結論
グランディーズは大分県を発祥とし、地方都市の低価格建売住宅と、賃貸マンション・アパートなどの投資用不動産を開発・販売する会社である。筆者の結論は「適正」だ。今の時価総額約17.6億円に対し、10年後の事業価値と株主還元を確率で評価した現在価値は約19.2億円となる。数字の上では約9%の上値があるが、長期保有に十分な安全域とは呼べない。
事業の核は、設計と施工を規格化し、地元の一次取得者に無理のない価格で住宅を供給する仕組みである。大分・福岡・宮崎・四国で積み上げた経験には一定の価値がある。しかし、価格を高くしても顧客が離れないほどのブランドや、競合が容易に再現できない販売網は確認できない。買い手は住宅ローンの返済額に敏感であり、土地代や建築費の上昇を販売価格へ十分に転嫁できるとは限らない。
2025年12月期は売上高34.2億円に対して営業利益が約0.1億円まで落ち込んだ。投資用不動産の大型案件が売れず、買収したもりぞうの赤字が続き、想定以上の株主優待費用も利益を圧迫した。2026年上期には黒字へ戻ったものの、通期営業利益計画1.5億円に対する進捗はまだ1割である。しかも上期純利益には固定資産売却益が含まれており、営業活動の回復を過大に評価できない。
10年先にも、手頃な住宅と良質な収益物件への需要は残る。ただし、人口減少による新築市場の縮小を上回って販売棟数を増やせるかが鍵になる。関東進出と投資用不動産の拡大が進めば、現在の時価総額を大きく上回る価値を生む可能性はある。一方、在庫が売れない時期には借入金と固定費が重くなる。帳簿上の自己資本が時価総額より大きいことだけで割安とは判断できず、稼ぐ力の回復を確認したい会社である。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主にとって、この会社の魅力は生活に必要な商品を扱っていることと、小さな会社ながら一定の利益を生み出してきた実績である。住宅そのものは10年後にも必要だ。土地を適切な価格で仕入れ、建築費を抑え、無理のない住宅ローン負担で顧客へ販売できれば、地方都市でも事業は成立する。
しかし、必要な商品を扱うことと、長く高い利益率を保てることは別である。建売住宅では、購入者はブランドだけで高い金額を支払わない。土地の立地と総支払額が比較される。グランディーズの規格化技術は有効だが、資材の大量調達や全国販売網では大手に及ばない。優良企業として高い倍率を支えるほどの価格支配力は、現時点では確認できない。
また、不動産開発は利益と現金が一致しにくい。会計上の利益が出ても、その現金を次の土地仕入れに使う必要があり、株主が自由に使える金額は見かけの利益より少ないことがある。金利が上がると完成在庫を持ち続ける費用も増える。貸借対照表に約27億円の自己資本があっても、それをそのまま株主の現金価値と見なすことはできない。
経営者の資本配分にも慎重さが必要だ。新株を発行して買収し、その後に赤字子会社を再建する場合、成長の果実が既存株主に十分残るとは限らない。過去の営業利益率が高かった時代を取り戻すだけでなく、拡大後の資本全体から資本コスト以上を稼ぐことが求められる。
現在の株価には極端な割高感はない。だが、10年後に十分な成果を得るためには、少なくとも関東の建売事業が採算を確立し、投資用不動産が継続的に売れ、もりぞうの再建が完了する必要がある。筆者は、この三つを確かめられるまで、高い確信を持って保有する種類の事業とは評価しない。
何で稼ぐ会社か
収益構造は、土地を仕入れて住宅や収益不動産を建てて売る開発販売と、顧客から注文住宅を請け負う建築事業に分かれる。会社の正式な報告セグメントは不動産販売事業と建築請負事業の2つだが、経済性が異なるため、建売住宅、投資用不動産、建築請負、その他の4事業に分けて考える。2025年12月期の会社資料では、建売住宅販売が約18.0億円、投資用不動産販売が約2.5億円、建築請負が約12.3億円、その他が約1.3億円であった。
建売住宅の主力商品はフォレクスである。年収300万〜600万円程度の一次取得者を中心に、購入後の住宅ローン負担を抑えられる価格帯を狙う。建物プランを6種類に絞り、設計、施工、営業活動を標準化することで原価と管理費を抑える。2025年には既存の九州・四国エリアで44棟を販売した。買収した三愛ホームの販売基盤を利用し、関東でもMG HOMEなどの建売を広げる構想である。
投資用不動産は、富裕層や法人へ一棟単位で販売する事業である。木造アパートのアテレーゼ、鉄筋コンクリート造の投資マンションであるレスコ、簡易宿泊施設などを扱う。アパートはおおむね0.5億〜2億円、マンションは1億〜10億円という価格帯であり、物件ごとの金額差が大きい。完成後に自社で入居者を集め、実際の収益実績を示してから販売する仕組みは購入者の不安を和らげる反面、販売が長引けば運転資金を固定してしまう。
建築請負は、2022年に子会社化したもりぞうが担う。木曾ひのきを用いた中高級志向の注文住宅が特徴で、主に首都圏を対象とする。高級住宅の施工技術には意味があるが、販売棟数が減っても人員と拠点をすぐには削れない。2025年はこの事業が赤字であり、グループ全体の利益を削った。
その他には、土地販売、賃貸・宿泊施設の運営などが含まれる。会社は系統用蓄電池にも取り組んでいるが、2026年時点では収益化の実績が十分に確認できず、10年後の主力収益として先取りしない。自社保有物件の家賃と宿泊収入は販売不動産より安定しているものの、保有を増やすほど借入金や設備更新も必要となる。
優良さと弱いところ
同社の競争上の強みは、地方都市向け住宅の規格化と、地元で積み重ねた土地仕入れ・施工・販売の経験である。間取りを6種類に絞れば、資材発注や施工工程を共通化でき、類似した完成住宅を内覧に使うことで展示場への投資も抑えられる。小規模な会社にとって、工事のばらつきを減らせる仕組みには実際の経済価値がある。
ただし、それは広い堀、つまり競合が越えられない参入障壁ではない。飯田グループは全国的な土地仕入れ網と大量調達を持ち、オープンハウスやケイアイスター不動産も供給地域を拡大している。設計と施工の規格化は大手も実践しており、グランディーズだけが価格を自由に上げられるわけではない。2026年の事業計画では、ZEH水準への対応による販売価格上昇が、かえって一部顧客の住宅ローン審査を難しくしたことを認めている。これは値決め力の弱さを示す具体的な証拠である。
収益力にも持続性の問題がある。2014〜2019年には営業利益率が13〜16%程度の時期もあったが、2023年は約2.7%、2025年は約0.4%まで低下した。2024年の利益回復も投資用不動産の販売時期に左右されており、同じ利益率が毎年続くとは考えにくい。過去10年のROE中央値は約9.3%だが、直近はほぼゼロとなった。増分資本から安定して資本コスト以上を稼げる証拠はまだ弱い。
AIエージェント代替の対象となる人月型SI、席課金SaaS、広告運用などは主要事業に該当しない。物理的な住宅の施工や不動産の所有需要はAIに直接置き換わらない。ただし、営業資料作成、設計補助、用地調査などの事務は効率化が進み、大手との情報格差を縮める可能性がある。そのためAIによる売上の消滅は想定しないが、技術進歩が独自の堀を広げるとも判断しない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
日本の新築住宅市場は、人口減少と建築費の上昇が同時に進む縮小市場である。国土交通省の統計では、2025年の分譲一戸建住宅の着工は約11.6万戸だった。今後10年の中立では、市場全体の棟数が約8万戸へ減ると考える。若年層の人口減少に加え、住宅ローン金利の上昇と土地・建築費の高止まりが取得能力を圧迫する。名目の販売単価が上がっても、実際に売れる棟数まで増えるわけではない。
競争相手は全国大手と地域密着型の工務店である。飯田グループの戸建分譲販売は年間約4万棟規模で、分譲一戸建の着工市場に対して約3割という圧倒的な規模を持つ。グランディーズの2025年の建売販売は、関東分を含めても全国市場の0.05%未満と推定される。したがって市場全体が減少しても、関東での新規出店によって同社だけがシェアを増やす余地はある。ただし、それは既に獲得した優位性ではなく、これから費用を掛けて実現する事業拡大である。
同社の価格帯は、全国の建売住宅の取得価格と比べて極端に高くはない。しかし住宅価格が上がれば、主要顧客の可処分所得が十分に伸びない限り、住宅の面積、設備、立地のいずれかを妥協する必要が出る。ZEH対応は競争上必要な品質向上だが、規制に対応するための建築費を顧客にすべて転嫁できるとは限らない。中立では住宅の名目単価が物価上昇程度に上がる一方、原価率の改善は限定的と見る。
投資用不動産には別の循環がある。日本の不動産投資市場は2025年に6兆円を超えたが、この数字はオフィスや物流施設などを含む広い市場であり、同社が販売する小規模集合住宅の直接的な市場規模ではない。収益物件の購入者が見るのは利回りと借入金利との差である。国債利回りが3%となる世界では、地方の賃貸物件にも以前より高い利回りが求められ、販売価格に下落圧力がかかる。
注文住宅市場も長期的には数量が細る。もりぞうの木曾ひのきを用いた住宅には特定の顧客層がいるが、規格型住宅や高断熱住宅を提供する競合も多い。中古住宅の流通拡大、空き家の増加、住宅の長寿命化は新築需要をさらに抑える。10年先の業界全体に高い実質成長は見込まず、グランディーズの成長は関東展開と個別案件のシェア獲得に依存すると判断する。
資本政策と M&A
資本配分で最も気になるのは、買収と新株発行によって拡大した事業が、まだ十分な利益を生んでいないことである。2022年にもりぞうを子会社化し、2025年には三愛ホームを取得して関東進出を進めた。2024年には新株予約権の行使などで株数が約17%増加した。会社の2026年3月の資料では、第2回・第3回新株予約権による手取額が合計約4.89億円で、買収、開発、採用・育成に充てられたと説明している。
もりぞうの再建は計画より遅れている。2026年9月には、もりぞうを存続会社として三愛ホームを吸収合併する方針を発表した。完全子会社間の統合であり、上場会社グランディーズ自体が買収される話ではない。組織と管理費の効率化は期待できるが、統合だけで住宅の受注や利益率が改善するわけではない。今後の買収も、売上規模ではなく投下資本に対する回収額で評価する必要がある。
2026年3月公表の事業計画では、2027年12月期に売上45億円・営業利益3億円、2028年12月期に売上50億円・営業利益4億円を目標としている。2028年の建売販売目標は70棟で、従来の100棟計画が見直された。ROEの数値目標や、配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い金額については具体的な数字の約束なしである。
現金配当は継続しており、2026年も総額約0.62億円を予定する。一方、株主優待は2025年に対象株主が想定以上に増え、費用が配当総額を超える状況となったため、2025年12月にデジタルギフトから自社グループ宿泊施設の利用券へ変更された。これは費用抑制として合理的だが、株主還元の実質価値は利用率に左右される。10年後の評価では優待費用を無視せず、現金配当と合わせて株主への還元に含めた。筆者は、大型買収よりも在庫の圧縮、借入金の管理、既存事業の黒字化を優先する経営を評価する。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
最大の魅力は、現在の事業規模が小さく、市場全体が縮んでも自社のシェアを大きく伸ばせる余地があることである。全国の分譲一戸建市場は約11.6万戸あり、同社の年間販売は数十棟にすぎない。全国市場を成長させなくても、関東で営業所を増やし、土地仕入れの体制を整えるだけで売上を拡大できる。特に規格型住宅を同じ手順で各地域に展開できれば、新規地域でも一定の原価管理能力を維持できる。
投資用不動産も重要な成長源である。現在の売上は大型案件の売却時期に左右されるが、木造アパートと小規模収益マンションを標準化すれば、富裕層向けの物件供給を継続できる。地方の賃貸住宅だけでなく、首都圏での開発や宿泊施設も組み合わせられる。金利上昇によって競合の資金調達が難しくなれば、地元で開発用地を確保する能力に相対的な価値が生まれる可能性もある。
もりぞうの赤字は、恒久的な競争力不足ではなく、建築基準の変更や人員配置、統合初期の混乱が原因である可能性がある。三愛ホームとの統合によって設計、施工、仕入れ、営業機能を共通化できれば、固定費負担は軽くなる。営業利益率が再び高い水準へ回復すれば、同じ売上でも純利益は大きく変わる。
2028年の経営計画が実現し、その後に関東で規模を広げられれば、10年後の売上が現在の数倍になる可能性がある。そうなれば株主還元も拡大し、現在の時価総額を大幅に上回る価値を生む。弱い市場全体を理由に、個別企業のシェア拡大余地まで否定すべきではない。
慎重な見方
同社の規格化住宅は、利益を守る技術ではあっても、競合を排除する技術ではない。飯田グループや地域のパワービルダーが同じ価格帯に進出すれば、顧客は立地と支払額で住宅を比較する。会社自身がZEH対応に伴う値上げで購入対象者を失ったと説明しており、建築費の上昇を価格へ転嫁する能力は限定的である。人口が減る地方市場で数量と価格の両方を維持するのは難しい。
投資用不動産はさらに不安定だ。数億円単位の物件が年内に売れるかどうかで利益が変わり、金利が上がれば投資家が求める利回りも上がる。販売価格を下げなければ成約できなくなり、値下げすれば土地と建築費を回収できない。実際に2025年の投資用不動産販売額は2024年から大きく減った。高い利益率を期待して在庫を積み上げるほど、資金繰りは脆くなる。
買収の結果も厳しい。もりぞうは2025年まで赤字が続き、三愛ホームを取得して関東展開を始めた後も販売体制の構築に時間を要している。会社は売上50億円の達成時期と建売100棟の目標を引き下げた。これは単なる景気循環ではなく、経営陣が想定した成長の実行能力に不足があった可能性を示す。
財務にも余裕が無限にあるわけではない。2025年末の純有利子負債は約13億円で、時価総額の7割を超える。営業利益がほぼ消えた時期には利払いを十分に賄えなかった。2024年には株数が大幅に増え、優待費用も想定外に膨らんだ。株主の利益より事業規模の拡大や株主数の増加を優先する資本配分が再び行われれば、10年後の会社売上が増えても既存株主の価値は伸びない。
どちらに重みを置いたか
需要の存在と小規模企業のシェア拡大余地では強気の見方に分がある。しかし、既に実行した買収の採算、2025年の利益急減、2026年上期の低い利益進捗を考えると、経営計画の達成を高い確率で前提にすることはできない。確率は楽観側25%、中立33%、悲観側42%と下側へ寄せた。悲観側を厚くする理由は、住宅業界一般の人口減少だけではなく、この会社固有の計画未達、赤字子会社、販売在庫への依存である。それでも売却可能な資産が残り、収益回復による上振れもあるため、結論は適正圏となる。長く持つには、今後の資本効率をさらに確かめたい。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 754 円31 億円(+ 還元の換算額還元の合計 173 円7 億円)。 今の値に割り戻すと 467 円19 億円、今との差 +7.9%、 期待の年率 +8.9%(資本コスト 8.0%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 2,224 円91 億円 | 388 円16 億円 | +503.1% | +22.5% | 183 円7 億円 |
| やや楽観 | 18% | 1,180 円48 億円 | 280 円12 億円 | +237.3% | +14.9% | 263 円11 億円 |
| 中立 | 33% | 716 円29 億円 | 195 円8 億円 | +110.5% | +8.9% | 301 円12 億円 |
| やや悲観 | 27% | 380 円16 億円 | 90 円4 億円 | +8.7% | +0.9% | 127 円5 億円 |
| 悲観 | 15% | 310 円13 億円 | 46 円2 億円 | −17.8% | −2.1% | 53 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 754 円31 億円 | 173 円7 億円 | +114.1% | +8.9% | 927 円38 億円 |
今の株価時価総額 433 円18 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 7% 関東で規格住宅が定着し、投資用不動産が第二の収益柱になる 利益 7 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,224 円91 億円
関東の土地仕入れと営業体制が整い、フォレクスとMG HOMEが地方都市以外でも継続的に選ばれる。建売住宅の年間販売は112棟に達する。全国の分譲一戸建市場は人口減少で縮むものの、グランディーズは小さなシェアを拡大することで成長する。関東物件の比率が上がり、住宅性能の改善も販売価格に反映される。規格化による原価管理が機能し、建売住宅の利益率は高い水準へ回復する。
投資用不動産では、木造アパートと収益マンションの供給体制が拡大する。富裕層の不動産投資需要を取り込み、毎年十数棟の成約が可能になる。もりぞうと三愛ホームの統合によって施工・管理の重複が減り、注文住宅も黒字化する。過去に失敗した大きな開発案件の販売を繰り返さず、物件規模と資金調達を管理できるようになる。
追加の株式希薄化を抑えながら利益を蓄積し、配当と優待による還元も厚くなる。事業の堀そのものは広くないが、利益の大きさで株主価値を生む10年となる。ただし、その後も住宅市場全体が成長するとは考えず、高い利益率の永続を前提にしない。
- 建売住宅販売(フォレクス・MG HOME):数量 112(年間建売住宅引渡棟数(棟、関東分を含む推計))× 価格 0.54(建売住宅1棟当たり売上高(億円、名目))→ 売上 60 億円・営業利益 7 億円。112棟、平均0.54億円。関東の比率拡大と高付加価値化による単価上昇。規格化の定着で営業利益率11.5%。
- 投資用不動産開発販売(レスコ・アテレーゼ・宿泊施設):数量 14.0(年間一棟販売物件数(棟、推計))× 価格 2.00(一棟当たり平均販売価格(億円、名目))→ 売上 28 億円・営業利益 5 億円。年間14棟、平均2億円。関東の収益物件供給と販売網拡大が成功し、営業利益率18%。
- 注文住宅建築請負(もりぞう):数量 43.0(注文住宅引渡件数換算(件、リフォーム売上を換算した推計))× 価格 0.57(1件当たり建築請負売上(億円、名目))→ 売上 25 億円・営業利益 1 億円。注文住宅43件換算、平均0.57億円。もりぞうの再建が完了し営業利益率5%。
- 賃貸・宿泊運営・土地販売等:数量 12.0(年間収益物件・その他取引の案件換算数(件、推計))× 価格 0.32(1案件換算当たり売上(億円、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。宿泊・賃貸物件等の収入が増え、案件換算12件。安定運営によって利益率15%。
倍率:k8.0%、10年後ROE15.67%、堀weakによる超過収益の残存割合1/3。RONIC=8.0%+(15.67%−8.0%)÷3=約10.56%。g_long1.0%を使うと正当化PER=(1−1.0%÷10.56%)÷(8.0%−1.0%)=約12.93倍となる。楽観側はこの上限をそのまま使用し、7.05億円×約12.93倍=約91.17億円。現在の市場PERや同業倍率から決めていない。
確率:関東での拠点拡大、注文住宅子会社の再建、投資用不動産の一棟販売が同時に成功する必要がある。販売棟数と収益物件の件数は大きく増えるが、これまでの計画未達を考えると実現確率は限定的な7%とする。
やや楽観 18% 関東展開と注文住宅の再建が着実に進む 利益 4 億円 · PER 12.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,180 円48 億円
2028年までに建売住宅の販売体制が安定し、会社が修正した70棟目標を達成する。その後も関東で営業所と施工業者の網を広げ、10年後には年間92棟を販売する。新築住宅市場は縮小するが、同社のシェアは着実に上昇する。建売の単価は物価以上に緩やかに上がり、規格化による原価管理も一定の効果を発揮する。
投資用不動産では、アテレーゼを中心に小規模物件の継続販売が可能になる。大型案件への依存度が低下し、毎年9棟程度の収益物件を販売する。もりぞうは注文住宅の受注と施工の管理を改善し、利益率は低いながらも安定した黒字となる。子会社間の統合によって管理費の重複を減らす一方、追加買収は採算を確認してから実施する。
営業利益は現在より大きく回復するが、土地価格と建築費の上昇が続くため、かつての高い利益率を全社で取り戻すには至らない。株主還元は利益に合わせて増え、自己資本も積み上がる。優良さが劇的に改善するのではなく、経営が正常化した結果として価値が増える10年である。
- 建売住宅販売(フォレクス・MG HOME):数量 92.0(年間建売住宅引渡棟数(棟、関東分を含む推計))× 価格 0.51(建売住宅1棟当たり売上高(億円、名目))→ 売上 46 億円・営業利益 5 億円。92棟、平均0.505億円。関東の増加で数量が伸び、営業利益率10.5%。
- 投資用不動産開発販売(レスコ・アテレーゼ・宿泊施設):数量 9.0(年間一棟販売物件数(棟、推計))× 価格 1.87(一棟当たり平均販売価格(億円、名目))→ 売上 17 億円・営業利益 3 億円。年間9棟、平均1.87億円。木造アパート中心の安定販売で営業利益率15.5%。
- 注文住宅建築請負(もりぞう):数量 38.0(注文住宅引渡件数換算(件、リフォーム売上を換算した推計))× 価格 0.56(1件当たり建築請負売上(億円、名目))→ 売上 21 億円・営業利益 1 億円。38件換算、平均0.56億円。施工・管理改善で利益率4%。
- 賃貸・宿泊運営・土地販売等:数量 10.0(年間収益物件・その他取引の案件換算数(件、推計))× 価格 0.31(1案件換算当たり売上(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。保有物件の稼働と賃貸・宿泊収入が増える。営業利益率12%。
倍率:k8.0%、ROE=3.85÷43.0=約8.95%。堀weakの残存割合1/3からRONIC約8.32%、長期名目成長g1.0%。正当化PER=(1−1.0%÷8.32%)÷(8.0%−1.0%)=約12.57倍。上限そのものを使い、3.85億円×約12.57倍=約48.39億円とする。
確率:建売の2028年70棟目標を達成し、その後も緩やかな出店が続く筋書き。投資用不動産の販売と、もりぞうの再建がともに進む必要があるため、中立より低い18%とする。
中立 33% 住宅販売は増えるが、資本効率の回復は限定的 利益 2 億円 · PER 12.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 716 円29 億円
既存の九州・四国市場では人口減少と住宅価格上昇によって購入希望者が減るが、関東の営業拠点が販売棟数を補う。2028年には会社の70棟目標に近づき、10年後は年間75棟を販売する。国内の分譲一戸建市場は約8万戸へ縮小するが、グランディーズの推定シェアは0.04%台から0.09%台へ上昇する。これは小規模な企業だからこそ実現し得るシェア拡大であり、業界全体の成長を前提にしない。
建売住宅の平均単価は物価上昇に沿って増えるが、販売価格と住宅ローン審査の制約から、実質的な値上げ力は乏しい。投資用不動産では毎年7棟程度の販売が可能となるものの、販売時期にはばらつきが残る。もりぞうは赤字を解消するが、高価格帯の注文住宅市場が縮むため、営業利益率は低い水準にとどまる。全社営業利益は3億円台後半まで回復する。
2028年に会社が目指す営業利益4億円は、10年後にも毎年容易に得られるとは考えない。関東での土地仕入れ、保有物件、建設人員のために資本が必要となり、利益を再投資してもROEは資本コストに届かない。株主は配当を受け取りながら、成長よりも事業の安定化を見守る10年となる。
- 建売住宅販売(フォレクス・MG HOME):数量 75.0(年間建売住宅引渡棟数(棟、関東分を含む推計))× 価格 0.48(建売住宅1棟当たり売上高(億円、名目))→ 売上 36 億円・営業利益 4 億円。75棟、平均0.48億円。価格は2025年比約1.33倍で物価並み、販売数量は関東展開で増加。営業利益率11%。
- 投資用不動産開発販売(レスコ・アテレーゼ・宿泊施設):数量 7.0(年間一棟販売物件数(棟、推計))× 価格 1.69(一棟当たり平均販売価格(億円、名目))→ 売上 12 億円・営業利益 2 億円。年7棟、平均1.69億円。小型・中型案件を中心に販売し、営業利益率14%。
- 注文住宅建築請負(もりぞう):数量 28.0(注文住宅引渡件数換算(件、リフォーム売上を換算した推計))× 価格 0.55(1件当たり建築請負売上(億円、名目))→ 売上 15 億円・営業利益 0 億円。28件換算、平均0.55億円。市場縮小で実質数量は減り、価格は物価並み。営業利益率3%。
- 賃貸・宿泊運営・土地販売等:数量 8.0(年間収益物件・その他取引の案件換算数(件、推計))× 価格 0.30(1案件換算当たり売上(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。8案件換算、価格は物価並みに上昇。賃貸・宿泊等の利益率10%。
倍率:ROE=2.35÷39.5=約5.95%で資本コスト8.0%以下。超過利益を再投資で増やす価値は数えず、正当化PERの上限を1÷k=12.5倍とする。長期名目成長g_long1%であっても、ROEがk以下なので高い成長倍率を与えない。2.35億円×12.5倍=29.375億円。現在の純有利子負債12.8億円をそのまま使った参考EV÷営業利益は約11.7倍で、20倍は下回る。ただし今後の借入増加には注意が必要である。
確率:会社の修正した中期計画が相応に進む一方、投資用不動産の大型案件と注文住宅の利益率は安定しきらない筋書き。既存地域の需要縮小と関東の新規開拓を両方織り込み、中立に33%とする。
やや悲観 27% 関東進出が伸び悩み、固定費負担が残る 利益 −1 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 380 円16 億円
九州・四国の建売住宅市場は人口減少と住宅ローン負担によって縮小し、関東の事業も想定ほど拡大しない。土地仕入れと販売の担当者を増やしたものの、地域の競合や大型の建売業者に比べてコスト優位を得られない。年間販売棟数は43棟まで減少する。単価は名目では上昇するが、物価上昇に追いつかず、値引きによって完成在庫を減らす場面が増える。
投資用不動産は金利上昇により買い手が慎重になる。売却できる物件は小規模案件に限られ、年間3棟程度の販売にとどまる。保有物件の賃料収入は残るものの、金利と維持費を十分に吸収できない。もりぞうも注文住宅の受注を回復できず、施工と管理の固定費が負担となる。全社では営業赤字が続く。
事業を縮小し、売れる在庫を処分して借入金を返済することで、会社としては存続する。しかし成長投資の成果は乏しく、資産を利益に変える効率が低下する。配当と優待は段階的に縮小し、株主価値は清算可能な資産と限定的な再建可能性に支えられる。
- 建売住宅販売(フォレクス・MG HOME):数量 43.0(年間建売住宅引渡棟数(棟、関東分を含む推計))× 価格 0.45(建売住宅1棟当たり売上高(億円、名目))→ 売上 19 億円・営業利益 1 億円。43棟、平均0.445億円。実質販売数量の減少と販売価格の伸び悩みで営業利益率5%。
- 投資用不動産開発販売(レスコ・アテレーゼ・宿泊施設):数量 3.0(年間一棟販売物件数(棟、推計))× 価格 1.45(一棟当たり平均販売価格(億円、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。年3棟、平均1.45億円。利回り要求の上昇で販売価格に圧力、営業利益率7%。
- 注文住宅建築請負(もりぞう):数量 20.0(注文住宅引渡件数換算(件、リフォーム売上を換算した推計))× 価格 0.50(1件当たり建築請負売上(億円、名目))→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。20件換算。固定費を賄えず営業利益率マイナス2%。
- 賃貸・宿泊運営・土地販売等:数量 5.0(年間収益物件・その他取引の案件換算数(件、推計))× 価格 0.27(1案件換算当たり売上(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。稼働物件の収入は続くが維持費と金利負担で営業利益はほぼゼロ。
倍率:10年後に営業赤字が残るため、赤字純利益へPERを掛けず、再建余地と売却可能資産からPBRで評価する。自己資本25.5億円に対して約0.612倍で時価総額15.6億円。中立の実質PBR約0.744倍より低く、売却可能資産の保守的な床12.6億円は上回る。過去の市場PBRは使っていない。
確率:2025年の利益急減と2026年上期の低い利益進捗に加え、会社が建売100棟目標を70棟に引き下げた事実から、計画がさらに未達となる可能性は無視できない。倒産までは至らないが収益力の回復に失敗する確率として27%とする。
悲観 15% 開発在庫と借入金が重荷となり、事業を縮小する 利益 −3 億円 · PBR 0.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 310 円13 億円
地方の建売住宅市場が縮小し、関東でも規格型住宅の競争に敗れる。飯田グループや地場の住宅会社との価格競争によって、グランディーズの建売販売は年間29棟まで落ち込む。売れる価格で土地を仕入れられなくなり、完成物件の値引きと在庫評価損が常態化する。物価上昇による建築費増加を販売価格に転嫁できず、建売事業の利益率は赤字となる。
投資用不動産では、金利上昇と賃貸利回りの悪化によって大型物件が売れなくなる。保有物件の一部を値下げして処分し、年間の成約は1棟程度へ減少する。もりぞうの再建も失敗し、新築注文住宅の縮小と固定費負担によって損失が続く。新規投資を止め、保有地と在庫を売却して銀行借入金の返済を優先する。
経営者は事業の存続と雇用維持を優先し、配当と優待も大幅に削る。過去に増資で集めた資本の一部が損失によって失われ、株主の価値は事業の将来利益より売却可能な資産に依存する。収益力は長期間回復せず、会社は小規模な不動産販売・管理事業として残るか、外部との再編を迫られる。
- 建売住宅販売(フォレクス・MG HOME):数量 29.0(年間建売住宅引渡棟数(棟、関東分を含む推計))× 価格 0.41(建売住宅1棟当たり売上高(億円、名目))→ 売上 12 億円・営業利益 −1 億円。29棟、平均0.41億円。数量・価格とも実質低下し、値引きと評価損で営業利益率マイナス6%。
- 投資用不動産開発販売(レスコ・アテレーゼ・宿泊施設):数量 1.0(年間一棟販売物件数(棟、推計))× 価格 1.22(一棟当たり平均販売価格(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。年間1棟。販売価格の下落と在庫損失で営業利益率マイナス15%。
- 注文住宅建築請負(もりぞう):数量 13.0(注文住宅引渡件数換算(件、リフォーム売上を換算した推計))× 価格 0.46(1件当たり建築請負売上(億円、名目))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。13件換算。受注不足で固定費を吸収できず、営業利益率マイナス8%。
- 賃貸・宿泊運営・土地販売等:数量 3.0(年間収益物件・その他取引の案件換算数(件、推計))× 価格 0.24(1案件換算当たり売上(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。保有物件の整理で売上縮小、維持費が残り営業利益率マイナス10%。
倍率:赤字事業の利益倍率ではなく、2026年6月末の現預金・販売用不動産・仕掛不動産・土地の換金可能額から負債と処分費を控除した約12.6億円を床とする。現在の自己資本26.9億円に対するPBR約0.472倍は、約12.7億円という資産回収価値を表すための倍率であり、過去の市場PBRを参照したものではない。10年でさらに生じる事業損失はequity_okuへ反映し、将来の帳簿資本をそのまま床とはしない。
確率:人口減少だけでなく、関東事業の失敗、投資用不動産の評価損、注文住宅の赤字、金利上昇が重なる複合的な構造敗北である。借入金は大きいが自己資本はなお残っているため、即時倒産を中心にはせず15%とする。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
建売住宅販売(フォレクス・MG HOME)
九州・四国および関東の一次取得者へ、設計と施工を規格化した建売住宅を販売する。住宅の引渡棟数と平均販売単価が主な収益要因となる。
| 数量年間建売住宅引渡棟数(棟、関東分を含む推計) | 価格建売住宅1棟当たり売上高(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 50.0 | 0.36 | 18 | 2 |
| 10 年後 中立 | 75.0 | 0.48 | 36 | 4 |
取り方:2026年3月の会社事業計画P8では、2025年の建売住宅売上は約18.0億円。P27では既存の九州・四国エリア44棟の販売を開示しているが、関東の販売棟数は分離開示していない。関東分を約6棟と推定し、全社50棟、平均単価0.36億円とした。関東の6棟は推計であり確認された実績ではない。九州・四国の会社本体の開示と子会社を含む売上に多少の範囲差があるため、単価も近似値である。営業利益は不動産販売事業の利益を販売種類別に推計配分した。国内市場の基準は国土交通省2025年分譲一戸建約11.6万戸で、推定全国シェアは約0.043%。出典は会社事業計画 https://www.fse.or.jp/files/lis_tkj/26032732610.pdf と住宅着工統計 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?year=20250&toukei=00600120
投資用不動産開発販売(レスコ・アテレーゼ・宿泊施設)
富裕層や法人向けに、賃貸マンション、木造アパート、簡易宿泊施設などの収益物件を開発して一棟売却する。
| 数量年間一棟販売物件数(棟、推計) | 価格一棟当たり平均販売価格(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2.0 | 1.25 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 7.0 | 1.69 | 12 | 2 |
取り方:2026年3月の事業計画で2025年の投資用不動産売上2.5億円を確認。2026年上期には投資用不動産2棟を販売したとの開示もある。ただし2025年の棟数と平均単価は非開示である。会社の物件説明にある木造アパート0.5〜2億円、投資マンション1〜10億円の販売価格帯を参考に、2025年は小型物件2棟、平均1.25億円と仮定した。大型案件の成約有無によって実際の単価は大きく異なるため、この数量は不確実性が高い。営業利益は不動産販売事業の利益から推計した。
注文住宅建築請負(もりぞう)
木曾ひのきを用いた中高級志向の注文住宅を主に関東で建築する。新築引渡件数に加え、改修とアフターメンテナンスが売上に含まれる。
| 数量注文住宅引渡件数換算(件、リフォーム売上を換算した推計) | 価格1件当たり建築請負売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 30.0 | 0.41 | 12 | 0 |
| 10 年後 中立 | 28.0 | 0.55 | 15 | 0 |
取り方:会社の2025年実績では建築請負の売上が約12.32億円、報告セグメント利益が約マイナス0.33億円。実際の新築引渡件数とリフォーム比率は確認できなかったため、住宅新築約30件相当という換算数量を置き、1件0.411億円と推計した。これは新築住宅の実棟数そのものではなく、リフォーム等を含めた売上換算件数である。会社は2025年の赤字の理由として建築関連法改正による着工遅延などを説明している。
賃貸・宿泊運営・土地販売等
自社保有する賃貸物件と宿泊施設からの収入、土地販売、その他の不動産関連収入を含む。蓄電池の新規収益は確認できるまでは大きく加算しない。
| 数量年間収益物件・その他取引の案件換算数(件、推計) | 価格1案件換算当たり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 6.0 | 0.22 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 8.0 | 0.30 | 2 | 0 |
取り方:2025年の会社資料でその他売上約1.33億円を確認したが、施設稼働件数、宿泊延べ泊数、土地販売件数は分離開示されていない。年間6案件換算、平均0.22億円として近似し、将来の数量と名目単価を検討するための仮置きとした。実際の運営施設数を示すものではない。賃貸・宿泊の売上と運営不動産の資産価値を二重に加算しない。
リスクと懸念
住宅ローン金利と購入可能価格
同社の主力顧客は年収300万〜600万円程度の一次取得者である。住宅ローン金利が上がれば、名目所得が増えても借入可能額は小さくなる。会社自身がZEH対応後の販売価格上昇による顧客離脱を認めており、土地代と建築費をそのまま価格転嫁できない。販売棟数と営業利益率が同時に下がる可能性がある。
投資用不動産の売却遅延と在庫評価損
収益物件は1棟の金額が大きく、販売できなければ資金が在庫に固定される。2024年から2025年に投資用不動産の売上が大きく減少したことは、そのリスクが実際に利益へ影響した例である。国債金利3%の環境では買い手の要求利回りが高まり、販売価格の調整と借入金の負担が同時に発生する可能性がある。
もりぞう再建とM&Aの資本効率
2022年に取得したもりぞうの赤字が続き、三愛ホーム買収後の関東販売体制の整備にも時間を要した。2026年の子会社統合は管理費削減の機会だが、受注回復の保証ではない。将来も買収によって売上を増やしながら利益が増えなければ、追加のれんや減損、希薄化を通じて既存株主の価値が損なわれる。
金利上昇と有利子負債
2025年末の純有利子負債は約12.8億円で、時価総額の7割を超える。2026年上期には利息支払額が増加した。借入金は新しい金利への借り換えが進み、土地取得や在庫保有の資金調達費用が上昇する。営業利益が少ない年には金利負担が純利益を大きく圧迫し、場合によっては増資や資産売却を迫られる。
規格住宅の競争と人口減少
地方都市では若年世帯の減少と空き家の増加が長期的な新築需要を細らせる。同社の6種類への住宅規格化には原価削減効果があるが、大手の飯田グループや各地の工務店も標準化と一括調達を進めている。土地の仕入れ単価と住宅の販売価格を競合に合わせなければならないため、規格化による利益が長期的に競争で失われる可能性がある。
株主優待費用と少数株主の利益
2025年は株主優待制度の利用者が想定を大幅に上回り、費用が配当総額を超えた。2025年12月には自社グループ宿泊施設の利用券へ変更されたが、制度の実際の利用率と会社負担額はまだ安定していない。創業者が議決権の過半を支配するため、少数株主が追加買収や資本配分に直接影響を与える余地も小さい。
建築法規、施工人員、品質管理
省エネ基準の強化や建築確認手続きの変更は、住宅の品質向上につながる一方、設計変更、工期遅延、建築費増加を招く。もりぞうは法改正の影響による着工遅延を経験した。関東での営業所拡大に施工人員の育成が追いつかなければ、引渡しの遅れと品質不具合への対応費が利益率を下げる。
今後の分かれ目
- 2027〜2028年に建売住宅の年間引渡しが70棟へ増え、土地仕入れと建築費の上昇を吸収した利益率も回復したら
- 関東展開の収益性が実証される。中立の販売棟数を上方修正し、やや楽観の確率を引き上げる。ただし土地と在庫の増加が営業キャッシュフローを食っていないかも確かめる。
- 投資用不動産の年間販売が7棟程度で複数年続き、営業利益が安定したら
- 大型物件の成約時期だけに依存する収益構造から脱しつつあると評価できる。中立の投資用不動産の数量と営業利益率を上方修正する余地が生まれる。
- もりぞうと三愛ホームの統合後、建築請負事業が2年以上連続して営業黒字となったら
- 買収後の再建効果を認め、建築請負の中立利益率を引き上げる。追加買収を行わずにROEが改善しているなら、資本配分への評価も高められる。
- 完成販売用不動産と仕掛販売用不動産が増える一方、販売棟数と営業キャッシュフローが伸びなかったら
- 販売在庫の滞留と借入負担の増加を疑う。やや悲観・悲観の確率を引き上げ、完成物件の値引きと評価損を利益率に反映する。
- 2028年の売上50億円・営業利益4億円の目標を再び下方修正したら
- 関東展開と投資用不動産の収益力回復に関する経営陣の予測精度を引き下げる。中立の売上と利益率を見直し、上側シナリオの実現確率を下げる。
- 新株予約権や公募増資によって発行済株式数がさらに大きく増えたら
- 企業全体の利益が増えても既存株主の取り分が増えない可能性がある。調達した資金の用途と取得事業の利益貢献を調べ、必要ならholder_shareを用いて希薄化を反映する。
- 配当と優待の費用を抑えつつ、純有利子負債が縮小し、ROEが資本コスト8%を安定して上回ったら
- 再投資効率と株主還元の改善が同時に進んでいると判断できる。余剰現金の株主帰属割合と正当化倍率を再評価し、長期価値を上方修正する。
見ておくもの
- 九州・四国と関東を分けた建売住宅の年間販売棟数、2028年70棟目標の達成状況
- 建売住宅の平均販売単価、売上総利益率、土地仕入れ単価の変化
- 投資用不動産の年間販売棟数、大型案件の売却時期と成約利回り
- もりぞう・三愛ホーム統合後の建築請負事業の営業利益と注文住宅受注状況
- 販売用不動産・仕掛販売用不動産の残高、在庫回転期間、営業キャッシュフロー
- 純有利子負債と支払利息、借入金の返済期限・借り換え金利
- 2027年営業利益3億円、2028年営業利益4億円の達成状況と会社計画の修正
- 株主優待費用の実績、現金配当総額、新株予約権・自社株買いによる株数の変化
- 国土交通省の分譲一戸建着工戸数と首都圏・地方の住宅需要、住宅ローン金利
- 2026年10月の東京支店開設後の受注、土地取得、地域別採算の開示
倍率と資本コストの決め方
現在の株価429円や過去・同業の市場PER、PBRから将来価値を逆算していない。2025年の会社資料にある4事業の売上を起点とし、建売住宅は引渡棟数、投資用不動産は一棟販売数、建築請負は新築引渡件数換算で2036年の売上を積み上げた。数量が開示されない部分は推計と明示した。物価3%の上昇は価格に入れ、数量には加えていない。中立では住宅価格をおおむね1.34倍とし、実質的な市場縮小を踏まえている。
中立の全社営業利益率は約5.5%であり、過去の高収益期をそのまま再現しない。純利益÷営業利益は約0.65で過去の中央値0.64に近い。借入金の金利上昇は利益と悲観の筋書きに反映し、個別のM&A失敗懸念を資本コストに重ねていない。販管費は物価上昇に応じて増え、償却費は既存資産の簿価を一律に1.34倍せず、更新・取得する資産だけ新しい建築費を反映する。2028年12月期以降の新リース会計基準による表示変更についても、家賃を費用とする同じ経済実態でそろえる。
倍率はk8.0%、弱い堀による超過利益の残存割合1/3、2036年以降の名目成長g1%から計算した。中立のROEは約5.95%で資本コスト以下のため、PERは1÷kの12.5倍を上限とし、成長による超過価値を加えない。楽観側は式の上限を使い、悲観側は売却可能資産と稼ぐ力で測った。2026年6月末の資産床は約12.6億円で、のれんと販売不動産の換金損失を織り込んだ。期待現在価値は約19.15億円、基準時価総額約17.59億円との差は約+8.9%である。これは結果であり、現値に近づけるために数量、倍率、確率を調整したものではない。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本資本コスト7.5%に、住宅の価格決定力の弱さに対するquality+0.5%を加える。β・時価総額規模・個別の買収失敗懸念による追加プレミアムは使わない。