結論
JPMC(旧日本管理センター)は、アパートやマンションのオーナーから物件を借り上げ、入居者に貸す「サブリース」で稼ぐ会社だ。運用戸数は約 10.8 万戸。建築も営業部隊も持たず、全国約 1,400 社のパートナーから管理を受ける。
筆者の結論は「割高」だ。一番の理由は、成長がほぼ止まっているのに、値段は稼ぐ力の 20 倍を超えていること。運用戸数はこの 3 年ほぼ横ばいで、会社も当面は採算を重視すると言っている。確率で重みを付けた本質価値は、今の時価総額を 3 割ほど下回る。
事業の質は悪くない。1 人あたりの運用戸数は 400 戸超と、プレハブメーカーの 10 倍近く、ROE は 20% 前後を保つ。自己資本比率は 5 割を超え、純現金もある。
怖いのは、サブリースの固定賃料の約束だ。入居率が下がっても、オーナーには保証賃料を払い続ける。人口が減る中で、この約束は重くなる一方だ。事業の質と、払う値段のどちらを重く見るかで、評価は分かれる。筆者は値段を重く見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資家はまず、商売の形を問う。ストック型の管理で、運用戸数が積み上がれば収入が安定する。理解しやすい。だが 10 年後に戸数が増えているかは、人口と人手の面から見通しにくい。
オーナー利益の面では、再投資の負担が軽いのが長所だ。建築も在庫も持たず、利益の 6 割以上を株主に返せる。
堀は並だ。効率の良さは本物でも、他社が同じ仕組みを入れれば優位は薄れる。値段を決める力も弱く、賃料は市場で決まる。
経営の資本配分は堅実だ。配当は累進で、買収は小粒。サブリースの固定賃料の約束だけが、財務の見えない負債として残る。純現金や自己資本比率の高さを、そのまま安全とは書けない。
安全域は、この会社にない。ROE が高く優良でも、成長が乏しいのに利益の 20 倍を超える値段を払えば、10 年後に報われる幅は小さい。優れた会社でも、払う値段が高ければ良い投資にはならない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、賃料の差だ。オーナーから物件を一括で借り、入居者に貸す。入居者から集める賃料とオーナーに払う賃料の差が利益になる。会計上は入居者から集める賃料の全額が売上に立つため、売上は大きく、利益率は 4% 台と低い。
売上の大半を占めるのは、この賃貸経営代行(プロパティマネジメント)だ。運用戸数が増えるほど、毎月の収入が積み上がるストック型の商売になる。入居者の募集、契約、集金、修繕の手配まで、管理業務を一括で受ける。
残りは付帯の事業だ。家賃の滞納を保証する事業、少額短期保険、リフォーム、売買の仲介が入る。売買仲介は不動産融資の規制に左右されるフロー型で、売上は小さい。
競合の大東建託や大和リビングは、建築から管理まで一体で行う。JPMC は建築を持たず、約 1,400 社の地元の不動産会社や建築会社から管理を預かる。地方の管理会社が後継者不足に悩む中で、事業を引き継ぐ形での M&A も使う。
1 人あたりの運用戸数が 400 戸を超えるのは、業務をシステム化し、現場の営業をパートナーに任せているからだ。販管費率は 6% 台で、目標は 3% への引き下げ。
優良さと弱いところ
強みは、無駄のない運営にある。1 人あたり運用戸数は 424 戸(2022 年)で、プレハブメーカーの 25〜50 戸と比べて桁が違う。全国のパートナー企業と、独自の客付けの手順(JPMC リーシングメソッド)で入居率を保つ。グループ平均の入居率は 9 割を超える。
ROE は 20% 前後で、財務も堅い。自己資本比率は 5 割を超え、純現金があり、営業利益は支払利息の 200 倍を超える。借入に頼らず、配当と成長の両方を自己資金でまかなえる。
弱点は 3 つある。第一に、成長の鈍さだ。前の中計は人員不足で戸数が未達に終わり、運用戸数は 2022 年の 10.7 万戸から約 10.8 万戸と横ばいだ。第二に、堀(他社がまねできない強み)が並であること。管理の効率は武器だが、競合も真似しうる。第三に、サブリースの構造だ。保証賃料の約束は固定で、入居率が落ちれば利益が消える。
営業利益率の過去の最高は 2018 年の 6.6% で、直近は 4.5%。2026 年の計画は 4.9% と、わずかな改善にとどまる。人件費の上昇を、システムの効率化でどこまで吸収できるかが焦点だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
日本の賃貸住宅は約 2,300 万戸あり、管理会社が乱立する分散型の市場だ。大東建託が約 129 万戸、大和リビングが約 68 万戸、レオパレス21が約 55 万戸を管理する。JPMC の約 10.8 万戸は、その一桁下にあたる。
構造的な逆風は人口の減少だ。世帯数は当面は増えるが、地方から減り始める。賃貸住宅は供給が過剰で、空室率は全国で 2 割を超える。オーナーの高齢化で、管理を任せる需要は増えるが、入居者の確保が難しい物件が増える。
賃料は物価ほど上がらない。都市部は年 1% 程度、地方は下がる。管理の収入は、賃料に連動するので、物価の分を売上に取り込みにくい。一方、人件費は物価で上がる。ここが利益率を圧迫する。
規制は強まる方向だ。2020 年のサブリース新法で、契約前の説明義務が強化された。オーナーとの賃料減額をめぐる訴訟も続いている。サブリース専業の競合では、レオパレス21が施工不良からの再建の途中で、光通信などの連合が買収を仕掛けている。
追い風は、外国人・高齢者・ペット可など、住まいに困る層への対応と、法人の社宅・寮の需要だ。付帯の事業の伸びしろは、ここにある。
資本政策と M&A
株主還元は手厚い。配当性向 40% 以上、DOE(自己資本配当率)10% 目線で、累進配当(減らさず、増やしていく配当)を掲げる。2026 年 12 月期の年間配当は前期より増え、配当性向は 5 割台半ばになる見込みだ。余剰資金が出れば、増配や自社株買いを機動的に検討する。
成長の資金は、自己資金が中心。成長投資には有利子負債も使う方針だが、今の純現金の状態では、借入は小さい。
M&A は戸数を増やす主な手段だ。賃貸管理会社や事業承継の案件を狙い、株式を使う場合もある。買収が高値づかみになる危険は、見ておくべきだ。
長期のビジョンは、2030 年に運用戸数 25 万戸だが、これまでの実績からは達成の見込みは薄い。筆者は、この数字を中立の前提にしない。
10 年の還元は、配当性向 62% を保つ形で置いた。DOE 10% を守るため、自己資本の蓄積に合わせて配当性向が高くなる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
JPMC は管理の効率で他を引き離している。1 人あたりの運用戸数は競合の 10 倍近く、ROE は 20% 前後、純現金もある。この質の高さが、いずれ戸数の拡大につながる。管理が効率的であれば、同じ人数で多くの物件を引き受けられ、買収した会社の収益も改善できる。
日本の賃貸管理会社は分散しており、後継者不足の会社が増え続ける。M&A の受け皿として、手続きと管理の仕組みを持つ JPMC は有利だ。運用戸数は 25 万戸を目指すというビジョンがあり、足元でも 2026 年は運用戸数が増え、営業利益は過去最高の水準を見込む。
家賃保証、少額短期保険、法人向けの住居提供など、付帯の事業を自前で持てば、1 戸あたりの収益が上がる。外国人や高齢者への対応は、今後の拡大市場だ。
配当は累進で、DOE 10% を守る限り、株主への還元は増え続ける。資本コストを上回る ROE を長く保てるなら、20 倍超の値段にも理由がある。
慎重な見方
運用戸数はこの 3 年ほぼ横ばいで、前の中計は人員不足で未達に終わった。2026 年も増加は 1% 程度と、成長はほとんどない。それなのに、今の値段は利益の 20 倍を超える。
サブリースは固定賃料の約束を負う構造で、空室や賃料の下落が起きれば、利益が消える。人口減少、供給過剰、規制の強化が重なれば、構造的に縮む。2020 年のサブリース新法以降、オーナーとの契約をめぐる訴訟も増えた。
営業利益率は 4% 台で、人件費の上昇に敏感だ。1 人あたりの運用戸数が高いのは、現場の営業をパートナーに任せているからで、その分だけ紹介に依存する。パートナーが高齢化すれば、新規申込が減る。
25 万戸のビジョンも、M&A に頼る数字だ。管理会社の買収は、入居率の悪い会社を引き受ける面がある。実際、買収したシンエイの入居率は 85% 台と、グループ平均を下回った。さらに、紹介元の不動産会社が高齢化すれば、新規の申込が減る恐れがある。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が優勢と見る。理由は、事業の質は高くても、成長が乏しいことが数字で確認できるからだ。強気の見方の言う効率の高さは本物で、配当の手厚さも魅力だが、それは払う値段が妥当であって初めて報われる。
確率は中立を厚くし、悲観に近い筋書きも合わせて 3 割台半ばに置いた。サブリースの固定賃料の約束が、悪い局面を深くする点を重く見た。ただ、事業が壊れるわけではなく、割高の幅の大きさは値段の高さによる。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 3,472 円581 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 824 円138 億円)。 今の値に割り戻すと 2,305 円386 億円、今との差 +1.6%、 期待の年率 +6.6%(資本コスト 7.2%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 7,240 円1,212 億円 | 1,272 円213 億円 | +275.3% | +14.1% | 851 円143 億円 |
| やや楽観 | 22% | 5,707 円955 億円 | 1,093 円183 億円 | +199.8% | +11.6% | 1,496 円250 億円 |
| 中立 | 33% | 3,716 円622 億円 | 860 円144 億円 | +101.8% | +7.3% | 1,510 円253 億円 |
| やや悲観 | 23% | 1,072 円179 億円 | 597 円100 億円 | −26.4% | −3.0% | 384 円64 億円 |
| 悲観 | 12% | 167 円28 億円 | 293 円49 億円 | −79.7% | −14.7% | 55 円9 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,472 円581 億円 | 824 円138 億円 | +89.4% | +6.6% | 4,296 円719 億円 |
今の株価時価総額 2,268 円380 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。
楽観 10% M&A で 17 万戸に届き、1 人あたり管理が倍になる 利益 53 億円 · PER 22.3 倍 · 株価時価総額 7,240 円1,212 億円
賃貸管理会社の買収と事業承継の受け皿になり、運用戸数は 17 万戸まで増える。1 人あたりの運用戸数は 1,000 戸に近づき、販管費率が下がって営業利益率が過去最高の 6% 台に乗る。家賃保証と少額短期保険、法人向けの住居提供が内製化され、付帯収入が伸びる。賃料は物価並みに上がる。自己資本は厚くなり、配当と自社株買いで 6 割台の還元を続ける。地方の管理会社は後継者難が深刻で、事業承継の受け皿としての需要が尽きない。JPMC は全国の約 1,400 社のパートナーとの関係を生かし、買収後の統合も手慣れてくる。管理業務の AI 化で人員の制約が緩み、これまで未達だった戸数の拡大が実現する。
- 賃貸経営代行(サブリース・管理):数量 17.0(年平均の運用戸数(万戸))× 価格 68(1 戸あたりの年間売上(万円・名目))→ 売上 1,157 億円・営業利益 56 億円。運用 17.0 万戸 × 1 戸 年 68.1 万円(今の 1.34 倍)、営業利益率 4.8%
- 付帯事業(保証・保険・リフォーム・仲介):数量 17.0(年平均の運用戸数(万戸))× 価格 4.60(1 戸あたりの付帯収入(万円・名目))→ 売上 78 億円・営業利益 22 億円。運用 17.0 万戸 × 1 戸 年 4.60 万円(今の 1.34 倍)、営業利益率 28%
倍率:事業の純利益 53 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 27.1% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 17.2%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 22.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 22.3 倍。全体の PER 22.34 倍、時価総額 1,193 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:戸数の拡大はこの会社が 10 年来掲げてきたが、前の中計は人員不足で未達だった。M&A と DX が両方うまくいく連続の成功が要るため、1 割にとどめる。
やや楽観 22% M&A が部分的に実り、14 万戸台へ 利益 42 億円 · PER 22.1 倍 · 株価時価総額 5,707 円955 億円
管理会社の買収が毎年のように入り、運用戸数は 14.5 万戸まで増える。買収した会社の入居率が改善し、グループの平均に近づく。賃料は物価に少し届かない程度で上がる。人員の確保が最大の制約だが、DX で 1 人あたりの管理戸数を伸ばして吸収する。営業利益率は 5% 台へ緩やかに改善する。買収した会社の統合に手間取り、期待ほどの規模には届かないが、運用戸数の減少は止まる。家賃保証や少額短期保険は、既存のオーナーと入居者への追加の提案として定着する。賃料は物価に少し届かない程度で上がり、営業利益率は5%台前半に落ち着く。自己資本は厚く、配当は DOE 10% を守って増え続ける。
- 賃貸経営代行(サブリース・管理):数量 14.5(年平均の運用戸数(万戸))× 価格 66(1 戸あたりの年間売上(万円・名目))→ 売上 958 億円・営業利益 44 億円。運用 14.5 万戸 × 1 戸 年 66.0 万円(今の 1.30 倍)、営業利益率 4.6%
- 付帯事業(保証・保険・リフォーム・仲介):数量 14.5(年平均の運用戸数(万戸))× 価格 4.46(1 戸あたりの付帯収入(万円・名目))→ 売上 65 億円・営業利益 17 億円。運用 14.5 万戸 × 1 戸 年 4.46 万円(今の 1.30 倍)、営業利益率 26%
倍率:事業の純利益 42 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 25.6% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 16.4%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 22.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 22.1 倍。全体の PER 22.05 倍、時価総額 926 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:採算を重視しながら戸数を増やす方針へ段階的に転じている。M&A の実績が少しずつ積み上がるとみる。
中立 33% 戸数はわずかに増え、利益は物価の分だけ増える 利益 28 億円 · PER 20.9 倍 · 株価時価総額 3,716 円622 億円
運用戸数は年に 1% 台のペースで増え、2035 年に 12.4 万戸になる。賃料は都市部で上がり、地方で下がる差があり、平均では物価に届かない 10 年 1.25 倍とする。人件費は物価で上がるが、DX で 1 人あたりの管理戸数が増えるため、営業利益率は 4.9% 前後と今の計画並みに保つ。配当は DOE 10% を目安に、利益の 6 割強を還元する。株主還元は DOE 10% を目安に続き、自己資本は緩やかにしか増えない。現金が余れば増配や自社株買いに回る。買収は年に数件の小粒にとどまり、社運を賭けるような大型の案件はない。競合の大東建託や大和リビングが建築と管理を一体で押さえる構図は変わらず、JPMC は管理に特化した立場を保つ。
- 賃貸経営代行(サブリース・管理):数量 12.4(年平均の運用戸数(万戸))× 価格 64(1 戸あたりの年間売上(万円・名目))→ 売上 787 億円・営業利益 28 億円。運用 12.4 万戸 × 1 戸 年 63.5 万円(今の 1.25 倍)、営業利益率 3.5%
- 付帯事業(保証・保険・リフォーム・仲介):数量 12.4(年平均の運用戸数(万戸))× 価格 4.29(1 戸あたりの付帯収入(万円・名目))→ 売上 53 億円・営業利益 13 億円。運用 12.4 万戸 × 1 戸 年 4.29 万円(今の 1.25 倍)、営業利益率 25%
倍率:事業の純利益 28 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 20.7% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 14.0%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 20.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 20.9 倍。全体の PER 20.89 倍、時価総額 589 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:ここ 3 年は戸数が横ばいで、採算重視の方針も明言している。中計の 25 万戸を前提にせず、緩やかな増加を中心に置く。人口減少の逆風もある。
やや悲観 23% 人口減と人手不足で、戸数が細る 利益 15 億円 · PER 9.5 倍 · 株価時価総額 1,072 円179 億円
運用戸数は 10 万戸まで減る。オーナーが契約を更新しない動きが広がり、地方の物件は空室が増える。賃料は 10 年で 1.1 倍にとどまり、人件費の上昇に追いつかない。付帯収入も競争で細り、営業利益率は 3% 台に下がる。それでも自己資本は厚く、配当は縮みながら続く。大手の垂直統合型が新築と管理を押さえ、JPMC の取り分は管理手数料の競争で削られる。パートナー企業の高齢化で紹介が減り、新規申込が伸びない。DX は進むが、人件費の上昇に追いつかない。それでも財務は堅く、赤字には陥らない。配当は縮むが、累進の方針の下で下げ幅は抑えられる。
- 賃貸経営代行(サブリース・管理):数量 10.0(年平均の運用戸数(万戸))× 価格 56(1 戸あたりの年間売上(万円・名目))→ 売上 559 億円・営業利益 14 億円。運用 10.0 万戸 × 1 戸 年 55.9 万円(今の 1.10 倍)、営業利益率 2.5%
- 付帯事業(保証・保険・リフォーム・仲介):数量 10.0(年平均の運用戸数(万戸))× 価格 3.77(1 戸あたりの付帯収入(万円・名目))→ 売上 38 億円・営業利益 8 億円。運用 10.0 万戸 × 1 戸 年 3.77 万円(今の 1.10 倍)、営業利益率 20%
倍率:ROE 9.6% は k 7.25% をわずかに上回るだけで、先で薄れる。正当化 PER の上限は 13.6 倍。戸数と賃料が細り、自己資本が余って ROE が下がる局面を見て、上限の約 7 割の 9.5 倍に置いた。
確率:人口減少が地方から効き始め、人手不足で戸数の拡大も難しい。前計画の未達という実績がある。
悲観 12% サブリースの固定賃料が重荷になる 利益 3 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 167 円28 億円
賃貸住宅の供給過剰が進み、入居率が下がる。オーナーに払う保証賃料は固定のまま、入居者から入る賃料が下がり、スプレッドが消える。運用戸数は 8 万戸まで減り、営業利益率はほぼゼロになる。賃料の減額をめぐるオーナーとの訴訟も増える。自己資本が削られ、配当は大きく縮む。2030 年代に入り、サブリースの長期契約の更新期が重なる。オーナーが更新せず、賃料の減額に応じないと訴訟になる。規制が強まり、募集時の説明義務や賃料見直しの条件が厳しくなる。管理だけの手数料型へ転換する費用もかさむ。手元の現金は、保証賃料の支払いに回る。
- 賃貸経営代行(サブリース・管理):数量 8.0(年平均の運用戸数(万戸))× 価格 51(1 戸あたりの年間売上(万円・名目))→ 売上 406 億円・営業利益 2 億円。運用 8.0 万戸 × 1 戸 年 50.8 万円(今の 1.00 倍)、営業利益率 0.5%
- 付帯事業(保証・保険・リフォーム・仲介):数量 8.0(年平均の運用戸数(万戸))× 価格 3.43(1 戸あたりの付帯収入(万円・名目))→ 売上 27 億円・営業利益 3 億円。運用 8.0 万戸 × 1 戸 年 3.43 万円(今の 1.00 倍)、営業利益率 10%
倍率:悲観は稼ぐ力でなく、預り金を除いた手元の現金で置く。今の自己資本 92 億円に PBR 0.30 倍を掛けた。ためた利益には掛けない。
確率:サブリースは、空室でもオーナーに賃料を払い続ける約束。入居率が下がり、賃料も下がると、約束だけが残る。レオパレスの経験が示した構造的な負け筋。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
賃貸経営代行(サブリース・管理)
オーナーから物件を一括で借り上げ、入居者に貸す。管理・募集・集金を担う。
| 数量年平均の運用戸数(万戸) | 価格1 戸あたりの年間売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 10.8 | 51 | 548 | 17 |
| 10 年後 中立 | 12.4 | 64 | 787 | 28 |
取り方:2026 年 1Q の運用戸数 108,337 戸(期首比 +415)から 2025 年の年平均を 10.79 万戸とし、売上 585 億円から付帯・リフォーム等 37 億円(推定)を除いた 548 億円を割って、1 戸あたり年 50.8 万円(月 4.2 万円)とした。サブリースは入居者の家賃全体が売上に立つので 1 戸の売上が大きい。セグメント別の開示はなく推定。数量は実質の戸数、物価の分は 1 戸あたりの売上に入れる。
付帯事業(保証・保険・リフォーム・仲介)
家賃保証、少額短期保険、リフォーム、売買仲介などの付帯収入。
| 数量年平均の運用戸数(万戸) | 価格1 戸あたりの付帯収入(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 10.8 | 3.43 | 37 | 9 |
| 10 年後 中立 | 12.4 | 4.29 | 53 | 13 |
取り方:2023 年計画の付帯事業 27 億円、リフォーム 7.5 億円などから、2025 年の付帯・リフォーム・仲介を合計 37 億円と推定し、運用戸数で割って 1 戸あたり年 3.43 万円とした。営業利益率 25% は推定(全体の営業利益 26 億円と整合させた)。
リスクと懸念
サブリースの固定賃料
入居率が下がっても、オーナーへの保証賃料は払い続ける約束で、入居者から入る賃料が下がるとスプレッドが消える。レオパレス21が経験した形だ。純現金や自己資本比率が高くても、この約束は見えない負債になる。
成長の停滞と人手不足
運用戸数は 3 年ほぼ横ばいで、前の中計は人員不足で戸数が未達だった。営業職と施工管理の採用難は続き、M&A で戸数を買う方針に偏る。
人口減少と賃貸の供給過剰
地方から世帯数が減り、空室率は全国で 2 割を超える。賃料が物価ほど上がらないのに、人件費は物価で上がる。営業利益率は 4% 台で余裕が薄い。
規制と訴訟
2020 年のサブリース新法で説明義務が強化された。賃料減額をめぐるオーナーとの訴訟は他社でも続き、規制がさらに強まる危険がある。
M&A の質
管理会社の買収は戸数を増やす手段だが、入居率の低い会社を引き受ける面がある。買収したシンエイの入居率はグループ平均を下回った。高値づかみや統合の失敗が起きうる。
高い値段のまま期待が外れる危険
今の時価総額は純利益の 20 倍を超え、成長がほぼ止まった会社には高い。利益が計画より 1 割落ちるだけで、株価の調整が大きくなる。
今後の分かれ目
- 運用戸数が 3 四半期続けて前の期を上回り、年率 3% を超えたら
- 成長が戻ったと見て、楽観・やや楽観の確率を引き上げる。
- 入居率が 90% を割り、賃料の減額要求が増えたら
- やや悲観・悲観の確率を引き上げる。サブリースの固定賃料が効き始めたと見る。
- 賃貸管理会社の買収が複数決まり、買収後の入居率がグループ平均に近づいたら
- M&A の実績が実ったと見て、運用戸数の伸びを引き上げる。
- 1 人あたりの運用戸数が 600 戸を超え、販管費率が 5% 台に下がったら
- 営業利益率の前提を引き上げ、倍率も上限寄りに置く。
- サブリースに関する規制が強化され、契約の更新条件が厳しくなったら
- 悲観の確率を引き上げ、管理手数料型への転換費用を加味する。
- 自社株買いや特別配当が発表されたら
- 余剰資金の還元が進んだと見て、還元の前提を引き上げる。
見ておくもの
- 四半期ごとの運用戸数と新規申込戸数(2026 年 1Q は 108,337 戸)
- 入居率と、契約更新を見送ったオーナーの数
- 営業利益率(2025 年 4.5%、2026 年計画 4.9%)
- 賃貸管理会社の買収の件数と、買収後の入居率
倍率と資本コストの決め方
数量は年平均の運用戸数(実質)、価格は 1 戸あたり年間売上(名目)で積み、賃料の伸びは領域ノートに合わせて物価の 1.34 倍より低い 1.25 倍とした。倍率は k 7.25%(基本 7.5% に値決め力 +0.25%・寿命 +0.25%)、g 4%、堀は並の式から出し、中立は ROE が k を上回るため 1÷k の 12.5 倍を下限にした。今の PER(22 倍前後)や同業の倍率には寄せていない。純利益は営業利益 × 0.69(過去の中央値)で置き、純現金の利息の増減は小さいので別に足していない。悲観は稼ぐ力でなく、預り金を除いた手元の現金で置き、今の自己資本に PBR を掛けた。サブリースの保証賃料は固定の約束なので、悲観では費用が減らない形にした。新リース会計基準の影響は小さい(事務所の賃借が中心)。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 15.9→22.34 倍・やや楽観 PER 14.4→22.05 倍・中立 PER 13.2→20.89 倍)。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。