利回りと売却の回転が含まれる・名目))→ 売上 557 億円・営業利益 117 億円。平均ストック 1000 億円(今の値段)× 売上÷ストック 0.556(今の 1.15 倍)、営業利益率 21%
- 運用受託・クラウドファンディング等:数量 1,500(運用資産残高(億円・今の値段で測った実質・推定))× 価格 0.02(手数料率(名目の指数))→ 売上 32 億円・営業利益 14 億円。AUM 1500 億円 × 手数料率 2.14%(今の 1.20 倍)、営業利益率 42%
倍率:ROE 7.5% が k 8.25% を下回るので、ためた利益は額面未満。正当化 PER の上限は 1÷k=10.5 倍で、成長が止まり売却益が薄い局面を見て、約 7 割の 7.5 倍に置いた。
確率:10 年国債 3% の世界では、買い手の求める利回りが上がり、売却価格が物価ほど伸びない。会社は借入が厚いため、仕入れを絞らざるを得ない局面が一度は来る。
悲観 13% 借入が重荷になり、物件を安く売らされる 利益 11 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 739 円150 億円
金利が上がり、買い手の利回りも上がる。都心のオフィスにも空室が出て、物件を売っても簿価を割る。貸し手が新規の融資を絞り、仕入れが止まる。ストックは 600 億円台まで縮み、売却損と減損で自己資本が削られる。ホテルの運営も不採算になる。運用受託の手数料も、顧客の資金が引いて細る。営業利益率は 1 割まで落ち、残るのは保有物件の賃料と整理後の資産だけになる。金融機関は新規の融資を絞り、既存の借入の借り換えにも担保を求める。2008 年のリーマン後に起きたことが繰り返され、ミニバブル期に膨らんだ不動産会社が整理される。ロードスターも例外ではなく、売却と減損で規模が大きく縮む。社長の持株比率は変わらないが、配当は大きく削られる。
- 不動産投資(賃料・売却・ホテル):数量 600(年平均の保有ストック(億円・今の値段で測った実質))× 価格 0.46(売上÷ストック(賃料の利回りと売却の回転が含まれる・名目))→ 売上 276 億円・営業利益 28 億円。平均ストック 600 億円(今の値段)× 売上÷ストック 0.460(今の 0.95 倍)、営業利益率 10%
- 運用受託・クラウドファンディング等:数量 700(運用資産残高(億円・今の値段で測った実質・推定))× 価格 0.02(手数料率(名目の指数))→ 売上 13 億円・営業利益 4 億円。AUM 700 億円 × 手数料率 1.79%(今の 1.00 倍)、営業利益率 30%
倍率:悲観は稼ぐ力でなく売れる資産で置く。今の自己資本 324 億円に PBR 0.46 倍(保有不動産を 2 割引きで売って借入を返した後の額)を掛けた。ためた利益には掛けない。EV ÷ 営業利益(時価総額+純有利子負債)は高く見えるが、悲観の営業利益は谷の薄い値で、価値は売れる資産で測るため利益の倍率は根拠にしない。
確率:自己資本比率が 26% と薄く、借入が時価総額を上回る。リーマン後のように貸し手が引けば、売却を急がされて損が出る。10 年に一度は起こりうる構造的な傷として 1 割強を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
不動産投資(賃料・売却・ホテル)
都心の中規模オフィスなどを買い、直して貸し、売る。賃料・売却・ホテル運営の収益。
| 数量年平均の保有ストック(億円・今の値段で測った実質) | 価格売上÷ストック(賃料の利回りと売却の回転が含まれる・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 870 | 0.48 | 421 | 132 |
| 10 年後 中立 | 1,500 | 0.65 | 973 | 272 |
取り方:中計の起点のストック 815 億円(2024 年末)から 2025 年末を約 925 億円と推定し、年平均を 870 億円とした。売上 421 億円(全体 446 億円から運用手数料 25 億円を除く)を割った 0.484 が売上÷ストック。数量は実質のストック、物価の分は売上÷ストックに入れる。セグメント別は開示がなく推定。
運用受託・クラウドファンディング等
アセットマネジメントの運用手数料、OwnersBook、仲介・コンサルの手数料。
| 数量運用資産残高(億円・今の値段で測った実質・推定) | 価格手数料率(名目の指数) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,400 | 0.02 | 25 | 13 |
| 10 年後 中立 | 2,600 | 0.02 | 62 | 30 |
取り方:中計の起点の AUM 1,400 億円に、手数料率 1.79% を掛けて売上 25 億円とした(クラウドファンディングの貸付と仲介も含む推定)。開示は単一セグメントで、数字は推定。
リスクと懸念
借入の重さ
純有利子負債は 551 億円で、時価総額を上回り、自己資本比率は 26%。貸し手の態度が変われば、売却を急がされて損が出る。リーマン後の不動産会社の破綻は、同じ構造だった。
金利上昇と売値の低下
10 年国債 3% の世界では、買い手の求める利回りが上がり、売値が下がりやすい。安く買って高く売る利ざやが細り、借り換えの金利も上がる。利払いは 2 年で倍近くになった。
売却益への偏り
利益の多くが売却益で、売れる時期と値段に左右される。2026 年上期は売上が 36% 増えたのに、営業利益は 4.5% 増だった。取引が止まれば利益は一気に落ちる。
仕入れ競争の激化
10 億〜50 億円の中規模ビルは、トーセイ、サンフロンティア不動産、各社の私募ファンドも狙う。仕入れ価格が上がれば、直して売る余地は縮む。
経営者への依存
判断の速さは社長が不動産鑑定士であることに支えられる。社員は連結で約 85 名と少なく、人に頼る部分が大きい。社長の持株は約 2 割で、資本配分は経営者の意思に左右される。
運用受託と貸付の信用
AUM を 3,000 億円へ増やす計画は、投資家の資金に依存する。クラウドファンディングは貸付先の信用と規制の変化に弱い。市況が悪化すれば、資金が集まらなくなる。
今後の分かれ目
- 10 年国債の金利が 3% を超えて上がり、都心オフィスの売買利回りも上がったら
- やや悲観・悲観の確率を引き上げる。売値が下がり、借入の負担が増す。
- 営業利益率が 3 四半期続けて 17% を割ったら
- 売却益を取りやすい時期が終わったとみて、中立の利益率前提を下げる。
- 2027 年にストック 1,500 億円・売上 600 億円の中計を達成し、借入の増え方が利益の伸びを下回ったら
- 楽観・やや楽観の確率を引き上げる。借入の負担が軽くなる。
- AUM が 2,000 億円を超え、運用の手数料が営業利益の 2 割を超えたら
- 利益の質が上がったと見て、倍率を上限寄りに置く。
- 貸し手が新規融資を絞る、または財務制限条項を付ける動きが出たら
- 悲観の確率を大きく引き上げる。最も早い兆候になる。
- 社長の持株がさらに増え、非上場化や TOB の話が出たら
- 買収の可能性として楽観側を厚くする。ただし条件次第で少数株主に不利にもなる。
見ておくもの
- 四半期ごとの営業利益率(直近の 2026 年 4〜6 月は 17.7%)
- 販売用不動産の残高と純有利子負債の推移
- AUM と運用手数料の伸び(中計は 2027 年に 3,000 億円)
- 10 年国債の金利と、都心オフィスの売買利回り
倍率と資本コストの決め方
数量は年平均の保有ストック(今の値段)、価格は売上÷ストック(名目)で積み、物価はその価格に入れた。倍率は k 8.25%(基本 7.5% に循環 +0.75%・値決め力 +0.25%・借金 +1.0%)と g 4% の式で出し、中立は ROE が k を上回るため 1÷k の 10.5 倍を下限にした。今の PER(6 倍前後)や同業の倍率には寄せていない。悲観は稼ぐ力でなく売れる資産で置き、今の自己資本に PBR を掛けた。純利益は(営業利益 − 純有利子負債 × 3.6%)に過去の比 0.66 を掛けて出し、金利の上昇を織り込んだ。株数は brief の 16.9M ではなく、2026 年 6 月の自己株式の無償割当(1 株につき 0.2 株)後の 20.29M 株で時価総額を出した(brief の値は割当前で、時価総額が約 2 割小さく出る)。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.8→17.63 倍・やや楽観 PER 10.6→17.43 倍・中立 PER 10.6→17.22 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。